2009年01月06日

最後まで、最後まで。

 サッカー高校選手権、準々決勝を三ツ沢にて観戦してきました。
やはり、専用競技場での観戦は、最高ですね。
選手同士のコーチング、ボールを蹴る音、身体のぶつかり合う音。
試合を盛り上げる、いいスパイスに感じました。

 試合全体を通して、感じたこと。
個々の選手の技術が向上しているな。
単純な、止める、蹴る、運ぶのレベルが上がっている。

 さらには、観る意識も高まっている。
トラップする寸前まで、顔を上げている。
逆を観て、DFの寄せ具合を確認して。
この作業を、しっかりと行なおうとしている。

 その結果、単純なキック&ラッシュが減ってきていました。
精度の低い、タテへのロングボール。
それに合わせて、走りこむ。
偶然の神様と、体力とをより所にする。
そんなプレーは、わざわざスタジアムに行ってまで観たくはないですよね。


 そんな中でも、鹿児島城西の大迫選手は、別格でした。
大きくて、速くて、巧い。
ありふれた表現かもしれませんが、その言葉がぴったり当てはまるのです。
左右両足共、当たり前のように使っていますしね。

 さらには、ボールを持っていないところの動きも、訓練されている。
パスを引き出す動き。
マークを外す、DFに対して身体を入れる、DFとの駆け引き。
2トップのパートナーの動きを確認しながらです。 

 そのいい動きから、パスを引き出し、ボールを受ける。
立ち止まってしまい、足元で受けるシーンは皆無。
パワーを持って(スペースに飛び込んで)自分が欲しいスペースに飛び込んでくる。

 ボールを持っていても、持っていなくても、相手にとっては厄介な選手です。
しかも、ミドルシュートを含めて、ゴールへの意思を感じます。

 ここに、狭い所で、勝負するプレーをすれば、もっともっと怖い選手になるのですが。
狭く、厳しい所から、避けているようにも見えました。
飛び込むのは素晴らしいのです。
イタリアのインザーギ選手のように、ゴール幅の、一番きつい所で、仕事をする。
そこの部分は、まだこれからの印象です。


 その大迫選手にやられてしまったのが、対戦した滝川第二(タキニ)です。
守備は、県予選から自信を持っていたようです。
選手権に入っても、ここまでの2試合は無失点に抑えていた。

 両センターバック、サイドバックともに、1対1には自信があるようでした。
ボールにもチャレンジするし、空中戦のボールの弾き返し方もいい。

 ところが、今まで培っていた自信を踏み潰すかのような、
それほどまでの能力の差を見せ付けられるのです。
足元でも、空中戦でも、やられてしまう。
少しでも緩めると、シュートまで持ち込まれてしまう。

 前半だけで4点差。
後半の20分過ぎには、6点の差をつけられてしまうのです。
サッカーの試合で、6点差は絶望的ですよね。
ある程度のレベルの試合では、ひっくり返すことが出来ない。

 私も、今まで数多くの試合を見てきましたが、そんなシーンは見たことがありません。
66年ワールドカップ。
ここで、ポルトガルが3点差をひっくり返して、北朝鮮を下した。
エウゼビオの活躍と共に、歴史的な大逆転として語り継がれています。
それにしても、前半途中での3点差ですからね。


 さて、6点差をつけられた、タキニのサッカー部。
それでも、スタンドのサッカー部員、応援の父兄は諦めていません。
もちろん、ピッチの選手たちもです。
前半の最後に、少しだけ静かな時間帯はありましたが・・・。

 スタンドから、よく聞こえていた声がありました。
「まず1点や」
「下向くな!いつもの通り声だせや!」
「最後まで、最後まで」
特に、まず1点の声は、繰り返し繰り返し、発せられてました。

 その声にも後押しされた、タキニの選手たち。
点差を感じさせない、はつらつとした試合を展開します。
後半に交代で入った、FWの選手にも引っ張られ、ガンガンに仕掛けていきます。

 後半の途中からは、どっちがリードしているのかが分からないほどです。
完全にタキニが主導権を握ってしまいました。
大迫選手に、ボールが入らない。
試合の流れから、消えてしまいました。

 そして、1点奪い、2点目を奪い、ますます勢いは加速していきます。
選手たちも、ゴールを奪った瞬間に、さらにその次!と熱い気持ちをむき出しで戦っています。
「最後まで!」
スタンドからの声は、更に大きくなって行きます。

 ところが試合は、そのまま2対6で勝負あり。
タキニにとっては、前半の4失点が大きく圧し掛かる格好になりました。

 試合終了のホイッスルと共に、選手の何人かが崩れ落ちました。
全てを出しつくし、気持ちも体力も限界だったのでしょう。
ここで、またこの声が聞こえてきます。
「最後までやれや」
「最後まで」

 選手同士で、肩を支えあい、ピッチ中央での挨拶に向かいます。
その後、当然のように、応援スタンドに向かってきました。
応援してくれた、お礼をするためです。

 なんと、タキニの選手たちは、まず鹿児島城西側のスタンドに向かいました。
ちなみに、他の3チームはそうではありませんでした。
タキニの応援席は、「ジョウセイ、ジョウセイ」と相手校にエールを送っています。

 その時、ようやく解りました。
「最後まで」というのは、ここまでやって「最後まで」なんだ。
試合で全力を尽くすだけでは足りない。

 常に、感謝の心を持っていること。
サッカーをさせてもらっていること、試合を行なうこと。
これらに、敬意を払って、感謝すること。

 その時、スタンドからの声が飛びます。
「お前ら、胸張って笑えよ」
「最高のプレーをしたぞ」
「ありがとう、最後までやれたな」
 人間教育に重きをおかれた、前任の黒田先生からのいい伝統が残っているようです。

 「怯まず」「驕らず」「溌剌と」
滝川第二高校サッカー部のモットーです。
スタンドで、素晴らしい体験をさせてもらいました。
感動のあまり、目頭があつくなるほどです。



「フットボールは、子供を大人にし、大人を紳士にする」
デッドマール・クラマー氏
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2008年11月28日

発表会にて

 幼稚園や学校では、この時期、さまざまな催しがあります。
学芸会、生活発表会、文化祭、学園祭・・・。
呼び方は、地域やその場所によって異なるものです。

 どこに行っても変わらないのは、その「場」に向けて、精一杯の準備をしていること。
劇に、合唱、合奏に、おゆうぎ。
夏休み明けから、毎日のように練習を積み重ねたのでしょう。
先生も、子供たちも、汗や時には涙を流しながら、作り上げていくのです。
 
 私も遠い記憶なのですが、クラスに連帯感が生まれましたよね。
何かを共に作り上げる。
それが、催し物のレベルを高めるだけでなく、うれしい副産物をも生み出してくれる。
教育者としては、実はこの副産物が主の目的だったりもするでしょうが。


 さて、いよいよ当日。
舞台の上に、それぞれが登ります。
舞台に立つことが慣れている子供は、ほんの少数。
普段は悪ガキのような子供たちが、可愛らしく、小さく見えてしまいます。
一人一人の緊張が、客席まで伝わってきて、こちらまでが恥ずかしくなってしまう。
微笑ましい光景ですよね。

 舞台の子供たちに目を移すと、あることに気づきます。
音楽や、役をやり遂げるのに精一杯。
自分の順番で、「とちらない」ことだけを考えているのでしょうか?!

 とにかく、自分の順番やセリフを間違えないように。
詩やメロディを、リズムに乗せるように。

 音楽そのものを楽しんでいる子供は、皆無です。
リズムに体を揺らして、軽く足踏みを踏みながら。
そんな姿は、とてもとても。

 自分のセリフに、感情を込めて。
抑揚をつける、体全体で役柄を表現する。
それもまた、難しいようです。


 私も、その気持ちはよく分かります。
セリフを言うのが、恥ずかしいわけではなかったはずです。
活発な子供だったはずです。
それでも、舞台に立つと、余裕がすべて奪われてしまいます。
出来ることはと言えば、自分の役割を何とか間違えないように、無難に無難に。


 フットボールの試合で活躍出来ない選手。
中盤までは、思い切ったプレーをしていても、ゴール前になると途端に萎縮する選手。
必要以上の緊張感を持ってしまっているのでしょうね。
トレーニングを繰り返して、自信をつけたはずなのに。

 曲のリズムを体全体、魂で感じる。
役に入り込んで、登場人物になりきる。
失敗しても、どうせ命までは取られない、そんな思い切りと共に。 試合のリズムを体で感じ、登場人物になりきる。

 試合をするのが楽しみでしょうがない。
そうは思えませんか?
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2008年08月19日

試合終了の笛。

 日本女子代表。
惜しくも北京オリンピック準決勝で敗退してしまいました。
先取点を取ったときには、おっ!!淡い期待は抱いたのですが。
終わってみれば、2対4。
個々人の力の差を見せ付けられてしまいました。

 私の個人的な感想にしか過ぎませんが、フィールドとゴールが大きい。
日本人だと、170センチを越える選手は、あまり出てこないでしょう。
外国人でも、180センチを超えるのが当たり前にはならないでしょう。

 それなのに、ピッチサイズ、ゴールのサイズは男子のものと同じです。
高さ2.44M×幅7.32Mが大きく大きく感じました。
日本のくらった4失点のうち、3失点。
ゴールの大きさにやられてしまっているのではないか?

 昔、少年の大会が、大人用のゴールで公式戦が行なわれていました。
GKの身長は、140〜かなり大きくても170センチ。
サイドに、コロコロと転がしたら、あっけなくゴールが決まっていたのを思い出しました。

 そこまでとは言いませんが、一回り小さくしてもいいのではないか?
与えられた環境で戦わなければならないのは、分かっています。
ただ、それにしても、足が止まってふらふらになっている姿。
シュートでもなんでもない、フワーッとしたボールがゴールに吸い込まれる。
そんな姿は、どちらのチームに起こったにせよ、あまり観たくはないものです。

  
 試合に戻ります。
敗れたとは言え、観ていて心に響く試合でした。
1人、1人が戦っていた。
見せ掛けだけの、技術や戦術。
そんなものを圧倒的に凌駕するものは、これだ!!
テレビ画面を通しても伝わってくる、彼女たちの戦う姿勢。

コメントなどからも、伝わってきます。
「私たちの戦いが、今後の女子サッカーが変わってくる」
「変なことをして、女子サッカーの未来を壊すわけにはいかない」
「勝ち進めば、女子サッカーを取り巻く環境が良くなる」
異口同音、聞こえてきますよね。

彼女の1人1人が、日本女子サッカー界そのものを支えている。
それぐらいの気概をもって試合に臨んでいるのでしょう。
その心持が、試合にも現れていましたよね。

特に、3点差で負けていて、残り5分。
あきらめて、時間が過ぎるのを待つ姿は、見えませんでした。
最後の最後まで、何とかしよう。
ボールに対する反応が、それに現れていました。

常に、ボールの近くに日本チームの選手が、走りこんでいました。
心身、そして頭も戦い続けていないと、反応は遅れてきます。
特に、この時間帯はあきらめてしまう、頭がボーとしてしまう。
そんな瞬間が出ても、おかしくはないでしょう。
特に、この点差です。

その気持ちが、最後の最後のゴールに結びついたのでしょう。
ボールに対して、何度も何度もくらいついた。
これが、セカンドボールを拾い続けたのです。

1対4の敗戦、2対4の敗戦。
一発勝負のトーナメントですから、どちらのスコアで敗れても負けは負けです。
ただし、今回の場合は雲泥の違いがあるでしょう。


デットマール・クラマーさんの有名な言葉。
「試合終了の笛は、次の試合開始の笛である」
彼女たちの試合終了は、明らかに次の試合につながる敗戦でした。

彼女たちの試合は、3位決定戦もあります。
サッカー人生も、まだまだ続くでしょう。
さらには、彼女たちのあとに続く、若く幼いプレーヤーもたくさんいるでしょう。
この戦い続ける気持ちを持ち続けていれば、日本女子サッカーは歩み続けて行けるでしょう。
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2008年07月01日

勝敗を分かつもの

 ユーロ、ヨーロッパ選手権の決勝戦。
スペインの勝利で、大会は幕を閉じました。
決勝終了後の式典。
この大会への思い入れや、プレーが頭に蘇えります。
感動的なシーン。

 もちろん、敗者のドイツも祝福されていました。
ファイナリストには、勝者と等しき価値を与える。
そう言った考え方からでしょうか。

 銀メダルを受け取ったドイツの選手。
その多くが、すぐに首から外してしまいました。
俺達は、この敗北に満足していない。
2年後のワールドカップで、4年後のユーロで雪辱を誓う。
頭をうなだれた中にも、決意を秘めた表情を見せていました。


 そして、いよいよ優勝チームのスペインの表彰です。
金メダルを首にぶら下げて、誇らしげな表情。
順番にカップを掲げ、最高の笑顔を見せてくれました。

 勝者を称える、セレモニーが続く中で、ドイツ選手団の表情がドンドン曇っていきます。
さっきまでの決意を秘めた表情は、そこにはありません。
魂が抜けたかのように、視点すら定まらない。
勝者と敗者との間には、決定的な違いがある。
改めて、強く感じさせられるシーンでした。



 勝者と敗者との差。
一体、どこにあるのでしょうか?
後から、解説するのは簡単です。
様々なことに理由をつけて、あれがこうだから、ああだから・・・。

 それでもあえて、ひとつだけ言及するなら、信じる気持ちでしょうか。
自分たちは勝者に相応しい。
勝つためには何をすべきなのか?
負けているなら、どうすれば逆転できるのか?
審判が試合終了の笛を吹くその瞬間まで、信じ続ける気持ち。


 それが表れていたのが、2つの劇的な得点シーンでした。
ベスト8。
クロアチア対トルコ。
オランダ対ロシア。
いずれも、私が現地のスタンドで観戦してきた試合です。

 クロアチアは、終始トルコを押し込んでいました。
それでも、なかなかゴールは奪えず、延長戦に。
延長118分に劇的なゴールを奪います。
その瞬間、選手、スタッフ、監督までもがピッチ内になだれ込んで歓喜の瞬間を迎えました。

多くの人が、このまま終わると思ったその矢先。
2分くらいたったでしょうか。
トルコに同点ゴールを許してしまいます。
そのまま、PK戦に突入。
トルコが見事な逆転勝利。


 一方の、ロシア対オランダ戦。
逆転ゴールを奪った瞬間、ロシアの選手たちも同じようにコーナー付近で喜びを爆発させて。
ヒディング監督も、お得意のガッツポーズ。

 ところがそこからが大きくクロアチアの監督とは異なりました。
彼は、ベンチの前からは動かなかったのです。
それどころか、様々な指示を出し始めました。
そう、勝つために信じつづけていたのです。
自分に何が出来るのかを考え、行動していたヒディング監督。
ご存知の通り、追加点すら奪って、3対1での歴史的勝利!


 クロアチアの監督ビリッチも、仕事はしていました。
歓喜の輪から戻って次の策を練っていたのです。
選手交代のカードを切って、時間を稼ごう、審判に試合終了をアピールしよう。
ところが、時間稼ぎの選手交代が認められません
ビリッチ監督は、第4の審判の首をしめんばかりに大クレーム。
そのまま、試合は行なわれ、まさかの同点ゴールが生まれました。
歓喜の輪に入る時間があったのならば、もっと速く冷静に出来ることあったのでは?


 点を取ったら、最高に嬉しいでしょう。
それも、しんどい試合なら、言葉には出来ない興奮が沸いてきます。
喜ぶ事は、いくらでも出来る。
今、何が出来るのかを考え、勝利を信じつづける。
それが、フットボールの守るべき鉄則。

 得点を挙げた選手が感情を爆発させるのは当然でしょう。
それほどの熱い気持ちを持っているからこそ、ピッチに立つ資格を持っているのですから。

 喜ぶのはまだ早い。
試合終了の笛は、まだ吹かれていませんよね。
監督と、キャプテン、守備のリーダー。
試合を勝ちきるために、落ち着かせるべき人がその場にいないのです。

 
 私は、クロアチア対トルコのその場で感じ続け、大声で言いつづけました。
残りがたったの2分しか無いとしても。
「何かある、何かある。このままでは終わらない」
この証人は、残念ながら1人しかいませんが・・・。

 後付けに聞こえますか?
後付けに聞こえても構いません。
鉄則の1つだけは、忘れないで下さい。

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2008年06月06日

立ち戻る場所・・・自戒をこめて

今日の夜から、群馬に遠征してきます。
2泊3日で、大会に参加。
私の指導する教室の全力を傾けて優勝を目指しています。
普段は受講生だけでチームを組みます。

今回は、私と同僚のコーチもプレーヤーとして参加。
売上を度外視して、チャンピオンシップを持って戦う!
3ヶ月前からチームを組んで、毎週活動して、作り上げてきました。
その大会が、いよいよ明日に迫ってます。
手応えはかなりあるのですが、その分プレッシャーも同じだけ感じています。


試合をしていて、良い時間帯もあれば、悪い時間帯もある。
良い時間帯は、調子に乗ってしまい、コケてやられる前兆。
悪い時間帯は、泥沼にはまってしまい、抜け出せない悪夢。

そんな時には、自分のプレーを見つめ直す。
原点に立ち返って、プレーを組み立てなおすことで、適度の緊張した状態を保てるのです。
では、原点とは何か?

それは、人によって違うと思います。
・ボールの無いところの動き。
・ファーストタッチ
・キックの精度
・ポジショニング
・ドリブルの感覚

私の場合は、これに尽きます。
・ボールの無い状態から、ポジショニングを整える。
・その良いポジショニングから厳しく寄せ切って、ボールを奪う。
それをするための、コーチング、ポジショニング、観ること。

こまめに、こまめに修正しながら、この2つを行いつづけること。
そうすれば、プレーにリズムが生まれてくる。
調子に乗って、良いパス、強烈なシュートの夢を見ていては、ろくなプレーが出来ない。

「お前は格好つける選手じゃないよ」
「自分のやることは何なんだ?」

自戒を込めて、この文章を書きました。
原点を忘れずに、熱く闘いに行ってきます。

posted by プロコーチ at 18:23| Comment(1) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月03日

激しさを加える

 ワールドカップ3次予選が再開されました。
日本代表対オマーン代表。
久しぶりに3対0の快勝。
試合の主導権を握り、決定機を量産。
流れの中から、2得点。
シュート数も、12対3と圧倒。

 これだけ書くと、どんなに素晴らしい内容だったのか!?
勘違いしてしまうほど。
そんなに良い試合だったのか?
格段にチーム力はUPしたのでしょうか?

 ポイントは、中盤に主力の選手を揃えることが出来た。
欧州で活躍する、中村・松井・長谷部選手。
彼らの所属する各国リーグの閉幕により、帰国し合流。
素晴らしい化学変化をもたらしてくれました。

技術も高く、戦術眼に優れている。
だからこそ、異国の地で、ポジションをしっかりと掴んでいる。
ただ、それだけでは化学変化をもたらすことは出来ない。
何よりも、海外で活躍し続けることはもっと出来ないでしょう。


 彼らが日本代表にもたらした一番の力は、戦う気持ち。
プレー、対面する相手への激しさ。
試合を観ていて、まったりとしているな。
やる気あるのかこいつら。
そんな気持ちは思い浮かばなかったではないでしょうか。

 それが現われていたのは、攻守の切り換えの瞬間。
自分が取られた時にはもちろん。
チームの誰かが取られた瞬間には、守備の体勢に入る。
そして、激しくボールに寄せていく。

 その先導役となっていたのが、中村・松井・長谷部の3人といえるでしょう。
もちろん、最前線でボールを追いまわし、ゴールまで決めた大久保選手も素晴らしいパファーマンスでした。

さらに、球際の激しさも抜群でした。
ボールの前に立って、お終い。
「僕、守備していますよ」
誰かにアピールでもしているかのような、格好だけの守備。

 彼らの守備はその対極。
スライディングすることもいとわなず、寄せ切っていました。
もう一歩、もう一歩と寄せて行く。
目の前に立ちふさがるだけに留まらない。


 彼らのプレーを観ていて思い出したのは、ドイツでのワールドカップ。
現地で観た、世界のトップ選手たちの激しさ。
そんなに頑張るのか!?
スライディングしている回数の、やたら多いこと。

 技術レベルの高いだけの選手は、もういらない。
「ハードワーク」
現代のフットボールを語る上でかかせない、大きなトレンド。
攻守に渡って、ボールにゲームに関わり続ける。

 ボールが足元にある時だけ活躍する選手。
曲芸のようなボールコントロールしか出来ない選手。
彼らの出番は、トップレベルの試合ではほとんどありません。

 一昔前なら、はっきりとした分業制で試合が行なわれていました。
1人のスターを輝かせる。
そのために、ボールを奪って、スターに渡す。
スターの守備の負担をいかにして減らすか?
スターと、それを取り巻く労働者の関係。

 1980年後半のアルゼンチン代表。
マラドーナ選手の周りには、ブルチャガ選手のような労働者を配置。
また近年では、レアルマドリッド、フランス代表でもありました。
ジダン選手の負担を減らす、マケレレ選手。

 最近では、こう言った片面の選手は使われにくい傾向にあります。
労働しか出来ない、スターの役しか出来ない。
もちろん、試合を決定付けるのは、スターの役目であることは変わっていない。

 変わったのは、スター役に求められる仕事の量が増えたこと。
守備をしない、パスを出しても走らない、一昔前のプレーの対極。
高い技術を発揮しつつ、ピッチを走りまわる。
球際には激しく行くし、攻守の切り換えも当たり前のように行なう。

 ドイツワールドカップで言えば、イタリアのピルロ選手。
アルゼンチンのリケルメ選手。
彼らは一昔前のプレーヤーとの印象がありました。
しんどいことは、周りに任せて、自分は美味しいところだけをいただく。

 ところが現場で見た彼らは違いました。
守備の役割も全うするのです。
何よりも、自分から仕事を探して、プレーをしていました。
ボールを味方からパスしてもらうのを待つだけのプレーヤーではありませんでした。
当たり前のように、ピッチ狭しと走りまわっていました。

 つい先日のチャンピオンズリーグのファイナルもそうでしたよね。
トップ中のトップの選手。
足がつるまで、ハードワークを続ける。

 ハードワーク出来ない選手の居場所は無くなってきているようです。
今、トップレベルで求められているのは、ハードワークが出来、技術レベル戦術理解度の高い選手。
どちらか片面だけでは、通用しない。

 それを、実際に肌で感じているのが、中村・松井・長谷部・大久保選手なのでしょう。
だからこそ、当たり前なんでしょうね。
スライディングするのも、球際に激しく行くのも。

 その激しいプレー、メンタルを目の当たりにしたからこそ、チーム全体に波及したのでしょう。
監督がいくら指示を出すよりも、効果があるはずです。
自分が巧いなと認め、尊敬する選手がハードワークを行なっているのです。
彼らを良い気持ちで送りだし、ハードワークさせるように導いたのは、監督の手腕ですけど。
 
 
 これで、ようやくチームとしてスタートラインに立てた。
そんな気がします。
世界を驚かす、世界で実績を残す。
そのためには、当たり前のことがようやく出来始めた。
これが、この試合最大の収穫でしょう。

 これが本物であることを望みます。
暑く、環境の悪い、アウェイ戦。
そこで発揮できてこそ、本物ですよね。

posted by プロコーチ at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月04日

災害を起こさない。

 人は、自分の想像を超えることが起きると、平静ではいられない。
自分は落ち着いているつもりだとしても。
不可思議な行動に言動。
パニックの連鎖が始まっていく。

 普段では、起こしえないようなミスをしてしまう。
いつもなら、簡単に成功するプレーすら、支障をきたしてしまう。


 そういった場面を見るたびに、思います。
人は、メンタルを動力源にして、動いているのだな。
どんなに、身体を鍛え、技を磨いたとしても。
最終的に、自分を動かしていくのは、自分の心。



 思い知らされたのは、つい数日前。
私事で恐縮なのですが、車上荒らしにあってしまいました。
家のまん前に停めていた車。
ガラスを割られ、車内から現金を奪っていかれました。

 一瞬、何が起きているのか、気づくことが出来ません。
それでも、仕事に向かうべく、動かなくてはならない。
警察を呼び、被害届けを出す。
車を修理に出し、代車を借りる。

 代車を運転して、現場に向かっていました。
何度も、ヒヤリ・ハットとする瞬間が起こるのです。
ハンドルを切りすぎている。
前方を見ているつもりが、見えていない。
普段なら、ありえないようなミスの連続。
パニックの連鎖が自分に起きてしまいました。


 ここで、思い出したのが、ある法則。
労災事故などでいわれる、有名な「ハインリッヒの法則」です。
私もしっかりと覚えていなかったので、引用して簡単にご紹介しますね。
統計から、「災害」について現れた数値は「1:29:300」。

 その内訳として、「重傷」以上の災害が1件。
その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こる。
さらには300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が起きていたことになる。
更に、幾千件もの「不安全行動」と「不安全状態」が存在する。
そのうち予防可能であるものは「労働災害全体の98%を占める」。

 つまり、次のような教訓が得られるようです。
・災害を防げば傷害はなくせる。
・不安全行動と不安全状態をなくせば、災害も傷害もなくせる。


 試合中も、同じことが言えるのでしょうか?
小さな不安全な状態をなくせば、ミスや失点もなくせるのだろうか。
今回の惨事からでも、こんなことを想像していました。
そんなことを考えてる私は、フットボールの熱にやられすぎているのかもしれない。
posted by プロコーチ at 23:10| Comment(1) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月14日

負の連鎖を断ち切る2つの武器。

 フットボールの試合には、流れがある。
試合の結果を表す、スコアボード。
ここには、得点、交代、シュート数に加えて、ボール保持率も表示されることがあります。
チームでボールを保持している時間を%で表したもの。
試合を観ていて、随分差がついてるな〜、と思っていても、せいぜい60%対40%ほど。
70%対30%の試合などほとんどありません。

チーム間に、よほどの力の差がある対戦であっても、チャンスは0ではない。
どんなに劣勢に立たされているチームでも、可能性は残っているのです。
つまり、試合には流れがあるのです。
自分たちにとっての良い流れ。
そして、自分たちにとっての悪い流れ。(相手チームには良い流れ)
その流れをいかに感じることが出来るのか?
もちろん、外で見ているコーチはその流れをいち早く掴まなければならない。
ピッチ内でプレーしている選手の1人1人も、感じとりたい。
変化を読み取る目、経験。

仮に経験が浅い選手やコーチであっても、なんとなく流れは感じ取ることはできるはず。
「なにか上手く行かない。」
「相手の良いプレーが続いている。」
「こぼれ球、ルーズボールを全部拾われている。」
「なぜか、後手に後手に回っている。」
こんな現象が起これば、試合の流れは相手にある。
少なくとも、自分たちの流れではないですよね。
こういった悪い流れの時間帯で何が出来るのか?
どういった働きかけをするのか?
ここで起こすアクションこそが、チームの勝利に近づける。
フットボールに対する理解力が問われる瞬間であります。

 ただ、フットボールに対する理解が高いのに、負の連鎖に陥ってしまう。
試合中にはよく見られますよね。
最近の世界大会や、予選に出場している各世代の日本代表チーム。
U−17、U−20、U−22、女子代表にフル代表。
試合終了直前での失点。
さらには1失点をすると、立て続けに失点してしまう。
格下の相手を崩しきれない。
明らかに、悪い流れにどっぷりとハマってしまい、負の連鎖に陥ってしまう。
理解が低い、その一言だけでは片付けられない。
一時は、負の連鎖に陥って、逆転されたワールドカップ、イングランド戦出の女子代表。
終了間際に追いついた源は、技術の力だけではありません。

 ここで求められるのは、気持ちの強さ。
いわゆる、メンタルタフネス。
人は、メンタルをエネルギーに換えて、行動していく生き物とも言えるでしょう。
心・技・体と表す時に、なぜ心が一番に書かれているのでしょうか。
窮地に追い込まれた時に、普段の力を当たり前のように発揮できるかどうか?
ピンチの時にピンチ!!とパニックになってしまうのか。
それとも、ピンチをチャンスと捉えて、アクションを起こせるのか。

トレーニングを通して、フットボールに対する理解を高める。
それと共に、メンタルの強さも高めていく。
この2つを持って、試合に臨んでいく。
どんな試合でも、必ず悪い流れはやってくる。
負の連鎖に陥ってしまい、敗れ去ってしまうのか。
それとも、負の連鎖を断ち切って、自分たちの流れに持ちこむのか。
チャンピオンチーム、トップ中のトップのチームは、ここが強い。
サッカーを知ってる、フットサルを知っている。
こう形容されるチームもまた、2つの武器を持っています。
posted by プロコーチ at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

青春の心

うつ向くなよ ふり向くなよ
君は美しい
戦いに敗れても 君は美しい

今ここに青春を刻んだと
グランドの土を手にとれば
誰も涙を笑わないだろう
誰も拍手を惜しまないだろう

また逢おう いつの日か
また逢おう いつの日か
君のその顔を忘れない

うつ向くなよ ふり向くなよ

君は美しい
くやしさにふるえても 君は美しい

ただ一度めぐり来る青春に
火と燃えて生きてきたのなら
誰の心もうてるはずだろう
誰の涙も誘うはずだろう

また逢おう いつの日か
また逢おう いつの日か
君のその顔を忘れない

誰もが一度は耳にしたことがあるはずの曲。
冬のサッカー高校選手権大会のテーマソングです。
1976年以降使われているそうです。
この曲を聞けば、若さ溢れる高校生がぶつかり合う姿を。
ピッチの中で、歓喜を爆発させる姿を。
控え室で、レギュラーの選手、監督、控え選手が涙に暮れる姿。
さまざまな青春の姿を思い浮かべさせてくれます。
体は年々歳を重ねるごとに衰えていきますが、心の若さはその人次第。
情熱をガソリンにして、心はいつでも青春時代であることを自分自身望みたい。
この曲に恥じない心を常に抱いていたい。
 
 この曲を作詞された、作詞家の阿久 悠さんがお亡くなりになりました。
昭和を代表する、数々の名曲を手がけられた方です。
歌謡曲だけでなく、我々のすぐ近くに流れるこの曲。
歌の力、詩の力は偉大ですよね。
人生すら左右する力。
青春の情熱を、いつでも思い出せてくれる詞。
阿久 悠さんのご冥福を心から。
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2007年07月24日

信頼される嫌われ者

暑いと、体力の消耗が激しい。
対戦相手が強いと、思ったようなプレーが出来ない。
チームメイトと、プレーの方向性に食い違いがある。
家族や恋人との仲が上手くいっていないと、プレーに集中できない。
プレーヤーは様々な理由から、100%の能力を発揮できない。
もしくは、発揮できない理由を探しているのかもしれない。
「今日はおかしいな、次はいいプレーが出来るはず・・。」
そんなプレーヤーはおそらく、また次も、そのまた次も出来ない言い訳を探しているのでしょう。

一方コーチは、チームのパフォーマンスに責任を持たなければならない。
トレーニングをして、試合のメンバーを組む。
ピッチサイドで、声を出して試合を見守る。
ただし、それだけでは、常にいいパフォーマンスを導くことは出来ない。
結果が、メンバーの出来不出来に左右されてしまう。
「どうして、こいつらは、俺の言うことを聞いてくれないのか?!」
このようにして、選手とコーチとの間に溝が生まれていく。
気付いた時には、立ち戻ることが出来ないほどの大きな溝が。
コーチの重要な仕事として、精神面のマネージメントがあります。
教育者としての振る舞いだけでは事足りない時も。
だから、コーチは時に、未来を指し示す預言者に。
また時には、役者としてプレーヤーの前で演じる必要もある。
全ては、チームの成功の為に。

試合のときにも、コーチが出来ることは数限られている。
選手起用や作戦変更をしても、効果は限定的です。
そんな中で最も有効で鍵を握るのが、ハーフタイム(タイムアウト)の使い方。
時間にするとわずか数分〜15分。
そんな短い時間で、どういった働きかけが出来るのか?
そこで考えるベースとなるのが、コーチの果たすべき役割。
「コーチとは、目的を持った者を目的の場所(結果)まで確実に運ぶ(導く)こと。」
コーチの語源は、馬車・四輪の馬車だそうです。
だとすると、目的地から離れかけている集団に対しては、何がしかの働きかけが必要になってくる。
まずは、相手・自チームの分析、作戦の伝達。

それだけでは、目標を達成できないとするならば、もっと強い働きかけが必要。
つまり、メンタル面への強い働きかけ。
人はメンタルをガソリンにして、行動を起こす生き物。
コーチは、精神面の状態をよく観察しておかなくてはならない。
ここから先は、異論反論があると思います。
誤解を恐れずに言うと、コーチは嫌われ者になる覚悟が必要。
「こんなプレーをしていては、意味が無いだろ!!」
「責任を放棄せずに、自分の役割を全うしろ!!」
「何もしないのは、ミスをするより悪だ!!」
コーチの怒声に、一瞬にしてベンチの雰囲気は凍り付いてしまうでしょう。
それに怯まず、さらに強い声を掛けて行く。
プレーヤーがコーチを憎んでも構わない。
その負のエネルギーを、見返してやろうという空気に変えていってほしい。
普通の指示や、作戦変更で対応できるチーム状態ならこんな劇薬を使う必要は無いでしょう。

自分たちの力ではどうしようもない、悪い展開。
あがけばあがくほどに、深みにはまって行く試合の状況。
フットボールの試合には、必ずそういった試合がある。
そんな時には、嫌われ者になる覚悟が、コーチには求められるでしょう。
甘い言葉を掛けるだけでは、乗り越えられない瞬間が来る。
嫌われ者になる覚悟。

そこには、互いの強い信頼関係が必要です。
立ち直って、その負の感情をエネルギーに変えていく。
つまり、プレーヤーに対するコーチの信頼。
自分たちのことを思って、強い言葉をかけてくれているんだ!
コーチに対する、プレーヤーの信頼。
信頼される嫌われ者がチームを救い、助けになる。
そんな瞬間が、いいチームには必ず来ます。
ハーフタイムや、タイムアウトかもしれないし、ミーティングのときかもしれないです。
その時に備えて、本物の信頼関係を築いて行く。
馴れ合いで仲良しこよしではない信頼関係を。




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2007年07月10日

大人になって欲しい。

アジアカップの初戦が終わりました。
前半は、様子を見ていたのか、低調な試合運び。
大会の初戦の立ち上がりは、こんなものでしょうか。
オシム監督はピークを大会の後半に持っていきたいはずですからね。
決勝トーナメントのベスト4・8辺りにピークを持っていく。
グループリーグは、突破できれば大丈夫くらいに思っているのでしょう。
それでも後半は、日本のスタイルの一端を披露してくれました。
小気味よくパスが回っていき、相手のプレッシャーをかわしていく。
少しずつ、チームにいいリズムが出て来てましたよね。
後は、どれだけこのいいリズムの時間帯を増やすことが出きるのか?
そして、その時間帯にゴールという結果を出すことが出きるのか?
残念ながら、決めるべきものを決めれない。

 私が並行して観ている、コパアメリカ。
ここではベスト4が出揃いました。
ゴール前の落ち着き、正確な技術は圧倒的。
超スーパープレーなどなくても、当たり前のようにゴールネットを揺らす。
負けがほぼ確定し、緊張感が切れた相手からもきっちりゴールを奪う。
5点・6点を当たり前のように1試合で取る力。
南米の底力を感じます。
緊張が切れてしまうところも、そこにつけこむ技術も南米らしいといえば、南米らしいですね。

さて、アジアカップ初戦、日本の結果は1対1。
しかも、勝利をほとんど手にした中での、痛い同点ゴールを許しての引き分け。
前回のコラムで書いたことが、まさかここまで現実となるとは?!
http://futebol.seesaa.net/article/46923068.html(まだの方はご一読ください。)
すっきりと終わらせることが出来ないのが、日本の実力というところなのでしょうね。
もっと、余裕を持ってボールを動かしていければいいのですが。
ピッチを広く使ってパスを回しつづける。
11対11での巨大な鳥かご。
空いたスペースを探しながら、ボールを動かしつづける。
相手の必死のプレッシャーを受けてものらりくらりとパスを回していく。
相手の隙を見つけて、急所に入りこむ。
その時の急激なリズムの変化、テンポアップ。
あっという間にゴール前でGKと1対1に持ちこんでいる。
気付いたら、試合終了の笛。
勝利者チームが当たり前のように勝ち点を重ねる。
そんな大人の姿を見せて欲しい。

まだ、コパアメリカを見てない方。
アルゼンチンやメキシコ、ブラジルのラスト10分の戦いぶりをぜひ見ていただきたい。
日本にないものが見えるはずです。
何よりも、ゲームを勝利のまま終わらせようとする、メンタルの統一。
今、何をすべきかを分かっている、フットボール偏差値とでも言うのでしょうかね。
一朝一夕には身につかないものだというのは分かってます。
ただ、日本代表はアジアカップ2連覇中の、優勝候補大本命です。
せめてアジアの戦いでは、大人の戦いを見せて欲しいと思いませんか。


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2007年06月26日

イヌの言葉で

「万事、人間の言葉では通じない。イヌ語で話しかけないと会話は出来ない。」
盲導犬訓練士第一人者・・・多和田悟氏

 盲導犬を訓練していくときに、訓練士の考え方だそうです。
昔見たテレビの再放送を観て思い出しました。
私たちは、自分の言葉や、他人の言葉を借りながら、伝えようとして行く。
しかも、頭でっかちの自分の考えを押し付けるように。
ただそれぞれの相手には、それぞれのレベルがある。
相手に分かるように伝えて行かなくては、何も身にはならない。
どんなに素晴らしい話でも、100に1つも理解されないでしょう。
所詮は伝え手の自己満足に過ぎない。

幼稚園生には幼稚園生に分かる内容を、分かる言語レベルで。
大学生には、大学生に理解できる内容を、理解できる言語レベルで伝えて行く。
相手の状態をよく観察し、相手が出来ることからさせていくように。
それが、イヌ語で話すということ。
どうしても、人間の言葉だけで話をしてしまう。
「なぜ分かってくれないんだ?!」
「どうして聞いてくれないのか?!」
あなたの相手は、分かろうとしていないのでもなく、聞こうとしていないのでもない。
あなたが何を言っているのか分からない。
そもそも、言葉を発しているかどうかも届いていないのかもしれない。
自分主体の発信ではなく、相手主体の発信。

 キャッチボールは意外と難しい。
ボールを相手の手が届く場所へ、受け取れるスピードで投げなくてはならない。
まずは、相手がイヌなのかサルなのか?
観察することから始めなくては。
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2007年06月22日

監督でも出来ないチーム運営

三浦淳宏選手。
ヴィッセル神戸所属の元日本代表選手。
昨年は、J2に降格したチームの危機を救うために、中心選手としてチームを牽引しました。
自身のワールドカップ出場のチャンスを事実上捨ててまで、ヴィッセルでのプレーを宣言。
見事、一年での昇格を果たしたのは、記憶に新しいところです。
「生涯神戸」の熱いコメントは、サポーターの心を鷲掴みに!!
チームメイトやサポーターがそんな彼を中心選手、チームの顔だと認めるのは、当たり前かもしれません。

そんな三浦アツ選手がピンチに立っています。
監督批判ともとれる言動をし、本日まで10日間の謹慎処分を受けてしまいました。
監督批判は許されるものではありません。
が、チームの顔とも言える三浦選手がなぜそんな行動をとったのか?
その事件が起こったのは、6月3日。
上位争いにも顔を出そうかとしていたヴィッセル神戸。
それ以降勝利から見放されています。
今期から正式に指揮を執る監督の方針から外れてしまったのでしょうか。
出だしの怪我もあり、試合に常に出てはいませんでした。
試合に出ていなかった選手が、練習に参加していない。
三浦選手のチームに与える影響は、それだけではなかったようです。

今回の事件を見ていて、ドイツワールドカップの失態を思い出さずにはいれませんでした。
チームを陰で支えた功労者を、ばっさりと切った前代表監督。
1ヶ月を超える遠征。
必ず、チーム内には大小問わず問題が起こります。
人と人が一緒の時間を過ごす訳ですから、問題が起きない訳が無い。
初戦オーストラリア戦の敗戦で、チームの雰囲気はどん底だったそうです。
そんな時に、頼りになるのがベテランと呼ばれる選手の力です。
ピッチの中では遅れをとるかもしれない。
劇的に進化を遂げる可能性は、極めて小さい。
それでも、培ってきた経験は、何物にも換え難い。
私は、メンバー発表の時から、警鐘を鳴らしていました。
http://futebol.seesaa.net/article/17909746.html
残念ながら、その懸念は的中してしまいました。

監督が間に立てばいい。
そう思う方もいるかもしれません。
残念ながら、選手と監督との間には、距離があるのです。
逆に言えば、ある程度の距離がないと、チーム運営が「なあなあ」になってしまいやすい。
チームのためには、非常な決断を迫られるのが監督。
その時にあまりに距離が近すぎると、決断が鈍ってしまう。
だからこそ、仲良しになるだけでは、指導者は務まらない。
そんな時に力を発揮するのが、ベテラン選手なのです。
色々な方向に顔が向いてしまったチーム。
もう一度、一つの目標に向かって進んで行くために。
ミーティングかもしれませんし、ちょっとした声掛けなのかも知れない。
これを効果的に出来る人間というのは限られている。
誰でもが出来るというわけではないのです。
チームで一目置かれている存在でないと、効果を発揮しない。
技術の高さよりも、人間性で一目置かれる存在。

チームの運営者は、そういった選手の存在を意識しないとならない。
敬意を持って接さなければならない。
今回のヴィッセル神戸は、それを忘れてしまった。
三浦選手の公式ホームページは、激励のコメントで溢れていました。
しかも、他チームのサポーターの書き込みが少なからずあるのです。
スタジアムでも、「三浦選手 17 生涯神戸」といった弾幕が多数見られています。
もし、三浦選手がチームを離れるとすれば、1選手を失った以上のショックが起こるかも知れません。
サポーターの総スカン、チームの士気消沈、他選手の離脱・・・。

さらに付け加えると、今の日本代表にはそういった選手はいるのでしょうか?
以前、三浦選手が果たしていたような役割を発揮できるベテランは?
試合中はベンチに座っているだけかもしれない。
それでも、必要な存在なのです。
深く、長いキャリアを持ったオシム監督は、影の功労者の必要性は分かっている筈。
稲本選手が、「みんな黙々とプレーしている」とコメントしていました。
一つのチームになっているのでしょうか。
オシム監督の下で、言われたことをこなしているだけの状態になっていないのか。
初めて、長い時間を一緒に過ごすアジアカップが開催されます。
組織を熟成させるには、最高のチャンス。
そのためには、チームを影から支える存在が絶対に必要なのです。
人間は筋肉や、脳みそだけでは動いていない。
心で動く生き物ですよね。


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2007年06月01日

ミスを味方に。

 東南アジアのスコールを思わせるような豪雨にしばしば襲われていませんか。
特に、都市周辺では、ヒートアイランド現象の影響もあるのでしょう。
日本がいよいよ、亜熱帯気候に近づいている・・・。
昨日も、首都圏ではバケツをひっくり返したような豪雨。
そんな中、私はスクールを開催していました。
普段だと、90分のトレーニングに2・30分の試合形式というのが定番です。
ただ昨日のような雨の中だと、集中力の欠如も想像されました。
さらにはプレーヤーの身体を冷やすわけにもいかず、ウォーミングアップの後は、全てゲーム形式に変更。
女性も含めた受講生の皆さんが、雨の中楽しそうに(半ばヤケ?)ボールを追いかけました。
結局1時間を過ぎたところで、雷の音も聞こえてきたので、中止にしました。
中止と決まった時の残念そうな表情は、楽しめた証のように映り、少しほっとしました。

このミニゲームを始める前に私が出した指示は一つだけ。
「ミスを味方につけよう」
元々、フットボールはミスのスポーツ。
手という一番器用な部位をあえて使わないルール。
他のスポーツに比べても、これだけミスが多いスポーツも珍しいのではないでしょうか。
そして、昨日は、ピッチの全面に水溜りが浮かんでくるような、激しい雨。
そんな中で、通常の力を発揮できるとは考えられません。
つまり、ミスが増える。
「ミスが起こってから動き出しては、間に合わないぞ」
「相手選手がミスをすると思って、こぼれ球に備える、ボールに寄せること」
「味方がミスをすると思って、助けてあげられる準備を常にしておくこと」
ミスを味方につけるチームは、ミスへの備えを万全にして動けているチーム。
ミニゲームの中で、いくつか、ミスを味方につけたプレーが出ていたました。
その瞬間はコーチの私にはうれしい瞬間でした。

 UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦。
先取点となった、ACミラン、インザーギ選手のゴール。
ピルロ選手のFKからのシュートが身体に当たって、それがそのままゴールイン。
あのプレーを狙っていたのかどうかは、定かではありません。
間違いなく言えるのは、インザーギ選手は備えをしていた。
ピルロ選手のシュートの瞬間には、相手GKのミスを予測して走りこんでいた。
GKがキャッチできずに、ボールをこぼすイメージを鮮明にもって走りこんでいたはずです。
その結果が大舞台での先制点。
まさに、ミスを味方につけた瞬間です。

逆にミスで自滅してしまうチームとは、準備が出来ていないチーム。
残留を争ったり、敗戦を重ねるチームは、ミスでつぶれていってしまうチーム。
彼らの特徴は、ミスが起こってから動き出すこと。
インザーギ選手も最初からフリーだったわけではありません。
リバプールDFのマークを受けていました。
シュートを打たれた瞬間に、ミスが起こることを想定して動き出せなかった。
インザーギ選手から目を離してしまった。
このDFがシュートを打たれた瞬間・その寸前に、次、何が起こるかを予見できていたのかどうか?
「ミスで失点してしまうのか」
「ミスでチャンスを逃してしまうのか」

優勝を争うチームというのは、ミスを味方につけることが出来るチーム。
雨が強いなら、どんな現象が起こるのか?
視界が悪くなる。
ピッチコンディションが悪くなる。
降り始めはボールのバウンドが伸びる。
もっと降り続くと、ボールが止まってしまう。
太陽がまぶしいなら何が起こるのか?
フロアが滑るなら何が起こるのか?
風が強いなら?審判がヒステリックなら?ピッチが狭いなら、等々・・・。

 様々な状況に対する備えがあるのかどうか。
備えの有無が、チームのとっさの対応力を決める大きな要素です。
トレーニングの時から、試合を想定することが出来ているか。
指導者が、様々な場面を設定し、提供することが出来ているのか。
プレーヤーは、自分のことだと、リアルにイメージすることが出来ているのか?
コーチの言うことを聞いているだけでは、試合の様々な状況に対応できないかもしれない。
トレーニングの設定や試合での約束を壊してでも、自分の発想で動き出す。
言われた通りではない状況が試合中には当たり前のように起こる。
その時に、ベンチのコーチを見つめていても間に合わない。
「この状況では何をすべきなのか?」
普段のトレーニングから常にイメージしておいてほしいのです。
もちろんその発想が、チームの利益を最優先したものであってほしいですよね。
自己満足のための発想なら、残念です。
そんなプレーや発想を許すチームもまた、チャンピオンチームには遠い場所にいるでしょう。
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2007年05月25日

専門バカ

太平洋戦争さなかに生まれる。
10代半ばにして大手企業に就職。
下積み期間を経て、設計技師としてキャリアを積む。
出世をしていき、管理職に職種を変える。
その後、徐々に転勤と年数を重ねていき、地方支社の支店長まで昇格。
数年後に定年間近に退職、再就職。
ある男性のサラリーマン人生を、ごくごく簡単に記したものです。
男性の数10年に渡る頑張りを、違和感無く感じられますよね。

日本社会では、こう言った価値観が根強く残っていませんか。
出世=管理職。
能力が高い=ゼネラリスト。
フットボールの世界でも、同じような価値観が存在します。
すごく個性的な選手。
飛びぬけた、突き抜けた能力を持っている選手。
そんな彼にも欠点がある。
突き抜けた才能を評価するよりも、まずは欠点を直そうとする。
欠点を挙げて、下手だと低い評価を与えてしまう。

UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦。
ACミランがリバプールFCを2対1で下して、欧州NO1に輝きました。
そこで2得点を挙げたのが、フィリッポ・インザーギ選手。
彼は決して、上手いと呼ばれる選手ではありません。
ドリブル・トラップ・キック。
おそらく、彼よりも高い能力を持った日本人FWはたくさんいるでしょう。
彼よりも止める・蹴る・運ぶが下手な代表FWはいないのではないでしょうか。
それでも、インザーギ選手はヨーロッパで1番になったチームの主力選手。
ヨーロッパ、つまり事実上の世界一決める大会で2得点を挙げる選手なのです。

彼の能力は、ペナルティーエリアのボックス内で発揮されます。
形などこだわらない。
この能力が、先取点となった、FKが何故か彼の身体に当たって入ったゴールに表れました。
とにかく、ゴールに絡んでいく。
身体のどこに当ててもいいから、点を取る。
どんなに美しいゴールでも、ころころと転がって入ったゴールでも同じ1点。
いかなる状況からでも、ゴールを目指す。
それを体現し続けるのが、インザーギ選手ですよね。

もう1つの彼の能力は、厳しいマークを外してフリーになること。
マークが一番厳しいはずの最前線でも、気付いたらマークを外している。
この能力が、決勝点となった2得点目の折に発揮されました。
特に、DFラインの裏に抜け出すタイミングは最高。
彼の動きを見ていると、勉強になります。
フラフラしながら、わざとオフサイドポジションを移動。
もしくは、オフサイドポジションとオンサイドポジションの間をジグザグに行ったり来たり。
DFが「最終ラインを形成したい、それでもマークは外したくない。」
この心理に見事なまでにつけ込んでいます。
マークを外してしまった瞬間の、リバプールDFの表情は悲しげでもありましたよ。

インザーギ選手の持つ、大いなる2つの才能。
この才能の煌きが、ACミランを勝利に導きました。
おそらく、彼には賞賛の嵐が降り注がれていることでしょう。
彼がもし日本で生を受けていたら?
そんな想像をした時に、恐ろしい考えがよぎってしまいました。
平凡な選手に過ぎなかったのではないか?
もしくは、プロ選手にすらなれなかったのではないか?
彼の持つ、2つの異才。
この長所を大切に育てる指導者は、日本にいたのだろうか?
周りはそれを許したのだろうか?

指導者である、自分自身に置き換えて考えたときにも100%の自信がありません。
我々日本人が持つ価値観を変えなければならない。
ゼネラリストだけが素晴らしいわけではない。
この価値観が、上手いけど何の面白みの無い選手を大量製造してしまってはいないか?
スペシャリストを専門バカと呼んでいるようでは、いつまでたってもインザーギ選手は日本に生まれてこない。


イタリアでも、彼に対する批判はあがります。
その度に彼は、結果を出して、その批判を打ち消してきました。
ゴールと勝利という結果を残し続けています。
「それぞれ全てのゴールが自分にとって意味のあるもの
 どれか1つが素晴らしいということはない。
 それよりも、なによりも大事なことは勝つこと、勝って何かをつかむということ」
フィリッポ・インザーギ選手(元イタリア代表)
リーグ戦通産269試合出場126得点、ヨーロッパカップ戦通産約80試合出場58得点!!
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2007年05月01日

プロフェッショナル。

 プロフェッショナルの定義とはなんでしょうか?
その仕事でお金をもらっている、本業にしている。
本職、専門職。

 JFAは、豊富な経験と高い技術を有する審判員に対して、
審判活動に専念できる環境を与えることを目的に、
2002年3月からスペシャルレフェリー(SR)制度を導入しました。
SRは、審判委員会がJ1担当者(1級審判員)の中から選出(2006年9月現在、6人)し、
SRは審判活動によって主たる収入を得ることになります。

先週末のJリーグで、誤審騒ぎが相次ぎました。
横浜FC対清水エスパルス。
アルビレックス新潟対横浜F・マリノス
ヴィッセル神戸対FC東京。
この3試合。
その内2試合は、判定いかんでは、勝点が変動していたという緊迫した試合。
これら3試合の内2試合を担当した審判員は上記で説明したSR。
(柏原丈二、家本政明両氏)
別に、プロだから全て正しい、全て優れているとは思っていません。
審判も我々と同じ人間。
ミスはあって然るべきです。

ただし、プロフェッショナルならば、厳しい監視の目にさらされるべきです。
スポーツニュースを見ていても、誤審については、あまり大きく取り上げられていない。
せいぜい、こんなことがありましたよ、と触れる程度。
もしこれがプレーヤーなら?!
試合を左右するほどのミスをしたらどうなるのか?
繰り返し繰り返し、そのミスを追及されるのではないか?
逆に、いいジャッジをすれば、誉められる。
これもまた少ないですよね。

メディアや、スタジアムの運営サイドは、審判を過保護にしていないか。
テレビや、現場のオーロラヴィジョンで何度も繰り返しリプレーしてもいいのではないか。
審判を批判から守ろうとしているのでは?と勘繰りたくなります。
厳しい環境が人を育てるはずです。
甘えを許さない目が、技量を向上させる。
Jリーグのレベルがなぜ向上したのか!?

プロフェッショナルとは?
「闘い続けられること。言い訳をせずに闘い続けるってことですかね」
・・・プリマ・バレリーナ、吉田都
英国ロイヤル・バレエ団において10年もの間、トップ・プリンシパルの座に君臨し続ける。
“ロイヤルの至宝”とも称された。

「どんな状況になろうとも自分のベストを尽くすべく、
 その試みを最後まで諦めずにすること」
・・・指揮者、大野和士
ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)の音楽監督を務める。
他にも、イタリア・クロアチア・ドイツなどヨーロッパで活躍。
「モネの幸運」と称されるほど、欧州楽壇の注目を集めている。

「どういう状況でも、自分の仕事を遂行する人のこと」
・・・ドゥンガ
現ブラジル代表監督、元ブラジル代表キャプテン。
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2007年03月16日

ミスが勝敗を分ける。

FIFA女子ワールドカップ2007年北京大会。
出場権をかけて、メキシコ代表とプレイオフを戦う、日本女子代表チーム。
国立競技場で行なわれた、初戦。
2対0と言う、理想的な結果で、なでしこJAPANが勝利をおさめています。
ただし、その内容は、100点満点とはいえないものでした。
メキシコに、危険なシーンを作られ、ヒヤッとする場面も何度かありました。
しかも、そこにはパスミス、クリアミス、マークミスといった日本のミスが絡んでいるのです。
第2戦が迫ってきました。
日本女子代表は、このプレイオフを戦いぬけるのでしょうか?

こういった、負けが許されない、勝利こそが全てといった戦い。
ここで大きくものをいうのは、ミス。
ミスを味方につけ、相手につけ込むのか?
ミスを活かされ、つけ込まれるのか?
フットボールは、ミスのスポーツ。
一番確実にボールを扱える、手を使わないスポーツ。
ミスが起こるのは当たり前です。
チームとしても、個人としても、ミスに対する備えが大切になって来ます。
その場、その場における、瞬時の対応力。

前にも紹介しましたが、現代表大橋監督。
彼が、指導者講習会で語ったフレーズが忘れられません。
彼は、シンガポールリーグで、指揮を振るっていた経験があります。
シンガポールでは、晴れていたのに突然大雨(スコール)に襲われる。
視界は悪くなり、ピッチコンディションは大きく変わってしまいます。
水溜りが出来、ボールが止まったり、ボールのバウンドが変化してしまうのです。
「一回失敗してからでは遅い」
大橋監督は、様々なエピソードを交えて、語って下さりました。
我々指導者にとっても、プレーヤーにとっても大切な部分ですので、改めてご紹介します。
http://futebol.seesaa.net/article/11069829.html

負けると後が無い、プレイオフ。
周り全てに味方がいない、メキシコでの戦い。
2800Mもの高地での試合。
初体験の選手たちも多いでしょう。
報道を伝え聞く限り、万全の用意をして臨んでいるようです。
それでも、最後にパフォーマンスするのは選手です。
彼女達が、大橋監督の言葉、真の意味を理解できているか?
選手たちの応用力と柔軟性。
応援しながら、しっかり見極めていきたいと思います。



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2007年01月01日

ONとOFF

「ピッチの中での声やコミュニケーションが少なく、静かに感じました。」
先日から報告しています、指導者講習会での一幕。
講習会の締めとなる、ホールでの講義がありました。
そこでの質疑応答の時間、私がトレセンコーチに質問した内容です。

私はさらに、質問を続けました。
「コーチの皆さんは、選手に積極的に働きかけていました。
 ただ、それが空回りしているかとも思えるくらい、選手の反 応が悪く、静かでした。」
「その、一番の原因は、何だとお考えですか?」
トレセンコーチ達は、お互いに顔を見合わせます。
静まり返ったホールに、私の声だけが響きました。

私の質問の答えの前に、幾つかのエピソードを紹介してくださいました。
・高校年代、中学年代の男子は、さらに静かなこと。
・さらに、JFAアカデミーの授業に、オシム監督が来た時。
男子が最後まで静かだったのに対して、女子が積極的だったこと。
女子のゴールキーパーの選手が、オシム監督に質問しました。
「日本人は世界では背が低いと言われています。
 どのように戦っていけば良いのでしょうか?」
オシム監督は、ジョークを交えて、激励しました。
「君を見ていたら、ここが日本だというのを忘れてしまうよ。」
「このまま、トレーニングに励んでください。」
そんな彼女の身長は、中2にして、183センチだそうです。

 さて、JFAは若い選手のコミュニケーション不足に対して、どのように取り組んでいるのか?
まず前提として、今の選手達は、日常生活はどうなのか。普段から、意見を発したり、コミュニケーションをとることを求められていないようである。
そんな選手達に、いきなりピッチの中で声を出せと言っても難しい。
もちろん、トレーニングやゲームの中で、コミュニケーションを取ることは継続的に求めてはいくが・・・。
JFAも苦労している姿が、浮かび上がってきました。

まずは、ピッチの外(OFF THE PITCH)で、自分の意見を発する環境を作っているそうです。
例えば、グループワーク。
何人かのグループを作って、課題をクリアしていく。
その中で、自然と意見を出しあったり、コミュニケーションをとるのが当たり前になっていく。
それを、家庭にもお願いして、続けていく。

フットボールの時だけ(ON THE PITCH)声を出させても、うまく行かない。
それならば、まずはピッチの外から意識を変えていく。
遠回りに見えても、一番大切なことではないか?
確かに、ピッチの外で、自分の考えを整理できない人間。
自分の意見を発することが出来ない人間。
そんな人間がプレーヤーになった時だけ、いいコミュニケーションを取れるわけがないですよね。

結局は、人間性が問われるのです。
それは、実際の現場だけで作れるものではありません。
そこに至るまでの過程。
その人間の背景。
知らず知らずのうちに、それら全てが、問われるのです。

トレセンコーチは、さらに、もう一つ大切な考え方を示唆していただきました。
そのコーチは、何十年も高校の教師をされていたそうです。
「学校の授業はどうでしょうか?」
「生徒の自主性を促すような授業はあるのでしょうか」
「YesかNoしか答えることの出来ない授業がほとんど。
 自分たちで答えを作りだすような授業はなかなかないですよね」
「そこで育った選手達に、自分たちで意見を出せと言われても習慣にないことは難しいですよね。」

年の最後に、私にも取り組むべき課題が生まれました。
新しい年には、この課題に取り組んでいきたい!
私の決意表明に変えて、紹介させていただきました。
拙い文章ですが、今年もよろしくお願いします。
posted by プロコーチ at 02:14| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月21日

無理をしてもいいところ

技術レベルは高く、パスは回るし、ボールコントロールも巧み。
グラウンダーでの素早いパスや、ドリブルを織り混ぜての攻撃。
国立競技場の美しいピッチが、このスタイルを支えています。
失礼な言い方かもしれませんが、
インドの競技場ではこういったスタイルで闘おうという気にはなれないでしょう。

Uー21日本代表戦でのことです。
今日の韓国代表は、ガンガンにプレッシャーを掛けてきませんでした。
自陣までは、日本にボールを持たせる時間の方が長いのです。
先日、韓国で行われた試合とは、好対象のゆったりとした展開になりました。
韓国での試合は、すさまじい高速プレス。
そして、ボールを奪ったら、個の力を押し出しての、圧倒的な攻撃。
反町監督の言う通り、引き分けがやっと、延長戦をしていたら負けていたのは、その通りかもしれません。

ただ、日本もなかなか得点には結びつきません。
ある程度のところまではボールを運べます。
そしてシュートまでは持ち込むものの、あと一歩が遠く感じられました。
それに対して、韓国の攻撃の回数は多くはないのですが、正直怖かったです。
特に後半は、決定機など数えるほどなのですが、それでも怖さを感じて観ていました。

その違いは、なんでしょうか?
多くの理由が考えられます。
その中でも一番感じたのは、強引さでした。
韓国のアタッカーは、とにかく自分の力でなんとかしてやろう!
この気持ちを、何度も何度も強烈に感じられました。
何人に囲まれても、無理やりゴールに向かう姿勢は、スタンドまで伝わるものがありました。
日本のアタッカー陣からは、韓国人選手のそれと比べると、何分の一。
勝負せずにボールを運んでアーリークロス。
DFを外してのパス。
確かに上手いのですが、勝負を避けているかのようにも感じられます。


そんな中で、日本の得点シーンが生まれます。
右サイドのゴールラインまで30Mほど離れたところで、水野選手(ジェフ千葉)がボールを受けます。
そのまま、ドリブルで仕掛けて行くのですが、サポートが無く孤立してしまいます。
韓国DFは速いカバーもあり、1対2の数的不利な形になってしまいました。
ここで、後ろに戻して逃げるバックパスか?
それとも、ドリブルで逃げながら、クロス。
ゴール前に上がればラッキー、相手DFに当ててコーナーキックでも取りに行くのかな?
そう思った瞬間です。
水野選手は、果敢にも勝負を挑んでいきます。
小さいフェイントを混ぜながら、ゴールラインに向かって突進していきました。
後手に回ったDFの2人を引きずるような鋭い突破です。
ゴールラインまで深くえぐった水野選手、そのままゴール前にクロスボールを上げます。
そこには、マークを外した、増田選手(鹿島アントラーズ)が飛び込んで来て、ヘディングシュート。
見事な同点ゴールが生まれました。

どんなにテクニックを高めて、戦術理解力を上げていっても、ゴールはそれだけでは生まれない。
最後は、誰かが無理をしないと!
ボールを持ったところかもしれないし、
ボールを持っていない、フリーランニングかもしれない。
相手ゴールに近づいたところで、きれいなだけのプレーは通用しないでしょう。
国際試合ならなおさらです。
そこは、いい意味での無理を、積極的にしていくところです。
(相手ゴールに近づいたアタッキングサードと呼ばれ、
 ピッチを縦に3分割した、前方3分の1の地域)
リスクを背負って、勝負を仕掛けていく。
たとえ、何十回と失敗しようと、構いません。
守っているDFは、勝負してくる選手が一番怖いのです。

「得点するコツ?チャンスだと思ったらエゴイストに徹すること!」
・…74年ワールドカップ得点王、ゲルト=ミューラー選手(ドイツ)


他に、いい無理をしていたのが、野洲高校の乾選手、サンフレッチェ広島の青山選手でした。
posted by プロコーチ at 23:56| Comment(1) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする