2016年08月17日

ブラジル全国選手権2016

 「ゴーール!」

わがチームが得点を決めると、立ち上がり、抱き合って、喜び合う。

大きな声で叫び、飛び跳ね、スタジアム中が興奮に包まれます。

選手も、サポーターの声を体中で感じ取り、喜びを共有しています。

逆に、点を奪われると、人っ子一人いないかのように、静まり返る。

スタジアムが静寂に。

感情を素直に表現しています。

喜びを爆発させ、悲しみに打ちひしがれ、ミスジャッジへの怒りをぶつける。

指導者研修、選手の引率でブラジルのクラブに滞在中、試合観戦をさせてもらいました。

ブラジル全国選手権ブラジレイロンの1部リーグの試合です。










 プレーしている選手は、気持ち良いでしょうね。

自分のプレーで、何万人ものサポーターを興奮させる。

幸せな気持ちにさせる。

得点で喜ばせるだけが、プレーヤーではありません。

気の利いたカバーリングに、激しいスライディングタックル。

守備の好プレーでも、スタンドから拍手や口笛が広がります。

これは、守る甲斐がありますね。

攻守すべてにおいて、サポーターを喜ばせることができるのですから。

まるで、ピッチの中と、周りとで、会話をしながら試合を進めているかのようです。












 ブラジルのスタジアムは、危険だと言われます。

私の今回訪れたスタジアムも、あまり治安のよろしくない地域だそうです。

行く前に、クラブのスタッフから注意がありました。

「カバンは置いていけ、必要なものだけをポケットに入れるように。」

「シューズの紐を結ぶように、かかとを踏まれて、走れなくなるぞ。」

(自分達が試合に出るわけではないのですが、とっさに動けないと困る事態を想定してくれたのでしょう。)

かなり入念なボディチェックをされました。

国際試合レベルの、ボディチェックでした。

おかげで、スタジアムに入ると、安全な空間でした。

よちよち歩く小さい子供を、連れて来ているお父さん。

何十年も見守り続けているであろう、おじいさんと、おばあさんが仲良さそうに。

若い女性がサポーター集団に混ざって、盛り上がっていました。












 フットボールを通じて、その国を深く知ることができる。

私は、そう信じています。

ピッチの中で起こることもそうですし、ピッチの周りでもそうです。

その国の人々が何を考え、何に価値を持って暮らしているのか。

ですから、ブラジルと日本とを比べてどうこう、と言いたいわけではありません。

彼らには、彼らの考えや価値観がある。











 ただし、我々は、まだまだ彼らに学ぶことがたくさんあるのも、事実です。

プレーでは、地味ながらも、ハイレベルな駆け引きが多数繰り広げられていました。

例えば、浮き球を、攻撃側の選手が、ワンタッチでプレーしようとしている。

対応する相手DFはむやみに飛び込まない、だけではありません。

頭脳を高速回転させて、数秒後の予測をしていました。

ボールの飛んできた方向、体の向き、DFの位置などから、ボールをさばくであろう方向を予測。

サッと、先に動いて、インターセプトしようとするのです。

さすがの彼らも、浮き球なので、プレーが予測しやすいのでしょうね。

何度も、この方法で、ボールをインターセプトする賢い守りをする選手たち。





 ところが、さらにその上を行く選手もいます。

相手DFが先に動いたのを見る。

もしくは、そっちに出すよ、的な空気を出して、相手DFを動かす。

それを見極めて、さらに違う場所にボールをコントロール。

良く、ギリギリまで見て、判断して、実行と言います。

南米、ブラジルの選手は、局面において、相手の選手を見るのが得意ですね。

大局を見れない選手も、少なからずいます。

でも、局面で、目の前の相手選手を見れない選手はいないと思います。

このような、攻守の局面での駆け引きが、あらゆる場所で繰り返される。

地味ですが、ブラジルらしい、光景でした。












 見せかけの、大げさな技を出す選手は、ピッチ上にいません。

技術を技術をと声高に叫び、サーカスのようなボール扱いを求める。

そのような技術よりも、もっと大切なものがあるのではないでしょうか。

体や、腕を使ってボールを相手から遠ざけるプレー。

相手の状態が悪いと見るや、一気に襲い掛かるようにボールを奪いに行くプレー。

ボールを奪われたら、どこまでも、奪い返しに行くプレー。

味方のシュートコースを作るために、ブロックで相手を抑えるプレー。

地面のボールも、空中のボールも、シュートやパスの選択肢を増やすために、様々な回転をかける。

これらのプレーは、是非、日本の育成年代の選手にも身につけさせたい。

知っているかどうか、アイデアにあるかどうかで、選手のプレーの幅も違うことでしょう。










 今回の観戦では、心が揺さぶられました。

それは、指導者としてだけではなく、一人の人間としてもです。

今後の進む道での、きっかけになるかもしれない時間でした。
 
posted by プロコーチ at 05:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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