2013年02月01日

本物をたくさん見る

 私が母に教わったことがあります。

「いいものをたくさん見ること、そうすれば自分の中に基準が出来る」

何度かご紹介した私の母は、40年以上、和食器を中心とした民芸品のお店を開いています。

全国から自分の目利きで仕入れをする。

若手の職人さんに、アドバイスをしながら、育成をする。

先日は長年の貢献が認められ、民芸館の大きな賞を頂いたようです。

その母の教えです。

「何がいいかを難しく考えなくてもいい、(基準があれば)自分の好きだと思うものを選ぶこと」
 
いいものをたくさん見続けることで、目が養われていくとのことです。










 さて話は変わりますが、昨日、テレビでバイオリンの特集をしていました。

千住真理子さんという、著名な演奏家の方が出ていました。

彼女の愛器は1716年製ストラディヴァリウスで、「デュランティ」という名前。

しかも、幻の名器らしく、その価値は数億円だそうです。

番組の中で、彼女が2台のヴァイオリンで演奏してくれました。

一方は10万円のヴァイオリン。

もう一つは、数億円の愛器。

同じ曲を演奏するのですが、私にはどちらがよくて、どちらが悪いのかが分かりません。

違うことは分かるのですが、どちらがいいのか?!

10万円の方が、実は数億円のものだった!と言われても、正直区別がつかない。

恥ずかしながら、私の耳は貧しいものですね、、。










 和食器においては、私の中に、ある程度の基準があります。

安物だな、工業製品だな、職人さんが丁寧に作っているな。

その違いは、ひと目で分かります。

生まれた時から、私は母の選んだ多くの食器に囲まれていました。

民芸館や博物館に他店など、様々な見る機会を与えてもらっていました。

プロの目利きとは言えませんが、自分の好みは言えるレベルになることが出来ました。

でも、ヴァイオリンの好き・嫌い、良い・悪いは分からない。

自分の中に基準が無いのです。

それはもちろん、いいものを繰り返し聴いていないからです。









 フットボールの世界においても、同じことが言えるはずです。

例えば、テクニックを習得させるために。

世界のトップ選手が、どのように行っているのか?

トップオブトップの選手を何人も見る。

一人一人が持つ技術は、もちろんそれぞれ異なっています。

でも、彼らの中に、共通する特長があるのです。

良いものをたくさん見て、テクニックにおいての基準が出来る。










 指導の際には、それを抜き出して、言語化する。

何度も何度も見て、彼らに共通する何かを見つける。

では、目の前の指導対象はどのように、プレーを実行しているか?

自分の中にある基準と比較してみる。

すると、何を伝えればいいのかが、浮かび上がってくる。

そのポイントを伝えれば、選手が変わるきっかけを手に入れることも!










 この基準が、自分の経験則でのみ、築き上げたものなのか。

自分の経験は、もちろん大事。

その基準は、汎用性のあるもの?

まずは、お手本となるべく、いいものをたくさん見て研究すること。

それが、自分の中の基準になっていく。
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2013年01月29日

四隅に。

 私のスクールでシュート、つまりフィニッシュをテーマにした授業をすることになりました。

今までも、何回か取り組んできたこのテーマ。

何を、どのように伝えていけばいいのか?

どの部分を改善すべく、取り組んで行けばいいのか?








 以前に取り組んだ際には、ボールの状態における留意点を伝えました。

3回に分けて、トレーニング。

・ボールが後ろから前に転がっている
(パスを追いかけている、ドリブルで前に持ち出して)

・ボールが前方から自分に向かって転がってきている
(FWの落とし、相手のクリアボール)

・ボールが横から入ってきた
(クロスに対して、グラウンダーの横パス)

それぞれ、技術的・戦術的な側面をピックアップして、伝えていきました。









 今回は、これらと違った切り口で伝えることになりました。

1回目は、2タッチでシュートを打つ状況でのトレーニングにしました。

その中で、大きくこだわった点。

「四隅に打てる状態を作る」

これは、B級講習会の中で、印象に残っていることでもあります。

インストラクターのコーチが、我々に、伝えてくれたことでした。

(ゴール右下隅、右上隅、左下隅、左上隅の四隅)










 ボールをどこに持つのか?

ポイントは、体の中に、ボールを入れない。

体の構造上、股関節の可動域には限界がある。

つまり、右利きの選手が右にシュートを打ちたい時に、体の向きが変わりやすい。

ボールが体の中にあると、それがハッキリと起こってしまう。

左右のどこに打っても、体の向きが変わらないのが理想。

このようなボールと自分との関係はどこか?









 ボールをコントロールした時。

また、ドリブルしている時。

ついつい、ボールの位置が体の中に入ってしまう。

ボールは奪われにくく、運べるかもしれないが、

それでは、シュートを打つまでに時間が掛かってしまう。

左足も、右足も同様に使える選手は、少ない。









 利き足を意識して、ボールを置く。

そして、単純に利き足の前では無い。

四隅に、スムーズに打てる、ボールの位置を探すこと。

ボールと自分との距離は?

自分とボールとの角度は?

これが見つかれば、いかに速く、この場所にボールをコントロールするのか?

簡単ではないが、四隅に打てる位置にボールがあれば、GKは困ってしまう。










 GKがボールを簡単に見送ってしまう。

それほど強くないシュートなのに、GKの反応が遅れてしまう。

なぜこのようなことが起こるのか?

四隅すべての場所にシュートが打てる位置にボールがある。

そして、相手GKにシュートのタイミングを教えない工夫。

トレーニングの最後には、そのようなシーンが見えてきました。

簡単なことではないけども、価値のある取り組みであることを実感した瞬間でした。





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2012年10月16日

ルーズボールをマイボールに

 日本が、歴史的な勝利を収めたフランス戦。

守って、守って、一発のカウンターアタックでゴールを奪う。

強豪国との対戦時は、この戦い方を狙うべきなのではないか?!

日本人の良さが生きていた。

困難に耐える精神力、チームの約束事を守る力。

あれだけ攻められても、幅も厚みもコンパクトな状態を保ち続けた。

南アフリカでも見せてくれた、世界に通用する戦い方です。







 このフランス戦で、興味深いプレーがありました。

フランス代表、カリム・ベンゼマ選手が、そのプレーを見せてくれました。

あっという間の、何気ないプレーなのですが、彼の能力の高さが分かります。

ボールコントロールが巧みで、力強いシュートも決める。

かと言って、独善的にプレーをするのではなく、周りを使うプレーも。

ドリブルの突破も出来、ボックス内でも落ち着いたプレーを見せる。

対峙する相手DFは、本当にしんどい思いをさせられるでしょう。







 アタッカーとして、素晴らしいプレーを見せるベンゼマ選手。

見せてくれた、何気ないプレーとは、ルーズボールを奪い合う局面で見せてくれました。

ドリブルのタッチが乱れ、相手DFとの間にボールがこぼれます。

向かい合った二人の間で、どちらのものでもない、ルーズボールになりました。

ほんの一瞬なのですが、集中している両選手、すかさず、反応を示します。

日本のDFは、チャンス!とばかりに足を伸ばしてきます。

スタンディングタックルです。

ところが、ベンゼマ選手は、ピタッと止まります。

すると、もちろんボールに先に触れたのは、日本人DF。

ボールは、止めて待っていたベンゼマ選手の足に当たります。

そして、日本DFの足を越え、ベンゼマ選手側に、ボールがポロリとこぼれました。










 この、一連のプレーは、ほんの一瞬のうちに行われました。

ボールが、ベンゼマ選手の下にこぼれたのは、偶然ではありません。

ベンゼマ選手は、狙いを持って、足の動きを止めたのです。

ルーズボールの競り合いでは、ボールの正面に入り、一瞬止まって、壁になる。

すると、止まっている選手が勝つのです。

無理やり足でボールを取りに行っても、ボールは自分の側にはこぼれてこない。

選手によっては、当たる瞬間に、あえて力を抜く方法を採ることもあります。









 この競り合いの一瞬の動き。

タイミングを間違うと、タックルに来た相手に、ボールをかっさらわれてしまいます。

逃げずに、ボールの正面に入りながらも、一瞬止まる。

もしくは、力を緩める。

すると、相手の足の上をボールは越えて行き、自分のボールになる。

力強くボールにタックルに行った選手の力を、うまく利用するイメージでしょうか。

小さい頃から、たくさんの競り合いを繰り返す中で身につけた技術に違いありません。

カリム・ベンゼマ選手の、技術の幅を、改めて見つけました。


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2012年09月11日

キックの習得のために

 私たちのスクールでは、インサイドキックに1つのこだわりを持って指導しています。

ボールを大事する試合を行うために。

多くの人間が、できればすべての選手が、試合を組み立てていく。

キック&ラッシュ、特定の人間のパワーやスピードに頼らないために。

試合の中で、多少プレッシャーがあったとしても、パスをつないでいきたい。

そのための、大切な武器となるのが、インサイドキックです。








 10年間、このことに取り組んできました。

それは、選手だけでなく、コーチも同じです。

我々の指導のレベルも、徐々に高まってきています。

どこを見て、何が足りないのか?

そして、どのように伝えて行けばいいのかも、見えてきています。

10年の蓄積でしょう。

まるっきりの初心者であっても、必ず、インサイドキックを習得できる。

そんなメソッドを持てるようになりました。

どのようなトレーニングをすれば、目の前の選手が蹴れるようになるのか。

どのようなアドバイスをすれば、キックが改善するのかを。









 そして、今回、新たなチャレンジに取り組んでいます。

インステップキックです。

このキックを、0から習得していくこと。

経験者であれば、当たり前のように蹴っているかもしれない。

ところが、回転や弾道、伸びを意識して蹴れているかどうか?

意外と、蹴れていない経験者も少なくないはずです。

これが、ボールを蹴り始めて数年なら、ほとんどの選手が蹴れていないのです。

どのようにして、インステップキックを習得するメソッドを構築するのか。

取り組んでみて、その深さに、難しさに気づかされました。

基本のキックの一つとされていますが、やはり簡単ではありませんでした。









 メソッドを作っていく過程で、様々な角度から研究することにしました。

熟練者と、初心者の違いは何か?

インステップキックのマスターを阻害する要素はどこにあるのか?

自分で様々な蹴り方をして試す。

たくさんのプロ選手のキックを見て研究する。

指導書、専門書をひっくり返して、ポイントを復習する。

そして、独りよがりにならないように、科学的な裏付けを持つ。

そのために、バイオメカニクス・物理の視点を持ち込みました。

ボールを遠くに飛ばす、強く飛ばすということは、感覚だけではないからです。








 多くのドリルが出来上がりました。

今後は、そのドリルの有用性を、試していく。

そして、コーチングのポイントを整理する。

この作業が進んでいけば、インステップキックの習得を助けてくれるはずです。

最終的には、選手個人が蹴って、蹴って、蹴り込まなくてはならない。

その「コツ」を伝えながら、導いていこう。

ボールが気持ちよく、スパーーンと飛んでいく感覚を持たせてあげたい。
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2012年08月31日

積み重ね。

 見事!!準決勝に進出した、U-20女子代表。

全ての試合において、主導権を握って、試合を進める。

その技術の高さ、戦術遂行能力の高さ、フィジカルの充実が見て取れます。

いい準備をして、この大会に臨んでいるのでしょう。

ゴールパフォーマンス1つを見ていても、チームの一体感が分かります。








 彼女たちの試合を見ていると、実に、積み重ねを感じます。

特に、ボールコントロール。

立ち止まって、足元に丁寧に止めて。

足元に止めて、相手と駆け引きをして。

彼女たちが取り組み続けたのは、このようなコントロールではありません。

2005年から始まった、ナショナルトレセン女子U-15。

そこから発信されていたコントロールが、ベースになっています。

2006〜8年のナショトレキャンプの名簿を引っ張り出します。

今回のU-20の選手たちの名前が、実に多く見つけることが出来ます。










 ポイントは、動きながらテクニックを発揮すること。

自分がボールを受けたい場所を空けておく。

ボールと、その場所とで出会う。

動きながらボールをコントロールして、動きながらそのままパス。

選択肢がある位置に、動きながらボールを置く。

全てのプレーは、動きながら行う。

見事ハマれば、本当にスピーディで、見ていて気持ちのいいものです。









 2005年の頃は、コントロールや、パスミスが数多く見られました。

全国から、選抜されたウマい少女たちが集まっているはずなのですが。

向かい合って行われる、単純なパス&コントロールにもミスが多く見られました。

立ち止まって、ボールをコントロールするのならば、ミスも少ないはずです。

でも、彼女たちに求められたのは、動きながら、観て、判断して、コントロールすること。

パスなので、出し手と受け手とがタイミングを合わせなくてはならない。

動きながら行うことの難しさを、見学しながら痛感していました。









 それが、2010年になると、かなりスムーズに行われていました。

ほとんどスピードを緩めることなく、ボールに近づいていく。

そしてそのまま、動きながらボールコントロール。

パチンとボールにインサイドの面をぶつける。

利き足の前にボールをコントロール。

ノッキングすることなく、プレーは流れていきます。

たった、5〜6年なのですが、明らかに上達していました。

日々、自分の所属チームで取り組んでいたのでしょうね。








 その効果は、試合で見られます。

相手を置き去りにするコントロール。

次の展開をスムーズにするコントロール。

バルサのやり方とは、また違います。

もはや、日本の女子のスタイルといってもいいでしょう。

なでしこスタイルとでも呼ぶのでしょうか。

このコントロールに、技術の高さと、蓄積の確かさを見ました。

これを武器に、残り2戦も勝ち抜いて欲しいものです。
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2012年08月28日

ボールを受ける前に

 アーセナルのサマーキャンプを見学に行きました。

小学生の子供たちが、暑さに負けず、トレーニングに取り組んでいました。

普段、所属しているチームとは、違うことが求められる。

そもそも、フットボールにおける、価値基準すら違うでしょう。

簡単ではない状況でも、子供たちは、一つ一つのメニューに奮闘していたのです。








 テーマの一つに、スピード!があったように感じました。

様々なスピードがありますが、単純なスピード。

ランニングのスピード。

スピードに乗った、プレー。

W-UPにも、方向を変えながら、スプリントを繰り返すものがありました。

まっすぐダッシュして、マーカーで一気に90度方向を変える。

ここには、トップチームのアーセン・ベンゲル監督の考えが反映されているのでしょう。

彼は選手を獲得・起用する際に、ランニングスピードを重要視している。

スピードを活かせる選手、彼の求める選手の条件でもあるのです。








 トレーニングを見ていると、常にステップを踏ませていました。

パスを受ける前の選手たちにです。

その場で、つっ立っていることを許さない。

てこてこ、とんとん、どのような擬音が合うでしょうか。

軽く足踏みをするように、その場で、左右の足を動かしている。

小1の子供にも、小6の子供にも、その要求は変わりません。

リラックスさせ、てこてこ、とんとん。






 
 このステップの効用は、何でしょうか。

小さくても動いていることによって、次の動きがスムーズになること。

パスがずれた、動いているから、さらに大きく動くことは難しくはない。

これが立ち止まっていると、足を伸ばしてしまいやすい。

動いているから、マークを外すために、一気にスピードを上げることもできる。

フェイクを入れて、マークを外す。

全てに通じる、予備動作になっているのです。









 これは、バルサキャンプの時にも、コーチが求めていたステップです。

この時には、両足で同時にトントンとステップをする動きもありました。

立ち止まっているように見えても、突っ立っているわけではない。

ボールの動きに合わせて、少しずつポジションを移動していく。

相手の反応に合わせて、ポジションを変えていく。

人も、ボールも止まっていては、フットボールは出来ない。

どのように動くのか?

止まっているように見えても、完全に止まってしまっているわけではない。

身につけておきたい、重要な技術の一つ。



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2012年07月31日

 生きるための知恵を用いる。

 守備における、ポジショニングの原則がある。

正しいポジショニングを取り、いい準備をすること。

ボールが入る前、オフの状態から、守備は始まっている。

いかにいい準備をするのか?

自分がマークしている選手に、いい形でボールを持たせないために。









 ボールがいつ自分がマークをしている選手に来てもいいように、準備を整えておく。

マンツーマンDFのチームは、あまりないでしょう。

マークの受け渡しや、カバーリングも意識しなくてはならない。

それでも、少しでもいいポジションを取り続けること。

いい守備をする鉄則です。








 自分のマークしている選手に、ボールが出そうだ!

いい準備をしていたら、インターセプトを狙えるかもしれない。

守備の優先順位の、最上位にあるプレー。

インターセプトが出来れば、そのままカウンターのチャンスになるかもしれない。

相手チームは、インターセプトを恐れて、パスを入れれなくなるかもしれない。

インターセプトは、味方にとっては最高の貢献です。

相手にとっては、許してはならない、最悪のプレーの一つでしょう。









 生真面目なDFは、その勢いというかオーラが他人に現れてしまっている。

インターセプトに行くぞ!プレッシャーをかけるぞ!

行くぞ、行くぞ。

体重が前に掛かって、前のめりになってしまっていることもある。

そのオーラは、もちろん相手チームにも伝わってしまう。

賢い攻撃の選手なら、そこにはパスを出さないでしょう。

もっと賢い選手なら、足元に出すふりをして、裏にポンっとパスを出してしまう。










 守備の選手も、相手選手に対する、駆け引きが必要です。

自分の意図を隠しておく。

自分の意図とは違うことを、相手に伝える、演技をする。

攻撃の選手が、フェイントやフェイクをいれて、相手を騙そうとする。

全く同じ考え方ですよね。

バカ正直に、振舞っていては、自分より能力が高い選手・チームには勝てない。

ルールに則って相手を騙すことは、悪いことではありません。

選手が、生き抜くために行う、素晴らしい工夫の一つです。

この考え方が、まさにマリーシアと呼ばれる、ブラジルの考え方です。

生きるための知恵とでもいうものでしょうか。

ずる賢さとは、異なるものです。









 この典型的なプレーが、ロンドンオリンピックのスペイン戦で見られました。

スペイン相手に先取点を奪い、ノリノリになっていた時間帯。

永井選手が、相手チームのバックパスにプレッシャー。

トラップしたところにショルダーを当て、ボールをを奪い取った。

そのままゴールに向かい、抜け出そうとした。

すると、たまらずCBのマルティネスが後ろからシャツを引っ張りながらファール。

レフェリーは、得点機会の損失と取ったのでしょう。

レッドカードを出された、あのシーンです。








 改めてそのシーンを見てみると、永井選手の賢さ、抜け目の無さが分かります。

スペインの3番アルバロドミンゲスが、中盤からバックパスを受けました。

右サイドよりの後方でボールを受け、逆サイドに展開しようとしています。

前方が詰まっているとの判断なのでしょう。

この時、中央にいた永井は、のんびりとボールの行方を見守っている。

かのように見えました。

そして、3番が、中央の後方に位置する、マルティネスにパスを戻そうとしました。

まだ、永井はふらふらしています。

バックパスの動作に入り、後方を向き、ボールに目を落としました。

その瞬間、永井が猛然とダッシュしました。

パスが出されるであろう、CBに向かって。

まるで、野生動物が、狩りをするかのように。

本能を丸出しにして、相手選手に襲いかかって行きました。

慌てたマルティネスは、単純なコントロールミスをしてしまう有様です。

永井の猛然と襲いかかる迫力に、プレッシャーを感じてしまったのか!?

そして、永井はボールを奪い、相手のファールを誘ったのです。








 あのバックパスを奪うプレーは、完全に誘っていました。

そうでなければ、バックパスと同時に、トップスピードには乗れないはずです。

バックパスを出させて、ボールを奪うアイデアが、その瞬間あったのでしょう。

でも、その素振りは見せない。

狙う気マンマンに、オーラを出してしまうと、自分の届かないところにパスを出されてしまう。

永井が、自分が輝くために、生きるための知恵を使ったのです。










 シュートを外す場面や、決める場面、どちらも派手なものです。

あの、圧倒的なスピードにばかり目が行きがちです。

彼の本当に優れている部分は、そこだけでは無いようです。

私は、彼がどこまで、論理的に物事を考えているかは、分かりません。

でも、ピッチで生き抜くために賢く振舞う術は、持っているようです。
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2012年07月24日

遠くに飛ばす

 4年に1度のオリンピックが、いよいよロンドンで開幕します。

盛り上げるように、新聞、雑誌、テレビ、ネットでもたくさん取り上げられています。

スポーツの記事が盛りだくさんなので、なぜかテンションが高まります。

違う種目であっても、真剣に取り組んでいる姿を観るのは、いいですよね。

その姿は、心を動かされるものがあります。







 話題の選手の1人である、陸上・やり投げの選手である、ディーン元気選手。

彼のルーツもあり、非常に多く取り上げられています。

やりを投げる姿、投てきは、興味深いものです。

力をこめて遠くに飛ばす、というよりも、全身の力を巧く使って遠くに飛ばす。

全くの専門外ですが、そのように感じます。

そして、手からやりが放たれた後、地面に両手をつけて、うつぶせのような体勢になります。

これも、彼の特徴のひとつといえます。









 テレビのインタビューで、ディーン選手本人が、自らの投てきについて語っています。

すると、面白い表現を使っていました。



「走っていって、ぶつかる

クルマが自分で、ぶつかって飛び出してしまったた人間がやり」

走ってきた車がぶつかって止まった。

その車がディーン選手。

そして、止まった衝撃で、前に放り出される人間。

飛んでいくやりが中に乗っている人間だと。

助走をしていき、軸足となる、左足一本で急ブレーキをかけます。

反動で生じたエネルギーを利用し、投てきにいたるのだそうです。

その瞬間、エネルギーの爆発により、体はポンッと宙を舞い倒れこんでいく。

一気に左足で止まる動作が、結果として前にダイブというか、倒れこむ動作になっている。







 このディーン選手の投てきは、我々の世界にも、大いに通じるものがあります。

それは、キックを強く、遠くに飛ばすためのメカニズムにです。

足のスイングスピードを速くすることが、キックのパワーに大きな影響を及ぼす。

足の筋力に頼っていては、そのスピードは生まれ得ない。

全身のエネルギーを、インパクトの瞬間に無駄なく伝える。

「でこピン」

でこピンで相手に衝撃を与える。

親指で、中指が伸びようとする力を、止めておく。

一気に、この溜めた力を解放させ、パシッ!!

このでこピンのような状態を体で表現すこと。








 キックをした後に、軸足を飛ばす、抜く。

そんな指導法もあります。

それを目的にすると、体の使い方がおかしくなってしまわないか。

助走の力を、急激にストップさせ、軸足で支える。

溜めていた力を解放させ、キック。

自然に、前や、上に、軸足が進んでいく。

これが、本当のところではないか。








 また、ディーン選手は、肩甲骨周りが柔らかく、自由に扱える。

つまり、腕を長く使って、投てきの動作を行っている。

むちのようにしならせる動作が、指の先端に伝わって行く。

常人だと、ケガをしてしまうくらい、腕をしならせて、腕を振っている。

全身をバネのようにして、投てきをしている。

そのような解説がなされていました。









 これも、キックの動作と同じ考え方です。

脚は、みぞおちから始まっているくらいの感覚。

股関節を柔らかくして、脚を長く使えれば、同じことが起こります。

脚を長く使い、むちのようにしならせることが出来れば。

股関節、ひざ、足と、スピードは高まる。

そして、強いキックを生むための、足(スパイク周辺)のスイングスピードUPに。








 遠くに飛ばす。

そのために、特定の動きや、筋力に頼らない。

1つ1つは確かに重要だが、それだけではボールは遠くに飛ばない。

ボールの中心に対して、どのように力を与えるのか?

ディーン選手の投てきが、改めて我々に教えてくれています。




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2012年06月26日

ボールと一体化する。

 1対1

ドリブルで相手に向かって仕掛けていく。

相手のへそに向かうように、真っ直ぐ仕掛けていく。

真ん中のドアをノックすることで、右にも、左にも行くことが出来る。

このように、相手に正対した1対1なら、このような運び方も、一つの有効な方法です。

真っ直ぐ向かって来られると、DFとしても、嫌なものです。







 試合の中でのボールの運び方は、もちろん、これだけではない。

1対1は、フットボールの試合の中では、純粋な1対1ではないということです。

トレーニングで、1対1をする。

この切り取られた局面の中なら、ゴールを目指さなければならない。

他に、目的がないですから。

単純にゴールを目指すだけではない、工夫がなされた設定も、もちろんあります。

ただ、どんな設定であろうとも、自分ひとりでプレーを完結させなければならない。

そしてその多くは、相手DFの背中にある、ゴールを奪うというものです。








 現実の試合の中では、そうではない。

1対1になったとしても、さまざまな選択肢が、実際にはある。

ゴールへの最短距離に進んでもいいですし、横に進んで行っても構わない。

パスに、縦パス、横パス、バックパスがあるように。

ドリブルにも、真っ直ぐ仕掛ける、半身で持って片方のサイドを意識させる。

斜めに進んでいく、横に横にドリブルで進んでいく。

そのプレーに意図があるか、味方にプラスになるか、相手が嫌がるかどうか。

これらが、判断基準になるでしょう。

そして、どのような運び方をするにしても、ボールコントロールが重要です。

自分の行きたい時に、行きたい場所にボールを運ぶ技術がなくては、イメージを現実化できない。










 先日、私のスクールに、B級を受講した際の同期のコーチが遊びに来てくれました。

予定に無かったのですが、急きょ、試合に混じってくれることに。

プロの世界で、何年も活躍した、彼。

すごく気を遣いながらプレーをしていたのですが、当然のように違いを見せてくれます。

難しいプレーはしないのですが、プレーの一つ一つの精度が高い。








 そして、対戦した多くの人の感想が「速い」というものでした。

ドリブルをしている時のスピードです。

実は、彼のスピードは、そこまで速いものではありません。

当人も、その感想をぶつけてられて、意外そうでした。

自分自身が、スピードがあるタイプだと、思っていないからでしょう。

実際に、単純なカケッコだけなら、試合のメンバーの中でも、1番ではなかったはずです。









 そのポイントは、ドリブルをする技術の高さです。

彼は、ドリブルをする時に、完全にボールと一体化していたことです。

アメフトのQBが、ボールを運んでいるかのようでした。

パスの出しどころを探しながら、ボールを運びます。

手に持っているのですから、もちろん手元のボールなど、見る訳もありません。

相手の動きを観ながら、パスのラインが生まれるのを探しています。









 彼は、それを、ドリブルしながらすることが出来ていた。

体とボールが一体化しているから、相手の逆を簡単に取れる。

一体化しているから、空いているスペースに容易にボールを運んでいける。

そして、緩急を自在に扱う。

自分のタイミングで、スペースにボールを持ち出すことが出来る。

それが、「速い」という感想につながっていたのでしょう。

決して、ダッシュしながらドリブルをしていたわけではありません。









 聞けば、高校時代に、毎朝小一時間、朝練をしていた。

マーカーを並べ、ジグザグドリブルを中心としたトレーニングを、黙々と。

右足だけで。

左足だけ。

左右交互に。

インサイドだけ。

アウトだけ。

それを、1タッチで。

2タッチで。

様々なバリエーションで、繰り返していたそうです。

そのトレーニングの成果が、ボールとの一体化なのですね。

まるで手で扱うようにボールを足で扱う。

是非とも身につけたいが、容易ではないスキルです。
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2012年06月19日

型(かた)

 ユーロ、ヨーロッパ選手権が開催されています。

ワールドカップよりも、レベルが高いのでは、と言われるこの大会。

グループリーグから、熱い試合の連続です。

手を抜いている、調子が出ないと、優勝候補ですら、苦戦してしまう。

もし、日本代表がこの大会に出場できたら、どこに位置するのでしょうね。

グループリーグでは、波乱がありました。

先のワールドカップのファイナリストであるオランダが、グループリーグ敗退・・・。

しかも、1勝もすることなく、大会を後にしました。

死のグループと呼ばれるB組とは言え、厳しい結果です。









 
 個々の選手のレベルは、間違いなくトップ中のトップでした。

それでも、少しのボタンの掛け違いが、3連敗につながる。

この大会の厳しさを、改めて思い知りました。

そのオランダ代表ですが、レベルの高さは見せてくれました。

グループリーグ最終戦の、オランダ対ポルトガル。

先取点を挙げたのは、オランダ代表ファン・デル・ファールト。

技術の高さが詰まった、素晴らしいゴールでした。








 右サイドで前を向いてドリブルで仕掛ける、ロッベン。

左利きの彼が、得意の、中へ中へ切れ込むカットイン。

助けるように、外をオーバーラップする選手もいます。

それでも、ポルトガルのDFは応対し、ロッベンを自由にはさせません。

というよりも、中にカットインするのがバレバレ・・・。

分かっているのは、相手DFだけでなく、味方にも同じです。

だから、外を回って、助けようともするし、彼のドリブルのコースは空けています。










 もう1人分かっている選手がいました。

それが、ゴールを決めた、ファン・デル・ファールトです。

最初はロッベンと並走するように、ゴール前に走りこんでいた。

ところが、ロッベンが、カットインの素振りを見せるや、バックステップを始めます。

ロッベンのドリブル突破のコースを空けます。

なおかつ自分もボールを受けれるポジショニングです。

そして、ドリブルが詰まった瞬間に、両手を拡げてパスを要求しました。

ここまで、イメージに在ったのでしょうね。

それが、このステップであり、サポートの位置に表れていました。










 ロッベンが、ファンデルファールトの要求に応え、やや戻すような横パス。

横、斜め後ろ、ゴール方向、きょろきょろと、首を振って、周りを確認します。

画面から、首を振るのがハッキリと見えるほど、状況確認を怠りません。

そこからは速かった。

左足のインサイドでボールを、自分の左前にコントロール。

左足をそのまま着地、右足を強く踏み込んで、シュートの体勢に入ります。

すぐに左足を振りぬいて、シュート。

インサイドに引っ掛けるように打たれたシュートが、サイドネットに吸い込まれていきました。








 ボールコントロールから、シュートまで、無駄な動作が一切ありません。

止めて、踏み込んで、シュート。

余計なボールタッチはもちろん、余計なステップすらもありません。

無駄を省くことで、動作が一層速くなり、相手DFのプレッシャーが間に合わない。

おそらく、ファンデルファールトは、トレーニングを繰り返していたでしょう。

このリズムでのキック、シュートをです。

止めて、踏み込んで、キック。

1、2、3のリズムです。

コースも、繰り返しトレーニングしていたコースかもしれません。










 フットボールは、野球と違って、型に決まった動きが少ない。

型にはまったトレーニングをしていても、効果が薄い。

だから、同じ動きを繰り返す、ドリルトレーニングは・・・。

そのような意見が、最近は主流です。

でも、このシュートは、明らかに自分の型があったから、ゴールにつながった。

何度も、何度も繰り返しているから、ゴール前の状況でも落ち着いてプレーが出来た。

機械的な動作、おそらく、頭で考えるよりも体が動く。

繰り返しのトレーニングで、そのレベルまで、引き上げたのでしょう。









 このような、自分の型を作ることは、自分の武器になってくれる。

周りを観る、判断をする、ということは、とても、とても大切です。

でも、最後の部分は、やはり繰り返し繰り返しで、身に付けておかなければならない。

そのことを、教えてくれたゴールでした。
 
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2012年06月12日

絶対数の不足。

 アウェイでのオーストラリア戦。

アウェイ、ピッチ、審判、そしてオーストラリアという対戦相手。

ここまで悪条件が揃った試合で、勝ち点1をもぎ取る。

しかも、亀のように守りきるのではなく、1点奪っての引き分け。

日本代表、というよりも代表選手の成長に、大いなる拍手を送りたい気持ちです。

といっても、改善すべきポイントがありました。








・ヘディング

オーストラリア人は大きい。

そして、分厚い。

だから、ロングボールを蹴られると、押し込まれてしまう。

ヘディングの競り合いに弱い、ボールを跳ね返せないと思われている。

オーストラリアは、長く、高いボールを何度も送り込んできた。

日本は、ある程度分かっていたはずなのに、跳ね返すことが出来なかった。

もちろん、ヘディングでパスをすることも出来なかった。








 大きい選手は、190センチ台の選手もいる、オーストラリア代表チーム。

ところが、フィールドプレーヤーの平均身長だと、3センチほどしか違いません。

少し背伸びをすれば、3センチの差など埋まってしまいますよね。

それなのに、ヘディングで競り勝つことが出来ない。

例えば、FWのケーヒル選手。

彼は、178センチしかありません。

今野選手と同じ身長、184センチの栗原選手よりも6センチも低いのです。

ケーヒル選手と、日本の選手、どちらが空中の競り合いに強かったのでしょうか。









 パスをつないで、組み立てていくスタイル。

日本は、多くの地域、チームで、このスタイルでプレーします。

特に、代表に入るような選手が育ったチームのほとんどは、そうでしょう。

その弊害か、ヘディングのトレーニングを十分に積めていない?!

