2017年08月18日

変化を恐れるひな鳥。

 ブラジルに研修、引率で来ています。

サッカーキャンプの優秀選手に、留学希望者。

中学生2人、小学生が8人。

彼らともに、クルゼイロの育成施設「toca1」でお世話になります。

それにしても、うらやましい。

その年代から、ブラジルを体験できる。

自分も、16歳の時に、初めてブラジルにサッカー留学に行きました。

夏休みの1.5か月弱という、短い期間。

それでも、その後の人生が、大きく変わるような衝撃を受けました。

挑戦している小学生や中学生にとっては、チャンスですよね。











 このチャンスを生かすか、無駄にするかの違いは、何か?

自分が連れて行って思うのは、本人そのものにあるのではないか。

最も無駄にする可能性が高いのは、環境の変化を受け入れない子ども。

「家のご飯が食べたい。」

「言葉が通じない。」

「普段とは、コーチに言われることが違う。」

今までに自分が育った環境と比べ、違いになげく。

いつもだったら、もっと上手く行くのに?!

やっぱり、日本が、自分の住んでいる環境が良かった。

ブラジルに行った意味が、これでは薄れてしまいます。

自分から、変化するチャンスをつぶしてしまっている。











 もう一つは、大事に育てられすぎている子供。

普段から、手をかけられすぎているのでしょうか。

最近は、6ポケットとか言う言葉もありますね。

我々の子供時代に比べて、子供一人に投下する手間やお金が大きくなっている。

傾向として、そのような子供は、自分で何もしなくなっています。

まるで、ひな鳥が口を開けて餌を待っているように。

口を開けていれば、親鳥が、せっせ、せっせと餌を運んで来てくれる。

「コーチ、時間。」

「コーチ、スパイク忘れた。」

そのような子供は、最小限の単語で、物事を伝えてきます。

おそらく、その先は、常日頃、察してもらっているのでしょうね。

このような選手も、環境の変化や、アクシデントに弱いです。

転ばぬ先の杖が無くなると、転んだ後の対応に困ってしまうのです。













 短い期間とは言え、お預かりする子供たち。

少しでも有意義な時間を過ごしてもらいたい。

そして、少しでも、いい変化を起こしてもらいたい。

ブラジルの食事や、環境を受け入れる努力を、共にしていく。

わざと丁寧でない接し方、察してあげない行動を取る。

さて、今年の子供たち10人に、いい変化が起きるのでしょうか。

楽しみに、頑張ります。
posted by プロコーチ at 11:10| Comment(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月15日

解放させる。

 クルゼイロのコーチたちは、エリート集団です。

そもそも、ビッグクラブで働いている、そのエンブレムを身に着けている。

それだけで、大きな誇り。

胸を張って、街中を歩きます。

その本体のコーチたるや、日本人の想像を超えるほどの、エリートなのです。

でも、その彼らは、全く、偉ぶる素振りを見せません。

笑顔が素敵で、フレンドリーであり、我々を尊重しくてくれます。









 日本の子供たちは、居心地よさそうに、トレーニングしていました。

南米人が醸し出す、楽し気で、開放的な空気を感じているのでしょうか。

あまり接したことがない、ブラジル人であっても、こわ張っていない様子。

コーチ側が、一方的な、権威主義的な態度を取っていないからでしょう。

こういう風にやってごらん、と促されると、素直に取り組んでいきます。

傍で見ていても、本当に、良い関係を築いています。

その信頼関係が、早い上達を生みます。

そして、上達を選手自身も感じているから、さらにコーチに近づいていく。

好循環が生まれていました。









 それでも、日本人は、まじめですね。

空気を読み合って、行動しようとしています。

集合して、コーチの話を聞く態度は、素晴らしい。

この部分は、「規律正しく、我々を尊敬してくれている。」と高評価です。

でも、この規律正しさが、プレーに制限を加えている、言わば足かせにもなっています。

失敗が許されない?

集団の、何となくの意思からはみ出したプレーは許されない?

