私は、学生時代にアルバイトをしていました。
塾講師のアルバイトです。
最近はやりの、個別指導タイプではありません。
そもそも当時は、そのようなものは無かったですよね。
数十人の子供たちの前で、授業をするタイプの塾。
中学3年生に週2回、3年強、塾講師のアルバイトを続けました。
この時の経験が、今の、フットボールのコーチとしての指導に役立っています。
その地域では、トップクラスの大手の塾。
全校合わせて、8000人ほど、生徒さんが在籍。
講師のレベルを高めるために、研修がたくさんありました。
模擬授業と呼ばれ、先輩の講師を前に授業をするのです。
我々コーチの世界でいう指導実践です。
この模擬授業は、当時つらかったです。
指導内容はもちろん、板書の内容、声のトーン、目の配り方、話すテンポ。
指摘される点は、多岐にわたりました。
知らないことばかり。
私が受けていた授業で、学校のたくさんの先生は、そのようなことを気にしていなかったのではないか。
例えば、板書をする時の姿勢、体の向き。
小、中、高、大学。
全ての先生は、黒板に正対して、文字を書いていきます。
字を書くのですから、書く場所に向かって、体を正対させるものでしょう。
そして、文字を書きながら、授業を行う先生も数多くいますよね。
全ての時間とは言わないまでも、黒板に向かって話している時間は、少なからずあるはずです。
でも、これは、私が在籍していた塾の講師は、タブーとされていました。
「体を開いて、板書をしろ。」
黒板(ホワイトボードでしたが、、。)に体を向けず、生徒に体を向ける。
そのままの体勢で、腕を伸ばしてペンを持つ。
そして、生徒に顔を向け、目を合わせながら、文字を書くのです。
この体勢で、文字を書くのは、本当に難しい。
慣れないと、文字があっちゃこっちゃ向いて、読めない。
汚い板書は、もちろん許されません。
生徒の集中力を切らさないため、生徒の反応や行動を見逃さないため。
この研修を通して学びました。
黒板の前で、言いたいこと、伝えたいことを一方的に言うのは、講師として失格である。
誰に向かって話をするのか?
誰に伝えて、誰に理解して欲しいのか?
その対象は、黒板でもないし、テキストでもありませんよね。
それならば、どこを向いて、どこに目を配るのかが大切。
学生時代に、このことを学べた経験は、本当に貴重なものでした。
そうやって考えると、学校の先生の授業が、高慢な態度にすら感じられてしまいます。
俺が話しているのだから、聞け、理解しろ。
分からない方に問題がある!とでも言っているかのようです。
伝え方に問題があるとは、想像していないのかもしれません。
先日、小学校中学年の授業参観を、見学してきました。
内容は、学習発表会。
子供たちは、調べてきた内容をまとめ、発表します。
写真を大きくカラーコピーしてもらい、黒板に貼り付けます。
一人一人が、友達や、保護者の前で、発表していくのです。
黒板や、書いてきた原稿に向かって話し続けます。
2人を除いた、数十人の児童が、全く顔を上げません。
それでも、聞いている先生は、満足そうな表情をしながら、児童の発表を聞いていました。
10歳前後の子供なら、これで精一杯なのでしょうか?
授業の最後に先生が子供たちに話しかけました。
「よく調べて発表できましたね。時間もピッタリで素晴らしいです。」
先生は、正しい内容を、正しく読み上げることを求めていた。
そして、時間通りに、進行させることを第一に考えていた。
例えば、次のような声掛けはどうでしょう。
「みなさんに、調べたことは伝わったかな?」
「お互い、新しい発見はあったかな?」
このような声掛けを、練習の時からしていたら、どうだったでしょうか。
子供たちも、伝わっていない!もっと伝えたい!という気持ちに少しでもなっていたかもしれません。
そうすれば、黒板に向かって、原稿を読み上げるだけの発表は減っていたでしょう。
コミュニケーション能力。
プレゼンテーション能力。
子供のころから、少しずつ積み上げることも出来ますよね。
人前で表現する、自分の考えを伝える。
フットボールのプレーに、直結します。
我々がしている競技は、集団スポーツですから。
2019年03月01日
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