2009年09月15日

ステップを踏む

 つい先日、指導中に耳慣れない単語を用いて、話しかけられました。

私が、ワンタッチパスの、デモンストレーションをしていた時のことです。

「コーチは、***・*ステップするんだね。」

さらに、続きます。

「サッカーにも、***・*ステップあるんだ?。」

私の不勉強のため、聞いたことの無い単語でした。

後から調べてみると、面白いことが分かってきました。

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 私に、話しかけた彼は、フットボール自体は、私の元で、始めて数年の初心者です。

時折、光るプレーを見せてくれますし、ユニークなキャラクターでグループを明るくしてくれます。

ただし、テニスの方は、幼少の頃からしていたそうです。

学生時代は、かなり名の知れた大学の体育会で活躍していたとのこと。

また、以前にはテニスのコーチをしていたこともあるそうです。

相当、深く、長くテニスに関わっているようです。



 
 その彼が、発した言葉が、「スプリットステップ」なのでした。

動作そのものは、両足を揃えて軽く飛び跳ね、ラケットを構え、飛んで来るボールに備える。

ただし、それほど簡単なものではないそうで、・・・。

詳しく、教えてもらったところによると、次のようなものだそうです。



 
 相手が打とうとする直前(インパクトの瞬間)にステップを踏む。

ステップ、それ自体は簡単で、両足でピョンと小さく真上にジャンプします。

どこでも動ける、前後左右どの方向にも動ける状態を作る。

着地の時には、身体を沈み込んでいるようでした。

さらに上達すれば、相手が打ったラインを判断し、その判断ができた瞬間に1歩目が出す。

次の一歩を助けるために、ステップを踏むように、とのことです。



「初心者と、熟練者との大きな違いは、これが出来るかどうかにある。」

「見た目は簡単だが、このステップを踏んでいれば、「「あいつ出来るな!」」となるよ。

実演とユーモアを交えながら、スプリットステップを教えてもらいました。






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 テニスの世界では、当たり前のものとなっている、このスプリットステップ。

その呼び名は、全く知りませんでした。

指摘されて、始めて自分が使っていることを、意識するようになりました。




 ボールを保持していない時、ゆっくりと足を動かしておく。

たとえ、同じ場所に留まっていても、べた足で立っていることは無い。

自分でプレーしている時には、ステップを踏んでいます。

特に、疲れてくるとべた足になりやすいので、意識してステップを踏むこともあります。

頭や上半身は、ぶれない程度に。

ひざと足首の曲げ伸ばしを用いて、左右交互に、ゆっくりと。

この習慣を、指導している選手につけさせたい。

その思いから、よくステップについては、口にしていました。





 ここまでは、意識して習得しよう、させよう、としていたものです。

ところが、ボールが自分に近付くその瞬間に、スプリットステップを踏んでいる。

彼の指摘によると私の動きは、そう、らしいのです。

おそらく、イレギュラーバウンドに対応しやすくするため。

おそらく、筋肉の動作をスムーズにするため。

知らず知らずのうちに、身についていたのでしょう。

もちろん?私には、テニスの経験はありません。



 



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 実は、GKを指導する際には、このスプリットステップを用いさせていました。

GKの昔からの鉄則として、このようなものがあります。

「シュートを打たれる瞬間には、両足を地面に着け、静止する」

この鉄則の意図は、どちらにでも対応出来る様に。

もし、どちらかに体重が掛かっていては、逆をとられる恐れがある。




 ところが、これを忠実に守りすぎると、最初の一歩が遅くなってしまう。

GKの基本姿勢をとったまま、ポジションをずらして行き、シュートに備える。

陸上のクラウチングスタートの一歩目で、ものすごいパワーを必要とするのと同じでしょう。




 たくさんの経験者(プロ選手も含む)に話を聞き、海外のGKを観察して、1つの結論が出ました。

そして、次のように指導していました。

「シュートを打たれるまでは、ポジションを修正しながら、リラックスして構える」

(この時は、そこまで深く沈まない。ひざは軽く曲げた程度で)

「相手を観察、シュートの瞬間を予測して、その寸前に軽くジャンプしてから構えるように」

(ジャンプから着地して、深くひざを沈みこむように)

「シュートの瞬間に、両足が地面に着いていれば、それでいい」

これは、スプリットステップそのものではないですか。







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 私は、フィールドプレーヤーも、このステップが使えるのではないか?

種目が違うので、全く同じではないにせよ、エッセンスを用いることは出来ないか?

そう考えています。

少なくとも、重心が逆に掛かったままでは、ボールへの反応は、圧倒的に遅くなってしまいます。




 トン・トン・トン・トン・トン・トン、ターーン、タタン。

細かいステップから、スプリットステップ、ボールに触る寸前にはさらに細かく。

これが、私が踏んでいるステップの擬音です。

プロの選手などを観察していると、べた足ではプレーしないことに気づきます。

そして、飛び上がってはいませんが、スプリットステップのような伸び上がりも?!

もう少し観察、研究、実践を重ねて、新たな指導フォルダにしたいものです。

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2009年07月17日

これからの季節に

 都心では、連日30℃を越える日が続いています。

つい先日まで梅雨空で、空とにらめっこをしていたのが、ウソのようです。

日中の気温は、35℃を越える日も、どんどん出てくるでしょう。

それでも、フットボールをしよう!という気持ちは治まらない。



 無邪気にボールを蹴っていては、身体を壊してしまうのが、これからの季節です。

現場に立つ人間として、幾つかの留意事項を。

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 まず、一番怖いのが、熱中症です。

ひどい時には、死の危険すら潜んでいる。

特に、熱くなってすぐの今の季節、梅雨明け直後に危険が潜んでいます。

気温が一気に上昇しているのにもかかわらず、身体の準備が出来ていないからです。

体が暑い環境や、体の発熱に馴れていないためなのです。

身体を暑さに少しずつ馴らしていく(馴化)必要があるでしょう。



 環境省のHPを抜粋して、ご紹介します。

・環境条件を把握しておくこと・・・まずは気温をチェックするだけでも

・状況にあわせた水分補給・・・自由に補給、糖分・塩分の含まれている冷えたもの

・暑さに徐々に馴らすこと・・・いきなり炎天下で激しく動かない。久しぶりの運動ではないのか?

・個人個人の体調を考慮すること・・・寝不足、肥満、運動不足など、人によって異なるはず

・服装にも注意・・・吸湿性、通気性に優れたもの、帽子も効果的


何よりも、おかしいな?と思えば、休む・休ませる勇気を持つこと。

暑さ対策をしてから、フットボールを楽しみたいです。




 個人で出来るものは、水分補給でしょう。

会場への移動中から、こまめな水分補給を始めておく。

これが、おざなりにされやすい給水なのです。



 イメージは、ドライブです。

ガソリンを補給してから、長距離ドライブを始めるはずですよね。

のどが乾いた時には、脱水症状が始まっています。

会場に着く前には、500mlのペットボトルを1本は、少なくとも空にしておきたい。





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 熱中症対策はしている。

それなのに、意外と忘れがちなものが、食事です。

夏になると、さっぱりとしたもの、冷たいものを中心となってしまう。

夏バテの原因は、それだけではないものの、食事が大きく絡んでくるものです。

何よりも、食べることは、体力が必要です。

夏バテになってからでは、食べることすら出来なくなってしまいます。



 勘違いしやすいのが、うなぎを食べたから大丈夫!などと、特定のものに頼るケースです。

ベースとなるのは、バランスよく、3食を食べること。

白・茶色だけの献立が続いていては、栄養が偏っているでしょう。

サプリメントに頼る前に、少しでも彩りのある食卓にしたい。

フットボールという、激しいスポーツをする人間の、最低条件と言っても過言ではない。

食事と休息とは、運動とセットなのです。






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 そして、これからの時期に、意識して摂取してもらいたい栄養素があります。

それは、ビタミンB1と鉄分です。

もちろん、その他のビタミンやミネラルを軽視してよいわけではありません。



 食事をエネルギーにするときに欠かせない、ビタミンB1。

疲労回復ビタミンとすら呼ばれることもある栄養素ですよね。

豚肉に多く含まれているそうですよ。

冷しゃぶのサラダなどは、この時期でも食べやすいメニューではないですか?



 もう1つの鉄分。

汗をかくと、ミネラルも一緒に出て行っています。

水を飲むだけでは、補い切れない。

スポーツドリンクには、ミネラルが入っているものがほとんどです。

なのですが、ミネラルの中でも、鉄分はほとんど含まれていないはずです。



 鉄分が不足すると、貧血にもなります。

血液を全身に送れなくなるので、疲れやすくもなってしまうでしょう。

この症状は、女性だけに限らず、男性にも多くみられるそうです。

特に、この時期は、汗の量が増えるため、注意しなくてはならない。



 レバーやひじき、ほうれん草などに多く含まれている鉄分。

レバニラ炒めや、おひたしなどが代表的なメニューでしょう。

意識しないと、あまり食卓には乗らないのではないでしょうか?






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 堅苦しい話を書いてしまいました。

暑いからと言って、フットボールを楽しめないのでは、人生を損してしまう。

少なくとも、私はそう考えています。

楽しむためには、準備が必要。

それは、ピッチやコートの上に立つ前から、すでに始まっているのです。

これからの数ヶ月間、夏に負けず、充実したフットボールライフを!
posted by プロコーチ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月26日

味方につけれれば。

 南アフリカで、コンフェデレーションカップが開催されています。

カップの価値は、さほど大きなものではないのです。

テレビや、ネットなどで確認していると、面白いことが見えてきました。

日本代表にとって、好材料となりえることです。

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 この大会の意義としては、2つ挙げられるでしょう。

まず挙げられるのは、2010年のワールドカップ本大会に向けた、予行演習です。

気候に、食事に、キャンプ地、スタジアムに、練習会場。

単なる視察に終えるのではなく、実際に選手やコーチ・スタッフが使用してみる。

その上で、本番ではどうするのかが、リアルに見えてくる。




 選手も、一度行ったことがある場所ならば、気持ちが変わってくるはずです。

ましてや南アフリカは、ほとんどの選手にとっては、未踏の地でしょう。

それは、海外の選手にとっても同じはずです。

本大会の行われるスタジアムやピッチの雰囲気を知れることは、アドバンテージになっただろうに。

さらには、あの歓声に、楽器の騒音?は体験しておきたかった。






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 もう1つは、日本で行われる親善試合よりも、本気度の高い試合が出来た。

日本に迎える国々は、100%の実力を発揮してくれていない。

メンバー構成も、本気度も、疑問がつきます。

仮に、そこをクリアしたとしても、実際には足が動かない。

10何時間のフライトを終えて、たったの数日での試合です。

足が止まって、当たり前の状況。

ワールドカップ本番の相手とは程遠く、同じなのはユニフォームの色だけです。




 コンフェデでは参加国が、予行演習と捉えているはずです。

これは、一つ目の意義とも絡んできます。

だから、可能な限りのベストメンバーを組んでいる。

選手たちも、生き残りをかけて、アピールをしてくるのです。

本気度が、かなり高い試合を、最低3試合は戦うことが出来たのです。



 テレビで観戦していて、寂しく思いました。

ここに、日本代表が出場していれば、どうなっていたのだろうか?

最高の予行演習の場に参加できない。

アジアカップでの失態が、尾を引いていますね。

この失態が、ワールドカップ本大会に影響なければ良いのですがね。





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 唯一、明るい希望を見つけることが出来ました。

それは、南アフリカが寒い!ということです。

当然のことなのですが、南半球は、冬なのです。

昼間の最高気温でも、15度前後しか上がりません。

最低気温にいたっては、0度近辺なのです。



 アフリカだから、暑いだろう。

なんとなくのイメージでは、その程度でした。

調べてみると、かなり涼しく、朝晩は寒いのです。

テレビには、長袖シャツに、ネックウォーマーに手袋を着用している選手さえ映っていました。

観客席も、寒そうに服を着込んでいる人を多く目にしました。






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 つまり、暑さにやられて、足が止まってしまう。

そんな心配は無用なのです。

日本人の武器の1つは、運動量にあります。

海外の選手やコーチから観ると、びっくりするくらいに、我々は走り続けている。

90分間持つのか?心配されるほど、試合を通して走っています。




 日本は、フィジカルで劣る。

そう、信じられています。

フィジカルとひとくくりにしてしまうと、話がよく分からなくなってしまう。

身体のぶつかり合い、筋肉量・骨格は確かに劣っています。

これは、体重を比較すれば、一目瞭然です。



 フィジカルとは、それだけを指すものではありません。

そして、フットボールの試合に必要なフィジカルは、他にもありますよね。

ゆっくりと、長い距離を走る、いわゆるスタミナなら、世界レベルにあります。

陸上種目で、マラソンが健闘しているのが、好例です。

フットボールにおいても、有酸素性の能力は、高いものがあるのです。

これは、代表チームのフィジカルテストからも、明らかになっています。






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 ドイツワールドカップのグループリーグを思い出します。

突然、ドイツを熱波が襲いました。

しかも、キックオフ時間は、現地時間の15時です。

オーストラリア戦、クロアチア戦の2試合が、この状況でした。

私はスタンドで観ていましたが、正直暑くて、ぐったりしました。

うだるような、真夏の暑さなのです。

ピッチの選手たちは、さらにつらいものがあったはずです。
 


 
 あの暑さは、ピッチ上の両チームを、共に苦しめました。

よりダメージを受けていたのは、日本代表でしょう。

走れない、足が止まる。

これは、攻守に渡り、数的有利を作ることが出来ないことも意味しています。

相手チームよりもたくさん走るからこそ、数的有利な状況を作ることが出来る。

いかにスタミナがあるからとは言え、真夏の季節では走り通すことは無理があります。





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 スペインが敗れ、ブラジルが苦戦しました。

その一方で、USAが決勝に進み、南アフリカが健闘しました。

彼らは、強国と互角以上にやり合いました。

そのベースは、忠実な守備と、それを支える運動量でした。

足を止めずに、最後まで自由を制限し続けたのが、好結果につながった。

スペインやブラジルの、技術を発揮させなかったのです。




 1年後の日本代表も、この2チームの再現が出来るかもしれない。

走りやすい季節に開催される、2010年南アフリカワールドカップ。

気候は、日本代表チームに味方してくれそうです。

岡田監督は、速い攻守の切り替えをベースにしたチーム作りを進めています。

そして、FWにも最前線からの守備の徹底という、役割を持たせています。

サイドバックにも、激しい上下動をさせています。

運動量を、非常に多く必要とする戦い方を求めているのです。



 これに、さらに磨きをかける。

もっと、もっと、走るチームに。

これが、本大会に向けてのキーワードになる!?
posted by プロコーチ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月24日

ボールを持たない選手の動きをも

 選手の動きを、解析する。

1試合の中で、ドリブルを何回した。

パスを何回出して、何回成功させた。

タックルを、トラップを、クリアを。

まずは、ボールを持ったプレーが、解析の中心になる。



 
 では、1試合にどれだけ移動しているのか?

ボールを持たない選手の動きにも注目しているのか?

試合では、その動きが重要になってくるのだが。

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 各Jリーグのチームは、試合を数値化したデータを、入手しています。

自らのテクニカルスタッフがするチームもある。

専門の会社から提供してもらうチームもあります。



 雑誌や、テレビでも目にすることがありますよね。

データを眺めていると、面白い発見があるものです。

自分の主観や印象が、覆されたり、当たっていたり。

意外な発見をすることも、しばしばです。





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 トヨタカップで、ブラジルのサンパウロFCが来日しました。

Jリーグ開幕前の、1992,1993年のことです。

当時のメンバーは、そうそうたるものでした。

試合でも、FCバルセロナにACミランと言う、ヨーロッパの強豪を破って2連覇!



 この時、ベンチには、コーチと共にテクニカルスタッフも座っていました。

全てのパスを、パソコンに入力。

データを監督に報告し、試合分析に活かしている。

当時、そんな紹介がされていたのは、懐かしい記憶です。



 どれだけ経験を重ねても、試合を客観的に観るのは難しい。

どうしても、思い入れや、それまでのイメージを重ねてしまう。

サンパウロFCの監督は、名将中の名将である、テレ・サンターナ氏です。

経験も実績もある氏でも、客観的に観るためのツールを必要としていた。

その1つが、数値化されたデータなのでしょう。






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 そのデータも、時代の流れと共に、進化している。

IT能力が飛躍的に向上したため、たくさんのデータが処理されるようになっています。



 最近では、1試合を通しての、動きそのものをデータとして保存する。

90分間での走行距離。

ピッチのどの辺りを、走っていたのか。

そして、どのようなスピードだったのか。



 ヨーロッパのビッグクラブでは、ボールを持たない選手の動きをも自動的に取得する。

複数のカメラを駆使して、全選手の動きを自動的にデータ化するシステムだそうです。

チャンピオンズリーグを、テレビで観戦していると、走行距離が出てきますよね。

全体の平均と、ピックアップした選手の実際とを対比させるようなデータがリアルタイムで。



 残念なことに、日本ではこのシステムは、まだ導入されていない。

現在は、導入を目指して動いているそうです。

ボールを持たない動きの必要性。

これが、ようやく求められ出したことの、裏返しなのでしょうか。

こんなところにも、我々が世界から遅れている部分があったのです。



 これからは、走ることの出来る選手は試合に出れる。

走れない選手は、コンディションが悪いとみなされ、試合にも出れない。

アピールが上手くても、通用しない。

データは、数字は、誤魔化しようがない。

そんな時代が来るのでしょうか!?





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 そんな最新鋭のシステムが無くても、昔から走行距離は、数値化されていました。

試合後、映像を見ながら、地道に作業していく。

試合中に、スタンドの高いところから、移動した軌跡をペンで書き込む。

後から、その距離を測る。

昔から、色々な方法がとられていました。



 古いものですが、面白いデータが残っていました。

ブラジル代表でも活躍した、ロマーリオ選手のものです。

22歳当時のものでしたから、身体は、一番動く時期でしょう。

しかも、試合の季節は冬、東京での試合ですから、もちろん平地でのデータです。



 彼は、1試合にたったの8キロほどしか走っていないのです。

当時でも、平均的な選手は、1試合に約10キロ走っていました。

この数値は、小学生(5分あたりに換算)と大差ない値です。

それでも、この試合でもゴールを決めています。




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 彼のポジションは、もちろんFWです。

一番、マークが厳しいポジションですよね。

しかも、生涯で1000点以上を奪っている、正真正銘のゴールゲッター。

歴代の名手が揃うブラジル選手の中でも、トップクラスでしょう。

マークが緩いわけはないのです。



 巧みな駆け引き、抜群のボールコントロールで、マークを外す。

そして、いとも簡単にゴールを重ねていく。

走り回っているわけではないのに・・・。

いつのまに、DFの裏を取れているのか?

そんなにDFから近い距離で、なぜマークを外して、ボールコントロールできているのか?



 彼は、何歳になっても、ゴールを量産していた。

40歳を過ぎても、本国で得点を積み重ねていました。(19試合で15ゴール)

それも、当たり前かもしれません。

一番走れる年齢の時でさえ、小学生程度しか走っていないのだから。

彼にとって、90分間トータルの移動距離など、関係なかったのです。




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 マークを外す動き、裏に抜け出す動き、スペースを作る動き。

そのために、走ることを繰り返す。

様々な動きを駆使して、ゴール前に迫っていく。

少なくとも、日本人のFWは、そのように動くのが一般的です。

必然的に、移動距離も多くなっていくでしょう。


 
 選手も、指導者も、走ることを求めるでしょう。

「もっと走れ」

「動こう」

「走って、マークを外せよ」

もちろん、間違っていません。



 ただし、ロマーリオは走り続けてはいなかった。

彼は、必要なその瞬間に、必要なだけ。

トータルの移動距離は少なくとも、そのいざ!と言う瞬間には走っていたのです。

走るべきタイミングを、知っていた。

そんな表現が的確なのでしょうか。





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 データは、結局のところ、数字にしか過ぎない。

その数字をどのように活用するのかは、人間であるコーチ。

与えれれた数値を、客観視し、要素・選択肢としてとらえられるならば、武器になる。

数字に振り回されていては、ピッチ上で起こっていることを見逃してしまう。 
posted by プロコーチ at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月03日

足が速い。

 足が速い。

方向性を持って、攻撃していく球技においては、間違いなくアドバンテージになります。




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 1979年生まれ。

日本サッカー界では、特別の意味を持つ生まれ年です。

ワールドユースで、準優勝に輝いた、中心メンバーの生まれ年。

いわゆる、黄金世代と呼ばれていますよね。


 よくあれだけ、レベルの高い選手が集中したものです。

他の競技でも、松坂世代や、花の**年組などと呼ばれる年があります。

若年層からの取り組みが実を結んだ。

その一言では語りきれない、運命のようなものを感じませんか。





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 彼らも、ベテランと呼ばれ出す年齢になりました。

バリバリのトップレベルでやっているプレーヤー。

その一方で、地域リーグで再起を図るプレーヤー。

10年経つと、環境も変わるようです。


 そんな彼らが、同窓会のようなノリで、話す番組がありました。

昨年も、オフシーズン企画でやっていましたね。

仲間内だけで話が盛り上がっていました。

居酒屋のような軽い雰囲気なのですが、その分本音も出てくるようです。





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 氏家選手が、こぼすように話し出しました。

「足が速いよな。」

播戸選手、高田選手に向かって、うらやましがるように、話すのです。

俺らは、足が速くないからね・・・。(辻本選手に同意を求めます。)

「この歳になって残っているやつは、足が速い」






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 フットボールで求められるスピードが、3つあります。

・走るスピード

・ボールのスピード

・考えるスピード

3Sとも呼ばれる、3つのスピードです。


 足が速いということは、アドバンテージを持っている。

片方は50M走なのに、もう一方は40M走で競争しているようなのものでしょうか。

もし、フットボールに「ヨーイ・ドン!」の号令があれば、いつでも勝利できる。

いつでも、ボールに速く追いつく。

この辺りを指して、氏家選手がこぼしたのでしょう。





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 これに対して、播戸選手も話します。

「筋肉系のケガには気をつけな、アカン」

話はさらに展開して、別の話になりました。

ところが、次での語りが、足が速い・・・に対する、一番の返答になっていた。


(誰と誰が、よく話をするのかと言う会話になり)

「FW同士は、あまり話をしなかった。」

「点を獲るやつは、その瞬間1人しかいない。」

「俺が走るから、お前が合わせろ。」

かなり強気なプレー、考え方ですね。

点取り屋には欠かせない、気の持ちようといえるでしょう。






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 ところが、播戸選手にも、心境に変化があったようです。

「最近は変わってきた。」

「感覚だけでやってきたけど、そうではなくなった。」


 若いうちは、感覚や、スピードに頼ってプレーをしてきた。

歳を重ねるごとに、壁にぶつかっていきます。

それに気づけないプレーヤーは、退出してしまうのでしょう。


 周りとのコミュニケーションを図る。

考えながら、プレーをする。

そういった、変化が生まれたようです。





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 フットボールには、「ヨーイ・ドン!」はありません。

ルールの中であれば、フライングは、大いに奨励されるべきこと。

相手DF、相手FWより速く、いいタイミングでプレーを開始できれば良い。

極端に言えば、走らなくてもいい状況を作ってしまえばいいのかもしれません。

シンキングスピードのSで勝負すると言う考え方です。

人の数歩先、展開を読んでのプレーですよね。




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 では、足が速い選手が、フライングを出来るようになればどうだろうか?

戦術理解度の高い、アスリートがピッチにいる。

味方にいれば、相当心強い。

足も速ければ、考え・動き出すのも速い。


 代表レベルでも、クラブチームでも、ピッチ上には黒人選手が多いですよね。

彼らは、まさに戦術理解度の高い、アスリートなのでしょう。

そのスピードを存分に活かして、自分の居場所を築いています。






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 オランダ人のコーチが、以前こんな話をしてくれました。

私が学生の頃に受講した、指導者講習会でのことです。

「日本人は、スピードがある、そして俊敏だ。」

「だが、そのスピードを活かせれていない選手が多いようだ。」


 足が速いなら、そのアドバンテージをより高める努力をしなくてはならない。

自分のスピードにだけ頼っていては、限界が来てしまう。

足が遅いなら、そのディスアドバンテージを、埋めていく工夫が必要でしょう。

足が遅いことは、言い訳にはならない。


 ピッチの上で、何を表現できるのか?

足が速かろうが、遅かろうが、どちらにしても同じです。

価値基準は、これしかないのですからね。
posted by プロコーチ at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月01日

寒い季節です。

 一年で、一番寒い季節、大寒になりました。
風邪には、くれぐれも気をつけれてますか?
今日は、本当に寒かったです。
プロの選手は、どのように体調を管理しているのでしょう。

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 フィジカルのコンディションがよくないと、技術、戦術は発揮できませんよね。
心までも、滅入ってしまうかも知れません。
健全なる肉体に、ですから。

 この季節に、一番おこしやすいのが、風邪ですよね。
インフルエンザなんかになったら、さらに大変です。
私の周りでも、流行っています。

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 今回は、名古屋グランパスの選手がしている、風邪対策をご紹介します。

・こまめにうがいをする。
 ロッカールームに常備し、トレーニングの前後にしているそうです。

・保湿を欠かさない。
 乾燥しやすい、部屋の中。
 加湿器、濡れタオル、たらいなどを使って、保湿。
 のどや鼻の粘膜を守っている。

・身体を冷やさない。
 靴下を履く、襟付きの服を着るなどして、冷やさないように。
 はだしにサンダル履きなどは、しないそうです。

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 もちろん、栄養を考えた三食に、規則正しい睡眠は最低条件です。
彼らは、プロです。
プロと言うことは、自分の体が、商品ですからね。
徹底した管理は、当たり前なのでしょう。

 我々も、出来ることからしたいですね。
ちなみに私の対策は、さらにもう一つしています。
それは、マスクの着用です。
人ごみに出る時は、必ず装着しています。
冬になる前からしているので、好奇な目で見られてしまうのですがね。

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 無事是名馬。
いいコンディションで、フットボールライフを楽しむ。
いいコンディションで、上達に励む。
意識の高い選手が、最後までボールを蹴ることが出来る。
自分自身、そう信じて。 
posted by プロコーチ at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月09日

成長が早いだけ?

鹿児島城西の大迫勇也選手は、プロの世界では通用しない!?

 
 明日、いよいよ準決勝を迎える、全国高校サッカー選手権大会です。
最も注目されている選手は、鹿児島城西の大迫勇也選手ですよね。

 私も実際に、この目で見てみたい。
三ツ沢競技場に、足を運びました。
http://futebol.seesaa.net/article/112251587.html

 
 簡単に言うと、大きくて、巧くて、速い。
さらに、ゴールへの意識も高く、周りも使える。
このように書くと、どれだけすごいんだ!?
そう感じますが、実際に見ると、本当に飛びぬけた存在でした。

 彼は、自分自信の間合いや、スピードを良く理解している。
ここにボールを置いておけば取られない。
このタイミングでスピードを上げれば、ついて来れない。
身体をこう使えば、ボールを奪われない。
長い手足や、スピードを活かし、自信を持ってボールを扱っています。


 では、自分より大きい選手、速い選手、足が長い選手、当たりが強い選手。
そんな選手と、マッチアップした時にどうなるのか?
正直言って、未知数です。
なぜなら、彼を圧倒するようなDFは、日本の高校生レベルには見当たらないからです。

 対峙する相手DFも腰が引けている。
思い切って寄せるとかわされる。
待っていると、シュートを打たれる。
結局は、ぶち抜かれないように、ついて行っている。



 まるで、中学生が、小学生を相手にしているような感覚でしょうか。
大人の私たちが、成長途中の子供を相手に1対1をする。
ぶつかって来られても、足を伸ばされても、負けることが無い。
そう分かっていれば、落ち着いてボールを扱えます。
勝負を制することも、容易ですよね。
そう、赤子の手をひねる、とはよく言ったものです。

  大迫選手も、そうなのではないか?
「超高校級」、「怪物」、「超越したレベル」
彼を形容する言葉です。 

 では、プロの世界に入るとどうなのでしょうか?
さらに、海外の選手と真剣勝負をすると、どうなのでしょうか?

 アフリカ選手の長い手足の前でも、ボールキープを出来るのか。
南米のしつこく、反則すれすれの対応されても、シュートに持ち込めるのか。
ヨーロッパの選手の激しい当たりがあっても、落ち着いて対処できるのか。

 おそらく、最初は苦労するでしょう。
自分の好きなプレーはさせてもらえない。
積み上げた、プライドや自信、技術までもが、ボロボロになってしまう。


 ただし、彼ならその苦境を打開できるでしょう。
インタビューなどを聞いていると、オープンマインドで気持ちのいい性格を感じます。
何よりも、左右両足に高い技術を持っています。

 だからこそ、中途半端にプロの世界で通用する。
Jリーグで、数点取った。
高校ルーキーとしては、抜群。
世界なら、18歳は大人として扱われるのですがね。


 中途半端な国内での経験なら、要らないのではないか?
一日も早く、海外での真剣な経験をするべきです。
10代の内に、行くべき。
木の芽は、柔らかいから伸びる。
硬くなってしまったら、成長も止まってしまう。

 自分よりも大きく、強く、速い相手との真剣勝負。
その環境を求めることが、彼の成長につながる。
一回りも、二回りも大きくなって、日本代表の得点力不足を解消する。
私は、彼がそれくらいのタレントを有していると思いました。

 
 まずは、明日の準決勝でのプレーを確認してきます。
成長が周りよりも早かっただけなのか?
それとも、本物のタレントなのか?
本物のタレントということは、海外のリーグで活躍するというレベルなのかどうか。
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2008年12月20日

スーパーアスリート

 ガンバ大阪の大きな挑戦が、ひとまず終わりました。
自分たちの良さを発揮しよう!
スタイルを追求して、ぶつかって行こう!
彼らのプライドは、見る価値が、充分にありましたよね。

 試合は、ACLの決勝と同じ入り方をしたように見えました。
ボールに対して、高い位置からプレッシャーをかける。
FWとMFとのいい連動が武器でしたね。
中盤ゾーンでも自由にプレーをさせない。

 相手の機先を制する戦い方でした。
ゲームの入り方は、満点に近いのではないでしょうか。
奪ったボールは、いつものようにパスをつなぎながら攻撃を組み立てていく。


 攻撃の工夫も見ものでした。
FWの2人(山崎・播戸)が、DFラインの裏のスペースへ飛び出す、
もしくは、高い位置で踏ん張って縦パスを受けようとする。

 その結果、マンチェスターユナイテッドのDFラインが数M下がりました。
すると、中盤のラインと、DFラインとの間が少しだけですが空きますよね。
そこを使って、パスをつなぐ。

 遠藤選手を中盤の底の位置に下げたのも、功を奏したようですね。
決定的な仕事をする回数は減るかも知れません。
それよりも、中盤の少しでも低い位置。
プレッシャーのかかりづらい位置にポジショニング。
そのスタートポジションから、たくさんボールを触って攻撃のハブとして機能していました。

 これらの工夫で、立ち上がりは成功しました。
決定機も作り、あわや!?先制点の場面もありましたよね。


 ところが、徐々にマンチェスターユナイテッドがペースを握りだしました。
CKからの先制点は、大きかったでしょう。
選手交代で、ルーにー選手の登場や、サイドチェンジの多用で、プレスを無力化する。
そんな対処もありました。

 結果、後半はスコア以上の差が開いてしまいました。
これは、監督の差なのでしょうか?

 一番の差は、フィジカルの能力なのではないでしょうか。
身長も、体重も、足の長さも違う。
身体の太さ、筋肉量も違うでしょう。
スピード持久力(後半になっても衰えないスピード、何回も繰り返しダッシュをする能力)。
基本的なローパワー、全身持久力にも差があるようでした。

 
 以前も、私のコラムに記述しました。
来日して3日の彼らは、本来のコンディションではない。
その状態で、あの凄さですからね。

 クリスティアーノ・ロナウド。
彼のターンの切れは化け物ですよね。
超スピードから、いきなり方向転換しても、まったく身体がぶれない。
慣性の法則はどこに?

 ドリブルしていく時には、どんどん加速していく。
長い距離をドリブルすると、シュートの時にはパワーが無くなっている。
こんな現象は、プロの世界でも見られることです。
ただし、彼にとっては無縁のことのようです。

 彼を始めとして、選手全員がよく走っていました。
30代の選手も、衰えを感じさせませんよね。
 

 マンチェスターユナイテッド。
技術・戦術・気持ち・伝統。
偉大で、洗練されたチームでした。

 それよりも何よりも、彼らは素晴らしいアスリート集団です。
フットボールプレーヤーである前に、スーパーアスリートなのです。
この差を少しでも埋めない限り、フットボールをしているだけでは追いつかない。
何十年経っても、置いて行かれているような気がしてしまいました。

 プレミアリーグに、UEFAチャンピオンズリーグ。
彼らの主戦場では、それほどまでに高い、アスリートとしての能力が求められているのでしょう。
そんな環境に身をおいているから、あの動きが出来るのでしょうね。
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2008年11月25日

「イボシュー」をはいて

 週末に、あるグラウンドをお借りして、試合を開催しました。
5年ほど前から、お世話になっているグラウンドです。
日本によくある土の固めのピッチ。

 管理の方から、連絡が入りました。
「芝生を育成中のため、スパイクは履かないで下さい」
フットサルシューズや、トレーニングシューズでプレーしてくださいとのこと。
養生中なら、しょうがない。
それほど期待せずに、当日を向かえました。

 ところが、会場に着くと目を奪われました。
きれいな芝生が、広がっているのです。
さすがにこの季節なので、枯れた色をしていましたが・・・。
「このグラウンドに、きれいな芝が!」
正直、いい驚きがありました。

 天気も良く、絶好のフットボール日和。
芝の上をボールが走る感覚も楽しめる。
寝転がっても、痛くないし、汚れない。
テンションも高くなりますよね。


 いざ、トレーニング、試合を始めると問題がありました。
みんな、足を取られてしまうのです。
「ツルッ」
「ずるっ」

 とっさの動きで、方向を変える瞬間。
ダッシュをしようと走り出した瞬間。
キックをしようと、踏み込んだ瞬間。
つまり、力を入れようとしたその時に、足を滑らせているのです。
結局、足を滑らせないように、こわごわとプレーしているように感じました。

 私も、少しプレーしてみました。
走る、方向転換は大丈夫でした。
キックの時は、こわごわと・・・。


 その姿を見て、思い出したことがあります。
2001年3月、日本代表のフランス遠征。
メンバーを揃え、本気のフランス代表と、親善試合がありました。
 
 前年のモロッコで行なわれた試合で、2対2の引き分け。
その善戦があったため、ほのかな期待を抱いていましたよね。
日本代表も強くなっている。
もしかすると、今回もいい試合をしてくれるのではないか!?

 その淡い期待は、もろくも打ち破られました。
0対5の敗戦。
圧倒的な力の差を見せつけられての敗北となってしまいました。

 その当時に、盛んに言われたのが、フィジカルの差。
環境に適応する能力の差です。
試合当日のピッチは、大雨でグチャグチャ。

 そんな厳しい環境の中でも、フランスの選手たちは平然とプレーをしている。
一方の日本代表は、足を滑らせたり、ボールを後ろにそらしたりしている。
唯一、中田英寿選手だけが、普段どおりのプレーが出来ていた。

 日本のトップレベルの選手たちは、きれいな芝生のピッチでしかプレーしていない。
一方のヨーロッパの選手たちはどうなのか?
意外と、ぐちゃぐちゃのピッチでトレーニングや試合をしているのです。
ヨーロッパの冬は天候がよくない。
雨や、雪で、いたんだピッチ。
そこでのプレーが、当たり前になっているからです。

 同じような現象は、今年の夏にも見られました。
北京オリンピックのサッカー日本代表です。
荒れたピッチに、戸惑う選手たち。
早過ぎる敗退は、ピッチの適応できなかったこともいくらかあるのでしょう。 


 先日参加した、指導者講習会。
そこでのお話した、大場コーチに教えていただいたエピソードが参考になります。
大場コーチが、ブラジルのフラメンゴに留学していた当時のことです。

 「フラメンゴのトレーニングするピッチは、ぼこぼこ」
 「多分、お金がなかったんだろうね」
 「ただし、トレーニングする時には、全員イボシューだったよ」
 (トレーニングシューズ・・・いわゆるトレシュー)
 「紅白戦になって、初めてスパイクを履いてたよ」

 「俺ら日本人は、足をよく取られて滑ってた。」
 「ブラジル人は、普通!にプレーしてるんだよ。」
 「あれで、筋力がつくのだろうね」
 
 科学的に、計算されない部分なのかもしれない。
そもそも、そんなデータは誰もとっていないでしょう。
科学的に、理論的に、効率的に。
そんなトレーニングを追及しすぎると、ひ弱な選手が育ってしまう。

 あえて、非効率な、非科学的なトレーニングをさせる。
大場コーチは、実際にJの下部組織で取り組んでいるそうです。
たくましい選手を育てるための工夫ですよね。

 イボシューを履かせているかどうかまでは、聞きそびれてしまいました。
それでも、様々な工夫をトレーニングにちりばめて、メニューを組んでいる。
参考になる、貴重なエピソードを教えてくださった大場コーチに感謝。
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2008年08月05日

ゴールデンタイム

 皆さんのゴールデンタイム(プライムタイム)は何時ですか?
テレビのゴールデンタイムなら、19〜22時。
テレビ局は、そこにヒトもお金もかけて、番組を制作しているのでしょう。

 実は、自分自身の中にもゴールデンタイムが存在します。 
身体が最も動く時間帯。
それが、いわば身体のゴールデンタイム。

 北京オリンピック女子バレーボールチーム。
「夜間トレーニング」を敢行しています。
五輪1次リーグで深夜(日本時間22時〜の試合が続くためです。
体調を夜型に合わせるべく、日本人学校の体育館を借り切って汗を流す。

 主将の竹下佳江選手も語っています。
「普段にない時間帯の試合。短期間でどう時間に対応できるかが勝負」。
普段は、夜の22時には試合が終わっている。
この夜間練習を終えたのは、時計の針が22時半近くを指していました。

 
 このゴールデンタイムの考え方は、決して根性論ではありません。
生体リズムにおいて考えることができます。
一般的には体温の高い時間帯に、より良いスポーツパフォーマンスが行われるのです。

 つまり、その時間帯になれば、身体が自然にスイッチが入る。
思ったとおりのパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。
少々疲れていても、毎朝出勤されているのと、同じことです。

 何となく休み明けに身体がダルイことがありますよね。
お休みに、夜更かしや、寝貯めしてしまってませんか。
それによって、ゴールデンタイムが崩れてしまっているのです。

 
 もし、大事な試合があるのなら、前もってトレーニングして臨みますよね。
走りこんだり、ボールを触ったり、実戦トレーニングをしたり。

 その準備時間が、試合の行なわれていない時間帯だと、もったいない。
身体は、その時間を覚えてしまいます。
そして、脳みそも覚えてしまうのです。

 このゴールデンタイムは、学習をする時にももちろん応用が利きます。
この時間帯には、必ず本を開く、ペンをとる、キーボードをたたく。
間違いなく、学習効果は高まるでしょう。

 
 試合の準備は、トレーニングをしたり、ミーティングをするだけではないのです。
それを、いつ?行なうのかも重要になってくるのです。
知っている人間にすれば、当たり前のこと。
ただし、実行するのは意外と難易度は高いものですが・・・。

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2008年05月20日

オーバートレーニング症候群

 人は、いつまでも走り続けることが出来ない。
大きな理由は2つ。

 自分のやる気を高めることが出来なくなる。 
モチベーションの低下。
チャンピオンシップを目指し進んでいく原動力である、モチベーション。
メンタル面が上手くコントロールできなくなった時に、多くのアスリートは引退を考えます。

 トップアスリートの若くしての引退表明。
女子テニスランキング1位のエナン選手。
彼女の引退はまさに、メンタルのパフォーマンスの低下。
http://www.asahi.com/sports/update/0514/TKY200805140322.html?ref=rss

 さらには、女子ゴルフの第一人者、ソレンスタム選手も引退を表明。
http://sankei.jp.msn.com/sports/golf/080514/glf0805140943000-n1.htm
彼女の場合は、故障もあったようです。

 もう1つの理由である、フィジカルの低下。
加齢による衰え、蓄積した疲労や傷害。
自分の思ったプレー、パフォーマンスが出来なくなり引退を考えるのでしょう。


 前にも書きましたが、人間には休養が必要。
運動やトレーニングをすることは、筋肉や内臓を破壊している。
それを修復する材料である栄養の摂取。
体を修復するための休養。
そして、回復させて運動を行なう。
このサイクルがきちんと出来ているならば、自分のベストを発揮できるかもしれない。

 ところが、あまりに過密日程だと、このサイクルが上手く回らなくなってしまう。
蓄積した疲労がもたらすパフォーマンスの低下。
さらには筋肉系の故障の発生。
そして、脳みそまでも疲れてしまう。
モチベーションの低下。


 08年のJリーグ。
混戦が続いています。
ACLに参戦している3チーム。
浦和レッズは、昨年優勝チームとしてグループリーグが免除されている。
Jリーグの代表としてグループリーグを戦っている、鹿島アントラーズにガンバ大阪。
アジアではなかなかの成績を収めていますよね。

 ところがこの2チーム。
国内のリーグ戦では、13節を終えて6位に8位。
守備力が自慢の鹿島にしては、12と失点が多く勝ちきれない。
攻撃力が有名なガンバにしては得点は18と7番目の有り様。

アジアでの戦いは難しいのでしょうが、それだけでは無いように思います。
過密日程を免除されている、浦和レッズは首位に立ちましたからね。
やはり、回復が間に合っていないのでしょうね。


 世界を目に向けても、同じ現象が起こっている。
昨年はヨーロッパを制したACミラン。
ところが、今年は国内リーグで5位に沈み、チャンピオンズリーグの出場権を逃してしまいました。
横浜で世界一に輝いたチームが、イタリアで勝てない。

彼らにも疲労が襲っていたようです。
国内リーグに、チャンピオンズリーグ。
各国の代表選手の集まりであるため、代表チームの活動。
さらには、日本でのクラブ世界選手権をとるための、遠征。
疲労が、目に見えない病魔のように、体から離れなかったのではないでしょうか。


 さらには、UEFAカップ。
決勝まで残った、スコットランドのグラスゴーレンジャース。
国内リーグでは、優勝確定かと思われていましたが、終盤に来て失速。
セルティックに追いつかれる失態。
さらには、UEFAカップの決勝でも破れてしまいました。
ここに、疲労との相関関係も感じられませんか?

戦力を多量に保有。
比べても遜色無い2チーム分の選手を、順番に起用。
いわゆる「ターンオーバー」を用いるのが、当たり前になっている欧州。
それでも、主力中の主力選手の替えはきかないもの。
コンディションの低下は避けられない。

「ターンオーバー」導入の遅れている日本は、更にその傾向が顕著です。
ガンバ大阪遠藤選手のウイルス性肝炎。
昨シーズン終盤の浦和レッズでの、大量の筋肉系の故障者続出。
これらは、疲労の蓄積が明らか過ぎる現象。


 先週末は、私自身、ピッチに立つことが重なりました。
時間にして、150分近くも!!
普段は、指導に専念しているのですが・・・。

 いざピッチに立つと、セーブすることができない。
テクニックの高い選手なら、あしらう様なプレースタイルも可能なのでしょうが。

 私は、自分自身が上手い選手ではないのは、痛いほど分かっている。
どうすればチームに貢献することが出来るのか?
自分の持っている全てをグラウンドに落としてくる。
それが、試合中に考え行動する全ての指針となっています。

 当然、試合に出て翌日は、疲労もどーーんと蓄積してしまいます。
何もしてなくても、息が切れ、動悸がします。
脈拍が普段よりも明らかに速いのです。
全く回復していないことが分かります。

 
 この状態があまりに続くと、オーバートレーニング症候群と呼ばれる状態に陥ってしまいます。
(ちなみに私のは単純な疲労で、そうではないはずなので・・。)

 回復のサイクルが壊れてしまっている状態。
体が回復しきっていない状態でトレーニングを続けてしまう。
最初は平気でも、徐々に自由に体を動かせない。
そして、日常生活でも疲労が抜けない。
最後には、不眠やうつ状態にまで陥ってしまう。

 Jリーガーでも、セレッソの森島選手に、レッズのアレックス選手。
鹿島の内田選手にエスパルスの市川選手。
多くの選手に発症しています。
彼らに共通するのは、たくさん走る選手であること。
サイドを激しく上下するアタッカー、中盤からどんどん飛び出していくプレーヤー。

 このオーバートレーニング症候群。
重症になってしまうと、一年近くも回復に要することもあるそうです。
そうなる前に、まずはサイクルが上手く循環しているかを確認しなければなりませんね。


 そのポイントとなるのは、体重と脈拍。
体重計に毎日乗り、急激な変化が無いかを確認。
脈を測るのは、朝起きた時が良いようです。
一分間で10も増えていたら、兆候が出ているサイン。
回復に努めるべきです。

 運動→栄養→休養→・・・・・・。
体を動かすことだけが、トレーニングではない。
競技力向上のためには、栄養摂取や休養も、同じくらい大切。
質の良い睡眠に、バランスのとれた食事。
そしてまずは、毎日体重計に乗ることから。
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2008年02月29日

ブラジル人の身体を流れるもの

 ブラジル人の体を流れるといわれる、サンバのリズム。
日本人の身体を流れるのは、なんだろう。


 ブラジルの名選手からあふれ出てくる身体の動き。
これをジンガと表現するそうです。
この、ジンガと呼ばれる、独特の動き。
日本で生まれ育った私では説明が難しい。
なんとなく理解しているものの、本質を理解できているかは甚だ疑問です。

 言葉を借りて、説明に換えます。
「ブラジル人は誰もがジンガを持っている」
「ブラジルサッカーが世界最強なのは、ジンガのおかげ」
「ジンガは幸せをもたらしてくれる」
「ジンガは身体を抜いて揺らす」
「リラックスさせながら、何かをしようと考えながら歩く」

私自身、何となくしか理解できていないため、拙い文章になってしまっています。 
ともかく、ブラジルのサッカーは世界最高峰のレベルを保ち続けている。
フィジカルを重視する近代サッカーの中でも、高いテクニックをベースとした攻撃的な試合を志向。
その秘密の1つが、ジンガだそうです。

 日本に無いものを追い求めても、空想にしか過ぎない。
我々は、どうすればいいのか?
身体に染み付いていない、サンバを踊り続ければ、いつかはブラジル人になれるのか?
私たちの体や心の奥底に流れるものは何なのか?

 ブラジル、特にリオデジャネイロ州の人々でいうところのサンバ。
日本人だと盆踊り、演歌に民謡だろうか。
そもそも我々の奥底に音楽は流れているのかすらも、確信はない。
それを聞いたからといって、フットボールにはつながりそうもない。
私の悩みは深みにはまってしまっています。


 「ジンガ」という本を読み終えたばかり。
2年ほど前には、映画も上映されていました。
その書籍版。
私の大好きな映画であるので、この本も見つけるやあっという間に読み終えました。
その世界にどっぷりとはまって行くのが心地良い。

 登場人物の1人で、映画にも出て来る、ロマリーニョ。
彼のプレーを見てると、あまりに高いテクニックを有している少年。
感想もすら無く、ため息しか出てきません。
彼らを見ていると、これがジンガを持つということなのか!?
想像だけはどんどん膨らんでいきます。

 悲しい気持ちにもなりました。
私にはもちろんそんなプレーなど出来ない。
こんなプレーをする日本人もお目にかかったことがない。

 そして、前向きな気持ちにもなれました。
だったら、どうすれば、あんなプレーを出来る選手を育てられるのだろうか?
あきらめるだけなら誰でも出来る。
ならば!?


 この本の最後に書いてあるフレーズ。
少しは、ジンガの謎解きになるのでしょうか。
「ブラジル人が誰もが持っているブラジル特有の動き、バランス感覚、そして生き方でもある」
そうか、彼らにとってサッカーやフットサルは、生きることと同義語。
だから、我々の頭では理解しきれない部分が多いのかもしれませんね。


 この文章をお読みの皆さんも、一度ジンガについて考えてください。
DVDも出ていますし、本も発売されていますよ。
世界を見れば、自分達のことで気づくことも出てくるでしょう。
私のように、深みにはまってみるのも、面白いかもしれませんよ。

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2007年12月28日

プレーヤーの視点から

 3日間の指導者講習会が、無事終わりました。
ひたむきにトレーニングに励む、全国から集まった少女たち。
 慣れない環境にもめげることなく、課題に積極的に取り組んで行きます。
 彼女たちの姿を見学させて頂き、新たなパワーをもらいました。

そんな指導者講習会ですが、オフィシャルの行事は、夕食前までしかありません。
が、その後に自主的に開催される、親睦会。
宿舎を同じくした指導者同士のコミュニケーションの場になるのです。
お酒も交じるので、一気に打ち解けていきます。
旧知の方との再会もあり、和やかな雰囲気で時間が過ぎていきました。

 そんなメンバーの中に、現役プロプレーヤーの小林成光選手もおられました。
主に、FC東京で活躍。
今は、JFLの栃木でプレーされているそうです。

 彼と様々な話をする時間に恵まれました。
 ・指導者のライセンスは選手会の補助で取得したものの、あまり活用出来ていないこと。
 ・29歳と言う年齢になり、コンディションの維持が難しくなったこと。
 ・30歳を過ぎて現役を続けている選手を心から尊敬していること。
 ・本当は甘いものが好きだけど、シーズン中はガマンしていること。
 ・太りやすい体質なので、体重管理には気が許せないこと。

ふと、彼の席に目をやると、その言葉にはウソがありませんでした。
揚げ物には全く手をつけていません。
さらに、お酒も乾杯程度にとどめているのです。
10年以上プロの世界で生き抜いていくには、こういったことが必要なのか。
改めて、思い知らされました。

 そんな小林選手と、今回のナショナルトレセンU−15女子について語り合いました。
そこでの論点、内容はやはりプロのプレーヤーならではのものが多く含まれていました。
私も彼も、2人とも南米のサッカーに関心があることから、話は深く進んでいきました。
その一部をご紹介します。

・インサイドで止めて、インサイドでパスの繰り返し。
このプレーが果たして、高いレベルの試合で通用するのかどうか。
守備側も読みやすいプレー。
いくらボールと人が動いても、追い込まれてしまうのではないか?
小さいフェイントを入れる、アウトや浮き球を駆使する。
そういった工夫が入らないと、厳しくはないか。

・身体を自由にコントロールできない。
今!という瞬間にキュッと止まる、方向を変える。
この動きが出来ていない選手が多い。
筋力不足、ステップワーク・調整能力の未熟さなど。
いくつかの理由が考えられる。
ただ、この動きが出来ないとサッカーにならないのではないか。
いくら、ボールコントロールが上手くても、・・・・。

・目の前の選手にいかにして打ち勝つか
どんなに技術が向上しようと。
どんなに戦術理解度が向上しようと。
目の前の選手に打ち勝っていく。
この積み重ねがサッカーの前提なのではないか?
今回はそういう部分を、残念ながら感じることが少なかった。

 そんな小林選手。
指導者同士での試合形式のひとコマです。
参加者は、熱く真剣に取り組んでいました。
そうは言っても、彼は現役のプロ選手。
回りに気を配って、引き付けてはパスを繰り返していました。

ところがです。
1点差で負けて、残り5分。
どんどん、ドリブルで仕掛け始めました。
身体を自在に動かしなら、前に進んでいきます。
ボールタッチに強弱や方向、イン・アウトの変化をつけ続けます。
DFは成すすべなく、何人も抜かれていってしまいます。
最後は、GKまでも手玉に取り、ゴールを決めてしまいました。

その時の話をすると、少しはにかむ様なそぶりで、
「やっぱり俺は負けず嫌いだからね」
「ああいう試合でも負けたくないと思うよ」

負けず魂を持った熱い小林選手。
まだ、プレーヤーとしてこだわっていくそうです。
彼なら将来いい指導者になれるだろうな。
そちらの方面もいい資質を持ち合わせているな。
そう感じました。

 小林選手と交わした意見。
自分の中に、新しいフォルダとして保存することが出来ました。
いつか、私の現場で発揮することがあることでしょう。
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2007年10月30日

必ず壊れる

 スポーツをすると、身体は壊れる。
スポーツでなくても、重たいものを持ち上げたり、同じ動作や姿勢を続けるだけで身体は壊れる。
毎日のように運動の習慣があっても、たまに身体を動かす程度でもそれは同じ。
筋トレを始めとしてトレーニングは、身体を壊して修復する作業の繰り返し。
これは、概念的な話でなく、身体の内部で実際に起こっていること。

負荷をかけて(重たいものを動かしたり、持ち上げる動作)トレーニング。
これによって、筋肉が破壊されます。
それから「24〜48時間」かけて徐々に修復されます。
トレーニング後は筋肉が破壊されてしまうので、トレーニング前よりも筋肉の総量 は減少します。
ところが、適切な時間休息を与えることで修復され、トレーニング前よりも大きな筋肉になるのです。
このように、運動→休息→運動のサイクルを作り上げる。
このサイクルが、フットボールプレーヤーの身体に作り上げられていくでしょう。

もう1つ大事な要素は、運動の後出きるだけ早く(30分!!以内に)栄養を補給すること。
このように、壊れた筋肉や骨の原材料を身体に送りこむ。
身体の原材料となる、たんぱく質(アミノ酸)や各種ビタミン、カルシウムなどのミネラル。
運動→栄養→休息→運動・・・・。
このサイクルがきちんと回っている間は、身体が自由に動くでしょう。
体を動かすのが楽しい、ボールを蹴るのが楽しい。
そんな充実の時間を送ることが出きるはずです。

 ところが、このサイクルにひずみが出てくることがあります。
充分な休息をとることなく、次の運動に入ってしまう。
または、運動後の素早い栄養補給が出来なかった。
もしくは、休息を取りすぎて、サイクルが間延びしてしまい、運動効率が落ちてしまった。
これらの原因が考えられます。
どれ一つ欠けたとしても、身体は悲鳴を上げていきます。
急激に来るかもしれないし、ゆっくりと身体を蝕んでいくかもしれない。
この時に、自分のサイクルを見つめ直す必要が出て来るのです。
運動量は適正か?
栄養は摂れているか?
休息時間はどうなのか?
もしかすると、そもそもこのサイクルを意識していない方も多いのかもしれません。

週に数度身体をいじめる人間は、このサイクルが上手く行っているかどうかをチェックするべきだと考えます。
そうしないと、楽しいはずのフットボールやスポーツが、身体を痛めつける作業に変質してしまうからです。
若い内には無理がききます。
それも、今のうちだけです。
歳を重ねていくと、無理がきかなくなり、古傷に悩まされる結果となりがちです。
一番簡単なチェック方法は、体重を毎日量ること。
しかも決まったタイミングで。
太った、やせたではなく、自身の変化を知ることが目標。
他のチェック法も挙げておきます。
全身のストレッチして、身体の変化を知る。
便の回数や量、質を確認して、体調を推し量る。
他にも、食事の量や、寝起きによっても自分をチェックすることが出来るでしょう。

 私の身体も、悲鳴を上げているようでした。
体重が減少し、身体の右側に固さがみられました。
さらには、原因不明の頭痛まで数日続いているのです。
今日思い立って、身体のメンテナンスに出掛けて来ました。
初めて診てもらう治療院でしたので、不安を抱えての通院でした。
どこの誰とも分からない人間に身体を触られるのは、抵抗がありませんか。
まずは、自分の症状や生活をしっかりと伝えることで、特性を分かってもらおうとしました。
同じ年代の院長は、真摯な姿勢で私とのコミュニケーションを図ってくれました。
90分以上に及ぶ、問診と治療。
治療院を出たときには、体調も改善していました。
ただ、ここでの治療が本当に自分の身体に合っているかを知るには、少しの時間が必要。
治療の後には、反作用のようなものがしばしば出てくるからです。
もう、2・3日自分の身体を普段よりも細かくチェックしてみようと思います。
皆さんの身体のサイクルは壊れていませんか?
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2007年10月09日

体 技 心

「体 技 心」
プロゴルファー青木功氏の言葉です。
40年以上もプロゴルフの世界で戦いつづけている青木功。
世界のAOKIとも呼ばれる青木プロ。
長年の功績が見とめられ、世界ゴルフの殿堂入りを日本人ではじめて果たしています。
最近は、プレーよりも解説などで登場することが多いようですが。
まだまだ、現役のプロゴルファー(1942年生まれ)です。
フィジカルのコンディションを整えるために、厳しいトレーニングを実行。
プロで戦える身体をキープしているようです。
そんな彼が、常々言いつづけている言葉がこの「体 技 心」なのです。

その真意は、いくら健全な「心」があっても、「体」が丈夫でなければ、「心」を活かせれない。
健全な「体」を作る努力が出来れば、自ずと健全な「心」が宿ると信じているからだそうです。
体を作るための努力は確かに大変です。
トレーニングの時間を作るためには、何かを犠牲にしなければならない。
恋人や友人との楽しい時間や、家族とのくつろぐ時間かもしれない。
また、ウェイトをキープするためには、食べるものにも気を遣わなければならない。
ビールや炭酸飲料では、健全な体は作れない。
揚げ物や味の濃いものを摂りすぎると、これまた体を作れない。
分かっていても、自分を甘やかしてしまう。
こうした欲を乗り越えて、健全な体を作る努力を続けて行く。
確かに青木プロの言う通り、健全な心も共に形成されそうです。

 2006年度の青少年を対象とした運動能力テストの結果が発表になりました。
調査が開始された20年前と比べると、児童の運動能力は大幅に低下しています。
ただ、ここ10年の低下は鈍化しているとのこと。
「子供達に運動の少ないライフスタイルが定着した」
「運動量は昔に比べると少なくはなったが、ゼロになるわけではない」
「様々な取り組みもあり、現在はこれ以上は大きく下がらない可能性がある」
とはいえ、50M走は0.2秒遅くなり、ボール投げは4M短くなっています。
足は遅くなり、ボールは投げれない。
ところが、身体だけは大きくなっている日本人。
11歳の男子で当時より身長は2センチ高く、体重は2・5キロ重くなっています。
大きな身体を自由に扱えず、もてあましている様子が伺えます。

先生方に現場の声を聞くと、児童の運動能力には2極化が進んでいるようです。
サッカーや野球のクラブチームや少年団で活動する児童。
彼らは、体を動かすのも得意で、運動も大好き。
数10年前と比べても、劣ってはいないとのことです。
その一方で、いわゆる「もやしっ子」
ドッジボールや鬼ごっこで骨折してしまうような児童。
つまづいて転んでも、手すらつくことのできない。
つまり、普通の児童が減っていってる。
こんなところでも格差があるようです・・・。

それは今回の統計にも表れています。
毎日運動をする児童と、運動をほとんどしない児童。
彼らの運動能力テストの結果の差は、明らかにこの20年で広がっています。
ボール投げ(約3M→8Mの差に)
50M走(約0.3秒→0.6秒の差に)
そして、運動部やスポーツクラブに所属している児童と所属していない児童。
この二者を比べると、全ての項目で所属している選手が上回っているのです。
数値だけを見て、低下傾向に歯止めが掛かったと浮かれていてはならない。
運動習慣のない児童の状態は、危機的状況なのではないか!?

つまり、日常生活を送るだけでは健全な身体を形成できないのです。
私にも、4歳になる息子がいます。
やはり、周りの運動環境は貧しいものです。
3歳になる前から、スポーツクラブが主催する体操教室に通わせています。
そうでもしないと、テレビやおもちゃとしか遊べれない。
おかげさまで、息子は楽しそうに走りまわって、活き活きと身体を動かしています。
お金を払って、体を動かす「場」に入れる。
私の子供のころなら、考えられない。
時代に合わせていかなければならないとは言え、寂しさを感じます。

この傾向は、何歳になっても変わらないようです。
50、60,70歳台になっても同じ。
スポーツクラブなどで定期的に運動しているかいないかが、運動能力を決めるのです。
ただ、この年齢層では、運動能力テストの点数は向上しているのです。
スポーツクラブなどを利用して、週に1度以上運動するようになってきているのです。
そして、運動する習慣が定着していっているのと比例するかのように運動能力も向上しています。

 身体を動かす喜びを小さいころから当たり前のように持っている幸せ。
何歳になっても身体を動かすことが出来る喜び。
ここが土台にあるからこそ、日本でフットボールが発展していく。
その土台作りのお手伝いをさせてもらっていると思えば、さらに自分の仕事を誇りに感じられました。
明日からも、身体を動かして行きましょう!!




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2007年07月31日

骨に異常なければ。

 フットボールで起こる行動は、走ること、蹴ること、跳ぶこと。
それに加えてぶつかり合うこと。
非常に激しいスポーツですよね。
フットボールによる怪我は下肢、つまり下半身に集中します。
実に、怪我の7割も占める割合。
フットボールは成長期の若者の怪我ランキング、常に3位以内に入っています。
プレーする人口も多いことも原因の一つでしょうが・・。

プレーヤーは、様々な怪我を抱えているものです。
足首の捻挫、ひざの半月板・靭帯の損傷。
さらには、グロウインペインも含まれる、太ももの内側付け根の痛み。
多くのプレーヤーは、これらの怪我と、付き合いながらフットボールライフを送っているようです。

 皆さんもご存知のフットサルネットに、4コマ漫画が掲載されています。
http://www.futsalnet.com/
内容を簡単に紹介します。
医者「ハレてるね、レントゲンとろうか」
主人公「レントゲンに何かうつるのかな?」
医者「(レントゲン写真を見ながら)なにもないね、シップ出すから貼っといて」
主人公「(心の声で)すっごく心配したのにそれだけ?」
主人公「ピキッといったんですよ、何かもっとこう・・」「シップてそんな」
医者「何もない!」「なんで不満なんじゃ」
作者の方は、軽症なのに心配しすぎる主人公を面白く描いているだけなのですが・・。
これを読んで、皆さんは何も思いませんか?

問題なのは、本当にこういった医者が存在することです。
レントゲンでは主に、骨に異常があるのかどうかを調べます。
もちろん一番に疑うのは骨折しているのか!?でしょう。
ただ、骨に異常がないからといって、本当にシップそれだけでいいのでしょうか?
ここまで言うのは、私自身こう言った思いを何度もしているからなのです。
私のクリニックの受講生がトレーニング中に怪我をしました。
対人プレーの最中に、もつれながら倒れ、ひざを押さえてうずくまって起き上がれません。
痛がり方が尋常でなかったので、急いで私の車で病院の救急窓口に向かいました。
都内でもかなり大きめの大学病院です。
さんざん待たされましたが、夜も遅いので仕方がないとあきらめました。
22時過ぎに運び込んで、2時間余りすぎたでしょうか、ようやく当直医に診てもらえる事に。
すると、先ほどの漫画と全く同じことが。
「(レントゲン写真を見ながら)骨に異常がないようです・・・。」
それだけで、シップを渡して家に帰そうとするのです。

私は、その当直医に強く反論しました。
「怪我したのはひざですよ!骨にレントゲンに異常が無ければ、靭帯の損傷を疑うべきじゃないのですか!!!」
「それする全く診ずに、シップを貼って様子を見ろ!?何を考えてるんですか!」
おそらく、この字面の十倍以上もの強さで、反論したでしょう。
私の大事な教え子が、適当な処置をされたのですから。
結局、すぐさま当直医のボスが出てきて、再診断。
ひざを固定し、翌日に再び来るように、となりました。
翌日の診断は、ひざの前十字靭帯断裂!
全治6ヶ月、元通りプレーできるまでには、1年以上かかりました。
それをシップ1枚で済まそうとする医者が世の中に本当に存在するのです。
私の同じような体験は、一度や二度ではありません。

 さらに1つのデータを紹介します。
下肢の怪我の3分の1強は、足関節の捻挫。
つまり、足首や、ひざの靭帯損傷もしくは断裂。
骨に異常が無ければ、次に疑うべきは靭帯の損傷ということですよね。
その時の処置は、R・I・C・E。
R(REST・・・休息)
I(ICEING・・・氷!で冷やす)スプレーやシップではアイシングにはなりませんよ。
C(COMPRESSION・・・局所を圧迫させる)
E(EREVATION・・・患部を心臓より高く挙上)
これらの頭文字を取って、ライスと覚えてください。
特に、受傷後48時間以内のRICE処置が、怪我からの復帰の時間を大きく左右するようです。
プレーヤーも、指導者も最低限これぐらい知識を持っていたほうがいいでしょう。

 明日は、我が身です。
多くの人間を指導させてもらっていますが、怪我の予防をしている人間はごく少数です。
誰もが、怪我をして始めて、体の心配を始めます。
装具を買って身につけたり、病院に通ったり。
充分な準備運動と、活動前後のストレッチ。
足首に巻くバンテージ。
これらを習慣化するだけで、多くの怪我を防げるはずです。
怪我に対する、最高の対処法は予防ですよ。
先ほどの漫画を笑って飛ばせるだけの、知識と予防を。
心が痛い方は、再発予防。
怪我をしていては、フットボールを心からは楽しめないですからね。
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2007年04月27日

もっと太らないと。

 UEFAチャンピオンズリーグ、ベスト4の戦いが始まりました。
さすがにここまで残るチームは、レベルの高さ、チームの歴史を感じます。
テレビを通しても、テンションの高さが伝わってきます。
真剣度が、自国のリーグ戦とは違うとでもいいましょうか。
あれだけの実力者たちが、ハイテンションで激突しあう。
観ていて、面白くないわけがないですよね。

比喩表現でない、本当の意味での激突。
身体のぶつかり合い。
これも、テンションの高い試合だと、その数も迫力もケタが違うように思いませんか。
肉のきしむ音、ぶっとい骨のぶつかる音が聞こえてきそうです。
常人なら、ふっとんで大怪我をしてしまいそうな激突。
彼らは、当たり前のように、その後も平然とプレーを続けます。
「痛いよー」なんて泣き言は聞こえません。
鍛え上げた身体と精神が可能にする激しいプレーです。
それを許している審判のレフリングも助けになってはいるのですが・・。

 ここに、我々の代表である日本人プレーヤーが入ったらどうなるのか?
五分五分でぶつかれば、まず間違いなく、当たり負けをしてしまうのではないか?
そこで、対処法を考えるでしょう。
代表的なものは、次の2つ。
当たる技術(コンタクトスキル)を身につける。
激突しないように、プレースタイルを変える。

もう一つ、大切な考え方があります。
太ることです。
もちろん、ただ太るだけではだめです。
走れなくなりますからね。
脂肪を除いた体重を増やすのです。
これを除脂肪体重といいます。
そう簡単に骨を太くは出来ません。
必然的に、筋肉の量を増やさなければならないでしょう。

 面白いデータをご紹介します。
2005年ワールドユース(20歳以下の世界大会)に出場した日本代表。
ランキングは、23チーム中17位。
もう一つはのランキングでは、23チーム中最下位です。
17位とは、平均身長のランキング。
最下位となったのは、平均体重のランキングです。
これでは、なかなか当たり勝つのは難しそうです。

チャンピオンズリーグベスト4に出場している選手たち。
細身に見える選手でも、体重はしっかりあるのです。
マンチェスターユナイテッドのクリスティアーノ=ロナウド選手。
彼で、184センチ75キロ。
ACミランのインザーギ選手。
かなり細く見える彼でも、181センチ、74キロ。
チェルシーのドログバ選手。
彼に至っては、188センチ、84キロです。
彼らの動きが重たいなんて、思ったことすらないですよね。

そもそも、ヨーロッパ、南米、アフリカの彼らと、私たちでは身体のつくりに違いがある気がします。
彼らは、骨が太く、筋肉もつきやすいのではないか?
たいして、筋トレもしないのに、筋骨隆々のプレーヤーはたくさんいます。
もちろん、民族の持つ遺伝子もあるでしょう。
他にも大事な要素があります。
それは、食事です。
身体の材料となる食事を、いかに充実させるか。
日本人固有の食生活は、健康的に生活するには、素晴らしく適したものです。
ところが、フットボールのアスリート向きかと言えば、そうとは言えない。

 昨年数週間、ドイツワールドカップを観戦してきました。
フランクフルトのホテルを、常宿にしていました。
そこで、素敵な出会いがありました。
その前に住んでいた、ある日本人の家族との出会いです。
毎朝、私がホテルの前で、ボールを蹴っているうちに、仲良くなったのです。
そこには、かわいい男の子がいました。
あまりに身体が大きいので、
「4〜5歳ですか?」
と、お母さんに聞きました。
「まだ2歳なの、数ヶ月で3歳になるのよ。」
笑って、お母さんは教えてくれました。

どうみても、私の感覚では幼稚園に通っているくらいの大きさでした。
「ハムとチーズが大好きでね〜、後はパンかしら。とにかく、たくさん食べるのよ。」
「そしたら、ドイツ人サイズになっちゃったわ。」
身体を作る材料となる、たんぱく質とカルシウム(マグネシウム)、そして炭水化物。
活発でわんぱくな運動。
そして、家ではゆっくり寝ているのでしょう。
これが、ワールドスタンダードな身体を作っていく。
運動・栄養・休息。
このサイクルの充実こそが、衝突に耐えうる身体を作っていくのです。





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2007年04月17日

未来のフットボール。

 世界のフットボールのトレンドとは何か?
4年に一度開催される、ワールドカップ。
UEFAチャンピオンズリーグ。
こういった、大きな大会を通して、今のフットボールの流れを掴むことが出来ます。

そこから映し出される現在のトレンドとは?
「甘えの許されないフットボール」
「攻守共に、誰もがハードワークを求められるフットボール」
一昔前の主流は、チームのスーパースターを活かす戦い方。
1人の王様と、10人の働きアリ。
たった1人のラッキーボーイの出現が、チームを優勝に導く。
ここまで言ってしまっても、極端では無かったでしょう。
ところが、今では、そんな王様はピッチに君臨できなくなってきています。
たとえ王様だろうが、相手からボールを奪うために走りまわり、汗をかく。
そして、長い距離を走ってでも、ゴールを目指していく。
それが、今のトレンドであると言われています。

その結果、未来のフットボールの形はどうなるのか?
桁違いのフィジカルの能力。
優れた戦術遂行能力。
こう言った部分がさらに強く求められるのではないか。
もちろん、技術軽視に警鐘を鳴らす指導者や元名プレイヤーも多く存在します。
ボールを止める・蹴る・運ぶの技術はベースとして必要なものでしょう。
それでも、より高い体と頭とがさらに重要になっていくのではないか。
これが、現在の共通の認識と言えるのではないでしょうか。

 その一方で、私は、先日ある仮説を立ててみました。
未来のフットボールのトレンドについての大胆な仮説です。
今のトレンドとは、真反対とも言える結論が出てしまいました
「技術レベルの高いチームが優位に試合を進める」
「かつ、暑さへの耐性を持った人種を多く抱えるチームは、さらに有利に進める」
逆の言い方をすれば、今のトレンドは、過去のものになるのではないか?
「攻守共にハードワークすることは求められない。」

この仮説に至ったのは、あるニュース番組からです。
根拠となったニュースを簡単にご紹介します。
スーパーコンピューターに、未来の気象をシュミレーションさせた。
その前提となるデータは、極端なものでは無い。
様々な予測の平均値を採用したとの事。
さて、2040年の東京。
年間の平均気温が、現在よりもさらに+3℃。
年間の5ヶ月(143日)が夏。
熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以下にならない)は57日間を記録。
最高気温35℃以上の日が、21日間も記録される。
35℃という気温は、人間にとって体温調節が難しくなる気温だそうです。
血液の濃度が濃くなり、熱中症にかかる人間。
さらには、脳・心臓といった、循環器系の病気にかかる人間が多発する。

本当に、そんな現象が起こるのでしょうか?
実は、2003年のヨーロッパで起こっているのです。
未曾有の熱波が襲いました。
特に被害がひどかったのは、フランス。
連日、35℃を超える日が続きました。
最初は甘く見ていたようですが、日にちを重ねる内に、想像を超える事態に。
暑さのせいで人が次々と亡くなり、ピークである9日目だけで2000人もの死者が。
遺体安置所が足りない、それほどの悲劇。
20日間続いた熱波で、1万5000人もの方が、フランスだけで亡くなった。
ヨーロッパ全土での死者は、5万2千人!!だそうです。
今回のスーパーコンピューターの予測は、この2003年を遥かに上回っていますよね。
一体どうなるのでしょうか・・・。

暗い話になってしまいました。
2040年がどうなっているかは、実際のところは分かりません。
ただ、気温が上昇しているのは、間違い無いでしょう。
そんな30℃を越える中で、まともなフットボールは出来るのでしょうか?
少なくとも、走り回り続けるのは不可能。
結果として、ボールに対するプレッシャーは甘くなる。
いや、プレッシャーを与えたくても、体がもたない。
ボールへのプレッシャーが緩くなるのであれば、技術を発揮しやすくなる。
さらに、暑さに対して耐性を持っていないと、連戦を乗り切る事はできない。
これが私の仮説の根拠です。

もう1つ加えるならば、
「キックの能力とヘディングの能力がゲームを左右する。」
暑いピッチの中では、前線から守備を続ける事は難しい。
ゴール前を固める守備が多くなってくる。
そこで求められるのが、サイドアタックとミドルシュート。

この仮説がどうなっているか?
検証は30年後になってしまいます。
まずは、少しでも地球に優しい生活を。

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2006年10月03日

ケルンでの衝撃

 高い身体能力。
ブラックアフリカのチームを語る時に、必ず出て来る枕詞です。
高い身体能力とはなんなのか?
人によって、違う感じ方をするでしょう。
例えば、足が速いのもそうでしょう。
接触プレーに強いのもそうでしょう。
ただ、足が速いと言っても、マラソンランナーもいれば、100Mの短距離ランナーもいます。
5M・10Mが速いアメフトのランニングバックもいます。
また、何回100Mを走ってもスピードが落ちない、スピード持久力を持った選手もいます。
サッカーが上手い。
ドリブルが上手いのか?キックが正確なのか?
それとも、ポジショニングに優れているのか?
この言葉も、人によって感じ方が違いますよね。

私は、ガーナの真剣な試合をケルンで観戦しました。
ドイツワールドカップグループリーグ、チェコ対ガーナです。
チェコが前の試合で、素晴らしいパフォーマンスを見せました。
ダークホースとも呼ばれた、アメリカを3対0で圧勝したのです。
サイドアタックあり、華麗なパス回しあり、ミドルシュートあり。
さらには、前線から中盤にかけて、守備から攻撃の切り換えの速いこと。
戦術・技術が高いレベルで融合され、完成されたチームだなと印象を私も持ちました。
誰もが、チェコが大会のメインキャストの一員に名乗りをあげたと思った試合でした。

そのチェコを、簡単に撃破したガーナ。
私は、この時のガーナのパフォーマンスに衝撃を受けました。
素晴らしいのは、ボールへの執着心です。
相手ボールに対する、異様なまでの寄せの速さ。
ルーズボールに対して、トップスピードで競り合っていく執念。
空中での競り合いでの強さ。
チェコは、ガーナに対して恐れを抱いたに違いありません。
中盤でのパス回しをほとんど放棄してしまったのです。
1トップのログベンツにロングボールを入れ、セカンドボールを狙う。
こんな展開ばかりでした。

 ガーナのボールへの執着心・競り合いの強さを体現させていたのは、身体の使い方がポイントでした。
彼らは踏ん張って動いていないのです。
スライディング、ショルダーチャージ、ジャンプヘッド、ダイビングボレー。
不安定な状態でも、身体を上手くコントロールしてプレーしているのです。
特に、空中での身体のひねり方、伸ばし方。
空中に飛び出してから、もう一度上体を動かし、新たな体勢を作り直すことが出来るのです。
体幹を鍛え、身体のバランスを整える。
そして、腕、足、を使って、空中での2次動作を行なう。
口で言うのはたやすいですが、実際にプレーするのは非常に難しいものです。

いわゆる、身体能力を身に付けるためのトレーニングは、フィジカルトレーニングで行なわれます。
最近の流行りは、ボールを常に使った状態でのフィジカルトレーニングです。
その理由は、フットボールは、陸上競技ではない。
ボールを使ったスポーツなので、ボールを使ってトレーニングをするのは当然。
こういった考え方に基づいています。
この種のトレーニングでは、プレーヤーを飽きさせる事無く、体力の向上を図る事が出来ます。
ただし、欠点もあります。
残念ながら、このトレーニングを通じて、身体を巧みに動かす能力を向上させることは難しいのです。
もし、ガーナ選手の動きを身に付けたいのならば、器械体操に取り組む必要があるでしょう。
器械体操の世界では、当たり前のように行なわれています。
自分の身体を意のままに操る。
地面でも空中でも、思ったとおりに身体を動かしていく能力。
これを巧緻性といいます。
ケルンでの衝撃のポイントは、異常に高い巧緻性でした。

そんなガーナの弱点を幾つか。
・中盤の守備は非常に強い。ボールを中心にした守備は素晴らしい。
 が、最終ラインでは、ボールへの意識が強すぎて、マーキングのミスを犯しやすい。
・ドリブル突破に対して、意外なもろさを見せる。
・攻撃に迫力はあるものの、シュートの精度が低い。
逆にガーナの強さは。
・相手ボールを奪ってからの速い攻撃。  
 攻守の切り換えが本当に速い。
 マイボールだと油断していたら、あっという間にゴール前まで襲い掛かられている。
・ボールに対する強さ、執着心



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2006年05月05日

衝撃のスパイク。

 ワールドカップを前にして気になるニュースが入ってきます。
活躍が予想される選手の怪我のニュースです。
中でもイングランド代表が心配です。
主力の、オーウェン・ルーニー・Aコールら3選手。
彼らが、足の甲を骨折してしまいました。
http://www.tahara-seikei.com/977.htm
日本代表、柳沢選手も同じ箇所の骨折。
http://www.tahara-seikei.com/977a.jpg
ちなみに、この部分だそうです。
いずれの選手も足にタックルを受け、中足骨骨折。

 私の手元に、2006年最新スパイクモデルのカタログがあります。
ナイキ・アシックス・プーマ。
トップ5に入るであろう、メーカーの一番の売りはスピード。
スピードを出す為、軽量化を図ったモデルです。

私も、軽量化されたスパイクを試し履きしてみました。
確かに、軽いのです。
履いて動くと、素足に近く、驚くほど軽いのです。
ただ、ボールの衝撃は大きく伝わってきました。
キック・ボールコントロールの瞬間、叩かれたような衝撃。
軽量化と引き換えに、足を保護する機能を失ったのでしょうか。

朝日新聞では、今日のスポーツ欄で次のコメントを掲載していました。
「中足骨骨折は最近増えているようだ。
 因果関係を証明するのは難しいが、
 シューズの軽量化や靴底の形状と無関係とは思えない」
国際サッカー連盟スポーツ医学委員の慈恵医大、大畠襄客員教授。
posted by プロコーチ at 23:48| Comment(0) | TrackBack(2) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする