2013年12月11日

心が見える指導者

「今、ゴールに向かえなかったか?!」

15年ほど前に、リフレッシュ講習会で実技講習を受けたときです。

ゲームフリーズを、インストラクターのコーチから受けました。

その時の記憶は、15年経っても全く色あせません。

ゲームフリーズというのは、コーチング法の一種。

笛などでその場の全員の動きを止めて(フリーズ)、再現し、発問し、改善していく。

トレーニングの流れが途切れてしまうという欠点があります。

長所としては、その場にいる全員が、状況を理解する助けになることでしょう。

ゲームフリーズの善し悪しが、その日のトレーニングの成否を左右することも、多々ある。

コーチにとっては、必須のスキルです。










 ゲーム形式のトレーニング。

ボールを受けて、足元に止める。

そして、サイドのスペースにボールを展開した。

自分自身としては、周りを広く見えていて、なかなかいいプレーが出来たかな。

サイドから、いいボールが来れば、チャンスか?!

「ピッ!」サイドの選手が、ボールを失った瞬間でした。

…ボールを失った選手が、指導を受けるのかな?
…ファーストタッチのミスかな?

瞬時に様々な想像が膨らみます。

よし、これから始まるコーチングを聞き逃さないぞ!









 ところが、止められたのは私だったのです。

「サイドに展開したよね。」

「今、ゴールに向かえなかったかな?」

情熱的な大きな声が、ビシビシと私に向かってきました。

その時の私は、ゴールに向かう意思は、全くありませんでした。

サイドへ、いいパスを展開した!くらいに認識していました。

私は、(サイドの選手が、前を向いて受けれそうだったから)と答えました。

コーチは、「目の前にスペースがあった?」と発問を重ねてきます。

(見えてませんでした。)私は答えました。









 そして、デモンストレーションを交えたコーチングが始まります。

「いい体の向きを作っておいて、ゴール方向を見ておく」

「ゴールへの最短距離が空いているなら、グッと思い切って向かおう!」

大きな声を発しながら、ボールをゴール方向にコントロールし、そしてシュートを打ちました。

その一連のプレーがシンプルで、ダイナミックなこと。

私よりはるかに年上のコーチでしたが、若々しく、エネルギッシュなプレー!!

このプレーイメージは、私には、その時ありませんでした。

その私の心を見透かすかのような、フリーズコーチング。

大きく、情熱的で、やわらかさもある、コーチの声。

心の一番深い部分をグサッと突き破られた感覚を持ちました。









 今日、ある本を読んでいました。

「高校サッカーは頭脳が9割…東邦出版、著者篠幸彦」

すると、私が15年前にお世話になったコーチが登場してきたのです。

そして偶然にも、フリーズコーチングされたエピソード。

現在S級ライセンスを保持する、ある高校の監督さん。

まだ、B級を受講しているころのエピソードでした。









 生まれて初めて、自身がゲームフリーズを受けた。

フィニッシュの改善という、シュートのトレーニングです。

本によると、シュートを打とうと順番を待ちをしていた。

自分の番が回ってきて、(さあ、いよいよだ)と思った時に

「ピッ」と吹かれたのだそうです。

まだボールも触っていないし、なんのアクションも起こしていないのに。

するとインストラクターのコーチは、ニコニコしながら語りかけました。

「リラーックス」

ガチガチに緊張していた私は、心がスっと楽になった。

周りの受講生は大爆笑していた。

そのゲームフリーズは忘れられませんね。












 この「リラーックス」と微笑んだインストラクター。

彼こそが、15年前に私が指導を受けたコーチの方なのです。

私が尊敬し続ける、コーチは、心が読めるのでしょうか?

人が考えていることが、分かっているのでしょうか?

このような先読みしたような指導では、失敗すると、決めつけになってしまいかねない。

選手の気持ちが分からない、コーチの権力を振り回す指導になりかねない。

そのような指導を受け、さみしい、やるせないような気持ちになったこともあります。

その違いは?秘訣は?









 別の記事では、そのコーチが話されていました。

「365日指導者をするべき。その中で、色んなことを試していく。」

指導の現場に立ち続けることで、見えるものが増えてくるのでしょうか。

そして、心の中も、浮かび上がってくるのでしょうか。

私は、そのコーチの後ろ姿を、追いかけ続けています。

でも、そのままのマネをするのは、難しい。

まずは、常に指導者と有り続ける、365日指導者として。





 
posted by プロコーチ at 13:11| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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