2016年02月06日

優秀なスペアタイヤ

 多くの車は4輪で走っています。

何事も起きなければ、ずっとそのまま。

点検などで「替え時ですよ。」と言われて、履き替える。

また、4輪で走っていく。

まれに、トラブルが起きます。

道路の釘を拾ってしまった、溝に乗り上げた、いたずらされた!?。

パンクしてしまい、身動きが取れなくなってしまいます。

その時のために、車には後部にスペアタイヤが積まれていますよね。

私も何度かお世話になったことがあります。

普段は必要ないのですが、トラブルを最小限の損失に抑える。

ミスを感じさせず、助けてくれる。

それが、スペアタイヤ。









 オリンピック予選を兼ねた、AFCU-23選手権の決勝。

永遠のライバルである、韓国との対決でした。

先取点を奪われ、追加点を決められ。

「どうせオリンピック出れるから」と言い訳しながら、テレビを切ろうとしませんでしたか。

私も危うく、信じきれずにテレビを消してしまいそうになっていました。

それくらい、韓国は素晴らしい試合を展開していました。

敗れた韓国の監督が「3失点以外は完璧だった」とコメントを残しました。

内容では日本を圧倒し、3〜4ゴール差で勝つ内容とも語っています。

これを聞いた日本の論調は、言い訳が過ぎる!とのこと。

私は、意外に的確な分析だと思っています。

実際に、試合全体をコントロールしていたのは、韓国でした。

それでも、最後に勝ったのは日本ですから、フットボールというスポーツは難しい。









 韓国の試合を支えたのは、6番のアンカー、パク・ヨンウでした。

彼の存在は、全く目立ちません。

派手なプレーとは無縁な、中盤の底を支える黒子役。

ボールを受けて、散らす。

また受けて、散らす。

ドリブルや、ワンツーで突破していくシーンは皆無。

ただただ、受けてボールをはたくことを繰り返す。

韓国の選手は、彼の価値は分かっているはずです。











 最終ラインと前線・中盤とをつなぐリンクマン。

局面が詰まりそうになったら顔を出し、ボールを受け逆サイドに展開。

最終ラインに落ちてボールを引き出し、展開すると、中盤に戻っていく。

彼のポジショニングを見ていると、攻撃の危険察知能力のようなものを感じます。

どこが危うくなりそうなのかを、常に察知する能力です。

まさに、組織のスペアタイヤとして働き続けました。

役割で言うと、2008年のユーロを制したスペイン代表のマルコスセナ。

バルサのセルヒオブスケッツが担っている役割を、見事にこなしています。

彼より前の選手が伸び伸びとプレーできている。

彼より後ろの選手が困らずに、ボールを出せている。

それは、トラブルを未然に防ぐ、スペアタイヤが常にあるから。










 しかも、日本のシステムは、彼を捕まえづらい形になっていました。

韓国の中盤中央は3枚の逆三角形で、低い位置に6番パク、高い位置の2枚が7番8番。

高い位置の7・8番のインサイドハーフを、原川と遠藤が見る。

さらに前のセンターバックをオナイウと久保が見る。

その間に位置するアンカーの6番パクがエアポケットのように、フリーになりやすい。

ここだけを見ると日本は2-2のボックスのような形。

対する韓国は、サイコロの目の「5」のように配置されています。

するとど真ん中の位置はフリーになりやすい状況が、常に生まれてしまっていました。

システムのかみ合わせからしても、スペアタイヤとしての役割を果たしやすい状況。

ここをどのように対応するのか?と思っていましたが、いつまでたっても放置?

うーん、あえて何もしないのか、それともベンチの指示を選手が遂行出来ていないのか?

理解に苦しむ状況が続きました。

ちなみに韓国は、意図的なロングボールをサイドバックの後ろに入れてきました。

DFラインを下げさせ、日本のコンパクトな陣形を間延びさせる狙いがあったはずです。

そのロングボール作戦もあり、余計に中盤を支配されやすくなっていましたね。










 優秀なスペアタイヤがいれば、中盤を構成するのが楽になります。

目立つ訳ではないのですが、なくてはならない存在です。

リズムのよいパス交換で攻撃を組み立てていた、韓国代表。

彼らを支えた存在が、ピッチの中央に君臨していたのを忘れてはなりません。

posted by プロコーチ at 02:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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