本人が亡くなった今も、なお人気だそうです。
「ショートショートの神様」星新一
小説などと比べ、格段に短い短編集。
私個人のイメージとしては、未来を描いた「日本昔話」。
とっつきやすく、短時間で読める。
難しい漢字は使っていないのです。
確か、小学校の国語の教科書に掲載されていたのが、私自身初めての出会いでした。
それ以来、完璧にはまってしまいました。
学校や、街の図書館にあるだけ全ての星新一のショートショートを読み漁りました。
でも、ものすごく奥が深い。
決して、子供だましの短編集ではない。
大人になった今、引っ張り出して読んでも、充分な読み応え。
何十年も経っているのに、時代遅れの感じがしない。
皆さんもお時間があれば、一度改めて読んでみて下さい。
ものの数分もあれば、ひとつのショートショートは、完結します。
その面白さ、奥深さ、斬新さ、皮肉の詰まったジョーク、あっと驚かされる展開・・・。
たくさんの感銘を受けることが出来るはずです。
そんな星新一。
何よりも、目の付け所が明らかに他人と違う。
お話の前提からして、不思議なことが多々ありました。
発想の転換とでも言うのでしょうか。
以前これの発想のユニークさについて、こんな言葉が残っているのが紹介されていました。
「南極物語」にもなった、タロとジロの物語。
南極観測隊に置き去りにされた、彼ら兄弟犬。
自力で、約1年間生き延び、感動物語として紹介されました。
ペンギンやアザラシを捕まえ、寒さに耐え忍んで、生き延びた。
映画にもなり、私もジンと感動した1人でした。
ところが星新一は、感動物語としては見ていませんでした。
この事件は人間側から見れば美談。
が、ペンギンやアザラシの立場から見れば、そうではない。
ペンギンやアザラシの気持ちになってみると?
獰猛な肉食動物を人間が置いていった為に大被害を受けたという悲劇ではないか?!
イタリア代表であり、セリエA、ACミランに所属するピルロ選手。
当代きってのプレーメーカーとされている彼。
彼のインタビューが、掲載されていました。
・・・ゲームの中で何を考えてプレーするのか?
「論理性と非論理性」
論理性・・・システムやセオリーに従ったプレー。
非論理性・・・フィールドに出すべき答えを見出すプレー。
非論理性を裏付けるのは、本能。
自分が感じたままにプレーする。
わざと、平凡なパスを出す。
間違った場所と知りつつ、パスを出す。
全ては、次に起こるより決定的な場面のために。
組み立てが、単調になることを避けるためにだそうです。
曰く、全ての攻めのアクションがゴールに結びつくなんてあり得ない。
だから、全てのゲームメイクを完結させる必要はない!
言ってしまえば、わざとミスパスをする。
わざと怖さの無い、ありきたりのプレーをする。
無理をすれば、いいパスが出せるかもしれない。
が、ここは平凡な横パスをとりあえず、出してみる。
すると何が起こるのか?
どんな現象が、変化が起こるのか?
相手DFに油断が生まれるのです。
(こいつは、怖くない。)対面した相手DFにそう思わせる。
すると、次にピルロがプレーする時にも、相手DFには油断が見られるかもしれない。
平凡なプレーの残像が残り、相手DFの出足をわずかでも遅らせれる。
その瞬間をピルロは見逃さない。
ズバッと決定的な縦パスを通してしまう。
スピードが無い。
身体もそれほど大きくない。
そんな彼が、当たりの激しいトップリーグのセリエAで長年プレーしている。
さらには、ワールドカップにチャンピオンリーグに活躍を見せる。
その秘密の1つは、この駆け引きの巧みさが上げられるのではないでしょうか。
ピルロが、試合の中でタイミングを読み誤ることはない。
育成のユース年代から、コーチにそのように言われていました。
彼自身、相手DFのイメージを外した、スペースやタイミングを見つけるのは得意のようです。
書くのは簡単です。
いざ、このプレーを実行しようとなると、ものすごく難易度が高い。
トラップ、キックの正確さ。
そして先を読む、目・感性。
プレーのビジョンとも言えます。
おそろしく、プレーヤーとしての完成度が高くないと、不可能なプレー。
そして、このピルロのプレーを許して、活かそうとするコーチの存在も必要でしょう。
わざと、ミスをすることを許すことができるのか?
そもそも、そのプレーの意図を、コーチや周りのプレーヤーが理解し感ずることが出来るのか?
ピルロが起こす、発想の転換。
そういった目で、もう一度彼の試合を観てみたいと思います。
どこで、わざと相手DFをだまそうとしているのか?
どんなエサを捲いて、いつどこで喰いつかそうとしているのか?
わざとミスをする、平凡なパスをするという、発想の転換。
それは失敗を積み重ね、ようやく身につけたもの。
彼は、過ちを犯した状況を鮮明に覚えているそうです。
データベースされているからこそ、同じ過ちは起こさないそうです。
クリエイティブなプレーの影には、たくさんの良い失敗と、トレーニングが隠れている。
20代前半時には、試合に出れない日が続きました。
その苦悩の日々が、今の彼をさらに高めたのでしょうね。
プレーのビジョンを考えに考えた。
トレーニングに、トレーニングを重ねた。
そして、自分のポジションを勝ち取ったピルロ選手。
彼のいなかった、ユーロの準々決勝イタリア対スペイン。
優勝したスペイン代表に負けることも、失点することも無かったイタリア代表。
ピルロは、残念ながら出場停止でした。
彼さえいれば、違った展開になっていたのかもしれませんよね。
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