まだまだムラがありますが、いい選手です。
昨年までは、母国のベンフィカでプレー。
まだ、18歳の青年です。
既に、チャンピオンズリーグでも大活躍。
個人的に、昨シーズンは、ベンフィカに注目してました。
ベスト8に進出したクラブを、中盤で支えていました。
見た目が派手なので、勘違いされるかもしれません。
実は、とても堅実で、真面目。
生まれ持った何かに頼る選手ではありません。よくトレーニングされた選手です。
ボールを止める、蹴る、運ぶの技術が高い。
ボールを受けるために、相手DFを確認。
スペースを探しながら、ボールを要求します。
止める技術が高いので、DF間の狭い場所でも問題無し。
ボールを出して、そのまま止まらずに走る。
スペースがあれば、グンと持ち出して行きます。
現地で見ると、彼が、トレーニングされた選手だと分かりました。
戦術理解度が高く、遂行能力も高い。
右足が利き足だと思います。
でも、相手との距離や、寄せ方に合わせて、使う足を変える。
右足でブロックしながら、左足でプレー。
利き足だけに頼っていると、選択肢を減らしてしまう。
先制点は、右足でトラップ。
相手が右足側からプレッシャーに来る。
ファーストタッチで、左足の前に置く。
そのまま、迷うことなく左足を振り抜き、ゴール。
両足を高いレベルで使いこなせ!
そのような指導を受けて育ったはずです。
ポルトガルは、前後半で、中盤を変えて来ていました。
前半は流動的に、ポジションを変えていました。
4人が、中央寄りでプレーし、サイドのスペースを空けていました。
ダイヤモンドのイメージでしょうか。
サイドのスペースは、オーバーラップしてくるサイドバックが使う。
レナトサンチェスは、右寄りでプレー。
ただ、この作戦が全く機能しない。
両サイドに、常に2枚の枚数をかけるポーランド。
ポルトガルは、サイドに人を配置していない。
サイドの攻防で、ポルトガルは常に後手に回ってしまった。
ポーランドの先取点は、ミスもありましたが、その典型。
ちなみに、ポーランド。
10番のクリホビアクがビルドアップの鍵。
味方のセンターバックの間に、落ちる。
センターバックを開かせます。
そして、両方のサイドバックを高い位置につかせる。
サイドを崩して、中央の二人に点を取らせる。
レバンドフスキーと、ミリク。
チームのストロングポイントを最大限に活かす。
後半、ポルトガルは、中盤の構成を変更。
戦い方も変更。
4人がフラットに並びました。
サイドバックとサイドハーフとの連携を高めました。
サイドの二人が、縦関係を強化しました。
この作戦変更が、大当たり。
サイドのスペースを埋め、バランスが良くなりました。
レナトサンチェスは、左にポジションを変えました。
流動的な動きはしません。
タッチラインいっぱいに開く。
開いてボールを受けて、攻撃の起点になる。
サイドバックと連携してサイドの攻防で有利に立つ。
前半とは全く違うタスクを平然とこなしていました。
彼、レナトサンチェスの気持ちの強さを感じるシーンが2つありました。
1つは、先制点のシーン。
その直前に、右サイドからクロスを上げています。
比較的、余裕があったのですが、精度が低く、クリアされました。
すると、中に走り込んでいた、キャプテン・クリスチャーノロナウド。
激しい形相で、叱責しました。
「なんだ!そのボールは!!」
「もっといいボールを上げろ!」
とでも、叫んでいたかのようです。
すると、さらに、ベンチからも叱責されるレナトサンチェス。
こちらもまた、強い口調で言われていました。
単なる指示を受けていた様子ではありません。
彼の気持ちの強さが見えたのは、この時です。
この後、すぐに、先制点が生まれます。
冷静に、豪快に、同点に追い付くシュートを叩き込みました。
すると、ベンチを指差しながら、叫んでいます。
「見たか!!」
そして、クリスチャーノロナウドとも、ガッチリとハグ。
その堂々とした態度。
18歳には、見えませんでした。
もう1つは、PK戦のシーン。
2番手のキッカーとして登場。
ポーランドサポーターが待ち構える、目の前。
サポーターが地面を踏みつけて、スタンドを揺らします。
ブーイングに口笛を、容赦なく浴びせます。
彼は、顔色1つ変えず、平然としていました。
左の上隅に、強烈に決め、サポーターを黙らせたのです。
彼は、18歳にして、プロの競争の場に、身を置いています。
世界で最もレベルが高いとされる、チャンピオンズリーグにも出ています。
もう、一人のプロ選手として、競争をしているのです。
周りの、大人たちも、あえて厳しく求めているのでしょう。
「もっと出来る」
「それではダメだ」
有望だからこそ、厳しく接する。
そして、彼自身も、それに応えていく。
こうして、成長していくのでしょう。
伝統ある国は、選手の育て方を知ってますね。
勘違いから、潰れてしまった選手など腐るほどいるでしょう。
レナトサンチェス。
今後、彼は、どのような選手に育って行くのでしょうか?
単な良い選手で終わるのか。
それとも、伝説的な選手に登り詰めるのか。
まずは、試合中に消える時間帯を減らさなくては。
とにかく、楽しみな選手の一人です。