2017年02月15日

サッキとカペッロ

 1980年代の後半から、フットボールの歴史が変わりました。

ACミランを率いたアリゴサッキ監督。

彼が、ボールを奪うための守備、そして守備と攻撃とを連続的に行う。

オフサイドトラップを活用しながら、コンパクトフィールドを形成。

「火星からやって来たチーム」とナポリに所属していたマラドーナに言わしめた。

それくらい、次元の違う集団を作り上げました。

フランコバレージをはじめとするイタリア代表。

フリット、ファンバステン、ライカールトのオランダトライアングル。

ピッチ内で躍動し続ける姿は、いまだに私の心から離れません。 









 ところが、ミランを指揮した4シーズンでの、リーグ制覇はたったの1回。

火星からやって来て、イタリアどころか世界中に衝撃を与えた集団です。

それなのに、セリエAでは優勝できない。

UEFAチャンピオンズカップ(現UEFAチャンピオンズリーグ)を2連覇したのは、さすがですが、、。

国内では、取りこぼしが目立ちました。

優勝した後は、3位、2位、2位。

世界を制する力はあっても、国内では勝ちきれない。

べた守りで、カウンターしか攻め手の無いチームに取りこぼすのです。








 その後を引き継いだのが、ファビオカペッロ監督。

選手の並びはあまり変わらないのですが、極端なプレスDFをやめました。

全体のバランスを重視したのです。

スペクタルな部分は、減少しました。

その代わり、年間を通じて、強さを発揮したのです。

チームを率いた5年間で4度のリーグ制覇。

しかも、91〜92年シーズンは、無敗優勝。

当時のセリエAは、世界最高峰と呼べれていた時代です。

驚くべき安定感でした。

前任者の良いところ、悪いところを研究。

岡目八目とはよく言ったものですね。

カペッロ監督は、素晴らしい結果をミランにもたらしました。

それでも、チームやリーグに革命を起こすことはありませんでした。










 フットボールの世界では、このような例は、いくつも挙げることができます。

身近な例では、サンフレッチェ広島。

ペトロビッチ前監督が、革新的なシステムを持ち込み、選手を育てた。

ところが、結果は、そこまでついてこなかった。

ナビスコ杯の準優勝が、最高位。

リーグ戦でも、4位が最高で、終わってみれば中位。

タイトルをクラブにもたらすことはできませんでした。

その後をついだ、森保監督。

可変システムは継承したものの、現実との折り合いを上手くつけました。

攻撃だけでなく、負けにくくするための工夫を取り入れました。

守備、遠くに蹴とばす、何よりも戦う姿勢。

5シーズンで3度の優勝。

まるで、サッキ、カペッロの関係を見ているようでした。









 前任者が、先鋭的に、探求していく。

革新を起こし、オリジナルのスタイルを作り上げる。

それを、後任の監督が、捨て去ることなく、大切にする。

ただし、あまりとんがり過ぎないよう、バランスを取る。

革新者は、ついつい、自分が起こしたイノベーションに束縛されている。

対戦相手も、その革新に慣れてしまい、対策を立ててくる。

それなのに、革新者は、固執してしまっている。

だから、周りを驚かすことはできても、結果を出すこと、結果を継続させることが難しいのではないか。

後任は、変なプライドは無いですからね。

バランスを取りながら、そのイノベーションを活かす方策を立てれるのでしょう。








 ところが、後任の監督が、常に成功するわけではありませんよね。

もちろん、失敗例もあります。

イビチャオシム監督がジェフにもたらした、素晴らしいスタイル。

選手が次から次へと湧き出てくる!と形容されたジェフの試合。

少ないタッチで、ゴールに迫る。

選手の一人一人が、責任を守りながら、思い切ってチャレンジしていく。

特に、カウンターアタックの鋭さは、抜群でした。

ところが2006年、突然、日本代表監督として引き抜かれたしまう。

後任のアマルオシム監督は、発展させることも、継続させることが出来なかった。

一番そばで見ていたはずの、息子であるアマルオシム監督。

後を継ぐには、最良の選択だったはずです。

ところが、優勝を狙うどころか、降格が見えるほど。

それほど能力の低い監督だったのでしょうか?

彼はその後、ボスニアヘルツェゴビナでは、名監督として結果を出しています。

古豪を復活させ、3度もリーグを制しています。

それほどの手腕を持ってしても、イビチャオシム監督の後を引き継ぐことは難しかったようです。









 さて、今シーズンの川崎フロンターレはどうなるのでしょか?

風間監督の下で、魅力的な攻撃スタイルを作り上げました。

ところが、あまりに先鋭的過ぎたのか、タイトルには手が届かない。

後を継いだ、鬼木監督。

スタイルを継続させることを明言しています。

サッキ・カペッロ、ペトロビッチ・森保の関係になるか?

それとも、イビチャオシム・アマルオシムの関係になってしまうのか?

今シーズンの要注目ポイントの一つです。
posted by プロコーチ at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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