心のどこかで、ブレーキをかけているようにも見えます。








 ある日、面白いトレーニングがありました。

「ミニゲームをしよう。」

用意するものは、ボールだけ。

ビブスも、マーカーも、コーンも、ゴールも、あえて用意しません。

自分たちの持ち物で、ピッチを作り、ゴールを作ります。

水筒、シューズ入れ、ウェア、なんでもOK。

ピッチの準備が出来たら、靴を脱いで、ソックスも脱いで、ハダシになります。

そう、ストリートサッカーを味わってもらうためです。

ちなみに、ブラジル国内でも、ストリートサッカーは減少しています。

都市化が進み、車社会が進んだ影響と聞きました。











 子供たちは、ざわざわと、落ち着かない様子。

でも、コーチたちは、特に、何も言いません。

3人組程度のチーム分けを手伝っただけで、後は、選手に自主的に始めてもらいます。

恐る恐る、試合が始まります。

とその時、スピーカーのスイッチをON。

軽快な、ラテンの音楽をかけるのです。

思わず、踊りたくなるような音楽がかかります。

すると、ハダシの子供たちのプレーも、変わっていきます。

持っている技や、フェイント、相手を驚かすようなプレーを、やりたがるのです。

今まで、正確に止め、運び、蹴ろうとしていた姿とは、正反対。

まるで、自分たちで押し殺していた、内側の深いところにあった何かが、飛び出してきたようです。

心が解放され、プレーで表現をし始めたのです。

コーチたちも、音楽に合わせ、体を揺らして、笑顔で見守っていました。

「それを待っていたんだよ!」と言わんばかりの表情です。










 日本人は、真面目過ぎる。

我々は、自己表現が下手。

そんなレッテルが貼られています。

自分たちも、それでいいと思っていたのかもしれない。

コーチや親が、子供たちの、まじめに取り組む姿を期待している。

子供たちも、それに必死で応えようとしているのではないでしょうか。

実は、本当の姿は、そうでないのかもしれない。

心が解放された、子供たちのプレーは、エネルギッシュで、ダイナミック。

そして、ボールを蹴る喜びにあふれていました。










 この喜びを知らない子供たちは、大きくなったら、いつか、引退してしまうのでしょう。

スポーツには、引退などなく、形を変えて、一生楽しめるもののはずなのに。

真面目に、真剣に取り組むことは、素晴らしいことです。

競技の世界で生きていき、プロを目指すならば、当然の態度です。

でも、心からの喜びを知ることも、同時に必要であると思いませんか?

それを知っている人間は、いくつになっても、フットボールを楽しめるでしょう。
posted by プロコーチ at 02:47| Comment(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

熱中させる。

 好きこそ物の上手なれ。

「どんなことであっても、
 人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早いということ。」

                 引用…故事ことわざ辞典


 フットボール好きの気持ちを大切に、コーチングする。

そうすれば、選手たちは、どんどん成長していくでしょう。

我々コーチは、何をするのか。

まずは、じっと観察する。

そして、少しだけ、手助けをしてあげれば良いのではないでしょうか。








 では、苦手だと思っていること。

嫌いだと選手が感じているならば、どうすればいいのでしょうか?

大好きなシュートや、ドリブルは、子供たちは積極的に取り組みますよね。

一方、どうしても嫌がるようなプレーもありますよね。

でも、試合の中では、頻出するプレー。

放っておいては、ならない。

このヒントをクルゼイロのコーチから教わりました。







 ヘディング。

今の子供たちは、あまりトレーニングしていないのでしょうね。

ロケットが発射していくかのような両腕を閉じて、直立したままのフォーム。

目を閉じて、ボールを怖がってヘディング。

ボールタッチが得意な選手も、ヘディングとなると、レベルが落ちてしまいます。

私は子供たちに聞きました。

「1回のトレーニングで、ヘディングを何回くらいする?」

すると、驚きの答えが返ってきました。

最少は、0回。

多くても10回。

それでは、ヘディングが上達していないのも、当然です。










 サッカーキャンプの中で、毎回ヘディングに取り組む時間があります。

と言っても、二人組で向かい合って、手で投げてもらったボールをヘディング。

これを繰り返して、上達させる!のではありません。

最初は、現状を把握するために、向かい合ってヘディングしました。

すると、やはり、そのレベルは高くありません。

本当に、普段やっていないのでしょうね。




 さあ、クルゼイロ流のヘディングトレーニングが始まりました。

3種類ほどの、ゲーム性の高いトレーニングです。

そして、痛くならないように、ゴム製のリフティングボールから始めます。

これならば、仮に失敗しても、痛みは半減します。

バドミントン。

バレー。

サッカー。

点数を数えて、競争しながら。

子供たちは、笑いながら、嬉々として、ヘディングを繰り返します。

最後に、向かい合ってヘディングをしました。

びっくりするくらい、上達していました。

ボールをしっかり捉えて、強いボールが狙ったところに飛んでいきます。










 子供たちは、好きではない技術。

苦手意識を持っていたはずの技術に、前向きに取り組めました。

しかも、1時間もヘディングのトレーニングをしたのですが、嫌な顔になりません。

何百回も繰り返して、ヘディングに取り組みました。

その数と時間は、大人でもウンザリしてしまいますよね。

少なくとも、私は、やりたくありません。

でも、子供たちは魔法にかかったように、ヘディングを続けました。

そして、一気に上達したのです。










熱中すると、上達は早いです。

選手の心を動かすこと、コーチの大きな仕事の一つですね。





posted by プロコーチ at 23:16| Comment(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

本当は大好き。

 ブログの更新を怠っていました。

すみません。

ようやく、仕事がひと段落したので、書かせてもらいます。





 今年も、ブラジルの名門クラブ「クルゼイロEC」を日本に招待。

4年目となる、クルゼイロサッカーキャンプ。

育成のプロフェッショナルを日本に招いて、小学生向けにサッカーキャンプを開催。

東京、大阪、埼玉、山口。

多くの選手に対して、指導。

準備も、イベントも、自分たちで作り上げるので、本当にやりがいがあります。

しかも、世界基準の指導に触れれるのですから、ありがたい限りです。









 4回目となると、クラブ側も、日本に対する理解が深まってきました。

最初は、ブラジルの子供に向けた、そのままをトレーニングしようとしていました。

もちろん、良い内容なのですが、日本の子供たちには受け入れられにくいものも、、。

それを、こちらから、日本の現状を伝え、彼らも子供から感じ取り。

少しずつ、さらに良いものに変化していきました。

今では、「この部分が、日本では足りない!」スペシャルメニューを作成してきます。










 参加する子供たちは、本当に変化していきます。

初日にできていなかった事が、時間を重ねるごとに、上達していく。

知らなかったこと、勘違いしていたこと。

そして、今まで、トレーニングしていなかったこと。

まるで、乾いたスポンジのように、吸収していく子供たち。

最終日には、初日とは、ガラッと変わった姿になっています。

ほんの、2時間×4日の8時間。

今まで、子供たちがトレーニングしていた時間に比べると、ごくわずか。

その何百倍も、トレーニングして来ていたことでしょう。

今までの努力が下地になっているのは、間違いありません。

良い刺激を与えると、良い方向に変化する。

毎年、プラスの変化を目にして、うれしい気持ちに感じています。









 これは、南米の指導者の特質なのでしょうか?

参加した子供たちは、笑顔にあふれています。

厳しいことを求める瞬間、キツイ言葉を投げかける瞬間もあります。

それでも、全体から、いい雰囲気が消えません。

子供たちは、サッカーを自らプレーしていました。

やらされている選手は、いませんでした。









 大人も、子供も、大好きだから、プレーしているのですよね。

それなのに、つらく苦しいものに耐えるような顔でだけプレーしている。

プロ選手、プロの手前にいる選手は、それが仕事・職業ですから。

当然、引き締まった表情になる。
 
その彼らでさえ、根っこの部分では、子供のころは、どうでしょうか?

誰よりも、フットボールが大好きだから、真剣に取り組んでいたはずです。









 子供のころに感じていた、とにかく大好き、だから上達したい!

ブラジル人指導者は、その部分を忘れてはならないと、改めて気づかせてくれました。





好きこそ物の上手なれ。

「どんなことであっても、
 人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早いということ。」

                 引用…故事ことわざ辞典




 
posted by プロコーチ at 16:59| Comment(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする