2019年06月21日

ブラジル留学

 今から、30年ほど前の話です。

日本のサッカー界に、小さな流行がありました。

それはブラジル留学です。

その前は、ごく一部の選手がドイツに留学する流れはあったようです。

30年前、それは三浦知良選手のブラジルでの活躍、帰国、読売クラブ・日本代表での活躍。

ワールドカップも、オリンピックも全く想像できない、暗い日本サッカー界。

暗闇を照らしてくれる、一筋の光のように感じてました。

少なくとも、私は、その他とは違うカッコ良さに憧れました。

その憧れを持った少年が、サッカー雑誌の広告を見て、ブラジルに飛び込んでいったのです。

今ではそれが、スペインに行く流れなのでしょうが、当時は断トツでブラジルでした。













 ブラジルでの刺激は、当時田舎の高校生だった私にとっては、強烈でした。

ワールドカップに出たこともない日本の、しかも田舎の高校生。

それが、ワールドカップを当時3回も制していたブラジルに行くのですから。

このような思いを持った中高生が、日本中から集まりました。(30人ぐらい留学生がいたのでしょうか。)

派遣先のクラブでのトレーニングを経て、サンパウロの様々なクラブと試合をしました。

州の2部や3部、三浦カズ選手が活躍した、ジャウーとも試合をしました。

何も分からずに、ただただガムシャラに試合を続けました。

当然、ブラジル人の方が圧倒的にレベルが高い。

それらならば、彼らのプレーをたくさん観察しよう。

そして、出来なくてもいいので、取り入れていこう。















 初めて、相手に認められた瞬間がありました。

それは、右サイドバックで出場した時の試合です。

一つ前の試合の時に、ブラジル人のサイドバックの守備を観察してました。

すると彼らは、相手に前を向かさないように、相手の体に後ろから、低くガンガン押し当てる?ぶつける?

まるで、相撲の立ち合いのようにプレッシャーをかけ続けていました。

(今は反則の基準が厳しくなったので、後ろからのチャージに今よりは寛容だった当時とは違います)

これだ!

私は、左ウイング、黒人選手だったはず、を徹底的にマークしに行きました。

後ろから、低く、ガンガンぶつかり続けました。

何度も、クルっとかわされ、抜き去られました。

それでもスピードには自信があって、何とか追いつく時もありました。

間に合わず、そのままクロスを上げられもしました。

それでも懲りることなく、プレッシャーに行き続けました。

普段の倍?ほど疲れて、試合後は、芝の上に座りこんでいました。

すると、相手の左ウイングが私のそばに来て、何かを話しています。

(やばい、ぶつかり過ぎて、怒らせてしまった?!)

意味が分からないので、困っていると、先輩の日本人選手が訳してくれました。

「お前の守備をほめてくれているぞ、いいプレッシャーでプレーしづらかったらしい。」













 南米の選手は、マークは厳しい。

そして、審判の基準が緩かったり、あいまいだったりします。

少しでもボールを持ちすぎると、足ごとボールを刈られたり、体ごと吹っ飛ばされたりは当たり前です。

そのような環境の中で、小さい頃から試合を積み重ねているのが、南米の選手です。

30年前の私のプレッシャーは、少しだけ、ブラジルの基準に近づけたようです。

だから、対戦相手が認めてくれた。

直に目にしたから気づけた。

体で体感したから、身をもって分かることが出来た。

あの基準を知れただけでも、私のブラジルでの時間は無駄ではなかった。

今でも、そう思います。

30年たって、ブラジルのトップクラブのトレーニングを目にするようになりました。

当時とは、少し変わっていますね。

でも、局面での厳しさ、球際の強さは変わりませんね。

ちなみに、攻撃面では、全く貢献できませんでした。

下手くその悲しいところです。












 コパアメリカを戦う、日本代表。

彼らは、ブラジル留学中なのでしょうか?

この前のチリ戦。

南米の基準に、やられてしまいましたね。

勇気の無い試合。

勇気のないプレーの選択の繰り返し。

いいプレーもたくさんありました。

でもその多くは、チリの選手が強度を下げた残り約30分以降。

キックオフからそこまでは、何とも腰の引けた、接触を怖がっているように感じました。

はっきり言うと逃げのプレーを選択し続けていました。

唯一、中島選手だけが、堂々とボールを受け、勇気を持っていつも通りの仕掛けを見せてくれていました。












 話題の久保選手。

18歳としては、素晴らしいと思います。

特に、残り30分で、相手がゆるめてくれてからは、ポジショニングもプレーの選択も相手に怖さをあたえてもいたでしょう。

それ以前は、なんてことはない、ただの普通の選手。

後半の途中から入ってきた、三好、阿部の両選手。

彼らのパフォーマンスと、久保選手を比べて、久保選手が上!と言えるでしょうか?

18歳には未来があるからと、期待値が高くなって、判断基準が甘くなるのは、プロ選手に失礼です。

ペレは、17歳でワールドカップに出場し、ゴールも決め、優勝しています。

エムバペは18歳でチャンピオンズリーグでゴールを決め、19歳でワールドカップで優勝しました。

若くて上げて良いのは、移籍金。

選手の評価は、年齢に関係なく公平な物差しを持たないと、おかしなことになってしまいます。













 1国を代表し、日の丸を漬けている選手が、留学とはおかしな話です。

でも、とてつもなく、いい経験をしているはずです。

おそらく、一生に一度しか味わえない環境。

親善試合や、日本での試合では味わえない、威圧感。

母国の国民の前で、みっともない試合は見せれないと、本気でぶつかってくる、胸板の分厚い選手。

長い芝も、少し暗く感じる照明も、レフェリーの基準も、観客の反応も、全てが将来の糧になるでしょう。

本気で、それらに立ち向かうから、本物の体験となり、将来の血肉となる。

残り最低2試合は戦えます。

さて、若き日本代表は、南米基準にアジャストし、さらに凌駕することが出来るのでしょうか。






posted by プロコーチ at 02:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月14日

もっとこだわれ!

 ワールドカップが開幕ですね。

フランスで開催されている、女子ワールドカップ。

我らがなでしこジャパンは、強豪国の1つに数えられていますよね。

2011年の優勝、2015年は準優勝。

その前は3大会連続でグループリーグ敗退ですから、この10数年の躍進は素晴らしいことですね。


初戦、アルゼンチン代表との戦いは、0対0の引き分け。

試合後、歓喜にあふれるアルゼンチンの選手とベンチ、スタッフ。

その一方で落ち込む、日本側。

そのコントラストは、対照的でした。

もし男子なら、開幕戦でアルゼンチンと引き分けれたら、逆の気味で大ニュースになりますよね。













 さて、このアルゼンチン戦での引き分けで、「なでしこ、大丈夫か?!」

このような論調であふれています。

試合を観ていても、チーム力の差は歴然としていました。

グループとして、ボールを動かす能力は、日本が上。

常にボールを保持しながら、試合を進めて行きます。

アルゼンチンもそれを分かっていて、高い位置からボールを奪いには来ない。

ハーフウェーラインよりも後ろに撤退して、閉じこもる。

特に中央を固めようとしている。

入ってきたら、厳しく、激しく、プレッシャーをかけてきました。

日本は、ボールを回すものの、大きなチャンスにはならない。

相手の中に入っていくことが、出来ない。

上手いのですが、怖くない、それがなでしこの攻撃になってしまっていまいした。














 アルゼンチンの選手たちは、個人としての戦う能力に優れていました。

男子と同じですね。

骨太の選手たちが、体ごと、ボールに寄せてくる。

至近距離だと、ガシガシ、ゴリゴリとぶつかってきます。

攻撃だと、体を使ってボールをキープする選手。

特に、お尻や背中を、先に相手にぶつけてきます。

ドシッ、ガン、と相手に先にコンタクトしてから、ボールをキープをしてくる。

90分を通して、柔道の乱取りや、相撲のぶつかりげいこをしているかのよう。












 日本の選手は、気後れしているように見えました。

その証拠に、縦パスを受けた選手のアクションです。

高い位置でボールを保持しよう、そこでポイントになろうとすると、ぶつかられてしまう。

奪われる可能性が高い、プレッシャーが厳しいと感じたのでしょう。

縦パスを受けた選手が、逃げるように、ゴールから遠ざかりながら、離れていく。

そして、パスの出し手も、奪われるの恐れているのか、パスのずれが多く見られました。

アタッキングサードでのボールロストが多い。

結果、その周辺でのパス回しになってしまう。











 統計を見ると、アルゼンチンのタックルの回数が、50回近くと多い。

そして、そのタックルを受けた日本の選手は、74%の確率でロストしてしまう。

つまり、4回に3回もボールを失っているのです。

FWでプレーした、菅沢選手は7回中6回のボールロスト。

横山選手は、6回中5回のボールロスト。

アタッキングサードでのパス成功率は、60%台。

中央の高い位置で、ボールが全くおさまらない。

そして、パスがつながらなっていない。

ボールを握っているのは日本でしたが、試合の主導権を実質握っていたのは、アルゼンチンでした。











 これを観て、どう思うのか?

あのプレッシャーでは厳しいから、そこを避けて、試合を進めるのか?

それは、違うはずです。

日本の女子選手は、高いレベルでボールを動かすことを目標に、プレーを続けています。

相手のプレッシャーがあっても、タックルが厳しくても。

逃げるのではなく、その中でもブレない技術を磨いてきているはずです。

相手につかまらないように動きながら。

仲間とタイミングを合わしてパスを出す、ボールを受ける。

動きながら受けたボールを、さらに動かしてボールを止める。

相手に後手に対応させ、常に日本が先手を取るのが、日本のポゼッション、崩しのはずです。














 これが出来なかったは、なぜでしょうか?

考えられるのは、経験不足からくる、修正能力の低さは否定できないでしょう。

緊張するワールドカップ開幕戦。

初めてのワールドカップの舞台。

そこで、思うようなプレーが出来ないのは、ある意味仕方のないこと。

澤、宮間といった、レジェンドプレーヤーがいない。

「大丈夫、落ち着いて」「いつも通りのプレーをするの」

言葉や、プレーで見せてくれる頼れる先輩がいれば、変わったのかもしれませんね。

今大会は、若いなでしこにとっては、つらい戦いが続くでしょう。

その中で、真剣勝負を繰り返すことが、選手の成長に必ずつながるはずです。

もっと、いつもの戦いに、身に付けている日本人らしい戦いに、こだわれ!
posted by プロコーチ at 18:10| Comment(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月07日

作戦を立てて試合を運ぶ

 トレーニングには目的があります。

全面的に伸ばすトレーニングは無ければ、それをすれば全て大丈夫という魔法のトレーニングもありません。

コツコツと、コツコツと積み上げて行く。

選手の、どの部分に刺激を与えようとするのか?

試行錯誤しながら、日々のトレーニングに全精力を注ぎこみます。









 自ら考えて行動する選手にするためのメニューをご紹介。

選手の自主性を高める。

作戦を立てる。

試合の流れを読む。

選手の内面に刺激を与えるメニューです。









 選手を2つのグループに分けます。

フットサルくらいの大きさのピッチで開催します。

ここからの数字は、選手の数や、年齢により、加減していきますので。

もちろんピッチサイズも。

全部で3試合。(1試合3分)

選手は各チーム7人ずつ。

3試合でトータル12人試合に出場可能。

ただし、どの試合に何人出場させるかは、各チームで考える。

(必ず1人1試合は出場すること、また3試合全てに出場するのは禁止)

例えば1試合目は4人、2試合目は3人、3試合目は4人。

このようにバランスよく出してもよいですし、最初の2試合は2人ずつにし、最終戦は7人で勝負をかけるのもOK。

この3試合1セットを、何度か繰り返し、勝ち点を競います。











 さらに、考えさせる工夫として、一番小さい年齢の選手がゴールしたら10点。

女子が点を奪ったら5点など。

全ての選手がトレーニングに関われるようにするルールを加えることもあります。










 少し、複雑なルールですが、慣れてしまえば簡単です。

小学校中学年でも、ルールを理解します。

そして、あーでもない、こーでもないと作戦を立案し、遂行しようとします。

考えが浅く、作戦倒れになることも多々あります。

でも、コーチは口を出すことなく、見守る。

試合がスムーズに進むように、運営する係に徹します。

そうでないと、コーチの顔色をうかがう選手が出てきてしまいますからね。












 トレーニングの効率を考えると、あまりよくありません。

コーチが全てを仕切って、試合を進めれば、もっとたくさんの試合をすることが出来るでしょう。

選手同士が話している時間が、多くなってしまいますから。

でも、言われた通りに、ピッチの上でプレーを繰り返すだけの選手。

自分たちで考えた、拙いかもしれないけども、チーム戦術を作り上げ、戦う選手。

自主性を伸ばせるのは、どちらでしょうか?

自ら考えて行動できる選手を育てるためのメニューと考えれば、答えは出てきますよね。
posted by プロコーチ at 02:15| Comment(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする