2008年06月03日

激しさを加える

 ワールドカップ3次予選が再開されました。
日本代表対オマーン代表。
久しぶりに3対0の快勝。
試合の主導権を握り、決定機を量産。
流れの中から、2得点。
シュート数も、12対3と圧倒。

 これだけ書くと、どんなに素晴らしい内容だったのか!?
勘違いしてしまうほど。
そんなに良い試合だったのか?
格段にチーム力はUPしたのでしょうか?

 ポイントは、中盤に主力の選手を揃えることが出来た。
欧州で活躍する、中村・松井・長谷部選手。
彼らの所属する各国リーグの閉幕により、帰国し合流。
素晴らしい化学変化をもたらしてくれました。

技術も高く、戦術眼に優れている。
だからこそ、異国の地で、ポジションをしっかりと掴んでいる。
ただ、それだけでは化学変化をもたらすことは出来ない。
何よりも、海外で活躍し続けることはもっと出来ないでしょう。


 彼らが日本代表にもたらした一番の力は、戦う気持ち。
プレー、対面する相手への激しさ。
試合を観ていて、まったりとしているな。
やる気あるのかこいつら。
そんな気持ちは思い浮かばなかったではないでしょうか。

 それが現われていたのは、攻守の切り換えの瞬間。
自分が取られた時にはもちろん。
チームの誰かが取られた瞬間には、守備の体勢に入る。
そして、激しくボールに寄せていく。

 その先導役となっていたのが、中村・松井・長谷部の3人といえるでしょう。
もちろん、最前線でボールを追いまわし、ゴールまで決めた大久保選手も素晴らしいパファーマンスでした。

さらに、球際の激しさも抜群でした。
ボールの前に立って、お終い。
「僕、守備していますよ」
誰かにアピールでもしているかのような、格好だけの守備。

 彼らの守備はその対極。
スライディングすることもいとわなず、寄せ切っていました。
もう一歩、もう一歩と寄せて行く。
目の前に立ちふさがるだけに留まらない。


 彼らのプレーを観ていて思い出したのは、ドイツでのワールドカップ。
現地で観た、世界のトップ選手たちの激しさ。
そんなに頑張るのか!?
スライディングしている回数の、やたら多いこと。

 技術レベルの高いだけの選手は、もういらない。
「ハードワーク」
現代のフットボールを語る上でかかせない、大きなトレンド。
攻守に渡って、ボールにゲームに関わり続ける。

 ボールが足元にある時だけ活躍する選手。
曲芸のようなボールコントロールしか出来ない選手。
彼らの出番は、トップレベルの試合ではほとんどありません。

 一昔前なら、はっきりとした分業制で試合が行なわれていました。
1人のスターを輝かせる。
そのために、ボールを奪って、スターに渡す。
スターの守備の負担をいかにして減らすか?
スターと、それを取り巻く労働者の関係。

 1980年後半のアルゼンチン代表。
マラドーナ選手の周りには、ブルチャガ選手のような労働者を配置。
また近年では、レアルマドリッド、フランス代表でもありました。
ジダン選手の負担を減らす、マケレレ選手。

 最近では、こう言った片面の選手は使われにくい傾向にあります。
労働しか出来ない、スターの役しか出来ない。
もちろん、試合を決定付けるのは、スターの役目であることは変わっていない。

 変わったのは、スター役に求められる仕事の量が増えたこと。
守備をしない、パスを出しても走らない、一昔前のプレーの対極。
高い技術を発揮しつつ、ピッチを走りまわる。
球際には激しく行くし、攻守の切り換えも当たり前のように行なう。

 ドイツワールドカップで言えば、イタリアのピルロ選手。
アルゼンチンのリケルメ選手。
彼らは一昔前のプレーヤーとの印象がありました。
しんどいことは、周りに任せて、自分は美味しいところだけをいただく。

 ところが現場で見た彼らは違いました。
守備の役割も全うするのです。
何よりも、自分から仕事を探して、プレーをしていました。
ボールを味方からパスしてもらうのを待つだけのプレーヤーではありませんでした。
当たり前のように、ピッチ狭しと走りまわっていました。

 つい先日のチャンピオンズリーグのファイナルもそうでしたよね。
トップ中のトップの選手。
足がつるまで、ハードワークを続ける。

 ハードワーク出来ない選手の居場所は無くなってきているようです。
今、トップレベルで求められているのは、ハードワークが出来、技術レベル戦術理解度の高い選手。
どちらか片面だけでは、通用しない。

 それを、実際に肌で感じているのが、中村・松井・長谷部・大久保選手なのでしょう。
だからこそ、当たり前なんでしょうね。
スライディングするのも、球際に激しく行くのも。

 その激しいプレー、メンタルを目の当たりにしたからこそ、チーム全体に波及したのでしょう。
監督がいくら指示を出すよりも、効果があるはずです。
自分が巧いなと認め、尊敬する選手がハードワークを行なっているのです。
彼らを良い気持ちで送りだし、ハードワークさせるように導いたのは、監督の手腕ですけど。
 
 
 これで、ようやくチームとしてスタートラインに立てた。
そんな気がします。
世界を驚かす、世界で実績を残す。
そのためには、当たり前のことがようやく出来始めた。
これが、この試合最大の収穫でしょう。

 これが本物であることを望みます。
暑く、環境の悪い、アウェイ戦。
そこで発揮できてこそ、本物ですよね。

posted by フットボールコーチ at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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