2016年06月17日

失点シーンを分析

 惜しくも1対2で敗れた、キリンカップ決勝戦。

ボスニアヘルツェゴビナは、良かったですね。

願っていた通りの、私の好みのチームでした。

ビッグネームは、欠けていたかもしれない。

やる気のない名前だけの選手よりも、やる気にあふれた選手。

目の前の相手に対して、ボールに対して執着心を出す。


勝負にこだわる対戦相手は、テストマッチにおいて、本当にありがたい存在でしょう。










 2失点ともに、ディフェンスラインの責任を問われています。

特に、吉田麻也。

現象だけを見ると、彼のプレーに問題があったように見えてしまいます。

例えば、1失点目。

彼が背後のヘディングに競り負けて、ヘディングシュートを打たれる。

こぼれ球を決められて、ゴール。

2失点目は、マークについていたジュリッチ選手にシュートを決められる。

先ほどとは違い、今度は地上戦で後手を踏んだ形です。









 吉田麻也の能力の低さ、試合勘の無さが失点につながった。

まるで、敗戦の責任者のような言われ方です。

こんなことを、語ったり、信じている限り、日本の守備力は上がらないでしょうね。

本当に、残念な論調です。

目の前の、目立つ現象だけを取り上げて、そこに責任を集約させる。

例えば、パスが通らなかったという現象。

すると、ボールを蹴った出し手が目立ちます。

「しっかりパスを出さないからだ!。」

まさか、それだけが、パスミスの原因だとは思いませんよね。

パスには出し手もいれば、受け手もいる。

そして、周りで動き出している選手がいる。

パスミスという現象の幾つか前に、ミスの原因が潜んでいる。

それと同じように、守備の場合も考えてほしい。

失点の原因は、守備が組織されていないこと。

組織が崩壊し、個人がさらされてしまった。

吉田が後手に回ったから、その理由だけで失点になったのではありません。








 例えば、1失点目。

失点シーンでは、たくさんの選手がミスを犯しています。

原因となる、直さなくてはならないプレーが、あちこちで見られました。

まず、長友選手。

ロングキックが出されそうになったら、半身の態勢を取り、DFラインを下げ始める。

それは、ボールホルダーのボールの持ち方や、フォームから予測します。

この時、受け手となる選手が、背後へのランニングを狙っているかも観察です。

長いボールを蹴られた時には、すでに自分たちの背後のスペースに向かったランニングをしている。

この個人戦術が、取れていなかった。

映像で確認しましたが、4人中、長友選手一人だけ、遅れてしまっています。

結果、日本の左サイドに、スペースを与えてしまいます。


 続いて、森重選手と長谷部選手。

二人が、ヘディングのこぼれ球に、同時に反応してしまっています。

ボールは、DFラインの前、中盤のラインが担当するスペースに落ちました。

正直、どちらがボールに向かっても、守り方はあったと思います。

でも、ここでは、二人がボールを拾ったジュリッチ選手に寄せています。

その結果、森重選手が元々いたスペースが、空いてしまった。

吉田選手と酒井選手との間にギャップ(裂け目)が生じてしまったのです。

二人でコミュニケーションを取り、どちらかが最終ラインに入れなかったのか?!




 酒井選手。

こうして、ギャップが生まれてしまったのに、無関心。

外の選手をマーク。

つまり、自分の目の前の選手のマークに、重きを置いてしまった。

そうすると、ギャップは解消されないままです。





 そして、問題のシーンになります。

ペナルティエリアの外、ゴール正面30Mから、ラストパス。

ふわりとコントロールされ、絶妙のボールが、最終ラインとGKとの間に入ります。

この瞬間、まさかの事態が起きています。

ゴール中央で、正しいポジションを取っているのが、吉田選手ただ一人。

長友、酒井選手の両サイドバック。

センターバックの相棒である森重選手。

誰一人、いないという、あり得ない状況なのです。




 そのためか、吉田選手はボールが蹴られる寸前に、ポジションを移動します。

中央寄りに、2歩ほどズレました。

これは、酒井選手とのギャップを埋めるため。

中央に絞るポジションを取ったのです。

結果として、この2歩が命取りになりました。

その裏にボールが出されたため、吉田選手はボールを触ることが出来ませんでした。

でも、この2歩は、DFなら当然の行動です。

仮に、もう一度このシーンが起きても、2歩絞ってポジションを修正すると思われます。




 最後のミスは、森重選手です。

自分のポジションから飛び出してまで、ジュリッチ選手にマークについた。

はずだったのですが、最後の瞬間では、マークについていません。

おそらく、自分のポジションに戻ることを優先したのだと思われます。

守備者としての嗅覚を存分に働かせて欲しかった。

ポジションに戻ることより、相手を抑えることを優先して欲しかった。

ゾーンのDFを知ってるだけに、森重選手は、このような行動をとりました。

このプレーもミスとは言い難いのですが、原則を破ってでも、最後までマークする選択肢はなかったのでしょうか。






 ちなみに、ラストパスが出た瞬間の枚数はどうなのでしょうか?

相手の攻撃のほうが枚数が多いのでしたら、エラーも起こりがちです。

日本の守備陣はフィールドが7人+GK。

一方のボスニアヘルツェゴビナの攻撃は、たったの5人。

これで、崩されてしまうのですから、問題は大きいですね。

試合後に、吉田選手が、言葉を選びながら、コメントしていました。

「最後のところでは競り勝たなきゃいけないけど」

「その回数を10回から8回、7回に減らすことによって確率も下がってくる。
また、そういうボールを出させないのも技術の1つ。
そういうところをやってかないとフィジカルだけでは僕らは難しいのかなと」

この言葉を、責任逃れからくる、言い訳ととってしまうか。

それとも、守備組織の向上を、守備への理解を求める、真の声だととるか?

どう思いますか?

一度、巻き戻して、この失点シーンを分析してみてください。

単純に競り負けたのが、悪い。

そのような分析結果を出してしまうのは、私は賛成できません






posted by プロコーチ at 01:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック