2016年12月15日

モップ貸しください。

 なでしこVISIONを知ってますか?

日本サッカー協会は、大きく3つの目標を持って活動しています。

・サッカーを女性の身近なスポーツにする。

・世界のトップクラスであり続ける。

・世界基準の「個」を育成する。

この3つを目標に掲げ、日本女子サッカーを盛り上げようとしています。

なでしこVISIONは、まだまだ知られていない。

実際に、女子の指導者講習会であっても、知っているコーチは、少数派。

まだまだ、マイナー感がぬぐえない?!








 現場で指導、運営にあたっている方々は、本当に苦労されながらも、取り組んでおられます。

私も女子サッカーに携わっていますが、たかだか16年。

まだまだ、修業が足りません。

インストラクターの方が、昔話をしてくださいました。

30年前に、千葉の検見川で、日本女子代表の合宿があったそうです。

当時は、女子サッカーは、それどころか、サッカー自体がマイナースポーツ。

この時の、女子代表の選手たち。

受付で、参加費を支払わなければならなかった。

代表合宿で呼ばれたにもかかわらず、参加費、宿泊費、食事代を徴収される。

仕事を休んできたメンバーは、会社を休まなければならない。

代表に呼ばれることは、かなりの負担だったようです。

よほどの覚悟がないと、やっていけません。

それに比べると、相当、女子サッカーの環境は良くなってきていますね。

まだまだ取り組むべき課題は多いのでしょうが、30年の歩みは、すごいですね。










 日本サッカーは、育成にも力を入れています。

若年層の育成、代表の強化、指導者養成。

三位一体となって、前に進んでいっているのは、有名な話です。

それは、男子も、女子も変わりません。

その中で、女子特有の問題にも取り組んでいます。

なかなか、すべきことが多くて、大変ですね。

その一つの成果として、2011年にワールドカップを制した。

そして、五輪でもファイナリストになった。

世界のトップクラスにあり続けるのは大変ですが、大いなる成果ですよね。










 私は、今年も、ナショナルトレセン女子の指導者講習会に参加させてもらいました。

10年以上前から、毎年毎年、参加させてもらっていると、様々な発見があります。

今回も、トレーニング見学、実技講習、指導実践、教室での講義など、盛りだくさん。

インストラクター役のコーチからの指導、そして発見、再確認、仲間との議論。

一つ一つが、自分を高めてくれます。

特に、二日目に開催された指導実践。

普段、自分の指導を、見て、講評をもらうことはあまりありません。

耳に痛い講評もあるかもしれません。

それも含めて、よい学びの場なのです。











 今回の講習会で、とても素晴らしいエピソードを教えてもらいました。

ヨルダンで開催された、ワールドカップ女子U17でのことです。

日本は、前回大会のチャンピオン。

この世代の世界王者として、大会に臨みました。

なでしこは、順調に勝ち進みました。

グループリーグでは、米国も倒し、3連勝。

ノックアウトステージに入っても、イングランド、スペインと難敵を倒していきます。

試合の映像も見せてもらいましたが、気持ちのよい戦いでした。

全員が攻撃し、全員が守備をする。

本当に全員がハードワークを続けています。

その中でも、ただ走るだけでなく、動きながら技術を発揮する。

足元でこねる技術でなく、ボールを動かすコントロール(トラップ)からパス。

ゴール前で複数人が関わり、コンビネーションを用いて、相手を崩していく。

見ていて気持ちの良い試合を展開していきます。

6試合で19得点、2失点。

試合を重ねるごとに、なでしこに対する応援の声が増えていったそうです。

ヨルダンの国旗を振りながら、なでしこを応援してくれたとのこと。

決勝では、北朝鮮に残念ながらPKで敗れてしまいましたが、一番人気のチームだったそうです。

試合で反則が少なかったのは、もちろん。

試合後、対戦相手の一人一人と握手をして、健闘をたたえあう。

こういった姿が、共感を呼んだ。












 ヨルダンは、中東に位置します。

ヨルダンで、女性の世界大会を開催するのは、初めて。

女性が人前でスポーツするのは、一般的ではない地域。

その中で、なぜ、なでしこジャパンが人気になったのでしょうか。

彼女たちの人気が増していったのは、ピッチ内のパフォーマンスだけではなかった。

ヨルダンには、シリアからの難民が、たくさん流入している。

その難民との交流を、大会中でありながら、3回も行った。

彼女たちは、それだけではなかった。

さらには、試合後、運営スタッフに、お願いに行ったそうです。

「モップを貸してください、ほうきを貸してください」

自分たちが使った控室を、自分たちで掃除をした。

自分たちが入った時よりも美しくして、帰ることを繰り返したのです。

ヨルダンでは、自分たちで掃除をしないのが、習慣。

使う人と、掃除するのが分かれているのが、常識だそうです。

その中で、自分たちでモップを借りて掃除をするなでしこジャパン。

当然のようにしているその姿。

小さいながらも、尊敬を集めた。

その結果として、フェアプレー賞を受賞しました。

ピッチの中、周り、外。

その全てにおいて、フェアプレー賞に相応しい、それがなでしこジャパンだったのです。










 この話を聞いて、とても誇らしい気持ちになりました。

自分が何かをしたわけではないですが、同じ日本人として、本当に誇らしい。

U17の彼女たちが、当たり前のように、尊敬を集める行動がとれる。

日々接している、指導者や、親御さんの努力のおかげなのでしょうね。

先ほど紹介したなでしこVISIONは、次の言葉で締めくくられています。

「なでしこ」らしく「ひたむき、芯が強い、明るい、礼儀正しい」

「なでしこ」らしい選手になろう!

「なでしこ」らしい選手を育てよう!
posted by プロコーチ at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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