2016年01月06日

技術とは

 今年も、高校選手権が開催されています。

箱根駅伝と並び、お正月の風物詩ですよね。

昔から、サッカーのトップリーグは埋まらなくても、選手権は観客が詰め掛ける。

アマチュアの大会に、これだけの人が注目するのは、独特の文化と言えるでしょう。

そして、いまだに多くの人材を、プロへその多方面に輩出している。

選手権や箱根駅伝の果たしている役割は、大きなものがありますね。










 今回の選手権の1回戦、2回戦で、聖和学園が注目されました。

2014年の第一回全日本ユースU18のフットサル大会の優勝チームでもあります。

狭い局面を苦にしない。

それどころか、あえて狭いエリアで勝負する。

ボールをハンドリングする能力の高さは、チームこだわりなのでしょう。

曲芸のようなボールコントロールを見せてくれる動画も、有名です。

1回戦の野洲高校を7対1で撃破。

2回戦は、青森山田高校に大差をつけられ、0対5で敗戦。

それでも、2試合とも、試合会場の三ツ沢が溢れかえるくらいの、人気のチームでした。










 なぜ、そこまで注目され、人気になったのでしょうか?

日本人が「技術がある」と思うプレーを、たくさん見せてくれるからではないでしょうか。

日本人が、「上手い」「技術がある」という際に多くは、ドリブルとリフティング。

様々なタッチやフェイント、リフティングの回数に技。

最近では「ジンガ」と呼ばれ、連続したボールタッチを操ることも、ここに入ってきます。

(ちなみにこれは、本来のジンガではありません。)
(日本においてだけ使われる言葉で、ブラジルのGINGAとは、まるっきり別物)

実戦で、ここまで堂々と、ボールを操れるのは、積み重ねの賜物。

相当の努力をしたことが、目に浮かびます。

そして、会場では、「オー」「上手い!」など歓声が聞こえます。








 

 ブラジルで10年を過ごした同僚は、彼らについて、こう、評しました。

「相手をなめた足技ばかりしている。」

「もしブラジルのチームと対戦したら、数名壊されて没収試合だね(笑)。」

南米の試合では、ボールを持った選手を、自由にさせてくれません。

相手を浮き球で抜く、またを通す、足裏でこねる。

このようなプレーをすると、観客が湧きます。

ただし、無事には終わらないケースも多々あります。

次の瞬間、真後ろからになったとしても、やられたDFは削りに、潰しに行くでしょう。

ドリブルやフェイントの対応に慣れた南米のDFを抜くのは、簡単ではありません。

粘り強く対応され、体をぶつけられ、最後は削りに来られます。

それが、彼らの文化です。

だから、ブラジルでプロとして何シーズンも活躍した同僚は、違和感を感じたようです。

それは、客席の反応を含めてです。












 私もまた、違和感を感じました。

少し違う部分です。

それは、聖和学園のボールハンドリングが、技術のトップであるかのような評価です。

決して、彼らのボール扱いを低く見ているわけではありません。

あのレベルに達するまでの努力には、並大抵ではありません。

彼らには、本当に敬意を払いたいと思います。

でも、ボール運びや、フェイントだけが技術ではないですよね。

ストリートや舞台で見せる、大道芸。

フットボールのピッチで見せる、技術。

一番の違いは、相手がいて、味方がいて、ゴールがある中で、技術を発揮するかどうか。

もちろん、判断も伴いますし、状況の変化にも対応しなくてはなりません。

自分がこのプレーをしたいから、というのでは、フットボールからは遠ざかってしまう。











 野洲高校が優勝した2006年。

幸運にも、決勝戦をスタンドで観戦していました。

鹿児島実業から奪った決勝点は、フットボールそのものの要素が詰まっていました。

低い位置でボールを奪って、カウンターアタック。

ショートパスを数本つないで、40〜50Mの低い弾道でサイドチェンジ。

ボールを次のプレーに向かって、コントロール。(乾選手)

そのままボールを運びながら、クロスオーバーランした選手にヒールパス。

さらにつないで、中にグラウンダーで折り返して、中央で合わせる。

延長の後半に、止める、蹴る、運ぶ、全ての精度の高さ。

そして、全てが走りながら、動きながら行われている。

このゴールは、まさに、「技術が高い」と呼ぶに相応しいものではないでしょうか。











 今回の選手権にも、彼らを凌駕する技術を持った選手が、何人もいたからです。

例えば、市立船橋のセンターバックの4番が、グサッと入れる低い縦パス。

同じくイチフナの11番のセットプレーのキックの精度。

キックの精度で言えば、東福岡の10番のキックも素晴らしい。

応援席からは、「レーザービーム」という掛け声が掛かっていましたが、その通りの素晴らしさ。

大津高校の9番、東福岡の9番。

9番がふさわしい、背中で相手を背負ったままでも、ボールを収める能力。

桐光学園の9番は、ターゲットマンであり、ストライカーでもありました。

サイドからのクロスには、様々な種類の入り方、合わせ方が出来ています。

高校年代で、これだけ多くの種類を高いレベルで、自分の形を持っている。

かなりのレベルの高さを感じさせてくれました。










 攻撃の面だけを見ても、これだけの素晴らしい技術の持ち主がいました。

私が見落としているだけで、まだまだ、素晴らしい技術の持ち主もたくさん活躍していたのでしょう。

ボールを蹴る、止める、シュート、ヘディング。

これらも、間違いなくフットボールの技術ですよね。

これらを身につけるためにも、たくさんの積み重ねがあったことでしょう。

本当に、高い技術を持った選手。

試合で使える技術、つまり自分の武器を持った選手が、何人もいました。

ここを、見落としてはならないはずです。

posted by プロコーチ at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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