2016年07月07日

プラン変更

 今シーズンのチャンピオンズリーグ マンチェスターシティ対ユベントス。

グループリーグでの戦いですが、覚えてますか?

ホームのマンチェスターシティが先取点。

その後も、主導権を握るのは、シティ。

パスをつなぎながら、様々な角度から、ゴールを目指していきます。

シティでパスをたくさん出しているのは中盤の選手。

中盤を起点とし、攻撃を組み立てていることが、分かります。





 一方のユベントスの中盤は、組み立てへの関与が少ない。

ボヌッチ、キエッリーニ、センターバックの二人が一番ボールに触っている。

DFラインではボールは持てるものの、それより先に前進していくのには苦労している。

かなり、不利な状況でした。

イタリアのクラブらしく、ユベントスは動じません。

我慢して我慢して、チャンスをうかがう。

ポゼッションで上回れても、シュートをたくさん打たれても動じない。

終わってみれば、2対1で逆転勝利。

ゴールは、マンジュキッチに、モラタ。

試合終了のホイッスルが鳴った時、イタリアのクラブが勝っている。

これぞイタリア!ともいうべき、試合の一つでしょう。









 ユーロの準決勝。

イタリア対ドイツも、そのような試合でした。

先取点は、ドイツ。

ドイツも相手の良さを消すために、自らの形を捨てた試合。

どちらもが、失点をしたくない!試合での先制点は、大きな意味を持ちます。

その後も試合は、膠着状態が続きます。

何とか、イタリアが相手のミスからPKを決め、同点に追いつきます。

が粘りもここまで。

PK戦をドイツが制し、準決勝に進出を決めました。






 先ほどの試合と、何が違うのでしょうか?

違いは、単純に攻撃陣のタレントの違いでしょう。

イタリアのタレントは、中盤から後ろに偏っていました。

ブッフォン、ボヌッチ、キエッリーニ。

さらにユベントス勢が、バルザーリ(CB)ストゥラーロ(MF)。

コンテ監督の分身たちが、後ろを固めて失点を増やしません。

特にゴール前の中央は、アリの入る隙間もないのではないか?

とにかく、中央をがっしりと固めていました。

中央をがっしりと固め、カウンターとセットプレーでゴールを目指す。

ですが、先ほどの試合でゴールを挙げたユベントスの選手を思い出してください。

モラタ、マンジュキッチ。

スペイン代表に、クロアチア代表。

加えるなら、マンジュキッチにスーパーなのアシストを出したのが、ポクバ(フランス代表)。

イタリア代表には、違いを出せる選手も、一人で決めれる選手もいませんでした。

8人でブロックを組み、前の2人でコースを切りながら前進を阻む。

そして、2トップ+サイドの2枚でゴールを目指す。

当初のプランは予定通り遂行したのですが、勝つことは出来なかった。

つまりイタリア代表は、守り続けることしか、決め手となるプランとしては持っていなかった。

守り続けるだけといっても、かなり難易度の高いミッションです。

上下のラインコントロール、左右のスライド、ゾーンを離れて人をつぶすタイミング。

イタリアの守備は、守備の勉強にはもってこいの教材です。





 対戦相手、世界チャンピオンである、ドイツ代表。

彼らは、戦術的にも柔軟でした。

まずは、相手の良さを消すために、システムを変更。

得意の4バックから、3バックに変更。

これは、相手の2トップに対して、プラス1枚の形を残して守るため。

さらに両サイドのウイングバックにも、守備の役割を持たせます。

イタリアの両ワイドで攻撃に絡んでくるウイングバックを封じ込める。

彼らに攻めあがるスペースを与えません。

さらに3バックにすることで、攻撃から守備の切り替わりも意識していたはず。

中央に常に、一枚選手がいる。

いつもの4バックなら、2枚のCBがサイドに大きく開いて、ビルドアップを行います。

このことで、両サイドバックに高い位置取りをさせています。

ただし、ボールを奪われてすぐの瞬間に、ゴール前が手薄になってしまう。

そのリスクを排除するという意図もあった、と考えられます。








 何か手を打てば、何かが犠牲になります。

この3バックプランによって、攻撃にかける人数が少なくなりました。

特に、サイドでの崩し。

中央には人はいるのですが、サイドまでは手が回らなくなった。

ウイングバックが高い位置でボールを持っても、選択肢が少ない。

クロスを上げるか、後ろ、横に戻すか。

サイドからの崩しに、工夫が足りない。

クロスの質も高く、中で合わせる人もいるのですが。

中央で跳ね返すと決めているイタリアは、動じません。

ドイツの攻撃は、イタリアに対して脅威を感じさせることが、できていなかったのではないか。










 そこで、後半、ドイツは手を打ちました。

システムを変更し、ディフェンシブハーフの枚数を1枚削ります。

トニクロースとシュバインシュタイガー(ケディラ負傷交代により)の2枚で構成していた前半。

安定はしていましたが、横パスをつなぐだけで、怖くない存在に成り下がっていた。

監督は、ここに手を加えます。

シュバインシュタイガーを1列高い位置に上げ、エジルと二人でオフェンシブハーフに。

1トップを2トップに変更です。

オフェンシブハーフを2枚に増やすことで、飛び出していく選手を増やす。

2トップに変更することで、1枚がサイドに流れやすくなる。

ただし、人を並べ替えただけでは、絵に描いた餅です。









 ここで、攻撃の新たなオプションを授けました。

(実際に聞いてはいないので、私がスタンドから観た分析ですが)

サイドの高い位置で味方がボールを持った時に、1枚がボールに関わる。

横につくだけでなく、追い越す動きをいれること。

中から、ボールホルダーの前を走り抜けるインナーラップラン。

外からボールホルダーを追い越していくオーバーラップラン。

この動きを加えることで、サイドを崩す。

後半に入った途端、この追い越す動きが増えました。

これほど繰り返すということは、明確なチームとしての意図を感じます。




プランはさらにその続きがあります。

サイドを崩すのが目的というよりも、目的はさらにその先。

中央を固める、センターバックを引っ張り出したい。

サイドを崩された守備陣は、中央から選手がカバーに出てくるでしょう。

ここでようやく、分厚い守備の固まりに穴を開けることが出来るのです。

ゴールは、まさに、この形から生まれました。

イタリアのミスが絡んでいるので、そこが目についてしまいます。

ポイントは、そのミスでなく、ドイツの後半からの攻撃のオプションに目をつけるべきでしょう。










 ドイツ代表は、いきなりプランBからキックオフを迎えました。

イタリア対策です。

そして、試合の中で、プランCに変更してきました。

それを柔軟に対応できるチームとしての完成度の高さを感じます。

まるで、通年活動している、ひとつのクラブチームであるかのようです。

バイエルンミュンヘン勢(4人プラス前所属3人の7人)が中心になっていること。

育成世代から共に時間を過ごしていること。

分かり合っている者同士だからこそ、このプラン変更にスムーズに対応可能。

何とも完成度の高いチーム。










 少しだけ、アイスランド対フランスの試合にも触れておきます。

大旋風を起こしてくれた、アイスランド。

彼らの戦いを楽しみにしていました。

彼らも、プランAしか持っていなかった。

先制点を早い時間で奪われて、ずるずると失点を重ねる。

フランス戦は、かなり期待して観ていたのですが、少し残念な結果でした。

フランスに対して、尊敬しすぎたのか?

ベスト8に進出したことで、満足してしまったのか?

それとも、5試合目を戦うだけの、体力が無かったのか?

ボールにもっと厳しく行きたいのでしょうが、寄せきれない。

守備の形は綺麗に整っているのですが、そこまで。

グループリーグで見せた、あの鬼気迫るボールへの執着心が感じられませんでした。

綺麗な攻撃、整った守備で相手に立ち向かっては、力の差が出てきてしまう。

開始数分で、フランス代表は分かってしまっていた。

この試合は、余裕で行けると。

余裕を感じさせてしまうのは、今までのアイスランドでは無い。






 フランス代表。

かなり心配になりました。

体力的には、かなり楽になったはずです。

アイスランド戦の後半は、流しながらプレーしていました。

延長、PKまで戦ったドイツに比べると、疲労は蓄積していないはずです。

気持ちが切れていないかが、心配です。

90分を通して、リラックスして試合をこなしていました。

まるで、親善試合かのように、真剣度は感じられませんでした。

一度、緩まったチームの緊張感を、絞め直すことができるのがどうか?

緩んでいる証拠に、後半は2失点、得点は0。

ドイツ戦までの4日間をどのように過ごすのかで、彼らの運命が決まるでしょう。
posted by プロコーチ at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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