2011年08月30日

代表合宿から

 今週金曜日に、ワールドカップ3次予選が行われます。

天候は心配ですが、なかなか盛り上がっていますね。

日本代表の人気が、南アフリカ以降、そしてアジアカップの優勝を機に高まっています。

各地域でチームが根付いて、Jリーグや地域リーグが盛り上がるのが理想かもしれない。

日本の現状は、代表がサッカー界全体を牽引する、大きな力になっている。

もうしばらくは、この傾向は続くはずです。

そうだとするならば、失望することなく、代表チームを応援したいものです。








 昨日、代表合宿を取材してきた方と、話をしました。

「スライド(守備)のトレーニングをしていた。」

「このトレーニングは、定番で、いつもしている。」

内容は、ザッケローニ監督がサイドにボールを蹴って、それに合わせてポジションを修正。

ゾーンDFのシステムを構築しているので、ボールの動きが重要になってきます。

ボールの動きに合わせて全員が動き、お互いの距離感を保ったままで移動する。

サイドにボールが出たら、全体が横にスライド!するように動きます。







 このトレーニングで、強調していたのは、横のコンパクト。

FWとDFラインとの間を狭めて、縦をコンパクトにする。

さらに、左サイドと右サイドの選手との間も縮めて、横方向もコンパクトにする。

20〜30Mの間に、全員が入るように指導していたとの事。

ただ、トレーニングでは出来ているものの、試合になると、横に広がってしまうそうで。

逆サイドに選手が張って、待ち構えている。

もしくは、逆サイドのサイドバックが、オーバーラップしようとしている。

この動きにつられて、気になってしまう。

一発のサイドチェンジを恐れているのです。

ショートパスをつないだり、各駅停車のようなサイドチェンジなら、余裕なのですが。






 監督のイメージとしては、逆サイドは、ボールが飛んでからでも間に合う。

だから、ボールサイドに寄せておくこと。

もし、言われたとおりに、サイドバックがポジションを取っている。

そこに、一発でサイドチェンジをされ、パスが通ってしまう。

スピードに乗って、相手選手が突破し、失点・・・。

応対したサイドバックは、自分自身許せないはずです。

おそらく、マスコミなどに非難されるでしょう。

この、やられたくない!!と言う気持ちが、逆サイドのマークに走らせてしまう。

ボールサイドに絞らなくてはならない、と分かっていても、逆サイドが気になってしまう。









 この、横方向のコンパクトさを保つためには、いくつかの課題があります。

・素早いスライド

これは、その前提条件にしかすぎません。

横方向に素早くスライドが出来たところで、逆サイドを破られる恐れは解消出来ないのです。






・ボールに対するプレッシャー

ボールにどれだけ、連続して、プレッシャーをかけることが出来るのか。

その局面において、守備側が数的優位な状況を形成し、相手ボールホルダーを囲い込む。

まるで、ボールをマークしているかのように、積極的にボールにプレッシャーを掛ける。

逆サイドをフリーにしてまで、ボールサイドにスライドしていく。

それは、ボールサイドで、数的優位な局面を作るためでもあるはずです。

ですから、形だけ、スライドして行っても、試合では、何の意味も成さない。

形だけのスライドなら、相手チームにチャンスを与えているだけかもしれない。

相手の技術、判断能力を奪うまで、ボールに寄せること。

そして、それを連続して行うこと。

「キックフェイントに引っかかるな!」

今回の代表合宿で、ザッケローニ監督がコーチングしていたそうです。

引っかかってしまうと、逆サイドにボールを飛ばされる恐れが出てくるからでしょう。










・意識の中でスペースマーキングをすること

ボールサイドにスライドし、ボールへのマーキングを強める。

相手が短いパスや、ドリブルでその局面を打開しようとするならば、話は簡単。

そのまま、網を絞っていき、ボールを奪っていけばいい。

そのために、逆サイドの人間が、グウーッと、中に絞らせる。

問題は、やはり、サイドチェンジをされた時の対処です。

アコーディオンを縮めるように、中に絞っている、逆サイドのサイドバック。

彼の外側には、広い、広いスペースが広がっている。

このスペースをノーマンズランド(誰も抑えていない全くイーブンなスペース)にしてはならない。




 いかにしてこのスペースを、アドバンテージ・スペースにしておくことが出来るか。

仮にここにボールが出されても、自分が有利にプレーできる状態なのかどうか。

ここで求められるのは、「意識のなかで、スペースマーキング」をすること。

ポジショニングは、中に絞ったまま。

ボールが出たら、いつでも行ける!その状態を作っておくこと。

意識の中でスペースマーキングが出来ていれば、対応はスムーズに出来るものです。

逆サイドをスピードに乗られて、一発でやられるシーン。

こういう時は、パスを出されてからの対応になっており、後手に回っているケースが多いはず。

アコーディオンを絞りながらも、一番外は拡げる準備を、意識の中でしておくこと。










 この2つに加え、もちろんDFラインの押上げ、オフサイドトラップの活用も必要です。

前後の圧縮がないと、ボールに対して連続してプレッシャーには行けませんから。









「まだ、守備組織の構築は、監督の思っているようなレベルには達していないのだろうな。」

取材をした方との話を終えての、正直な感想です。

新しい選手が入ってきたり、活動の初日ということもあったのかもしれません。

それにしても、まだ、その確認は必要なの?と感じてしまいました。

早く、選手同士が、一声掛け合えば、修正できるレベルに到達して欲しい。

ワールドカップのアジア予選は、簡単なものではないはずです。

1点、1つのミスが、流れを失うきっかけになるのは、我々もたくさん知っています。

真剣勝負の場で、ベンチからの声を待っている時間はありません。

いい形でボールを奪い、勢いよくゴールを目指す。

ボールを奪われたら、すぐさまボールを奪い返す。

90分を通して、このような姿を観たいものです。
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2011年06月07日

手札を増やしている

 ザッケローニ監督の率いる日本代表が、チェコ代表との試合を迎えます。

メディアの注目は、1−3−4−3のフォーメーションを、いかに導入するのか?

そのシステムは、監督のオリジナリティが強く、選手が消化しきれていないのでは?

試合で、選手が上手く踊るのか?

一番の注目ポイントは、ここのようです。






 ザッケローニ監督は、複数のシステムを使い分けていく希望をもっているようです。

会見でも、

「あくまでAプランは、これまでやってきた4−2−3−1。

このシステムについては、まあまあよくできている。

それに加えて、Bプランの3−4−3を練習した。」

このように、答えています。








 そして、日本代表の現状、つまり複数のシステム理解度には、不満足のようです。

「こうしたフレンドリーマッチでは成長することが大切だと思うので、

トライしないといけないと思う。

ミランで勝利できたのは、いい選手が手元にいたことと、

そのシステムをよく理解して、きちんと活用できたことだと思う。

日本にもいい選手が手元にいるが、まだ理解して活用し切れていないのが現状だ。」

代表チームとクラブチームの活動できる日にちの少なさにも言及しています。







 今までの、試合や、コメント、トレーニングの内容から、あることが推察されます。

それは、試合によって、3つくらいのシステムを使い分けたい。

さらに、1試合の中でも、システムを使い分け、状況に合わせて手を打って行きたい。

システムを使い分けることを、チームの武器として、戦略的に進めていっている。

「カメレオンのように、戦い方を変化させる」

といった表現も聞こえてきました。









 このやり方は、日本人選手との相性は、いいはずです。

1つ、1つの、システムのやり方を習得する。

そして、監督の指示に従い、そのシステムの下で、試合を遂行する。

悪い言い方かもしれませんが、システムの奴隷になり続ければいいのですから。

もちろん最終的に、ピッチの上で決断し、実際に戦うのは、選手です。

その彼らが行動すべき、基本ルールを渡している。

まずは、2種類。








 このように例えることが出来るでしょう。

選手に、2種類の道路交通法を書いた紙を渡して、2種類の交通ルールを守らせようとしている。

青は渡れ、と書いてあった。

もし、青信号で暴走車が突っ込んできていたら、どうしますか?

紙に書かれてあるとおり、渡るのでしょうか。

普通は、渡らずにやり過ごします。

それはもちろん、誰もが普通は、死にたくないですから。

これが、選手個々の、その場の判断・決断です。

ただし、緊急時以外は、皆が同じルールに則って、行動することを求める。

そうでなくては、スムーズにクルマが運行されていかないからです。








 普段、試合の状況を観ていると、気づくことがあります。

相手チームは、ここが強い、ここが弱い。

他にも、相手チームが、我々をスカウンティングしてきている。

人数的に足りないところを、狙っている。

それは、こちら側からも、相手チーム側からも、同じことがあり続けます。

そして、戦略を練って、試合の中で修正をかけていくのです。

この反対のやり方にあるのが、お互いが丸腰で、全力でぶつかり合う。

正々堂々の言葉が似合う戦い方。

日本人は、ここに美徳を感じそうですが、・・・。
 






試合中に、相手の特徴、つまり長所・短所を見極めるのに、どれくらいかかるのか?

味方の、コンデョションも同じように、見極めたいのです。

数分で見極めることが出来るのか?

それとも、30分掛かるのか?

試合終了まで、気づけないのか?

個々の選手にも、スカウティング能力が求められるのです。

多くのことが見えていれば、それを試合に活かしていくことが可能になってきます。






 元日本代表ジーコ監督は、この能力が極端に優れていたそうです。

監督時代に、次に対戦する相手の、試合を観ていても、ほんの少しで観るのをやめてしまう。

僅かの時間で、チームや個人の特徴、そして試合の流れまで、分かってしまう。

最後まで観なくても、試合を予想すると、ほとんどの場合その通りになっていたそうです。

そのレベルまで達するのは、相当難しいことでしょう。

ましてや、実際にプレーしている選手は、目に入ってこないものも多いかもしれません。

それでも、少しでもスカウティングをし、相手を観ることをしていきたい。

そして、相手の長所を消し、相手の弱点を突くことを、その瞬間にしていきたい。

選手個人のレベルでしていく、これも駆け引きの1つ。

自分たちだけを観ていては、駆け引きは出来ない。









 
 監督としては、いくつかのカードを持って試合に臨みたいものです。

では、いつ、戦い方を変えるのか?

対戦相手の力量、その試合で勝ち点が幾つ必要なのか、。

味方チームのコンディション、出場停止の有無。

試合中のアクシデントに対する対応など。

これらに合わせて、戦い方をを変化させる。






 
 その分かりやすい方法が2つ。

1つは、システムの変更。

もう1つは、選手の交代。

監督の分かりやすいアクションに合わせて、選手全体が、戦い方を変化させる。

時間で区切ることもあれば、点数の推移で変化させることもあります。

味方がケガやレッドカードの退場で、変化させるのは、好ましくありませんがありうることですね。







 今の、ザッケローニ監督は、カードを増やそうとしている段階です。

つまり、手札は、まだ1枚とちょっとしかないのです。

相手を惑わす、戦い方の変化。

その姿になるのは、数年先のことか、それとも数試合先なのか。

監督の目指している姿が見れるのは、まだまだ先になりそうです。
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2011年04月22日

セットプレーの駆け引き

 相手がいるスポーツには、駆け引きが存在する。

自分のベストをぶつけるだけで、毎回勝利に近づけるわけでは無いはずです。

相手がいる中で、いかに自分を発揮できるか?

相手の良さを消し、自分の強みを発揮する。

常に、相手がいる中でのプレーが求められるのが、サッカーであり、フットサル。








 FCバルセロナ対レアルマドリーCFのリーグ戦での対決、クラシコ。

この試合で、興味深いことがありました。

それは、両チームのセットプレーです。

全得点の約3割は、このセットプレーから生まれる統計は、有名ですよね。

28%、33%、25%。

ワールドカップのここ3大会での、全得点におけるセットプレーの割合です。

勝利に近付くために、セットプレーの準備は欠かすことが出来ない要素です。






 レアルマドリーは、CK、コーナーで、いい準備をしていました。

キッカーのディマリアは、常に、ニアサイドにボールを送り込んでいました。

バルサGKに飛び出させないような、ニアに速いボールを入れ続けました。

残念ながら、DF・GKに弾き返され、チャンスらしいチャンスにはなりません。

バルサの選手は、高さで勝負できる選手がご存知のように少ない。

身長のミスマッチがあるので、レアルは、これを活かした方が良いのでは?

高いボールをファー、センターに入れてもチャンスになりそうなのに。

4本連続ニアに蹴られたCKを観て、私は、そう思っていました。








 ところが、5本目になる、前半終了間際のCKは違いました。

ディマリアが突然、ファーサイドに、ボールを蹴りました。

しかも、ゴールを横切るほど、ファーでも一番深い場所に蹴りました。

今まで、ニアを狙われ続けたバルサDF陣は、対応が遅れます。

ヘディングでセルヒオラモスが折り返し、フリーのクリスティアーノロナウドへ。

待ち構えて、フリーでヘディングシュートを放ちます。

ゴールのライン上で、アドリアーノが何とかクリアしました。






 バルサの守備陣は、完全に裏をかかれました。

スロー再生を観てみると、偶然ではなく、狙ったプレーであることがよく分かります。

ファーサイドに、ペペと、セルヒオラモスの2人が入っているのです。

(実は、4本目のCKの時も、2人はこのポジションを取っていました)

ボールを迎え撃ち、有利な体勢な、ペペとセルヒオラモス。

一方のバルサDFは、後ろに下がりながら、無理な体勢で競らざるを得なくなってしまった。

さらに、ゴールの中央には、5人のバルサの選手がいるのですが、完全にマークを見失っている。

ロナウドは、ジャンプヘッドのお手本のようなフォームを取る余裕さえありました。







 実際、折り返されるとフリーにはなりやすいです。

ただし、ここまで、後手を踏んでしまったのは、その前の4本が効いているからです。

ニアに入れたCKは、ニアに蹴ってくる印象を強めるための捨て札だったのです。

本当の狙いは、このファーに入れて折り返すパターンだったのでしょう。

その瞬間だけでなく、1試合を通して、駆け引きをしている。

セットプレー1つに、何という、周到な準備をしているのか!!






 この駆け引きは、もう一度ありました。

このチャンスの直後のCKでは、もう一度ニアを狙いました。

やはり、ニアへのボールは、クリアされてしまいます。

後半65分のCKです。

両チームの選手共に、中央からニアにかけて、人口密度が高くなっています。

ところがボールはファーに。

またもやセルヒオラモスがニアに折り返し、あわや!というチャンスを作ったのです。

4本+1本の、ニアへの捨てCKが効いた、瞬間でした。






 その一方で、このようなシーンもありました。

直接シュートを狙える、セレモニーとも呼ばれる、おいしいセットプレーの場面です。

レアルは、3回のチャンス全て、クリスティアーノロナウドが、シュートを狙いました。

彼の無回転のブレながら落ちる球は、GK泣かせの、素晴らしいものです。

このクラシコでも、ポストに直撃する、惜しいシュートを放っています。






 
 左利きの選手の方が狙いやすい角度もありました。

左足で狙うなら、ディマリア、マルセロ、後半ならエジルという選択肢もありました。

右足でも、素晴らしいキックの持ち主である、シャビアロンソも控えていました。

それでも3回全て、ロナウドだけが、蹴ることを許されていたのです。

ここで、相手の裏をかくような、駆け引きは用いないのか?

違う選手が蹴るのもいいでしょうし、意表を突いたトリックプレーも考えられます。

そのようなことは一切無く、エースであるロナウドが、いつものブレ球を蹴り続けました。







 もしかしたら、違ったことをした方が、ゴールが生まれていたかもしれない。

それでも、エースのロナウドに蹴らせ続けた。

これは、監督のモウリーニョからの強いメッセージではないのか?

「俺は、ロナウドお前をエースとして認め、信頼を寄せている」

彼の真摯に取り組むトレーニングを信じたのかもしれません。









 小細工をするよりも、エースのプライドを尊重して、気持ちよくプレーをさせる。

そのようなメッセージを発したのではないか。

信頼を感じ、気持ちよくプレーできたことが、その後のゴールにつながったとも言えます。

自信を持ってPKを蹴りこみ、同点に追いつきました。

さらには、国王杯の決勝でのクラシコでも、見事なシュートを決めています。









 一方のバルサ。

彼らのセットプレーは、セットプレーのようで、セットプレーではありませんでした。

CKもFKもショートパスをつなぎ、オープンプレーに変えてしまっていたからです。

高さで勝負しても、不利にしかならない。

それなら、得意な地上戦に持ち込もう。

明確な意図、チームのスタイルが、そこには存在しました。

それも1つの選択肢でしょう。








 セットプレー1つをとっても、奥の深さを感じる、両者の戦い。

次なる戦いでは、どのような駆け引きを見せてくれるのでしょうか?


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2011年04月12日

ボールの奪われ方を考える

「ボールを奪って、15秒以内にシュートを打つ。」

「ボールを奪って、パス3本以内でシュートを打つ。」

様々な世界大会のゴールを調べると、このような得点の法則が浮かび上がってくる。








 だから、ボールを奪ったら、まずゴール方向を見よう。

ゴールから逆算してプレーを組み立てる、ダイレクトプレーをしよう。

2002・2006年ワールドカップ、2004年オリンピックの頃は、よく言われていました。

ファーストブレイク、つまり速攻を重要視する。

ボールを奪った瞬間、チャンスが始まっている。






 ここ数年は、少し風向きが違うようです。
 
2008年ユーロでのスペインの優勝、ここ数年のFCバルセロナの強さ。

これにより、ポゼッションの再評価がなされている。

速攻だけではなく、パスをつなぎながら、チャンスをうかがう。

両方を揃えることが、現代フットボールシーンでは求められている。

南アフリカでも、この流れは実証されました。

堅守速攻しか出来ない!チームは、ファイナルに勝ち残ることが出来なかった。

スペインがワールドカップを勝ち取ったことで、この流れは、ますます加速していくのでしょうか。








 そうは言っても、速攻の威力が否定された訳ではない。

ボールを奪った後の速い攻撃は重要であることは、変わっていません。

相手の守備陣形が崩れて、整う前に、攻め切ってしまう。

この形から、ゴールが何点も生まれています。

スペインはもちろん、ウルグアイ、ガーナの速攻は鋭いものがありました。









 ではなぜ、ボールを奪われた瞬間がピンチになるのでしょうか。

気持ちが切り替わらないから?それとも、プレーを悔やんでいるから?

トップレベルのチームでも、一瞬の隙が生まれてしまう瞬間があるのです。

だから、昔から格言のように言われています。

「シュートで(はっきりとした形で)攻撃を終わらせるように」

相手のゴールキックの間に、守備の陣形を整え、気持ちを切り換える時間が出来るからでしょう。

逆に、横パスを奪われるのは、最悪とされていますよね。







 攻撃の時、相手の守備ブロックに穴を空けるために、ポジションチェンジをする。

2列目・3列目の飛び出しも、サイドバックのオーバーラップも、これに含まれます。

何とかして、相手の守備ブロックを崩すために、走りこむ。

チャンスと信じて、スペースに走りこむ。

相手を置き去りにし、フリーになるために走りこむ。

動きのある、ダイナミックな攻撃になります。

ただし、その時に中途半端なボールの奪われ方をすると・・・。

走ると言うことは、リスクを犯しているということでもありますよね。








 では、いい攻撃の終わらせ方は、シュート(はっきりとした形)以外には無いのでしょうか。

シュートで終わる以外にも、いい攻撃の終わらせ方(ボールの奪われ方)が考えられます。

ボールを、早いタイミングで、センターフォワード(トップ)目掛けて、パスをするのです。

いわゆるロングフォワードパス(長いパスを前方に送る)です。

おそらく、シュートまで持ち込める可能性は、低いでしょう。

10回試みて、数回もシュートまでは至らないはずです。

かなり屈強なFWがいれば、ボールを収めれる可能性は高まります。

ドログバ、アデバイヨール、イブラヒモビッチといった選手が思い浮かびます。

もしくは、相手DFラインがボールを弾き返すの得意でないなら、効果は高まるでしょう。






 ところが、仮に奪われても、すぐにはピンチにはなりにくいのです。

フォワード以外の選手は、守備の陣形のまま。

つまり、ボールを奪われた瞬間、攻撃から守備への切り替えが終わっている。

このプレーは、陣形を保つため行われているとも言えます。

40M級の正確なボールを蹴れる選手が何人かいたなら、より、効果的になるはずです。








 ところが、このプレーは、支持を受けづらいのが難点です。

試合の間中続くのなら、観客はあくびをしてしまうかもしれません。

アンチフットボール!とブーイングを受けるかもしれません。

試みている選手の間にも、徒労感が生まれてしまう恐れがあります。

ただし、もし、対戦相手と、相当実力差がある。

例えば、この試合は、引き分けでも構わない。

この時間帯は、無理をしたくない。

そのように考えるのなら、このプレーも選択肢の1つになり得るのではないでしょうか。

世の中には、このプレーを繰り返すことで、結果を残しているチームもあります。







 ボールをどのように奪うのか?

そして、奪ったボールをどのように攻撃に持ち込むのか?

これを追求しているチームは、多いはずです。

どのようにボールを奪われるのか?

今回の例は、その一例に過ぎません。

奪われ方を追求することも、チームの成長につながるでしょう。
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2011年04月08日

あのゴール・・・3

 しつこいようですが、あのゴールについてです。

チャリティーマッチの日本代表対Jリーグ選抜での、三浦カズ選手のゴールです。

このゴールからは、実戦経験から勝ち得た、本物の戦術眼を感じました。

数字を並べて完結させる、薄っぺらい戦術論ではなく。

選手一人一人が、ピッチ上で相手と「戦う術」。

相手を打ち負かすために駆使する、術です。







 説明のために、再び前回の図を用いさせてもらいます。

この図を注意深く見て行くと、あることに気がつきます。




   ハーフナー● 
                。
                ●トゥーリオ
                ○
               右CB
             
               *** 
             カズ●
               ***
  ○       ○            ○
               *** 
 左SB     左CB          右SB
             
            
            
            


       


            ○
            GK
         【      】




 単純に、それぞれの人数を数えてみます。

この図の中のディフェンダー○は、4人。(GKを除く)

アタッカー●は、3人。

攻撃3人、対守備4人、と守備側の人数が1人多い状況です。

仮に、1人が1人ずつマークを担当したとしても、1人余ります。






 注意深く観ると、ある現象に気がつくはずです。

ボールを競りに行った、右CB○に対して、2人のアタッカー●が攻め込んでいます。

ボールを競るトゥーリオ選手と、裏に走りこむカズ選手です。

2対1の攻撃側有利の状況が出来ています。

まるで、1人のディフェンダーを2人で襲い掛かるかのようです。






 さらに、左CB○を観てみます。

ここに対しても、2人のアタッカー●がいます。

浮き球を落としてもらおうとするハーフナー選手。

目の前から裏に向かって走りこんだ、カズ選手です。

ここでも、2対1の状況がありました。








 どんなに足が速く、屈強で、読みに優れ、ターン・ステップが素早いディフェンダーでも。

経験豊富で、冷静なディフェンダーであっても。

2人を同時に対応することは、大変難しいことです。

特に、自陣のゴールが近付けば近付くほど、その難易度は増して行きます。

危険な選手から距離を取れば、体を張ることすらも出来ません。

1人をつぶしに行けば、もう1人がフリーになってしまう。

2人まとめて、砂をまぶすよう、ぼやかす様ににマークしていては、間に合わない。

はっきり言って、お手上げの状態です。







 相手ディフェンダー1人に対して、2人で襲い掛かる。

これを意識すると、一瞬、攻撃陣に時間が生まれることがあります。

その一瞬を逃さず、決定的な仕事をする。

口で言うのは簡単ですが、それを達成するのは簡単ではありません。

相手ディフェンダーも馬鹿ではない。

いつまでも、2対1の状況を放置はしてくれないでしょう。







 2対1を作り、2対1を活かす。

状況を見極める目。

次の、その次の次を見通す読み、つまり頭脳。

瞬間を逃さない決断力。

その場所に張り込むための運動量。

そして、イメージを具現化する技術。

試合の中で、2対1を意識できるようになれば、プレーの幅が拡がるはずです。









 あのゴールは、演出でも、芝居でも、八百長でもありません。

手抜きでもなければ、馴れ合いでもなく、シナリオもありません。

あまりに劇的なシーンだから、そのような意見が出るのでしょうか?

フットボールを上っ面で捉えているのか、頭でっかちな方の発想でしょうか?

私には、そのような意見は理解できませんし、発する方の気持ちは分かりかねます。

もちろん、走りこんだ場所にボールが飛んできたのは、幸運かもしれません。

しかし、幸運は、いい準備をしているからこそ、掴むことができるのです。

走りこんでいることも、決めたシュートも、いい準備の結果です。









 カズ選手の、あのゴールに関して、1つ言えることがあります。

あのゴールから学ぶことは、たくさんあります。

まさに、彼の25年のキャリアを代表するゴールなのです。
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2011年04月05日

あのゴール・・・その2

 守備の戦術が高度化することによって、得点が減少している。

それにより、試合の楽しみが少なくなってしまった。

そして、高度化された守備を打ち破るゴール。

高いレベルでの攻防があるからこそ、フットボールは面白い。








 前回に引き続き、チャリティーマッチでのカズ選手のゴールについて。

今回は、戦術的な観点を書き足しておきます。

なぜ、あの場所でフリーになって、ボールを受けれたのか?

その理由を考察してみます。

一番のポイントは、高度に進化したはずの組織的なディフェンスの弱点を、見事に突いている。







 近年、DFラインは、4人で組織されていることが多い。

しかも、カバーリング専門の役割を持つ、リベロ・スイーパーと呼ばれる選手は配置していない。

ゾーンディフェンスを基盤にし、マンツーマンディフェンスを混ぜた形です。

ボールの位置と、味方の位置とが重要となるのが、このディフェンス。

ボールの位置合わせて、味方が連動して動いていく。

まるで、鎖やロープでつながっているように。

この場所にボールがあれば、このように動く。





 つまり、予め、ポジショニングが決まっているのです。

もちろん、ボールを持った選手に対して、プレッシャーを掛けなければならないのは、当然ですが。

効率的にプレッシャーを掛ける為の、ポジショニングです。





 具体的に図示すると、このようになります。



             。
             ●
             ○
            右CB


  ○      ○       ○
 左SB    左CB     右SB




       


          ○
          GK
       【     】
      



 中央にボールがある場合は、1人がボールに当たる、プレッシャーを掛ける。

そして、その両脇の選手が、斜め後ろでカバーリングに入る。

ボールが中央にあるので、ボールに行くのはセンターバックの仕事です。

右のセンターバックが、空中のボールに競りに行っている今回。

カバーリングに入るのは、右サイドバック、左のセンターバックになります。

そして、一番遠い、左サイドバックが、全体のバランスを見ています。





 4人がこのポジションをとることによって、理論上はカバーリングが可能になります。

ボールが後ろにこぼれる、流れる。

こぼれ球や、抜かれてしまうケースが考えられます。

ボールを中心にトライアングルを形成する。

すると、後ろ方向へのセカンドボールには、いち早く対応できることになります。







 では、今回の得点シーンはどうだったのでしょうか?

ビデオで見直すと、きっちり、ポジショニングは取れていました。

4人が鎖につながっているように、連動して動けていました。

では、なぜ、ああも見事にカズ選手は、フリーでボールを受けたのでしょうか?

それは、カズ選手が、見事に、この守備方法の弱点を突いたからに他ありません。


                。
                ●
                ○
               右CB

               ***
             
               *** 
 ○       ○             ○
               ***
左SB     左CB           右SB
             
            
            
           


       


            ○
           GK
         【      】
      


 実は、この守備の方法で、数少ない弱点ともいえる場所があるのです。

それが、上のの***で塗りつぶした部分です。

この場所にボールが飛んでしまうと、対応が遅れてしまいます。

カバーリングしている○、DFのどちらもが、あえて空けている場所です。





 それは、この場所***にボールが飛んで来る可能性が低いこと。

この場所にポジションをとってしまうと、DFがカバーできる横幅狭くなりすぎること。

後ろに下がりすぎると、オフサイドラインが深くなり、ゴールに向かって走りこまれる。

***にボールが飛んで来る低い可能性のために、ボールの真後ろにはポジションをとらない。

前方向にボールがこぼれた時の応対が遅れてしまう。

このような理由から、カバーリングを斜め後ろでポジションをとる。

このことで、幅も厚みも持たせるのです。







 ゴールシーンを見れば、一目瞭然です。

カズ選手は、ボールに競り合った味方が競り勝つ前に、走りこみ始めていました。

相手DFラインの弱点である、***このスペースに向かって。

その瞬間のポジショニングは、このようになっていました。




    ハーフナー● 
                。
                ●トゥーリオ
                ○
               右CB
             
               *** 
             カズ●
               ***
  ○       ○            ○
               *** 
 左SB     左CB          右SB
             
            
            
            


       


            ○
            GK
         【      】

結果から言うと、左CB○は、自分のカバーリングポジションを捨て、マークに走るべきだった。

DFラインを壊してでも、カズ選手のマークをすべきでしょう。

ただし、もう1人、ハーフナーマイク●も自分(左CB)の目の前にいた・・・。

一瞬の躊躇が、DFラインを壊してマークにいくのを遅らせてしまったのではないでしょうか。








 DFの戦術が発展し、高度に組織化したとしても、弱点が0になるわけではもちろん無い。

結局は、その場、その場で選手自身がどのように決断を下すのか?

何のために守備をしているのか?

今、何をすべき?今、危険なのは?

それをその瞬間ごとに考え、決断を下していく、ディフェンダー。

そんなディフェンダーの集まりであるからこそ、組織がより強固になっていく。

監督の言うことを忠実に遂行するだけでは、守備は成功しない。

インプロビゼーション、つまり即興性を求められるのは、攻撃時だけではない。
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2011年03月08日

DFのポジショニング

 守備の局面で、ポジショニングの原則があります。

どこに?どのような向きで?何を観るのか?

ボールの位置、マークすべき対象、味方との関係で、ポジショニングが決まっていきます。

その原則を外さなければ、守備は大きく崩れないでしょう。






 では、なぜ崩され、決定機を作られ、失点をしてしまうのでしょうか。

試合時間の間中ずっと、正しくポジショニングし続けることは、容易ではありません。

状況は、瞬間、瞬間で変化するものだからです。

野球のように、セットされた状態なら少しは楽なのでしょうか。

頭の整理をする時間もありますし、ボールが飛んで来るタイミングが分かっています。

とは言え、フットボールにおいて、セットプレーでの失点も多くあります。

相手があるスポーツは、簡単ではありませんね。







 先日、私が所属しているチームで、公式戦が開幕しました。

その試合で、考えさせられるシーンがありました。

もちろん、ポジショニングをどうすればいいのか?ということです。

攻守が連続する、フットボールならではのシーンです。

永遠の命題ともいえる、課題です。







 リーグ戦の初戦は、何とか気持ちよくスタートを切りたいものです。

私は、4バックの左センターバックで、試合に出場しました。

一番やり慣れたなポジションなので、自信を持って、試合に臨めます。

お互いに声を掛け合い、守備に取り組みました。

中盤より前の選手も、コースを限定し、我々の仕事を助けてくれています。

そうなると、我々最終ラインは、出てきたボールを確実に処理、弾き返すだけ。

決定機を作らせないまま、後半も半ばに差し掛かりました。





 

 そして、そのシーンが起こりました。

相手チームが、ライナー性のボールを、我々DFラインの裏に入れてきました。

走りこんでいたFWは1人しかいません。

しかも、苦し紛れの体勢から出された縦パスだったためか、際どい所には飛んできません。

イージーなボールです。

私の隣にいた右のセンターバックが、余裕を持って、腿でボールをコントロール。

のはずでした・・・。

バウンドが変わったのか、ボールにほとんど触れることなく、後ろに逸らしてしまったのです。

DFラインの裏に走りこんでいたFWがボールをコントロールし、そのまま独走。

私も必死に追いすがりますが、間に合いません。

GKとの1対1を制し、サイドネットにシュートを突き刺し、見事なゴール。





 私のこの瞬間の決断は、次のようなものでした。

「ボールを楽に処理できそうだ、それなら、深い位置まで下がってカバーリングは必要ない」

「それよりも、次にボールを受けやすいポジションを意識しよう。」

守備→攻撃への切り換える準備を、始めていたのです。

今回のシーンでは、この決断が、完全に裏目に出てしまいました

右のセンターバックに対する、カバーリングをする選手がいなかったのです。

右サイドバックも、左センターバックである私も、カバーリングポジションには居ませんでした。

入っていなかった、と言う表現のほうが適切かもしれません。

責任を明確にすると、私のポジショニングのミスが、失点の一因になってしまった。








 カバーリングを意識するなら、どこに立つべきだったのか?

・ボールを処理しようとする選手の斜め後ろ

これが正解です。

世界には、次のような表現もあります。

・背番号が見える位置に立ちなさい

・DFラインをL字、△のようにしなさい

いずれも、カバーリング出来るポジションとは、その斜め後ろである。

味方が失敗した時に、助けられるポジションに、予め入っておく重要性を説いています。






 私も、当然、この重要性は分かっています。

例えば、隣のDFが、相手のFWと激しく競り合っていたら。

例えば、隣のDFが、ボールの落下地点に入るタイミングが遅れ、体勢が悪かったら。

迷うことなく、斜め後ろでカバーリングに備えていたでしょう。

そうすれば今回のシーンも、ミスが、ミスにならずに済んだでしょう。







 本当に、今回のシーンは、考えさせられるものでした。

1つ早いタイミングで、攻守、守攻の切り換えが出来れば、相手選手の機先を制することができる。

そのためには、ボールの状態、味方、相手の位置から、展開を読むことが必要。

先読みして動くことは、リスクがあります。

もっと、決断を、ギリギリまで遅らせることが出来ればよかったのか?

そもそも、CBである以上、守備優先で考えるべきだったのか?

答えは、出るものではないでしょう。

1つの、ケーススタディーとして、蓄積しておかなくては。

これが、次のプレーでの決断に役立つように。







蛇足


ちなみにこの試合は、何とか2対1で勝利することが出来ました。

与えた枠内シュートは、失点シーンのみ。

ミスが勝ち点に影響を及ぼすことはありませんでした。

攻撃陣に感謝。
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2010年12月07日

コンビネーションプレー

 先日、私の指導しているチームで、こんなゴールが決まりました。

40M以上のロングドリブルからのシュートです。



 ボールをポゼッションしながら、相手を押し込んでいます。

中盤のセンターが、右サイドにボールを展開。

右サイドバックが足元でボールを受ける、やいなやファーストタッチでスピードに乗りました。

応対した、相手の左サイドハーフと、DHハーフの逆を取れました。

一気に、バイタルエリアに入り込みます。

さらにドリブルを続け、ペナルティエリアに侵入。

GKの逆を取るように、サイドネットにシュートを流し込みました。





 これだけを読むと、右サイドバックの選手が、素晴らしい個人技を見せた。

それだけに感じてしまうかもしれません。

確かに、ファーストタッチからのボールの置き場所や、落ち着いたシュートは素晴らしい。

が、実際はそれだけではありませんでした。

このプレーを生んだのは、周りの選手のプレー。

実はこのプレーは、最高のコンビネーションプレーだったのです。






 まず、右ウイングが、右に開き、ワイドなポジションを取ろうとしていました。

右サイドバックから、の縦パスを受けるべく、ポジショニングしていたのでしょう。

これにより、相手の左サイドハーフと、左センターバックが、外を警戒していたのです。

相手のDFブロックは、コンパクトな状態を作れず、横に広げられていました。

そのため、バイタルエリアへの侵入を容易く許してしまった。

このポジショニングが無ければ、もっと速くカバーリングが出来たでしょう。




 さらに、バイタルエリアに侵入してからもです。

FWの選手が、スルーパスを受けるべく、ゴール前に走りこみました。

左ウイングとセンターーフォワードの2人が、左から真ん中に向け、斜めに走りこんだのです。

スピードに乗り、爆発的に、フリーランニングを行いました。

すると、相手右サイドバック、センターバックは、あわててマークに行きます。

ボールホルダーへのカバーよりも、自分のマーキングを優先したのです。






 ドリブルを続ける右サイドバックの前には、さらにスペースが生まれました。

すかさず、そのスペースにボールを持ち込みます。

右サイドバックは、40Mもドリブルし、ペナルティエリアまでたどり着きました。

カウンターの局面だった訳でも無いのに、1人も突破をすることなくです。

後は、GKとの1対1を制し、シュートを決めるだけ。







 コンビネーションプレーと言えば、どんなイメージでしょうか。

ショートパスをつなぎながら、何人もの選手が絡んでいく。

パス&ムーブを繰り返し、相手を置き去りにしていく。

そんなイメージがあるかもしれません。

パスによるものだけが、コンビネーションでは無いはずです。。







 バルセロナであれだけ輝き続けているメッシ。

彼のプレーで、コンビネーションプレーを考えてみます。

なぜ、彼は、アルゼンチン代表では、活躍を見せられなかったのか?

南アフリカでのメッシは、期待されたほどの活躍ではありませんでした。






 その2チームでのメッシのプレーを比較する番組がありました。

それによると、ドリブルを開始するポジションが違うとのデータを示していました。

バルセロナでは、相手陣地に深く攻め込んだ場所から、ドリブルを開始できている。

ところが、アルゼンチン代表では、低い位置からでしか、ボールを受けれていない。

だから、メッシへのマークが集中し、つぶされている。





 さて、どうでしょう。

そのデータは、本物です。

ただしこれは、起こった現象を捉えただけに過ぎないのです。

では、なぜ?この現象が起こったのか。

そこに着目しないと、本当の姿は見えてこないでしょう。






 バルセロナでのメッシには、様々な選択肢が常にある状態です。

パスも出来る、ドリブルも出来る、シュートも出来る。

周りの選手が、メッシを活かそうとしている。

ボールを持っていない周りの選手が、メッシに選択肢を与え続けている。

だから、相手チームは、メッシのドリブルだけ止めれば何とかなる、状態にないのです。

ドリブルだけに集中していては、決定的なパスを出されてしまう。

パスを警戒すれば、ドリブル突破からのシュートを許してしまう。

常に後手に回らされた状態で、守備をしているのです。




 

 ボールを持っていない選手が、どれだけプレーに関われるのか?

当たり前のことですが、ここにポイントがあります。

真剣にボールを受けようと、オフザボールの動きをする。

背後を狙ったり、横についてサポートをしたり、開いてワイドな展開をしようと・・・。

これらの動きを真剣に、パワーを持って爆発的に走る。

だから、相手DFは釣られ、だまされる。

その変化を見逃さず、ボールホルダーは、プレーを選択していく。

まさに、コンビネーションプレーですね。








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2010年10月15日

押し上げるだけにあらず

 ザッケローニ監督が、早くも自分の色を出し始めました。

コーチたるもの、ピッチで何を表現させるのかが、腕の見せ所。

今回の2試合を観ると、ザッケローニ教授の授業が、始まっている。

そんな印象を受けました。

その授業は、選手に対してだけでなく、外部の人間に対しても行っているかのようです。






 「コンパクトにする。」

このフレーズを聞くと、何を想像するでしょうか。

DFラインを押し上げると答える人が、多いのではないでしょうか。

それは、「コンパクトにする」の、ある一面しか表せていません。




 まずは、何のためにコンパクトな状態にするのか?

ほとんど多くの場合は、相手がボールを持った状況、つまり守備時において起こします。

選手と選手との距離を縮めることによって、お互いをカバーしやすい状況にする。

ボールホルダーに対して、複数の選手でアタックすることが可能になる。

守備の局面において、数的有利を作りやすくなる。

これらは、守備の目的でもある、ボールを奪う助けになってくれるのです。

だから、守備時に「コンパクトに」しようとするのです。






 では、どのようにして、選手間の距離を縮めるのか?

ここで、DFラインを押し上げる、という手法がとられることがあるのです。

つまり、一番底を、プッシュアップするのです。

DFラインを押し上げて、FWのラインと、DFラインとの間の距離を縮めようとします。

これで本当に、コンパクトになりましたか?

FWがどこまでも前に行ってしまえば、いつまで経っても、距離は縮まりません。





 当然のことですが、FWが前方に行かないことも求められるのです。

FWがどこから守備を始めるのか?

ボールに対する当たり所、プレッシャーを掛け始めるライン。

これを設定すること。

例えば、ハーフウェーラインまで、FWが相手にプレッシャーを掛けずに、撤退していく。

この時、DFラインをペナルティエリアの10M前方に引く。

こうすれば、FWとDFとの間(前線と最後尾)の距離が、26Mとなります。

この距離を30M以内にすることが出来れば、コンパクトな状態であると言えるでしょう。





 この時、DFラインは、押し上がっているとは言えない高さです。

ペナルティエリアのすぐ10M前にあるのですから。

それでも、FWのプレッシャーを掛ける位置を低くすれば、コンパクトな状態になるのです。

コンパクトを保つとは、前後の距離を一定に保つことも意味しているのです。

FWがもっと前からプレッシャーを掛けるなら、DFラインを引く位置も前にしなければならない。

ここまでの説明は、少し勉強していれば、頭に入っている知識ですよね。

南アフリカでの日本代表の守備組織を思い出せば、それは容易なはずです。








 ザッケローニ監督は、さらに、コンパクトにしました。

例えば、ある四角形があるとします。・・・□ 

この面積を小さくするためには、どのようにするのか。

「コンパクトにする」とは、この面積を小さくすること、と言い換えれます。

面積を求める公式は、タテ×ヨコ(一辺×一辺)ですよね。

ここまでの話は、タテの辺を短くする内容でした。

それにはもちろん、限界があります。

さらに!となれば、ヨコの辺も短くしなければなりません。






 想像してください。

自分たちから観て、左サイドを攻められている。

その時、ボールが無いサイド、つまり逆サイドにあたる右サイドの選手がポイント。

グーーッと中に絞ってくる。(右に寄っていく、まるでアコーディオンを閉じるように)

右サイドに相手選手が張り出していても、気にせず中に。

中央から攻められている。

両サイドの選手が、グーーッと中に絞ってくる。

(これまた、アコーディオンが閉じていくように)


この動きによって、ヨコの辺を短くする。

このことも、新しいことではないはずなのですが、なぜかあまり一般には流布されていないようで。

新監督は、ここにも変化を加えたようです。

距離にしては数Mの違いしか無いかもしれませんが、ヨコの圧縮にも取り組んだ。

実際に試合では、この成果が、見て取れました。









 コンパクトな状態を保とうとする。

良い位置に立とうとする。

2試合とも、この時間がとても長かった。

その他、ポジショニングや、カバーの関係、アプローチには、まだまだ改善の余地があるでしょう。

それでも、コンパクトな状態を保ち続けただけで、アルゼンチン・韓国の攻撃を封殺。

コンパクトな状態を作ると、当然リスクもあります。

このリスクマネジメントに手をつけるのは、これからなのでしょう。

お互いの距離が近いおかげで、助け合うことが出来た。

お互いの距離が近いおかげで、相手の自由、判断を奪うことが出来た。









 スピーディーに変わる現代フットボール。

めまぐるしくボールや人が動く展開の中でも、細かく修正し、良い位置に立ち続けること。

それが、効率のいい守備のスタート地点ではないか。

効率の良い守備で、その裏返しにある攻撃にパワーを残しておきたい。

ではどうすれば効率が向上するのか?

その授業が始まったようです。




posted by プロコーチ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月20日

エゴイスト?

 世界のフットボールシーンは、ヨーロッパ中心に回っている。

最もお金と、注目を集めるのが、ヨーロッパのクラブシーンである。

そしてそのトップにあるのが、UEFAチャンピオンズリーグなのは、否定できません。

ヨーロッパの価値基準こそが正義である。

実際に、今回のワールドカップでも、証明されたでは無いか。

この考え方に、反論することは、なかなかに難しい。







  5日間通しで見学した、FCバルセロナキャンプ。

ヨーロッパの中でも、目標にされる、FCバルセロナ。

ここでは、ドリブルだけではない、個人の力だけに頼らないフッボウを伝えていました。

7人制で行われた、トレーニング最後の試合形式でのことです。

ボールを持った選手が、ドリブルを選択する。

その時、相手DFが立ちふさがっている。

さらに、カバーリングの選手も揃って、スペースが少ない。

すると、試合はフリーズされます。

「君の前に、何人の相手選手がいるんだ?!」

「後ろを見てごらん、君の仲間がいるぞ!」

後ろにパスをして、組み立てなおすことを求めるのです。

何度も何度もこの作業をすることで、選手たちも後ろに有効なパスを出来るようになって行きます。

6歳の子供でも、12歳の子供でも、それは変わりませんでした。

子供たちがたった5日間で、グループで動くことを、決断し始めました。

その変化を観るのは、興味深いものでした。





 ヨーロッパでも、高い評価を受けている、オシム前監督。

彼は、ドリブルを多用する選手に、辛い評価を与えていました。

「彼はエゴイストだ。」

南アフリカワールドカップでの、日本代表の選手にも言っていました。

彼が率いてた頃の日本代表選手にも、批判していました。

ゴール前のフリーの選手にパスを出さず、自らドリブルからシュートを選んだ選手に対して、

「得点を挙げれば新聞の1面を飾ったり、テレビで取り上げられるということが頭にあったのかもしれない」





 少しだけ、私の感想を。

これらも、フットボールの考え方の一つにすぎない。

バルセやオシムが言うことが、100%、いつでも正しい?!

そこには、私のはるか上を行く能力と実績があるのですが、それが全てではないはず。




 

 南米クラブのチャンピオンを決める、コパ・リベルタドーレスの決勝がありました。

日本での扱いが小さいのは、現代の潮流を象徴しているかのよう。

私は、南米の試合が観たくて、CSのチャンネルを契約しているので、楽しむことが出来ました。

カードは、ブラジルのインテルナショナウ対メキシコのチーバス・グアダラハラです。

結果は、2戦合計5対3で、インテルナショナウが勝利し、南米一の称号を手にしました。




 その2ndレグの終了間際で、スーパーゴールが生まれました。

決めたのは、交代で結果を出していた、20歳のジウリアーノ選手です。

ペナルティエリアのやや外、ど真ん中の位置で、右サイドからのグラウンダーのパスを受けます。

目の前には、4人のDFとGK。

味方選手は、やや後方に2人と、両サイドに1人ずつ。

前は向いているものの、スペースは無い。

ミドルシュートを打とうとすると、おそらく相手に引っかかる。

私が予測したのは、左サイドに展開して、相手を振り回す。

もしくは、キックフェイントで相手を外し、ミドルシュートでした。





 彼の選んだプレーは全く違いました。

ドリブルでの単独突破です。

わざとスピードを落として、相手DFに近付く。

すると、2人のCBがダブルマークに来ました。

ドリブル以外、他の選択肢は益々無くなってしまいました。

彼はその瞬間を作ろうと、待っていたのでしょう。

待ってましたと、小さいキックフェイント、さらに細かいステップを1つ入れる。

2人共の足が揃ったその瞬間、ボールを足の高さ分(数10センチ)だけ浮かしました。

ボールを浮かしてボールを運び、自分もヒラリと越え、突破してしまいました。

つかみに来たDFの腕を振り解いて、さらに前に向かいます。




 ジウリアーノがDFラインを突破してもすぐに、次の選手が来ます。

南米の試合でも、ゴール前では時間の余裕はありません。

カバーリングにサイドから相手DFがスライディングしながらコースをふさぎます。

前からは、GKがカラダを投げ出してコースをふさぎました。

シュートコースなど無い、と思った瞬間、ボールの下に足を差し込みました。

また小さくボールを浮かしてシュート。

ボールは、ふんわりとゴールに吸い込まれていきました。   

おそらく、この瞬間も待っていたのでしょう。

GKが寝転がるその瞬間を。




 たった一人で、相手のDFとGK5人を打ち破り、ゴールを決めてしまったのです。

相手との駆け引き、タイミングの外し方、わざと2人を相手にする、GKを寝転ばせてのループシュート。

テレビを観ている人間をも、簡単にあざむくプレーでした。

もちろんスタジアムは、熱狂に包まれました。






 10回挑戦して、1回成功することがあるのでしょうか?

ゴール前だからといって・・・。

彼自身、他に可能性の高いプレーも分かっていたはずです。

それでも、彼はトライしました。

そしてスーパーなプレーを、南米一を決める試合で出してしまうなんて!

こんなゴールがあるから、南米のクラブシーンは面白い。


   
posted by プロコーチ at 23:35| Comment(1) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月30日

守備のポジショニングを

 草サッカーにお呼ばれしました。

呼ばれたチームよりも、対戦相手のチームの方が、相当強い。

しかも、対戦相手には、元Jリーガーが2人・・・。

一方的にやられる展開が続き、失点を重ねていきました。

1本、20分で、何セットも回していく方式。

1セットで、3点奪われることすらありました。








 最後のセットで、センターバックに入ります。

私は2つのことを常に外さないように、プレー、コーチングしました。

・いいポジション取りをする。

・DFラインで、フリーの相手を作らない。(特に中央部)








 そのためには、幾つか気をつけなければならないことがありました。

・目の前に人がいるからといって、マークに付かない。

・DF同士、お互いのポジションを確認し、間を通されない。

・ボールが右から左に移動したら、全員が右から左にスライドしていく

・ボールサイドの人を増やし、逆サイドは最小限で。








 何よりも、ボールの位置を中心にポジショニングする。

これらのことを考え続けて、出来るだけ穴が空かない(スペースを埋める)ようにしました。

最初はあまり理解されていないかのようでした。

私の指示に従ってくれるものの、さくさくと、と言うわけには行きません。







 ところが、時間が進むうちに、試合の展開が変わってきました。

それまでは、何人相手がいるのか!?と思えるほどに、フリーの選手がいました。

ボールを追いかけすぎて、人に付いて行き過ぎていたのです。

少しずつ、相手の攻撃が見えてきました。

いいポジションをとる味方DFが増えてきたおかげです。

そう、守備の穴が減ってきたのです。

すると、相手はムリヤリな仕掛けをするか、外にボールを出すだけになりました。

最後には、きれいなインターセプトから、鮮やかな速攻を数回するまでになったのです。







 試合を終え、1つ感じたことがあります。

守備をする際に、あまりに1対1のことばかりを考えていないか?

グループのDFと言っても、せいぜい2人の関係で留まっていないか。

DFライン、さらには守備全体がボールの動きに合わせてスライド、もしくはUP・DOWNさせる。

相手が使いたいであろうスペースを埋める、ゾーンDFの考え方が薄くはないか。

どちらかだけでは守備は成り立たないが、どちらか一方が強すぎても成り立ちづらい。

あいまいな関係だけで成り立っている、形だけのゾーンDFになってはいないか。






 さあ、どこに、何を考えて、立っているのか?

ポジショニングや体の向きから、見えて来ます。

つまり、そこを直せれば、守備の組織が格段に改善されるはずです。
posted by プロコーチ at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月19日

イタリアの守備組織

 日本代表には、大きな弱点がある。

イタリアのトップレベルの指導者が、日本代表の試合を分析した。

その結果をまとめた本が、発売されています。

それによると、日本は致命的な弱点を幾つか抱えているそうなのです。

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 その本では、攻守にわたって、分析がなされています。

しかも担当した各コーチは、相当真摯な態度で、その分析を行ってくれている。

敬意を持って、情熱を持って、仕事に取り組んだようです。




 それによると、守備面では、特に大きな問題を抱えているそうなのです。

チームのコンセプト、戦略上の・・・・などではありません。

ユース年代で、当然のように理解しておくべき!基本ともいえる部分が欠落している。





 その結果、非効率な守備を行っている。

走る必要の無いところで、走り回っている。

だから、後半になって足が止まってしまう。

ゴール前の大事なところで、疲れてミスを起こしてしまう。

それが、全体を通じて、語られている内容です。







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 ただし、彼らが分析し、結論付けるために、用いられている考え方があります。

根幹となる理論と言えばいいのでしょうか。

それは、80年代後半に革命を起こした、アリゴ・サッキ氏に端を発するものです。

日本では、ゾーンプレスと呼ばれる手法です。





 かなり、はしょってしまうのですが、簡単に。

均等に、ピッチを分割し、ゾーンを設定する。

そして、ボールに対してのプレッシャーを高めていく。




 ゾーンと言っても、待ち構えて守るだけでない。

組織を整えた上で、ボールを奪いに行く。

人を徹底的につぶすのではなく。

ボールを奪うために、ボールに寄せて行く。





 この守備を行うためには、各々の理解度が高くないと、成り立たない。

一糸乱れぬ、戦術的行動が求められる。

そして、それを実践しているチームには、私は美すら感じてしまう。

そのチームは、守備組織全体が、1つの意思を持った生き物のように、見えてしまう。








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 守備において、マークすべき対象が3つあります。

・ボール

・人

・スペース

そして、組織を作るためには、もう1つ。

・味方

この状況を確認しなければならない。





 イタリア式考えだと、どうでしょうか?(その本によると)

どこに優先順位を持って、守備を組織していくのでしょうか。

ボールへのマーク、そして味方の状況に対する優先度が高いようです。








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 ただし、それが全てではないことを改めて知らされました。

それは、何の因果か、イタリアのチームの試合からです。





 チャンピオンズリーグ、ベスト16、インテル対チェルシーの2ndレグです。

インテル率いる、モウリーニョ監督。

彼が用いた守備戦術は、その本によるものとは、異なっていました。

スカラトゥーラも、ディアゴナーレも、出来ていないことが何度も観られました。

これらは、イタリアでの基本戦術だったはずなのですが。




 効率が悪くても、まずは「人」をつぶす。

味方の状況、ボールの状況の前に、まず目の前の相手をマークする。

最終ラインでは、簡単に受け渡しをしない。

その証拠に、同じ選手同士のマッチアップが、何度も何度も繰り返されました。

センターバックの選手も、人についていくので、中央をしばしば空けてしまっていました。

もちろんその穴は、中盤の底にいた2人が、穴埋めをしているのですが。






 この試合の守備組織からは、美を感じ取ることは出来ませんでした。

その代わりに、目の前の選手には、絶対に負けない。

目の前の相手を、絶対にやっつける!

熱い気迫は、ビシビシ伝わってきました。

結果、ピンチはあったものの、失点は0でしたよね。

見事、チェルシーのホームで勝利、勝ち抜けを奪い取りました。




 ここから先は、勝手な推察です。

モウリーニョ監督は、選手のキャラクターを観て、その戦い方を選んだのではないか。

なぜなら、GK、DFの最終ラインの4人、守備的MF2人、計7人。

守備を構築した7人全員が、南米出身の選手なのです。

相手との駆け引きには優れるものの、つい、それにばかりになってしまう。

守備組織に穴を開けてしまう。

それならば、良さが引き立つように、守備を構築すればいい。

その結果が、この試合のメンバー構成、守備組織になったのではないか。






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 フットボールのやり方は1つではない。

守備における優先順位の付け方も、1つではない。

同じイタリアでも、そうなのですから。




 考えてみれば、当たり前のことです。

自分たちの良さを発揮し、試合に勝つためには。

相手の良さを、どのように消すのか。

1つの理論だけに固執するのではなく、様々な引き出しを持てれば強い。
posted by プロコーチ at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月10日

表現する。

 先日に引き続いて、私のスクールで、スペシャルクリニックがありました。

現役で戦っている、フットサルプレーヤーの特別講座です。

海外経験も豊富で、日本代表歴もある彼。

クリニックでも、あふれるばかりの情熱をぶつけてくれました。

その中でも、記憶に残る表現をご紹介します。

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 彼は、フットサルの特性を、詳しく伝えてくれようとしました。

中でも、日本人が世界に戦っていくためにはどうすればいいのか?

このことをベースにおいた、クリニックの内容です。

それは、とてもシンプルなものでした。

「タレントに頼らない、試合運びをする。」




 彼自身の海外での経験から導いた、1つの指針を持っているようです。

「日本人はブラジル人にはなれない。」

日本人だけでなく、どの国でもなれない。

ブラジル人のような、ずばぬけた才能を持った選手が次から次へと、輩出される。

そのようには、なり得ない。

だったら、どうすればいいのか?




 その1つの好例が、スペインである。

この才能に頼るのではない、試合運び。

プロレスラーのような身体をしながらも、技術の高いピヴォ。

魔法のようなドリブルのテクニックで、切り裂いていくアラ。

そのような、選手のタレントに頼っていては、本家ブラジルには勝てない。





 どうすれば、ブラジルに勝てるのか?

考えに考え、実践し、ワールドカップ連覇という結果も残した。

それが、スペインのフットサルである。

彼は、何度も、何度もこの話をしていました。






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 守備の組織の作り方も、クリニックの中で取り上げました。

ポイントは、1人のサボる選手も作らないこと。

逆サイドで歩いている余裕は、無い。

全員が、常に高い集中力を持って、ポジションを移動し続ける。

ボールの動きに合わせ、4人がポジションを移動する動きを、徹底的に繰り返しました。

もちろん、ボールの移動中に、ポジションを移動させることは必須です。



 そして、この守備のベースになるのが、次の考え方です。

その表現が面白かったので、ご紹介します。

「守備は、個人責任と組織責任との組み合わせで成り立っている。」

従来は、チャレンジ&カバーか、もしくはONの守備・OFFの守備。

これらの単語を用いて説明している内容です。




 もう少し詳しく説明します。

ボールを持った選手をマークする選手。

この選手の個人責任はMAXになっている。

その一方、ボールから一番遠いポジションをとる選手。

この選手は、組織責任がMAXになっている。

ボールが動き、ポジションを変化させると共に、責任のバロメーターも動いている。

その目盛りはもちろん、個人責任と組織責任である。




 例えば、今はボールの目の前に居るので、個人責任がMAXになっている。

ところが、パスを横に出され、自分の目の前からボールが無くなると?

個人責任の役割が小さくなる一方、組織責任の役割が大きくなる。

そのように、短い時間で、役割が大きく変化し続ける。

これも、フットサルの特徴のひとつである。






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 話の内容そのものは、目新しいものではなかったのです。

その表現方法が、素晴らしい。

この「個人責任」「組織責任」という言葉を使うことで、選手の心に訴えることが出来るのでは。

横でアシスタントをしながら、深く納得していました。




 従来の、チャレンジ&カバー、ON・OFFは、与えられた言葉です。

普段の生活では、あまり使わない言葉かもしれません。

ということは、ピン!とこない選手もいたはずです。




 ところが、「責任」と言う言葉は、子供の頃から親しんでいます。

「個人責任」、「組織責任」と言われると、ピン!どころか、ドキッとします。

それくらい、反応しやすい言葉ではないでしょうか。

頭の中でも、次のプレーをイメージしやすくなって行くでしょう。

個人の責任を果たすためには?組織の責任を果たすためには?

これを判断基準におけばいいのですから。






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 彼のスペシャルクリニックは、好評のうちに終了しました。

受講された方々は、いつまでも質疑応答や、話をしていたそうでした。

コーチである私自身も、彼から大きな刺激をもらいました。

さらには、自分のフォルダに、新たなファイルを作ることも出来たのです。

人のつながりに、感謝です。
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2009年06月19日

パワーを持って

 身長が2M近い、FWがいる。

サイドからは、ピンポイントのクロスボールが供給される。

それならば、いくらでもゴールは生まれる。



 そして、工夫はそれほど必要はない。

ゴール前で待ち構え、軽く合わせる。

これだけで、ゴールを量産できるでしょう。



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 背の高い、オーストラリア代表に、セットプレーでやられた・・・。

空中戦では、なかなか勝ち目が無い。

なにせ、身長が違うのだから。

相手FWのケネディ選手などは、190センチを超える長身!!

