2012年07月20日

組織の崩壊

 なでしこの良さは、11人全員で試合を戦い続けること。

そして、選手が変わっても、その良さは変わらない。

圧倒的な、個の能力で勝負しているチームではない。

チームの中心で、世界最高の選手と認められた、澤選手。

彼女でさえ、最高の組織があるからこそ、輝いている。

そして、一人一人の選手の輝きで、組織が強まる。

1つの理想的な集団と言えるのではないでしょうか。

例外は、宮間選手のプレースキック。

彼女のセットプレーのキックは、世界のトップレベルでしょう。







 そして、11人集団で戦うことで、相手の良さも奪うことが出来る。

攻撃においては、多くの人数が関わるで、数的有利を作る。

パスやドリブルで、相手の守備陣を置き去りにする。

守備においては、ボールの場所、状態によって11人が動く。

相手の攻撃を遅らせ、選択肢を奪い、囲い込んでボールを奪う。

多くの人間が関わることで、攻撃の終わりが守備になっている。

守備の終わるやいなや、攻撃が始まっている。









 ロンドンオリンピックを控えた、フランス戦。

ワールドカップでもベスト4に残った強豪チームとの対戦です。

チームの仕上がりを見るには、最適だったでしょう。

真剣に金メダルを狙っている、なでしこ。

結果は、0対2での敗戦でした。

おしいシュートもありました。

ただ、試合全体を見ると、完敗に近い内容だったでしょう。







 特に、サイドバックの背後のスペースを繰り返し狙われました。

日本のサイドバックは、守備よりも、攻撃に力を発揮する2人でしょう。

頑張って守備にも戻りますが、彼女たちのよさは攻撃になったとき。

高い技術を発揮し、攻撃の基点にもなり、決定的な仕事をもこなす。

攻撃の時には、開いて、高いポジションを取ります。

センターバックよりも、10〜15Mほど高い位置。

中盤のセンターと同じ高さまで、上がっています。

攻撃の組み立てに積極的に関わっていく。

チャンスがあれば、サイドハーフをも追い越して行く。

なでしこの攻撃が上手くいっているかは、SBのプレーがバロメータになります。







 フランスは、ここを繰り返し突いてきました。

センターバックとサイドバックとの間にスルーパスを通す。

単純にサイドバックの裏に、縦パスを出す。

サイドチェンジをして、サイドバックを横に走らせる。

日本のサイドバックを守備に走らせる。

対戦相手が、サイドでスピードに乗って攻撃することを繰り返す。

スピードに乗って1対1で仕掛けてくる。

すると、日本のDFライン全体が、ずるずると下がっていく。

サイドでの対応が後手に回ったのが、大きな敗因の一つです。









 単純なスピードで負けた。

シンプルに高さで負けた。

そう考えては、ならない。

なでしこの良さは、相手の個人の能力を消してしまうこと。

集団で、戦うこと。

不利な状態での1対1を作らせない。

相手の速さ、高さが目立たないように戦いたい。

相手の速さ、高さが出てくるのは、組織の崩壊を意味します。

主導権を握って、試合を進めたい。

相手の対応に追われ、主導権を握られているのは、なでしこの本来の姿ではない。







 こうした大会で優勝を狙うチーム。

ベスト8以降に照準を合わせていく。

事前合宿で、体を追い込み、短期決戦に備えた体作りをしている。

大会前や、グループリーグは、体が重たく、あまりいい試合は見せれない。

ただ、大会が進むごとに、良さを発揮していく。

なでしこが、その状態であることを信じています。

もし、今が、本調子だったらベスト8くらいが精一杯のチーム状況ですから・・・。
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2012年07月06日

典型的なセンターフォワード

 ユーロ2012は、終わってみれば、スペインの優勝でした。

ユーロの連覇は無いだろう。

ユーロ、ワールドカップ、ユーロの3大会連続制覇は無いだろう。

プジョル、ビジャの不在を懸念をする声も大きかった。

ドイツ、フランスなど、違う国を優勝候補に挙げた人も多かったはずです。

彼らの攻撃的なスタイルが、一つの流行のようになって行くのでしょうか。

4年間以上も、世界のトップに立ち続けているのですから、自然の流れかもしれません。







 今回の、スペイン代表の大きな特徴の一つ。

典型的なセンターフォワードを配置しない。

0トップとも呼ばれる形で戦ったことが、挙げられます。

ビジャがおらず、トーレスが不調だったためなのか。

それとも、元々、セスクをあの位置にすえて、0トップで戦う予定だったのか。

その真相は、監督の胸に聞いてみなければ分かりません。









 最前線で体を張って基点になり、味方の押上げを助ける。

組み立てはポストプレーで関わり、後はゴール前でラストパスを待つ。

最大の仕事場は、ペナルティボックスの中!

まるで、殺し屋のように、一撃必殺で、相手を冷静に仕留める。

ボックス内でシュートを決めるには異才を発揮する。

でも、ドリブルやパスはアマチュアレベル。

例えば、ゲルトミュラー、インザーギのような選手。










 一番多かった形が、0トップであったのは事実です。

まるで、バルサでメッシをあのポジションに置いているかのようです。

バルサのメッシも、スペインのセスクも、典型的なセンターフォワードではありません。

セスクやメッシの仕事は、もっと広範囲で行われている。

中盤に下がってきてボールを受ける。

そこから、ドリブルやパスで、積極的に組み立てに関わる。

ボールをキープする能力を活かして、組み立ての中核を担うほどです。

周りの選手も、それを信じて動き出します。

サイドに流れて、ボールを受ける。

時には、DFラインの背後を狙って、飛び出そうとする。

流動的なポジショニングを取っているので、どのポジションの選手なのか見分けがつかない。

ジョレンテ、トーレス、ネグレドの典型的なセンターフォワード。

チームにおける、彼らのプライオリティが低かった。

スペインのレベルの高い選手が、中盤に偏っているのか。

それを、上手く逆手にとって、チームの戦略を立てたとも言えます。









 これは、日本代表も、参考になる形かもしれません。

決定力不足、国際的なストライカーが生まれない。

釜本さん以降、日本には、点取り屋が出てきていない。

大きな大会が終わり、敗退するたびに言われ続けていることです。

だったら、その考え方を変えるのも一つです。

DFが守り、MFが組み立て、FWが点を取る。

その考えを辞め、皆で組み立て、誰かが点を取る。

0トップと言うのは、表現の一つにしか過ぎないのですが、考え方は面白い。








 実行するには、大きな問題点が2つ。

1つは、ポゼッションで、常に相手を上回らなくては、成り立たない。

ボールをポゼッション出来ているから、様々な選手が、得点に絡むチャンスが増える。

ボールを動かしながら、相手の穴を見つけて、ボールと人とを送り込む。

ボールが回らなくなったら、機能しなくなる。

スペインも、クロアチア戦では苦労してしまいました。








 そしてもう1つは、ゴールが生まれるその瞬間に、ゴール前に誰かが入らなくてはならない。

実は、これは、スペインも出来ていない部分。

特に、サイドからのボールに対して、ニアに飛び込む選手がいないことが、多々あります。

生粋のFWなら、必ず狙うポイントなのですが、そうでないと嫌がるのでしょうか。

チャンス!その瞬間に、ゴール前に入ることが出来るかどうか。

中盤の選手は、パスをさばいて満足する傾向があります。

パス&ムーブで、ゴール前の相手にとって危険なスペースに飛び込むことが出来るか?!






 この2つの問題さえクリアすれば、日本代表が取り組むのもありかもしれません。

典型的なセンターフォワード。

我慢強く、育て、抜擢しようとするのか。

それとも、あきらめて、いないものを前提としてチーム作りをするのか。
posted by プロコーチ at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月29日

評価基準

 守備の国、カテナチオ。

イタリア代表と言えば、守備が堅いことで有名です。

好みも分かれるのではないでしょうか。

好きではない人は、「守ってばかりでつまらない」

やっぱりスペインのように、パスやドリブルで相手を崩していくスタイルがいい。

守って、一発のカウンターに賭ける戦いは、嫌いだ。

好きな人は、個々の選手好きなのか、それとも組織で戦術的に戦う部分なのか。








 今回のイタリア代表は、モデルチェンジを図っています。

プランデッリ監督のもと、イメージを一新。

ポゼッションをし、自分たちがボールを持つ時間を長くする。

ボールを動かしながら、相手の穴を突いていく攻撃も狙う。

以前のように、相手にボールを持たせておいて、とは異なる戦い方を志向しています。

ゴール前に守備陣系を形成し、カウンターを狙い続ける。

それは、昔の姿になりつつあります

ポゼッション率は高まり、パスの本数は増えました。

そして、攻撃に関わる人数もグンと増えました。

そして、彼らは結果を出しつつあります。








 と言っても、その源泉になっているのは、やはり高い守備の意識、能力でした。

その最たる例として、ポジションが変わったときの守備の応対があります。

元々は、サイドアタッカーの選手が、サイドバックを務める。

攻撃力を買われ、チャンスを見て、攻撃参加を仕掛けていく。

現代フットボールに欠かせない、サイドの攻防で優位に立つためでしょう。

例えば、ザンブロッタに、アバーテなどです。

他にも、中盤の選手が最終ラインに入っても、本職のDFかのような仕事をします。

今回のデロッシ、2006年オーストラリア戦のガットゥーゾなどです。

つまり、攻撃が得意な選手であっても、守備の能力を有しているのです。










 選手のどこを見て、評価するのか?

ファンや、マスコミ、もちろんコーチにフロントに、同僚の選手たち。

イタリアでは、その評価基準に、守備の項目も入っている入っているに違いない。

育成世代から、守備が出来ることが、評価の対象の一つになっていたのでしょう。

それは、プレーを観ていても明らかです。

低く腰を落としたいい構えで、ボールに寄せている。

ボールの移動中にアプローチし、細かいステップから一度止まって、さらに寄せる。

粘り強く対応し、どんどんプレッシャーをかけている。

それを全てのポジションの選手が、遂行している。

いいアプローチが、相手の選択肢を奪い、守備を楽にしている。

そして、ギリギリまで粘り強く応対し、体を張って、足を出す。

相手にしてみれば、ここまで嫌なチームはないでしょうね。


 







 他の国のアタッカーや中盤の選手は、こうは行かない。

例えば、ドイツ。

忠実に、粘り強く、最後まで戦う国であったはず。

イタリア戦の2失点目。

バロッテリがDFラインの背後を奪った、あのゴールです。

この瞬間、自分勝手にラインを止めオフサイドトラップをかけた選手。

マークの受け渡しをサボった選手。

裏に走られた時に、本気のダッシュで追いかけなかった選手。

カウンターだったためか、ドイツは中盤の2人の選手が、たまたま対応していました。

そして、無責任な対応で、ゲームの流れを決める、2失点目を許してしまいました。









 これがイタリアの選手なら、なんとしても相手を止める努力をしていたはずです。

シュート体勢に入られたとしても、シュートを打たれても。

ボールがゴールネットを揺らされるまでは、何かが出来る!!

そう自分に言い聞かせ?

もしくは、体が勝手に反応する?

とにかく、諦めずに、最後まで応対していたに違いありません。

文化にまで昇華された守備。

どれだけ攻撃的なチームを目指したとしても、根っこは変わらない。

この部分が、やはりイタリア代表の源泉に見えるのは、私だけではないはずです。
posted by プロコーチ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月22日

長所を消す戦い。

 ユーロが熱く盛り上がっている影で、ロンドンオリンピックも迫っています。

U−23の男子、フル代表の女子、本大会に向けて、準備を進めているようです。

特に、ワールドカップに続いての活躍が期待されている、なでしこJAPAN。

あの金メダル以来、女子サッカーに対する注目度は高いものがあります。

この注目を、続けさせるためには、ロンドンでの活躍も求められているでしょう。







 ところが、今回のスウェーデン遠征では、足踏みをしてしまいました。

固定のメンバーで戦ったわけではありません。

確かに、選手の選考、新たな選手とのすり合わせの側面もありました。

そして、澤選手が本調子でないのは、大きな、大きな痛手です。

準備の段階で、多くの膿を出してから、大会に臨めばいいという考え方もあります。









 多くのエクスキューズはありますが、気になる点があります。

それは、対戦相手であるアメリカとスウェーデンが、日本対策を施してきたことです。

アメリカは、一時期、短いパスをつなぎながら、攻撃を組み立てる傾向をみせていました。

まるで、なでしこの戦い方を、模倣するかのように。

ところが、今回のアメリカは、違いました。

ワンバックのパワーと高さ、モーガンの馬力とスピードを押し出してきました。

単純にボールを放り込むだけではないのですが、前線のタレントを最大限に活かそう。

そんな意図が伝わってきました。

日本の土俵で戦うのではなく、自分たちの強さを押し出す。

日本の守備陣と勝負するのは、足元ではない。

裏への長いスプリントであり、高さやパワーである。



 日本の守備組織は、フィールド10人が、整然と動き、コンパクトな状態を保つ。

そしてボールを、狭いところにおびき寄せ、からめ取っていく。

FWは前線からボールを追い、後ろには挟みに行く。

MFとDFは前後にラインを上下させ、左右にスライドし、ボールを中心に対応していく。

お互いの距離は、密であり、相手と1対1の状況を作らない。

ごちゃごちゃな状態に、相手を追い込んでいきたい、はずでした。

ところが、振り回され、後ろに走らされ、ぶつけ合いで消耗させられた。

お互いの距離は離れ、DFラインは下がってしまう。

アメリカのスピードが乗った攻撃を、何度も許してしまいました。









 結果どうなったか。

守備でリズムが生まれない。

守備の局面で、体力を消耗してしまった。

攻撃にパワーをさけなくなってしまった。

もちろん、90分を通して、理想的な攻守が出来るわけではありません。

我慢しなければならない時間帯もあるでしょう。

でも、どれだけの長い時間、耐えなければならないのか?

どれだけの時間、主導権を奪われたままで、試合を進めなければならないのか?

あまりにその時間が長ければ、いかに自信と実力をもった集団でさえ、耐え切れないでしょう。









 この原因は、対戦相手の戦い方にあります。

なでしこは、世界中から追いかけられる存在になりました。

対戦相手は、なでしこを研究します。

どうすれば、なでしこの強さを抑えることが出来るのか?

どうすれば、なでしこの弱点をつけるのか?

自分たちのストロングポイント、ウィークポイントを見つめる。

アメリカは、自分たちの良さを、ぶつけてきました。

スウェーデンは、なでしこの良さを消すために、後ろに引いて固める戦い方でした。

なでしこは、ボールは動くものの、明らかにパスのテンポが悪かった。

自分たちのストロングポイントが出せないなら、相手のストロングポイントを消す。

相手の良さを消しながら、勝機をうかがう戦い方。









 
 男子のフル代表にも、同じことが言えます。

オマーン代表、ヨルダン代表は、自分たちの良さを出そうとしてきました。

良さを出し合う戦いなら、今の日本代表は、やりやすいようでした。

埼玉のピッチ、サポーターも助けになったでしょう。

日本代表は、両国を寄せ付けず、完勝しました。

一方、アウェイでのオーストラリア代表戦。

ロングボールを多用し、日本の弱い部分につけこもうとしました。

結果、日本の弱い部分が露になり、何度も失点のピンチを迎えていました。








 ところが、3試合を終わって、日本の良さを消す戦いをするチームはありませんでした。

日本の良さは、中盤でパスを回す組み立てと、サイドアタックにあります。

日本の攻撃陣から力を奪うために、どうするのか。

後ろに引くのでも、FWや本田選手をマークするのでもない。 

特に、遠藤選手、長谷部選手のボランチは、生命線です。

ここを徹底的に潰しに来なかった。

FWの選手と、中盤の攻撃的な選手とで、ここを潰しに行く。

もし私が相手チームの監督なら、一番に考える、日本対策です。

私が考え付くのですから、対戦相手の監督なら、当然のように対策を施してくるはず。

アジアにおける日本代表、女子の世界におけるなでしこは、目標とされる対象です。

その時、日本代表、なでしこはどんな戦いを見せてくれるのでしょう。









 対戦相手が、自分たちに対して、何をしてくるのか?

特に、成功を収めたチームに対する包囲網は厳しくなるでしょう。

それならば、さらにその上を行く、武器を準備しておく。

対戦相手が、自分たちの良さを消してきた時に、それを上回ることが出来なかったら?

そんなはずはない、自分たちの戦いをすれば、間違いない。

もがき苦しみ、時代が変わっていく。

どんなに強いチームにも、サイクルがある。

それは、選手のピークが過ぎたから、サイクルが終わっただけではない。
posted by プロコーチ at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月05日

オマーン戦から(最終予選、12年6月3日埼玉スタジアム)

 久々に、スタジアムで日本代表の試合を観戦することができました。

南アフリカでの、日本対パラグアイ戦以来!!

しかも、手配してもらったチケットは、バックスタンド中央付近という抜群の場所。

(ありがとうございます。)

8列目という前の席だったので、全体を俯瞰するのは難しかった。

その分、個々の選手、グループの動きを観るには最適の席でしたね。

そこで気付いたことを幾つか。







・W−UP

ここは同席していた同僚のコーチの伝聞になります。

W−UPで、定番のステップワークを何種類もこなした。

方向を切り換えたり、ステップを変化させたり。

試合で出てくるであろう、様々なステップをコーチの指示の元に行う。

香川選手辺りは、軽快なステップで、アジリティの高さを見せる。

遠藤選手は、のんびりとマイペースで、性格が出ていた。

ところが、1人別格の選手が。

長友選手だそうです。

ステップのキレと、方向転換の速さは、代表選手の中でも別格。

迫力すらも感じさせるレベル。

インテルのレギュラーともなると違うな。

あのステップを見るためだけでも、早めにスタジアムに足を運ぶ価値がある!!







・横幅を使う選手

1−4−2−3−1の並びで、日本代表は戦いました。

2列目の3選手、香川・本田・岡崎選手のポジションは流動的です。

お互いにポジションチェンジを繰り返しています。

相手DFは、マークを確定しづらいはず。

マークのズレを利用し、ボールを受けるプレーを試みます。

オマーン戦では、とても有効に働きました。

これは、日本がボールを長い時間保持できたからではないか。

もし、相手が中盤や最終ラインに激しくプレスをかけてきたら、苦労するかもしれません。

ポゼッションでも下回る展開も考えられます。




 その一方、横幅の広がりを作る選手が少ないです。

その役割を主に担うのが、2列目のサイドに位置する2人と、サイドバックの2人。

この計4人が、横幅を拡げる役目を担うはず。

タッチラインを踏むこと。

スパイクの裏を、白く汚すこと。

特に、2列目の2人が、どうしても、中に中に選手が入ってきていたため、窮屈にも見えました。

オマーンのDFがゆるかったため、それでもボールは回っていましたが。

奥行きを作り、横幅を拡げ、ボールを動かすスペースを拡げたい。

ゴールを直線的に狙えないならば、この動きが必要になってくるはず。

この狭さが、香川選手が、たくさんボールを受けれなかった要因の一つでしょう。









・守備における責任感の強さ

日本代表が快勝出来た影には、守備における頑張りがあります。

ボールに、対する守備をしている。

仮に、ドリブルで外されたとしても、粘り強く追いかけていく。

ボールを奪われた後も、同じです。

数10M先まで、相手を追いかけていくシーンが、何回もありました。

一度外されてしまうと、体勢は崩れ、心も折れかけてしまう。

そこで、再び、ジョッキー。

このプレーは、攻撃的な選手は、ついさぼりがちです。

味方の守備の選手に、頼ってしまう。

自分の責任を放棄していることに、気付かないのか、気付いていても無視しているのか。

この日の日本代表の選手たちは、責任感を強く持って、守備をしていました。

チームの雰囲気がいいのか、それとも規律がしっかりしているのか。

いずれにせよ、今後、最終予選を戦う上で、大きなプラスの要因になるはずです。







・見えていない。

前半早々に、本田選手のゴールで先制をしました。

数分後、すぐに次のチャンスが来ました。

内田選手がインターセプトし、そのまま、相手DFラインの背後にロングフォワードパス。

スペースに走りこんだ香川選手がコントロールして、シュート。

GKに止められるものも、押し込んでゴール!したかに見えました。

ところが、走りこんだ時点で、オフサイドフラッグは上がっていました。

私たちはスタジアムで観ていて→オフサイド臭いな→副審を確認→残念・・・。

多くの観衆は違いました。

全くオフサイドに気がつかない。

それどころか、ゴールと勘違いして喜ぶ。

半分とまでは言いませんが、かなり多くの場所から、大歓声が上がっていました。




 今、ボールがある場所しか見ていないのでしょうね。

ボールが無いところの動きに注目していれば、オフサイドに気がついた。

縦パスの瞬間に、副審を目をやることが出来れば、オフサイドに気がついた。

ゴールした後、審判がどのような動きをしていたかをみれば、オフサイドに気がついた。

この香川選手のプレーは、得点どころか、イエローカードの対象にすらなり得るプレーでした。

実際、相手GKは、主審に詰め寄ってアピールをしていました。

岡目八目と言うはずなのですが、少し残念に感じました。








・現実主義者のザッケローニ監督

3対0のリードをし、後半の残り時間が少なくなっていきます。

その時、新たな興味がわいてきました。

フレッシュな選手を見たい!

特に、プレミアで活躍し始めている宮市選手を見たい。

スタンドの周りの席からも、そのようなつぶやき声が聞こえてきました。

ところが、ザッケローニ監督の決断は違いました。

最後の交代カードとなる3人目は、細貝選手。





 しかも、遠藤選手に替えて、中盤の守備的な位置に入りました。

明らかに、試合をこのまま終わらせるためのメッセージ。

今後、アウェイで1対0で勝っているシュミレーションをしたのでしょうか。

それは、サポーターの期待とは違いました。

細貝が出てきた時に、観客からは、何とも残念がる空気が出ていましたから。

長い予選を考えると、もちろん当然のシュミレーションなのです。

ちなみに私も、同じアイデアを持っていました。

私も現実主義者なのでしょうね。

残念ながら、エンターテイナーではないですね。




 


 さて、最終予選の出だしとしては、最良とも言える1試合目でした。

次の試合は、どのようになるのでしょう。

オマーンは、べた引きではありませんでした。

まだ安心して、観戦するには早そうです。
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2012年03月16日

代々木体育館に向かう

 フットサルの全国選手権、プーマカップを観戦してきました。

ベスト8からの会場は、いつもの代々木体育館。

平日の午前、昼間にもかかわらず、それなりの数のお客さんが足を運んでいました。

年齢層も、春休み前で早帰り?の小学生から、社会人、シルバー世代までの多様。

フットサルの普及を肌で感じました。

土曜日の明日は、もっと多くの動員が見込まれるのでしょうか?








 私は、毎年のように、このプーマカップを観戦させてもらっています。

金曜日の朝から開催される、ベスト8.

平日の方が、時間の自由が利くためで。

日本のトップレベルの試合を観れる、数少ないチャンス!

試合の合間に、階段を降りてコーヒーを飲んでいると、昔馴染みに再会。

コーチ仲間であったり、学生時代の仲間であったり。

この業界は、狭いですね。

プチ同窓会になるのも、毎年の楽しみでした。










 でも今年は、行くかどうか、ギリギリまで悩んでいました。

思い出しくないことを、思い出してしまいそうだからです。

と言うのも、昨年のプーマカップのベスト8は、3月11日の金曜日でした。

東日本大震災の当日です。

昨年も、観戦に訪れていました。

そして、試合観戦の中休みに、一度退室し、ランチを取ろうとしていました。

共に観戦していた後輩と、原宿駅前のスパゲッティ屋さんに入り、注文を待っていました。

その時、あの忘れられない、大きな揺れが起こったのです。

一昨日の水曜日、大きめの地震がありましたよね。

そのせいもあり、あの日の記憶が蘇っていました。









 朝起きるまで、行くかどうか、悩んでいました。

悪い予感がしたのかもしれません。

記憶が、より鮮明に蘇るのが怖かったのかもしれません。

サッカーもフットサルも、観るのも、するのも大好きです。

仕事にしているくらいですから、フットボールが好き!と言う気持ちは負けたくありません。

それが、こんなにも気が進まない、フットボール観戦は初めてでした。

でも、代々木体育館に足を運びました。

あれから、1年。

プーマカップは、当たり前のように、開催されていました。









 結果として、私は、観戦して良かったです。

ゲームを生で観戦することは、やはり楽しい。

選手や、コーチの熱いものを近くで感じられる。

あの音、迫力、スタンドに行くからこそ、感じられる。

そして、今年もまた、観戦できたこと。

観戦できたことそのものを、幸せに感じることができた。

自分が、健康に生きて、働き、フットボールに携わる喜び。

日々、当たり前に過ぎていくことにも、感謝しなくてはならない。

改めて、そう感じることが出来たのです。

今年のプーマカップは、少し特別なものになりました。
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2012年02月07日

試合に向けての準備

 U-23日本代表が、シリア代表との試合で敗れました。

予選グループ最大のライバルであるシリアには、勝ちたかった試合でした。

アウェイ、シーズン前のコンディション、劣悪なピッチコンディション。

言い訳はたくさんあるでしょう。

日の丸を付けている限り、口に出してはならないこと。

結果も、内容も、残念な試合でありました。







 試合は、1対2と、2失点したのですが、GKの権田のプレーが批判されています。

2失点共に、虚をつかれた感じではあります。

1失点目は、味方の大迫が頭で触って、コースが変わってしまった。

2失点目は、40Mほど離れた場所から、ドライブ回転がかかったロングシュート。

相手の動きから、シュートの瞬間を予測し、いいポジションをとりながら、応対する。

シュートの瞬間に、GKは両足を地面に着け、どこにでも反応できる良い構えをとる。

この鉄則通りのプレーをしづらいシーンではありました。







 ただ、2失点ともGKにとって、ノーチャンスの失点では無いはずです。

1点目は、つかむ、弾くの判断を正しく下せていない。

ボールをキャッチ(つかんで)し、体で抑えようとするプレー。

キッカーから蹴られたボールが、誰も触らずに飛んでくると思ったのか?

つかむ気満々のプレーでした。

味方の大迫が、頭で触ってコースが少し変わった瞬間に、この判断を変えることが出来れば!

ボールには間に合っているのですから、弾くことは難しくないでしょう。

実行のエラーではなく、判断のエラーのはずです。








 2失点目は、権田が外野ノックをたくさん受けていれば、防げていたのではないか?

バーの高さを越えて飛んできた、ロングシュート。

頭を超え、自分の後方に飛んでいくボールです。

スローで何度か見て見ると、彼の足が固まっている瞬間があります。

ほんの僅かの時間、おそらく1秒くらいでしょうか。

この固まる時間がなく、後方にステップを踏んでいれば、止めれていたのではないか。

もし、プロ野球の外野の選手なら、どうするのか?

打った瞬間、落下地点に向けて、走り出します。

間に合わないと判断したら、ボールを全く見ないことすらあります。

ボールが飛んでいく軌道を、止まって目で追いかけないと落下地点が分からない。

そのレベルでは、プロ野球の選手(外野)には成れていないはずです。

落下地点に素早く入るステップ、そして方向を変えるように片手で弾くセーブ。

この2つが出来なかった、実行のエラーが、この2失点目でしょう。









 この2つのミスで、日本代表は、勝ち点を失ってしまいました。

でも、そのようなことを言われてしまうのは、ポジションの特性ですよね。

GKやDFの選手が、いいプレーをしても、たいして賞賛されない。

ミスをしたら、叩かれてしまう。

このミスが、今回のように失点につながると、悲惨です。

罪を犯した、犯人かのような扱いを受けてしまいます。

それと同じ数、それ以上に、攻撃の選手もミスをしているはずなのに。

その部分を見ると、守備の選手は、損な役回りです。

94年ワールドカップの、コロンビア代表エスコバルの悲劇は、DFならではですね。








 たとえ、大きなミスをしても、フットボール人生は続きます。

おそらく権田は、今回と同じミスをしないために、トレーニングを重ねるでしょう。

DFやGKの選手は、一度犯した、大きなミスは忘れません。

そのミスを繰り返さないために、トレーニングを積み重ねます。

試合前んは、イメージトレーニングをするでしょう。

その時に、ミスをしたシーンが思い浮かぶはずです。

「失敗に学び、同じ愚を繰り返さないようにするにはどうすればいいかを考える。」

失敗学・・・ウィキペディアより。








 攻撃の選手は、違った考え方が多いようです。

自分が成功したシーンを思い浮かべる。

外してしまったシュートなど、振り返るのではなく。

2本、3本、10本とシュートやトライを重ね、成功を目指していく。

失敗学の考え方に、あまり囚われると、動きが縮こまってしまう。

のびのびと成功を目指してプレーしている方が、いいプレーにつながる。

10回トライしてダメなら、11回目。

シュートは打たなければ、プレーはトライしなければ、成功は無い。

これがアタッカーに求められる、一つの形なのではないでしょうか。








 攻撃の選手、守備の選手、共に目指すはチームの勝利であり、自分の好プレー。

それに対する、心構えや、アプローチが異なる傾向にあるようです。

共通するのは、過去に立ち止まってはならないということ。

成功にしても、失敗にしてもです。

「試合終了のホイッスルは、次の試合への準備の合図である」

デットマール・クラマーさんの、あまりにも有名な言葉にもあります。

若きU-23代表の彼らは、試合直後のインタビューで悔しさを滲ましていました。

おそらく、いい準備を始めているはずです。

彼らの、今後の成長を見守りたいです。
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2012年01月10日

拡がりを作らない

トーナメントの決勝戦を2試合観戦しました。

天皇杯、高校選手権と異なる2つのカテゴリー。

(女子の全日本選手権も含めれば、3つですね。)

興味深い現象が起こっていました。

それは、あえて拡がりを作らないことです。





プレーの原則という考え方があります。

守備から攻撃への切り替わりの局面において。

ここでは、出来るだけ早く攻撃の態勢を作ることを目的にします。

そのために、選手同志が拡がり・厚みを作り、いいサポートして行こうとする。

もちろんチャンスがあれば、ゴール方向、つまり前に向かおうとする。



そして、攻撃の局面に入ったら、どうなるのか。

まずは、突破。

ゴールに向かう、もしくは相手の背後を突く。

ボールを大事にするのは必要だが、得点を奪うために攻めているはず。

ゴールを奪うために、突破を考えるのです。

それが無理なら、狙いを切り替える。

幅と厚みを作る動きをし、拡がりを生み出そうとするのです。

スペースを作り、お互いにサポートをする。

拡がりを作ることで、ポゼッションしやすい状態を作る。

ゴールに一気に向かうことが出来なければ、ポゼッションを失わず、ゴールに向かって前進するのです。








ところが、天皇杯で惜しくも敗れた京都サンガF.C.。

彼らは、拡がりをあえて作ろうとしないチームでした。

突破が無理になり、サイドに展開した。

そこで、拡がりを作るのでは無く、あえて、近づいて行く。

片方のサイドに、人数を投入して行くのです。

お互いの距離はとても近い。

逆サイドには人が全くおらず、ピッチの6分の1くらいに7・8人が集まります。

そのサイドを突破されないために、守備側のFC東京も集まってきます。

すると、考えられないくらいの密集地帯が出来上がることになります。




京都の狙いは、狭くクローズなエリアに人数を掛け、相手を誘き寄せる。

そこから、自分たちのタイミングで、クローズなエリアから、広大なスペースに飛び出していくことでしょう。

この狙いを可能にするためには、狭いエリアでもボールを動かせる、高いボールコントロールの技術。

相手を閉じ込めるための、攻守・守攻の切り替えの速さ。

いつ、飛び出すのかを見極める試合を読む力を持った選手。

もちろん、相当の運動量。

まだまだ、荒さが見られましたが、大木監督が以前に率いた甲府を思い出させるような試合展開。

近い将来には、もっといいパフォーマンスを見せてくれるはず。

数年先が楽しみなチームです。






もう一つの拡がらないチームは、高校選手権の決勝戦を戦った両チーム。

四日市中央工業の方が、拡がって、ポゼッションしながら組み立てようとする意図は感じられました。

市立船橋は、ほぼ、拡がりを作らない。

特に前半は、顕著でした。

おそらく狙いは、リスクマネジメントの意識を高めたのでしょう。

拡がりを作らず、固まりのままで、攻撃をする。

前線やサイドの高い位置に縦パスを入れる。

後ろの6〜7人は、後方に残ってサポートしながら待機。

そうすれば、ボールを奪われたとしても、自分たちのバランスは崩れていない。

守備の態勢がすでに整って集結しているので、落ち着いて守ることが可能になるのです。






リスクマネジメントの意識は分かります。

決勝点となった、市船の2点目。

素晴らしいゴールでした。

ボールを奪って、くゴールに向かう。

パスとドリブル、そしてシュートを組み合わせた素晴らしいものでした。




このゴールの前に、四中工のCBが初めてオーバーラップをしたのです。

ボールを奪って、そのままの勢いで、最前線まで飛び出したのです。

そのCBが空けた穴は、ディフェンシブハーフが埋めていました。

最終ラインに落ちて、フォローしていたのです。

ところが、ディフェンシブハーフが落ちたことで、中盤のバイタルの位置にスペースが。

そして、そのバイタルエリアに侵入され、ゴールに結びついてしまったのです。

このような失点を避けるために、後ろの陣形を崩さずに試合を進めて行きたかった。

チームとしては、最後の最後に、エラーが生じてしまったのでしょう。

ただ私は、こう思います。

あの延長の時間帯に、リスクをおかして、ゴールを目指す姿勢を忘れないで欲しい。

CBの彼のオーバーラップは、勇気のあるプレーです。

CBの穴をディフェンシブハーフが埋めたように、ディフェンシブハーフの穴を他の選手が埋めていてあげれれば!

本人は後悔が残るかもしれませんが、前に飛び出した判断は間違っていないと思います。






2つの決勝戦。

2試合とも、最後まで全力を尽くし、戦い続けていました。

年の始めに、このような熱い試合を観戦出来、今年は縁起がいいようです。

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2011年12月20日

雑記(2011年12月18日)

クラブワールドカップの決勝戦を観戦して、いくつか。




 

 座席が、サンチスタに囲まれたエリア。

とにかく彼らは、口が悪い。

イニエスタを観ては、ハゲ、ハゲと連呼。

メッシ・マスチェラーノ目掛けて、オカマ!と叫ぶ。

やはり、アルゼンチンは嫌いらしい。

サントスが1点、2点と失点していく。

我チームの監督に向かって、*‘&%#、+*‘?と、書けないほどの汚い言葉を連呼する。

ブラジルから来てるぐらいだから、それほど貧しい層ではないはずなのに。

1・2試合のために、数十万円と、20数時間かけて旅行して、あの悪口・・・。







 ただし、サッカー彼らにとっては、フッチボウを愛する気持ちは感じました。

サントスのど真ん中にも、バルサを応援する小学生。

バルサのユニフォームやマフラーを身につけた子供たちがいました。

少しからかいながらも、優しい眼差しで話しかけていく姿。

そして、サントスが敗色濃厚になっても、チームを愛する声は、途切れることはありませんでした。

今から、2014年のブラジルワールドカップが待ち遠しいです。









 その座席の位置は、前から2列目のコーナー付近、やや真ん中より。

試合全体を俯瞰するには、全く適していない。

バルサの組織美、機能美を味わおうとするなら、最悪の場所でした。

その一方で、選手と同じような目線で観戦することが出来た。

選手一人一人にフォーカスさせて観るのなら、向いていたようです。







 良く、日本人の試合は、急ぎすぎていると言われます。

南米の選手・指導者はもちろん、ヨーロッパからも同じような印象をもたれているようです。

その言葉の意味を、改めて認識しました。

スピードアップ!

ギアをいつのまに切り換えたのか?

1速、2速から、一気に4速、5速にギアチェンジ。

フリーランニングで、ドリブルで。





 その緩急の差といったら、驚くばかりです。

ゆっくりの時は、本当にゆっくり。

ランニングスピードは、まるでお散歩のようです。

そこから、チャンスを見つけた瞬間。

迫力あふれる、スピードに切り換えて、崩そうとする。

ドリブルでも、運ぶドリブルでは、ゆっくりと。

相手の間合いを外しながら、間合いに入るのを避けるようにボールをずらしていく。

それと、崩しにかかった時の、スピードアップして行くドリブルとの緩急の差!

普通の人間なら、しりもちを突いてしまうのでは!?と思わせるほどでした。






 

 バルセロナのすごさは、どれだけ言葉を重ねれば表現できるのかは、分かりません。

規律を守って、プレーする姿。

ボールを奪われた後、切り換えて、ボールを奪うために襲い掛かる姿。

ボールをポゼッションしながら、俯瞰で観るものの、さらに上を行く発想。

動きながら、止まらずに、コントロール・パスする技術の高さ。

どれをとっても、次元が別のものでした。







 このすごさ、強さの源泉ではないか?というものを、感じた瞬間が試合後にありました。

テレビで放映されたかどうかは分かりませんが、いい姿でした。

90分間が過ぎ、試合終了のホイッスルが鳴りました。

全員でウイニングランをして、サポーターに感謝しながら、優勝を味わっていました。

4分の3周して、もう一度、ピッチの真ん中に集まりました。

すると、バルサ・バルサ・バルサの有名な歌が、スタジアムで掛かり出しました。

なんと、全員で手をつないで、ぐるぐる、ぐるぐる、飛び跳ねながら回りだしました。

そして、逆回り。

スタッフも、選手も、全員で勝利を祝うダンスです。

この曲は、バルサ・バルサ・バールサ!!で盛り上がって、終わります。

その瞬間に合わせて、輪が小さくなってきます。

腕を天に突き上げて、曲のエンディングを、最高潮で迎えました。








 恐ろしいほどのチームの一体感。

家族、もしかするとそれ以上の存在同士なのでしょうか。

長年一緒に時間を過ごして、同じものを目指している強み。

一緒に、同じように喜べる仲間と試合をしていること。

これこそが、バルサの強さの源泉かもしれません。

だとすると、他のチームがどれだけお金をかけても、真似をするのは、難しそうです。

10年、20年、今の強さが続くことすら、起こり得る。

それは、フットボール界の常識からかけ離れた妄想です。

どんな強いチームにもサイクルがあり、時の流れには、抗うことができないという常識。

でも、今のバルサなら!?その常識すら覆してしまうかもしれません。
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2011年12月16日

W-UPから。

 私が試合を観戦する時に、心がけていることがあります。

出来るだけ、ウォーミングアップ(W−UP)から観ようとすることです。

W−UPを観れば、チームの雰囲気、チームの目指す方向性や哲学、技術レベルが見えてきます。

そして、これからの試合で行おうとする、チームの戦略も見えてくるからです。

試合の展開をカンニングして見ているようなものかもしれません。










 昨日、クラブワールドカップの準決勝、FCバルセロナ対アルサッドの試合を観戦してきました。

バルセロナの試合を観るのは、久しぶりです。

彼らは、決勝に照準を合わせているチーム。

ここでは本気を見せてくれないとは分かっていますが、心は躍ります。

今のバルセロナは、突き抜けているものすら感じますよね。

他のトップクラブすらも、目標とするような存在。

それが現在のバルセロナではないでしょうか。









 バルセロナのW−UPは、ゆっくりしたものでした。

いつになったらそのペースを上げるのか?!

例えば、彼らの多くが所属しているスペイン代表。

2008年のユーロ準々決勝、2010年ワールドカップのグループステージ。

そこで私が目にした、内容、テンションとは全く異なるそれでした。

一言で言うと、やる気を感じない。

「この後の試合が、90分掛けて行われる、壮大なW−UPになるだろう。」

これが私の印象でした。

試合後も、その時に持った感想は変わりませんでした。

それだけ、力の差があるのでしょうね。

一方のアルサッドは、整然と、集中して、体や心に技術を準備しようとしていました。





 





 やる気を感じさせないバルサのW−UPでも、2つほど、目を引いたポイントがありました。

まずは、パス交換。

W−UPのほとんどの時間を費やした、フリー(選手に内容を任した)でのランニング、パス。

プジョルと、チアゴ、イニエスタの3人がずーーっと、パス交換をしていました。
(遠目だったので髪型に特徴のあるプジョル以外は違うかもしれません)

3人で、一辺10Mほどの正三角形を組みます。

そして、その場で、パスを回します。

単純に、ただ単純に、グラウンダーのパスを回します。

           ○








   ○●    →  →  →     ○


 私も、彼らの姿を、何の気なしに観ていました。

すると、全て、ワンタッチ。

しかも、パスはドンピシャ!

ずれたとしても、ほんの数十センチしかずれないのです。

大きく一歩踏み出して、ボールの正面に入ることは、一度もありません。

常にその場でパスを回します。

キレイな回転で、ボールがよどみなく回り続けます。

たまに、少しだけ弾むこともあるのですが、ずれることはありません。

ボールが斜め回転にもならず、ずれることもなく、グルグル回り続けます。

簡単にプレーしているのですが、ボールの質を追求している姿は、素晴らしいものでした。








 もう1つ目をひいたのは、ショートダッシュです。

W−UPの仕上げとして、様々なダッシュやターンをするのは、定番メニューですよね。

2,3人ずつ、コーチの手や笛、声の合図に従って、ダッシュ、ステップ、ターン。

試合で行うであろう、動きを取り入れる。

心拍数を一度高めておく、狙いを持つこともあるでしょう。

育成年代でも、トップチームでも、ほとんどのチームが、W−UPの仕上げとして行います。








 バルセロナも同じでした。

ただし、一目で分かる特徴がありました。

ダッシュの距離が、短いのです。

ほんの3M、5Mしか走りません。

他のチームは、10M前後くらいでしょうか。

30Mも走ることはあまり無いでしょうが、数Mしか走らないことも、目にしたことがありません。

対戦相手のアルサッドは、15~20Mほどの距離で、ダッシュを繰り返していました。

多くのチームがそうしているようにです。









 バルサの3Mダッシュ。

後ろ向きから、振り向いてダッシュ。

1つステップを入れて、ダッシュ。

1歩目から、100%で、数Mを走り抜けます。

速めのジョッグで戻ってきて、すぐさま繰り返し。

その瞬間だけ、スイッチが入ったように見えました。

彼らは、ゴール前、時には中盤でも、狭い局面で、勝負をします。

また、ボールを奪い返すために、一歩目から猛然とボールに襲い掛かります。

その時に、このダッシュが役に立たせたいのでしょう。









 スタジアムで観戦。

W−UPでカンニングしてから、キックオフを待つのが、一番お勧めです。

決勝のサントス、バルセロナのW−UPは、どのようなものなのでしょうね。
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2011年09月16日

バルセロナを倒すには

 ヨーロッパのフットボールシーズンが、本格的に始まりました。

各国のリーグ戦に続き、チャンピオンズリーグが始まると、いよいよ今年も!という気分に。

今シーズンは、日本人選手の挑戦も相次いで観ることが出来そうです。

この流れは、これからも加速して欲しいものです。



 そのためには、各選手が、各クラブで結果を出し続けること。

マーケットで価値がある選手、国であることをアピールし続けること。

松井選手が、フランスでキャリアを続けれているのは、上手いからだけではない。

フランスのマーケットで価値があると認識されているからでしょう。

マーケットに乗り、商品価値を認められている。

オランダやドイツに選手が次々と移籍している例が、この事実を雄弁に物語っている。

悪い例が、イングランド、スペイン、イタリアでの評価でしょう。









 昨年、圧倒的な力を発揮してカップを取り戻した、FCバルセロナ。

今年も、彼らが優勝争いの軸となるのでしょう。

チームとしての完成度の高さは、群を抜いています。

ショートパスを軸に、ポゼッションしながら、ゲームを進める。

ボールを奪われた後の、攻から守への素早い切り替えが、これをさらに助けます。

技術と、戦術眼とが、高いレベルで調和している。

そして、全員が、チームのスタイルに準じてプレーを行っている。

ここまで完成度の高いチームは、他に見当たりません。








 では、そのバルセロナを倒すためには、どうすればいいのか?

ある雑誌が、そのような特集を組んでいました。

記事を読んでいくと、各々の主張が異なっているのが、面白いのです。

日本人指導者(テレビでも理論派で有名なコーチです)と日本人評論家は、口を揃えます。

「バルサのように上手くなれば、バルサに勝つチャンスが生まれる」

チームのバルサ化を進めることで、対抗しようという考えなのでしょうか。

バルサは、65%以上ボールポゼッションが出来れば、勝利の可能性が高まると考えています。

ボールポゼッションを相手に受け渡すことなく、自分たちのボールポゼッションを高める。

そうすることで、勝利の可能性を高める、と言う考え方です。

時間が掛かり、簡単ではないことにも、もちろん言及しています。










 同じ事を、スペイン代表のデルボスケ監督も語っています。

「リトルバルサのようにプレーする。」

「バルサより上手く技術を連動することが出来れば、彼らに勝つことが出来るだろう。」

コンパクトな守備から、高速カウンターの可能性も挙げながらも、その方法は取らない。

「バルサ陣内で試合を展開することを目指すだろう。」

スペイン代表が、バルサと、もし対戦するなら、正面から攻撃を仕掛けるようです。

叶うことの無いマッチメイクなのですが、一度観てみたいとは思いませんか。










 ただ、イタリア人指導者は、そのように考えていません。

(ちなみに2人とも、バルセロナの素晴らしさは賞賛しています。)

2人の違う指導者から、同じような意見が出てきます。

1人は世界的な名将、もう1人は新進気鋭の監督です。

「バルサのようにプレーしてはならない。」

「バルサの哲学は学んでも、単なるコピーには意味が無い。」

自分たちイタリアに受け継がれている、独自のアイデンティティを忘れない。

ここをベースにしながら、さらなる進化を目指すこと。

決して、バルセロナのように振舞おうとするのではなく。








 そして2人は、異口同音に希望を語りました。

「バルサを倒すのは、イタリアサッカーである。」

それは、イタリア人監督が率いるチームなのか、イタリアのクラブチームなのか。

いずれにしても、夢ではなく、確信であり、宣言でもあるのです。

インテルがバルサを破った2009年。

今年も、バルサのホームで、ミランが2対2の引き分けを演じている。

彼らにとって打倒バルサの方法は、思い込みや、意地だけではないのでしょう。









 バルセロナ化、スペイン化を進めること。

それが、フットボールの進歩であり、世界へ近付く道なのか。

それとも、自国のアイデンティティを守り、革新を目指すこと。

こちらが、世界へ近付く道なのか。

私は、正直、イタリアがうらやましい。

バルサに敬意は払いつつも、自分たちのフットボールに、誇りを持っている。

はたして日本に、そのようなものはあるのでしょうか。

長い年月はかかるでしょうが、我々の手で築き上げなくてはなりません。

集団で、規律を持って行動することが出来るのは我々の特性の1つ。

これを、もっとピッチ上で表現することが、日本独自のアイデンティティになるかもしれません。


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2011年09月06日

スタジアムで観戦すること

 スタジアムで試合を観戦する。

テレビ観戦では届いてこない何かが、そこにはあります。

ましてや、ニュースやネットのダイジェスト映像では、全く感じられないもの。





 


 日曜日、久しぶりの観戦で、その「何か」を思い出させてくれました。

福田電子アリーナで、ジェフ千葉対東京ベルディの試合観戦です。

双方ともに、昇格争いに勝ち残るためには、ライバルを叩いておきたい!

単なる38分の1ではない、両チームの意気込みが伝わってくる試合でした。









 両チームの選手共に、レベルの高い選手が揃っていました。

J1でも十分戦っていけるのではないか?と思わせる能力を持つ選手たち。

特にベルディの選手、足元の技術は高かったです。

40〜50M級のサイドチェンジのパスが、何度も通ります。

キックも見事なら、ボールコントロールも見事。

パシッ、ファーストタッチで、ボールの勢いを吸収させ、スムーズに次のプレーに向かいます。

長いボールを、いとも簡単に扱う、出し手、受け手。

何気ないプレーのように見えますが、それほど簡単なプレーではありません。

サイドチェンジ好きのイングランド、アイルランド人。

彼らが見ていたら、大きな拍手が起こっているようなシーンでした。

ジェフの選手も、一人一人の技術はしっかりしています。






 
 彼らの優れていた点は、それだけではありませんでした。

どんなに理屈をつけても、最後は戦っているか、戦っていないか。

試合の原点は、目の前の相手・チームに喰らい付き、やっつけれるかどうか。 

歯を食いしばってでも、体を投げ出し、ぶつけていく。

そんなプレーの原点の部分を、発揮しようとしていました。

FWの選手でも、サイドアタッカーの選手でも、足先だけの軽く上手いプレーはありません。

体を張ってボールを守り、奪われたら、ダッシュでボールに寄せていく。

ルーズボールには、一歩でも先に触るために、スライディングを仕掛ける。









 その激しいプレーを皆がするものだから、接触プレーが、至るところで起こります。

フットボールは、コンタクト(ぶつかり合い)が当たり前に起こるスポーツ。

悪質な意図が無く、正当なチャージ。

これをノーマルコンタクトと呼び、審判も笛を吹かない。

特に今年は、その傾向が強く表れている。

http://futebol.seesaa.net/article/187794323.html

選手たちも、こけるだけでは、ファールをもらえないと理解したのでしょうか。

いちいちファールを要求するのではなく、耐えてプレーを続けようとしている。

それは、この試合でも同じでした。

福アリは、選手との距離が比較的近いので、コンタクトが在ったことはすぐに分かります。

「激しく行ってるな」「後ろから当たってるな」

ファールでもいいかな?と思う接触でも、かなり笛はなりません。

アドバンテージを取ってるわけでもなく、ノーファールの判定。

これは、トップレベルだから可能な笛なのでしょうが、明らかな変化に感じれました。

接触プレーが繰り返されると、何度も選手が痛んで、外に運ばれます。

それでも、選手たちは、戦うことをやめません。

選手からは、たくましさ、が伝わってきます。











 この基準の中でプレーを続けると、間違いなく強くなるでしょう。

そして、無用な接触を避ける術も身につける。

前回の北朝鮮戦で、私は選手からたくましさを感じました。

海外組だけではなく、Jリーグで試合をしている選手からも、同じく感じました。

北朝鮮や韓国と試合をすると、接触プレーが増えます。

そうすると、芝に寝転がっているのは、たいがい日本人選手。

これが、今までの、傾向ではなかったでしょうか。

ところが、コンタクトの部分でも、日本代表の選手が対等、それ以上に強さを発揮していた。

日々の積み重ねの成果と言えるものです。



例えば、遠藤選手と北朝鮮の選手が互いにスライディングして、相手が退場になったシーン。

あの時、北朝鮮選手のスパイクが高く上がり、遠藤選手の顔に入った!かのように見えました。

審判も、それで一発レッドの、厳しい判定を下したはずです。

ところが、スローの再生を観ると、遠藤選手は、手で相手のスパイクをブロックしていました。

スパイクが顔に当たるの予見して、見事にガードしていたのです。

激しいプレーなら、次に何が起こるかを、予測しているからこそ可能なプレーです。

(もちろん、年齢やレベルは、もちろん考慮しなくてはなりません。

 日常鍛えていないエンジョイプレーヤーに、求めても、怪我の原因以上にはならないでしょう。)







 ジェフ対ベルディの試合は、1対1の引き分けに終わりました。

暑さの残るスタジアムでしたが、最後まで選手は走り、ぶつかり、戦っていました。

上手い選手が、最後までファイトしている姿は、清清しささえ感じさせます。

フットボールの原点。

戦いに最も必要なものを見せてもらった気がしました。

当日のスタジアムには、子供たちもたくさん来場していました。

夏休みも終わっているのに、熱心なファンなのでしょうか。

試合帰りのような格好の子供たちも混じっています。

このような試合を繰り返し観ることは、彼らの成長を助けてくれるはずです。

明るい気持ちにさせてくれる、試合観戦でした。
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2011年06月28日

チームプレーとしてのドリブル突破

 女子のワールドカップが、ドイツで開催されています。

今回のなでしこジャパンは、優勝を目標に掲げました。

選手も、監督も、優勝を目指して、と口にしています。








 私は、女子のナショナルトレセンの研修に、毎年参加させてもらっています。

そこで、ナショナルトレセンのコーチのお話が思い出されます。

「北京オリンピックでは、4位に入賞することが出来た

 が、我々より上位の3チームは、いずれも優勝を目標に戦ってきたチーム。

 ベスト4が目標だった我々との違いは、そこに意識の差にあるのではないか。」

その教訓から、優勝を目標に掲げて戦うのが、今回のなでしこジャパンです。

本当に優勝をすることが出来れば、日本の女子サッカーが変わるのではないか?!

女子サッカーに微力ながらも携わってきた人間として、淡い期待を抱いています。









 そのドイツワールドカップの大事な初戦、ニュージーランドとの戦いでした。

結果は、先取点を奪い、追いつかれたものの、勝ち越しゴールを挙げ、2−1で勝利。

大きいけが人などもなく、まずまずの滑り出しです。

この季節のドイツは、いちばん気候がいい季節だと思われています。

ところが、突然、暑い日がやって来る。

2006年のドイツワールドカップがそうでした。

天気予報を見て、大体気温が、20度前後くらい。

長袖がいるのか?と思って準備してドイツに行くと、熱波が襲ってきました。

温暖化の影響があるのかどうかは分かりませんが、突然、10度以上気温が上がりました。

今回のニュージーランド戦を観ていても、気温の上昇に足が止まっているように感じます。

すると、嫌な記憶が蘇えったのは、私だけでしょうか。

体格の大きな選手が、暑さの中でも力を発揮し、体の小さい我々の足が止まり、・・・。

2006年、カイザースラウテルンでの悲しい記憶です。










 さて、グループリーグ初戦のニュージーランド戦。

先取点は、理想的な形で生まれました。

11人全員で、守備の組織を構成し、ボールの動きに合わせて、お互いのポジションを修正。

ボールを追い込んで、セントラルMFの前でボールを奪い、そのままゴールに向かう。

ボールを中心とした、ゾーンDF。

どこにボールを追い込んで、どのように、相手の自由を奪うのか。

彼女たちの取り組み続けている、最高の形で、先取点を奪うことが出来ました。

組織としての成熟度が、明らかになったシーンでもありました。








 先取点は良かったのですが、その後が続きません。

ボールは奪い、ゴール前まで迫るのですが、あと一歩、ゴールが生まれません。

そして、サイドを崩され、追いつかれてしまいます。

あのシーンを観ると、日本は、研究されているようです。

ボールサイドに人数を掛けるべく、全体がスライドしており、サイド裏のスペースが生まれやすい。

そこ目掛けて、長いボールを入れ、日本の狙いを外していく。

長いボール、高いボールで、走力、体格の戦いに持ち込む。

このやり方は、各国が、同じように取り組んでくるはず。

どのように対応するのか、見ものです。










 女子サッカーの特徴として、選手の資質を挙げることが出来ます。

・集団行動を好むこと。

・チームの規律、約束事、コーチの指示を遂行しようとすること。

この2つは、男子に比べると、歴然とした違いがあります。

現在のなでしこジャパンは、この特徴を活かしています。

チーム全体が、1つの生き物かのように見える。

自分の好まないポジションを与えられても、そこでの役割を全うしている。

それは、スター選手であっても、例外はありません。

澤選手にも、中盤のセントラルとして、守備のタスクをたくさん渡しています。

代表で70点以上のゴールを奪っている実績があっても、チームのために!と働いているのです。









 ドイツでのプレー経験を積んでいる、幾人かの選手にとっては、難しさもあるようです。

なでしこでは、チームの一員としての役割を求められる。

所属チームに戻れば、一人一人の選手が、自分の責任においてプレーをする。

1対1の勝負に負けることも、1対1から逃げることも、評価されない世界です。

所属チームと代表とで、求められることの大きな違いについて、選手がコメントしています。

アメリカで戦っていた、ある選手がいます。

能力が高く、女子サッカーでは、世界でもトップクラスのアメリカで、高い評価を受けた選手です。

ところが、チームの規律を重要視することに、なじめなかった。

もっと、自分の動きやすいようにプレーをしたい、とこぼしていたようです。

今回のワールドカップメンバーにも、残念ながら、選ばれることはありませんでした。

せっかく、高い能力を持っているにもかかわらず、チームにフィットできない。

より強固な組織にするためには、個の能力を高めることも、必須なのですが、惜しいところです。








 
 決勝点につながったプレーに、この問題の解決策を表しています。

宮間の美しいFKが直接ゴールに吸い込まれました。

そのきっかけとなったのは、岩渕のロングドリブルでした。

ハーフウェーライン付近から、40M以上もドリブルで、突き抜けていきます。

相手選手に囲まれても、怯まずに、一番狭い中央目掛け、さらに飛び込んでいきます。

その瞬間、ドリブルで、5〜6人の選手を引き付けていたでしょうか。

相手選手の足に引っかかり、FKをもらいました。







 この時、周りの状況はどうだったでしょうか?

解決策はここです。

実は、岩渕のドリブルは、1人だけの力ではなかったのです。

右には安藤が開き、左には永里が走っていて、左後ろには澤がサポートしている。

シュートも合わせると、5つの選択肢がある状態で、ドリブルで仕掛けていたのです。

周りの選手が、足を止めることなく、走ってくれていた。

だから、ニュージーランドのDFは、ドリブルだけに集中することが出来なかったのです。

もし、誰も走っていなければ、もっと早いタイミングで、複数人でつぶされていたかもしれません。

あそこまでボールを運べた可能性は、低かったはずです。









 周りの選手の協力があって、ドリブルなどの個人技が活きる。

このことを、どれだけ理解しているのか?

自分の能力をひけらかすだけの選手には、周りの選手もついてこない。

リーガで見せた、メッシの5人抜きドリブルは、エトーがずっと、横を走っていました。

ワールドカップでのマラドーナの5人抜きも、パスを要求する味方が、走り続けていました。

同じくワールドカップでのオワイランのドリブルシュートも同じです。

お互いの協力関係があるからこそ、華麗なプレーが生まれるのです。

単なる、持ちすぎのプレーではない、チームプレーとしてのドリブル突破。








 決勝点につながったプレーは、単なる、個人技の一瞬のきらめきではありません。

チームとしての、成熟度、チームの関係の良さも見えた、プレーではないでしょうか。

北京オリンピックの再現となる、なでしこの活躍に期待です。



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2011年06月10日

侵入してほしい。

 「バイタルエリアに、もっと侵入して欲しい。」 

日本代表対チェコ代表の、キリンカップの試合をテレビで観ながら、願っていました。







 チェコは、ヨーロッパのクラブチームがよく見せる守備の組織を作っていました。

DFライン4人と、MFライン4人との2本のラインで、ブロックを形成する。

8人が前後左右の関係を作り、お互い近い距離で、相手の侵入を許さない。

8人が前後左右に塊のまま、ずれて、応対していく。

そして、最後にはツェフが、ゴール前でどっしり構えている。

これが、チェコの守備組織でした。








 日本代表の攻撃は、ブロックの外で、ボールを運んでいるだけ。

ブロックの中に基点を作って、相手を崩す工夫が少ない。

特に、DFラインとMFラインとの間に入り込む選手が少ない。

本田が、散歩するように、ボールを欲しがっている。

その動きでは、マークがほとんど外れておらず、パスを通すのは、高いレベルが要求される。

中の狭い所にボールを付けることよりも、楽なところにボールを回していた。

ブロックの外にある、サイドの選手か、中盤の低い位置。

そこではボールは収まるもの、その先の展開は、、、。








 結局、バイタルエリアを活用できたのは、カウンターの時くらい。

ボールを奪ってすぐ、縦に進む意識は高い。

相手がコンパクトな状態を形成する前なら、使えていた。

遅攻になっても、ポゼッションをしながら、使えないのか。

もっと速いパス回しで、相手のズレを作って、ズレを見逃さず、バイタルエリアに侵入して欲しい。

と、思っていました。

後半になって、相手の足が止まってから、ようやくそのようなシーンが見えてきた。

コンディションが充分でない、アウェイチームにありがちな、疲れて動けない、チェコ。

その相手なら、もっと、決定的な形を作る回数が多くても良かったのでは。










 幾つか、試合を観て感想。

ザッケローニ監督の3バックシステムは、強者を相手にした時のオプション?

攻めに関しては、カウンターに重きを置いたやり方なのか?

片方のサイドに、最高3人の選手を、予め配置することが出来る、この方法。

まずは、スピードに乗ったサイドアタックは、武器になる可能性を秘めています。

クロスの精度と、中で仕事の出切るストライカーが必要です。







 3トップで、相手のDFラインにプレッシャーをかける。

そして、高い位置でボールを奪い、カウンターを仕掛けるのも、武器になりそうです。

もちろん、3人が労をいとわず、守備に貢献しなければなりません。

どんどん追い込んで、後ろの選手が、前方向に勝負できる状況を作ってあげる。

絞り込んで、ボールを奪う。

出来れば、少しでも相手陣地の深いところで。








 では、その先は、なにがあるのでしょうね。

それ以外の攻撃の方法論はあるのでしょうか?

今の時点では、あまり見えてきませんでした。

1つのポイントは、バイタルエリアへの侵入。

ここに、中盤のセンターの選手の2人か、前線の3人の誰かが、入っていく。

順繰りに、入って、抜け出てを繰り返す。

そのような動き、パス交換、ドリブル突破が足らない部分ではないでしょうか。







 狭く、プレッシャーが厳しいのは覚悟のうえ。

その仕事をしようとした本田は、のんびり動くだけで、相手の脅威には、単発でしかなれなかった。

足元へのパスを、止まって受けようとするだけでは、それも仕方のないことか。。

あんなに、当たり勝ちし、止める蹴るの技術がしっかりしているのに、もったいない。

香川がいれば、一番得意なプレーでしょう。

相手を崩す、その1つ前のプレーとして、バイタルエリアの活用を!




 
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2011年05月31日

60%に備える、30%にも備える。

 チャンピオンズリーグのファイナル、面白い試合でした。

戦前、私も、バルサの勝利を予想しました。

が、まさかここまでの差が付くとは、思いませんでした。

セミファイナルの勝ち上がりを見ると、ユナイテッドの強さが明らかだったからです。

シャルケを、まるでユースチーム扱いするほど、寄せ付けない勝利。

内容も、結果も、シャルケを相手にしませんでした。

2NDレグなどは、リザーブチームを送りこんでも、余裕の試合運びでしたよね。

そのユナイテッドが手も足も出ないとは・・・。

真のチャンピオンチームは、相手が強いほど力を発揮するのでしょうか。








 どうすれば、バルサを相手にして、勝機を見いだせれるのでしょうか。

リーガエスパニョーラに所属するマジョルカの監督、ラウドルップが面白いことを話していました。

そう、家長昭博の所属するマジョルカです。

「バルサやマドリーと試合をすると、相手にポゼッションを60%以上奪われる。」

「アキ(家長)が活躍するためには、その60%の動きが出来なくてはならない。」

相手がボールポゼッションしているということは、自分たちにとってはもちろん、守備です。

そして、ボールを奪って攻めに替わっていく、守から攻への切り替えです。

ラウドルップ監督は、家永に対して、この2つの部分に物足りなさを感じるのでしょう。

家長が、来期活躍するための課題は、ここです。






 さて、チャンピオンズリーグ、ファイナルのスタッツを見てみます。

やはり、バルサはボールポゼッションで上回っています。

バルサ63%VSユナイテッド37%。

ラウドルップ監督の言うとおりの数字が、やはり表れました。

この60%を超える時間に対して、どのような準備をするのか?

つまり、どのようにボールを奪って、どのようにカウンターを出すのか?

ユナイテッドは、その部分の準備が充分ではなかったのではないでしょうか。







 それも、仕方のないことかもしれません。

ユナイテッドは、バルサとの対戦以外では、勝者として振舞えます。

特に、国内リーグだと、圧倒的な王者として、20年君臨しています。

ポゼッションで、明らかに上回れた試合は、1年に何試合あるのでしょうか?

普段なら、バルサ役をユナイテッドが務め、ユナイテッド役をその他大勢のチームが務めている。

その王者が、突然、弱者として振舞え!と言われても、難しかったのではないか。







 そう考えれば、南アフリカワールドカップに臨んだ、日本代表は、立派だったかもしれません。

大会前に、急きょ、弱者としての戦いに、指揮官が方針転換をしました。

あまりに急な方針転換でした。

混乱して、それがピッチ上でのパフォーマンスに表れても、致し方ない。

それくらいの、突然のスタイルの変更でしたよね。

自分たちが主導権を握る戦いを目指していたのに、それを放棄したのですから。

それにもかかわらず、選手たちは、弱者としての振る舞いを力の限り務めました。

ピッチ上の全員、ベンチの全員が、振舞いました。

結果は、みなさんもご存知の通りです。










 同じように振る舞いを変えれたのは、レアルマドリーでした。

今年1回目のクラシコでの大敗を受け、方針転換を図りました。

相手が、自分たちよりも、強者であることを認めたのです。

王者としてのDNAを叩き込まれている、あのレアルマドリーでです。

失敗をすれば、モウリーニョ監督は、クラブに別れを告げていたところでしょう。

弱者としての戦いをして、しかも、宿敵のバルサに歯が立たないとなれば、首は決定的なはず。

指揮官は、勇気を持って、弱者としての戦いを選手に求めました。

60%への備えを、徹底的にしました。

中盤を、相手のつぶし屋として、働かせました。

ペペの起用は、その典型でしょう。

選手も、その指揮官の思いに応えました。








 ただ、そのレアルにしても、課題は大きくあります。

残りの30%に対する準備が足りなかったように思います。

少なくとも、30%〜40%のポゼッションは、ありました。

その時間を使って、もっとチャンスを作ることは出来なかったのか?

例えば、ポジションを崩して、前に飛び出す時間を増やす。

スペースを作るために、フリーランニングをする。

そこに、いいタイミングでボールを送り込む事を続けれたら、相手ゴール前に迫れたのでは?!







 当たり前ですが、60%は100%ではありません。

30%を活かす工夫、取り組みができれば。

そこには、リスクは大きいのですが、勝利を目指すのであれば、必要なはずです。

バルサの勝利は、素晴らしいことで、賞賛に値します。

それを上回るチームがないと、フットボールの進化が止まってしまいます。

どのチームも、バルサ対策としては、60%を何とかして抑えることを考えます。

それをベースに、30%を充実させたチームの出現を願うところです。
 
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2011年03月04日

Jリーグ開幕に向けて

 日本は、西洋に比べて劣っている。

日本古来の伝統よりも、西洋の文化が優れている。

だから、諸外国に追いつき、追い越せ。

明治の時代から、戦後の復興期、現代?と、この考え方は我々を支配してきていた。

外国の優れた部分を真似することが、必要な時期もあるでしょう。

それが、全てではないのですが、あまりに、そこに偏っていたのではないか。

そして未だに、その意識から抜けきってはいないのではないか。

日本には、日本の良さがあると言うにもかかわらず…。





 日本食。

世界では、健康的な料理の代名詞とすら、なっているのが日本料理。

我々日本人の食生活は、ご飯が中心にある。

そして、雑穀類と野菜の摂取量が多く、魚類や大豆からも良質なタンパク質を摂っている。

肉食が多くなく、様々な副菜を食べ、多用な栄養を摂れている。

味噌や、納豆などの、発酵食品もカラダを助けてくれています。

もちろん、塩分過多の欠点はありますが、優れた食生活、だったのです。

特に、肉や果物を食べる習慣が適度になった、1970年代の食事が理想だったようです。




 



 今の私たちはどうでしょうか?

世界の人たちが、うらやむ、日本食を食べれているのでしょうか?

例えば、主食である米の消費量で見てみます。

1975年には、88KGを食べていました。(1年1人あたり)

2008年になると、59kgに減少しているのです。

この30数年で、3分の2に減少しています。

それだけ、食生活に、変化が見られるということの表れでしょう。

世界に誇る、日本食の文化を、放棄しつつあるのではないでしょうか。


 




 我々、フットボールの世界において、世界に誇れる部分があります。

それは、安全で、誰もが観戦できる、プロリーグがあることです。

スタジアムに行くと、子供の姿がたくさん見ることが出来ます。

親に連れられたり、少年団のコーチに連れられて、スタンドに足を運んでいます。

夢のピッチを駆け回る、選手の姿は、忘れられない映像として、記憶されるでしょう。

そして、女性の姿が多いのも、特長と言えるでしょう。

子供と女性が安心して観戦に来れること。

メインの高いチケットを買わなくても、ゴール裏でも観戦できる。

これは、世界に誇る部分です。

ちなみに、男性対女性の比率は、63:37。

中学生以下の子供が占める割合は、全体の約12%。

(いずれも、2008年度の数字)






 何を、当たり前のことを、と思うかもしれません。

子供や、女性がスタジアムに観戦に行くなんて、恐ろしくて出来ない!

そんな国が珍しくないからです。

イタリアでは、熱狂的なファンが暴徒化し、死人が出てしまった。

スタジアムの周辺でも、スタジアムの中ででもです。

警備していた警官、高速道路での衝突で亡くなったファン。

旧ユーゴでは、試合中に観客を巻き込んで、大乱闘が起こりました。

ブラジルのあるスタジアムでは、座席によっては、現地の人以外は近づけない区域もあります。

南アフリカでは、ワールドカップの最中に、スタジアムでスリが横行していました。

あまりの被害の多さに、日本領事館のスタッフが、ビラまきをしていたほどです。







 日本ではどうでしょうか?

私が子供の頃のスタンドでは、危険なことが起こることは、想像すら出来ませんでした。

今で言う、J2(当時はJSL2部)でも、観客の数は数えるほど。

関係者と、家族くらいしか観戦しておらず、のんびりした風景でした。

Jリーグが開幕して、18年。

今や、日本の観客動員数(J1)21,000人は、世界でも第6位。

ちなみに1位はドイツで38,975 名、2位はイングランドで36,144 名。

3位はスペインで29,425名、4位イタリア23,180 名,5位がフランスで21,804 名。

それに続いての第6位は、ファン離れと言われていますが、悪くない数字ですよね。






 しかも、今のところ、女性も子供も、足を運ぶことが出来る、そんな環境を保っています。

そして、全体の1割弱は60歳以上の方です。

3世代が、スタジアムで観戦する光景は、素晴らしいことではないですか。

「Jリーグ、観に行こう!」誰に対しても、胸を張って誘える素晴らしさ。

子供や女性を排除しようとする人間は、観戦する資格が無い。

怒りに任せて、暴力を振るう人間も、同じです。

何年経っても、日本の良さを失ってはならない。

当たり前ですが、一度失うと、取り戻すことはあまりに難しい。
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2011年01月28日

ザッケローニ監督率いる、日本代表

 アジアカップで、見事決勝進出を果たしました。

視聴率も、40%の大台。

そのせいか、ニュースやワイドショーなどの様々なテレビ番組でも、取り上げられています。

カタール戦や、韓国戦を観戦した人の中には、日本代表のファンになった人がいるかも?!

今、代表チームは、南アフリカワールドカップから、良いサイクルで回っています。

これで優勝すれば、さらに盛り上がるはず。

多くの人が、関心を持ってくれるのは、サッカー人として、うれしいことですね。







 アジアカップでの戦いを見て、気が付いたことを書き留めておきます。

自分自身のメモの意味もあることを、ご容赦ください。





・サイドバックの前にスペースが空いている。

初戦のパラグアイ戦でも感じたこと。

サイドバックの攻撃参加を促しているのだが、単純に高い位置を取るのではない。

サイドチェンジから、サイドバックがボールを受ける。

その時、サイドバックの前にスペースを残しておく意識がある。

スピードに乗って、クロスボールを上げさせるのを、理想としているのでは?

組み立てに参加するというよりも。

サイドバックの前のスペースは、高速道路。









・やはり、イタリア人監督

韓国戦での交代。

まず、細貝を投入して、南アフリカ仕様のフォーメーションに変更。

このやり方が得意だと、勘違いしているかもしれない。

センターバック2枚の前に、1枚アンカーを置くやり方。

決して、日本のトップレベルでは、ポピュラーではなく、得意でもないはずなのに。

さらに、伊野波を投入して、最終ラインを5枚にし、守備固めを加速。

長谷部が足をつったら、本田拓。

ゲームを終わらせるために、守備の意識が最重要と思える交代カードの使い方。

守備の文化が根付いている、イタリア人監督らしい采配。

それでも、失点を抑えられない。

我々日本人には、退屈にゲームを終わらせることは、まだ出来ないようです。



思い出されるのが、98年フランスを目指す、アジア予選。

この日韓戦でも同じようなシーンがありました。

守備を固めるために、秋田を投入し、守備を固めようとした、当時の加茂監督。

結局リードを守りきれず、敗戦。

13年経っても、その部分は、進化していないのか?!

本田が、ボールをサイドでキープし、時計を進めようとしていました。

ピッチ上の全員、ベンチの全員が、この意識を持ち、恥ずかしげも無く遂行出来れば・・・。






・スローイン

キャンプで、スローインのトレーニングをした、と報道されていました。

その成果が、何度か見れました。

相手が待ち構えているところに、無策に投げて、ボールを奪われることが無いように。

逆に、セットプレーであることを活かして、チャンスにしようとする意図を感じます。






 スローインを投げるような素振りをして、タッチライン際で、ボールを持つ選手A。

そこに、なぜかもう1人、選手Bが近付いていきます(タッチラインの外に)。

突然、ボールを持っていた選手Aが、近付いてきた選手Bにトスで渡します。

次の瞬間、ボールを持っていた選手Aは、ダッシュでスペースに入る。

ボールを受け取ったB選手は、フリーとなったAにスローインします。

相手選手は、突然のことに、対応しきれません。

Aは、ボールをコントロールし、攻め込む。

このパターンは、トレーニングしたのでしょうね。

フットサルにおける、キックインでのジョガーダを連想させるプレーです。







試合を観ていて、チャンスになるのは、ライン間の狭いところで前を向いた時。

(相手DFラインと、MFラインとの間)

ピンチになるのは、最終ラインでボールをはじき返せず、押し上げられない時。

(最終ラインが、自陣ペナルティエリアまで入っているのは異常事態のはずなのに)

さて、オーストラリアとの決勝は、どんな戦いになるのでしょうか?

この試合は、内容はどんなものでも、結果だけが求められるものです。

テレビの前で熱い念を送り、優勝を信じましょう!
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2011年01月14日

バルサらしい、

 FCバルセロナのスタイル。

攻撃的であること。

一人一人のテクニックがそのベースになっていること。

サイドをタッチラインいっぱいに広げ、サイドアタックを活用すること。

ショート、ロングの速いパス回しで攻撃を組み立てること。

もちろん、ボールポゼッションで上回ること。

相手陣地で試合を運ぶために、奪われた後の、攻から守の切り替えが早いこと。

これらの全てがあって、バルサらしい試合だ、といえるのではないでしょうか。







 選手権の決勝で敗れた、久御山高校。

彼らは、バルセロナを目指していた?意識していた?ようです。

報道によると、監督が、バルセロナの大ファン。

毎週一度は、全員でバルサの試合を観ていた。

今夏にバルセロナの練習を視察。

学校の体育の授業には『バルサTV』を教材に使用。

さらに移動のバスでは、バルセロナ対レアル・マドリードの試合を流している徹底ぶり。







 GK、DFが簡単にボールを蹴りださない。

最後尾から、攻撃を組み立てる。

ロングボールに頼らない。

この辺りは、バルサを意識しているのは伝わりました。

全体を見て、バルセロナと同じスタイルだったかと言うと、同意できません。

それは、冒頭の部分を、読んでもらえれば、私の意見を理解いただけると思います。







 試合の展開からも説明します。

前半の立ち上がり、久御山ペースで試合は進みました。

ボールポゼッションで上回り、サイドバックが広がって高い位置を取る。

前にボールが入れば、ドリブルもパスもある、相手にとっては、嫌な状態でした。

これを支えていたのが、ピボーテ(中盤の底)に位置する2人の選手。

滝川第二とのシステムの噛み合わせで、彼らが比較的フリーの状態でボールを受けることが出来た。

ところが、滝二がここを修正。

守備時における、中盤の構成を変えて来たのです。

すると、久御山のピボーテの2人が、ボールを自由に扱えないようになりました。

その後の経過、結果はご存知の通りです。

相手が中盤の底をつぶしにきただけで、ポゼッションがままならない。

他のパスの入り口を見つけることが出来ないのは、バルサらしいとは、言えないでしょう。








 その中でも、バルサらしいところも見つけることが出来ました。

それは、中盤ゾーンでよく見られたました。

狭いところに入り込み、ボールを受けターンをし、前を向くプレーです。

相手DFブロックの外でボールを受けるのではなく。

ブロックの中で、人と人との間に入り込み、ボールを受ける。

ボールを受けるだけでなく、ゴール(前)に向かって体を向ける。

まるで、チャビやイニエスタのように。

あのプレーは、トレーニングの賜物でしょう。

たくさん観たであろう、試合の映像もイメージとして、体に染み付いているのでしょう。

そのボールの受け方、ターンは、間違いなく、バルサでした。







 チーム全体がバルサスタイルになるまでは、残念ながら至らなかった。

とは言え、久御山の、その取り組みは素晴らしいことです。

目先の勝利だけにとらわれず、技術を高めていく姿。

時間がかかる、大変なことにチャレンジし、結果まで出しているのですから、本当に素晴らしい。

現代フットボールは、ますます時間と場所が限られていく。

あのボールの受け方、体の使い方が身についているのは、彼らの財産になるはず。

あまりにも見事な、バルサを感じた瞬間でした。
posted by プロコーチ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月11日

点を獲るために。

 高校選手権決勝を、観戦しました。

滝川第二対久御山のカードです。

関西勢同士の対決になったため、あまり埋まらないのでは?と心配もしていました。

実際には、空席の方が少なく、4万人程度は入っているように見えました。

選手権ファンとも呼ぶべき、お客さんがいるのでしょうか。

対戦カードよりも、「選手権」から感じるものを、受け取りに来ているのでしょうね。






 手法は違えど、攻撃を考えていることが、伝わってくるチームでした。

まず、人数を掛けて守って、あわよくば・・・、それも1つのスタイルでしょう。

一発勝負のトーナメントなら、それも仕方の無いことかもしれません。

ところが、両チームともに、攻めてこそ!のスタイルでした。

決勝戦にしては、珍しいほどの打ち合いになりました。

結果は、ご存知のように5対3。

良いか悪いかは別にして、スタジアムは、最後まで盛り上がりました。





 

 優勝した滝二のストロングポイントは、樋口・浜口の2トップ。

ダブルブルドーザーと、監督が形容するほどの破壊力は、2人合わせて15点を奪いました。

決勝戦でも2点ずつを奪い、その名に負けない結果を残しました。

彼らは、当たりも強く、競り合いに負けません。

ボールコントロール、キックも正確です。

ですが、個人の能力、2トップの能力が高いからだけで、15点も奪えたのではありません。





 最も優れていた、と私が感じたのは、ポジショニングにありました。

点を奪うためにはどうすれば良いのか?

ゴールへの執念を持つこと、技術を高めること、これらももちろん大切な要素です。

これらを活かすためには、欠かせない要素があるのです。

それが、ポジショニングです。

簡単に言ってしまうと、こうなります。

「しかるべく瞬間に、しかるべき場所にいること」

たった、それだけです。






 ある統計的事実があります。

ゴールの9割は、ペナルティエリア、つまりボックス内からのシュートです。

(もちろん大会、リーグによって誤差はありますが、8割を下回ることは無いでしょう)

もう1つ。

ゴールの7割近くは、1タッチシュートによって生まれている。

2タッチ以下と広げると、9割近くが当てはまります。

目の覚めるようなロングシュートや、何人も抜いたドリブルシュートは、記憶には焼きつきます。

が、結局それらのゴールは、1割にしか過ぎないのです。







 つまり、2つの統計的事実を合わせて考えると、こうなります。

ボールがペナルティエリアに入ってくる瞬間に、シュートを打てる体勢でポジションを取る。

しかるべき瞬間とは、「ボールがペナルティエリアに入ってくる瞬間」であり、

しかるべき場所とは、「ペナルティエリア内(特にゴール正面)」であるのです。








 滝二の2トップは、この2つを外していなかったのです。

サイドにボールがあれば、ボールがある側に流れて、組み立てに参加する。

中盤で選手が前を向いたら、ボールを受けに下がってくる。

常にボールに関われ!と言われていたら、このような動きを頻繁に繰り返すでしょう。

この動きをすれば、ボールは良く回るかもしれません。

惜しいチャンスも増えるかもしれない。

ところが、最後の瞬間に、ゴール前に人がいない、足りない、事になる可能性もあるのです。

彼らは、我慢して、ゴール前でのその場所で、その瞬間を待ち続けていたのです。

だから、点を取るその時には、当たり前のように、2人の姿があったのです。





 もちろん、このためには、味方との信頼関係が大切になってきます。

あいつらにボールを出せば、決めてくれる。

チャンスを作るのは、俺たちの仕事だ。

2トップ以外の選手たちは、このように思っていたはずです。

チャンスさえ作れば、後は2人が決めてくれる。





 2トップも、その思いに応えようと、必死にプレーしていました。

彼らは、ペナルティエリアで待ち構えているだけの、ストライカーではありません。

長いボールを受け、相手DFと戦い、基点になる仕事もします。

前線からの守備の始まりとしても、機能していました。

ボックス付近で待ち構えていたのは、中盤の選手が前を向いている時。

つまり、ボールが、その場所に来るであろう、その瞬間のみ、待とうとしていたのです。

彼らには、エゴだけでなく、賢さもあったのです。








 考えてみれば、当たり前のプレーなのですが、なかなか、完遂することが出来ない。

ゴール前で待ち続けることは、かなりフラストレーションが溜まる。

90分でたった数回のために、牙を研ぎ続けておかなくてはならない。

その瞬間、その場所には、最高の状態で迎えなければならない。

ボールに、あえて関わらない勇気。

味方が、指導者が認めてくれなければ、出来ないでしょう。

ストライカーも、それに応える技量を高めておかなければならない。

「しかるべく瞬間に、しかるべき場所に」

点を獲るために必要なことを、見せてもらいました。
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2011年01月07日

小学生年代でフットサルをプレーする

 小学生のフットサル大会を観戦してきました。

駒沢体育館と、駒沢屋内球技場にておこなわれたバーモントカップ。

正式名称は、第20回全日本少年フットサル大会決勝トーナメント、だそうです。

この、準決勝と決勝を観たのです。





 スタンドには、日本フットサル代表ミゲル・ロドリゴ監督も観戦に訪れていました。

ミゲル監督の指導者講習会での講義が、思い出されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スペインでは、15歳までフットサルや、7人制のフットボールをする。

それから、フットサルを続けるか、11人制のフットボールかを選ぶ。

今の選手たちの多くは、フットサルの経験者だ。

日本は、11人制をリタイアした人間が、フットサルをしている。

数十年前のスペインもそうだった。

日本でも、育成年代にフットサルをして欲しい。

それが必ず、助けになるはずだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 さて、優勝したのは、東京ベルディジュニアでした。

普段は、フットサルをしておらず、このバーモントカップに向けて、取り組んできたそうです。

一方、決勝でおしくも敗れたのは、マルバ浦安。

有名なフットサルクラブ。

これを見ると、サッカーのチームが、フットサルのチームに勝った。

フットサルも知らないくせに、フットサルをしてないくせに、。。

ネガティブな意見も聞こえそうです。





 ヴェルディは、大会直前にフットサルに取り組んだようです。

試合後のインタビューに答えた、監督も、選手(子供)もほとんど練習していない。

揃って、素直に、こう答えていました。

「練習不足だったので出来るかどうか不安だった。」







 私は、準決勝、決勝を観て、育成におけるフットサルの有効性を改めて感じました。

一番は、人数です。

フィールドプレーヤーが4人しかいない。

攻守における、プレーへの関わり。

関わり続けるために、集中力を研ぎ澄まし続けること。

1人たりともサボることが、許されない。

10人の中の1人、4人の中の1人。

同じ1人でも、占める割合があまりにも違いすぎます。






 普段は、前線での守備だけを求められている、FWの選手。

ところが、今大会では、味方のゴール前までも、戻らなくてはならないシーンが繰り返されます。

危険だ!と感じれば、ポジションを捨てて、全力で戻る。

普段はあまりしないであろう、味方のカバーリングが当然のように求められる。




 また、普段は、クリアするか、安全第一のパスが求められる、DFの選手。

彼らが組み立てに参加出来るかどうか?

有効な縦パス、スペースを見つけてドリブルで持ち上がる。

すきあらば、ミドル・ロングシュートを狙う。

このようなプレーも、頻繁に出てくる。





 少人数で試合をするメリット。

これを求めて、全日本少年サッカー大会は、8人制になります。

フットサルには、もっと濃密な時間を過ごすことが、当然のように出来ますね。

もちろん、技術を磨く側面も大きいです。

技術を発揮する場面も多いでしょうから。

やはり、育成世代で、フットサルに取り組むメリットは、大きいのです。

実際、最終ラインまで守るアタッカー、フィニッシュを狙うDFは、当たり前でした。

フットボールの理解が、より深まるのでしょう。







 ただし、残念なこともありました。

バーモントカップでは、GKからのスローはハーフウェイラインを越えてはなりません。

さらに、今大会は大きなルール改正があり、キックでも、越えてはならないことになりました。

トーナメントだと、リスク回避のプレーが求められる。

グラウンダーのパスをつなぐよりは、味方ゴールから少しでもボールを遠ざけたい。

育成の観点から、ボールが空中を飛び交うのを防ぐためでしょう。

昨年の大会を観戦した、ミゲル監督の提案もあったそうです。

確かに昨年よりは、ましになったと思います。






 ところが、この2つのプレーが目に付きました。

1つは、ハーフウェーラインのギリギリにGKがスローを投げ入れる。

少しでも、遠ざけたいのでしょう。

もう1つは、ペナルティエリアの一番深いところに選手を配置。

GKはそこに近付いて、スロー。

受け取った選手は、ワンタッチでロングキック。

GKのスローはトスのような浮き球を入れるシーンすらありました。

最初から、遠くにアウェイに蹴らせる気満々です。





 これらは、優勝したヴェルディも、準優勝のマルバも意図的に繰り返していたプレーです。

マルバは、準決勝で、このロングキックがシュートになり、2点!も奪いました。

同じようなプレーは、他のチームも、取り入れてました。

マルバとヴェルディは、ボールを蹴るだけでなく、人の配置と動かし方に工夫が見られました。






 
 どんなルールを作っても、抜け道はあるものです。

遠くに蹴ることが悪いとは言いません。

相手が前からプレシャーを掛けてくるなら、相手を下げさせるためには、必要でしょう。

目の前に相手DFがいるのに、そこにパスを出すのもまた、おかしなプレーです。





 ポイントは、そこに選手の判断があるか、判断が無いか。

何でもかんでも蹴っ飛ばしていては、面白くない。

何よりも、フットサルに取り組んでいる意味が、恐ろしく低下してしまう。

フットサルを、育成のために取り組む。

成果も見えましたが、課題も残った大会でした。
posted by プロコーチ at 18:05| Comment(0) | TrackBack(1) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする