2012年05月22日

近くて遠い、11M。

 PK戦。

コイントス、ロシアンルーレットのようなもの。

フットボールの実力を表すものではない。

オシムさんは、監督の時に、直視せずにロッカールームに向かったとの話も。






 PKの蹴り方は、幾つかの種類に分類できます。

・蹴るコースを予め決めておく。

・GKの動きを観察し、GKの飛んだ逆に蹴る。(いわゆる、ころころPKもこの分類)

・そのミックス(GKの逆に蹴ろうとするのだが、待つタイプのGKなら自分の決めていたコースに)






GKも、飛ぶタイミングで、幾つかのタイプに分かれます。

・ボールが蹴りだされる前に飛び始める(全部左、左右交互と決めて飛ぶGKも)

・キックのギリギリまで飛ばずに、キックの瞬間に飛ぶ(軸足のつま先や蹴り足の面を観察)

・飛んでくるボールに反応する、全くヤマを張らず反応のみで

もちろん、スカウティング情報は持った上でです。

直前で蹴る方向を変える選手もいるので、スカウティングに全てを任せれない。

キッカーとGKとの間には、ずっーと、駆け引きが繰り返されている。






 素晴らしいGKは、PKの阻止率も高いものがある。

5本中2本も3本も止めて、勝利に結びつける。

PKの決定率が、7割〜9割くらいでしょうか。

5本中、1本止めれば、御の字です。

統計的事実を上回ってくる、グレートなGKがいる。(その日だけかも?!)

実際に、ペナルティーマークにボールを置いて、後ろに下がる。

すると、GKが大きく見えてしまうことも・・・。









 ただ、キッカーが圧倒的に有利な状況であることは揺るがない事実です。

11Mの距離で、強いボールをいいコースに蹴れば、GKは間に合わない。

人間の反応速度+動作のスピード、これよりも飛んでくるボールが到達する方が速いのです。

ボールがサイドネットに飛ぶ。

ボールが、ゴールの上3分の1に飛ぶ。

インステップだろうと、インサイドだろうと、プロの選手なら難しいことではない。

ましてや、世界のトップオブトップの選手なら、簡単なキックでしょう。








 仮に120分プレーをしていたとしても、たった1本狙った場所に蹴るだけ。

たった1本蹴るだけなのに、ポストにぶつけてしまう。

さらには、枠にすら飛ばないことすらある。

何が原因なのでしょうか。

身体的疲労や、ストレスによる消耗が、技術レベルを押し下げてしまった。

ただしその状況は、キッカーもGKも同じ条件です。








 ここで起きている大きな問題の一つに、心の状態が挙げられます。

普段は入るはずのPK。

ここ一番の試合で失敗してしまうには、技術的な原因か、心理的な原因のどちらかがあります。

そもそも、狙ったコースに、強いボールを蹴ることが出来ない。

狙ったコースに強いボールを蹴れるのだが、明らかに見え見えである。

これは、トレーニングで、技術的な部分をクリアにしておかなければならない。








 もう一方、心に障害物とでも言いますか、問題を抱えている場合もあります。

外してしまったら、、、

以前に外してしまったから、、、

GKが素晴らしい、、、

成功してしまったら、今の自分の状況とは変わってしまう、、、

このような問題は、本人が意識していない部分で起こってしまっている。

心の中ではなく、心の奥底、無意識の中にある。

失敗への恐怖、成功への恐れ、過緊張。







 PKを決めるためには、心の部分にも配慮すべきです。

例えば、トレーニングの時、試合に近い状況を作ってみること。

決められた準備、行動(ルーティン)をとり、日常を作る。

自分に向けて、ポジティブなトークを行う。

筋肉を緩める、呼吸法で、リラックスを試みる。

選手一人一人が、自分にあった方法をとり、PKに対する心の障害を取り除く。

PKを蹴ることに、集中できない理由があるはずです。

集中できない理由を取り除く作業を、選手と、コーチとが試合前に行う。

その上で、ペナルティーマークの前に立てれば、成功率は高まるはずです。








 余談ですが、私は、ルーティンを行います。

ボールを必ず両手でセットする。

ボールだけをジッと見て、右足から後ろに真っ直ぐ5歩下がる。

その後、左に2歩ずれて、レフェリーの笛を待つ。

すると、ちょうどいい程度に緊張し、集中力を高めておくことが出来るのです。

それぞれの選手にぴったり合った方法が、何かあるはずです。

PKは単なるロシアンルーレットではなく。

技術を発揮する場所であり、メンタルゲーム。
posted by プロコーチ at 12:01| Comment(2) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
毎回、楽しくブログを拝見させていただいています。コーチのサッカーに対する真摯な考えが伝わり、とても勉強になります。PKと言いますと、94年のWカップ決勝でロベルトバッジオの外したPKが(個人的に)印象的です。あの1本でイタリアは世界一になれませんでした。肩を落としたバッジオの後ろ姿が今でも頭に残っています。あれを観て子供ながらサッカーの難しさと言いますか、ロマンと言いますか、複雑な気持ちになったことを覚えています。コーチは印象的なPKとかございますか?
Posted by フジ(日トレ) at 2012年05月24日 22:09
ファンとしては、同じく94年での、イタリア代表Fバレージが外したPKです。

個人的には、中学3年生の夏です。
最後の大会で、PK戦になりました。
ラストキッカーだった自分が、GKに止められて、試合終了。
中学サッカーを終わらせてしまったのです。
あの時の光景は、忘れられることが出来ない、つらい思い出です。
Posted by フットボールコーチ at 2012年06月02日 02:35
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