2012年11月16日

ピアノを運ぶ5番

 日本のストロングポイントはどこですか?

その一つの答えとして、「中盤」が挙げられるでしょう。

優秀なタレントが、いまだに、中盤に集まる傾向がある。

海外のトップリーグで活躍している選手のポジション。

それが、証拠になっている。

純粋なFWやCBは、少数派。

香川選手を筆頭に、本田・長谷部・清武・乾・宇佐美・細貝選手などなど。

大空翼の影響が強いのか、日本人の気質に合っているのか?









 この中盤が、日本の武器であり、弱点にもなる。

特に、守備的なMFのポジション。

今、日本代表では、遠藤選手と長谷部選手のペアが鉄板です。

ザッケローニ監督の信頼厚く、使われ続けています。

試合の流れで、他の選手が入ることがあったとしても、スタメンは判を押したように。

明確すぎるほどの序列が、出来上がっています。








 アジアレベルでは、この二人の技術力・ビルドアップの能力が生きています。

ここでボールが収まり、前後左右に散らしていく。

ゆったりとタメを作り、落ち着かせる。

ワンタッチの縦パスや、サイドチェンジで攻撃のスイッチを入れる。

多くの展開が、ここを経由していく。

まさに、日本の生命線は、ここです。

最後のお膳立てをし、フィニッシュをするのは、もう一つ前の4人の仕事。

その準備をし、円滑に動かしているのが、もう一列後ろにどんと構える2人の仕事です。









 前回のイラク戦。

敵将ジーコ監督は、ここを潰しに来ました。

日本を熟知している、ジーコ・イラク代表監督。

ベッタリとマンマークを付けて来ました。

二人は、ボールを触ることすら、ままなりませんでした。

日本の攻撃は、たちまち機能不全に陥ってしまったのです。

それでも、ほかの選手が、攻撃を組み立ててくれたので、なんとか勝利を掴むことはできました。

思ったようにボールを動かすことが出来なかったのが、強い印象に残っています。

それくらい、守備的MF(ボランチ)の二人が与える影響は、大きなものがあります。








 では、ワールドカップの本大会ではどうでしょうか。

グループリーグが3試合あります。

そのうち2試合は、日本よりも格上の相手との対戦が、予想されます。

すなわちボールをポゼッションしながら前進し、攻撃を組み立てることが難しい。

守備の時間が長くなり、耐える展開が増えるはずです。

11人で粘り強く守備組織を固め、一瞬のカウンター。

先日のフランス代表との試合のような展開です。

攻撃を中心に試合を組み立てようとすると、簡単に失点を許してしまうでしょう。

ブラジル代表との試合が、そうでした。

ボールは回るのですが、決めきれない。

悪い奪われ方をして、カウンターを逆にくらってしまう。









 つまり、攻撃の能力が高いだけでは、本大会では通用しない。

・守備の組織を作り上げる。

・カウンターを中盤ゾーンで潰す。

この二つの役割の比重が、ワールドカップの本大会では、増えてくるでしょう。

特に、中盤の低い位置の遠藤選手、長谷部選手には、より多くタスクが課せられます。

果たして、その仕事は、二人がすべき仕事なのでしょうか?






例えば、先日の2012ヨーロッパ選手権。

イタリア代表で同じポジションを務める、デ・ロッシ選手。

彼は、スペイン戦で最終ラインを突然任されました。

誰もが驚いた、3バックの中央、スイーパーでの起用。

彼には、平気でこなすだけの守備の力がありました。

それだけの能力を持っている選手がいるからこそ、中盤のセンターが締まってくるのです。


 さらに例えば、2010年南アフリカワールドカップでの日本代表。

守備力に不安を感じたのでしょうか、阿部選手が中盤の最後尾(最終ラインの前)に入りました。

彼も、最終ラインをこなす守備能力を有する選手。

攻め込まれても、ボールを跳ね返すことを想定しての起用は成功しました。


 さらには、2000年代のイタリア代表とACミラン。

中盤のセンター最後尾に、ピルロ選手を起用しました。

彼の攻撃センスを、相手DFのプレッシャーのかからない位置で生かしたい。

それでは、不安が残るから、周りに衛兵役を起用しました。

アンブロジーニ選手やガットゥーゾ選手、デ・ロッシ選手です。






 本当に、ザッケローニ監督は、遠藤選手と長谷部選手のコンビで本大会も行くのでしょうか?

私は、人に強い選手をここにいれて欲しい。

重量感があるならば、よりプラスに働くはずです。

本田選手は嫌がるかもしれませんが、試して欲しい一人です。

そうなると、CBでポジションを得ている今野選手も、候補に入ってきます。

ドイツでポジションを掴んだ、細貝選手もありですよね。

稲本選手や、阿部選手も、国際レベルでその仕事ができると、証明されています。

他にも、候補はいるはずです。

早めに、試していってほしい。




 試合の主導権を、一定以上の時間は握られるでしょう。

残念ですが、それが日本代表の現状でしょう。

ピアノを弾く選手と共に、ピアノを運ぶ5番タイプの選手を探すこと。

あまり時間はありません。

本大会出場が濃厚になった今、次のステップに歩みだす時です。
posted by プロコーチ at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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