2014年06月18日

日本と世界との差

 ザッケローニ監督の采配が批判されています。

選手が伸び伸びとプレー出来ていなかった。

後半交代で入った、遠藤選手のプレッシャーが甘く、クロスを簡単に上げられた。

左サイドがうまくいっていなかったのは事実ですが、遠藤選手の緩慢なアプローチにも原因があるはず。

さらには、切り札である大久保選手の投入が、何度もストップが掛かり、ためらわれた。

そして、不可思議なポジションの変更。

イラついた表情で、コーチと話し込むザッケローニ監督の表情が印象に残ります。

その一方で、コートジボワールのドログバ選手が投入されて、一気に流れが変わった。

ベンチワークが、勝敗を分けたのではないか?!

果たして、問題の本質はそこでしょうか・・。





 私には、2つのシーンが思い浮かびます。

1つ目は、2006年ワールドカップのイタリア対オーストラリア。

カイザースラウテルンで行われたこの試合を、スタンドで観戦していました。

オーストラリアの善戦が印象的なこの試合。

グロッソ?がもらったPKでの1点を守りきったイタリアが勝利しました。

怪しいPKでしたが、私が忘れられないのはこのシーンではありません。

後半早々に、イタリアのDF、マテラッツィ選手が退場してしまいます。

すると、何事も無かったかのように、守備的MFのガットゥーゾ選手が最終ラインに入りました。

ベンチの指示は、まだありません。

選手たちは、ベンチを伺う様子もありませんでした。

控えCBバルザーリが投入されるまでの数分間の出来事でした。

選手たちが自主的に行動し、チームの危機を救いました。

CBが一発レッドで退場になっても、全く動じず、ベンチの指示すら仰がず、試合を進める。

選手の個々が、チームの最大限の利益を考えて行動することができる。

この時のイタリア代表は、真の名手たちの集団でした。








 もう一つのシーンは、今回の開幕戦です。

ブラジル対クロアチア。

クロアチアが、下馬評以上の、素晴らしい試合を展開していました。

11人が集団として、規律正しく動く。

最終ラインの選手も、技術が高い。

前線の選手も、守備のために走り、マイボールになった瞬間飛び出していく。

統制の取れた、好チームでした。

そして、その好チームに、幸運が舞い込みました。

ブラジル・マルセロ選手のオウンゴールによる、先制点です。








 勝利を宿命づけられた開催国ブラジル。

先制点を奪われて、どうするのか?と観察していました。

前線に枚数を割いて、一気に攻勢に出るのか?!

そうではありませんでした。

攻勢に出るどころか、試合のペースを落とそうとしました。

ボランチが一枚最終ラインに入っていきます。

さらにもう一枚のボランチも、最終ラインのすぐ前まで下がってきます。

重心を後ろにかけて、パスを後方でゆっくりつなぎます。

ゆっくり、ゆっくり、まるで勝っているチームが時間稼ぎをするかのように。

まるで全員が、分かっているかのようでした。

「今は、焦る局面ではない、落ち着くところだ。」

観客も、ペースダウンを許していたのではないか。

煽ることをしていないように感じました。

これも、ベンチからの指示ではなかったでしょう。

選手たちが、自ら試合の流れを読み取って、試合のペースを落とした。

一人が勝手に思いついたのではなく、ピッチ上の選手全員が流れを読み取っていた。








 先取点を上げたあとの日本代表は、どうだったでしょうか。

先取点は、試合で大きな流れをつかめるはずです。

不用意に攻めることなく、守りを固める。

相手に攻めさせておいて、自陣におびき寄せる。

そして、ミスを逃さず、一気にカウンターを仕掛け、追加点を重ねていく。

先取点を奪ったチームの王道とも言える試合運びです。

ところが、日本代表の試合運びは、0対0の時も、先取点を奪ってからも変わりませんでした。

まるで、1対0の勝利では、次のラウンドに進めないノルマがあるかのようでした。








 優勝を何度も経験している、イタリアとブラジル。

フットボールの歴史も、国に根付く深さも、世界有数です。

その2カ国と、日本とを比べるのは、まだまだおこがましい。

ただ、参考になる部分は、大いに持っているはずです。

選手の個々が、試合の流れを読んで、有効なプレーを表現する。

そのような姿を目の当たりにできることだけでも、ワールドカップには価値がありますよね。
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2014年06月16日

ブラジルワールドカップ開幕

 ブラジルでワールドカップが開幕しました。

数大会前までは、世界最高峰の博覧会も兼ねていました。

ワールドカップで、今後のフットボールシーンのトレンドが決まる。

情報化が、今ほど進んでいない時代には、ワールドカップこそが全てであり、最高峰。

今では、その役割はUEFAチャンピオンズリーグに、奪われつつあります。

それでも、普段はあまり目にすることが出来ないスタイルが一堂に会します。

南米、中南米にアフリカの試合。

ヨーロッパこそが最高だ!

いやいや!南米の底力は侮れない!








・開幕戦での基準

日本の西村さんが、開幕戦の主審を務めました。

前回大会の、3位決定戦での主審に続き、大役を任されました。

日本人として、なんとも誇らしい姿でした。

ところが、あの判定で、風向きが怪しくなっています。

ブラジルの決勝ゴールとなった、あのPKの判定です。

PKを取られたクロアチア側、そしてヨーロッパ側からは、誤審だ!との声が上がります。

さらには、南米人特有のダイブ!に騙された、哀れな日本人レフェリー。

ブラジル側からは、ただ、ただ、ありがとうと。








 実際は、どう考えるべきなのか。

間違いなく、クロアチア・ロブレン選手の左手が、ブラジル・フレッジ選手の肩を掴んでいます。

そして、右手も同じように掴んで、動きを妨げています。

あそこまで、転げまわるような力で掴んでいたとは思えませんが、、。

多くの論調は、あれくらいでPKは厳しいとの声です。

おそらく、その声を上げているひとは、知らないのではないでしょうか。

手や腕の不正使用、つまりホールディングは、程度に関係なく反則にあたるという事実を。

例えば、チャージやタックルは、不用意に、過剰に、無謀に行ったかどうかが問題になります。

(不用意に…反則、過剰に…イエローカード、無謀に…レッドカード)

つまり、どのように行為が為されたが、見極めるポイントになるのです。

ところが、ホールディングに関しては、行為そのものが、反則になってしまう。

(ちなみにJFAの講習会で、この内容をかなり上級の審判の方がこの話をした時、会場はどよめきました)

(コーチであっても、この認識は持っていないということが分かります)






 そしておそらく、審判団に対して、FIFAからお達しが出てたはずです。

「手や腕の不正使用を厳しく取るように」という内容のお達しが。

これは、あくまでも私の推測ですが。

それを、言われたとおり、キッチリと西村レフェリーは裁いたのです。

サポーターのプレッシャーに負けて、吹いてしまった笛ではないと思います。

ジュリオセーザル選手に対するファールも、ジャンプする前の腕の不正使用でした。

その一方、ノーマルフットボールコンタクトに対しては、寛容でした。

ブラジルの3点目のキッカケとなった、ラミレス選手のどぎつい当たりは、ノーファール。

目の前で見ていたでしょうから、見落としでは無いと思います。






 この基準は、グループリーグ中は変わらないと思います。

変わるとしたら、グループリーグ後。

そこで、審判団が再度選抜されるはずです。

今回のワールドカップでは、25人の主審がエントリーされています。

そこから、対戦カード、大陸などを勘案して、審判団が割り当てられた行きます。

選手たち代表チームが、厳しいコンペティションをしているのと同じ。

審判団も、パフォーマンスが悪ければ、次の割り当てが回ってこない。

大きなジャッジミスをした審判団はもちろん言うまでもありません。

今後、重要な試合を、西村レフェリーに割り当てるかどうか。

割り当てられたかどうかで、あのジャッジが正しかったがどうかが分かります。

もちろん、FIFAの判断にしか過ぎませんが。







 今大会、そして、世界的に、この流れが強くなっていくはずです。

手や腕の不正使用に対して、厳しい目が向けられます。

正しい使い方をすれば、自分やボールを守ってくれます。

ところが、誤った使い方を覚えてしまうと、自分の首を絞めてしまう。

改めて、思い知らされた瞬間でありました。
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2014年06月06日

C組2.5位。

 まさかのグループリーグ敗退!?

2006年のドイツワールドカップでは、日本は1勝も上げることができず、敗れ去りました。

黄金世代と呼ばれた、1979年生まれの選手たちが、27歳。

若い頃から期待され、結果を残してきた彼ら。

経験も積み、活躍するには最適な年代。

アジアでの結果、欧州遠征での好結果、アジア最終予選での勝ち抜け。

ジーコ率いる代表チームに対する、大いなる期待で、日本は包まれていました。

私も、現地で、日本代表の試合3試合すべてを観戦しました。








 ところが、開幕戦を逆転負けで落としてしまう。

そしてそのまま、0勝2敗1分け。

グループ最下位、、、。

ジーコに責任がある。

コンディショニング調整に失敗した。

初戦、2試合目の試合の時間帯が、暑かった。

敗因として、様々なことが言われました。









 まさかの惨敗。

この結果は、意外なものとして伝えられていました。

日本では。

グループリーグ突破は当たり前。

シドニーオリンピックのように、ベスト8も行ける!

それが前評判でしたから。

中田英寿、中村俊輔、高原に小野、稲本に小笠原。

日本過去最高のタレントを擁して、堂々と臨んだ大会でした。









 この結果は、予想通りの展開だったそうです。

世界のブックメーカーが、毎回予想を立てます。

賭け事を取り扱う会社です。

彼らも商売でやっているので、真剣に情報を収集し、分析します。

そのオッズは、かなり参考になります。

日本、オーストラリア、クロアチア、ブラジル。

残念ながら、日本は、グループリーグ敗退の本命チームでした。

日本がグループリーグを敗退する方に掛けても、1,3倍にしかならない。

それが、世界での評価だったのです。









 さて、今回のブラジルワールドカップでの評価はどうでしょうか。

ブックメーカー各社のオッズを見てみます。

それによると、日本が入ったC組は、1強3弱。

コロンビアの突破は、ほぼ決まり。

残る1枠を、日本、コートジボワール、ギリシャで争う。

その中でも、ギリシャは少し劣勢。

日本とコートジボワールの評価が、拮抗しています。

つまり、コートジボワールが最大のライバルであることが言えます。

1位コロンビア、2・3位日本・コートジボワール、4位ギリシャ。







 日本が優勝すると100数十倍ものお金が払い戻されます。

この順位は、出場32カ国中、15番目近辺です。

つまり、日本代表は今回、グループリーグをギリギリ突破出来るかどうか。

突破しても、ベスト16で敗退する。

これが、世界の評価(ブックメーカー)です。

ちなみに、優勝候補の筆頭は、開催国のブラジル。

争うのが、アルゼンチン、ドイツ、スペイン。

この4カ国から優勝チームが出る!とのオッズが出ています。









 あくまでも、予想は予想にしか過ぎません。

ワールドカップの度に、最大の驚き!!と形容されるチームが飛び出します。

1990年のカメルーン。

1994年のスウェーデン、ブルガリア。

1998年のクロアチア。

2002年の韓国。

2006年では、イタリアを優勝候補に挙げていた人は少ないはずです。

2010年での、ウルグアイの快進撃は記憶に新しい。

このようなサプライズが起こるから、フットボールは楽しい。
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2014年05月28日

前から8列目

 埼玉スタジアムでの壮行試合を、観戦してきました。
 
ブラジルワールドカップに向かう、日本代表対キプロスとの試合。

仮想ギリシャのキプロス。

とてもクリーンな対戦相手で安心しました。

ワールドカップ前のトレーニングマッチで、怪我をする選手が、少なくないからです。

ドイツ戦での加地、韓国戦でのジダンが思い出されます。

あのケガが無ければ、惨敗した日本、フランスの結果が異なっていたかも?!

そう言う意味でも、いいスパーリングパートナーでした。








 スタジアム観戦で、気がついたことを幾つか。

・W-UPでのステップワーク

試合前に、フィールドプレーヤーのスタメン10人が、ダッシュをします。

これは、どのチームでも定番でしょう。

フィジカルコーチの趣味趣向で、若干の違いがあります。

日本代表のダッシュの距離が、短い。

これは、最近の流れのように感じます。

ヨーロッパのトップチームはさらに短く、3〜5Mのダッシュも、目にします。






特に、面白かったステップワークがありました。

私の不勉強のせいもありますが、今まで、目にしたことが無い形。

とても単純なのですが、90度に曲がるのです。

真っ直ぐダッシュして、目印のマーカー付近で直角に曲がります。

ただこれだけのことですが、試合前に目にしたのは、始めてでした。

スピードを落とさずに、急激な方向転換で、直角に曲がる。

試合で、必ず出てくるステップですので、ありですよね。

その時の、つま先の角度、膝の向きも、測ったように全選手ピッタリ。

ちょうど目の前だったので、惚れ惚れしながら、見とれていました。








・本田圭佑と心中

日本代表の階級社会が、分かりやすく目にできました。

ボールを持った時の第一優先順位は、本田。

多くの選手が、多くの瞬間で、本田を経由して攻撃する意図を感じました。

ところがボールを持った本田から、有効なパスや、ゴールは生まれませんでした。

タイミングが遅く、チャンスを潰す。

シュートは枠を大きく外れるか、コースが甘く、止められてしまう。

我々が期待する、何か特別な仕事をしてくれる、あの本田ではありませんでした。

それでも、ボールは、最後まで本田に集まりました。








分かりやすいシーンがありました。

日本はショートコーナーを、狙っていました。

ショートコーナーを受けに、本田が近づいて行きます。

単純なクロスでは、競り勝つ可能性が低いと考えたのでしょう。

ワンクッションをいれて、角度を変え、タイミングを変える工夫としてのショートコーナー。

定番ですので、ここには問題ありません。

キプロスがショートコーナーを警戒して、2人を配置してきました。

それでも、コーナーの側に立っている本田に、最後まで渡そうとする。







それが、チームのスタイルなのでしょう。

今回のキプロス戦は、本田の低調なパフォーマンスと共に、攻撃もイマイチな試合でした。

最後のパスがずれる、相手を崩しきれない、。

ただし、本田のパフォーマンスが上がれば、日本の攻撃は、一気に好転すると思います。

本田の位置を確認しておく。

本田にボールを渡す。

本田にボールが入れば、スピードを上げ、ゴールを目指す。

彼から、何かが始まるイメージを、皆が共有しているからです。

心身共に、コンディションが高まることを期待します。

高まらなければ、ザッケローニ丸と言うよりも、本田丸は沈没してしまうからです。








・スっと立っている

清武、香川、内田、山口。

彼らは、立ち姿が綺麗でした。

腰から上が、スっと立っている。

そして、お尻が発達しているので、日本人らしくない姿にすら見えました。

意外だったのが、内田。

お尻も発達しているのですが、それが目立たないくらい、体が大きくなっていました。

背中や肩が、思ったよりもガッチリ。

リハビリ中に、体が一回り大きくしたのでしょうか。

彼らの立ち姿を目の前で見えたのは、大きな収穫です。










・ザッケローニファミリー

ザッケローニ監督を中心とした、一つの家族としてまとまっています。

代表チームではなく、一年中ともに時間を過ごすクラブチームの雰囲気すら感じます。

選手の一人一人に対する愛情が、ファミリーの結束を強くさせてくれるのでしょうか。

例えば、クラブで不遇をかこった、香川と本田。

彼らは、さほど良いパフォーマンスをしたわけではないのに、90分起用し続けました。

斎藤や大迫を途中交代で出したほうが、前線は活性化したはずです。

これは、香川や本田に試合勘を取り戻せてあげたい、監督の親心でしょう。

その期待・信頼を2人は感じたでしょう。

本大会までに、コンディションを上げる最大限の努力をするに違いありません。







さらには、怪我明けの選手の起用。

内田、吉田、長谷部、とコンディションが不安な選手がいました。

それらの選手を、無理させない程度で、試運転をさせる。

試合の中で、少しずつ感覚を取り戻していったはずです。

吉田のロングフィードは、その典型と言えます。
 
彼は、40M先であっても、綺麗な回転で、正確なフィードが可能な選手です。

ところが、蹴った瞬間に、首をかしげるほどのミスキック。

私の座っている方向に目掛けて飛んできたので、一目瞭然でした。

距離感もズレ、方向もズレ、回転も汚い。

まったくもって、らしくないキックでした。

同じようなフィードを、それも含めて3本蹴ったはずです。

結果は3本ともミスキック。

なのですが、少しずつ、良いボールに変わっていきました。

試合の中で、修正をすることができている。

おそらく、本人も手応えを感じているはずです。







・コンビネーションプレーでの崩しに頼りすぎではないか

オランダ戦での美しい、本田のゴールを覚えていますか?

ワンタッチとパス&ムーブを繰り返して、相手ゴールに迫っていく。

中央の一番狭いところに、突っ込んでいく。

スペースも狭く、相手DFが待ち構えている。

相手が反応できず、ボールの行き先を追いかけていく。

本当に素晴らしい攻撃でした。

今回のキプロス戦でも、何度となく、この形を出そうとしていました。

ボールを持った選手に、スーーーッと近づいていく。

やや近い距離で、コンビネーションを発揮しようとするためです。







素晴らしい攻撃なのですが、本当に難しい攻撃です。

スペインだろうが、ブラジルだろうが、成功率は高くありません。

技術の高さ、タイミングを合わせるコミュニケーション、相手DFの動きを見極める目。

これらが高次元で融合し続けて、始めて成功する攻撃です。

数試合に1回、この形からゴールが生まれれば、充分スゴイ。

そんなレベルではないでしょうか。





だから、これ以外の攻撃のイメージを共有して欲しい。

特に、サイドから何度も攻めているのに、これ!という形にならない。

改善の余地が大いにあります。






事前合宿のアメリカで、どのような修正が施されるのでしょうか?

メンバーは、どうなるのでしょうか?

私は、ボランチの人選が(山口を使って欲しい)鍵になると考えています。

じっくりと見守りたいと思います。
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2014年01月15日

まだまだ未熟

 最後の国立!!

高校選手権の決勝戦を、スクールのメンバー20名と観戦しました。

当日券も売り切れになるほど、注目度が高い試合でした。

ぎっしり詰まったスタジアムは、特別な空気を醸し出していました。

北陸対決ですから、関東圏のファンは見に来るのか?といった予想は杞憂に終わりました。

高校サッカーファンは、根強くいるようです。







 
 ボールに強くプレッシャーをかけて、高い位置でボールを奪おうとする星稜。

富山第一が中盤を使って、ショートパスで組み立てようとすると、星稜守備陣の餌食。

ボールサイドの足元につないでしまうと、星稜の守備陣は、激しい出足でボールを奪い取ります

加えて、トップとトップ下の9・10にマンマークを付けて、起点も潰そうとしました。

準決勝で、京都橘を倒した、あのやり方です。

成功体験を胸に、決勝でもそれを狙っていたのですが、、、。










 試合が始まると、富山第一の戦略がはまります。

星稜の出方を予想していたのでしょう。

出鼻をくじくようなプレーが続きます。

ボールを持ったら、DFラインの裏にボールをドンドン入れてきます。

特に、サイドバックの裏を狙っているようでした。

星稜のDFラインは大きく弾き返すことが出来ず、ズルズルと下がります。

ところが、先制したのは、星稜。

そして、追加点。

試合は2対0、星稜リードで進みます。











 その大きな理由は、富山第一にありました。

富山第一は、チームの規律を高いレベルで守ります。

チーム全体が常にバランスを取りながら、試合を進めます。

ポジションを守り、選手の勝手な動きはありません。

それどころか、ポジションチェンジもほとんどありません。

相手陣地に攻め込んでも、バランスを取り続けます。

GK,CBの2人、ボールとは逆サイドのSB、ボランチの2人。

GKを含めた6人が、ボールより後ろで待機しています。

こぼれ球に対応できるポジションを取ることで、分厚い攻撃を目指します。

何よりも、攻めていてもボールを取られたことを警戒しています。

富山第一からすると、0対2でリードされた後半残り20分、そして残り10分。

それでも、ポジションを崩すことがありません。










 この流れをスタンドから観ていて、私は思いました。

このまま、星稜が勝ちきるのかな。

リスクをおかして攻め入ること、ポジションを離れ斜めに走ること。

そう言ったダイナミックな動きがない。

カウンターアタックになっても、ボールを追い越す動きが皆無。

まるで、2対0で勝っているチームが、バランスを崩したくないような試合運び。

だから、試合がこのまま終わると予想しました。









 ご存知のように、星稜の選手交代をきっかけに流れが変わりました。

ダイナミックなカウンターで1点。

そして、初めて、両サイドのサイドバックが同時にアタッキングサードの進出。

その勇気が、流れを変えました。

逆サイドのサイドバックである、3番の左サイドバックがPKを獲得して、同点に追いつきました。

国立は、異様な空気に包まれました。

PK戦にもならず、富山第一が劇的な決勝ゴールを挙げ、初優勝を飾りました。









 国立には魔物が住む?

高校生は試合運びが安定しない?

2対0は危険な点差?

言い訳は、たくさん出来るかもしれない。

高校生のひたむきな、最後まで諦めない熱い気持ちが、逆転劇を呼んだのでしょうか。

私は、試合の流れを読み切ることが出来なかった。

まだまだ未熟ですね。

一つ言えるのは、さらにフットボールの魅力に気づかされました。

いい瞬間に立ち会うことが出来て、本当に幸せです。


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2013年10月23日

U-17ワールドカップ日本代表の戦い

「まねだけでは、今以上の進化は難しい」

2年前、B級養成講習会での講義です。

その講義の講師は、菊原志郎インストラクター。

U-17ワールドカップに代表コーチとして帯同していた氏。

ベスト8に躍進し、注目を集めていました。

大会を戦い終えたばかりの菊原インストラクターから、貴重な現場の声を教えていただきました。






メキシコでの戦いは、次のようなことを考えていたそうです。

・ポゼッションしながら、組み立てる

・相手の背後を狙う組み立て

・SBが高い位置を取る

・連動した守備
(コンパクトな状態を保ち、連続してプレッシャーをかける)

メキシコという高地での戦いに備えた取り組みも、話してくださいました。

そして、ボランチの両脇でフリーマンを作る、という発想。








 2011メキシコでの日本代表も、今回の2013UAE日本代表も、吉武監督が率います。

両チームとも特徴は、多彩な攻め。

ドリブルだけ、ショートパスだけに頼るチームではありません。

器用さ、持久力、協調性といった、日本人の良さを試合にいかしている。

より多くの選択肢を持つために、常に動いて主導権を握る。

「Japan’s Way」を実践しているチームと言えるでしょう。









 基本技術の高さが、この戦いを支えています。

ボールを止めれない、蹴れない、持てない選手が、ピッチ上に存在しない。

GKも含めて、堂々とボールを扱っている。

しかも、その場に止まってではなく。

組み立ての場面では、チョチョッ、チョチョッと移動しながら、ボールを受ける。

人と人、ラインとラインとの間に立ち続ける。

フットサルで言うところのエントレリネアス。

崩しの場面では、スピードに乗って、空けておいたスペースに入っていく。

そして、そのままコントロールして、相手を剥がしてしまう。










 今回のチームは、2011年から、さらに鍛え抜かれ、進歩したように見えます。

集中力、予測力、協調性を持った選手をセレクトした、代表選手だそうです。

集団で関わり続ける戦いを、90分通して、大会を通して行うためにの要素なのでしょうか。

サイズを後回しにしても、戦い方に適合する選手が集まっている印象です。

そして実際に、結果を出しています。

前回大会よりも、相手を圧倒している。

その一つのポイントは、ショートパスとロングパスとのバランスが良くなっている。

意図的なロングパスを、ビルドアップの一つの手段に使っているはずです。

そうすることにより、相手を押し込み、高い位置で試合を進める意図が感じられます。








 
 前回大会では、ニュージーランドを圧倒しました。

ニュージーランドは、ゾーンを抑え、待ち構えるような守備を敷いていました。

そのような相手は、人と人との間で受ける組立が、とても有効に働きます。

相手は後手に回り、慌てふためくようなシーンが何度もありました。

完全に何度も崩し、ゴールを陥れました。

その傾向は、今回のチームも同じです。

主導権を握っているなら、相手チームの穴を見極めることが出来る。

そこで個々の選手が、個人戦術のどのように発揮するか。

面白い組み合わせ、様々なアイデアがどんどん出てくるでしょう。









 改善するとするなら、組織的に人に来るタイプの守備をするチームの対応でしょうか。

守備組織を固め、さらにボールを持っている選手に強く当たってくる守備。

フリーでボランチの脇でフリーになろうとした瞬間、サッと対応してくる。

自分のポジションを空けても、フリーになりそうな選手を捕まえる。

予防的なカバーリングを行っているイメージでしょうか。

ボールが入った時には、相手DFがすぐそばにいる状態。

気の利いた選手、個人戦術の能力が高い選手の集合体と言えます。

前回、ベスト8で戦ったブラジル代表が、まさにこのような守備をするチームでした。

ボールをテンポよく繋げなくなると、多彩な攻めが影を潜めてしまいます。














 決勝トーナメントに入ると、さらに洗練された、人に来る守備をするチームがあるでしょう。

そしてマークは、ペナルティボックスに近づくほどに、厳しくなります。

そこでは、より高い精度の技術が求められます。

少しのズレが、ボールロストにつながります。

わずかなコントロールミスが、シュートコースを狭めてしまいます。

96JAPANの真価が問われるのは、その時になります。

まねだけではなく、日本独自の道を進む、代表チーム。

楽しみに、その戦いを見守りたいですね。
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2013年09月03日

子供たちを、世界レベルに近づけるために。

 ジュニアサッカーワールドチャレンジの観戦で、受けた衝撃が大きい。

今まで、全小は何度も観ていますし、南米・ヨーロッパの同年代の戦いも観ています。

違うのは、日本とヨーロッパのチームとを並べて、同時に観戦した!ということです。

比較対象が目の前にあることで、違いが浮き彫りにされたようです。

日本と、バルサ・リバプールとの違いとは。

その違いを理解することが、指導する選手のレベルアップにつながるはずです。








 開幕戦のバルサ対ベルディ。

この試合から、今回の観戦を始めました。

そして、続けてアルティージャ対アントラーズ。

マリノス対フロンターレ。

リバプールの試合も見ました。

これは、検証を重ねたい。

そう感じ、翌日も観戦に行きました。

最終日の決勝と合わせ、計3度も足を運びました。










 テレビやネットでも取り上げられたようで、日に日に注目度は高まりました。

決勝戦はその熱が高まり、入場制限がかかるほど。

運良く、ベスト4進出チームの家族席に入れてもらうことが出来、最高の席での観戦。

優しく迎え入れてくれた、父兄の方、ありがとうございました。

猛暑の中でしたが、目の前で繰り広げられた試合は、価値のあるものでした。

父兄の方曰く「私たちの時は、手を抜いていたのかしら?この試合は本気度を感じるわ」

タイトルがかかると、普段の習慣でしょうか?、真剣度が高まるのでしょう。

おかげで、見ごたえのある試合になりました。









 観戦しながら、ビデオを回していました。

家で見直してみると、彼らの凄さに、改めて気づきました。

一人一人がボールを持てる。(簡単に蹴飛ばさない)

相手を意識した体の使い方、ボールの置き所が出来ている。

30Mクラスの低い弾道のボールを苦もなく蹴れる。

ボールへの寄せが激しく、相手ごと吹き飛ばす。

個々の能力の高さが、単純に目につきます。

10番の黒人選手の圧倒的な当たりの強さ、存在感は分かりやすい例。

3番4番のセンターバック、20番21番の金髪の中盤コンビは覚えておきたい選手です。

彼らは、カタルーニャの選抜ではなく、世界全体から選手を集めている、バルサのアレビン。

関東、東北、関西選抜のJ下部組織と比べると、抜けているのは当然かも知れません。










 ただ、ボールをフリーでもった時の能力は、日本の子供たちも、高い。

前を向いて顔を上げた時は、何かをしてくれそうな雰囲気を出す選手。

チームに必ず、何人か居ました。

おそらく、何度も繰り返し、その動作をして身につけたのでしょう。

日々のトレーニングしている姿が、目に浮かびます。

そして、監督の指示に従い、お互いの空気を読み合う力も高い。

今大会の選抜チーム対バルサの試合も観戦しました。

個人がバラバラに、好き勝手をした試合にならない。

ちょうど、都並監督の試合前ミーティングを見ていました。

試合中、忘れずにその指示を遂行しようとする姿が印象的です。

チーム内の規律は、選抜チームとは思えないほどの高さでした。

ボールを扱う能力、約束事を守る能力。

このあたりは、世界でも通用するポイントでしょう。









 では、比較して、改善、改革が求められるポイントはどこでしょうか。

前回に挙げた、相手を意識した体の使い方、骨のぶつかるほどのガチンコ勝負は、必須。

トレーニングの時から、激しさや真剣度を求め続けなければ、変わらないでしょうね。

暴力的な当たりを推奨する気はありません。

でも、ショルダーとショルダーのぶつかり合いや、体を入れてボールを奪う、深いタックル。

その激しいDFから、身を守る方法を身につける。

トレーニングから、ボールにきっちり寄せ、守備に甘えを許さない。

そのいい守備から、ボールや体を守るために、体の使い方や、腕の使い方を身につける。

さらに、それを打ち破り、ボールを奪い切る能力を高めていく。

このいいサイクルが、選手を成長させてくれる。

改めて、認識させてくれました。










 チーム全体としては、何人で試合を行うのか?

ここが、大きなポイントであると感じました。

日本のチームは、ボールの周りの数人で試合を行っている時間が多い。

攻撃の局面。

出し手、受け手、せいぜい関わっても3人目・4人目くらいまで。

例えば、ボールが中央から右サイドに展開されたとします。

右サイドの選手が前を向いてボールを持った。

前方の選手はボールを受けようとしますが、逆サイドはボールに釣られて何となく歩く。

中央の選手でさえ、ボールに吸い寄せられるように近づいていくことも。

後ろの選手も、サポートの意識がどこまであるのでしょうか。

継続的な支援が、これでは出来そうにありません。

ボールを持った選手の状態が悪くなれば、途端に詰まってしまう。

出し手と受け手の関係で、終わってしまっている。








 バルサやリバプールの選手は、一本のパスに11人全員が反応する。

そのタイミングが、速い。

同じくサイドに展開されたとします。

DFラインは深さを作り、詰まったら逆に展開する準備をしている。

中央の選手は、自分で受けて、美味しいスペースを狙っている。

逆サイドも絞りながら、次の展開を考えた体の向きを作っている。

前線、同サイドの選手は、言うまでもありません。

彼らは、当然のごとく、大人と同じ、試合でのポジショニングを取れるのです。

U-12ゆえの、甘さを出すこともチョコチョコありました。

ポジショニングが遅かったり、取られてはならない場所で奪われたり。

解決すべき課題は、まだ多いのでしょう。

ただ、選手のポジショニングや、振る舞いは、プレミアやリーガのそれを思い起こさせるものでした。










 U-12で、ここまでのことを求めている。

日本は、小学生年代の間は、個のスキルを高める時期である。

ドリブルやリフティング、コントロールにキックを伸ばす。

戦術も、個人の部分まで。

チーム戦術は、もっと大きくなってからでいいのではないか。

そのような風潮ではないでしょうか。

実際に、小学生年代の指導のためとされる、C級ライセンス。

求められるのは、出し手と受け手の関係、チャレンジ&カバーの関係。

そして、それぞれの技術です。

1人称、2人称に対する指導が求められるのが、現在のC級ライセンス。

JFAのWEbにも、次のような記載がありました。

サッカーの本質、プレーの原則、発育発達など

U-12年代の指導にフォーカスしたカリキュラム構成となっています。








 サッカーの全体像を理解し、基本的な知識・指導力を獲得する講習会です。

B級の部分は、このように記載がありました。

実際に受講しましたが、11対11のゲームについては取り組みません。

B級では、3人称の部分を求められました。

そして、6対6+GK、7対7+GKのゲームを改善するところまでが、求められました。

チーム全体の動きや、役割を理解することはB級ライセンスでも求められないのです。

それでも、簡単な内容だとは、感じられませんでしたよ。










 バルサやリバプールの子供たちは、11人でフットボールの試合を行う。

試合をたくさん観戦しているから?

日々のリーグ戦で、真剣勝負を行っているから?

それとも、日本人とヨーロッパの子供では、子供の脳の発育が違う?

特別な人間が集まり、特別なトレーニングをしている?

少人数の試合を重ねていることが、良い方向に導いている?

親や近所など、取り巻く環境そのものが違う?

それとも、、?










 彼らと全く同じ取り組みをしても、同じ成長は望めないでしょう。

生まれも違えば、取り巻く環境も違います。

今回、世界トップレベルの小学生を見れたことは、素晴らしい経験でした。

彼らと、我々との違いを知ることが出来た。

それが、差を埋めていくための、第一歩になってくれるからです。

何度も見返して、さらに違いを知らなければ。
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2013年08月28日

U−12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ 2013を観戦して。

 初めて、バルサのカンテラを目の当たりにすることが出来ました。

様々な本や雑誌、テレビなどで、バルサの育成の素晴らしさは語られていました。

昨年は、ピッチ上の11人全員が、カンテラ育ちの選手が並ぶ。

そんな、夢のような状況を実現しているのが、バルサの育成組織です。

子供たちが、どのような試合を見せてくれるのか?







 初日の第一試合から、バルサ対ベルディという好カード。

楽しみにして、よみうりランドに向かいました。

同じような気持ちを持っていた方が、本当に多くいたようです。

平日の朝から、よみうりランドのグラウンドには、多くの観客が詰めかけていました。

そんなに話題になっていなかったので、甘く見ていたのですが、失敗でした。

1000人単位で、グラウンドを囲んでいました。

ようやく見れそうな場所に潜り込み、観戦しました。

上のグラウンドからは、トレーニング中のベルディのトップチームの選手たちも覗き込みます。

ちなみに、一番熱心に観戦していたのが、三浦泰年監督です。

この試合の最後まで、見守っていました。









 この年代の世界トップレベルがどのようなプレーをするのか?

今の流れで行くと、ピッチ上の何人かが、10年後にはカンプノウに立っている?!

ビデオを回しながらも、ピッチ上のあらゆる場所に目を向けようとしました。

面白いですね。

12歳なのに、完全に大人のバルサと、同じ試合運びをします。

もちろん、子供ゆえの甘さはありますが、トップチームと同じコンセプトです。

まるで、ある種の宗教かのように、強い信念をもって取り組んでいるのです。









 1つ、技術面で気がついたことがあります。

それは、体の使い方と、ボールコントロールとが、上手く連動していることです。

バルサの選手に縦パスが入ります。

前を向こうとする意志が、強烈に強い。

特に中盤ゾーンでは、無理をせずにもっと簡単に落とすのかな、と想像していました。

ところが、多少DFがついていても、前を向くのです。

ここで、前を向くと、相手はかなり困ります。

前を向く、サポートが入る、数的有利になる、さらにボールを前に運ぶ。

前を向くことが、攻撃のいい循環を生み出していました。









 相手DFがついていても、前を向こうとしていました。

この時のボールの置き所、体の使い方が、とても参考になるものです。

バルサの選手は、必ず、先に体を入れます。

それから、ボールを扱おうとします。

体を入れる、ボールを触る。

相手DFが出てこれない状況を先に作ります。

相手を外すのは、一番最後でした。

(日本の子供たちは、その順番が逆のことが多いです。

 ボールを触り、相手を外して、体を入れる。)









 その違いは、なんなのでしょう。

おそらく、普段のDFのプレッシャーの強度にあるのでしょう。

グッと、ガツっと、ボールに寄せてくるDF。

手前で止まって、様子を見ながら守備をするのではなく。

強いフィジカルコンタクトが、日常的にある環境でプレーしている。

その証拠でしょうか、今回の大会で、バルサのDFが多少戸惑っていました。

いつも通りにプレッシャーに行って、ボールを奪った。

それなのに、反則の笛を吹かれてしまう。

明らかに不満そうな態度を示してしまうことすらありました。

ボールをその場に叩きつけて、抗議をするシーンすらあったのです。

今回の大会で審判を務めていたのが、日本人。

普段通り相手にプレッシャーをかけると、ファールを取られてしまっていた。

スペインとは、笛の基準が違ったのでしょうね。









 ボールを触って、相手を外してから、ターンしようとすると潰されてしまう。

足元でチョコチョコとしたボールタッチは、脚ごと刈られてしまうこともあるのでしょう。

それが、日常相手にしている、プレーの環境なのでしょう。

だから、先に体を入れて、ブロックをする。

体を入れ、腕を使い、肩を使って、相手を前に出れないようにする。

その状態を作っておいて、ボールの方向を変えてターンをする。

ターンの種類は豊富なのですが、順序は変わりません。

もちろん、相手の動きを肩ごしに見ることは忘れません。










 相手DFが触れられるほど近くにいたとしても、前を向く技術。

この技術に、様々な要素が含まれているようです。

リフティングが上手い、ジグザグドリブルが上手いとは違う技術を持っていました。

上手いだけでなく、相手選手がいる中で発揮できる技術が身についている。

一人一人が、自信を持ってボールを扱っている。

その選手たちが、プレーの理解をしている。

日本の子供たちも、本当によくトレーニングしていることを感じます。

だからこそ、とてつもない差を感じた、観戦でした。
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2013年08月06日

フットボールをしている、していない。

 暑い夏は、全少(全日本少年サッカー大会)の季節です。

東京開催の時代は、準決勝をちょくちょく観戦するために、西が丘に行っていたのですが。

開催場所が静岡に変わって以来、テレビ観戦に変わってしまいました。

今年も、決勝をテレビで観戦しました。

全少が8人制に変わり、3年目。

4種の間でも、8人制が浸透しつつあるようです。

地域によっては、(意外と、元々盛んな地域ほど)11人制へのこだわりが強いようですが、、。

4種の世代における、5人、7人、8人といった少人数制の有効であるのは明らかなのに、残念です。

これも、日本フットボール界の成長の過程なのでしょうか。










 決勝戦を観ていて、せわしなく戦っていることに気づきます。

ゴールに直線的に向かう傾向が、あまりに強いのです。

一発勝負の戦い、決勝戦、連戦、様々な環境がそうさせたのでしょうか。

グランパスの監督さんのコメントが、前半に紹介されました。

「私たちは、ボールをつなぐ、テクニック、判断にこだわっている。」

「決勝戦でも同じようにプレーしたい。」

ピッチ上のパフォーマンスは、それとは程遠いのものでした。









 一度ビデオを止めて、最初から見直すことにしました。

メモを取りながら観戦です。

前半終わって、1対0。

アントラーズが直接FKを決め、リードしています。

頻繁にゴール前の攻防が繰り広げられます。

ピッチ上のあらゆる場所で、1対1、2対2などの局面が見られます。

球際の激しさは、選手たちが戦っている証です。









 メモを前半が終わって見てみました。

すると、パスが3本以上つながった回数が少ない。

両チーム合わせて、たったの4回しかありません。

20分で、たったの4回なのです。

キック&ラッシュの戦術を採用しているわけではありません。

それなのに、4回はあまりに少ない。
(アントラーズジュニアが1回、グランパスジュニアが3回)

付け加えておくと、4回中3回は、相手のアタッキングサードまで侵入できています。









 そのメモを見ていると、鈴木リュウジ君の話を思い出します。

彼は、バルセロナに遠征に来た、日本のジュニアチームの話をしてくれました。

遠征に来たのは、日本でも有数の、トップレベルのチームだそうです。

カタルーニャ州の何人かの指導者が、揃って同じ感想を持ったそうです。

「彼らは、フットボールをしていなかった。」

「ボールを扱う、技術レベルは高いのだが、、。」

観る、分析する、判断し、決断し、実行する。

このサイクルを行えていないのではないか。










 一つ一つのボールを扱う技術。

試合全体を理解する能力と、それを局面に落とし込む能力。

その乖離が起こっているのではないでしょうか。

試合をぼーっと見ていると、最近の小学生はレベルが高いな〜と思うかもしれない。

それは、単なるボール扱いのレベルが上がったに過ぎないのではないか。

カタルーニャの指導者が、何を感じたのか。

試合全体を理解し、今、ピッチ上のこの場所で何をすべきなのか?

これを分析する能力が、充分に育まれていないのでは?と感じたのではないでしょうか。









 ボールを持ったら、ドリブルして突破を図る。

相手を引きつけてパスをする。

この一連のプレーが、最も目に付いたプレーです。

前が詰まっていて、数的不利な状況になりそうでもです。

アバウトな縦パスを入れて、さらにサポートが遅い。

そのプレーは、本当に有効なのでしょうか?










 相手の背後、ゴールに直結したプレーを狙う。

次は拡がりを作る。

相手が崩れなければ、モビリティを高める。

この攻撃の優先順位をどこまで理解し、表現しているのか。

パスに限ったとしても、まず相手の背後を、ダイレクトに狙う。

無理なら縦パス・斜めのパスを、それでも無理なら横パス、バックパス。

それがパスの優先順位。









 ガチャガチャとしたボールを奪ったり奪われたりを繰り返す。

それは、これらの優先順位を理解できていないから?

もし理解していて表現できないなら、環境が悪いのかもしれません。

真夏に、一発勝負のトーナメントを、全国レベルで開催する。

大会が果たしてきた歴史は尊重しなければなりません。

選手の育成の足かせになっているならば、見直してもいい時期に来ているのかもしれません。
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2013年07月30日

東アジア杯で見た、日本人の特性

 東アジア杯、見事優勝を勝ち取りました。

代表ユニフォームを着慣れていないメンバーすらもいました。

普段から定着しているメンバーは、西川、駒野、栗原、高橋くらいでしょうか。

準備期間が短い、お互い共にプレーしている時間が少ない。

そんな中で残した結果は、評価されてしかるべきものだと思います。








 今回の代表チームは、求められていた二つのタスクを、達成しました。

一つは、日本代表がアジアのトップクラスである。

仮に代表経験が浅い選手で構成されていようが、日本代表のユニフォームを着ている。

無様な姿は見せるわけにはいかない。

このタスクに対しては、優勝という結果で、達成することができた。

内容は、不安定そのものでした。

監督の勝負にこだわる姿勢が、選手を導いてくれたのでしょうか。

韓国戦での、なりふり構わない、リアクションスタイルは、その典型例です。







 もう一つのタスクは、新戦力のピックアップです。

ブラジルワールドカップに臨むメンバーは、既に決まっているのではないか?

交代メンバーまでも、分かるほどの固定されようです。

小学生でも、日本代表のスタメン予想は容易に当ててしまうことでしょう。

メンバーの固定化は、同時性を高めることが出来るというメリットがあります。

お互い、何を考えているのかが分かる。

目が合わなくても、どこに蹴りたいのか、どこに受けたいのかが分かり合えている。

守備の組織構築も同じでしょう。

ここにいてくれる、ボールに行ってくれる。

まさに阿吽の呼吸で、共鳴しているのです。







 同時に、デメリットも抱えている。

競争がないため、仲良し集団になり、向上が緩やかになってしまう。

誰かが欠場し、代わりの選手が入った時に、適応しづらい。

相手チームも分かっているため、対策を立てられやすい。

集団は、常に競争し続けなければ、中から腐っていってしまう。

ワールドカップ本大会は、11人ではなく、20数名の選手全員で勝利を目指す総合力が問われている。

相手チームの対策にたいして、さらなる対策を持たなければならない。

そのためにも、今回、新戦力が台頭する最後のチャンスを逃してはならない。









 もしかすると、今回の東アジア杯は、アピール合戦になるかもしれない。

少なからず、嫌な予感がしていました。

例えば海外のトライアウトなら、監督やスタッフの目に留まるために努力をする選手が頻出します。

自分のプレーの売りを見せつけたい。

多少のエゴを出してでも、自分のPRポイントを見てもらわなければ!!

その試合の勝利ではなく、自分の契約のためにプレーするのです。

選手は、自営業ですから、当たり前といえば、当たり前のこと。










 ところが、ピッチで見せてくれたものは、それとは反対のものでした。

自分のアピールよりも、チームのために働いていた。

これは、簡単に出来ることではありません。

日本人の特性が、いい方向に働いたと言えます。

エゴを押し出すよりも、組織の規律を重んじる。

もし、最近言われている、個人の力が、個人の力が!となっていたら、この結果は無かったでしょう。

日本が生きていく道は、個人の突出した能力に頼るやり方では無いようです。

いかにして集団の力を高め、皆が力を合わせるのか。

その総和を大きくするために、個々が力を伸ばす。

それが、日本における、個と集団の関係だと、私は考えます。











 短期間で、集団ををまとめて、一つの方向性を持たせる。

そして、成長させるのはすごく困難な作業です。

相手のホームで迎えた韓国戦では、成長した姿を見せてくれました。

先制したものの、押し込まれ、苦しい、緊迫した試合だった。

スタジアムも、日本のミスや、敗戦を待ち構えるような雰囲気。

その中で、ゴールを奪い、韓国から勝利を得た。

その結束力は素晴らしいし、選手同士もいい顔で振舞っていました。

いい集団になっていた、一番の証です。
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2013年06月25日

メキシコの授業

 ショートパスと運ぶドリブルで、丁寧に組み立てる試合運び。

サイドの選手を高い位置に押し上げ、ピッチ全体を使ってポゼッションを高める。

中盤の選手が、最終ラインに落ちたり、サイドに張ったり、裏に飛び出す。

走り回るわけではないが、縦横無尽にポジションを取り、捕まえづらい。

捕まえかけても、ボールは簡単に奪われない。

体の使い方と強さをスパイスに効かせて、簡単にボールを奪われない。

私が抱いている大まかな印象です。






 私は、10年近く、メキシコの試合を追いかけてます。

彼らに魅了され、ワールドカップでは、必ず彼らの試合を数試合観戦しています。

クラブワールドカップで、日本にチームを送り込んでくる時も同じく観戦します。

スタンドから観ていて、何か引き込まれる魅力がある。

派手なプレーをするわけではない。

特別なスターがいるわけでもない。

全員が、一つの意志を持って、試合を進めている。

全員が、ちょっと、気の利いたプレーを見せてくれる。

しかも、背の小さい選手が、ピッチ上で何人も躍動している。

(胸板の分厚さは、日本人とは別規格です。)

彼らから学べることは何かないか?

私の指導のテーマの大きな一つ。







 

 日本戦のメキシコは、普段と違う姿を、見せていました。

特に、縦パスのタイミングです。

前線で待つFWに、早いタイミングで、縦パスを入れてくる。

グラウンダーだけでなく、浮き球も織り交ぜてきます。

一度や二度ではなく、繰り返し、浮き球をフィードしていく。

一つ、一つ、引き剥がすように、攻撃を組み立てる通常の姿は、影を潜めます。

日本は、イタリア戦で成功した、前線からボールを追い回します。

待ち構えて守備をするのではなく、高い位置でボールを奪って、、と積極的な試合運び。

メキシコのロングフィードは、日本の前線からのプレスに負けて、逃げの縦パスだった?!









 おそらく、これは違うはずです。

その理由は2つ。

・前線を1枚から2枚に変更し、ターゲットを増やしていること

・縦パスに対する、FWへのサポートが素早いこと

チームとして、FW目指して早いタイミングで縦パスをいれる。

競り負けても、セカンドボールを拾えるように、押し上げを徹底している。

相手ボールになった瞬間、複数人がボールの近くにいる。

そのまま、攻守が切り替わり、ボールにプレッシャーをかけるのです。

前からボールを奪いに行った日本の前6人が、簡単に置き去りにされます。

日本のチーム戦術が、思ったほど機能しない。










 柔軟な戦いを見せた、メキシコ代表。

いともたやすく、戦い方を変えることができる。

それが、彼らの強みでもあります。

中南米カリブ海では、王者のメキシコ。

ところが、世界では、今ひとつ、結果を出すことができない。

お隣の南米大陸の強豪チームには、萎縮して、必要以上にリスペクトしてしまう。

そんな状況を打破するために、彼らは若年層の頃から、国際経験を積んでいます。

メキシコに呼んでフェスティバルを開催。

自分たちで遠征にも出向く。

クラブレベルでも、代表チームとしても、国際経験は恐ろしく豊富なのです。










 様々なタイプのチーム、自分たちよりも強いチーム、弱いチーム。

豊富な経験に裏打ちされた、多くの引き出しを有しているのです。 

つまり、その日の試合の状況、相手に適応することは、慣れたこと。

例えば、今回彼らが用いたプランは、次のようなものでしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
試合の立ち上がりは抑え目にプレーする。

長いボールを意図的に多用する。

スペースが出来た、相手を押し込んだら、ショートパス主体のプレーに戻す。

我慢強く試合を運び、チャンスを狙う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本は、メキシコのプランに、注文通りはまってしまった。

気がつけば、体力を消耗し、コンパクトな陣形を築くことができなくなってしまった。









 そして、日本は自分たちが得意な試合運びでは、力を発揮することが出来る。

綺麗なピッチで、コンディションが整っていて、さほど暑くも寒くもない。

対戦相手が丁寧にビルドアップしてくる。

日本で行われる、親善試合の状況を思い起こせばいいかと思います。

この状況であれば、日本のチーム力は、最大に発揮されるでしょう。

その一方で、自分たちの狙い通りのプレーが出来なかったら、ボロボロと崩れてしまう。

ピッチが悪い、コンディションが悪い、対戦相手がロングボールを蹴り込んでくるなど。

アジアレベルであっても、苦杯を舐めることもある。











 次のプラン、その次のプランを持って、戦うことの重要さ。

これが、メキシコが教えてくれた、授業内容ではないでしょうか。

メキシコも、ベスト16の壁を破れずに苦労しています。

トップオブトップとは、まだ力の差があるのが、悲しいかな彼らの現状でしょう。

2014年こそは!の気持ちが伝わってきます。

日本の数歩先を歩む、彼らの戦いを少し気にしてみてはいかがでしょうか。
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2013年06月04日

ベスト16の壁を破るために

 埼玉スタジアムから帰ってきました!!

最後に興奮が待っていましたね。

いくつか気づいたことを書いておきます。



成果
・選手個々の能力値

 今、日本代表が、当然のようにワールドカップに出場を決めている。

ギリギリで逃した94年、プレーオフで決めた98年。

あの頃は、出場できるかどうか!?ヒヤヒヤしながら見守っていましたよね。

あの頃と、今と、何が変わったのでしょうか。

一番の違いは、個々の能力の選手の違いでしょう。

海外リーグに移籍するのが、大きなニュースにならなくなった。

トップリーグで、実力を認められ、ポジションを掴んだ選手の集団。

監督の能力と言うよりも、日本の育成、Jリーグ、指導者、サポーター全体の向上でしょう。

目の前の選手は、プレッシャーのかかるであろう試合でも堂々と戦っていました。

屈強なオーストラリアの選手にグッと寄せられても掛けられても、平然としている。

自分から体をぶつけて、ボールを我がものにする。

頼もしい!!

最後の本田選手は、その象徴とも言えるのではないでしょうか。







課題
・アタッキングサードでの仕掛け

アタッキングサードで、ボールが横に、横に動いていく。

確かに、ボールは奪われにくいのですが、、。

左サイドで、長友選手、香川選手が右足でカットイン。

右サイドで本田選手がカットイン。

そこから、シュート、パスのコンビネーションを狙うのですが、怖さがない。

全部、相手DFの目の前でプレーが行われてしまっている。

相手DFが一番怖いのは、自分の背後を狙うプレーのはずです。

まずは、相手の背後を目指して、突破を狙う、フリーランニングをする。

だから、手前のスペースが空いてくる。

長友選手が前半に一度、香川選手が後半に一度。

それぞれ、ボールを持って、縦に仕掛け、深くえぐってクロス。

もちろんパスでもいいのですが、とにかく相手の背後へ!!






・DFラインのコンビネーション

特に、サイドバックと、センターバックのコンビネーションがイマイチでした。

ちょうど私の席が、DFラインが見やすい席でした。

(手配ありがとうございました。)

すると、DFラインがボコボコしていました。

特に、センターバックの2人は、敏感にラインコントロールをしていました。

相手のバックパス、横パスを見逃さず、ラインをすっと上げていました。

そして、蹴られる前には、ピタッと止めて、相手の状況をうかがっているのです。

この動きをしながら、相手FWのボールを受ける動きをチェックし、距離を詰める。

本当に、いい仕事をしていました。

サイドバックの2人は、少し慎重に見えました。

一瞬、ラインの上げ下げが遅れるのです。

結果として、センターバックの2人が、サイドバックの2人よりも数M前に。

相手に走り込まれる、スペースを与えてしまっている。





さらに、サイドバックの2人が、相手のサイドアタッカーのマークに気持ちが傾いている。

ここでは、サイドアタッカーのマークとセンターバックのカバーとを両立する。

中間ポジションを取らなければならない。

少し、自分のマークすべき相手にやられたくない気持ちが強かった!?

カバーリングよりも、マークを優先する意識が勝っていたように感じます。

結果として、DFライン全体のハーモニーが、整わなかった。

サイドバックと、センターバックとの間のスペースを狙われ、ピンチにさらされていた。

その原因はここではないのか。








・代表監督の成長

ザッケローニ監督。

彼は、日本に何をもたらしたのでしょうか?

ワールドカップに導き、アジアカップを制した。

世間で酷評されているジーコ元監督も、同じ実績を残しています。

最速の本大会出場?も初めてのことではありません。

彼の能力は、本当に発揮されているのか。

意味不明な、1−3−4−3のテスト。

0対0の引き分けを狙ったのか?采配ミスで、あわや敗戦の危機を作ってしまう。

コンフェデの試合内容如何では、交代を視野に入れた方がいいのかもしれない。

考えたくはありませんが、彼の賞味期限が切れつつあるように見えませんか。









 本日のオーストラリア代表は、日本代表と、同等レベルと言えるチームです。

くじ運や、チームの状況で、ベスト16からグループリーグ敗退かが決まる。

同等以上のチームとの対決では、これらの課題が、どうなるのか?

1ヶ月の代表の活動が、このあたりが改善されることを願っています。

何はともあれ、埼玉スタジアムのスタンドは、熱狂で包まれていました。

私の後ろの女性サポーターは、絶叫し、興奮のあまり泣き出してしまっていました。

隣の小学生は、椅子に登って、タオルマフラーを振り回していました。

私ももちろん、大声を上げて、出場決定を喜んでいました。

ワールドカップに出ることは、我々を幸せにしてくれますね。

本大会出場、おめでとうございます。


posted by プロコーチ at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月28日

最高の授業

 ヨーロッパでの戦いが、世界のフットボールシーンを作っています。

選手も、指導者も、お金も、注目も、すべてがここに集まっている。

まるで、世界の中心かのように。

今年のチャンピオンズリーグが、バイエルンミュンヘンの勝利で幕を閉じました。

セミファイナルの強さ、自国リーグ戦での圧倒的な戦いを見ると、順当な結果でしょうか。









 FCバルセロナ、ボルシアドルトムント、バイエルンミュンヘン。

彼らが、我々に、ある授業をしてくれました。

華麗なパスワーク、迫力のあるシュート、突破に目を奪われてしまいます。

想像を超えるようなプレーが、たくさんありました。

が、授業内容は、それだけではありません。

ボールを奪われた後のプレーです。









 フットボールの試合の局面は、以下の4つに分類することができます。

・攻撃の局面

・守備の局面

ここで、話は終わりがちです。

実際には、さらに2つありまして、

・攻撃から守備への切り替わり(ネガティブトランジション)

・守備から攻撃への切り替わり(ポジティブトランジション)

野球とは違って、攻撃と守備とが連続して行われる。

そして、何回の裏、と攻撃(守備)の時間が決まっているわけでもありません。

それが、フットボールの難しいところでもあり、楽しいところでもあるのです。











 彼らは、ボールを奪われた瞬間、すぐさまアクションを起こします。

ボールを奪われそうになったら、既にアクションを起こしだしていることすらあります。

相手のボール目掛けて、ダッシュで寄って行きます。

昔、ボール狩りという言葉がありましたが、その言葉を連想させてくれます。

しかも、1人だけではなく、2人、3人と、一斉に襲いかかります。

周りの選手は、撤退する準備をしながらも、状況を確認しています。

奪えそうなら、囲みを厳しくします。

奪い返すのが難しいようなら、後ろに撤退していくのです。

しかも、ただ状況を確認するのではなく、囲みからパスが出しにくくする。

人とボールとの間に立ち、パスのラインを遮断する。

背中でパスラインを感じながら、守るイメージでしょう。








 実は、ボールを奪われた瞬間、相手も平然とはしていないのです。

ボールを奪おうと、テンションを高めた状態で、猛然と戦っている選手。

落ち着きを取り戻すには、少し時間が必要かもしれない。

何よりも、ボールを奪うためには、相手に寄せているし、守備者同士の距離も縮めているはず。

パスは通しにくく、ボールを奪いやすい状況を作り上げています。

つまりこれは、攻撃をするには、不利な状態なのです。

ボールを奪ったチームは、広げようとしますし、裏を狙おうとします。

ところが、最初の数秒は、狭いですし、裏には走れてもいないのです。

その数秒を逃さない。








 ボールを奪われた瞬間。

「あーー。」

「なんで、動いてくれないんだよ!」

悪態をついて、ボールが奪われたことを、悔やみ、言い訳する姿を目にします。

アマチュアの試合や、草サッカーでは、よく目にするシーンです。

はたまた、ファールを取ってくれ、足が痛い、とピッチに横たわる選手すらいますよね。

最高の授業から、学ぶものが無かったのでしょうか!?









 バルセロナが攻撃的に戦い、創造的に戦う。

素晴らしい授業を、ここ数年示してくれている。

この2・3年は、これがさらに進化している。

3秒以内に取り返せれば、マイボールになるチャンスは増える。

パスを3本回させる前に取り返せれば、これまたマイボールになる可能性が高まる。

これこそが、彼らが示してくれている、最高の授業です。

攻撃から守備への切り替わりの追求。



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2013年03月19日

スモールフィールド

・・・常に相手を感じながら、プレーをしている。


 フットサルの全日本選手権の準決勝を観戦した感想です。

なんとか、時間の隙間を見つけて、代々木体育館に。

会場は、それほど満員ではありませんでした。

ワールドカップ効果は、打ち止めなのでしょうか?!

2000枚分の無料券(チラシ)を配布していることを考えると、やや少ないのかもしれません。

コートの中で繰り広げられる試合は、熱いものでした。

一発勝負のトーナメント。

勝てばファイナリストですから、熱くなるのも当然ですね。

気持ちの入った、いい試合を見せてもらいました。








 フットサルの試合は、レベルが上がれば上がるほど、シンプルになって行く傾向を感じます。

ボールの奪われ方が悪いと、一気にシュートチャンスを与えてしまう。

カウンターの恐怖がわかっているからでしょうか。

特に、自陣側のコートでは、難しいプレーをしませんよね。

詰められたら、外に出してしまってもしょうがない?くらいの縦パス。

とにかく、自陣では余計なリスクを負わない。

この傾向は、バックパスルールの変更に伴い、より顕著になったと感じています。

トリッキーなプレー、華麗なフェイントやドリブル突破のトライ。

これらは全て、相手陣地に入ってから。

この感覚を身に付けるためにも、育成年代でのフットサル経験は貴重です。










 ロナウジーニョが以前、語っていました。

少年時代にフットサルに取り組んでいたことで有名なロナウジーニョ。

「コートのどの場所で、どのようなプレーを選択すべきかを繰り返し指導された。」

見た目のテクニックが優れているだけの選手はたくさんいます。

でも、プロになれるかどうか、プロになって活躍出来るかどうか?

そのためには、知性が必要です。

今、どのようなプレーを選択するのか?

その選択を素早く的確に下し、実行し続ける。

この知性が、選手の将来を左右するとも言えると、私は考えています。









 
 また、常に相手DFのプレッシャーが掛かり続ける。

足が止まった選手は、すぐに交代。

1stセットの選手といえども、数分間しか続けて出場しない。

40×20Mの狭いコートが、更に狭く感じられる。

それくらい、守備時の出足は鋭いものがあります。

ところが、一定の間合いになると、飛び込まずにガマンします。

むやみに飛び込むと、ファーストタッチで外されてしまう危険性が高い。

両足を地面につけて静止し、さらに間合いを詰めるチャンスをうかがう。

この当たり前の守備の原則が守られています。









 この一連の守備に対し、ボールホルダーも、むやみにボールを晒しません。

相手のプレッシャーが近いと、すっと足を入れる。

近い距離で正対してボールを持たない。

右足でボールを持っているなら、軸足となる左足をボールと相手DFとの間に差し込む。

ボールを相手から遠ざけるイメージでしょうか。

そうすることで、相手はそれ以上飛び込んでこれない。

しかも、完全に半身や、背中でスクリーニングしないので、前向きの視野が確保されている。

簡単に、ボールを抱え込みはしない。

このボールの持ち方は、DFの立場からすると、イヤラシイ感じです。

すぐ目の前にボールがあるのですが、それ以上寄せても、、。

相手との距離を感じ、ボールの持ち方を変化させることが当然のように出来ている。










 スモールフィールドの試合では、常に相手選手が近くにいます。

このような知性を磨かれる瞬間が繰り返し出現します。

個人戦術を駆使できている選手が活躍できている。

無理にでも観戦に来て良かったな。

そんなことを思いながら、試合を観戦していました。
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2013年01月15日

スタジアムにて

 1月6日カンプノウにて、バルセロナダービーを観戦しました。

前日、当日では、テレビや新聞などは、盛り上がっている雰囲気。

ホテルのレストランでも、ダービーの観戦者と思える人が増えてきました。

当日、試合は夜19時からなので、街をブラブラして、地下鉄に乗っていました。

いかにも、スタジアムに向かうような親子や、カップルなどが溢れています。

私も、スタジアムに向かいました。








 一つ気をつけたのは、中立な服装をしようとしたこと。

どちらかに偏った服装をして、熱狂的なサポーターに危害でも加えられたら!?

地味なコートを着て、カンプノウに向かいました。

すると、驚く程に、バルセロナ一色でした。

エスパニョールのサポーターは、どこにいたのでしょうか?

試合中も、その存在感は、一切ありません。








 もう一つ驚いたことは、それほど、バルセロナ側も盛り上がっていなかったこと。

ダービーともなれば、独特の緊張感に包まれている?!

チームを鼓舞するために、コレオグラフィを作る。

大きな大きなフラッグを掲げる。

そんなもの、一つもありません。

ただ、リーグ戦の1試合が通常に開催されただけでした。

少し、拍子抜けするくらい、ゆるーい雰囲気で試合が行われました。

応援する、サポートする、と言うよりも、劇場や映画館で鑑賞する雰囲気でしょうか。

それくらい、今のバルサは、突き抜けてしまった存在なのかもしれません。

ちなみに、家族や女性連れで、スタジアム観戦するには、最適な環境ですよ。









 そんなゆるい雰囲気でしたが、彼ら(彼女)たちの目は本物でした。

一つ一つのプレーに対して、拍手や、感嘆の声を上げて、反応します。

ゴールに迫っていくと、周りの人達が、中腰になってきます。

いい展開になっているというのを、全員がわかっているのでしょう。

そして、攻撃の目に付くプレーだけを賞賛するのではありません。

守備陣の体を張ったプレーに対して、立ち上がって拍手を送る。

プジョルが、全身を使って、カウンターを止めた瞬間は、最高の拍手で応えていました。









 審判に対する目も厳しいものがありました。

その副審は、バルセロナに対して、甘くないジャッジをしていました。

微妙な飛び出しは、全てオフサイドの旗を上げていきます。

そして、抜群のタイミングで飛び出し、ゴールが決まったか?!

すると、副審がサッと旗を上げました。

その瞬間、スタジアムのあちこちから、ブーイングや、罵声が浴びせられました。

観客全員が、ボールの行方に気を取られるのではない。

今、どこを見るべきか?

試合が、どんな流れで行われているのか?

「ここは、カンプノウだぜ、分かってるのか?!」とでも言いたげなブーイングです。

これらを、普通のサポーターが分かっているのです。

その反応がまた、速い!

この目の肥えたサポーターが、厳しい環境を作り上げていることを、改めて感じました。









 残念ながら日本では、そのような環境になっていません。

同じようなシーンが、昨年、埼スタでの代表戦でありました。

日本代表の選手がゴールを決めた!ワーという大歓声が。

ところが、しばらく前から、副審の旗は上がっている。

http://futebol.seesaa.net/article/273957564.html








 ボールをただ追いかけて、無邪気に喜ぶ、日本のサポーター。

一方、試合の流れも見て、ブーイングを浴びせるスペインのスタジアム。

同じようにゆるい雰囲気でしたが、持っている目は、別次元にありました。

別に、外国かぶれではありませんが、差は歴然としていました。

このあたりも、成長していかなければならないポイントかもしれません。
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2012年12月18日

真の12番目の選手。

 コリンチャンスの優勝で、クラブワールドカップは幕を閉じました。

ブラジルというフチボウ大国の底力を見せつけた、決勝戦でした。

ジーコのスピリットが根付くアントラーズが、決勝戦で結果を出し続ける。

決して華麗な戦いではなく、見苦しい瞬間もありました。

フットボールに勝つためには、何をすべきなのか?

その術を知っているかのような、彼ら。

勝負強い、ブラジル本来の姿を見せてもらいました。

チェルシーで目立っていたのが、ラミレスとダビド・ルイスのブラジル人プレーヤー。

危険なところを、この二人で潰し続けていましたよね。

ブラジルがやはり大国だと、証明する試合だったのかもしれません。








 コリンチャンスが優勝できた影には、12番目の選手たちの力の後押しが間違いなくありました。

テレビで盛んに取り上げられているように、ブラジルからサポーターが大挙して押し寄せました。

2万人とも3万人とも呼ばれる彼らが、チーム力を押し上げているようでした。

コリンチアーノは、とにかく存在感を発揮していました。

試合前から、新横浜駅から横国の間で、大騒ぎ。

チェルシーのユニフォームを着ているファンに、ニヤニヤして近づいていく。

「F・#$&% chelsea!」

彼らにとっての試合は、既に始まっていたのです。

私は、20年前に、ブラジルで購入していた、コリンチャンスのジャージを身につけていました。

それをアピールすると、上機嫌で肩を抱いてきたり、記念写真を求められました。

たまたま購入していたジャージですが、20年間、大事にしていた甲斐がありました。










 彼らは、ホームスタジアムであるパカエンブーの雰囲気を作り上げました。

野太い、低い声が、スタジアムに響き渡ります。

「ウッ!」

「ゴワッ!!」

言葉にならない、音も聞こえてきます。

同時に、手のひらを広げて、ピッチに向かって、アピールをしています。

常に、選手と共に戦っているかのようです。








 これだけだと、日本のサポーターと、変わらない?

コリンチアーノは、自分たちの置かれている環境を理解していたでしょう。

決勝戦・試合の意味、対戦相手との力関係、審判のレベル、日本開催。

どのような振る舞いをすれば、愛するチームにとってプラスになるのか?

これを常に考えながら、声を上げ、戦っています。







例を挙げると

・審判のジャッジが不利になった瞬間のどぎついアピール

・守備でいいプレーを見せた(インターセプト、体を張ったブロックやスライディング)

この2つの瞬間が、最も声が上がる瞬間だったのです。

内容よりも、結果が問われる試合であるということ。

対戦相手の力量を考えると、それほどチャンスが多く見込まれない。

1点勝負の試合に持ち込めば、勝機があるんだ。

耐えて、カウンターやセットプレーでしぶとく勝負を!

そのような意図が、ピッチ上の選手だけでなく、スタンドまでもつながっている。

スタンドの一人一人が、試合に出ている選手かのように、駆け引きをしているのです。

しかも、これらが、測ったように共有化されているのが、また驚きです。








 「コリンチャンスは根性(ラッサ)のチームだ。」

 「どんなに苦しい試合でも絶対に諦めない粘りが身上なんだ」

引用・・・情熱のブラジルサッカー、平凡社新書より

元々、あのような気持ちを前面に押し出す戦いが、チームのスタイルのようです。

世界一を決める戦いでも、普段通りの戦いを見事にやりきったということでしょう。

準決勝で、相手をリスペクトしすぎて、良さを出せなかったモンテレイとの差を感じます。









 そんな彼らですが、芸術的なプレーに対する憧れも、隠し持っていました。

華麗なパス交換や、綺麗な崩しがあっても、それほど反応は示しません。

よくやったと言わんばかりに、小さな歓声と拍手程度。

ところが、ダニーロ選手が、ハーフウェイラインのバックスタンド前で股抜きを見せました。

次の瞬間、割れんばかりの大歓声、オーレ、拍手。

熱いプレーを促し、守備に勝ちを見出していた、スタンドの12番目の選手たち。

あの瞬間は、ブラジル人の血を隠しきれなかった瞬間だったのでしょうか。







 彼らのパワーは、本当に凄まじかった。

試合が始まる前から、目がギラギラしています。

選手が入場してきた瞬間、何人ものコリンチャーノがボロボロと泣き始めます。

一瞬、目を疑いましたが、感極まっているのでしょう。

もちろん、試合が終わり、優勝が決まったら、さらに多くの人間が泣いていました。

大の男の涙を、こんなに沢山目にすることは、珍しい。

そこまでの、熱く、強い想いがあってこその、12番目の選手と呼ばれる資格がある。
posted by プロコーチ at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月20日

見る必要がない?前半。

 タイでのフットサル・ワールドカップが終わりました。

決勝戦の組み合わせは、順当にブラジル対スペインでした。

この二つの国が、抜けているのは間違いない。

過去、世界選手権時代も含め、ブラジルとスペインしか優勝していない。

20年以上の長い時間、世界のトップに君臨し続けている!!







 私は、元々、ワールドカップを放映しているCSチャンネルと契約していました。

おかげで、地上波では放映していない試合を楽しむことが出来ました。

それでも、日本戦が中心の放映プログラム。

日本が絡まないカードでも、観たい試合はたくさんあったのですが、残念。

放映された試合に関しては、快適に楽しむことが出来ました。

不必要に煽る実況は、8・9割無視しながらの観戦ですが・・。







 今回、日本代表の躍進、三浦カズ選手の存在感もあり、地上波でも放映されました。

その放映を通して残念なことが幾つかありました。

実況が稚拙で、不必要に煽ることを除いても、さらにありました。

・試合中、突然数分時間を飛ばして省略してしまう。

・放送直前の番組(数分前)で、試合の結果をダイジェストと共に流してしまう。






 極めにつけに残念だったことは、決勝戦の放送でした。

なんと、前半を全て飛ばして、後半から放映が始まったのです。

地上波しか観れないファンは、前半を楽しむことが出来なかった。

延長までもつれ込んだ、決勝戦。

すべてを放映するのは、おそらく放映の枠が足りなかったのでしょう。

延長戦にドラマが待っていましたから、延長戦は外せない。

だったら、得点の生まれなかった、前半をカットしようという考えなのでしょうか。









 前半は、0対0で、得点が入りませんでした。

放映はされなかったですが、熱い熱い戦いでした。

両チームが、主導権争いをしていました。

走れる選手をコート上に並べて、一時も、プレッシャーが緩まる時がありません。

守備の時には、相手と握手ができるほど、近くに寄せていきます。

パスがつながっても、連続してプレッシャーをかけていきます。

元々、狭いコートなのですが、さらに激しいプレッシャーでレスタイム・レススペース。







 そんな中でも、ボールを動かし、なんとかチャンスを作ろうとする両チーム。

特にスペインの方がリズムを掴みかけていました。

ブラジルの猛烈プレスを外し、パスをつないで、ドリブルで外し、ゴール前に迫ります。

「おっ!チャンスか?!」

次の瞬間、スペインの選手が、コートの床の上で、もんどり打て転がっています。

膝を太ももに入れる、ボールと足とを同時にタックルで刈る。

相撲やアメフト想像させるくらい激しい、ボディコンタクトまで見られました。








 芸術的なフットボールをイメージさせるブラジル。

その根っこになって支えているのは、この部分。

目の前の人間には、何があっても負けない!

どんなことをしても、マッチアップしている戦いで勝ってやる。

これが、ブラジルの強さの源泉ではないでしょうか。

股抜きされた瞬間、体を入れるフリをしながら、相手の腿に膝を入れた瞬間。

特に前半は、狡猾なブラジルの姿が目につきました。

それがあるから、後半の頭から投入された、ファルカンの技術が生かされたのでは?







 こんなに熱く、目を離せない前半が、全く放映されない。

テレビの前で楽しみにしている人間に対して、制作側も想像力を持って欲しい。

ゴールシーンや、決定機ばかりが、試合が構成要素ではない。

うまく試合の流れに乗れない時。

相手に主導権がある時。

勝負を掛ける瞬間。

試合の流れ、全体を読む中で、一つ一つのプレーがある。

ワンプレーが、試合全体の流れを変えてしまう。

試合を通して観戦することで、全体や瞬間を感じられる。

それこそが、フットボール観戦の楽しみであるはず。
posted by プロコーチ at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月09日

ゴール前の経験値

 フットサルのワールドカップで、日本代表が躍進を続けています。

ブラジル代表と1対4の接戦を演じる。

続く、ポルトガル戦では5対5で、後半怒涛の同点劇。

グループリーグ最終戦のリビア戦では、見事4対2で勝利を飾りました。

グループリーグ3位ながらも、決勝トーナメントに進出!!

選手の一人一人が、役割を果たしながら、自分たちの良さを発揮している。

規律も個々の創造性とが、高いレベルで融合している。

素晴らしいチーム。










 このチームを率いているのが、ミゲル・ロドリゴ監督。

彼の指導者講習会に、3年前から3回出席し、勉強させてもらっています。

一方的にではありますが、親近感を感じています。

テレビで観戦していると、ミゲル監督の指導者講習会での言葉を思い出しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スペインでは、15歳までフットサルや、7人制のフットボールをする。

それから、フットサルを続けるか、11人制のフットボールかを選ぶ。

今の選手たちの多くは、フットサルの経験者だ。

日本は、11人制をリタイアした人間が、フットサルをしている。

数十年前のスペインもそうだった。

日本でも、育成年代にフットサルをして欲しい。

それが必ず、助けになるはずだ

そして、フットサルを経験した選手と、そうでない選手とを比べてみる。

プレーの回数は、約6倍!!フットサルの方が多い。

このプレーの回数の差が、経験値の差となるのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 このことを、感じさせるシーンを、目にしています。

それは、ゴール前での、GKとの1対1などのゴール前での局面においてです。

・思い切って強いシュートを、ゴールに向かって打ち込む。

・ファーサイド目掛けて、シュートを打つ。

今回のワールドカップのゴールシーンは、このようなシュートはあまり決まっていません。

ゴールのサイズは幅3M×高さ2Mしかありません。

強くシュートを打っても、ファーに打っても、それだけではGKの餌食です。









・日本対ブラジル、ブラジルの先制点のシーン。

テレビでは、ゴールカバーに入った森岡の足に当たったことがフォーカスされていました。

見るべきは、飛び出したGK川原の股間を抜けてきたシュートということなのです。

もちろんシュートを打ったヴィウジ選手は、ギリギリまで飛び出してきた動きを見極ました。

強いインサイドで、股を狙っています。





・日本対ポルトガルのポルトガル・カルディナルのシュート。

ゴール前でのFKを横に流します。

慌てて対応する、日本DF。

このままシュートを打つと、シュートブロックに当たっていたでしょう。

パスを受けたカルディナル選手は、小さいシュートフェイントを入れます。

ボールに寄りながら、左手を横に広げ、シュートの体勢を見せつけました。

対応したDFは、フェイントに引っかかってしまい、スライディング。

カルディナル選手は、足裏のワンタッチコントロールでボールを持ち出します。

コントロールオリエンタードの、お手本のようなシーン!!

フリーになって、難なくシュートを決めてしまいました。



・日本対リビア戦の小曽戸選手のシュート

相手陣地深い位置のやや左サイドで、ボールを奪います。

そのまま、ゴール前に持ち込みますが、相手DFがしつこく前に立ちふさがりました。

右のアウトサイドでボールを足元に入れます。

そして、体を右サイド側に向け直しました。

ゴールに対しては、半身の体勢。

シュートは無いのかな、逆サイドを上がってきた味方にパスなのかな。

これは、小曽戸選手の、GKとの駆け引きでした。

目の前のDFとではなく、その奥にいるGKと駆け引きをしている。

GKは、パスが頭によぎったのか、ポジションや意識が逆サイドに移ります。

その瞬間、シュートが、鋭くニアに打たれました。

GKは、抜かれてはならないはずのニアを空けてしまい、ゴールイン。








 決定力不足が叫ばれて、何年経っているのでしょうか。

ゴール前で慌ててシュートを打ってしまい、GKにぶつけてしまう。

シュートは強いが、セーブされてしまう。

もっと力が入ってしまい、枠にも飛ばない。

ゴールに近づけば、近づくほど、下手になってしまう。

中盤ゾーンまでは上手い、組立は出来るのだけど。









 紹介した、これら一連のプレーは、今までの経験が蓄積された成果でしょう。

彼らは、何度も何度も、真剣なゴール前の局面を経験している。

サッカーしかプレーしていない選手の何倍なのでしょうか。

ゴール前で、まるでヒットマンのように落ち着いた振る舞いをすることが出来れば!
 
決定力不足を解決する方法の一つが、間違いなく、ここにあります。
posted by プロコーチ at 08:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月26日

10月24日、代々木体育館にて

 フットサル日本代表が、強化のための親善試合を行いました。

世界のトップレベルである、ブラジル代表。

しかも、日本代表には、三浦カズ選手がいる。

ワールドカップを控えているとは言え、ここまでの注目は、なかなか集まらない。

報道陣の数も、普段よりも、かなり多く目にしました。

平日の19時、8000人を超える動員を見せました。

まだまだ、マイナースポーツであるフットサル。

三浦カズ選手の名前や存在は、かなり大きいようです。

私も、かなり無理をして、会場に足を運びました。

やはり、彼の存在が大きいからです。








 三浦カズ選手が、試合に出るのか?

そして、試合でどのくらい通用するのか?

多くの人の興味は、そこに集まっていました。

結論から言うと、間違いなくチーム力の向上に役立っているように見えました。

はっきり言って、プレーからは、スピードを感じません。

もたもたしている印象を持った人間もいるのではないでしょうか。

でも、それは本人も、分かっていることでしょう。

スピードを求めるなら、そこには若くて活きのいい選手を入れるでしょうから。











 1対1の局面において、相手の出方や、反応、変化を見ることは得意なプレーです。

それは、ボールを持っている時も、持っていない時もそうです。

常に、相手との駆け引きを繰り返し、プレーを行っています。

これは、ブラジル時代に、そのベースを身に付けたものでしょう。

そして、長年、研ぎ澄ましてきた、彼の一番の武器だと言えます。

だから、 局面での勝負で、一切の気後れがない。

サッカーに比べて、フットサルだと、相手との間合いが近くなります。

それでも、既に彼は、近い間合いにアジャストしているのです。









 また、攻撃の際に、スペースを共有している。

味方のために走り、スペースを作る。

味方が作ってくれたスペースを、自分で使う。

そのお互い、スペースを共有し合うプレーが、狭いコートの中で求められます。

一緒にプレーした期間は短いでしょうが、すでに共有しつつありました。

周りの選手の動きが、ノッキングしてしまうことも無かったように見えます。

その辺りを、ミゲル監督も感じているのでしょうか。

前半は、三浦カズ選手を、早くもセカンドセットで起用していました。









 問題は、やはり守備です。

ゾーンDFになれていない。

フットサル特有の守備が出来ない。

そのような事前報道がなされていました。

実際は、そうではありませんでした。

マークの受け渡し、どこまで付いて行くという部分はさほど問題を感じません。

献身的に、集中して、守備のタスクを遂行していました。



 問題は、単純に、マークの基本が身についていないこと。

フットサルというより、サッカーでも出来ないのではないか。

と言うのも、彼のポジションは、FWです。

FWの守備は、前向きに行います。

コースを切って、相手を追い込んでいく。

縦パスが出れば、挟みに行く。

全て、前向きにプレーが行われます。

そのプレーにおいては、得意なはずです。



 ただ、フットサルだと、瞬間的に最後尾まで下がることもあります

最終ラインのDFが普段行うようなプレーが求められます。

ボールと人とを同一視に収め、オフのマークをする。

この習慣が、普段無い?!

彼のポジションでは、通常、求められない動きです。

出場して早々に、裏を取られ、ピンチを作ってしまっていました。

単純に、同一視を怠った、エラーです。

フットサルだからミスをしたわけではない、と感じました。








 今回の日本代表、外から見ても、チームがまとまっていました。

スタンドから見ていて、三浦カズ選手は、ちょこちょこと動いていました。

試合に出ない時は、出ないなりの仕事がある、とでも言わんとばかり。

体をほぐす、WーUP。

味方選手の肩や背中を触り、声を掛ける。

コートに向かって、声援を送る。

大ベテランがそのような行動をとっていたら、周りはどう感じるでしょうか。

必ず、プラスに働きますよね。

彼は、自分の影響力を分かっているのです。

コートの上だけが、彼の活躍場所ではない。

取り組む姿勢や、存在そのものが、チーム力を一つ押し上げてくれる。








 普段にも増して、スタンドから大きな声援が飛んでいました。

大きな大きな日の丸が、スタンドを駆け上がりました。

完全にホームの雰囲気を作り上げていたのです。

サポーターの盛り上がりは、彼の存在が後押ししていたはずです。

会場の多くの人間は、三浦カズ選手が大好きなようです。

あの雰囲気を現場で感じた人は、同じ感想を持つはずです。

彼は、不思議な力を持っていますね。

コートの中でも外でも、存在感を発揮してくれます。








 ブラジル代表は、本気とは言い難いチームでした。

2点を取り返すために、ギアを上げた時間帯はありました。

ただ、試合の入りなどは、完全に調整段階。

リスタートも、パターンを見せてはくれませんでした。

それでも、彼らには王国のプライドがあります。

サッカー以上に、フットサルにおけるブラジルの名前は、偉大です。

そのブラジル代表と引き分けに持ち込んだことは、高く評価されるべきことです。

タイで開催される、フットサルワールドカップが、ますます楽しみになってきました。
posted by プロコーチ at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月19日

日本対ブラジル戦から

日本対ブラジル戦で、ブラジル人選手が見せてくれたプレーを幾つか。



・トゥーキック

ブラジルの先制点。

高い位置でボールを奪ったブラジル代表。

オスカール選手が一瞬ためを作り、横に流します。

ペナルティエリアのやや外。

シュートを打て!とメッセージを感じられる横パスです。

走り込んだパウリーニョが、そのままワンタッチでシュート。

スリッピーなグラウンドも幸いして、勢いのあるボールが隅に突き刺さりました。

軽く合わせたように見えたのですが、ボールは思ったよりも勢いがありました。




 スローで見ると、なんとトゥーキックでシュートを打っているではありませんか。

止まっているボール、前に転がるボール、前から転がってくるボール。

これらのボールをトゥーで打つことは、さほど難しいことではありません。

ただ、横から転がってくるボールを、小さいモーションの1タッチでトゥーキック!!!

そのアイデアは、南米の選手ならではのものと言えます。

彼らは、トゥーを好んで使います。

そして、多少無理な形でも、ゴールを貪欲に狙います。

おそらく、インステップでドン!と打っていたら、川島選手は止めていたでしょう。

GKが構える時間を与えてしまいますから。




 さらに恐ろしいのが、ボランチのパウリーニョ選手があのプレーを見せたこと。

アタッカーの選手ではなく、ボランチの選手が、ゴール前でアイデアを見せる。

ゴール前で、腰が引けたように、パスで逃げることなどあり得ない。

そんな強い意志を感じさせるゴールでした。









 
・フッチボウは戦いである

ネイマール選手。

ブラジル・サントスに所属する、次世代のスーパースター。

説明不要な存在に、既になっています。

彼は、競争の厳しいブラジルで、若くして代表の中核まで登り詰めています。

技術の高さ、決定力の高さ、未来を感じさせる年齢、愛嬌なある笑顔。

名門サントスを南米王者に導く、勝利強さ。

スターになる、すべての要素を兼ね備えています。





 彼のさらなる活躍を確信させるプレーがありました。

それは、内田選手との戦いです。

右サイドバックの内田選手。

当たりの激しいブンデスリーガの基準が体に染み付いています。

体の大小にかかわらず、1対1で当たり負けることが許されないドイツ。

既に3シーズン目を迎えた彼は、もちろん激しい対人プレーが身についています。






 ネイマール選手が、ボールをドリブルで運びます。

内田選手は、負けじと、ガツン!!とぶつかります。

足を押さえながら、地面に転がるネイマール選手。

ファールこそ取られませんでしたが、ファールになってもおかしくない接触プレー。

審判の方に、うらめしく目線を送るネイマール選手。




 時間をおいて、再び、2人が交錯します。

次は、内田選手が、足を押さえて倒れ込みます。

足が入ってしまったのかな?くらいで見ていると、そうではありませんでした。

スロー再生が流れます。

すると、明らかに、内田選手の足を目掛けて、タックルするネイマール選手。

明らかに、さっきの交錯したプレーの仕返しをしたのです。



 その行為は、褒められたものではありませんし、推奨はもちろん出来ません。

しかも、狡猾なやり方で、この接触プレーを演じています。

ボールに向かっているように見せているので、危険なプレーには「一見」見えません。

スローで見ると、スパイクの裏で、むこうずねを踏みつけています。

暴力的この上ない、やってはならない汚いプレーのはずです。




 世界のトップオブトップでやっていくためには、この強さが必要なのでしょうか。

それとも、ネイマール選手に流れる、ブラジルの血がさせたのでしょうか。

フッチボウ(サッカー)は戦いだ、ひるんだ姿など、相手に見せてはならない。

DNAレベルで刻み込まれている?




 ネイマール選手が、技術が高いだけの選手ではないことを見せた瞬間です。

もしかすると、この先、退場してしまうこともあるかもしれない。

でも、目の前の相手に、やられたままでは終わらない!

彼は、熱い魂を持っている。

この、熱く戦う魂は、世界で戦うためには欠かせない要素。
posted by プロコーチ at 15:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする