何度かこのコラムでも触れてきた、サッカーボール。
白と黒の、五角形と六角形の組み合わせで縫い合わされている。
こんなボールは、プロの試合では使われなくなっています。
特にこの数年で、目ざましい進化を遂げていますよね。
オールドプレーヤーにとっては、隔世の感があるのではないでしょうか。
私が小学生、中学生の頃には、本皮のボールが残っていました。
「公式戦の上の方では、このボールを使う」
今でも、覚えています。
表面が硬く、蹴ったら足に衝撃が残ります。
ヘディングをするのが怖い、痛い・・・。
特に水を吸って重たくなったボールは、トラップすらしたくないほど重量感でした。
そのボールが大きく変わったのが、2002年の日韓ワールドカップ。
この大会での使用球が「フィーバーノバ」
作りは、それほど変わっていない筈です。
皮の種類に秘密があったようです。
ものすごくボールが弾み、グンと空中で伸びました。
ドイツのカーン選手が、やたらパンチングを多用していました。
キャッチをするとボールの勢いに負けてしまう。
その恐れが少しでもあるときには、大きく弾く。
この判断に迷いがありませんでした。
2004年以降は、ボールを熱で張り合わせて作るタイプに変わりました。
すると、ボールは球体に近づくそうです。
さらに2006年からはプロペラのような形を組み合わせてボールを作っています。
このボールの特徴は、とにかく飛ぶこと。
多少ボールの中心を外しても、なぜかボールは飛んで行きます。
思った距離の1.2〜1.5倍は飛んでいく感覚でしょうか。
そして、曲がりにくいのも特徴のひとつ。
こすって、回転を掛けるのがカーブキックの蹴り方の1つ。
いくら回転を掛けても、曲がりにくい。
おそらく、前に飛んでいく力の方が大きいのでしょう。
ここで意識するのは、ボールの中心。
こするよりも中心を少しだけ(数センチ)外して蹴る。
この蹴り方の方が、ボールに変化を生むようです。
そして、最近流行のぶれ球。
ボールの中心を蹴り、わざと無回転でボールを蹴る。
グググ、と前に押し出すよううに強く蹴るのがポイント。
すると、空気の抵抗が大きくなり、ボールが不思議な軌道で飛んでいく。
野球で言うナックルのようなものだそうです。
最近のフリーキックでは、わざとこのぶれ球を蹴るのが1つのトレンドになっていますよね。
蹴る時には、ボールにどれくらいの力を加えるか。
そして、どれだけ中心をずらすのか。
ところが、トップ中のトップの選手たちも、まだこのボールを完全には使いこなせていない。
驚くようなキックミスが、今回のユーロでもかなり見られました。
このボールが登場して、まだ3年ほど。
頭では分かっている。
トレーニングなら狙ったとおりに蹴れる。
それでも試合のプレッシャーが掛かった中では、習得の浅さが感じられるのです。
特に、ボールが思ったよりも飛びすぎる。
もう少し手前に、まいて落とすつもりのボール。
それが、ポーンと観客席まで届いてしまう。
ファーサイドにあわせようとしたボールが、誰もいないスペースまで飛んでいってしまう。
最後の最後のラストパスでのずれは、あまりにも痛い。
おそらくとっさの瞬間には、テンションが高まりすぎる。
すると今まで、20年・30年続けていたキックの技術が顔を出してしまう。
昔からの蹴り方をしてしまい、ボールが思わず飛びすぎてしまっているのではないでしょうか。
この種類のボールを、どれだけたくさん蹴りこんだのか。
おそらく小さい時から蹴り続けないと、身体の芯までは染み込ませることが出来ない。
技術とは、そういうものでしょう。
最近の競泳界を席巻している、レーザーレーサー。
技術を身につけるためには、恵まれた環境、財力が必要になる世の中のようです。
用具の進歩はいいのですが、置いていかれてしまうものが出てくるのには、
疑問を持ってしまいます。
サッカーにもその流れが。
何しろ、ボール一つ買うのに、2万円近くしてしまいますからね。
サッカーの王様ペレ。
彼は、「ボールは丸い」
ボールが丸いことを理解できれば、上達していく。
そういった言葉を残しています。
時代は変わりました。
それだけでは、足りない世の中のようですよ。
2008年07月04日
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