2022年12月18日

免除するか、全員に同じタスクか

 ワールドカップもいよいよ決勝戦を残すのみとなりました。

決勝戦は楽しみですが、お祭りの最後はさみしい気持ちにもなりますね。

フランス対アルゼンチンという、優勝経験がある国同士の対決。

試合を分けるポイントは、あのエースの2人です。







 フランスにはエンバペ、アルゼンチンにはメッシ。

ここまで、5得点ずつ奪い、チーム内でも、大会全体でも得点王の2人。

どちらがゴールを決めて、チームを勝利に導くのか?

見どころは、そこだけではありません。




 2人に共通している事があります。

それは、守備を免除されているということです。

一見、二人とも守備をしているようにも見えますが?

実際には、守備の局面では、最低限のことしかしていません。

自分の近くにボールが来たら、寄せる。

隣の選手が寄せたら、自分のスペースを埋める。

彼らのタスクはこれくらいでしょうか。

(ボールを奪われたら追いかける、このプレーはさぼらずにやってます。
 ですが、攻撃から守備への移り変わりの局面ですので厳密には違います)

実は、このタスクすら、サボっています。

攻め残って、自分のポジションに戻らないこともしばしば。

自分のタスクを放棄していると言われても、仕方ないかもしれない。










 でも、これは監督も、チームメイトも分かっている。

「あいつには、守備を期待しない。その代わり攻撃で決定的な仕事をしてくれればOK」

エースの2人が得点、決定機の創出という結果で応え続けている。

そこで、監督やチームメイトは、こう考えます。

「メッシの(エンバペ)の分まで守備のタスクを引き受けよう」








 この考えは、相手に弱みを見せることにもなります。

アルゼンチンは、最前線のメッシが守備をしないため、前線からの守備が上手く行かない。

相手の最終ラインが余裕を持って、ボールをつなぎ、ボールを持ち出す。

ボールを受けたボランチも、背後から挟まれることもないので、彼らが周囲を観る時間が生まれている。

DFラインは下がり、ボールを奪う位置が低くなってしまう。

日本のFW前田や浅野があれだけ前線から走り回っていた姿とは、大違いですよね。






フランスの場合は、左サイドを崩されてしまう。

左のウイングに位置するエンバペ。

守備の局面になっても、ゆっくり歩いていることも。

その結果、左サイドの守備が後手に回ってしまう。

枚数も足りませんしね。



モロッコ戦では、相手のストロングポイントがまさにこの位置。

ハキミとジエシュの2人が面白いようにドリブルやパスで崩していました。

はっきり言って、フランスの左サイドの守備は崩壊。

他の試合でも後手に回ることはありましたが、ここまで崩されたのは初めて。

フランスのデシャン監督も我慢できずに、左サイドにテュラムを送り込みました。

エンバペを中央に回して、応急処置を施しました。









 JFAの講習会では、この言葉を必ず耳にします。

現代のサッカーでは、守備を免除される選手はいない。

全員が攻撃に、守備に、積極的に関わらなければならない、と。

日本代表は、この言葉の通りに、全員で戦い、スペイン・ドイルを撃破し、ベスト16へ進出しました。

でも、アルゼンチンとフランスは、1人だけ守備を免除される選手を配置しています。

エースの彼らが試合を決定づけるプレーを見せるのか?

それともチームの穴になってしまうのか?

これが、試合の大きな分岐点になるでしょう。

さて、残り1試合楽しみましょう!!
posted by プロコーチ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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