2015年11月14日

クロスから失点

 強豪チームを相手にする。

個々の選手の力。

グループとしての熟成度。

一つ一つのプレーの精度。

互角に立ち向かうことは、なかなか難しい。

試合が始まると、ボールを前に運ぶこともままならない。

簡単にボールを奪われる。

ボールポゼッションされ、自陣に押し込められてしまう。








 モウリーニョ監督がインテル時代に敷いた、有名な戦略。

ペナルティエリアの前までは、相手に来させても構わない。

自陣深くに自ら閉じこもり、最後の崩し、フィニッシュするスペースを絶対に与えない。

強固な強固な守備のブロックを、形成する。

自陣深くでだけ、人数をかけて、スペースを埋めてしまう守備方式です。

「バスを2台停車させた」とまで形容されました。

この言い回しは、モウリーニョ監督本人も口にしています。

彼は、対戦相手を分析し、試合を進めることに長けています。

相手の攻撃力が優れているのならば、超守備的と言われる戦い方を選ぶことに迷いはありません。

耐えて耐えて、必殺のカウンターで相手の息の根を止めるのです。











 ワールドカップアジア2次予選、日本対シンガポール。

シンガポール代表は、バスを停める戦い方を選んできました。

GK、DF、アンカー、MF,FWが、1−4−1−4−1で並びます。

ハーフタイムを超えてボールにプレッシャーには行きません。

背後のスペースを消し、ゴール前をガッチリ固めます。

6月の試合でも活躍した、シンガポール代表のGK,イズワン・マフブード。

当たりまくった彼が、今回もゴールにカギを掛けるべく立ちふさがっていました。

彼のシュートストップの能力は高いですね。

良いポジショニングから、抜群の反射神経。

序盤のスーパーセーブを見た時には、今回も?!と悪夢が思い出されました。











 今回は、3得点を奪うことが出来ました。

この3得点奪えたのは、日本の攻撃のバリエーションの多さが後押ししたでしょう。

ミドルシュート、サイドアタック。

中央を崩すために、細かいところに固執してパス交換をして引っかかる。

わざわざ、相手が待ち構えているところに攻め込んでいく。

1タッチで狭いところを無理やり崩そうとして失敗する。

ここ数年の日本代表の悪い癖です。

一点目は、今回の狙いがはっきり表れたゴールだったのでしょう。

本田が右サイドからクロス、武藤が折り返して、金崎が胸トラップからシュート。

美しいゴールでしたね。









 このゴールをシンガポール代表は、防ぐことは出来なかったのでしょうか?

名GKに頼るだけでは、このシュートを防ぐことは出来ない。

もし失点を防ぐとしたら、DFラインの助けが必要でした。

本田が右サイドからクロスボールを上げた時の、シンガポールDF二人のポジショニング。

ここに修正の余地がありました。

その瞬間、体の向きが悪く、マークを見失っています。

さらに、ここがポイント!なのですが、DFラインの高さです。

ちょうどPKマークの辺りに位置していました。

ゴール前から11M。

言い換えれば、ペナルティエリアの中、5M以上侵入されています。

クロスボールに競り負けた瞬間は、シュートを打たれることに等しい。

その場所が、ゴールから11M以下になってしまうのです。

体の向きが悪く、相手選手を見失い、シュートまで持ち込まれる。

もしそうだとしても、この位置がもう数Mでもゴールから離れていたら!?

GKにシュートを止めるチャンスがあったかもしれません。










 シンガポール代表の守備陣は、バスを停めることに必死になりすぎて、大切なことを忘れていました。

それは、ラインコントロールです。

相手のボールの動き、状態を見て、こまめにラインを上げ下げする。

ここで言うラインコントロールは、オフサイドトラップのことではありません。

オフサイドというルールを活用はしていますが、オフサイドを取ることを目的にはしていません。

ラインを上げ下げすることにより、相手攻撃陣の動きを制限させたいのです。

実際にこの時も、ラインコントロール出来ていませんでした。

本田がボールを受けた瞬間は、DFラインは、ほぼペナルティエリアのライン上でした。

そこから、相手のフリーランニングに引っ張られ、ズルズルとラインを下げてしまった。

一方、本田のドリブルはゴールから遠ざかるように3・4Mボールを運んでいました。

ラインを上げるのならまだしも、下げる必要は無かったはずです。

このラインコントロールのミスが、日本の得点を生んだと言えます。










 最近、ラインコントロールが巧みなチームの試合を観戦しました。

チャンピオンズリーグのベンフィカリスボン対ガラタサライの試合です。

ベンフィカのDFラインは、90分を通して、こまめにラインをコントロールしていました。

そして、相手の攻撃を制限し、入ってきたボールに対して、しっかりとファイトします。

終盤に一人の退場者を出してしまいましたが、守備組織が破たんすることはありませんでした。

ベンフィカの守備を統率していたのが、私のお気に入りのCBルイゾンです。

10年以上もベンフィカでCBを務め、キャプテンマークも巻いています。

ブラジル代表としても40試合以上もキャップを重ねています。

ワールドカップでの活躍がないためか、地味な選手?かもしれません。

彼は、体型的には190センチを超える大柄で、クラッシャータイプと思われがち。

でも、あの繊細なラインコントロールは、ヨーロッパでの10年以上のキャリアの賜物なのでしょう。










 攻撃の選手が、オフ・ザ・ボールの動きで、先手を取る。

ボールを受ける前に、マークを外し、有利な体勢でボールを受けようとする。

それと同じように、守備の選手も、ボールが来る前から勝負は始まっています。

良い準備が勝負を握っているのは、攻撃も守備も共通です。

ボールにファイトし、体を張るだけがDFの仕事ではありません。

ラインコントロールを身につけ、FWとの勝負を有利に運びたい。
posted by プロコーチ at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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