彼のような長身選手に、日本のDFでは競り勝つことができない。



 ところが、日本からまたしてもゴールを奪ったティム・ケーヒル選手。

彼は、イングランドプレミアリーグ、エバートンで活躍しています。

彼の身長は175センチ、体重も68キロに過ぎません。

ついたあだ名は、ちびのティムです。



 日本代表に紛れていても、おかしくない背格好なのです。

では、なぜ彼が空中戦を制して、ゴールを奪えるのか?

基本に忠実な彼のプレーは、我々にも学ぶべき部分が多くありました。





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 まずは、彼のゴールはどうだったでしょうか。

彼は、自分の背が大きくない、むしろ小さいことを心底分かっている。

日本にとっての2失点を思い出してみます。

どちらの場面でも、ケーヒル選手は、走りこんでそのままシュートしています。

決して、立ち止まってシュート!では無いのです。



 つまり彼は、その場で垂直跳びで、ボールを競るようなプレーはしない。

ボールが入ってくるであろう場所。

空中も含めた、自分の前方にあるエリアを、大事に大事に残している。




 相手DFと駆け引きをしながら、その瞬間をうかがっている。

エリアに入り込む、その瞬間まで、力をためています。

そして、ボールが飛んでくるであろう瞬間に、猛ダッシュで飛び込んでいくのです。

自分が大事に残しておいたエリアに向かって。







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 サイドから入ってくるボールに対して、どのようにゴールを狙うのか?

我々は、ケーヒル選手のこのようなプレーを、こう呼んでいます。

「パワーを持って、飛び込んでいく」

サイドからのボールに合わせる際の、オフ・ザ・ボールの動きとしては、基本のキです。




 珍しい動きでも何でも無いのですが、やはりこの動きをされると、DFは対応しづらい。

FWは、前向きにダッシュし、飛び込んでいける。

マークするDFは、バックステップやクロスステップで、必死の対応です。

どんなにステップが上手くても、この対応は容易ではありません。

前向きに走りこむ選手と、後ろ向きに対応する選手。

どちらに利があるかは、明白です。






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 ケーヒル選手は、さらに工夫をしているようです。

大きい選手の影から、パッと飛び出してくる。

守備陣の目は、大きい選手に向きやすいものです。

まず、でかいやつから順番につぶしていこうとするでしょう。



 そこに、塊が出来ます。

味方のFW,相手のDFにGKが何人も競り合っています。

彼は、塊が出来るのを狙っているようでした。

小さい身体でも、ボールを捉えるための、知恵なのでしょう。

自分1人、一番おいしいタイミング・エリアを待ち構えていた。

そして、後はパワーを持って、飛び込んでいく。







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 彼は、勇敢でした。

自信がみなぎっているようでした。

俺のところにボールが来る!そんな確信すら持っているようにも見えました。 

その自信が、最後のファクターです。



 身体は小さいのですが、身体を積極的にぶつけて行きます。

相手が来る前に、自分からぶつけて行く。

そうすることで、本来の身体が持つ力以上の、パワーが生じます。

走りこんでいく力、自ら行く力。



 自分よりも、一回りも大きな相手にぶつかっていくのは、勇気のいることです。

彼は、何度も何度も、弾き返されていることでしょう。

所属するプレミアリーグでは、190センチ級や、90キロ級のDFが活躍しています。

それでも、フィジカルコンタクトをいとわずに、自らぶつかって行く。

本当に怖くはないのでしょうか?

この迷いの無さ、自信の塊が合わさって、さらなるパワーになっているともいえます。





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 クロスボールからゴールを奪うためには、何が必要なのか。

コースを正確に狙うための技術が必要になる。

そして、正しい場所に、正しいタイミングで入ること。

そこに勇敢な心が加われば!



「パワーを持って、ボールに飛び込んでくる」

何事においても、やはり基本が大切。

その基本をどこまで高めることが出来るのかで、勝負が決まる。

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2009年06月12日

二つのエラーから学ぶ。

 フットボールの試合では、次の瞬間何が起こるかは、分からない。

次、何が起こるか?!

予測を繰り返し、次のプレーをイメージしていく。

これから起こりうる、様々な状況を想定しながら。

その予測の精度を高めていくことは、フットボールプレーヤーとしての成長の道でもある。



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 先日の、日本代表のアジア最終予選でのことです。

経験の豊かな二人の選手が、エラーを起こしてしまいました。

おそらく、過度の緊張・連戦の疲れがあるのでしょう。

それにしても、信じがたいエラーでした。



 1つは、長谷部選手の退場したシーンです。

競っている選手に、肘打ちをして?しまいました。

彼は、ダーティーな選手ではありません。

ウズベキスタンの選手に、肘を入れてやろう!とは夢にも思っていなかったはずです。

振りほどこうとした腕が、たまたま顔に入ったのではないでしょうか。

それでも、下されたジャッジは、一発退場のレッドカードを出されてしまいました。



 もう1つのエラーは、カタール戦の中澤選手です。

後半に、ペナルティエリアに侵入を許してしまいました。

マークに付く、中澤選手。

相手FWと競り合っていました。

お互いが、腕で、相手を引っ張ろう、押さえようとも見えました。

並走しながらなので、汚いプレーにも、苦し紛れのプレーにも見えませんでした。

相手FWがバランスを崩して、転んでしまいました。

下されたジャッジは、ペナルティーキックです。

これを決められ、引き分けに持ち込まれてしまいました。
 




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 この2つのジャッジ共に、我々日本人にとっては「厳しいな〜」との印象です。

相手の知恵が、一歩上だったのでしょうか?

策略にはまってしまったのでしょうか?

プレーヤーとしても、コーチとしても、「あれぐらいで取らないでよ」と言いたくなります。

ただし本当に、我々はミスジャッジの被害者なのでしょうか?




 腕?肘?が顔に入ったのは事実です。

もしこの時に、長谷部選手の腕が、腰ぐらいの高さにあればどうでしょう。

たとえ振りほどいた腕が、相手に当たったとしても、レッドカードは出なかったはずです。

腕の位置が、そもそも高かったから、顔に入ってしまう。



 また、ペナルティエリアで腕を使って、引っ張り押さえたのも事実なのです。

あの競り合いが、ペナルティエリアの外でなら、どうなのでしょう?

仮に同じプレー、同じジャッジだとしても、直接フリーキックを与えるに過ぎません。

失点の可能性は、極端に下がるでしょう。



 その瞬間、彼ら2人は、正確な決断を下すことが出来なかったのです。

2つのエラーは、回避可能なものだったとも言えます。

この部分がまさに、次、起こりうるプレーの予測です。

残念ながら、この瞬間に限っては、2人の予測が当てはまらなかったでしょう。






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 プレーを予測する。

そのためには、「観る」という要素が、絶対的に必要となってくる。

観ることで、たくさんの情報を収集することができる。

さらに、情報を新しければ新しいほど、正確な予測を立てる助けになってくれる。

予測を立て、プレーの決断をするギリギリまで「観る」。



 自分でプレーを、予測を決め付けてはならない。

少ない情報、もしくは想像に基づいて立てた予測は、ただのヤマカンにしか過ぎない。

ヤマカンは、当たることもあるけれども、外れる可能性も高いでしょう。

全く情報を収集せずに、株や競馬で勝つ可能性は、どれくらいなのでしょうね。



 お金を無駄にしたくないのであれば、勝つために様々な情報を収集するはずです。

多くの人は、自分のお金が増えて欲しいはず。

そのためには、新聞、ネット、テレビ、でたくさんの情報を入手しようとする。

結局のところ、その勝負が終わるまでは、誰にも結果は分からないのですが・・・。



 情報は、観ることでたくさんのものが入ってくる。

ただし、人間の意識には、自然とバイアスがかかってしまう。

人間は、自分にとって、都合の良い情報だけを、選び取ってしまう。

自分が進もうとする決定に対して、マイナスの情報に耳をふさいでしまうのです。

つまり、耳に優しい声だけを、聞いてしまう傾向にあるのです。

その状態で、正確に判断を下すことができるわけがありません。





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 もう1つ考えなければならないのは、情報をいかにして分析するのか?と言うこと。 

有益な情報を知りえたところで、最後に選択するのは自分自身です。

この状況では、どんな動きをすれば?

ここでは、次にはどんなプレーが起こり、そこで自分はどう係わるのか?



 それを助けるのは、今まで自分が経験してきたものです。

試合での経験があります。

トレーニングで積み重ねてきたものも経験でしょう。

今まで目にしてきた、試合のシーンも経験と言えます。

さらには、テレビゲームやテレビで試合を観戦した映像も、経験になりえます。



 結局のところ、その経験に基づいて、決断を下すしかないのです。

その決断を下す瞬間は、他の誰も助けてくれない。

たまたま、助けてもらった瞬間があったとしても、その次も助けてもらえるわけではない。





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 ペナルティエリアに入れば、勝手にすっ転ぶ相手FWがいます。

見ていて、見苦しく感じるものですが、間違いなく存在します。

自分から引っかかりに行ったくせに、声を上げ、腕を広げて、転ぶのです。

シュミレーションを取られることもあるでしょう。

それでも、毎試合のように、PK取ってくださいと、FWが転んでいます。

審判も、PKの判定を下してしまうこともあります。



 相手の手が顔に入れば、両手で押さえてのた打ち回る相手もいます。

触れたか触れていないかの程度でも。

接触しながら、相手の腕に、わざわざ顔を近づけてくる選手もいます。

94年のアメリカワールドカップで、ブラジルのレオナルド選手が肘打ちをしたとして退場になりました。

その瞬間、相手選手は一瞬笑みを浮かべるように、倒れていきました。



 同じ過ちを繰り返さないために、相手に付け入られる隙を見せてはならない。

次、何が起こるのか?を予測する。

そして、どこで、何を、いつ、どのようにするのか?

まさに、1人1人が試合で戦う術、戦術です。
posted by プロコーチ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月22日

中を切れ!で正解か?

 守備をするのに欠かせないもの。

「声」は、特にグループで守備を行う時には、無くてはならない。

お互いの意図を伝え合うために。

修正を加えるために。

背中を押してあげるために。



 「コーチングの声」無くして守備は成り立たない、といっても言い過ぎではない。

高いレベルの試合では、たくさんの声が飛び交っている。

ピッチレベルなら、ばしばしと「声」が聞こえてくる。

サッカー専用競技場なら、スタンドにも届くのですが。

とにかく、組織だって守備を行うならば、「声」は欠かすことの出来ない重要な要素なのです。

 

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 その「声」でよく耳にするのが、方向を限定させるための内容。

たとえば、「縦を切れ」、「右(左)を切れ」、「中を切れ」などです。

後ろから、この声が聞こえる。

「縦を切れ」なら、縦にパスやドリブルで行かれては、ならない。

攻撃方向を、横方向に限定してくれ。

ボールに相対してる、1STディフェンダーへの、指示の声です。



 一般的には、方向を限定させる時には、中を切らせることが多いようです。

「中を切れ!」

ボールを中から、外へ向けて誘導していく。

その心は、安全性を高めるためです。

味方ゴールがあるのは、もちろん中央方向。

その中央から遠ざけるために、ボールを中から外へと誘導する。



 はたして、その声は、正解なのでしょうか?

何でもかんでも、外に誘導するだけで、良いのでしょうか?

フットボールでは、常に、「観る・判断する・決断する」このプロセスが必要です。





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 5月16日に開催された、Jリーグでの出来事です。

柏レイソル対鹿島アントラーズの試合です。

鹿島が、2点を先制し、柏の反撃を1点に抑える。

2対1で、鹿島が勝利しました。



 その試合後の、鹿島オリヴェイラ監督の談話に、興味深い話がありました。

「選択肢として出てくるのが、ハイボール」(こちらがリードしている時、相手チームが)

「ただ、サイドから入れられるのと、正面からハイボールを入れられるのは全く対応が違う」

「出来るだけ、中央から蹴らせるようすれば、我々の守備陣は処理しやすい」

「相手はサイドを崩そうとしたので、そこを抑えることを狙いとして取り組んだ」

「終盤はその狙いを持って、取り組んだ」



 この試合終盤では、こんなコーチングが飛び交ったのでしょう。

「中に行かせろ」「外を切れ」

チーム全体が、意思を持って、このプレーに取り組んだのです。

この場面での正解は「中を切れ」ではありませんでした。





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 サイドからのロングボール、中央からのロングボールにどれだけ違いがあるのか?

中央からのロングボールへの、DF側の対応を見てみる。

DFは、ボールを蹴る選手、ボールを受ける選手をほぼ一直線状に見ることが出来る。

出所、飛んでくる所、この二つを簡単に同一視することが出来るとも言えます。



 だとすれば、目の前にボールが飛んでくる。

プロのクラスのDFなら、この状況で完璧に競り負けることは少ないでしょう。

飛んでくる場所も分かるし、キックのタイミングも分かっている。

後は、飛んでくるボールに対して、強い意志を持ってファイトするだけ。

よほど、相手FWが化け物染みていない限りは、完敗しないでしょう。



 後は、競っている以外の人間が、こぼれ球・セカンドボールへの集中力を持つこと。

ボールの軌道、競り合う選手の跳び方を見る。

そうして、ボールのこぼれてくる場所を、予測しておく。

パワープレーならば、DFラインの背後のスペースは、心配ないでしょう。

完全に最後尾まで引いているでしょうから。

鹿島の誇る、岩政・大岩選手にしてみれば、何の問題も無い状況だったのでしょう。





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 これが、サイドからになると、話が変わってきます。

先ほどの、視野を問題になってくるのです。

マークすべき相手と、ボールとを、同一視できないことも出てくる。

そうなれば、マークを外してしまう瞬間が現れる。

ボールを見失う、かぶってしまうことすらも有り得ます。



 プロの選手と言えども、人間です。

視野角には、限界があるのです。

昆虫などと違って、せいぜい200度ほどだそうです。

それを超えてしまうと全く見えません。

さらに、目の端に映っていても、本当に認識できているのか!?といえば難しいでしょう。

90度を超えると、それ以上は少しずつ厳しくなっていくのが現実です。





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 だからこそ、色々な状況に応対できなければ。

いつも、同じ方法が通用するとは限らない。

ベンチに座っている監督は、よくピッチのことが見えているでしょう。

傍目八目(岡目八目)の言葉の通りです。



 見えている監督が、的確な指示を送る。

それと、ピッチ内の選手が、答えることが出来るのとは、別問題です。

チーム力がまだ低いなら、混乱を生じさせてしまうことすら有り得ます。

監督が叫んでも、選手交代で促しても、選手が答えれないこともあります。

突然、試合中に今までとは違う指示を出される。

その采配に、とっさに反応できるのかどうか?



 選手個々の理解力、チームとしての熟成度が問われる部分です。

試合の状況を読める名将と、それに答えれる選手。

それが合致するチームは、勝負強いチームと呼ばれるでしょう。
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2009年04月14日

数的優位を作れば、

 攻守に渡って、ハードワークをする。

ボールがない局面(オフ・ザ・ボール)でも積極的にプレーに係わる。

ボールを奪って、すぐに走り出す。

ボールを失った瞬間に、守備に入る。


 1つの目標が、ボールの周りで数的有利な状況を作り上げること。

2人でなら、1人をやっつけれる可能性が高まる。

3人4人でなら、やっつける可能性はさらに高まる。

可能性が高まるだけであって、100%にはなり得ない。




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 ボールが移動中に、ポジションを取る。

素早くサポートについて、ボールを持った選手を助ける。

相手DFよりもこれが速ければ、数的有利が完成する。

それを生かして、相手を崩していく。



 ドリブルには、あまり自信がない。

1対1では、相手を打ち負かすことは出来ないかもしれない。

誰もが、ドリブラーになれるわけでは、ありませんからね。



 それでも、これが、2対1の局面を作ることが出来れば!?

その瞬間、躊躇することなく、仕掛けていく。

ボールを持った選手が、DFに向かって。

ボールを持っていない選手が、スペースもしくは、相手DFに向かって。

そうすれば、突破の可能性は、格段に高まる。






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 守備でも、同じ考え方が出来る。

1人ではボールを奪いきることが、難しいかもしれない。

相手を挟む、2人でマークする。



 クライフがいたオランダ代表やアヤックスが有名でしょう。

それを高めたのが、1990年初頭のACミラン。

現代の日本では、昨年までの柏レイソルでしょうか。

当時の石崎監督も、ACミランの戦い方を参考にしたと、語っていますしね。


 
 ボールの周りに数的有利な状況を作る。

これを「ボールを中心にした守備」とも言い換えられています。

ドイツサッカー連盟は、国を挙げて、この守備方法に取り組んでいるようです。


 
 その成果が、近年上がってきている。

ユーロやワールドカップでの好成績は、この守備のおかげでもある。

彼らは、自信を持っており、宣伝してもいます。

私も、ドイツサッカー連盟が作成した、本や映像資料で勉強しました。

その内容は、様々な局面を想定して、理論を紡ぎあげられている。

実際のトレーニング例まで紹介されている、参考になる資料です。





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 バイエルンミュンヘンの試合を観ると、守備のシステム、そして意図が見て取れます。

代表チームと、同じ守備のシステムでチームが成り立っていました。

少なくとも、基本となるコンセプトは同じものでしょう。

現在の監督が、代表チームの前指揮者なので当然と言えば、当然なのです。



 ゾーンを組んで、ボールを中心にした守備を行なう。

カバーリング専門のスイーパー(リベロ)は配置しない、フラットなDFライン。

そこから、自らのバランスを出来るだけ崩さずに守備を行う。

そのままボールを奪えれば、攻撃にスムーズに入ることが出来る。


 そして、ボールを中心に守備を行う。

積極的に、ボールの周りで数的優位を、作っていくのです。

フリーの選手が出来るリスク、スペースを外に与えてしまうリスク。

それらを分かっていながらも、彼らはこのシステムを導入しているのです。

常に攻撃を意識した、積極的な守備のシステムと言えます。






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 その悪い結果が、チャンピオンズリーグのクォーターファイナル、1STレグで表れてしまいました。

0対4でバルセロナに、やられた試合です。

私もこの試合をテレビで観戦して、いい勉強をさせてもらいました。

この守備システムの限界を見ることが出来たからです。



 この試合では、数的優位な状況は、何回も何回も作っていました。

システムは機能していました。

ボールを持った選手を、数人で囲む。 

ボールを奪うチャンスを、自らのシステムで持ち込んでいたのです。

最終ラインでは、その傾向は顕著でした。

 
 それでも、バイエルンはボールを奪うことは出来ない。

囲んでも、数的優位を作っているのにもかかわらずです。

普段対戦しているチームだったら、こうはならないのでしょう。

バルセロナの選手たちからは、ボールを奪うことは出来なかった。



 そして、フリーになった選手にパスを出されてしまう。

こんな所で!?というゴール前でフリーでボールを受けて、やすやすとシュートを決めれる。

シュートの瞬間はフリーなのです。

が、その前の局面では1人の攻撃の選手が2人3人を相手にしている。

 

 当たり前ですが、サッカーは11人対11人でプレーするスポーツです。

どこかで、数的優位を作れば、かならずどこかに数的不利な状況が生まれてしまう。

ボールを中心に守備をし、そこに人数を掛ける。

それなら、その局面の先には、数的不利の局面も同時に存在している。
 

 ただ、あそこまで、ボールを奪えないのか!?

これでは、ベンチの監督も、ピッチ上の選手も、手のつけようがない。

試合後のインタビューで、バイエルンのクリンスマン監督が笑ってしまっていました。

もう笑うしかないのでしょうかね。






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 戦術とは、試合を有利に進めるために考え出された術とも言えるでしょう。

時代がたつにつれて、どんどん進化を重ねている。
 
それを遂行するための、体力レベルも向上している。



 いくら試合を有利に進める、戦う術をを身につけても、毎回勝てるわけではない。

勝利の可能性は高まるものの・・・。


 
 最終的には、個人の能力になってしまうのか?

それとも、チームとしての力になるのか?

はたまた運が左右するのか?
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2009年03月20日

一人一人が代表監督として

 先日の、日本代表対オーストラリア代表を観て、次のような意見が掲載されています。

日本サッカー向上に貢献された、お二人の意見です。

偶然にも、「勝負の出来る、大型ストライカーの不在」を嘆くものでした。

この先達の意見を、どう考えればいいのでしょうか?




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「攻撃陣に軽い選手が並んでいた。」

「前線で身体を張れる選手が必要だった。」…オシム前監督。


「FWがいない、トップレスの状態だった。屈強なCBと戦うのは?」

「本来の意味のストライカーはいない。」…釜本邦茂氏

ゴールのチャンスが無い、見ていてイライラする。

そんな辛らつな意見でした。






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 私はこの試合を、幸運にもスタジアムで観戦することが出来ました。

ボールはよくつながっていましたが、ゴールの匂いは、確かにあまりしませんでした。

詳しくは、前の記事で読んでいただければと思います。

http://futebol.seesaa.net/article/114190604.html


 何様かと言われるのを覚悟で書かせていただきます。

私個人は、オシム・釜本両氏の意見には賛同しかねます。

おっしゃることは、ものすごく当然のご意見なのですがね。






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 点が獲れなかったのは、FWの人選ミスでは無いのではないか?

それよりも、岡田監督の目指すスタイル、プレーの質を高めるべきなのではないか。

特に、ゴール前でのポジショニング、パワーを持って入るタイミング。

ここには、大いに改善の余地があるように見えました。


 この2つは、試合・トレーニング・コミュニケーションを繰り返せば、解消される部分です。

「俺は、こう考えている。」

「ここで持ったら、勝負するから、少しためながら待っててよ」

「そのスペースは、空けて飛び込もうとしていた」


 この、すり合わせを積み重ねれば、間違いなく改善されていきますよね。

まだまだ、岡田監督指揮下における、お互いのプレーが分かり合えていないのでは?

徐々にメンバーが固定され、戦いを積み重ねていけば、改善されるのではないでしょうか。





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 そもそも、FWが点を獲らないとならないのか?という疑問すらあります。

日本で、世界のCBと渡り合える、大型FWは輩出されるのでしょうか?

世界で考えてみると、ドログバやイブラヒモビッチ両選手のような!







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 攻撃サッカーの代名詞である、ブラジル代表。

その中でも、1982年のチームは、未だに魅力的なチームとして語り継がれている。

そのチームには、黄金の4人と呼ばれるスターが、中盤に君臨していました。

ジーコ・ファルカン・ソクラテス・トニーニョセレーゾの4人です。

説明の必要が無いほど、有名ですよね。

  
 この時代に、最も得点を重ねていたのは、ストライカーではありません。

黄金の4人の1人である、ジーコです。

88試合で、実に66得点ものゴールを重ねているのです。

このゴール数は、歴代のブラジル代表でも、ペレに続く第2位の記録です。






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 FWの選手は、中盤の選手のお膳立て役としてプレーする。

そんなスタイルも、考えられますよね。
 
2006年のドイツワールドカップ。

チェコ代表は、そんなチームではなかったですか?


 
 確かにFWのコラー選手は、超がつく大型選手でした。

彼は、得点も奪っています。

あの、ヘディングシュートの迫力は、凄まじかったですよね。


   
 コラー選手に求められていたのは、ゴールだけでは無かったのです。

中盤の選手のための、基点としての役割を求められていたはずです。

身体を張って、ポストプレーをして、中盤の選手に前を向かせる。

つまり、中盤を活かす為の、重要なコマとしてのFWとも言えるはずです。





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 国の数だけ、チームの数だけ、指揮するコーチの数だけ、様々なサッカーがあります。

だとしたら、FWではなく、MFが得点を奪うチームがあってもいいはずです。

それが、選手の特性や、相手チームを見極めての判断なら、なおいいですよね。


 ただし、FWの選手は、もっと奮起して欲しいです。

「悔しい、俺らを信じてくれないのか?!」と。


 FWが得点を奪って、勝利するチーム。

MFが得点して、勝利するチーム。

どちらが、日本に向いているのでしょうか?

今現在のことを考えると、MFに点を獲らせる方が、現実的ではないか。

私は、そう思うのです。

一人一人が、代表監督の気持ちで、考えてみると面白いですよ。
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2009年03月06日

あえて、近づいてみると。

 攻撃時、ボールを持った味方選手に対して、どのようなポジショニングをとるのか?

その時、気をつけるべき原則が3つある。

ただし、それを忠実に実行するだけでは、相手DFにとっても、守りやすいのです。

主導権を握って、相手DFの裏をかいていく。

そのヒントは、違うスポーツにあるのです。


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 ボールを持った味方(ボールホルダー)をどのように助けるのか?

ボールを持っていない選手、オフ・ザ・ボールの動きは、どうすればいいのか?

ボールホルダーに、パスの選択肢をプレゼントしてあげる。

それが、昨日記述した、サポートするということ。


 サポートする時には、気をつけるべき3つの原則がある。

・距離

・角度

・タイミング

この3つを考えながら、ポジショニングをしなければならない。





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 まずは、ピッチの中で、バランスよく散らばるように。

そうすれば、ボールホルダーにたくさんの選択肢(右、左、前、後ろ)をプレゼントできますよ。

偏りがあっては、選択肢が減ってしまう。

また、一列に並んでしまえば、それもまた選択肢が減ってしまう。

他の味方はどこにいるのかな?

ボールホルダーと共に、確認する必要がありますね。
 

 このバランスよく散らばるのが、初めの第一歩と言えるでしょう。

放っておいたら、ボールに吸い寄せられるように、固まっていく。

初心者や低年齢の子供によく見られる現象です。

有名な、団子サッカーです。


 なかなか、1人称のプレーから、脱却できない。

もちろん、そこから得るものも、大切なのですが。

あえて、団子でプレーしているのと、解らずに団子になっている差は、大きいですよ。
 




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 次に気をつけるのは、ボールの状態です。

ボールを持った選手が、前を向いてパスを出せる、ドリブルも出来る状態。

(ボールにパワーがある、そんな表現が出来ます。)

もう一つは、相手DFのプレッシャーが厳しくて、ゴールに背を向けてしまう。

(ボールにパワーが無い状態です。)


 この、ボールにパワーがあるのか?無いのか?を見極める。

そして、サポートの位置を変化させていく。

これが、次の段階と言えるでしょう。


 パワーがあるなら、味方を信じて、前方へ走りこみ、飛び出していく。

前を向いて、何でも出来るから、当然ですよね。

もし、パスが出なくても、相手DFを引き付けることが出来るでしょう。

そうすれば、ボールホルダーのシュートや、ドリブル突破の助けになる。

後ろから、選手が走りぬけ、飛び出してくる。

オシム監督のスタイルを思い出していただけば、想像しやすいかと。


 ボールにパワーが無いなら、どうでしょうか。

考えれば解りますよね。

セーフティーなパスコースを作ってあげる。

飛び出すよりも、斜め後ろや、後ろで助けてあげる。

仮に飛び出しても、なかなか効果的なパスは出てきにくいですよね。


 もちろん、例外はあります。

解りやすく、2人の関係で説明しました。

例えばこれに、3人4人と係われば、新しい考え方も出てきますよね。

さらに、プレイしているゾーンによっても違うでしょう。

基本原則としては、ボールのパワーを見て、ポジションをとっていくのです。





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 バスケットボールの戦術で、ピック&ロールというものがあります。

どんなプレーなのでしょうか。

これを例に挙げて、考えてみましょう。

サポートについて、深く考察できるきっかけになるのです。

 
 まず、ボールホルダーAに、味方Bが近づいていきます。

その時には、自分をマークする選手Aも、当然付いてきます。

Bはさらに近づいて、距離を縮めていきます。

次の瞬間、ボールホルダーをマークする、相手DF@にぶつかってスクリーンします。

その局面では、非常に狭い2対2が出来上がるのです。


 すると、不思議な現象が起きます。

ボールホルダーAをDF@とAが、2人でマークするのです。

近くにボールがあると、取れると勘違いするのか、それとも惰性で寄ってしまうのか?

局面は、攻撃1人対守備2人になるのです。


 スクリーンした選手Bは、何をしているのか?

そこから、素早く離れて、フリーになるのです。

そこで、Bは、パスをAから受けて、有利に展開していく。


 バリエーションは、たくさんあるらしいです。

DFの状況や、スペースを見てプレーを選択していく。

バスケットボールも、フットボールも同じですね。






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 面白いのは、わざと、ボールホルダーに近づいていくこと。

しかも、相手DFを引き連れて、近づいていく。

サポートの原則から見れば、外れていますよね。

バランスも悪い、味方を不利の状況に追い込む、ですからね。


 ただし、味方に一瞬だけ頑張ってもらえれば、フリーでボールを受けれる。

ハイレベルなコンビネーションですよ!

距離を保つだけでなく、相手DFを動かして、有利な状況を作る。

しかも、相手DFの心理まで操っているプレー。

自分のマークを捨ててでも、ボールを奪える!そんな勘違いをさせるのです。


 この発想は、フットボールにはあまり見られないものではないでしょうか。

ボールを持った選手が、ドリブルでためて、周りをフリーにする。

ドリブルで突破して、一枚はがしてフリーの味方を作る。

このプレーは、よく見受けられますよね。

短いパス交換で引き付けて、一気にサイドチェンジなどもあります。

 
 いずれも、ボールホルダー主導のコンビネーションです。

ピック&ロールは、2人のコンビで成り立つプレー。

もしかすると、オフ・ザ・ボールの動きが主導のことすら、あり得ます。


 これがハマッた映像を見ましたが、面白い!

ボールが面白いように動き、人間が躍動していく。

相手DFは、完全に後手に回って、後追いの状況になってしまうのです。

人とボールが動くバスケットボールです。(そんな表現があるのかどうかは・・・?)





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 明日から、Jリーグが開幕します。

どんな試合が、展開されるのでしょうか?


 レベルを追求していけば、フットボールはバスケットボールに近づいていくはずです。

手で扱うバスケットボールと、足で扱うフットボール。

この2つを同列に扱うのは、無理がある。

そんな意見も、多いのでしょう。


 日本の歩み進んで行く道は、既にこちらに舵をきっているのです。

世界と戦っていくために、人とボールを動かしていく。

コンビネーションを高めていく。

いわゆる、ムービングフットボール。

 
 それは、フットボールのバスケットボール化と言い換えれるです。

そろそろ、今シーズンのJリーグでは、その兆候が見られるのでは?

個人的には、ひそかに期待しています。
posted by プロコーチ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月27日

一つのチームの中に、

 UEFAチャンピオンズリーグが再開されました。

決勝ラウンドに進んだ16チームのレベルは、高い。

世界最高峰のカップ戦とされるだけの、水準でした。

そうなると、自分たちのやりたい方法を押し付けるだけではすまないようです。


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 相手の長所(ストロングポイント)を消していく、試合運びがあります。

マークを徹底的にするか、スペースをつぶし続ける。

自分たちの良さ(ストロングポイント)を出すことは、二の次にしてです。


「作り上げることよりも、壊すことは簡単」

攻撃を組織するよりも、守備は簡単。

家を建てるのは難しいが、壊すのは一瞬。

オシムさんの言葉です。

他にも、何人もの指導者やプレーヤーが、同じような言葉を残しています。


 裏を返せば、守備的に試合を進めてリスクを排除していく。

一瞬のカウンターやフリーキックに掛けて行く。

0対0、もしくは1対0での勝利を目指す。

リアリストと呼ばれる人々の志向する、戦い方です。


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 ところが、最近はこういった考え方だけ!で試合を進めるチームが、減少傾向にあります。

攻撃側優位のルール変更が、何度も行われています。

そして、用具の進歩によって、GKやDFは対応が難しくなっています。

昔は、無回転のブレ球なんて、無かったですよ。

ミドルシュートのレンジも、明らかに広がっています。


 南米系、アフリカ系の選手の「個の力」は圧倒的ですらあります。

ボスマン判決以降、その人数は増すばかり。

11人中、自国選手は1人、2人というのも珍しくありません。

 守ろうと思っても、守りきれないのが現状なのではないでしょうか。

イタリア勢に、ドイツ勢が優勝できていません。

セミファイナルに残るチーム数も少ないですよね。



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 改めて、何が起こっているのか?

これを確認するために、8試合全てをテレビ観戦しました。

次のような傾向があったように思います。


 
 ゲーム序盤の立ち上がりは、ガンガンにプレッシャーを掛け合う。

これが、前半の15分から30分あたりまでは続くのです。

その時間帯の傾向として、選手がヘタに見えてしまいます。

トラップミスや、パスミス、適当なロングフォワードパスが増えているからです。

おそらく、テレビで観るよりも、速く強烈なプレッシングがあるのでしょう。


 特に、攻撃から守備への切り替え(トランジション)は速い!

誰もが、奪われた瞬間に、守備を開始します。

下がらずに、その場から。

甘えの許されないフットボールとは、このことなのか。

思い知らされる時間帯であります。

この時間帯のコンセプトは、相手の良さをつぶす、壊すことでしょう。
 


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 その時間帯を過ぎると、ようやく試合が落ち着いてきます。

意図のある展開や崩しが、数多く見えるようになってくるのです。

スピードに乗った、サイドの崩し。

中盤の選手がボールに触りながらの展開。

3人目、4人目がボールに係わってくる。

オッ、オッと画面に引き込まれる回数が増えるのもこの時間帯です。

攻守共に、バランスの取れている、安定している時間帯ともいえるのでしょうか。



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 そして、後半も15分20分を過ぎると、お互いの疲れがピークになる。

全体的に間延びしてくる。

前半から飛ばしたツケが回ってくる時間帯です。
 

 ここで、各選手の個人技が輝いてきます。

選手同士のコンビネーションも、さらに見られます。

彼らは、プレッシャーがゆるくなると、本当に巧い、すごい。

これを出させたくない、気持ちがよく分かります。


 監督が、交代のカードを積極的に切る時間帯でもあります。

大きく試合が動く、もしくは動かしたい。

調子の出ない、足の止まった選手を外に出す。

取っておいた、攻撃的な選手を投入する。

もしくは、守備的に進めるための、新たなプレッシャー役の選手の投入。

勝ってるチームは、徐々に試合を終わらせようと、テンポを落とすこともあるでしょう。


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 その幾つもある、時間帯に合わせた戦い方を、平然と行う。

我慢すべきは、我慢する。

ガンガン行く時は、遠慮なく行く。

時間をゆっくり使う時は、ゆっくり行く。


 一つのチームなのに、複数の戦い方を試合の中で変化させていく。

これが、トップトップのチームの、最大の特徴に感じました。

もちろん、様々な展開はあります。

今回挙げたのは、一例にしか過ぎないでしょう。

ポイントは、自分たちで戦い方を変化させることが出来る!そのことです。

一つの戦い方しか出来ないチームは、これ以上の進出は、厳しいとも言えます。

 良くあるのは、ホームとアウェイとで、戦い方を変える。

試合の中で変えるとしたら、前後半のところ。

せいぜい、選手交代をきっかけにするやり方。

フォーメーションを変え、戦い方もシフトチェンジする。


 それが、全く違うチームに見えるほど、戦い方を変化させていく。

フォーメーションも変わっていないのにもかかわらず、システムを変更させていく。

チームの熟成度もあるでしょう。

私はそれに加えて、一人一人の試合を読む目。

この能力の素晴らしさを感じました。



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 フットボールが巧い、レベルが高いとは、この部分かもしれない。

我々には、大局的にゲームを読む力が足りていないのではないか。


 ではどうすれば、その能力を育てることが出来るのか? 

自分がそれをつかめたところで、それをどのように伝えることが出来るのか?

自分のチームの試合を観ていて「嫌な感じがする」

その逆に、「今、いい流れが来そう」

長年指導していると、それは感じれるようになってくるのです。

毎回感じれれば、勝負師と呼ばれる名将なのでしょう。


 自分が感じれれるのと、伝えるのは、話が大きく違ってきます。

答えは、霧の中でボンヤリとしか見えません。

新たな課題を、抱えてしまいました。

posted by プロコーチ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする