2011年09月20日

手を使う

【ハンド オフ】

ボールを持ったプレヤーが、タックルしようとする相手側のプレヤーを、  

手で突き離してタックルを防ぐこと。


出典…日本ラグビーフットボール協会用語集

hand off


 ラグビーのワールドカップを観ていて、とても気になった技術がこれです。

ボールを持って走りながら、

相手のタックルを受けるのではなく、寄せ付けない、外させる。

考え方は、サッカー・フットサルのボールキープと同じです。

より、手の部分を強調しているのが、特徴的に思えます。








 ポイントとなるのが、ハンドオフするタイミングでしょうか。

相手が体に接触する前に、腕を伸ばしていく。

(我々で言う、アーリーヒット)

画像では横方向ですが、正面に立ちふさがるDFに対しても、腕を伸ばしていきます。

相撲の突き押しのようにすら見えるプレーすらありました。

ボディコンタクトがあると、どうしてもスピードが落ちてしまう。

体をぶつけられる前に、相手を寄せ付けないためにしているように感じました。。

そのための技術として、ハンドオフをする。

相手の接近を感じると、先に手を伸ばして、相手の胸辺りを突き放していく。










 我々、サッカー・フットサルのボールキープの際も、腕を使って行きます。

ただし、認められているのは、自分のプレーエリアを確保するために拡げる、使い方です。

腕を広げ、相手の位置を感じ、相手を近くに寄せ付けない。

これが、ルール上認められている、腕の使い方です。

ラグビーのように、手を突き放して…、という使い方をしてしまうと、反則になってしまいます。









 ただし、それは日本でのお話。

当たりの強い国々では、当然のように、ハンドオフのような使い方をしています。

先日見学した、ボカキャンプでも、腕の使い方を強調して伝えていました。

日本人に足りない技術として、この腕の使い方を指導するのです。

自分の身を守り、自分のボールを守るために、腕を使う。









 気をつけなくてはならないのは、腕や手に頼る方法だけでプレーしてしまうこと。

悪い習慣が身に付いてしまった選手は、腕だけに頼って、相手とぶつかってしまう。

強いのは、体幹そのものでぶつかること。

体幹は、おざなりにして、腕だけを伸ばしても、負けてしまう。

体を運んで、体の中心でぶつかってくる選手の方が、当然のごとく、大きな力を発揮できますよね。

そこでムキになって、腕をさらに使うと、反則を取られてしまう。

また、審判は、腕の不正使用を厳しく取ろうとする傾向があります。

腕を振り回すことしか出来ないプレイヤーには、つらい傾向です。








 この、相手を感じて、腕を使用するプレー。

正しく身につければ、強い武器になってくれます。

ただし、上辺だけをなぞって、安易に使うプレイヤーには、プラスにはなってくれないはずです。
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2011年08月26日

キックを飛ばす!

「天才は1%のひらめきと、99%の汗」

発明王トーマス・エジソンの名言です。

この名言にも、様々な捉え方があるようです。

少なくとも、ひらめきも汗も、どちらが欠けてもエジソン級になれないことは間違いないでしょう。








 昨日、数年来お世話になっている、治療院に行きました。

定期的に通って、体のメンテナンスをしてもらうためです。

すると、入り口に、大きな白い靴が並んでいるのです。

中に目をやると、現役Jリーガーがトレーニングの真っ最中でした。

前日に試合をしたばかりなのに、体幹トレーニングに取り組んでいます。

アクティブレストをして、疲れを抜こうとしているのでしょうか。

親交がある彼なので、言葉を交わして、私はマッサージを受けていました。









 実は私は、彼に前から質問したいことがありました。

何と、70M級のロングシュートを決めた事もあるのです!

私は、一緒に試合をしたこともあり、彼のキックを何度も目の当たりにしています。

右足も、左足も、平気でロングキックを蹴り分けます。

スパン、本当に軽い振りで、40Mくらいのキックを蹴ってしまうのです。

キックの達人とも言える彼に、帰り間際でしたが、質問をぶつけてみました。

嫌がることなく、丁寧に、言葉を選びながら、答えてくれました。







…どうすれば、高く、遠くにボールを蹴れるのか?


「高さを出すだけなら・・・です、でもオレはやりません、かっこよくないから」

身振りを交えながら、いくつか技術的なことを語ってくれました。





「でも、蹴るだけですよ」

「筋トレもいらない」

「オレは、インパクトを重視しています」





私の頭に一番残ったのは、この言葉です。

「キックは、才能1割、努力9割ですよ。」

「蹴らないと」

その瞬間の彼の目は、大きく見開いていました。








 キックにプライドを持っている彼の、最高のアドバイスでした。

やはり、キックを上達させるためには、ボールを蹴ること。

とにかく蹴って、蹴って、蹴ること。

70M先のゴールを決めることは出来なくても、今よりも正確に飛ばすことは出来るはず。

「キックは、才能1割、努力9割」
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2011年08月09日

相手を強く意識したドリブル

 先日、今期のFリーグ開幕戦を観戦しました。

1試合のみの観戦でしたが、名古屋対湘南の試合は、熱く盛り上がりました。

観客席も、ちらほら立ち見が出るくらい埋まり、雰囲気を作り上げています。

結果だけを見ると、順当に王者名古屋が勝利したのですが、湘南の善戦が目立ちました。

時間が過ぎるにつれて、持久力、筋力に勝る名古屋が、余裕を持って試合を進めます。

少しずつプレッシャーが緩まり、名古屋のタレントが輝きを見せました。








 その中にあって、湘南のボラは、個の能力で、唯一相手を上回っていた存在でした。

少し、体が重たそうにも見えましたが、ボールが足元に入りさえすれば、時間が止まります。

相手DFは飛び込むことが出来ず、ボラの間合いで、プレーが始まります。

そのボラが、アシストを決めたシーンは、高い技術を見せたものでした。

華麗なフェイントやトリッキーなプレーで、相手を翻弄したわけではありません。

スピードで相手を置き去りに、ぶち抜いたのでもありません。

相手DFと走しながら、左サイドをドリブル、中央にグラウンダーのクロスを折り返した。

中の選手と、タイミングを合わし、「どうぞ決めてください」と言わんばかりのボールです。

ここでボラが見せた高い技術、それは、相手を強く意識したドリブルです。










 DFは、左サイドから中央へのカットインを警戒しながら、徐々に間合いを詰めようとします。

イメージとしては、縦に追い出して、タッチラインと挟みながら、ボールを奪いたかった?

もしくは、道をふさいで、バックパスをさせようとしたのでしょうか?

そのDFの意図を感じ取ったボラは、あえて狭い縦方向にボールを持ち出しました。

一瞬にして、ボラとDFとは並走状態になります。

DFが間合いを詰めて、外に追い出そうとします。

すると、ボラは、スピードを一段上げて、ぶっちぎる?と思いきや、スピードは変わりません。

ドリブルしながら、DFの胸を目掛けて力強く右腕を伸ばしました。

相手を寄せ付けなくして、自分がプレーするエリアを確保しています。

片腕1本を力強く、相手DFの胸に押し付け、それ以上寄せれない状態をキープ。

抑えられたDFは、何もすることが出来ないまま、中央へのクロスを許してしまいました。












 これと、全く同じプレーを、目にしました。

アルゼンチンのボカジュニオルズが開催している、少年向けのキャンプでのことです。

ボカジャパンスキルアップクリニック、と銘打ち日本に足りないものを!!伝えようとしています。

関東では、今週の月曜日から、5日間の予定で開催されています。

私は、連日、見学させてもらっています。

アルゼンチンから育成のコーチを招聘され、アシスタントコーチ、通訳もレベルが高い。

スタッフも含めると、現場には常に4〜6人の目が光っています。

暑さは邪魔ですが、とても恵まれた環境で、5日間のキャンプは進んでいます。








 そこでの大きなテーマは、日本の「ない」を「ある」に変える、とのものです。

意識的に、日本とアルゼンチン(南米)との違いを伝えようとしています。

例えば、戦いとしてのフットボール、目の前の1対1での駆け引き。

組織の中に隠れないフットボールは、育成年代には間違いなく求められる。

指導の内容、メニューの一つ一つ、コーチングの一つ一つは、とても興味深いものです。

他にも、スピードのギアの調整や、キックの強弱などが行われます。

重要性には気づいているものの、どこか、おざなりにしてしまっているかもしれない。










 トレーニングの設定はシンプルそのもの。

今まで、どこかで目にしたようなものも少なくありません。

小3〜小4(数人の小2)の7・8・9歳の子供たちでも、迷うものではないのではないか。

ただ、求めるものが違うだけで、こんなにも難しく変わるのか?!

普段とは、違う声かけをされ、違うことをコーチに求められている。

選手は、戸惑いながら、プレーしているようにも見えました。








 例えば、相手DFと10M並走しながらドリブル、そしてコーンの前で方向を変えシュート。

たった、それだけのメニューです。

ただ、気をつけるポイントがあります。

「スピードを上げずにドリブルしよう」

「相手がいる側の腕を伸ばして、相手を確認し、相手を押さえながらドリブルしよう!」

繰り返し、通訳兼コーチの方が、子供たちに声をかけます。

それでも子供たちは、相手から逃げるようにスピードアップしようとします。

並走状態でスピードを上げてしまうと、それ以上スピードアップ出来なくなってしまいます。










 それよりも、腕を使い、相手の動きを封じ、前に入らせない。

ここでのドリブルは、ゆっくりでいい。

スピードを上げるのは、その次のタイミングです。

その瞬間まで、スピードアップする足を残しておくのです。

シュートを打つ寸前に、ボールを斜め前に持ち出す。

この時に、相手を引き離すために、スピードを上げる。

このスピードアップのタイミングと相手を意識した腕の使い方が、ここで獲得したいものでした。









 この感覚は、日本ではなかなか「ない」ものでしょう。

このキャンプのトレーニングでは、常に相手を意識させるメニューが組まれています。

簡単なドリルのようなメニューでも、相手DFをどこかに意識させます。

アルゼンチン選手が見せている、あの強さや、ずる賢さは、ここからも来ているのでしょうか。

体が小さくても、接触を恐れず相手を上回る強さを見せる選手がアルゼンチンにはたくさんいます。

テベスにしてもマスチェラーノにしても、もちろんメッシにしても。

子供の頃から、このようなトレーニングを繰り返ししていれば、それも当然です。

ボラ(ブラジル人)にしても、それは同じだったのでしょう。

相手の存在を強く意識して、プレーを行う重要性を見せてもらいました。
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2011年07月08日

受け手の動き、出し手のズラシ

 ボールを持っていない選手が、どのように動くべきなのか?

いわゆる、オフ・ザ・ボールの動き。

この価値を認識させるために、ある数字を用いて説明されます。

「90分間試合をして、1人あたり、どれだけボールを持っているというのか。」

「わずか2分、多くても3分ほどにしか過ぎない。」

「では、残りの87分、どれだけプレーしているのかを考える必要がある。」

これは、90分のうち、インプレーが約60分。

60分を22人で割ると、一人あたりのボールを保持している時間が出てきます。

3分弱が、この式の答えです。










 オフの動きに、価値を持たせ、選手を育てているのが、FCバルセロナです。

ボールを持っていない選手が効果的な動きをすること。

その動きが、ボールポゼッションや、ゴールを奪うことには大切である。

味方のためにスペースを作り、スペースを使い、埋めていく。

足を止めることなく、動き続けている。

彼らの動きで特徴的なのは、小刻みなステップと、体の向きの変化。

もちろんダッシュして、長い距離を走ることもあるのです。

それよりも、相手DFや、味方の位置、ボールとの関係を見ながら、少しずつ動いている。

この時の動きは、「間」もキーワードになるでしょう。

とにかく、人と人との間に入っていく。

相手DFとDFとの間です。


○   ●   ○
   バルサ








 もう1つ、彼らが気にしているのは、人の影に入らないことでしょうか。

ボールを持った選手と、自分との間に、相手DFが立っていない状態にしようとします。

「顔を出す」「顔をのぞかせる」



○      ●       ○
出し手  (DF)    受け手

受け手がここにいては、相手DFの影に入ってしまっている。



            ○受け手
            ↑

○      ●       
出し手  (DF)   ↑ 

ほんの少しずれるだけで、影から出てきて、顔を出している。

ボールと自分との間に、ピシッと線を引く(パスライン)ことを意識しているのです。











 これらのオフ・ザ・ボールの動きを、止まらずにし続けること。

ボールポゼッションするために、ゴールを奪うために。

ボールを持っていない選手が、ボールを持っている選手を助けている。

パスの出しどころが、幾つもある状態を、皆が作っている。

ポゼッションを軸に試合を進めるチームは、必ず強く意識している部分でしょう。

この動きは、バルサだけでなく、日本でも多くのところで取り組んでいます。

ボールを持っていない選手の係わり、ボールを持っていない選手の動き。

その成果の一端を、U−17でも女子ワールドカップでも、日本選手から見ることが出来ました。











 ところが、コパアメリカや、U−17では、全く違うものも目にしました。

それは、両方とも、セレソン、ブラジル代表です。

ボールを受けるためのポジション修正が、バルサの動きに比べると、緩慢、横着に映ります。

単純に、自分が欲しい!ここで欲しい!意識が強いのでしょうか。




○      ●       ○
出し手  (DF)    受け手

この、パスラインが引けない、相手の影に入った状態が少なくないのです。

「ストップ!そこでボールもらえるの!?どこに立てばいい?」

日本の中高生だったら、コーチに強くコーチングされそうな場面です。

セレソンは、そんなことお構いなしです。

では、彼らはパスが回らない、相手を崩せないのか?と言えばそうではない。

パスは回るし、決定的な形も作ります。









 彼らを見ていると、ボールの出し手が頑張っているのです。

目の前のDFと、駆け引きをして、相手をだます。

パスを素直に出すのではなく、一工夫も、二工夫もしている。

パスラインが引けていないなら、無理やりにでもラインを引くのです。

プレーの精度に違いはあれ、フル代表の選手もU−17の選手も、同じです。

ブラジルは、ブラジルで、それ以外とは、違いますね。










 その例を幾つか紹介します。

・ボールを足裏で少しなめてズラしたら、逆足でパス。

・インサイドで内側に動かして、そのまま同じ足のアウトで、ト・トンとパス。(マシューズの要領

・同じくインサイドで動かして、ダブルタッチの要領で、逆足のインでパス。

・小さいフェイント(またぎ、ステップ)で相手の足を踏ん張らせ、次にはボールを動かす。

・ひざから、腰くらいの高さだけボールを浮かしてパス、(空中にラインを引く)

これらのボールの動かし方で、パスのラインを作ってしまう。

自然な動作で、しかも、高速で、これらの動きが行われている。










 とにかく、目の前の相手の動きをよく観ている。

見る・目に入っている、レベルでなく、じっくりと観察する、観るなのです。

相手を置き去りにしたり、足を止めたり、逆を取る。

ボールを扱いながらも、観ているから、その瞬間を逃さない。

相手を出し抜くことを、楽しんでいるようにさえ感じます。

「パスのラインが引けない?それなら作ればいいでしょ。」

実際にそうは言ってるのではないのですが、彼らのプレーは、語っています。











 受け手の動きは大切です。

オフ・ザ・ボールの動きを高めることは、チーム力、個人の能力を高めることにもなります。

でも、ボールを持った選手の工夫・駆け引きの価値を忘れてはならない。

パスのコースを遮断しているはずのDFが慌てる姿。

出し手を囲んで奪う気まんまんのDFの間をボールが抜けていく様子。

思わず、ため息が出る瞬間です。

オフ・ザ・ボールの動きの習得と同時に、この部分も高めて行きたいですね。
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2011年07月01日

手を使うことを許されている

 スローイン、サッカーの中でも限られた、手を使うことを許されているプレーです。

簡単に投げることが出来るので、あまり重要視されていないプレーかもしれません。

ポイントの近くにいた選手が、何となく近くの選手に目掛けて投げる。

このように安易に考えてはいないか?

先日、スローインについて、思うきっかけがあったので、改めて整理してみます。









 様々な指導者が、様々な理論を語ってくれています。

例えば、日本代表ザッケローニ監督。

就任当初のキャンプで、スローインのトレーニングを細かく実施しました。

物珍しさからか、ニュースでも取り上げられていました。

その成果が、試合でも見られました。

スロアーを突然スイッチして、フリーになる工夫です。

ボールを実際に投げようとする選手。

そこに、もう1人、選手が近付いていく。

次の瞬間ボールを受け渡し、ダッシュで遠ざかる。

虚を突かれた相手チームは、マークの受け渡しが遅れる、というトリックプレーです。

このパターンは、フットサルのキックインで、しばしば見られるパターンでもあります。










 オランダの名選手でもあった、クライフ。

彼も、独自の理論を唱えます。

「スローインは最も巧い選手が投げるべきだ。」

その理由として、投げた本人がフリーになりやすいと語ります。

自分で投げるから、ワンタッチで返すように、と理論は続きます。

マークに厳しく付かれる、彼なりの工夫なのでしょう。

さすがに、スローインを入れる選手のそばに立つわけにもいかない。

相手心理を上手く利用したものです。

2M以上離れなければならない、現行のルールでなら、もっと有効になる考え方です。









 「スローインが自分たちに有利だと考えているのなら間違いだ。

 なぜならピッチの中には10人しかいない、数的不利の状況なんだから。」
 
これは、オシム元監督の教えです。

スローインをした選手が、いつまでもピッチの外にいてはならない。

投げ終わると、ピッチ内に速く戻り、サポートすることを求めるものでしょう。

なるほど、投げる場所や、投げたボールについては考えが及ぶものです。

投げ終わった選手は、何となくピッチ内に戻ってくる選手も少なくない。

ボールの行方を見守っている選手すらいます。

そのような選手を戒めるために、オシムさんは語ったのではないでしょうか。










 ブラジルでは次のような考え方もあります。

「FWがスローインをしてはならない」

FWがスローインをすると、もったいないと言うのです。

点をとる、決定的な形を作ることが出来る選手、つまり技術力のある選手がFWをしているはず。

その巧い選手がスローインをすると、それよりも技術の劣る選手投げなければならない。

そして、ボールも、自陣サイド、つまり後方に投げることになりやすい。

スローインを投げるよりも、ボールを受けて決定的な仕事をすることをFWに求めているのです。

先ほどの、クライフ理論の正反対ですね。
 









 「スローインは、サイドバックの選手が投げるべき。」

バルサキャンプの際に、バルサのカンテラコーチが、盛んにコーチングしていました。

子供たちは、ボールに触るのが大好き。

スローインも、我先に、ボールを投げたがります。

投げたい選手ではなく、サイドバックが投げる。


他の選手が投げようとすると、コーチがすかさず声を掛けます。

「サイドバック!!」

少し、わざとらしくもありましたが、強調したいことだったのでしょう。

すると、ポジションのバランスを崩すことなく、その他の選手が高い位置を取ることが出来ます。










 様々な考え方を書いていきました。

一つ一つの理論に、それぞれの信念のようなものが見えてきます。

そこまで、スローインに対して、考えが及んでいたのかどうか?

2年ほど前に、Jリーグのチームが、スローインの特訓をした記事が出ていました。

監督曰く、「あまりにヘタすぎるから」

「目立つくらいミスが多い。スローで相手に取られたらピンチだから」

プロの選手でも、スローインを軽視しているのでしょうか。

少なくとも、監督の目には、そのように映ったようです。









 スローイン。

変な奪い方をされてピンチになるのか?

それとも、チャンスにつながるプレーになるのか?
 
スローインも、セットプレーである。

そして、スローインもパスである。

だとすれば、何も考えずに投げていてはならない。

最低でも、相手選手が喜んだり、味方選手が困るスローインはあり得ない。

何をすれば、自分たちの得になるのかを、常に考えていなくてはならない。


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2011年06月24日

育成世代に身につけたい技術。

 コパ・リベルタドーレスが終わりました。

南米クラブの試合は、あまり取り上げられることが無い。

日本とも、ヨーロッパとも違うその試合内容は、面白いのですが、残念です。

決勝は、ウルグアイの古豪ペニャロール対ブラジルの名門サントス。

2NDレグは、サントスのホームでの開催。

0対0で、1STレグを終え、サントスが少し有利なのでしょうか。

生放送をチェックするために、テレビにへばりついていました。






 私は、サントスのホームスタジアムに、2回行ったことがあります。

あんなに、古くて、小さいスタジアムで決勝戦をするの?と思っていました。

足元はごみだらけで、壁が落ちてきそうな階段。

金網越しに観る選手たちは、証明が足りないせいか、少しぼやけて見えます。

収容人員は、2万人くらいのこじんまりとした、昔ながらのスタジアム。

すると、近くの違うスタジアムで開催とのこと。

安心しましたが、少し残念でもありました。

古くて小さくても、ブラジルや、サントスの伝統を感じさせてくれる、最高の空間だったからです。







 サントスのビッグネームは、エラーノ・ガンソ・ネイマールの代表トリオ。

特に、ガンソとネイマールは、若手の注目株です。

2人を紹介する時には、ある枕詞があります。

フットサルで育ち、今はサッカーをしている。

フットサルで磨いた技術を活かしている。

この「フットサルでの育成」が彼らを紹介する上での枕詞のようになっています。

2人の技術レベルは、確かに高い。

サントスの中でも、彼らの技術レベルの高さは、際立っていました。

フットサルを幼少期〜育成年代に触れることは、本当に大事である。

彼らのプレーを観ていて、改めて確信しました。








 今まで何回も、育成年代におけるフットサルの有用性については取り上げてきました。

その中でも今回は、ボールを受ける前の動きについて、書いていきます。

フットサルでは、ボールをもらうために、工夫して、様々な動きを入れていきます。

試合のレベルが上がっていくと、当然相手の守備が厳しくなっていく。

フットサルは、コートが狭く、相手DFとの距離が近いことが多い。

単純に突っ立って、ボールを要求していても、ボールを受けることが難しいからです。






 少し話はそれますが、日本で将来を嘱望されており、今度ドイツに渡ると噂のあの選手。

彼は、「オフ・ザ・ボールの動きに難がある。」

中学生の頃から、ずーーーっと言われ続けていて、ザッケローニ監督にも指摘されたそうです。

彼が、フットサルをしていたら、その課題は持っていなかったかもしれない!?

ボールを持って、さあ自分のプレーをスタート。

これは、守備がゆるいか、スペースが広がっている時しか、可能にならないプレーですよね。





 話を戻します。

ボールを受けるために、ネイマールやガンソが多用していたプレーがあります。

それは、フェイクの動きです。

行きたい方向とは、違う方向に動き、急激に方向を変え、相手DFをだまします。

まさに、フェイクですよね。

ブラジルでは、ガット(猫)と呼ばれています。

DFとしては、分かっていても、付いていかざるを得ない。

もし付いていかなければ、そのままマークを外してしまうことになるからです。

ボールを受ける前から、相手との駆け引きは始まっています。







 ネイマールが活用している、フェイクの動きを@〜Dのように図示してみます。






@相手DFは、ネイマールにボールを触れさせまいと、ぴったりと近くでマークしています。

 このままでは、さすがにボールを受けることすら難しい状態です。

 味方のボール保持者も、インターセプトされることを恐れ、ボールを出せません。



↑攻撃方向

          △ 相手DF
         ○
         ネイマール


●          
ボール




Aネイマールは、タイトなマークをはがすために、ボールを受けるために動き出します。

 そこでまず、相手DFの背後を取る動きを入れます。



↑攻撃方向
        
         ○ 相手の背後を狙うフリをしているネイマール  
         ↑
          △ 相手DF
         ↑          
         
         
●          
ボール





B相手DFは背後をとられては大変(ゴールに向かわれてしまう)。

 あわてて、ポジションを修正し、マークをより厳しくしようとします。

(もしここで、DFが付いてこなければ、そのまま背後にパスを通せばいいのです)



↑攻撃方向
          △ 背後をとられまいと、あわててポジションを修正する相手DF
         ○ 
          ↑
          ↑
                   
         
         
●          
ボール




C相手が後ろに必死に戻った瞬間を、ネイマールは逃しません。

 急激に方向を変え、スピードもUPさせ、相手DFから離れます。




↑攻撃方向
          △ 
         ↓
         ↓ 
         ↓  
         ○ 相手DFが後ろに下がった瞬間、急激に方向とスピードを変えるネイマール        
         
         
●          
ボール





D相手のマークをはがし、ボールを受ける準備が整いました。

 味方も、この瞬間を逃さず、足元にボールをつけることが、容易になります。


↑攻撃方向
          △ 
         
          
           
         ○ フェイクの動きで、自ら時間と空間を作り出したネイマール         
         
         
●       
ボール







 フットサルで身に付くものは、足裏のボールコントロールだけではありません。

ボールを受けるために、様々な工夫がなされます。

サッカーでは、オフの動きの一言で片付けられることすら少なくないはずです。

フットサルでは、そこにもっと、こだわりを持ってプレーをする必要があります。

フットサルの試合では、レスタイム、レススペースの状態に、始めからなっているからです。

その状態は、まさに現代サッカーの状況と同じなのです。

ボールを受けるための動きは、フットサルの経験を通して、確実に身に付くはずです。








 12月のクラブワールドカップは日本で開催される予定です。

その時、ネイマールやガンソはまだ、サントスでプレーしているのでしょうか?

ヨーロッパのクラブに移籍せずに、残留していて欲しいものです。

日本で、そのプレーを間近に見たい!

ボールを持ってからのプレーは、もちろん目を見張るものがあります。

それだけではなく、ボールを受けるための工夫も、是非、確認してみてください。

思い出せば、バルサでもフェイクの動きがありました。

チャンピオンズリーグファイナルの先取点、ペドロがマークを外した動き。

あれも、素晴らしいタイミングでの中に入るフリからの「フェイク」がありましたよね。

育成年代で、是非とも身につけておきたい、重要な技術の一つ「フェイク!」を楽しみにしたい。



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2011年06月14日

U・V字か、Y字か

 本をめくっていると、目を引く部分がありました。

目を引いた内容は、「GKがどのようにキャッチングに入っていくのか?」の部分です。

私の勉強不足でしょうが、考えたこともない部分でした。

その本は、ザッケローニ監督が、どのようなことを日本代表に伝えているのかを、紹介するもの。

守備の文化がある、とされているイタリアならではの、こだわりを感じました。

現日本代表マウリツィオ・グイードGKコーチが、FC東京・権田選手に指導した内容です。






 構え、キャッチングについては、たくさんの文献や映像、講習会などでも紹介されています。

では、構えから、キャッチングまで、どのように手を動かすのか?

それが書かれていることは、今まで目にしたことがありませんでした。

セービング(体を投げ出したり、横っ飛び)の際、どのように手を出していくのか。

これについての記載は、今までもあります。

正面のボールを掴む時の、手の軌道については、皆無でした。

ちなみに、私の手元には、GK関連の専門書が10冊ほどあります。

日本、ドイツ、イングランド、ブラジル、イタリアと、各国のGKの専門書です。

もう一度調べなおしましたが、やはり記載はありませんでした。






 ミドルレンジからのシュートに対して、GKが構えます。

足を肩幅に開き、ひざを軽く曲げる。

上半身は前傾姿勢を保つ。

そうして、前後左右に動けるようにしておきます。

手をどこで構えるのか?

これは、全ての本で、微妙な違いがあります。

胸の前で構えるもの。

おへその前で構えるもの。

腰の横、ベルトの高さで、軽く広げて構えるもの。

上のボールにも、下のボールにも素直に手を出すため!

という大原則は変わらないのですが、写真や図を見比べると、少しずつ違いがあります。

自分が一番、素直に手を出せる位置を見つけるのが大事なのでしょうか。









 さあ、ボールがGKの正面に飛んできます。

飛んできたボールの高さは、GKの顔の前や、胸辺りです。

この高さのボールをキャッチする時には、オーバーハンドキャッチで、ボールをつかみます。

両手を前に出して面を作り、肘を伸ばしきらずに、ボールを迎えに行きます。

中指が空を向いている状態です。

この時、ボールを挟むようにつかんでは、ならない。

指の間から、ボールが抜けてしまうのを防ぐためです。






 

 では、構え、からキャッチングまで、どのように手を持っていくのか?

正直私は、このことについて、考えたこともありませんでした。

構えた位置から、最短距離に持って行けばいいのかな?くらいに思っていたからです。

そうなったら、両手の軌跡は、逆のVの字で動いていますよね。

ところが、マウリツィオ・グイードGKコーチの理論だと、間違っているらしいのです。

そのように手を動かすと、ボールをファンブルしてしまう。

外からでなく、まず体の中心に両手を合流させ、パッとひらく。

手がより一体化し、ファンブルを防げるのだとか。

手の動きは、逆のY字で動いていることになります。

もしかすると、Xに動かすくらいイメージした方が、最初はいいのかもしれない。







 権田選手のキャッチングのトレーニングを映像で見てみました。

そうすると、両手を一回合わせている姿を確認することが出来ました。

彼は、この動きを習得するように、意識しているのでしょう。

この動きが自然に出来たら、より、キャッチングの精度が上がるのでしょうか。

手の軌跡は、逆UやVではありませんでした。

コーチの教えどおり、逆のY字で動いていました。







 今までは、意識されていなかった、部分。

ヨーロッパでは、標準的になってきている、と権田選手は語っています。

少しずつ、日本に浸透していくのでしょうか。

そうなれば、ザッケローニ監督が就任した、いい波及効果になるのですが。

このようなことをきっかけに、GKにもっと、光が当たればいいですよね。

「偉大なチームには、偉大なGKが君臨している。」

このような考えを、共通にしていきたいですね。


 
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2011年05月27日

ルックアップの速さ

 いよいよ、明日!チャンピオンズリーグのファイナルですね。

長いシーズンを戦って疲れてはいるでしょうが、両チーム共に、チームの状態がいい。

自国リーグを制して、ファイナルを向かえている。

いい気分で、戦いに臨めるはずです。

聖地ウェンブリーだと、マンチェスターユナイテッドのホームの雰囲気になるのでしょうか。

バルセロナはそこでも、ボールポゼッションで上回り、いつものペースで試合を運ぶのか?

楽しみは尽きないですね。








 20数名の、世界トップレベルの選手たちが集まる、このファイナル。

ルーニーは強いし、メッシは抜群に速く、ビディッチは高い、まだまだ他にも・・・・。

その中でも、異質なほどにレベルの高い選手がいます。

バルセロナのシャビ・エルナンデスです。

彼の体格が、170センチ、68キロと日本人とあまり変わらない。

だから日本人も、とは言いますが、私には疑問です。

彼のように、全てを分かっているような選手は、近くて、最も遠い選手かもしれません。







 彼のすごさは、まるで、バスケットボールをプレーしているかのように振舞えることでしょうか。

バスケットボールは、手でボールを扱います。

ある程度のレベルになれば、誰もがボールを見ることなく、ボールを扱っています。

ボールを見ているのは、ボールを受け取る瞬間だけでしょう。

今さら、ドリブルをするために、ターンをするために、ボールを注視することはありません。







 普通、ボールタッチの瞬間ごとに、ボールに目を落とします。

初心者だと、ボールが来れば、ボールだけを見て、プレーをしてしまいます。

上達していくと、ボールだけを直接見ることは減るでしょう。

直接見るのは、ゴール、味方、相手、スペースなどの周りの状況です。

ボールを目の端で見るに止め、間接視野でボールを見るのです。

ところがシャビは、違います。

バスケットボールプレーヤーと同じことをしています。

ボールを持っているときに、ボールだけを見ている時間が、圧倒的に少ないのです。

とにかく、チャビは、顔を上げるタイミングが速い!








 シャビがよく見せるプレーがあります。

足元におさめたボールを、様々な方向に持ち出して、パス、ドリブルをします。

斜め前45度にボールを持ち出し、相手の足からボールを遠ざける。

180度、進行方向の真後ろにターンし、一気に方向を変える。

その一連の流れが、スムーズなこと。

実際に実行しているプレーは、それほど難しいものではありません。

1つ、1つは、日本の小学生が習得しているような、ボールタッチであり、ターンなのです。








 彼のすごさは、ボールを触る瞬間には、すでにボールを見ていないところです。

インサイド、アウトサイドが彼のボールタッチのほとんど。

足元のボールを、間接視野で、チラッと確認するかしないか、しないか。

ボールを持ち出すその時には、次の場所を完全に視野に収めています。

全てを見渡すかのように、ルックアップ、ルックアラウンドしながらの、ボールタッチ。

ショートパスなら、ボールを観ることなく、キックしてしまいます。

動きながらでも、相手DFを背負っていてもです。







 ボールを間接視野にも収めていないから、遠くまで見渡せ、その範囲も広い。

ボールを見ている時間を減らした分だけ、周りを観て、認知する時間に使えている。

見ている時間が長いから、味方の動き出しや、相手のプレッシャーを見逃さない。

効果的なドリブル突破も、よどみないパス交換や、急所を付くパスも、これがベースになっている。

ある程度トレーニングすれば、誰もがボールを見ずにプレーすることも出来る

ただしそれは、プレッシャーが無い状態、少ない状態に限られるでしょう。

フリーに近い状態でボールを運んでいるなら、完全に顔を上げることも可能でしょう。

シャビのすごさは、あれだけ激しいプレッシャーを受けている中で、それを実行していることです。

まるで1人だけ、バスケットボールのポイントガードのように振舞っている。









 彼は、試合の流れをその手に掴むかのように、豊富なプレービジョンを持っている。

そして、それを実行するだけの、技術の確かさがあること。

支えているものは、とにかく観ること。

ボールを持っているときでさえ、認知することを続けている。

これが、他の誰よりも速い、決断を支えている。

そんなシャビが出場し、いつものように振舞えば、勝利はFCバルセロナにあるのでしょうか・・。

さあ、明日は、どんな試合になるのでしょうか?!
posted by プロコーチ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月01日

あのゴール。

 守備の戦術が高度化することによって、得点が減少している。

それにより、試合の楽しみが少なくなってしまった。

お決まりのように言われています。





 確かに、結果を出すために、短期決戦、ノックアウト方式を乗り越えるためにはそれも仕方ない。

そういった流れは、止めることの出来ない流れなのでしょう。

守備を組織化できていないチームは、例え攻撃力が優れていても、チャンピオンにはなれない。

攻撃力溢れるチームを下支えしているのは、守備陣の奮闘が見られるものです。





 その高度化された守備を打ち破るゴール。

高いレベルでの攻防があるからこそ、フットボールは面白い。








 今回行われた、日本代表対Jリーグ選抜のチャリティーマッチ。

大勢の観客が集まり、視聴率も高かったようです。

皆で、何かをしよう!という気運が高まるきっかけになれば、いいですね。

その中で、三浦カズ選手が決めた、ゴール。

このゴールは、技術的にも、戦術的にも、素晴らしいゴールでした。

ここでは、技術面に絞って、書いてみます。








 
 トップスピードで、走りこんで、ワンタッチシュート。

体の重心のコントロール、これを失敗すると、体勢が崩れてしまいます。

裏に抜けたはいいけど、ボールコントロールをミスしてしまう。

ボールに触る前に、体のバランスを整える必要があるでしょう。

トップスピードで走りこみながら、体の軸はぶれていません。

体のバランスを整え、スムーズにキックの動作に入れています。
 





 そして、ボールが弾んでいる。

ハーフボレーでボールを捉えています。

弾んだボールが地面から上がってきた瞬間を捉えた、ボレーです。

このボレーは、ボールに力が伝わりやすいメリットがあります。

軽く触るだけで、ボールが飛んで行きます。

デメリットとしては、ボールが飛びすぎる。

上に、ふかすように飛んでしまいやすいのです。

今回のシュートは、しっかり抑えも効かせています。

腕と上半身を使って、かぶせている。

(左腕の使い方と、胸の角度)







 さらに、シュートコースは、インサイドで、ゴール右上隅を狙っています。

体を左に少し倒しながら、ボールは逆の右にシュート。

しかも、GKが目の前まで、飛び出してきています。

GKのポジション、飛び出すタイミング、そして止まって構える対応。

これらは、ミス無く行われていました。

当然、シュートコースは、相当小さかったでしょう。

足首を固定し、インサイドの面を作り、ボールを捉えています。

ゴールにパスをするように、正確なキックが行われています。






 動き出すタイミング、いわゆるオフザボールの動きも良かったです。

トゥーリオ選手が、競り勝つことを信じて、その裏に走りこんでいた。

GKが長いボールを、空中高く蹴り上げる。

トゥーリオが空中に飛び上がろうとし、相手DFも競り合おうとしている。

その瞬間です。

映像を観ると、カズ選手1人だけが、すでにトップスピードでゴールに向かっているのです。

まだ、ボールが来るかどうかは分からないのですが、来ると信じて。






 ざっと書いてみても、今回のシュートは、そう単純なものでは無かった。

スローで繰り返し見ていると、そのすごさに、気づかされます。

しかも、トップスピードで、相手がいる中で、その技術が発揮された。

世界のトップレベルに追いつくために、まさに日本サッカー協会が求めている部分。

動きながらの技術、相手のついた状態で判断の伴う技術です。

トリッキーやアクロバティックではないけども、本当の技術です。

決して、偶然や、幸運ではない、素晴らしいシュートでした。

あのゴールには、彼の25年が詰まっている。
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2011年03月01日

スルーパスとしてイメージ

 攻撃の目的は?

これに対する答えは、もう既知の通り。

「ゴールを奪うため。」

「シュートを打つため。」

この2つが、模範解答といえます。

どちら?と言われても、それはコーチの主義主張によって、割れるところではあります。

試合終了のとき、相手よりも点数が多いチームが勝利するのが、フットボール。

攻撃の目的も、そこに向かっていくのです。








 先日、紅白戦のハーフタイム、唐突に質問を受けました。

「どうすれば、シュートは決まるのですか?」

私に質問した彼は、シュートが決まらずに、悩んでいるのだそうです。

なおも続きます。

「強いボールを蹴るために、練習しているのだけど、なかなか上手くいかない。」

「インステップに当てて、バシーンと・・・。」

話を聞く限り、ゴールネットを揺さぶるような、シュートを打ちたい。

強いシュートを打てないから、ゴールが決まらない。

そのように考えているようでした。








 『考え方を変えたら?』

私が、返事をしました。

『強いシュートが、必ずしも求められるわけではないよ。』

すると、彼も答えます。

「ジーコが言ってたけど、ゴールにパスをしろ!ていうやつ?」

ブラジル出身のジーコや、トニーニョセレーゾは、しばしば、シュートをパスに例えていました。

シュートは強さだけではなく、パスのイメージを持ちなさい、と。








 彼の意見は、とても良い考え方だと思います。

ゴールの枠に飛ばないシュートは、どんなに惜しくても、得点の可能性は限りなく0です。

弱いシュートでも、枠の中に飛びさえすれば、ゴールの可能性は生まれるものですから。

他のブラジル人指導者も、面白いことを言っていました。

「シュートは、GKの手の届かないところに打つべきだ。」

この考え方も、「シュートはパス」に通ずるところがありますよね。







 私は、彼の質問に次のように答えました。

『シュートを、スルーパスだと思って。』

『ゴールの枠と、GKの間のスペースに、スルーパスを通す意識でシュートを打つ』

彼は、質問で返してきました。

「強いシュートは必要ない、ということ?」

『そうではなく、距離が遠かったり、相手のGKが優れていたら、弱いスルーパスは通らない。』

『スルーパスを通すために必要なら、強いキックだよね。』

『それよりも、GKの届かないコースに。』

彼と共に、ピッチに向かいながら、このやり取りをしていました。

私も、質問してきた彼の、対戦相手のGKとして出場するからです。






 試合で、劇的な瞬間が訪れました。

その彼が、ペナルティエリア内で、ボールを受けました。

左45度くらいの角度だったでしょうか。

ボールをコントロールして、ルックアップ。

GKとして対峙していた私も、ポジションをとり、構えます。

さあ、どんなシュートが来るのか?





 彼は、インサイドとインフロントの間くらいで、回転を掛け、ファーサイドにシュート!

サイドネットぎりぎりに、外側から、巻いてくるようにボールが飛んできます。

私も反応しますが、届きません。

見事なシュートが、ゴール右隅に入りました。

次の瞬間、うれしそうな彼が、話しかけてきました。

「コース!!」





 突き刺さったという感じではなく、まさにゴールにスルーパスを通した!

強烈な成功体験は、自らの自信へと変わるはずです。

彼は、これからも、ゴールへのスルーパスを狙い続けるのでしょう。

シュートの瞬間は、どうしても、テンションが上がりすぎるものです。

ゴールの枠と、GKとの間にあるスペースを見ようとする。

そうすると、精神的な駆け引きにも、負けないメンタルを持てるかもしれません。

1つの考え方に過ぎませんが、シュートをスルーパスとしてイメージしてみては?
posted by プロコーチ at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月22日

遠藤がすごい、

「ガンバ大阪。」 

Jリーグで一番良いチームは?と聞かれた、山形の小林監督の答えです。

攻守に渡って、今、一番良いチームである、と小林監督は考えているそうです。






 スカパーで、Jリーグの情報番組を観ていました。

MCの野々村さんと、モンテディオ山形の小林監督が、 対談していました。

2人の信頼関係があるのか、ざっくばらんに対談が行われ、面白い話が聞けました。

その中で、冒頭のやり取りが出てきました。

一番良いチームは、ガンバ大阪。

さらに、遠藤がやはり、中心になっているとのこと。






 小林監督が、ガンバ遠藤のすごさを、語ります。

「縦パスが違う」

「1つ横パスを出してる間に、FWが変なところに走っている。」

「DFの壁の後ろをぐるーっと回って、普通、そんなところに走らんやろ。」

「何でそんなところに、そこに縦パスが出る。」

常に、広い視野を保ちながら、プレーを行っている、遠藤。

だからこそ、様々なアイデアを出せる。

そのアイデアを実行する、高い技術を兼ね備え、チームの中心的な役割を担っているのです。






 そして、遠藤のキックについて、触れていました。

「遠藤は、キックの時に下を向かない。」

「PKの時も、ショートコーナーの時も。」

キックの瞬間は、ボールを見て、インパクトしようとするものなのですが。

「遠藤は、顔を上げたまま、フイッと。」

「じいさん走り、ばあさん走りで、」

肩をいからせ、背中を丸めたポーズを取りながら、ユーモラスに説明していました。

冗談交じりではあるのですが、遠藤の技術力の高さに感服している様子でした。

J1チームの現役の監督が口にするくらいなのですから、別次元の高いレベルにあるのでしょう。









 私は、7・8年ほど前に、この技術を目の当たりにしたことがあります。

芸能人、サッカー関係者が多く集まる私設リーグが、横浜で行われていました。

縁あって、その中のあるチームに呼ばれて、私も参加していたのです。

そして、対戦相手に、すごく有名な元プロ選手がいました。

現役当時は、日本代表(10番を背負っていました)で、誰もが憧れた、あの選手です。

運動量こそ落ちているものの、ボールコントロール、広い視野、キックの精度はすごい。

足元にボールが入れば、中盤の将軍として、周りとの違いを見せつけてくれます。







 私は、対戦相手のセンターバック。

ものすごい、緊張感を持って、その試合に臨んでいたのを、今でも憶えています。

対戦相手は、中盤の将軍だけではなく、何人も元プロ選手や、フットサルのトップ選手が活躍。

気を抜いた瞬間に、あっという間にやられてしまうからです。

劣勢に進む試合で、あるシーンが訪れました。

私の左側にいるべきサイドバックが戻りきれておらず、相手にスペースを与えてしまっていました。

ピンチの予感がします。




 相手がそれを見逃さず、選手の1人が左のスペースに走りこみます。

中盤の将軍が、右のアウトフロントでパスをしようとしました。

ボールを蹴ろうとしている面が、アウトフロントで作られているのを確認したのです。

私は、一連の動きを観て、スッと左のスペースをカバーリングしようと先読みしました。

内心、「読み勝った!獲れる!」と確信していました。

なにせ、中盤の将軍は、キックの体勢に入って、足を後ろに振り下ろし始めていた。

もう、左のスペースにしか蹴れない!はずでした。






 ところが、次の瞬間、将軍が動きを変えたのです。

右のアウトサイドから、右のインフロントにとっさに変え、正面への縦パスに切り替えたのです。

そう、私の動きを20〜30M向こうから察知し、左から、正面にパスの出し先を変更。

私は逆を取られ、一番出させてはならない中央へのパスを許してしまったのです。







 あまりのことに、私は何が起こったのか、最初は理解できませんでした。

将軍は、キックのフォームに入って、バックスイングを終え、振り下ろし始めていました。

普通なら、完全に、ボールを注視している段階のはず、でした。

それなのに、キックの行き先を変更してきた。

つまり、ボールを見ずに、DFの動きや、味方の動きを、まだ観ていた!

10M先へのインサイドキックならまだしも、20〜30M先へ、浮かしてボールを蹴る。

その瞬間に、ボールを見ていない!!

そして、アウトフロントでもインフロントでも、キックのフォームが変わらない。

ボールの置き所が変わらないことも、同時に意味しています。

同じフォームで、違うキックを蹴り分けることも、高い技術が無いと、簡単ではありません。

中盤の将軍の技術力の高さ、現役を引退して10年を過ぎていても、健在でした。






 「やられた!さすが!」

失点してしまったのですが、良い経験をさせてもらった。

私は、相当の負けず嫌いなのですが、その時ばかりは、悔しさよりも、楽しくなってしまいました。

未だに、良い思い出として、私の頭に残っています。

世の中には、ボールをほとんど観ずに、正確なミドルパスを通してしまう選手がいる。

同じフォーム、同じボールの置き場所で、様々なキックを蹴り分けられる選手がいる。

もしこのことが可能なら、かなり、試合で有利に振舞えますよね。

ボールから、自由になる技術力の高さは、大きな武器です。
posted by プロコーチ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

ヘタ?な代表FW。

「岡崎、てヘタじゃないですか?」

先日、このようなことを質問されました。

さらに質問は続きました。

「最近少しはウマくなってきたけど。」

「点は獲ってるけど、弱いところから、固めどりしているだけでしょ。」

さて、岡崎 慎司選手は、ヘタなのでしょうか?

私の個人的な見解は、それは違う、ヘタではない、です。







 ある選手に対して「サッカーがヘタ」というときには、どのようなことを指しているのか?

・ドリブルが得意でない。

・トラップのミスがある。

・パスの能力が低い。

日本では、主に、このような部分を目にして、サッカーがヘタだ、と言うのではないでしょうか。

ボール扱いが出来るかどうかが、「サッカーがウマイ、ヘタ」のバロメーターになっている。

リフティング、ドリブルの得意な選手を、ウマイ選手と、しばしば定義しているようです。

もちろん、ボール扱いは、フットボールの大切な要素です。

ボールを蹴飛ばして、走り回るだけの選手は、評価が低いのは当然でしょう。

そのような選手が22人揃った試合を見せられても、楽しくはないはずです。







 さて、岡崎の特徴はの1つは、ボールが無いところの動きです。

・DFラインの背後(GKとDFとの間)のスペースを、常に狙っている。

・ゴール前にボールが入る瞬間、パワーを持って、飛び込んでくる。

・ポストプレーをしている味方の近くに入り込む。

これらの動きを飽きることなく、諦めることなく、何度も何度も繰り返します。

そして、シュートの機会を増やしています。

この、オフ・ザ・ボールの動きだけでも、彼は評価されるに値する選手だと思います。

しばしば、傲慢に思えるほど、ゴールを意識し、得点を狙い続ける。

相手DFにとってみれば、怖い存在に違いありません。







 岡崎は、ボールを扱う部分でも、技術の高さを見せてくれます。

確かに、彼よりもボールタッチが柔らかい選手や、ドリブルが巧い選手はたくさんいるでしょう。

岡崎が優れているのは、ボールをミートし、ゴールの枠にボールを飛ばす技術です。

彼の代名詞でもある、ダイビングヘッド。

そして、ジャンプヘッド。

ボールの質に合わせて、頭の当てる部分を変えています。

このボールに対して、このスピードで走りこんだ、もしくは飛び込んだ。

どのような角度で、どれくらい当てれば、首を振れば(振らなければ)、ボールがどこに飛ぶのか?

彼は、その微妙な調整を、即座に出来る。

その瞬間に、体を動かせることが出来る。

トレーニングの積み重ねで、体に感覚として、刻み込んでいるのでしょう。







 彼のゴールしなかった、ヘディングシュートを注意深く観ると、それが分かります。

体のどこかに当てて、ボールが運良く枠内に飛んでくれればいいや・・・。

ほとんどの場合、そうではないはずです。

GKの位置を観て、ボールのスピード・角度を観て、瞬時の判断で、決めに行っています。

しかも、フリーならまだしも、相手DFとの駆け引きの中で、これを行っている。

文章で書くと、短いのですが、簡単なことではありません。

彼のボールに合わせる姿、それは技術の高さを感じます。






 昔、フランス代表、マルセイユ、ACミランで活躍した、ジャン・ピエール・パパン。

岡崎を見ていると、彼のプレーが思い出されます。

パパンの場合は、さらに豪快なボレーシュートや、オーバーヘッドキックも得意にしていました。

彼は、フランスリーグで、5年連続の得点王。

ヨーロッパ最優秀選手にも選ばれ、ユーロ選手権でも活躍しました。

漫画の世界のような、豪快なボレーシュートを、当たり前のようにゴールに突き刺す。

体をねじりながら、正確なヘディングシュートを決める。

私は、彼のことが好きで、キリンカップで観れた時には、興奮したものです。

彼はゴール後、両手を顔の前で掲げ喜びます。

その姿は、今でも忘れられません。







 彼のビデオを、まだ手元に持っています。

ゴール集、そしてゴールを決めるための秘訣を、彼自身が語る、と言う内容です。

ヨーロッパ最優秀選手を獲得して、すぐに制作されたビデオです。

それによると、毎日、チームの練習後に、居残りでシュート練習をした。

クロスボールを上げてもらい、飛び込んでいく。

しかも、右からのボールが得意なので、右からのボールを中心にトレーニングしていた。

だから、試合で、右からのクロスをに合わせて、たくさんのゴールを上げ続けることが出来た。

ボールに合わせる感覚を、磨き続けたのです。

そして彼は、ビデオの中でも、こう言います。

「この賞を、控えGKに捧げる」

「いつも彼が、シュート練習に付き合ってくれたから、ゴールを上げることが出来た」









 岡崎も、ヨーロッパの舞台に立つことが出来そうです。

彼のオフ・ザ・ボールの動きは相手の脅威になるでしょう。

そして、ボールにヘディングで合わせる感覚は、武器になるはずです。

試合に出て、周りに認められれば、ゴールを量産できる能力は持っています。

チームメイトとのコミュニケーションが大事でしょう。

どんなボールを、どのタイミングで出してもらえば、自分が活きるのか?

良いボールを出してもらわなければ、彼の良さは、出てきません。

一日も早く、チームメイトやコーチに、自分のキャラクターを理解してもらう。

それも、関西人の彼なら、それも難しくないはず。

ハツラツと、ピッチを躍動する姿を、早く観たいですね。




posted by プロコーチ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

決勝点のあのゴール。

 李忠成の歴史に残る、ボレーシュート。

あの一発が決勝点となり、日本代表はアジアカップを制しました。

このボレーを、2つの側面から考えます。








・ボレーの技術

教科書に出てくるような、お手本になるボレーでした。

あのボレーを打つためには、幾つかのポイントがあります。







1つは、全身のバランスです。



 体の横に来たボールを叩くためには、足を高く上げる必要があります。

ただ、足を高く上げるだけだと、上手くいきません。

足が思ったよりも上がらず、ボールの下を叩いて、シュートが上に上がってしまう。

もしくは、無理な体勢になるので、体のバランスを崩してしまう。

そうならないためには、上半身の使い方が求められます。

ボールに合わせ、足を高く上げた分だけ、上半身を寝かせていきます。

(結果として、地面と水平に近づいていくでしょう。)

そうすれば、無理なく、足を高く上げることが出来ます。

それだけだと、体が崩れる恐れがあります。

これを防ぐためには、両腕を広げて、バランスを取るのです。

李忠成のボレーは、これを忠実に遂行していたため、体の軸はぶれていません。




 体の向きも良かったですね。

ボールが飛んで来た側(左サイド)と、ゴールの間くらいに、体を向けていました。

ゴールに正対していなかった。

つまり、体が開いていなかったのです。

体が開いてしまうと、ボールがファーサイドに切れてしまいやすい。

両腕を広げ、体を寝かし、体を開かない。

上半身のバランスは、バッチリでしたね。





 さらに、蹴り足のスイングにもポイントがあります。

強いシュートを打つ!

この意識が強すぎると、つい、足を大きく振り回してしまいがちです。

よくあるのが、足はダイナミックに振っているのに、ボールはかす当たり・・・。

ボールの芯を捉えれなかったのです。



 先ほどの、上半身のバランスを整えた状態から、膝を折りたたんでボールを待ち構える。

そして、膝を伸ばしながら、ボールの中心を捉える。

極端に言うと、曲げた膝を伸ばしていくだけで、充分なのです。

この時、蹴り足の膝がボールより上になるように調整し、かぶせるイメージを持つ。





 そして足を振っていくと、上半身はさらに横に倒れるようになるでしょう。

これをギリギリまで我慢して、バランスを保とうとする。

バランスを崩さず、自然に蹴り足で着地していく。

膝をかぶせながら、ボールを叩けているでしょう。








・マークを外す動き


 

 なぜ、李はあそこでフリーになれたのでしょうか。

100分戦った後で、疲れてしまったのでしょうか。

堅守を誇る、オーストラリアの守備陣にしては、信じられないようなミスですね。



 その原因は、2つ考えられます。

1つは、岡崎、前田らの「残像」でしょう。

この大会を通して、日本代表は、サイドアタックに取り組んできました。

中で合わせる選手の動きが、良かった。

ボールが入ってくる瞬間に、走りこんでくる、飛び込んで来ています。

待ち構えることなく、パワーを持って、走りこんでいく。

身長で勝負できない分、このタイミングを重要視しているのでしょう。




 余談ですが、今回のテレビ画面は観やすかったですね。

少し、引いた映像で試合を観ることが出来ました。

全体の動きを観るのには、適したズームでした。

この画面のおかげで、ボールを持っていない選手の動きも確認できました。

サイドからのボールに対して、ペナルティエリアの手前で待機している姿が分かりましたね。
 



 そして、必ず、ニアに1枚、ファーに1枚。

特に、ニアに飛び込む選手は、欠かすことが無かったのではないか。

GKは間に合わない。

DFも一瞬遅れがちになる。

ニアの鼻先へ、走りこんで勝負していました。

この、繰り返し走りこんでいたFWの姿が、残像となって、相手DFの頭に染み付いていた?!

オーストラリアDFは、幻の残像をマークしてしまったのでしょうか。









 もう1つのポイントは、李のボールを持っていない時の動きです。

オフ・ザ・ボールの動きなのですが、幾つかの工夫をしていました。




 まず、左サイドで長友がドリブルを仕掛けているときです。

その瞬間、マークされていたオーストラリア3番の背中側に回りました。

ボールから遠ざかるように、やや右に動くのです。

この動きで、3番の死角に入ったのです。

完全に死角に入ることで、3番は、ボールと李とを同一視することが出来なくなりました。

その証拠に、クロスが上がる前に、3番が首を振って李を確認する姿があります。

つまり、3番は李の動きを、雰囲気でしか見えていないのです。





 さらに、工夫は続きます。

李はニアに飛び込む素振りを見せました。

左足を大きく進行方向にステップイン。

ニアに走りこむことを、3番に印象付けました。

サッカーならチェックの動き、フットサルならフェイク(ガット)の動きと呼ばれているものです。

大きく鋭いステップで、マークを外すための予備動作として用いられます。



そして、3番がニアにつられた瞬間、バックステップと、クロスステップで中央に逃げました。

プルアウェイの動きです。

自らは視野を確保しながら、相手の視野の死角に入る。

李は、視野の確保の戦いに勝ったからこそ、フリーになることが出来たのです。

教本通りの、素晴らしい動きでした。











 今回の文章を書くのに、何度も何度もボレーシュートを観返してみました。

何度見ても素晴らしいゴールでした。

ボールのある部分でも、ボールの無い部分でも、トレーニングの成果を見せてくれた。

普段の取り組みが、大舞台で発揮できた好例と言えます。

ラッキーボーイなどと表現するのは、失礼にあたる。

李のゴールは、それほど、必然性の塊から生まれています。

posted by プロコーチ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月25日

理想のフォームで

「腰が回らなかった」

「体が流れた」

「体勢が悪かった」

「軸足が・・・」


キックミス、特にシュートをミスした時に、よく耳にする言葉です。

なぜ、このようなことが起こるのでしょう。






 キックのトレーニング(自主トレ含む)を見ていると、その原因の一端が明らかになります。

ボールをセットし、後ろに下がって助走を行う。

自分のタイミングで、助走を始動し、キックに入っていく。

リラックスした状態で、キックのトレーニングを積み重ねるのです。

これは、キックのトレーニングであって、シュートのトレーニングではありません。

試合の状況を想定したトレーニングでもありません。






 試合中に、何回、このような場面が出てくるのでしょうか?

GKならば、ゴールキックの時に、出てくるでしょう。

フィールドプレーヤーなら、セットプレーの時くらいのはず。

ボールをセットして、助走する余裕は、試合中には起こらない。

もっと言えば、止まっているボールを蹴ることすら、試合中には少ないのです。

それなのに、止まったボールを、しかも後ろにゆっくり助走して、キックのトレーニング。

許されるのは、技術習得の初期段階か、セットプレーくらいです。







 ヒントとなる言葉を、他競技のトップアスリートが語っていました。

プロ野球、ジャイアンツの阿部選手です。

周りのプロ選手も尊敬する、バッティングセンスの持ち主である、彼。

「(バッティングフォームは)崩されて、なんぼ」

「理想のスイングで打つことは、一年に数回しか出来ない」

相手が投げるボールは、タイミングも、スピードも、球種も、コースも、様々です。

一瞬のうちに、投手の手から離れたボールを判断して、スイングする。

相手投手は、当然打者を困らせるべく、工夫を重ねる。







 阿部選手は、打者としての素晴らしい成績を残しています。

打率281、打点92、本塁打44。

私は専門外なので、そこまで詳しくは無いのですが、捕手としてはずば抜けている成績だそうです。

それでも、理想のスイングで、ボールを打つことは、年に数回しか出来ていないのです。

これが、「崩されてなんぼ」の発言につながっているのでしょう。

テレビに映し出された練習風景を見ていると、変なフォーム?でボールを繰り返し打っていました。

足を大きく広げる、腕を思いっきり伸ばして、など、素人目に見ても、格好の悪いフォームです。

様々な位置のボールを打つ練習を、地道に繰り返す。

試合の状況を想定しているのです。

崩されても打つ、ボールを飛ばす。

これが、試合でのバッティングにつながっているのだそうです。







 シュート練習の時、気持ちよくボールを蹴ってはいないか?

崩された状態で、ボールを蹴りこめているのか?

試合で起こるであろう状況を想定する。

自ら崩した状態を作って、ボールを蹴る。

これは、クロスにも、DFのクリアにも、同じことが言えます。

試合で、何回、理想のフォームで、ボールを蹴れるのか?

プレッシャーの厳しい、ボックス近くでは?

相手に崩されるのが試合の状況なら、トレーニングで崩された状況を。
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2010年10月22日

自らを守るために。

 前回、準備が大事だと言う話から、追記に以下の文章を書き記しました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本対韓国の、フル代表の試合を思い出してください。

駒野が、競り合いで強くぶつかられ、腕の骨を骨折してしまいました。

もちろん、不用意に過剰にチャージした、韓国選手が悪いのは、間違いないです。

ただその時、駒野は準備できてたでしょうか?

韓国の当たりが厳しいのは、知っているはず。

腕を使って、相手が入ってこれないようにしながら、ジャンプヘッドをしていれば。

栗原が、顔面を強打されたシーンも同じです。

目の前に相手選手がいるのに、普通にヘディングしようとした。

鼻を折ったり、目が腫れ上がったりしなくて良かった。

そうならないためには、カラダを横に向け、肘を曲げた腕を出していれば。

自分のカラダを守るのは、自分しかいない。

2人とも、日本国内基準でプレーしてしまったのでしょうか。

これも、準備に不足があったと言わざるを得ません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 このことについて、もう少し書いてみようと思います。

フットボールには、接触がつきものです。

それと異なるのが、ネットを挟んで行うボールゲーム。

例えばバレーボールやテニスなら、相手とぶつかることは、ほとんど無いでしょう。

ゴールを目指し、両チームが同じフィールドで戦うボールゲーム。

こちらは、ハンドボール、ラグビー、バスケットボールなど。

接触なしでゲームが進んでいくことは、不可能です。

どんなにルールで規制したとしても、全てを排除することは無理です。

つまり、フットボールをプレーしようとするならば、接触に強くならなければならないでしょう。







 そのためには、何が必要なのでしょうか?

カラダを鍛えて、ぶつかること、そのものを強くすることも必要です。

最低限の力は、やはり求められるでしょう。

その求められる最低限が、国や、レベルによって異なってくる。

民族的なカラダの違いもあれば、審判の基準も変わってきます。

北欧を始めとするヨーロッパの人々のカラダを想像し、プレミアリーグの笛を考えてみてください。







 より求められることがあります。

それは、常に相手選手を意識しておく、ということです。

ついつい、ボールと自分との関係を最優先に考えてしまう。

ボールを止める、運ぶ、はじき返す。

これだけに集中してしまい、相手の存在が「ポンッ」と無くなってしまう。

もちろん、良いキック、良いヘディング、コントロールをするため。

そのためには、ボールをよく観ることは大事なのです。

とは言え、相手あってのプレーだということは、忘れるわけにはいきません。







 具体的に言うと、腕の使い方、カラダの向き、そしてコンタクト(接触)するタイミングです。

例えば、冒頭の部分で挙げた内容です。

自分の急所と、ボールとを同時に守るようにしたい。

すると、感じ取らなければならない。

相手選手がどこにいるのか?

どのような体の向きで、どこまで近付いて来ていて、何をしようとしているのか?

そして、この時のパワーは?

相手選手が発する、ベクトルのようなものを感じ取ること。

このベクトルを感じ取ることができれば、ケガの確率は劇的に減るでしょう。

さらに、ボールを奪われる危険も、減らすことが出来る。








 そして、相手のベクトルが強烈に、こちらに向かっていると感じ取った。

その局面では、ボールを持つべきではない。

猛牛が気持ちをたぎらせて、こちらに飛び込んでくるのです。

正面から受け止めていては、ケガをするだけです。

闘牛士のように、ひらり!とかわす、すっといなす。

ボールをワンタッチでパス出したり、ワンタッチコントロールで大きく動かす。

その場に確実にボールを止め・・・、などのいつものようにプレーするべきでは無い。







 さらに、倒れる準備も必要です。

ジャンプする用意かもしれません。

ブラジル人がダイブして、ファール欲しさに、必要以上に痛がる。

これはやり過ぎにしても、倒れるメリットはあります。

踏ん張らずに倒れることで、相手のぶつかる力を逃がすことが出来ます。

そのまま耐えると、衝撃をまともに受けてしまいます。




 ただし、倒れる、ジャンプすることばかりしては、弱い選手になってしまう。

強いベクトルにも耐えて、プレーを続ける、タフな選手。

タフな選手の方が、より多くのチャンスを得ることが出来るでしょう。

それと同時に、味方の信頼も得ることが出来るはずです。






 タフであるべきなのか、ケガを避けるべきなのか?

この見極めは難しい。

少なくとも、相手のベクトルを感じること。

相手あっての、コンタクトプレーあってのフットボールだ。

そこから、全ては始まっていく。
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2010年08月31日

求められる技術

東京ベルディの試合を、西が丘に観に行きました。

やはり、西が丘での観戦は素晴らしい!!

当日も4000人しか入っていなかったのですが、雰囲気は抜群です。

スタンドとピッチが一体となった空気は、心地のいいものでした。




 
 この雰囲気を崩さずに、数万人入るスタジアムで試合が行われたら!?

私は、海外で何度となく、その空気を体験してきました。

今回の南アでも、全員が一体となり熱狂した、あの感覚。

日本にも、そんなスタジアムが当たり前になって欲しい。

一体となった専用競技場で、いい試合を、いい応援を。

ハードも、ソフトも、そこを目指して欲しい。

あの空気感は、一生の宝になり得ます。





 当日、ピッチで繰り広げられた試合も、面白いものでした。

両チーム共に、試合を作ろうとしていました。

守備を固めて、ボールを外に蹴りだすだけの試合運びではありませんでした。



 

 特に、ヴェルディの選手は、ウマイ。

ボールが足元に収まったら、何でも出来る。

最終ラインからビルドアップして、中盤を組み立てる。

サイドチェンジを使って、薄いサイドに一気にボールを運ぶ。

特に右サイドバックの福田選手のキックは、素晴らしく。

50M級のサイドチェンジを、ピンポイントで通していました。





 ただし、ある不満に気づきました。

プレッシャーが掛かった状態でボールを受けると、プレーの幅が一気に狭まるのです。

後方からボールを受けて、ターンが出来ない。

右(左)からボールを受けて、逆側の左(右)側にボールを運べない。

一気に寄せてきた相手を逆に外す、ファーストタッチがほとんどない。

相手DFのプレッシャーで、ボールコントロール(ファーストタッチ)の能力が、極端に変わってしまうのです。




 それでは、相手のいる中で、技術を発揮しきれないではないですか。

実際、ヴェルディが、中盤を経由して、良い組み立てが増えてきたのは、70分あたりから。

岐阜の選手の足が止まりだしてからなのです。

それまでは、ファーストタッチの幅が狭く、選択肢が少ない状態を繰り返していました。

すると、次のパスが、相手に読まれやすくなってしまう。

結局、相手を崩せずに、ボールが守備ブロックの外を回るだけ。





 これは、我々日本人選手の抱えている課題といっても、いいでしょう。

相手のプレッシャーが無ければ、思い通りのプレーが出来る。

足元にボールを納めることさえできれば、創造力をもったプレーが出来る。

ただし、相手のプレッシャーが強くなった途端、ファーストタッチが乱れる。

思い通りにボールをコントロールできない。

相手のプレッシャーに負けて、いいボールの持ち方が出来ない。





 厳しい相手DFの寄せが、当たり前にある。

その環境の中で技術を発揮する。

相手DFと対峙しても選択肢を複数持てるように。

そのためには、まずファーストタッチをどこに置くのか?

相手の逆を取り、自分が有利に局面を打開する。

相手がいる中でも、大局の中で効果的なプレーを選ぶ。





 あれだけウマイ選手たちでも、苦労している。

改めて、この重要性に気づかされた、試合観戦でした。
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2010年06月08日

染み込んだフィーリング

 どれだけの力をボールに加えれば、どのようにボールが動くのか?

無意識に、表現することが出来るように。

朝起きて、顔を無意識に洗う。

蛇口のひねり方、水のため方、タオルの使い方。

普段、一つ一つの動作を考えながら、顔を洗ってはいないはずです。




 フットボールの技術も、このレベルまで引き上げたい。

ここまでトレーニングを積み重ねて、試合で存分に技術を発揮できる状態になります。

トレーニングで成功しないことが、試合でだけ成功する確率は低い。







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 キック・コントロール・ボールタッチ・ヘディングにタックル。

どのプレーでも、同じことです。

ボールと友達になる。

ボールフィーリングを身に付ける。

これらも、同じ考え方でしょう。

押すのか、引くのか、切るのか。






 例えばキック。

自分が何をしたいのか?

それに合わせて、ボールの軌道をイメージさせる。

回転や、強さもイメージするでしょう。

味方にパスが通るように、もしくはシュートが決まるように。








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 プロのレベルで、あいまいなターゲット向かって、ボールを蹴っていないはずです。

例えば、30M先の味方FWの胸に、ストレート回転のボールを蹴る。

あまり時間を掛けたくないから、5M程度の高さよりあげないように。

それならば、インステップで軽くバックスピンを掛ける。

このように、軌道、回転、強さを即座にイメージする。

次の瞬間、脳が指令を出し、ボールにアプローチする。





 どのようなフォームで蹴るのか?

どれだけ足を後ろに引いて、どの程度の速さで足を振るのか?

ここに意識は、あまり置いていない。

まるで、ボタンを押すと自然に指令が出て、動作をするロボットのように。

朝起きて、無意識に顔を洗うように。

カラダが勝手に動き出す。





 ここまでのレベルにあれば、周りを観る、決断を下すことに、意識を向けることが出来る。

試合で生きる。

相手DFがいても、間違いなく。

それが本当の技術だとするなら、情報を収集し続けることが求められる。

ボールに触る瞬間しか、ボールに目を落とさない。

それどころか、ボールを見ることなく、ボールを止め、蹴り、運ぶ名手すらいます。

そんな彼らのボールに対する感覚は、どれほど高まっているのでしょうか。

想像をはるかに超える高みなのでしょうね。






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 ワールドカップに出場する、国の代表選手。

彼らの技術レベル、ボールに対する感覚は、高いものがあるでしょう。

今回の南アフリカワールドカップでは、その研ぎ澄まされた感覚が足を引っ張るかもしれません。

いつものように、無意識にボールを蹴ろうとする、止めようとするだけでは、ミスにつながる。

それは、空気の薄い高地での試合開催があるからです。

こんな記事が紹介されていました。



「低地に比べ、高地は低圧になるため、空気密度が低下し、意外な影響を生む。

筑波大の浅井武教授の調査によると、標高0メートルの空気密度を1とすると、

ブルームフォンテーンやルステンブルクのある1500メートルでは0・86にまで下がる。

秒速30メートルでけり出したボールの1秒後の速度は、平地で秒速24・19メートルとなるところが、

24・98メートルまでしか減速しなくなるという。」



「そのため、1秒後には約40センチの差が生まれ、

トップレベルの選手のミドルシュートでは、

「ボール1個から1個半ほど速くGKに到達する」(浅井教授)というのだ。」






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 とは言え、前日のトレーニングや、W−UPを活用して、ボールの伸び具合は把握するでしょう。

比較的プレッシャーの低い場面ならば、充分にアジャストしてくるはずです。

それくらいの能力が、あるはずです。

ただし、とっさの場面では、普段の感覚が、ひょっこり出てくる瞬間があるでしょう。

プレッシャーが厳しい時や、試合の立ち上がりや、終盤です。

しかも使用される公式球は、飛びやすく、ぶれやすい、あのジャブラニです。

そこを、ピンチにしてしまうのか、チャンスに結びつけるのか。





 例えば、DFラインが目測を見誤り、相手のロングフォワードパスをかぶってしまう。

GKが、弾くことしか出来ないはずのミドルシュートを、間違ってつかみに行ってしまう。

ドンピシャに蹴ったはずのパスが、味方の頭を越してしまう。

これらは、チャンスを逃し、ピンチになってしまう瞬間でしょう。





 その反対に、チャンスにつなげることもあるはずです。

積極的に、ミドルシュートを狙ってみる。

相手DFが簡単に処理しそうな浮き球でも、背後を狙って走り出す。

GKがファンブルするのを予測して、詰めておくこと。





 
 環境や、ボールを味方に付けることが出来るのか?

後からの恨み言は、聞きたくないですよね。

これも1つの、着目ポイントでしょう。










1つ、告知を。

私が指導する、サッカー教室があります。

そこでも、24時間どっぷりとフットボール漬けになれる合宿があります。

ご興味あれば、いかがですか?

http://otonano.biz/tmp/201007camp.htm
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2010年05月18日

1対1の駆け引き

1試合に、1対1は何度あるのか?

ここでの勝敗が、試合そのものの勝敗につながることもある。

それほど、重要なものである。

洗練されたチームは集団として、プレーする。

それでも、1対1の局面が0になることは無いでしょう。





 ただ純粋に、積極的に仕掛けていくだけではない。

相手の変化を見ながら、プレーを選択する。

価値を見出されつつある、この「1対1の駆け引き」。

これが、1対1の醍醐味であり、試合そのものの見所でもある。

もっともっと、クローズアップされてもいいのですが。


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 対峙した相手の、変化を観ること。

プレーの決断をギリギリまで遅らせると、言い換えることが出来るだろうか。

この説明は、プレーを実行するまでにはプロセスがある、との考え方によるものです。


観る → 判断する → 決断する → 実行する

(観る → 判断する → 実行する)(観る → 決断する → 実行する)

このようにな考え方もあります。

この部分を細かく定義することは、今回はしません。

それよりも、決断までのプロセスがある、ここに重きを置いて、話を進めていきます。





 それと、正反対のプレーが、「決め」のプレーである。

勢い任せで、突っ込んでいく。

もしくは、予め自分のプレーを決めておいて、状況に関わらず実行してしまう。

これらのプレーを表すと、このようになります。

→ 実行する

決断する → 実行する

フットボールで大切な、相手を観る部分が欠落してしまっているのです。





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 「観る」

こちらの仕掛けに対して、どのような対応を相手がするのか?

相手が、いつ、どのように仕掛けてくるのか?

その変化、小さな変化を見逃さない。

ボールとの関係、重心の位置、ステップ、上半身の動き。

カラダのベクトルが、どこに向いているのかを、観察する。





 それは、実際の動きだけに留まらない。

心理的な要素も、大きくあります。

弱気になっているのか?それとも強気なのか?

一度へこんだ相手が、リバウンドさせてもう一度向かってくるのか?

心のベクトルを観察することは、1対1の局面において、大きな要素になるのです。





 そして、駆け引きというと、攻撃の局面での部分が、クローズアップされる。

守備の局面でも、当たり前のように、1対1の駆け引きがあるはずなのに。

相手に付いていくだけではない。

相手に一方的につぶしに行くだけではない。

攻撃選手の変化を見逃さず、守備側からも仕掛けていく。

守備の楽しみの一つです。






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 先日、あるきっかけから、マンツーマンで守備をする機会がありました。

自分がプレーヤーとしている所属しているチームの、公式戦でのことです。

そこは、ある区の社会人1部リーグ(35分ハーフ)です。

私は、監督兼選手として、参戦しています。






 

 相手チームの中心となって、攻め込んで来ていたのが、オフェンシブハーフのでした。

中盤の中央の前目から(ダイヤモンドの先端、いわゆるトップ下)攻撃を組み立てます。

相手の効果的な攻撃は、ほとんど彼を経由したものでした。

ドリブルにワンツー、スルーパス。

多彩な攻撃は、彼のアイデアと、テクニックとが光っていました。

前半、私はセンターバックで、彼らの攻撃を35分間耐え続けていました。





 後半の頭からは、マンツーマンで、彼にビッタリ付き続けました。

ボールがどこにあっても、彼がどんなポジションをとってもです。

昔の言い方で言う「便所マーク」というやつです。

本当に、便所まで付いていく覚悟で、マークについていました。

すると当然のごとく、何度も何度も守備の1対1を繰り返すことになりました。

真剣勝負の公式戦で、一瞬の気も抜けない、1対1はしびれるものがあります。

この感覚は、他には変えがたいものでした。





 結果を先に言うと、この作戦は成功しました。

オフェンシブハーフの彼は、マンツーマンマークを嫌がっているようでした。

ポジションを替えたり、走り回ったり、様々な工夫をしてきました。

それでも、一度も決定的な仕事はさせなかった、はずです。

(やばい!ヒヤリ・ハットするシーンは、何度かありましたが、・・・)

チームも、負けはしましたが、それ以上の失点も無く、1点挽回出来ました。

チームにとって、次につながる試合になったのかな。







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 私は、試合終了後、まずは疲労と満足感に包まれました。

カラダをピッタリ寄せて、相手の自由を奪うことが出来た!

相手チームの攻撃の選択肢が、格段に減った!

任務を達成し終えた兵士?の気分です。

ただし、その気分も、すぐに無くなりました。

すぐさま、試合のシーンを思い出し始めたからです。

一人反省会と言うのでしょうか、1対1のたくさんのシーンが頭に浮かんできます。






 最も大きな反省は、相手との距離感でした。

出来るだけ、存在感を知らしめようとしていたので、距離を近くにとっていました。

その結果、相手にフリーで前を向かれることはありませんでした。

何度か、相手の前に入って、インターセプトもしました。

「もっと、工夫ができたのではないか?」

と言うのも、マッチアップした彼は、ターンして、前を向くことをあきらめ始めました。

カラダを入れて、背中でキープし、振り向かずに前方向にパスを出す。

精度は高くないものの、DFラインの背後に、何度かパスを出されてしまいました。





 わざと振り向かせて奪う。

もしくは、わざと距離を置いておいて、パスを出させてインターセプト。

この選択肢もあったのではないか?

距離をつめるばかりに気をとられ、距離における駆け引きがおろそかになってしまった。

これが最大の反省点です。

次回の宿題でしょうか。








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 感じたことをもう1つ。

ゾーンDFで組織的な守備をしていると、1対1の局面が圧倒的に少ない。

失点をしてしまっても、責任の所在が、何となくぼんやりしている。

マンツーマンなら、誰が?いつ?どのように?ミスをしたかまで、明らかになってしまう。

試合によっては、マンツーマンDFを取り入れて、試合を行うことがあってもいいのではないか?





 攻守共に、随所に駆け引きが始まるはずです。

おそらく選手は、その度ごとに、1対1での工夫と、反省と繰り返していくでしょう。

毎回する必要は無いのですが、何かの気づきになるかも知れません。

posted by プロコーチ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月30日

逆を取る

 ボールを挟んで、攻撃の選手と守備の選手が対峙する。

お互いがステップを踏んで、相手の出方を観察している。

ほんの数秒の、もしかするとコンマ何秒、あっという間の出来事。

1対1の攻防。

フットボールの醍醐味の1つ。






 攻撃の選手も、守備の選手も、避けるわけにはいかない。

弱い部分を見せると、つけこまれてしまう。

・いかにして相手をだますのか?

・どのようにして、逆を取るのか?

駆け引きしながら、相手を抜きさる、ボールを奪う。



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 昨日、いいチームを体感しました。

特に、攻撃面が素晴らしいチームでした。

私が指導しているチームなら良かったのですが、残念ながら対戦チームでした。

彼らは、ゴールをどんどん積み重ねていく。





 彼らの特徴は、不思議なものでした。

パスが、リズム良くつながるわけではない。

ドリブルで何人もぶっちぎる選手がいるわけでもない。

スピードに乗って、サイドを攻略するわけでもない。

誰の目にも分かりやすい、強さがないのです。





 傍目には、気づいたらゴールを上げている。

気づいたら、ゴール前でフリーになっている。

相手DFのマーキングのミス?!

実はそうではないのですが、それくらい、いつの間にか・・・。






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 実際に対戦してみて、いくつかのことに気が付きました。




 前線の人間は、ボールを引き出す動きを止めることが無い。

常に少しずつ動いて、後ろからボールを引き出すアクションを起こしていました。




 パスを受け取る場所が、いい意味で中途半端。

DFが届きそうで届かない、いやらしいところを、平気で通してきます。

止める・蹴るの技術に自信があるのでしょう。



 



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 私が感心した最大の特徴は、パスの出し手と受け手の工夫にありました。

出し手が、常に相手DFと駆け引きをしていたことです。

DF全体の意志がどこに向かっているのか?

(もちろん、わざと意図した方向に向けさせる工夫もあります。)

そのベクトルを読み取りながら、パスを選択していた。





 一例を紹介します。

ボールホルダー(ボールを持った選手)が中央にいます。

トップの1人が縦パスを受けようと、中央から左サイドにふくらみます。

ボールホルダーが、ボールを右に少しだけ動かします。

ドリブルの時もあれば、ファーストタッチで動かすことも、もちろんあります。

わずかに右に動かしてから、左斜め前にパスを通すのです。




 そのボールタッチは、どんな効果を狙っているのか?

ボールを右に動かすことによって、対峙しているDFそちらに側に反応するでしょう。

ボールに対峙しているDFだけでなく、受け手をマークしているDFの意識もそちらに向く。

個人を、集団を、右側のそのボールに食いつかせるのです。

右側に相手DFが食いついた瞬間、左斜め前へのパスラインが、保障されるのです。

数値的にもパスのアングルが広がります。

心理的には、もっと大きくパスのアングルが広がるでしょう。





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 右を向いたら右にパス。

左にドリブルしながら、左にパス。

これでは、目の前のDFは何とかできても、相手DF全体の逆を取ることは難しい。

相手の重心の逆をとるだけでなく、集団の重心の逆もとりたい。

その工夫をしているチームとの対戦でした。






 ドリブルという分かりやすい局面だけで、駆け引きが行われるのではない。

パスの効果を高めるための駆け引き。

右に向かいながら、左にパス。

左に出すために、右に向かう。

ボールが右に動いたから、左に走る。

ボールが無くても、駆け引きは始まっている。
posted by プロコーチ at 23:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月23日

間合いで勝負。

 誰も止めることが出来ない!

それほどキレキレだった、FCバルセロナのメッシ。

ドリブル突破に、決定的なパスで、チームにチャンスをもたらす。

さらに今シーズンは、ゴールを量産。

1試合に2得点、3得点、4得点。

まさに、手をつけれない状態、のはずでした。

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 UEFAチャンピオンズリーグのセミファイナル、インテル対バルセロナの1stレグ。

この試合では、大した見せ場を作ることすら、出来ませんでした。

ゴールも、アシストも無し。

さらには、ドリブルで相手をぶっちぎる、お得意のプレーすら数えるほど。





 サイドの高い位置で、前を向いて1対1!

そんな、最もドリブルが生きるであろう局面でも、相手DFを突破することが出来なかった。

特に、インテルのサイドバック、サネッティには、やられ続けていました。

なぜ、サネッティは、メッシを止めることが出来たのか?

同郷だから!それだけの理由で、あのメッシを封じ込めれるものではありません。






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 メッシのドリブルの特徴は、いくつかあります。

・カラダのすぐ近くにボールを置いたまま、たくさんボールタッチをする。

・しかも、トップスピードに乗ったまま、ボールタッチ数を減らさない。

・足首だけで、方向を急激に変えることが出来る。

・顔を上げたままドリブルするので、相手DFの状態(重心や間合い)を観察できる。





 もう1つ、大きな特徴があります。

相手DFの間合いを理解しながら、ドリブル突破を仕掛けている。

言い換えると、相手DFの足が届く範囲、対応可能な距離を認識している。

そして、相手が足が届くか届かないかの、ギリギリのところで、ボールを出し入れする。






 まるで、鮎の友釣りのようなものです。

鮎には、自分の縄張りがあり、その縄張りを守る習性がある。

自分の縄張りに入ってきた鮎を攻撃に行くと、まんまと釣られてしまう。

鮎の習性を利用した、友釣りです。

メッシのドリブルは、DFの習性を利用したものと言えるのではないか。






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 メッシのドリブルを止めるために、よく見られるのがダブルマークです。

サイドバックが、前に立ちふさがり、バックステップを踏みながら、時間を稼ぐ。

その間に、中盤の選手(守備的MF、もしくはサイドハーフ)が挟み込むように近付く。

1対2の状況を作る。

そうして、チャンスがあればボールを2人掛かりで奪いに行く。

最低でも、メッシにドリブルをあきらめさせる。

このダブルマークが、メッシ封じの定番でした。






 そうでもしなければ、止められない。

DFが下がれば、方向を変え、中央に切り込んで、シュートを決める。

DFが奪いに来れば、待ってましたとスピードアップして、抜き去ってしまう。

こうなれば、カラダごとぶつかって、止めるしか方法は無い!?

トップレベルのDFでさえ、反則覚悟の対応をしていました。
 
だから、2人掛かりで、3人がかりで止める姿を、何度も目にしました。





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 サネッティの対応は違いました。

ダブルマークに持ち込むのではなく、1人で止めてしまいました。

不用意に間合いを詰め、飛び込むことはしない。

もちろん、可能性の低い、一か八かのスライディングタックルに頼ることもなく。





 まず、メッシを自分の間合いまで誘い込みます。

半身の姿勢で腰を落とし、ステップを踏みながら、じっくりと対応しています。

このあたりの対応は、同郷であるから、メッシのドリブルの特徴は、充分に理解してのことでしょう。




 
 ここからが、見事な駆け引きでした。

メッシが、仕掛けようとする寸前に、自分の足をグッと前に差し込む。

ボールタッチと、ボールタッチの僅かな間に、足を差し込むようにスタンティングタックルです。

コンマ何秒しか無い、その瞬間を逃さない。

ボールはメッシの足元を離れ、サネッティの側に残りました。





 メッシにしてみれば、相手DFサネッティの足は届きそうで届かない。

絶妙な間合いで、いざ勝負。

そんな自分が主導権を握った駆け引きをしているはずなのです。

ところが、実際は、すでにサネッティの間合いに入ってしまっていた。

抜き去っているイメージなのでしょうが、実際は奪われしまっている。





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 サネッティは、ベテランらしい工夫を加えていました。

ただ足を前に差し込んでいるわけではない。

必ず、半身で構えた、前側の足を差し込んで、スタンティングタックルをしています。

利き足ではなく、前側の足。

これが大きなポイントです。




 ついつい、得意な足(右利きならば右足)でタックルしてしまう。

半身で構えた時に、右足が前にあれば、そのままでいいのです。

ところが、右足が後ろにあった場合だと、それでは困ってしまう。

後ろ側の足だと、足を出すまでに時間が掛かってしまう。

何よりも、ゴールを背にして守り続けるためには、後ろ側の足を軸足に残しておきたい。

後ろ足でタックルして、外された場合、不必要なステップを強いられてしまう。





 前側の足で、間合いを詰める。

前側の足で、突っつく。

後ろ側の足を、軸足にすべく残しておく。

この細かいサネッティの配慮。

ドリブルに対する応対の、お手本と言えるパフォーマンスでした。







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 試合の後半には、同僚マイコンの負傷退場もあり、左サイドバックから右サイドバックに。

何事もなかったかのように、右サイドで仕事をしていました。

改めて、彼の能力の高さを思い知らされました。

インテルというビッグクラブで500試合も出続けているのは、名前だけではありませんでした。





 メッシも、同じやられ方はしない!そう誓っているでしょう。

カンプノウでの2ndレグ。

ボールを挟んでの間合い。

そして、そこでの駆け引きは見ものです。
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