空中の競り合いをした絶対数が足りていないのではないか。

自分たちは、パスとドリブルで崩せばいい。

でも、対戦相手も、同じスタイルで来るとは限らない。

特に、国外のチームは、様々なスタイルの試合運びをしてくるでしょう。

そうであるならば、高いボールへの対策は必要なはずです。








 世界一になった、なでしこジャパン。

彼女たちは、自分たちの足りない部分の一つとして、ヘディングの改善に取り組んだ。

トップチームだけでなく、育成の世代から一貫して取り組みました。

元々女性は、ヘディングを得意にしない選手が多い。

体の大きな、アメリカ、ドイツ、中国と戦う。

ロングボールを積極的に使ってくるチームも多い。

自分たちと対戦相手を分析した結果、ヘディングの改善を避けては通れない!

ヘディングの改善に取り組み、成果を上げたこと。

なでしこが、世界一になった要因の一つと言えるはずです。

同じことは、男子の日本代表にも、日本の若い選手たちにも言えるのではないか?

積極的に、ヘディングに取り組んでもいいのではないか?









 長いボールを、大きく跳ね返す。

大きな選手との競り合いの中でも、相手に競り勝つ。

ヘディングで跳ね返すだけでなく、ボールをパスにする。

前からのボール、横からのボール、下がりながらのボール。

マーカーでジグザグドリブルをする、壁に向かってボールを蹴る。

このようなドリルは目にしますが、ヘディングとなったらどうでしょうか?

パスや、ドリブルに対するこだわりは、耳にします。

ヘディングに対するこだわりを耳にすることは、少ない。

取り組まない限り、いつまで経っても、日本の欠点として付いてきてしまう。

絶対数の不足が続いている現状、これでは将来も変わらない。
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2012年05月29日

方向を変えるヘディング

 チャンピオンズリーグの決勝戦で、もう一つ触れておきたいプレーがあります。

それは、チェルシーが同点に追いついたCKからのゴール。

ドログバが、ニアに走りこんで、ヘディングで合わせました。

1点負けていて、試合の終盤。

そこで決める、ドログバの集中力は素晴らしい。

そしてこのゴールは、技術の高さに裏打ちされたものでした。








 クロスに対して、ニアで合わせる。

一気にスピードに乗って、飛び込んでいかないと、相手のマークを外すことが出来ない。

立ち止まって、その場でジャンプしている余裕などありません。

特にセットプレーですから、さらにマークは厳しい。

このシーンでも、マタのキックにタイミングを合わせ、スピードを上げました。

相手のマークを外したのですが、スピードを上げるあまり、走りすぎた!?







 と言うのも、ドログバがヘディングで合わせた場所です。

下記の図だと、バツ印の辺りで、ヘディングをしました。

仮に、ゴールポストから、ピッチに向かって線を引いたとします。



    【     】               ●CK
          ・
             ×
          ・
          ・
          ・







 このゴールからの線を超えて、ボール側に近付いてしまう。

言い換えると、ゴールの正面よりも外側に走ってしまう。

すると、格段に難しくなり、ゴールの確率が下がってしまう。

ニアで合わせたいなら、自分の飛び込む場所を残しておく。

そして、その線よりも手前の位置で、ボールを合わせようとするのです。                      
ドログバの合わせた位置は、そこよりも、大分ボール側です。

マークは外せても、シュートを決めると言う点では、かなり難しかったはずです。

ここまで走ると、頭でそらすだけのシュートになりがちです。







 ヘディングシュートの威力!

飛んでくるボールに、頭を合わせただけのシュートではありません。

ボールをしっかりと強く叩いて、方向を変えています。

このヘディングのフォームが、とてもきれいで教科書どおりのものです。

方向を変えるヘディングと、正面で迎えるヘディングとでは、全くフォームが異なります。

正面で迎えるヘディングは、後ろに体を引いて、前というように縦の動き。








 方向を変えるヘディング、水平方向の動きになります。

テニスや野球のスイングのように、横軸に体を動かしていきます。

この時に大切なのが、ボールを飛ばす側の肩の位置です。

バックスイングで、体をねじり、力を溜める。

その時に、肩を入れる意識を持つ。

肩を入れて、体を横軸に、スパーンと回していく。

肩も、腰も、水平方向に、力強く回します。

この時、ボールをとらえるのは、額の中央ではなく、横。

こめかみ近辺でボールをとらえる。

この一連の動作をすることで、ボールに力を与えることが出来るのです。








 ドログバの頭を離れたボールは、ゴールに突き刺さりました。

この一年、素晴らしいセーブを繰り返していた、ノイアー。

彼のほぼ正面、やや上だったのですが、反応が間に合いませんでした。

少し手を上げれば、弾けるくらい、コースは甘かったかもしれません。

でも、あの角度から、あのスピードでボールが飛んでくる。

その予想は出来なかったのかもしれません。

足で蹴られたシュートと大差ないくらいのボールスピードが出ていたかもしれません。








 あのヘディングは、ドログバの筋力や、パワーがクローズアップされるのでしょうか。

ボールのパワーは、基本に忠実なドログバのフォームから生まれています。

方向を変えるヘディングは、攻守共に、必須の技術です。

正面のヘディングだけでなく、必ず身に付けておきたい。
       
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2012年04月27日

基礎の確かさ。・・・その2

 チームや、プレーヤーのレベルを高めるためには、基礎の確かさが求められます。

全てのプレーにおいて、ベースとなる部分があるから、応用が輝く。

それは、もちろん攻撃の局面に留まりません。

守備においても、ベースを高めなくてはならない。







 基礎技術の確かさは、守備の時にも多く見て取れます。

これが現れている一つの例が、シュートブロックです。

相手のシュートを、DFが体に当てて、ボールを止めるプレー。

「シュートを無理やり打つから・・・。」

「足を出しただけ、そこにいただけでしょ。」

このプレーには、その程度の認識しかないかもしれません。

シュートブロックの多さも、トップレベルの試合を観て気付くポイントの一つです。

何が彼らと違うのでしょうか?







 このプレーは、基礎の確かさが生み出している素晴らしいプレー。

DFの鉄則。

どうすれば、ゴールを守り、ボールを奪うことができるのか?!

ボールを持っている選手をマークしている。

では、どこに立つのか?

・ボールとゴールを結んだ線上に立つ

相手選手がボールを持っているならば、背中でゴールの中心を感じること。

・そして、ボールをしっかりと注視し続ける








 本当は、ボールにプレッシャーをかけたい。

でも、相手がいい形でボールを持っていたら、近寄れない。

ヘタに飛び込むと、外されてしまうかもしれない。

ボールを奪うのは、厳しい局面。

でも、ゴールは守りたい。

ここで助けてくれるのが、ボールとゴールとを結んだ線上に立っていること。

ボールを動かされても、細かくポジショニングを修正。

グッとボールを注視していることで、シュートブロックが可能になります。







 
 特に、自陣深くまで攻め込まれた時。

その局面では、このポジショニングがとても必要になってくる。

正しいポジショニングを取ることで、相手の選択肢を奪うことも可能になる。

相手がシュートを打つ、ドリブル突破を図るタイミングが遅れてくるでしょう。

そして、正しいポジションからプレッシャーをかけるチャンスを見逃さない。

最後は勇気を持って、体を張ってゴールを死守する。








 シュートブロックを、より可能にする応用技術もあります。

体の向きを変える(半身⇒真横)。

相手のシュートのタイミングを制限する駆け引き。

スライディングで間合いを拡げること。

ただ、そんな応用ばかりを追いかける前に、身につけなければならない基礎がある。

DFの基礎中の基礎であるが、どこまで徹底できているのか?

ボールを奪えたからOKでなく、ゴールを守れたからOKなのか。

基礎を確かに実行し続けるから、いい守備が繰り返し生まれる。
posted by プロコーチ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

基礎の確かさ。

 チャンピオンズリーグもセミファイナル、各国リーグも終盤戦。

いよいよ、今シーズンも佳境を迎えています。 

ヨーロッパのフットボールシーンを観ていて、気付かされることがたくさんあります。

華麗なパスワーク、最新の戦術、キラ星のようなスターたち。

ゴールシーンなどは、まねなど出来ないのではないか?!

ため息が出るようなプレーや、超人的な身体操作。

そのベースとなるのは、基礎の確かさです。







 例えば、トップ・オブ・トップになると、50M級のロングパスが展開されている。

センターバックや、中盤の深い位置から、サイド目掛けて。

タッチラインいっぱいに開いたサイドプレーヤーにロングパス。

糸を引くようなきれいな回転で、ボールが飛んでいきます。

適当にボールを蹴り、ボールに行き先を聞くキックではありません。

ボールの弾道、ボールの回転も計算されたキック。

10M〜20Mのレベルに留まらない。







 そして、そのボールを、当たり前のように、一発でボールコントロール。

勢いを吸収して、足元にボールを置き、次のプレーに入ります。

それが、胸の高さに来ても、ボールの勢いをスッと殺します。

ボールは、ほとんど胸で弾みません。

確かなコントロールで、相手DFがチャレンジする余地を与えないのです。

彼らは、あまりにも簡単にボールをコントロールしてしまいます。






 観ていて、このプレーがハイレベルであることに気付かないかもしれない。

このコントロールは、そんなに簡単なものではない。

もちろん、40M・50Mのロングパスを、狙ったその場所へ蹴るのもです。

蹴るのも、止めるのも、かなりのハイレベルです。

ボールを「止める・蹴る」というのは、フットボールの基本中の基本。

でも、そこまで追求して高みを目指すことが出来ているのかどうか?

どれだけ周りが観えていても、どんなにいい決断を下しても。

ボールを止める、蹴るが出来ないのなら、そのイメージも絵に描いたモチに過ぎない。

そもそも、ボールが届かない50M先なら、選択肢にも入ってこないのではないか。






 その逆の考え方もあります。

そこまでのボールを蹴れる選手がいるから、このプレーが生まれる。

長いボールでも止める技術があるから、そのキックを蹴ることが出来る。

高いレベルの技術が、豊富なアイデアを産む助けになっている。

相手DFを困らせるアイデアを実行する、高い基礎技術。








 
 育成年代で、基礎技術を身につける重要性は、当たり前に認識されている。

では、子供の頃から、何を身に付けていくのか?

何をどの水準まで身につければいいのか?

リフティングに、向かい合って投げてもらったボールをリターン。

基礎技術は、これだけでは身に付かない。

世界のトップレベルは、試合でどのようなプレーを見せているのか。

どの程度のレベルのプレー水準を求められているのか。

そこから逆算して、本当に基礎となるものを磨いていかなければならない。







 トップレベルでは、ボールを50M先まで、狙った場所に蹴り分けている。

そして、そのボールをワンタッチで、自分の得意な場所に置いている。

基礎中の基礎である、「止める蹴る」の重要性はいつの時代も変わらない。

目標は、ここまでのレベルに到達すること。

リフティングの回数を喜ぶだけでは、・・・。

その先にある、基礎技術の習得を目標にしたい。
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2012年04月06日

生け贄の牛

 FCバルセロナをどのチームが止めるのか?!

特にチャンピオンリーグでの、本気を出したバルサを止める術など無いのではないか。

ボールを散々回され、ボールを追いかけて疲れ果てる。

後ろに引いてスペースを消したつもりでも、こじ開けられる。

ドリブル、パス、シュート。

常にたくさんの選択肢を持ち続けるバルサ。

試合を観ていると、彼ら独自のルールに、無理やり合わさざるを得ない対戦相手。

バルサペースで試合が常に進んでいく。

結果は、試合の途中で見えてしまっている・・・。







 チャンピオンズリーグ準々決勝、バルサ対ミランの2NDレグ。

結果だけを見ると、3−1で、バルサの完勝です。

内容を見ていくと、そこまでバルサの思い通りの展開ではなかったようです。

得点も2本もPKと、こぼれ球がラッキーにもイニエスタの前に転がってきたもの。

崩してゴールを奪ったわけではない。

それどころか、ミランの同点ゴール後の数分間は、バルサ敗退の危機すらあったのです。







 そのポイントは、メッシが気持ちよくプレーを出来なかった。

ミランが、メッシのドリブルを止めるための必死の対応が見えました。

メッシのドリブルは、本当に素晴らしい。

まるで、ラグビー選手がボールを手に持って、自由に走っているかのようです。

あの、手に持ったような感覚で、スピード・方向を変化させる。

ボールをコントロールするだけでなく、自分の体も自由にコントロールできている。

その2つが高いレベルで揃っていることが、彼のドリブルの大きな武器ではないでしょうか。








 そのメッシのドリブルをいかにして止めるのか?

もちろん、彼にボールを持たせずに、孤立させるのが最も有効な方法でしょう。

ただし、バルサのようにあれだけポゼッションしていれば、それも難しい。

仮にマンツーマンでメッシをマークしても、ボールを受けるのが上手いメッシ。

タイトなマークをものともせず、気がつけば、ボールを足元におさめてしまっている。

ふらふら歩く、止まってボーっとしている(本当にボーっとしているわけではないですが・・)

逆にフェイクを入れて相手から離れる。

様々な工夫を凝らして、メッシはボールを受けているのです。

パスだけでなく、メッシのドリブル、ドリブルからの決定的なプレー。

それがあるからこそ、バルサの強さが群を抜いているのです。







 
 ミランは、メッシのドリブルを止めるために、細心の注意を払っていました。

特に、ミランが取った方法で特徴的なものは、生け贄の牛を捧げることです。

メッシと正対したDFが、距離を詰めて、奪おうとします。

正面からスライディングタックルを仕掛けることもありました。

深く、体を触れるくらい近くまで、距離を詰めていきます。

その最初の仕掛けで奪えることもありましたが、それは本来の意図ではありません。

メッシは高い確率で、最初のDFの仕掛けを外します。

ただし、イタリアの守備職人たちの仕掛けは、深く、強烈です。

メッシと言えども、抜く瞬間に、足からボールが離れてしまう。








 しかも、ミランの守備陣の用意は周到です。

自分たちのカバーリングが分厚い方向に、メッシのドリブルを誘導します。

たとえば、左側から強く寄せます。

するとメッシは相手の動きを見えているので、その逆の右側に抜いてきます。

ところがこれは、ミラン守備陣の罠なのです。

右側のカバーリングが分厚いから、あえてそちら側に抜かれたのです。

ドリブルが大きくなった瞬間、カバーリングの選手がボールを奪うチャンスが出てきます。

ボールを奪えないまでも、メッシのプレーの方向を限定することは成功しています。

最初のDFは、ボールを奪うことよりも、ボールを足元から離させるのが目的。

そのために、深く、厳しく、メッシの体に寄せていきます。








 ブラジルでは、アマゾン川があります。

ピラニアが多数生息していて、毎年多くの牛が、食べられてしまっている。

牛を連れて、アマゾンを渡ろうとすると、ピラニアに襲われて全滅してしまう。

そこで、牛を一頭だけ、川に入れると、ピラニアがそこに集中する。

その隙を逃さず、他の牛を連れて川を渡らせるのです。

一頭は、まるで生け贄のように犠牲になってしまうのですが、集団は助かる。

強力なドリブラーに対処する方法として、一頭の牛を犠牲にする。

今回のミランが行ったようにです。

ブラジルなどの南米諸国では、よく取られる方法である。

以前テレビで、アデマール・マリーニョさんが紹介していました。








 粘り強く相手のドリブルに応対する。

簡単に相手に向かって飛び込んでいかない。

これが、守備の鉄則の一つです。

ところが、どれだけ粘り強く応対しようとしても、その上を行くドリブラーがいる。

それでも、「足を出すな!」「もっと粘り強く!」と求め続けるのか。

生け贄の牛を差し出す方法を知っていれば、止めれる局面もあるでしょう。

もちろん基本は大切ですが、フットボールの世界には様々な応用もあるのです。
posted by プロコーチ at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月23日

右足、左足

 「右、右」

「左に!」

試合中に、そのように声を出して、プレーするチームがありました。

多くの選手が、「右」「左」と、盛んに声を出しているのです。

最初、私は、意味が分かりませんでした。

時間が経つにつれて、攻撃中に限って、その声が出されていること。

そして、ボールを持っていない選手が出していることにも気付きました。









 攻撃中に発せられる、その声。

ポジショニングを修正しあう声なのか?

それとも、何かを指示しているのか?

いずれも、違っているようでした。

さらに試合時間が経過した時に、気付きました。

ボールを受けに来た選手が、その瞬間に「右!」「左!」と声を出しています。









 すると、こんなシーンがありました。

「右、右。」

その声を出していた選手にパスが出ました。

ボールを受けた選手は、左足のワンタッチでパスを返した瞬間、大きな声を。

「違う!!、右だよ」

その瞬間、声の正体がやっと分かりました。

どちらの足にパスを出して欲しいのか?

自分がボールを欲しい側の足を、「右」と声で示していたのです。

10何年前になりますが、衝撃的な印象を受けたのを、未だに覚えています。

出し手、受け手、チーム全体から、技術にこだわる意識の高さが伝わってきたからです。









 どちらの足に、パスを出すのか?

特に、足元で受けようとする選手の、どこにパスを出すのか?

何となく、あの辺りにパスを出して、満足しているなら、、、。

もし、マークする相手DFとの距離が近いなら、DFから遠い側の足に。

味方の右足側からマークをしているなら、左足ドンピシャにパスを出す。

逆に、マークが緩く、ゴールに向かってターン出来る。

それなら、DFに近い側でも構わない。

ターンをしやすい足に、パスを付けてあげる。












 このことに、お互いが気を遣い合うだけで、組み立ては変わってくるはずです。

大きくマークを外さなくても、ボールを受けることができる。

体半分、相手からズラすことが出来るだけで、ボールを受けれるからです。

そのためには、味方のボールを蹴る技術が求められます。

遠い側の足ドンピシャに付けれれば、マークがタイトな味方にもパスが出せる。

相手のプレッシャー、忠実なマークを無効にする技術。

常にこれが出来れば、相手DFを振り回すことが可能になるでしょう。








 味方には、それがメッセージになって伝わるはずです。

DFから遠い側にパスをくれたなら、簡単には前を向けない。

DF側にあえてパスが来たなら、前を向けと言っているのかもしれない。

パスに情報(インフォメーション)を乗せて、味方に届ける。

逆に、マークがタイトな味方の、DF側の足にパスを出してしまう。

数秒後、味方が苦しむ事は、容易に想像されます。

このパスが味方を助けるのか、味方を苦しめてしまうのか。











 「右足(左足)に!…DFから遠い側の足に」

そして、そのパスを、何M先に出すことが出来るのか?

また、相手DFのプレッシャーがある中で、そのキックが蹴れるのか?

さらには、味方がボールを欲しい!その瞬間を逃さず、パスを出せるのか?

技術を追求するなら、こういった部分を忘れてほしくない。

足先でボールを動かす、曲芸のようなリフティングは楽しい。

しかしながら、我々が欲しいのはサーカス団が見せる曲芸ではない。

必要なのは、地味かもしれないが、試合で生きる本当の技術。

その足ドンピシャにボールを付ける、そのキック。

posted by プロコーチ at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

ステップワーク・・・守備

 

 こんなステップを踏んでしまうのか。。

育成年代で、身に付けておくべきステップワークが身に付いていない。

代表レベルの試合を観ていて、驚くほどのミスを目にしてしまいました。

ポルトガルで戦う、なでしこジャパンの試合です。








 アルガルベカップ初戦、ノルウェー戦でのことです。

前半17分、9番ヘルロフセンが、ペナルティエリア左手前で縦パスを受けた。

右足のドリブルで、カットインしてDF熊谷を外す。

右足のインステップを振りぬき、ミドルシュート。

ファーのサイドネットに、見事に突き刺されてしまいました・・・。

一連のプレーは、素晴らしいもので、思わず見とれてしまうほど。









 このプレーに応対していたのは、レギュラーのCBであろう熊谷選手。

彼女が1対1で正対していたのですが、完璧にぶっちぎられてしまう。

抜き去られたわけではない。

しかし、シュートコースが完全に広がってしまった。

なぜか?!

熊谷選手は、相手を外に追いやろうと応対していました。

中から外に、相手を追いやる、そういう体の向きで構えます。

ところが、相手ヘルロフセンは、その逆を取りました。

外から、中にカットイン!









 この時、熊谷選手は、体の向きを外向きから、内向きに替えれば良かった。

相手のドリブルのコースに応対して、体の向きを替える。

ただ、それだけです。

それなのに、熊谷選手は、ステップを踏み間違えてしまいました。

体の向きを替えずに、ボールに背を向けて、ターンしてしまいました。

結果、大回りしながら、中に走っていってしまったのです。

そのまま、懸命にボールに追いすがりますが、間に合いません。






 ここでの原則は、もちろん、ボールに背を向けてはならない。

へそ・胸を相手に向けたまま、体の向きを替えて応対する。

この基本どおりのステップを踏めば、どうだったか?

おそらく、ボールにチャレンジするチャンスは、残っていたはずです。









 しかも、スライディングでブロックをすることなく。

最終ラインの選手だったら、最後の最後まで、ボールに喰らいついて欲しい。

シュートコースを少しでも制限しておけば、何かがあったかもしれない。

ヘルロフセンがプレッシャーを感じてミスをしたかもしれない。

GK海堀が、限定してくれたコースに、いち早く反応していたかもしれない。

ただ、並走して終わらせるのではなく。

この部分も含めて、残念なシーンでした。









 日本女子代表なでしこは、集団の力を最大限に高める取り組みをしてきました。

この努力が実って、ワールドカップを制し、世界一に登りつめました。

また、それと同時に、個の能力を高める取り組みもしてきたはずです。

まだまだ、改善の余地があるようです。

このDFのステップは、小中学生の間に、身につけておきたいものでしょう。

代表のレギュラーのCBなら、身に付けておいて当然のステップでした。






 付け加えておきたいことがあります。

それは、テレビの実況・解説、その後の報道でも一切取り上げられていない。

私の調べた限りではありますが。

あのステップをミスとして発信することの重要性。

テレビを観ていても、記事を読んでいても、あれがミスであることを気付かない。

もしかすると、そちらが大多数なのでしょうか?!

試合に負けるより、こちらの方が恐ろしいことかもしれません。

posted by プロコーチ at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月27日

ボールを浮かせるために

 なぜボールは丸いのか?

その答えの一つとして、地面で転がりやすい形に作っているから。

というものがあります。

ボールを地面で扱う。

コントロールにストレスが少なければ、コントロールにかかる時間も短くなる。

グラウンダーのパス、いち早く地面にボールをおさめる、こだわり。

ボールが浮いていると、難度が増してしまう。

それなら、地面で扱いやすいボールは、地面で扱ったほうがいいはず。









 例外も、もちろんあります。

浮かした方がメリットが大きいなら、浮かした方が良いときもあるでしょう。

浮かさなければ、パスが通らない。

浮かさなければ、相手の足を外せない。

必要あれば、ボールを浮かす。

ゴールを決めるために、パスを通すために、相手を抜くために。








 どうすればボールは浮くのか?

ボールの下から、上に力を加えれば、簡単にボールは浮きます。

これは、小学生でも知っている。

ボールの下(ボールと地面との間)に足を差し込むように蹴る、チップキック。

下から上にすくうようにして、ボールを浮かせる。

いずれも、ボールの下から、上に向けて力を加えています。

土や床よりも、芝の方がやりやすいですよね。







 一昨日、クラブワールドカップの決勝戦をビデオ鑑賞しました。

スタジアムで観ていたのとは、見える部分が変わってきますね。

バルセロナの4点目のゴール。

メッシが、ダニエウアウベスのパスを受け、トラップで抜け出し、GKと1対1になる。

飛び出してきたGKを、左足のアウトでメッシが抜いて、無人のゴールにシュート。

GKとの間合いが少し近すぎて、引っかかりそうに。

ギリギリのところで、相手をとっさに外した。

相手の足が近かったので、ジャンプでヒラりとかわした姿は、よく観るメッシの姿。

彼らしい、技術とスピードをミックスさせ、相手を良く観たプレー、だと思っていました。








 映像で観るとすぐ分かるのですが、もっとすごかった。

ボールタッチが少し大きくなってしまった。

GKがタイミングよく飛び出してきた。

その二つが重なり、間合いが近すぎたのは、その通り。

ただ、抜き方が違った。

ボールを浮かして、相手の足を外していたのです。

そこで、相手を浮かして抜く発想は、さすが面白いですね。








 しかもメッシは、ただボールを浮かしたのではなかった。

シャベルのようにボールをすくうのではありません。

ボールの下に足を入れ、チップキックしているのでもありません。

上から下にボールを叩いて、その反動でボールを浮かしていたのです。

あまりに近かったため、足を下にいれ力を加える余裕が無かったのではないか。

走りながら、足を伸ばして、触ることしか出来ない。

そこで、上から叩いて、浮かせるプレーを選択したのでしょう。

この発想、プレーは、教わって出来たものではないはずです。

遊びや、ボールにたくさん触れる中で、感覚として身に付いたものではないか。









 この動画の1分20秒あたりから始まる、バルセロナの4点目です。

アウトを使って、上から叩いてボールを浮かしているのが確認できるはずです。








 ボール大好き少年が、そのまま世界一の選手として、活躍している。

世界中の、ボール大好き少年の憧れの的である、メッシ選手。

彼のような選手が、守備も頑張るし、面白い発想も見せてくれる。

味方のために、パスも出し、サポートの動きもする。

今の子供たちは、メッシ選手という存在がいて、本当に幸せですね。
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2011年11月25日

シュートの決定力を高める

 右利きの選手が、右足で自分の右側にシュートを打ちたい。

その局面での、シュートの決定率を高める方法があります。

それは、相手GKに、ボールを蹴る方向を分からせないことです。

逆の言い方をすれば、ボールをどちらに蹴るかを、GKに最後まで隠すのです。

言ってしまえば、ごくごく当たり前のことなのですが。

ここに気を配れていない選手も、少なくありません。

自ら、シュートを打つ方向をGKに教えてしまっている選手が、多くいるのです。









 インステップ、もしくはインサイドで、シュートを打つことが多いでしょう。

この時、相手のゴールに向かって、右側にシュートを打つ。

自分でやってみればすぐ分かるのですが、窮屈な体勢になりやすいのです。




         【         】


             GK


               右側にシュートを
                ↑
             ●
            自分


このような局面を思い浮かべてください。









 この時、キックの動作に入ると、骨盤がボールを蹴ろうとする方向に開いてしまう。

ゴールの正面に体を向けて、ボールにアプローチしていきます。

ところがある瞬間に、おへそが、体の向きが、ボールを蹴る方向に向いてしまう。

助走から、股関節を外に開き、キックの動作に入ります。

その動きにつられるように、上半身も外に開いていきます。

これは、ボールを置く位置(運んでいる場所)が、体の中央に寄っている程、起こりやすい。

窮屈な体勢から逃がすことで、スムーズに蹴ろうとしているのです。

そう、シュートの飛んで行く方向を、自らの体の向きで、GKに教えてしまっているのです。









 ボールの飛ぶコースが分かっていれば、どんなにいいシュートでもセーブされやすい。

蹴る前から相手に教えてしまっていれば、シュートの決定率は落ちてしまう。

最後まで、4隅のどこにボールを蹴るか分からなくすること!

それが、シュートの決定率を高めるためには、欠かせない要因です。







 このことを知って、逆手にとる選手がいました。

現在イングランドのマンチェスターシティで活躍している、セルヒオ・アグエロです。

体は小さいのですが、高い技術を活かし、ゴールを量産しています。

この映像、マンチェスターシティの3点目となる、PKに注目しました。

1分15秒あたりから見てみてください。

モノクロに加工されているので少し分かりにくいのですが、体の向きに工夫が見られます。





 アグエロは、最初から、極端に自分の右側に体を向けて、ボールに侵入しているのです。

そのまま極端に右を向いたまま、右側にシュート。

最初から、右側を向いているので、キックの寸前でも、体の向きは変わっていません。

アグエロが、このことを知っているかどうかは、分かりません。

おそらく、経験上、GKとの駆け引きで、自然にしているだけかもしれません。

まんまとGKをだますことに成功したアグエロ。

見事にゴールを決めました。

何気ないゴールですが、技術の高さ、相手のとの駆け引きを制する狡猾さを見せつけたのです。







 ちなみに付け加えると、自分から見て左に蹴る時は、体は開いて行きません。


         【         】


             GK


       左側にシュートを
           ↑
               ●
              自分


窮屈な体勢ではないので、体の向きに変化は見られないのです。

つまり、何も工夫をしていない選手だと、上半身やおへその向きを見ればシュートの方向が…。







 シュートの瞬間の体の向き。

ボールの置き場所や、少しの工夫で、相手を上回ることが可能になります。

GKにシュートを打つ方向を教えてしまってはいないか?

ゴール前で冷静になれ!と言うだけは簡単です。

武器を持たずに、冷静にはなれない。

最後まで、4隅のどこにでも打つことが出来、なおかつ意図を相手にも分からせない。

この武器を持てば、シュートの決定力は必ず高まります。
posted by プロコーチ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

難易度の高いキック…インステップキック

 フットボールにおいて、基本となるキックの1つである、インステップキック。

技術を紹介する本でも、キックの最初、もしくは2番目あたりで紹介されています。

フォームの概略については書かれています。

では実際にどうすれば、その動きが出来るようになるのか?

これを詳細にわたって記載している本は、少数派ではないでしょうか。

蹴れる人にとっては、その説明で分かるのかもしれません。 

実際私も、インステップキックを蹴れるようになるまで、相当苦労したのを憶えています。









 インステップキックは、素直に、体の力をボールに伝えることが出来るキックです。

窮屈なインサイドなどに比べると、スムーズに体をうごかせるはず。

太ももや、全身の大きな力を、ロス無くボールに伝えれれば、強い弾道が生まれます。

ロングシュート、ロングパス、グラウンダーでのミドルパスなどにも有効でしょう。

ただしそれは、ロス無く力を伝える、という前提条件が入ります。








 インステップキックを蹴るためには、大切なポイントが幾つもあります。

キックの指導を繰り返すうちに、私自身も、大切なことに気づかされます。

これも、大切、あれも大切。

そして、体の構造や、頭の中身が、人によって大きく異なります。

あの選手には、この伝え方がはまった。

でも、同じ伝え方をしても、それでは要領を得ない・・。

そして、インステップを蹴れない理由・ポイントが選手一人一人によって異なる。

常に同じ伝え方をするのでは、選手のキックは変わらない。

コーチである私が、フォルダ内にたくさんのファイルを用意する必要があります。

1つの伝え方を押し付けている場合ではないのです。

1人1人をよく観察し、どの方法が、どの選手に当てはまるのか?

ピッタリ当てはまる処方箋を差し出さればいいのですが。







 先日の3連休、合宿を開催しました。

そこで、インステップキックにも取り組みました。

私も、新しい工夫をフォルダに入れて、合宿に臨んだのです。









 今回取り組んだのは、インステップの中心と、ボールの中心とを合わせる作業です。

腕の使い方や、軸足を中心とした体のバランス、全身のリズム、体重移動、ひざ下の振り。

この辺りのことは、軽く個別に触れる程度に止めました。

とにかく、インステップでボールをミートさせることが出来ない。

ボールが飛ばない、不要な回転が掛かるという現象が起きています。

そのために何が必要なのか?何が出来ていないのか?

その原因は何なのか?

これを突き詰めて考えて行きました。









 ポイントは、

・インステップの面を、作ること
(キックの途中で失ってしまう)

・インステップの中心とボールを合わせること
(地面が怖くて、深いところ・足首に近いところで合わせれず、浅い当たりに)
(片足で立てず、蹴り足も立ててしまい、これまた浅い当たりに)



それぞれを身につけるために、幾つものドリルに取り組みました。

・インステップを固定し続けるための足の使い方

・インステップを当てるために、親指の外の横側を地面に付けること

・蹴り足の角度を作るために、軸足の体重のかけ方を変える。

・蹴り足をスムーズに振るために、体のアーチを作ること

・地面を蹴る恐怖感を無くすための方法





たった、2回のセッションでしたが、手ごたえを掴んだ選手もいました。

特に、以前からキックのトレーニングに取り組んでいる選手ほど、飲み込みは速かったようです。

おそらく、手の使い方や、リズムが身に付きつつあるからでしょう。

今まで、インステップに当たっていなかった選手が、何人も当たりだした。

これらのドリルに、私自身が、改めて確証が持てた瞬間でもありました。










 やはり、蹴り足を改善するだけでは、キックは上達しない。

全身の体の使い方が欠かせない。

ただ、インステップが蹴れなくて困ってる選手に、差し出せるファイルは増えました。

修正しながら、キックのトレーニングを繰り返し、繰り返し行う。

そして、悪い現象が出たら、また修正して、トレーニング。

キックの習得には、最初も、最後も、これしかありません。

私の中で武器が増えたのは、私にとっても大きな成果でした。
posted by プロコーチ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする