2007年05月08日

トレーニングメニューで用いるものとは。

 フットサル雑誌の原稿を依頼(既に4回目に)をありがたくもお受けしました。
執筆にあたって、身の回りの資料を整理。
そんな中で、昨夏参加した、ブラジル研修のメモが出てきました。
改めて目を通すと、新たな発見があるものですね。
おそらく、その当時の自分の頭の中身。
さらには、自分が求めているもの。
ここの違いが、全く同じものを見ても、得る感想が違ってくるのでしょうか。
やはり、指導者にもフットボールノートを作成する必要性がありますね。
過去の自分を見直すことで、新たな発見を得られるかもしれません。
同じ失敗を繰り返さなくなるかもしれません。

 さて、ブラジルメモの中身。
ニコリーノコーチ(体育大学で講義をするほどのインテリ派)のメニュー。
内容はフィジカルトレーニング。
彼は、コートの中に、コーンやマーカー、ラダーも並べない。
走る方向や距離を、各選手たちに任せる。
彼の仕事は、時間を計り、指示を出すこと。
ゆっくりなジョックのペースと、速いダッシュのペースとの繰り返し。
私達が呼ぶところの、いわゆる「インターバルトレーニング」。
こうやって全力で走る→休む、を繰り返す練習を「インターバルトレーニング」と言います。
ニコリーノコーチ曰く、
「フットサルの試合中に、コーンやマーカーは無いだろう」
「だから、トレーニングでも使わないのだよ」

別のメモには、ヴァウミールコーチ(サンパウロFCの監督)のメニュー。
ここでは、テクニックとフィジカルとを同じにトレーニングするメニューがメモされていました。
ところが、このメニューでは、マーカーが整然と並べられているのです。
ニコリーノコーチの理論だと、コートの中にはマーカーは無いはずなのですが・・。
ヴァウミールコーチのトレーニングは、日本でもよく見るタイプのメニュー。
個人の技術・体力を向上させるには、ピッタリの内容です。
2人のブラジル人コーチにおける理論の違い。
これは、どのように理解すればいいのでしょうか?

 日本でも、次のようなことがありました。
Jリーグの育成年代のコーチが、次のような話をしてくれました。
「サッカーのピッチは長方形(105M×68M)、だからトレーニングするグリッドも長方形ですべき」
「よく正方形のグリッドを見かけるけど、正方形のピッチなど無いでしょう」
ちなみにグリッドとは、トレーニングを行なうのに、マーカーやコーンを並べて設定する四角のことです。

これもまた、違った場面がありました。
先日参加した、指導者講習会。
ナショナルトレセンU−14と並行開催された、コーチのスキルアップを目的とされた講習会です。
ここで紹介されているメニューでは、堂々と正方形のグリッドが用いられているのです。
前出のJユースコーチの理論なら、ありえない設定。

コーチはそれぞれ、自分の考え方や理論を持っていて然るべきです。
信念にしたがってコーチングを進めていくことはとても大切です。
マーカーやコーンを用いること。
グリッドが正方形であること。
確かに、リアリティに欠ける側面もあるかもしれません。
だからと言って、これらのメニューが意味をなさないのでしょうか?
我々コーチが追求しなければならないことは、もっと他にあります。
「何のために、トレーニングを行なうのか?!」
この部分を外して考えるわけには行かないのです。

 コーチは、よく観察するのが、大きな仕事の1つです。
チームやプレイヤーにどういった現象が起きているのか?
今の問題点は何なのか?
目標に達するためには何が足りないのか?
そして、これらを解決させるための行動を取っていくのです。
つまり、1つのトレーニングを終えた時、選手の中で変化が起こらなければならない。
問題点が解決されなければならない。
そうでなければ、そのトレーニングはあまり意味をなさない。

つまり、必要であれば、正方形でも長方形でも構わない。
マーカーやコーンを用いても、用いなくても構わない。
私はそう考えています。
それよりも、観察を広く深く行うこと。
トレーニングの途中でも、メニューをそのものを変化させていく必要すらあるかもしれない。
それだけ、選手の起こす行動、現象を注意深く観察して行きたい。
たった一回のトレーニングであっても、いい変化を何か起こしてあげたい。

そうなると、コーチがトレーニングメニューで一番用いるものは、アンテナなのかもしれませんね。
私のアンテナはまだまだ感度が低い。
もっともっと、性能を高めていかなくては。

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2007年02月02日

ファミレスにて。

 私事で失礼します。
疲れがたまっていました。
寒気までは行かないのですが、冷えを感じてました。
こういう時に、大きな風邪ひくものかな、と考えてました。

仕事の合間に、腹ごしらえ。
中華のチェーン店に入りました。
ファミレスと呼んだ方が適当でしょうか。
頼みたい料理は決まってます。
アッサリと油が控えめで、消化の良いもの。
辛いもの、酸味があるもの、そして香辛料が効いているもの。
理由は、油控えめで、胃腸に負担をかけない。
辛いもので体を中から温める。
酸味と、香辛料で食欲を増進させる。
もちろん、栄養バランスの取れていることは最低条件ですよね。
おかゆ、スーラータン、水餃子を注文しました。
食べ終わる前には、体が温まってきました。
気づけば、完食。

中華料理では、医食同源という言葉を良く聞きます。
これを身をもって体現できたのです。
冬至にかぼちゃを食べる。
これも、同じ考えからきています。
先人の知恵は、いまだに参考になるものが多く含まれていますよね。

一番いい食事は、家族と共に、家庭で食卓を囲むこと。
母親の愛情に勝る食事は、難しい。
とはいえ、現代人は理想通りいかない方が多いですよね。
そんな時、外食や中食で何を選ぶのか?
栄養学の知識が問われます。
何よりも、食事への関心が問われます。
お腹が膨らみさえすればいいのですか?
高級なものを選べと言っているのではありません。
自分のカラダを考えてあげて欲しいのです。
食に興味をもたせるための「食育」。
「食育」の必要性が言われています。

かなり昔、「窓際のトットちゃん」を読みました。
黒柳徹子さんの、自伝的小説です。
20年以上前の大ベストセラー。
覚えておられる方も多いのではないですか?
その中に、記憶に残る、次の一節がありました。
「お弁当に海のものと山のものを、必ず一つ入れてください」
新しく編入する学園の先生が、トットちゃんのお母さんに言ったのです。
そして、お弁当の時間に、トットちゃんたちは学ぶのです。
どの食材が海のもので、何が山のものなのかを。
自然に食べることに興味をもたせる工夫だったのでしょう。

栄養学の細かい知識は、難しい。
体にいいと聞いて、そればかりを食べる。
結局、食事全体のバランスを崩してしまう。
偏りは、良くないのです。
まず大切なことは、食べることに興味をもつこと。
ピッチ上だけ真剣にプレーしても、上達には限りがあります。
運動→栄養→休息→運動…のいいサイクルを作っていく。
これもグッドプレーヤーに大切なこと。
トッププロは当たり前にしています。
ファミレスでも、注文時の工夫次第でバランスのとれた食事は可能です。
美味しく食べて、いいコンディションを!
フットボールプレーヤーへの第一歩。
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2007年01月30日

最初の笛

日本の女子が抱える弱点の一つに、体のぶつかり合いがあります。
これをフィジカルコンタクトと呼んでいます。
東アジア諸国を除けば、小さい部類に入る日本代表。
まともにぶつかっても、弾き飛ばされるだけ。
相手にどうやってぶつかるのか?
どのように身体を使うのか?
我々は、これを技術の1つとして捉えています。
「コンタクトスキル」
相手との競り合いの中での、どのようにコンタクトしていくのか。

何年も継続して、JFAは発信し続けています。
「技術が優れているだけでは世界に通用しない。
 タフであることが求められる!!」
競り合いに強い選手を育てよう。
この課題は、女子だけでなく、男子にも言えることです。
高い技術を発揮するためには、肉体的にも精神的にもタフでなくては。

先日、女子の練習試合で、主審を務めました。
両チームとも、中学生と高校生との混成チーム。
レベルは双方共に高いものでした。
特にボールコントロールを徹底的にトレーニングしているのをひしひしと感じました。
DFに間合いを詰められても、あわてることはありません。
ボールを動かして、突破や味方へのパスを平然と続けていました。

そんな彼女達なので、コンタクトスキルも身につけようとしていました。
攻撃でも守備でも、相手にぶつかることを嫌がりません。
むしろ積極的にコンタクトし、有利に展開しようとするのです。
その姿を見て、感心することしきりでした。
主審であることを忘れるほど、彼女達のプレーを観察していたのです。

ここで、一つ問題となるプレーが、開始数分で起こりました。
守備側の選手が、ボールを保持しようとする選手に、素早く近づきました。
これに気づいた攻撃の選手は、ボールを奪われないように、相手に背中を向けます。
いわゆる、ボールをキープする状態に入りました。
問題はこの次です。
守備側の選手が、相手の背中を両手で押したのです。
その瞬間、私は反則の笛を吹きました。

ところが、反則を取られた守備者は不服な表情を浮かべています。
小声で「なにもしてないじゃん」ともつぶやいていました。
なぜなら、後ろから押したと言っても、それほど激しくはないのです。
押された攻撃側も、少ししかバランスを崩していませんでした。
だから、彼女の「なにもしてないじゃん」につながったのでしょう。

審判によっては、この一言を聞いて、強く注意する方もいるかもしれません。
まさか、イエローカードを出す主審はいないとは思いますが・・・。
私は、彼女を優しく呼び寄せました。
そして、周りに聞こえる声で一言伝えたのです。
「後ろから、手を使わないようにね。」

私はこの行動に、2つの目的を持っていました。
1つは、この試合での主審の基準を、皆に伝えること。
そのためには、最初に起きたファールは必ず、反則をとる。
見逃したり、迷ってはダメ。
さらに、アドバンテージも取らない。
選手や、ベンチ、スタッフや観客も含め全員に向けて発信するのです。
「この試合では、このプレーは反則ですよ」

もう1つは、選手の将来に対してのメッセージです。
反則まがいのプレーをして、相手を止める、ボールを奪う。
これは、楽な方法なのです。
楽な方法に流れてしまっては、その選手の成長を止めてしまいます。
激しいプレーと汚いプレーは違う!!
もっといい方法でボールを奪う方法は無いものか?

ポジティブな考え方をもって、今後のフットボールライフを進んでもらいたい。
このメッセージをこめて、彼女に接したのです。
反則まがいのプレーなど、大人になってからでも身につくでしょう。
向上心をもった育成年代の、中学生・高校生。
フェアで、激しく。
心も、技術も、身体も。
私の思いが伝わっていることを、心底願っています。
ちなみに、その試合では、後ろからのファールは一度も無かったのです。
メッセージを伝えた彼女も含めて、疑わしいプレーすらありませんでした。
2つの目的が伝わったのなら、嬉しい限りです。


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2007年01月19日

「見る」と「目に入る」

「ルックアップ」
顔を上げて、周りを見ること。
フットボールをプレイする上で、「見る」ことはとても重要な要素です。
成人の視野は横方向に150度。
実際には200度。
真横よりも、もう少し広く目に入っているようですが、しっかりと見えるのは150度だそうです。
確認するために、一度両手を真横に広げてみてください。
なんとなくは目に入るでしょうが、はっきりとは見えないですよね。
ちなみに、これが6歳の子供ならば、たったの90度。
ほぼ、正面しか見えてないのです。


「見る」→「判断する」→「行動する」
分かりやすくいうと、試合やトレーニングではこの流れでプレイされています。
目から入ってくる情報は、80%以上。
耳や、手などから入ってくる情報を大きく上回ります。
面白いデータがあります。
視力が上がれば上がるほど、プレーの正確性が増すのです。
1.0から1.2ほどまでは、どんどん正確性が増していきます。
ここでいう視力とは、止まった状態での視力です。
種目は違いますが、タイガー・ウッズ選手が目の手術をして、成績を上げたのは有名な話です。

フットボールに必要な視力は、これだけでは無いようです。
野球の川上哲治選手
打撃の神様と呼ばれた川上選手は、投手の投げたボールが止まって見えたとの名言を残しています。
それだけ、トップ選手は、「見る」能力が優れているのでしょう。
川上選手は、動くものをとらえる力「動体視力」に優れていたようです。
他にも、奥行きを正確に把握するための「深視力」。
パッと見て、状況を見る「瞬間視力」
ボールコントロールのトレーニング、戦術トレーニングと共に、「目」のトレーニングも必要ですね。

ゲームの時にもよくありませんか。
気付いたら、DFがすぐ近くに寄ってきている。
さっきまでここにいたはずのFW、あっという間にマークを外してしまった。
ボールを持ったら、パスコースが見当たらない。
ゴール前でもシュートを打たない。
パスコースがさっぱり見つからない。
もちろん、技術的な要因はとても大きいです。
ただ、本当に「見えていますか?」、「目に入っている」だけではないですか」
見えているのに、認識できていないなら、「目」のトレーニングが必要になります。

簡単に出来る「目」のトレーニングを紹介します。
街を歩いている時が1つのチャンス。
さっと横を向き、前に戻る。
どんな建物があったのか?
どんな景色だったのか?
出来るだけ細かく思い出しましょう。
「瞬間視力」のトレーニングです。
ここでのコツは、言葉でなく、映像としてみること。
イメージ像。

もう1つは、電車や車に乗っている時。
通りすぎる、看板や電信柱に書かれている文字を読む。
動いているものをとらえるトレーニングです。
顔を動かさずに、目だけを動かす。
「動体視力」のトレーニングです。
イチロー選手は、子供のころ、遊びとしてこのトレーニングをしていたそうです。
高速道路ですれ違う車のナンバープレートを読み取るのです。
さらに、「○×−▲○」を計算。
○×+▲○や○×−▲○といった具合です。

見えていないのに、思い込みや予測で判断する。
判断すら無しに、ひたすらボールを追いかけて蹴っ飛ばす。
これでは、ただの球蹴りですね。
グッドプレーヤーになるために、まずは目の疲れをほぐしてください。
パソコンや携帯の画面を見続けると、かなりの負担になりますよ。
まずは、私の長いブログを読んでいただいた後は、ぼんやり遠くを見てください。

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2007年01月16日

今、ここに必要なこととは?

幼稚園には、幼稚園で必要な教育がある。
高校生には高校生に、大学生には大学生に必要な学ぶべきことがあります。
年齢にあった、教育が必要でしょう。
つまり、幼児に、高次方程式を学ばせても理解不能、思考停止に陥るでしょう。
逆に、大学生に1桁の足し算、引き算を学ばせる必要はありません。
さらに言えば、個人個人の発達段階に応じた教育が求められるはずです。

この「教育」と言う部分を、「技術」・「戦術」という言葉に置き換えてみてはどうでしょうか。
今、自分の指導する現場で、何が必要なのか?
選手の発達段階を、見極める必要がありますよね。
雑誌や、テレビ、さらにはJFAがこう言っているから、やらせています。
これでは、指導者の勘違いですよね。
やらされる選手はたまったものではないです。

前回のブログに次のようなコメントを頂きました。
「日本サッカー協会の地道な努力・・・ はたして田舎の協会まで根付いているのでしょうか?
以前、指導者講習会で○○氏が来て指導してもらいましたが
我が生徒達にはレベルが高くて正直身になりませんでした。
しかも質問すると 『あくまでもトレセンレベルなので・・・』との回答。
その時感じました。
S級指導者は低レベルの選手=田舎の選手は眼中に無いのかな〜と・・・。
非常に残念でした。」
これだけでは、その現場で起こったことの全ては私には分かりません。
それでも、S級ライセンス保持者の○○氏が、トレセンレベルの内容を押付けただけなら疑問ですよね。
発達段階を無視した指導は、後に残るものは少ないですからね。

そんな中でもただ1つだけ、残ったものがあるでしょう。
目標です。
同年代のトップレベルの選手。
彼らが、何を目指して、どういう取り組みをしているのか?
これを、自分の肌で体験することが出来た。
失敗して、壁にぶつかって、初めて感じる世界というのがあるはずなのです。
今は、出来なくても、トレーニングや試合を続けて行く。
近い未来に、あの講習会で求められていたことが、達成できたならばどうでしょうか。

ルマンに所属する松井選手が、テレビのインタビューに答えていました。
「フランスの2部リーグは、当たりが激しい」
「アフリカ系の黒人選手が多くプレイしていて、日本では考えられない当たられ方をされた。」
技術レベルの高い松井選手。
そんな彼でも、最初は戸惑ったようです。
ボールを持てば、反則まがいのプレーでつぶされる。
それでも、ドリブルは自分の武器として使いたい。
「そこで、プレイスタイル、手の使い方、身体の使い方を身につけた。」
この努力があって、今では、チーム内だけでなく、フランスでも確固たる地位を築いています。
ドリブルという武器はしっかりと持ったままで。

松井選手には、壁を自分で乗り越える力がありました。
自分に必要なものを、自分で身につけて行ったのでしょう。
そうは言っても、彼はプロフットボーラーです。
中学生、高校生は、大きな壁を目にすると、逃げてしまうこともあるでしょう。
その壁を乗り越えていくためには、指導者の導きが必要になって来ます。
「今は、この壁を乗り越えるのは難しい。
 でも、%$’&$を#$%’%#すれば、”%&$のトレーニングをすれば」

目標をもち、自分の現状を知る。
その差を埋めるのがトレーニングと、試合の経験です。
時間がいくら掛かってもいいですよね。
フットボール人生は、三年間ではないですから。
選手とコーチが二人三脚とで乗り越えていく壁。
その繰り返しが、選手とコーチとを成長させてくれるものだと、私は信じています。
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2006年12月15日

攻撃のトレーニング

ハーフウェーライン近辺。
●オフェンス、○ディフェンス、*ボール。
ディフェンスは、身体を張って精一杯の守りを見せています。


     ●           ●
      *

                    ↓ゴール方向
      ○         
                ○
                
           
            ● 
          

            ○


●と○との距離は、3M以内です。
時間帯は前半の中盤を過ぎたくらい。
スコアは0対0。

オフェンス、ディフェンスどちらともが、後、少しの工夫を見せれば圧倒的有利な場面に持ち込めれそう。
さて、この状況からどうやって崩して行きましょうか?
ここでどんなプレーを選択するのか。
100人いれば、100通りの答えが出てきて欲しいですね。
攻撃の優先順位に則った方法は、もちろんあります。
でも、それだけでは面白くないですよね。
時間があるときに、頭の体操だと思って、取り組んでみて下さい。

少し古い話になりますが、月曜日にクラブワールドカップをスタジアム観戦してきました。
1人で寒さに震えながら、ものすごく感心していました。
昨日FCバルセロナには敗れてしまいましたが、クラブアメリカの試合運び。
Jリーグでは、見ることのできないレベルの試合でした。
とりたてて誰がというよりも、1人1人が素晴らしいのです。
技術はもちろん、毎回毎回の状況判断。

特に、パスの種類の豊富さには頭が下がりました。
キックの強弱、パスの出し入れ、ボールタッチの変化。
スタジアムの観客席や、翌日の感想・評価はとても低いものでした。
「つまらない、凡戦、点が入らない」
私は、クラブアメリカの素晴らしさを受け、興奮気味にスタジアムを後にしたので、この評価は意外なものでした。

この話を同僚のコーチにしたところ、全く同じ意見が返ってきました。
「あのパス、あのつなぎは、そう簡単には出来ない」
「見る価値のある試合だった」
録画されている方は、もう一度ぜひ観てください。
パスの意図を種類を感じながら、もう一度。


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2006年11月28日

ボールの進化?退化?

2006年ドイツワールドカップでは、ミドルシュートの威力を見せつけられました。
日本のサッカーでは、あまりお目にかかれない位置からでも、当たり前のように狙っていました。
技術的向上もあるでしょう。
それよりも、大きな要素は、ボールの進化です。

チームガイストと呼ばれる公式球。
より、球体に近づくことで、ボールが飛ぶようになっているそうです。
実際に蹴ってみると、ボールの芯を食えば、10〜20%は飛距離が伸びた感覚。
近年のボールは、模様こそ様々ですが、作りは5角形と6角形との組み合わせで出来ていました。
チームガイストは、変形楕円とパネル状の組み合わせとでも呼ぶのでしょうか。
先人達がこのボールで蹴ったらどうなるのでしょうか?
60年代に活躍し、球聖とも呼ばれた、ボビー・チャールトン。
彼の左足のシュートは、キャノンシュートと称されるほどの破壊力。
78年ワールドカップで40Mものロングシュートを叩きこんだ、アーリー・ハーン選手。
近年だと、牛をも殺すキック力を持つ、ロナルド・クーマン。
もちろん、殺したことなど無いでしょうが。
当時のボールであの破壊力ですから、今もしシュートを放ったら、とんでもないことが起きそうで、わくわくしますよね。

この形状の変化が、副産物を産み出してしまいました。
模様が均一でないため、ボールの回転が見づらいのです。
このことはJFAの発行した、テクニカルレポートでも、触れていました。
昔ながらの白と黒との組み合わせ。
これが、一番ボールの回転を見るのに適しています。
ボールの回転を見ることで、ボールの進行方向や、落下地点の予測を助けます。

女子選手や、子供達、小さいころにボール遊びをしなかった成人。
共通しているのは、ボールがどこに飛んでいくのか?が分からない。
そして、ボールの飛んでいった後を追いかけてる始末です。
ここまでひどくなくても、浮球が苦手な選手に共通するのが、ここの部分です。

ボールを追いかけるのではありません。
落下地点を予測する。
キックのフォームと、ボールの回転とを見れば、ボールを待ち構えることすら出来るはずです。
チームガイストは、プロのトップアスリートですら、目測を誤ってしまいました。
原因は、飛びすぎ(進化)と回転の見にくさ(退化)です。
ただこれも、このボールを用いたトレーニングを積み重ねれば、解消出来るでしょう。
トレーニングの時から、公式球になじんでおくこと。
実はボール選びから、すでに試合が始まっているのです。


余談ですが、ボールの空気圧(どれだけ空気を入れるのか)にも規定がありますよね。
空気圧が海面の高さで0.6〜1.1気圧のものであると規定されています。
ただ、この幅はかなり大きいものです。
この幅を利用して、ブラジルではこんなことも行なわれていたそうです。
ホームチームが1週間、空気圧を低くした、規定ギリギリの柔らかいボールでトレーニングをする。
自分たち主催の試合で、同じく柔らかいボールを使用させるのです。
それに戸惑った相手選手は、ボールコントロールに苦しむ。
ボールの空気圧までを作戦に取り入れる。
日本人にはあまり無い発想ですよね。
ちなみにこの作戦は、Jリーグでは残念ながら使えません。
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2006年11月14日

刺激を加えると

 コーチは、選手たちに対して、様々な刺激を加えます。
もしかすると実際は、刺激を加えているという感覚がないかもしれません。
・声でコーチングをする。
・笛を吹いて止める。
・身振り手振りを交える。
・選手起用を工夫する。
・トレーニングの内容で。
・ミーティングの機会を持つ。
これらは全て、コーチの与える刺激と言い替えることが出来るでしょう。

刺激を加えるとはどういう意味でしょうか?
例えば、シュートミスをしました。
「ゴールの位置をよく見てから、シュートを打て!」
と声を出して、コーチングをしました。
それでも、試合中に改善することができませんでした。
これも刺激の1つですよね。
さらに翌日以降のトレーニングで、ゴール前を想定したメニューを取り入れました。
さらなる刺激を1つ加えたのです。
この時コーチは何を願っていますか?
もちろん、「シュートを決めて欲しい。」ですよね。
刺激を加える対象(ここでは選手)に、変わって欲しい。
つまり、何か、よくない現象が起きてしまっている。
いい方向に変化して欲しいと願って刺激を加えるのです。

私を含めたコーチは、この当たり前の目的を忘れがちです。
なんでもかんでも、手当たり次第にコーチングしてしまう。
刺激を加えた結果に対する想像力の欠如。
気づいたことを何でもかんでも、トレーニングに導入してしまう。
その結果最悪の場合はどうなるか?
「俺の選手たちは、俺の言っていることを理解できない」
「コーチの俺がこんなに選手のためにやっているのに、分かってくれない」
コーチのぼやきが始まってしまいます。
ここには、選手たちにどうなって欲しいのか?この視点が抜けています。
つまり、結果を予測して刺激を与えることが出来ていないのです。

これは、選手間のコーチング(コーリング)でも同じことが言えます。
たいしたピンチでもないのに、危機的状況かのように大声でわめき散らす。
あたかもリーダーやコーチになったかのように、上からの目線で言い放つ。
これでは、いい刺激にはなりにくいですよね。
その声を出している人は、もったいないですよね。
せっかく、チームのためにと頑張っている(つもり?)のに、効果が薄い。
選手に、ここまでのことを求めるのは酷なのでしょうか?
いや、そんなことはありません。
フットボールが人同士でチームを形成していくスポーツである限り、選手個人も考えるべき発想ですよね。

選手と選手との関係。
選手とコーチとの関係。
これらも全て、コミュニケーションを介してつながっています。
コミュニケーションは意見を出すことではありません。
では、コミュニケーションは何のためにとるのですか?
ここまで、真剣に読んでいただければ、もうお分かりですよね。
明日からは、よりよいコミュニケーションを取っていきましょう。
お互いにとって、プラスになる、そんな関係がいいですよね。



posted by プロコーチ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月07日

見えない壁を

 先週金曜日は更新できずに、すみませんでした。
と言うのも、木曜の夜から、3連休を利用して合宿を行なってきたからです。
この合宿は、希望者が、自由に参加するスタイル。
つまり、所属チームはバラバラなのです。
期間は短くなっているものの、いわば、ナショナルトレセンスタイルです。
(年齢もレベルも全く違いますが・・・)
普段とは、違う環境、違うメンバー、違うコーチとのトレーニング。

こういった合宿において、選手は2種類に分かれてしまいます。
能力を発揮できる選手と発揮できない選手です。
本人は、普段と、全く同じ肉体、同じ精神で臨んだつもりなのです。
それなのに持っているはずの力を発揮できないのです。
一体なぜなのでしょうか?

これは、普段と異なる環境に自身をアジャストさせることが出来るか?出来ないか?
普段と同じ行動だけでは、力を発揮できない時が必ず来るでしょう。
異なる環境に立っているのに、同じ事しかしないのであれば、力を発揮しづらいのです。
今の異なる環境と、普段とを比較する。
その違いに気付き、調節していくのです。
つまり、自分自身のことをよく分かっていれば、比較も簡単なのです。

さらに、異なった環境に立たされた選手は、自分を守るための壁を作りがちです。
特に、ムラ社会で育った我々日本人に多く見られる現象です。
普段は積極的に声を出しながらプレーをしている選手。
また、普段はコーチの言わんとする意図をしっかり汲み取りながらプレーしている選手。
そんな彼らでも、自分の枠だけでプレー、行動してしまうのです。
まさに、見えない壁を作って、閉じこもってしまっているのです。

コーチである私が一番最初に取り組んだのは、メンタルコンディションの整備です。
メンタルコンディションを整えて、選手達自らが、壁を打ち破るように促すのです。
特に、一番最初のウォーミングアップが大切になってきます。
ここで工夫を凝らしていくのです。
わざと失敗させる工夫。
これにより、選手の過度の緊張感がほぐれます。
選手同士が声を掛け合わないと成功しない工夫。
これによって、コミュニケーションが促され、グループが活性化します。

ウォーミングアップには、様々な意味合いがあります。
心拍数を高めて、その後のトレーニングへ向けての準備をしていくメニュー。
さらには、技術の向上を兼ね備えたメニュー。
普段、同じ顔ぶれで活動しているチームなら、これで十分かもしれません。
選手や環境が変われば、求められる内容も変わってくるはず。
選手だけでなく、指導者にも勉強が欠かせません。
来るべき時に備えて、引き出しの中身を増やしておくこと。
そして、状況に合わせた様々な刺激を、選手に加えていくこと。
適切な刺激を加えることが出来れば、問題は改善できるはずです。

 今回の合宿で、トレーニングのセッションは4回。
一度として同じウォーミングアップはしませんでした。
その評価がどうだったのかは、正直分かりません。
参加メンバーの皆さんは、疲れた中にも楽しそうな顔をされていました。
私の工夫が、少しは役立ったのかな?
ただし、もっとその後のメニューとはっきりとリンクさせた内容に出来たはず。
私自身はそんな自己評価です。
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2006年10月27日

競技規則を読んでみる

 神の手ゴール。
マラドーナスタイル。
昨日の平山選手のゴールについて、このように言われています。
国立競技場で行なわれた、U-21日本代表対U-21中国代表戦。
82分のゴールです。
対戦相手の監督は、負け惜しみというか、一言言いたい気持ちはよく分かります。
ハンドの反則を侵したと、いわんばかりの報道はおかしいと思いませんか?
おそらく、競技規則の条文をキチンと読んだことが無いのでしょう。
大げさの記事を書けば、売れると思っているのでしょうか?
書くほうも書くほうですし、それを真に受けるのも、どうかと思います。

 ただ、反則に関して、ローカルルールのような物さえ出回っています。
例えば、競り合いで、肩から相手に当たりに行っているから、反則ではない。
これは、間違いですよね。
肩から、どのようにぶつかっているかが、大切です。
(たとえ肩から当たりに行っても、ファールになることはあります。
 後ろから行く、過剰な力でぶつかる、無謀にぶつかって行く、全てファールです。)
他には、未だにキーパーチャージなる反則があると思っていること。
以前は、ゴールエリア内にいるGKはルールにより保護されていました。
今は、そのようなルールは、存在すらしていません。
GKに対して、正当にチャレンジすることは、許されているのです。
それなのに、GKに触れた瞬間に、「キーパーチャージだよ!」
おそらく、何十年前から思考が止まっているのでしょう。

ハンドの反則に関しても、ローカルルールが存在します。
・手・腕にボールが当たれば、有無を言わさずハンドになる。
・身体と、腕が離れていなければ、手・腕に当たってもハンドにならない。
(身体と、腕が離れていれば、手・腕に当たればハンドになる)
これらは、全て間違っています。
競技規則の条文を紹介します。
「ボールを意図的に手または腕で扱う」
つまり、どういう状況であろうと、そのプレーに手で扱う意図があるかどうか?
腕と身体がくっついていても、意図的に腕で扱えばハンドを取られるはずなのです。

たとえば、腕を広げて、シュートブロックに向かっていった。
「腕は広げているけど、意図的ではないよ!」
と、その守備者はいうのかもしれません。
・未必の故意
法律用語で、こんな言葉があるそうです。
私も、教えてもらった言葉です。
犯罪事実の発生を積極的には意図しないが、
自分の行為からそのような事実が発生するかもしれないと思いながら、
あえて実行する場合の心理状態。
これは、故意に行なわれたものとして、罰せられるそうです。
 
ハンドの反則も同じです。
守備者が、腕を広げてシュートブロックにいったら何が起こるか?
審判は、そこに守備者の意図(未必の故意)を感じ取るのです。
守備の文化がある国。
よくこんな言い方をします。
そんな国のDFなら、腕を後ろに組んで、シュートブロックに行くでしょう。
イタリアセリエAで、よく目にするシーンです。
「俺は、ハンドを絶対にしないよ。」
そんな意思の現れです。

平山選手のゴールシーンはどうでしたか?
少なくとも私は、意図(未必の故意)は感じれませんでした。

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2006年09月29日

6月の報告

勝った国との差は、最終的な部分の差ではなく、「当たり前」の部分の習慣化、徹底、ここでの差だったと考える。
勝った国が持っていた、全員の高い技術、全員のハードワーク、全員の闘う姿勢というベースの部分を、もっとレベルアップする必要がある。
それには大きく根本的な2つの変化が必要である。
守備の意識を変える。(ボールを奪いに行く)
技術の認識を変える。(質、量共に)
そのためには、国内の競技の環境自体がレベルアップすることが必要である。
守備がゆるい、もしくは待っていれば相手のミスが起こるような甘い環境では、厳しいハードワークが必要とされる甘さや隙のないサッカーの追及は困難である。

ドイツワールドカップの反省だそうです。
JFAが発表するテクニカルレポート。
ここから抜粋して、紹介しました。
今回、レポートの一部が発表になりました。
ワールドカップ、オリンピックなどの大きな国際大会の後に発表されるレポートです。
世界との差はどこなのか?
日本が出来た部分、足りなかった部分はどこなのか?
日本サッカー協会が、国際大会を分析し、報告してくれるのです。
これらを踏まえて、今後の指導指針、リーグや協会の運営が決まっていきます。

世界の流れを知ることは、大事なことです。
トップレベルのチーム(プロ、セミプロ)はもちろん、
市井のものであっても、知っておく必要があるでしょう。
フットボールは、世界とつながっていますからね。
国内だけで完結する競技ではないのです。
とは言っても、世界の潮流を知ることと、世界の真似をすることは全く別のものです。
誰かが言っているから、今流行っているから。
その度に方向を変えていては、選手はたまったものではありませんよね。

日本人固有の特性があります。
コーチが大切にしておかなくてはならない、オリジナリティ。
そして、各チームの特徴。
これらを踏まえて、計画を立て、日々の活動を行う。
そうすれば、指導に独自のポリシー、カラーも生まれるでしょう。
選手だけではなく、指導者も考え続ける。
そこに一本の柱を常に持ち続けて。
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2006年09月05日

厳しい目

サッカー日本代表が、0対1でサウジアラビアに敗れました。
中東でのアウェーと、厳しい条件での試合です。
とは言え、オシム監督になって初の公式戦。
少なくとも、敗戦だけは避けたかったですね。
日本のマスコミは、優しいですね。
オシム監督は、もっともっと叩かれてもいいはずです。
負けた試合から何かを得ることが出来るのは、選手だけではないはずです。
マスコミも、堂々と批判をすべきです。
そのためには、書き手自身がサッカーを深く勉強していく必要があります。
批判をしないのは、書き手の自信の無さの現われでしょうか?

今回のサウジ戦に向けてのオシム監督のとった方策。
本当に正しかったのでしょうか?
試合での選手起用、選手への働きかけ。
勝利に向けて、準備は万端だったのでしょうか?
それに対して、厳しい目で、批判していく必要があります。

前回にも書いたように、指導者には様々なスタイルがあります。
そのスタイルを信じて、貫いていく。

「たとえ、どれほどの批判を受けても、私が決めたチームで戦う。
 それで負けても、私は私の責任はとれる。」
・・・・ルイス・フェリペ・スコラーリ
    2002年ブラジル代表監督としてワールドカップ制覇
    2004年ポルトガル代表を自国開催欧州選手権ファイナリストに導く
    2006年ポルトガル代表を初のベスト4に導く
    各国の誘いを受ける名将。

試合には勝つ日もあれば、負ける日もあるでしょう。
選手との信頼関係を強く感じる日もあれば、崩れているなと思う日もあるでしょう。
そこで、心が揺らがすのでは無く、自分のスタイルを貫いていく。
周りに何か言われても、自分の信念は曲げない。
いい指導者の条件の一つです。
たとえ、マスコミや関係者に何かを言われてもです。

 監督を評価し、判断するのは、協会のはずです。
その仕組みさえ、きっちり運用できていればいいのですが。
いくら世界的な名将といえども、盲目的に頼ることがないようにしないと。
日本代表では、何一つ結果を残していませんからね。




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2006年09月01日

指導者のスタイル

 現在、日本サッカーの目指しているスタイルは、ボールも人も動いていくスタイル。
「ムービングフットボール」
日本人の特性を生かすためには?、たどり着いたのがこのスタイルなのです。
背も高くなく、身体も分厚くない。
圧倒的なドリブルの突破力があるわけでも、守備のメンタリティを持っているわけでもありません。
では、日本人の身体的特性、メンタル的特性とは?
背はあまり大きくないものの、俊敏に動くことが出来る。
さらには、グループで動くことが得意という特性もあります。
ピッチの選手全員が、ベンチの指示に従い、勤勉に戦う。
同じようなボールタッチ、同じようなキックのフォーム。
我々日本人は当たり前に思うことでも、外国人からしてみれば、特異なことに映るのです。
「選手全員が同じようなプレーができる。」
悪口とも取れるかもしれませんが、堂々としていればいいのです。
ムービングフットボールは、このメリットを生かすためのスタイルなのです。

 ただ、行き着く方向、目指す方向は同じであっても、進めていく手法は様々。
どういった計画を立てて、チームを育てていくのか?
実際に現場のコーチがどういったメニューを選ぶのか?
ここまでは、理論上なんとかなるでしょう。
ただ、そこから先。
現場、ピッチでどれだけの仕事ができるのか?
つまり、コーチの引き出しがどれだけあるのか?
まさにコーチを始めとした指導者の腕にかかってきます。

例えば、全く同じトレーニングをしたとします。
そこで起こった現象に対して、コーチがどういった働きかけをするのか?
プレイヤーがミスをした、思い違いをしている。
そこで、いい働きかけができれば、悪い習慣は改善されるでしょう。
起こってしまった現象(つまりミス)をそのままにしてしまう。
そのグループ、個人には悪い習慣が、身についてしまうのです。
コーチの現場での責任は、非常に大きくなります。

 選手に対して、誰が一番二番と優劣がつけるのが難しいですよね。
選手には、それぞれの個性があって、それぞれの良さがありますよね。
同じように、コーチにも個性があるはずなのです。
JFAの求めるスタイルだけが、一番では無いはずです。
コーチ一人一人が個性を持っています。
自分の指導スタイル、指導信念に自身を持っているのです。
それを、ブラジルで強く感じました。


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2006年08月08日

プレイイングタイムを確保する

昨日、日本代表のトレーニングが行われました。
千葉県の秋津サッカー場です。
物陰から覗き見ることさえ覚悟して、見学に行ってきました。
選手の出入り口には、ロープを張って警備員を立たせる警戒ぶり。
ところが、近所の人々がわらわらと集まってくるのです。
1000人を超えるギャラリーは、新しい代表に対する期待の表れでしょうか。
彼らは、携帯電話で連絡を取り合い、花火でも見物するくらいの気軽さでした。
メインスタンド(メインしかありませんが)には、小さいお子様が走り回る程、ゆるい雰囲気。
そのおかげで、私もしっかり座って見学することができました。
ピッチの上とスタンドとが同じ空間だとは思えませんでした。
ピッチ上は終始緊迫した空気が流れていました。

 この張り詰めたピッチの空気は、ここしばらく無かった空気。
これが、今回の合宿の最も大きい成果かも知れません。
新たに呼ばれた選手達は、自分の強み・特長を見せようとします。
オシム監督やチームメイトに対する熱いアピール!
中でも、坂田・山瀬・栗原選手。田中達也・坪井選手は動きの良さをアピールしていました。
小林大吾選手は技術の高さは、代表でも頭一つ抜けていました。
ただし、代表選手といえども、トレーニングには付いていくのが精一杯。
そんな姿が多く見られました。

 指導者がコーチングの際に気をつけなければならない事は、たくさんあります。
その一つに、「プレイイングタイムを確保すること」、があります。
選手が実際に、トレーニングする時間をしっかり取ろう。
選手はプレーを通してでないと成長しないよ。
この考え方から来ています。

指導者講習会では、指導実践なるものが行われます。
簡単に言うと、模擬授業といったものでしょうか。
ここでも、プレイイングタイムの確保は、重点課題の一つです。
元市立船橋高校監督、布啓一郎氏。
今さら説明のしようもない程の名将ですよね。
その布先生でさえ、「話が長い!」と注意されたと苦笑交じりに語るほどです。
指導の現場では、それだけ、「説明は短く、プレーの時間は長く」
これを徹底させようとしています。
実際の現場では、どのように行うのでしょうか?
トレーニングの設定・ルールの説明に、まずはほんの1分程度。
後は、どんどんプレイさせて、その中で修正を行っていくのです。
指導者が自己満足げに語る姿を、もっとも悪しきものとしています。

昨日のトレーニングでは、正直プレイイングタイムは確保されていませんでした。
ワンプレー毎に、オシム監督が出てきます。
修正を施すこともあるでしょうが、ルールや設定の確認すらもあったように見えました。
なおかつ、1つのメニューあたりのトレーニング時間は約10分程度。
短いものだと、3分・5分。
たった1回限りといったものすらありました。
おそらく、選手の頭の中には「????」が巡り続けていたでしょう。
オシム監督の修正がストップをかけた後には、動きは活性化されます。
が、その方向性に納得いかないのか?活性化が足りないのか?
とにかく、ストップが繰り返されていました。
オシム監督も、ホントはプレーさせたいのでしょう。
が、納得のいう動きでは無いため、ストップをかけるのでしょう。

トレーニングは19時に始まり、20時30分までの間、一時間半行なわれました。
選手は必死にアピールしようとしていましたが、正直、トレーニングを消化するのに必死でしょう。
おそらく、通訳の方と、オシム監督との間も、まだスムーズでない事もあるのでしょう。
とにかく、胸のもやもやばかりが大きくなる、一時間半。
チームの立ち上がり時は、こういったものなのでしょうか?
トレーニングの意図すら、掴めていない選手たち。
こんな、「????」に支配された選手たちの試合はどうなるのでしょうか。
しばらく、興味深く見てみたくなりました。

 その中で、1つだけ見えてきたものがありました。
それは、攻撃のスピードアップの方法です。
速攻(カウンターアタック)のイメージが大きいでしょう。
この、攻撃時のスピードアップのシーンが、見られるでしょうか?
明日のトリニダード・トバゴ戦の注目点の1つでしょう。

もう1つ。
1人だけ特別待遇の選手がいました。
横浜Fマリノスの山瀬選手。
彼には、最後の30分間、攻撃のコンダクターの役割を持たせていました。
他の誰にも、一度も与えず、山瀬選手だけに与えられた役割です。
これが、何を意味するのかは、数試合見てみないと結論は出せなさそうです。
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2006年07月18日

即興性を高める。

 先週の木曜日に、某雑誌の撮影を行ないました。
内容は、フットサルのグループ戦術(ビギナー編)です。
雑誌サイドが用意してくださったエキストラが4名。
私達の会社からスタッフが4名、の計8名での撮影。
8名とカメラマン、そして編集長。
彼らに相談し、指示を出しながら、イメージする映像を目指しての撮影です。
気温34℃の中、4時間にも渡る撮影。
ハードですが、適度に緊張した空気の中で進んで行きました。

エキストラの4名は、現役の大学生。
準トップリーグにも所属する、かなりレベルの高い若者でした。
彼らの協力もあり、撮影は、まあまあ順調に進んでいきました。
しかも、内容は、ビギナーレベル。
私の簡単な説明と、デモンストレーションで進んでいきます。
彼らにしてみては、簡単な内容だったのでしょう。

 実際に、数々のトレーニングのパターンにも取り組みました。
例えば、スクウェアパス(パス&ムーブ)。
4箇所に分かれて、パスを出し、次の場所に移動する。
それだけのシンプルなメニューです。

 ▲             ←←●A▲


 






                     D
 ▲                 ▲
  C

このシンプルなメニューの中にも、様々な要素が入ってきます。
・アイコンタクトを始めとするコミュニケーション
・コミュニケーションのタイミング
・ボールを受ける前のステップワーク
・DFとの駆け引き
・DFのマークを外す動き
・パス&ムーブ
要素は、まだまだ挙げることが出来ます。
こんなシンプルなトレーニングも、やり方1つで、とても奥の深いものになっていくのです。
最初から、ごく当たり前のように、このスクウェアパスをこなして行きます。
若干の問題も、少しのアドバイスで、見違えるように改善されていきました。
彼らの能力の高さに、感心していました。

 撮影の都合上、普段は1日にやらないほど様々なスクウェアパスを行ないました。
数にして、6・7パターンくらいのヴァリエーションです。
3パターン目が終わる頃に、異変が起こりました。
同じようなメニューが続いた為か、選手役の8名が、ダレ始めていたのです。

そこで、急遽、メニューを組替えました。
頭を使わないと、進めていく事が出来ないメニューに組替えたのです。
・パスを5本通したら、6本目で逆周り。それを連続で繰り返し。
(右回しに進んでいたのもを、左回りに変更)
たったこれだけの事とお思いでしょう?
ところが、なかなか上手く進んでいかないのです。
一番の原因は、リアルにトレーニングをイメージできていないことにありました。1人1人が、次何をするのか?どう動くのか?
これをイメージできていれば、スムーズに進むはずなのです。

最初は、6本目になっても、ボールを逆周りに出せない。
ボールを受ける選手が、間違えて逆に動いてしまう。
この問題は、お互いの声かけを促す事でクリアしました。
「次だぞ」
「逆を見ろ」
選手の間から、こういった声が掛かり合うようになりました。

次に起こった問題は、ボールを受ける準備を怠ることでした。
パスの本数を数える。
ここに夢中になり過ぎているのです。
これでは本末転倒です。
一見すると、トレーニングはスムーズに進んでいるように見えます。
ただ、スクウェアパスの目標は、パスを回すことだけ無かったはずです。

目標の1つには、ボールを受ける際の準備。
これの改善がありました。
トレーニングを消化することに集中しすぎて、本来の目標を見失ってしまったのです。
これは、よくトレーニングの現場で起こりがちな現象といえます。
選手もコーチも、トレーニングを消化させることが目的になってしまうのです。

 トレーニングメニューは、難しい事、目新しいことが素晴らしいわけではありません。
どのような目的を持ってトレーニングを行なうのか?
何を選手に伝えるのか?
何を選手間の共通認識にさせるのか?
チームに選手に足りないこと、それを埋めるためには?
これらをよい方向に変化させるのが、本当のトレーニングの目的でしょう。
選手にもコーチにも即興性が求められます。
それが、フットボールという競技の特性といえるかもしれません。

シンプルなトレーニングであっても、選手をよい方向に導くことは可能です。
ただし、間違ったトレーニングを繰り返したプレーヤーは、実際の試合になると通用しない。
トレーニングと少しでも違った状況だと、力を発揮できないプレーヤー。
(実際は、こういった場面がほとんどなのですが・・・。)
トレーニングを予定通りにしかこなすことしか頭に無いコーチ。
そこに陥らないためには、次のプレーのイメージ。
リアルなプレーのイメージ。
これが1つのキーワードになるでしょう。
 
 その後も撮影は順調に続き、予定の4時間内でなんとか終了しました。
協力頂いた皆さんに、多大なる感謝を改めて差し上げます。
その記事が発売される時には、皆様に雑誌をご紹介させて頂きます。
今、必死に文字の原稿を作成しています。
誌面から、リアルなイメージは伝わってくるでしょうか?



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2006年07月14日

逆サイドを有効に

サイドチェンジ。
ボールをセンターから左サイドに展開。
ボールを縦や、横でもらおうと、左サイドに選手が寄ってきます。
もちろん、相手DFもそれに対応すべく、このサイドに集まってきます。
その瞬間、両チーム合わせて左サイドに10何名もポジショニング。
それだけ、密集した所を突破していくのは、容易ではありません。

ここで有効になってくるのが、サイドチェンジです。
一本の横パスを逆サイドに出す。
この逆サイドには、プレーヤーがいないことがほとんどです。
(同サイドにプレーヤーが密集しているからです。)
このスペースをスピーディーに突破し、決定的な形を作る。
加えて、50M先から飛んできた威力のあるボールをピタッとトラップ。
…少し前の記事ですが、参考になるはずです。
http://futebol.seesaa.net/article/17710098.html

世界のトップクラスは、一本のパスでサイドチェンジを行ないます。
最低でも50M先に、ピンポイントのパス。
しかも、山なりのボールではダメです。
答えは簡単ですよね。
相手DFに対応する時間を与えてしまうからです。

世界は、このサイドチェンジをチーム戦略として多用していました。
わざと、どちらかのサイドに寄せておいて、サイドチェンジ。
サイドアタッカー(ウイング・ハーフ・サイドバック)がスピード溢れる突破。
組織されたDFを破る手段として。
速攻を止められ、ゆっくり攻めざるを得なくなった打開策として。

こんな、やり方もありました。
パラグアイ対トリニダード・トバゴという渋い組み合わせを観戦しました。
パラグアイの戦略は、興味深い物でした。
右サイドのサイドアタッカー。
背番号8バレット選手、前半のポジショニングです。
パラグアイがボールを持って、組み立てようとする時、彼は常に開いていました。
ボールがセンターにあっても、左サイドにあっても、タッチラインいっぱいに開いているのです。
ボールがセンターから左サイドにゆっくり展開。
それでもバレット選手は、センターに寄って来ません。
開いたままなのです。
トリニダード・トバゴのDF陣。
DF陣も全体的に左にずれていきます。
左サイドで攻防が始まったその瞬間!
右サイドのバレット選手に一気のサイドチェンジ。
この作戦は何度もはまり、DF陣は混乱し続けました。
結果、前半35分過ぎには、トリニダードトバゴの左サイドバックは交代。
怪我も無いのに、不調でもないDFラインの選手を、前半の内に交代。
これは、かなりイレギュラーな事です。
この攻撃をなんとか止めなくては、勝負にならないと思ったのでしょう。

パラグアイの戦略は、特殊なものといえるでしょう。
ただ、サイドチェンジを有効に使おうというのは、世界の常識となっていました。
日本には、一発でのサイドチェンジを可能にする技術が足りないのでは?
低く・ストレートの弾道の正確なキック。
足元、もしくはスペースにピタッと止めるトラップ。
これが出来ないと、サイドチェンジは武器になりません。

一般のレベルで考えたら、2回に分けてもいと思います。
50Mが無理なら、25Mを2回という事です。
ただ、手間が増える分、更なるスピードが求められるのは言うまでもありません。
特に、動き出し、トラップからキックへの動作、もちろん判断。
ここのスピードです。



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2006年06月19日

ブルペンでは。

試合前のアップには、そのチームのスタイル、コンディションが見えてきます。
アルゼンチンは、ストレッチ・ボールコントロールを入念に繰り返していました。
コートジボワールは、ショートダッシュとステップワークの本数が並外れて多く見えました。
日本やメキシコなど、どんどんパスを回して、ボールを動かして行きたいようなチーム。
アップでは、パスゲームを入れています。
15〜20M×20〜30Mのフィールドを作ります。
その中に、フィールドの先発メンバー10人が2組に分かれて入る。
シュートは打たずに、パスをどんどん回していく。
普段よりも狭いピッチの中に、10人が入っているので、なかなかパスは回りません。
見ていると、守備はそれほど厳しく行きません。
おそらく、接触プレーによる怪我を警戒しているのでしょう。
一番のポイントは、チーム(5人グループ)として、ボールを保持するということ。
1人の選手でボールを持つのではありません。
どんどん、ボールを動かしながら、チームで持つ(ポゼッション)。
一瞬判断の遅れた選手、わずかなトラップミス。
これらが許されない、状況をわざと作ります。
(コーチの世界では、「場を設定する」と呼んでいます。)
つまり、アップのときから、試合中にボールを持っているだけではダメだよ。
これをチーム全員に再確認させるのです。

昨日の日本対クロアチア戦。
いつものように、身体をほぐして、ボールをゆっくりと触ります。
そして、パスゲーム。
この時、GK組は、別メニューで行っていました。
チーム全体のアップが一段落し、給水タイム。
昨日のような暑い日は、水分摂取も、重要な準備の一つになりますからね。
最後に、各自が自由にボールを蹴る時間を持ちました。
各自が、試合に必要な技術の最終確認をするためです。
時間にして、10分弱でしょうか。
DF組は、ヘディングとミドルパス。
そこでも、首をかしげるようなミスが何度か起きていました。
試合でのミスは、ここから始まっていてのでしょうか。
他の選手も、思い思いのアップをしていました。

そんな中、中田英寿選手は、黙々とミドルシュートを打ち続けていました。
やや右サイド、センター、やや左サイド。
約20〜30Mの距離からのシュートです。
軽く、右斜め前にボールを出して、足を思い切って振りぬくシュート。
試合で、鍵になるプレーがミドルシュートだと、考えたのでしょう。
クロアチアDFを抜き去るのではなく、DFブロックの前からのシュート。
中田選手のプレーする中央エリア。
ここは、もちろんクロアチアDFが最も警戒するエリア。
突破するだけでなく、ミドルシュートを打つことで、DFを引き出す。
後ろを固めるDFを前におびき寄せる。
そういった意図があったのでしょう。

ただ、中田選手の放つシュートは、目の覚めるような素晴らしい!ものではありませんでした。
枠を外れる、ゴールまで届かない、GKの正面・・・。
見ていて不安になるほどのシュートしか飛んで行きませんでした。
少しずつ、少しずつシュートの精度が上がってきてはいました。
1人、最後までミドルシュートを打ち続ける中田選手。
彼の頭には、不安などなかったと思います。
様々な位置で、様々な状況でキックを試していたのでしょう。
まるで、野球のピッチャーが投げ込んで、肩を作っていくように。
中田選手は、今日のキックのフィーリングを確かめていったのでしょう。
こういった微調整を施しながら、自分と対話していく。
アップは、身体のコンディションを高めていくだけではありません。
心も、頭も、高めていく。
そうやって、試合用のモードに切り替えていくのです。

中田選手は、試合で、2本ほどのミドルシュートを放ちました。
いずれも、いいタイミング、いい弾道のシュートが飛んでいきました。
アップで見せていたキックとは、全く質の違うものでした。
何がチームにとって、自分にとって必要なのか?
その準備をしっかりすることが出来る。
中田選手が、ヨーロッパのトップリーグでプレーし続ける大きな要因。
その一つを再確認しました。


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2006年06月06日

フットサルからサッカーへ、そしてフットサルに、・・・。

 NHKスペシャルで、ワールドカップ企画をしてましたよね。
第1回はロナウジーニョの秘密を、生い立ちから紐解く内容でした。
様々な要素が絡み合って、いまのロナウジーニョがある。
とても興味深い内容でした。
なかでも、少年時代のフットサルの映像は、凄い!!の一言。
ナイキのCMでも流れていた、あの映像です。
エラシコ(細かいボールタッチでDFを抜きさるフェイント)も、
シャペウ(DFの頭上を浮球で抜いていくフェイント)も、
既に10歳の頃からやっていました!!!

ブラジル代表の攻撃陣には、共通点があります。
今回、カルテット・マジコ(魔法の4人組)と呼ばれる選手たちです。
ロナウド・アドリアーノ・カカー・ロナウジーニョ。
さらには、ロビーニョも、古くはジーコもペレも。
彼らは、子供の頃にフットサルをしていたのです。
ポルトガル代表のデコもそうです。
これは、有名な話ですよね。

足裏を使うようになれる。
これも1つの、フットサルプレーヤーの特徴かもしれません。
サッカーの約9分の1サイズの狭いフィールド。
必然的に、1人1人がプレーするエリアも狭くなります。
足裏、つまりからだのすぐそばにボールを置いてのプレーが求められてきます。
ボールが身体から離れてしまうと、すぐに奪われる危険が迫りますからね。
トラップ・ボールタッチ・ボールキープ。
足裏を自然に織り交ぜていく。
DFは簡単に飛びこめなくなります。

 ただし、フットサルの効果はそれだけではありません。
人数が、11対11のサッカーに比べて、半分以下の5対5。
一人あたりのボールタッチ数で考えてみてください。
単純計算でも、倍以上になりますよね。
1対1の回数も倍以上になるということです。
しかも、狭いスペースで。

ここでプレーする事で、相手との駆け引きを身につけることが出来るでしょう。
これが、もう1つのフットサルの効用といえるでしょう。
フットサルでは、1対1が繰り返し、繰り返し起こります。
相手の動きを見ながらのボールコントロール。
狭いスペースでも、思いきった勝負のドリブル。
残念ながら、日本代表レベルのプレーヤーでもあまり見られないプレーです。
パスをつなぐトレーニングばかりしていては、身につかない部分です。

日本人の足元の技術は、かなり高いものがあると言われています。
ヨーロッパの強豪国と比べてもです。
「そんなサーカスのようなプレーは、試合では使えない!」
リフティングや様々なフェイント。
ヨーロッパ各国では好まれないことすらあります。
お国柄の違いなのですが。
個人技が高いといわれる南米と比べても、遜色ないのではないのでしょうか?
一番の違いは、相手選手との駆け引きの部分だと、私は考えています。
日本人プレーヤーの特徴は、全く勝負・駆け引きをしない。
もしくは、相手DFと関係無く、ドリブル・フェイントを行なう。
相手DFの動きは?心の中は?
そんなことを考えることが出来れば、最高に楽しいのですが。
フットサル・サッカーでの1対1を通して、身につけていきたいですね。

 私の同僚のコーチは、またぎフェイントが得意です。
ペダーラ(自転車のペダル)と呼ばれる、ボールをまたぐフェイントです。
そのフェイントを武器の1つに、ブラジルで活躍していました。
その彼はいつもこう言います。
「ただまたぐだけじゃない。またぐことによってDFが動く
 またぎながら、重心の移動を観察しているんだよ」
こういった駆け引きをフットサルでトレーニングし、サッカーに活かす。
サッカーで身につけたものを、フットサルに持ちこむ。
そうすることで、もっともっとフットボールが楽しめると思いませんか。
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2006年04月18日

オープンスキルの習得

 「小倉もフリーならストイコビッチだ。
 でも、サッカーには敵(DF)がいる」
チャンピオンズカップで、アーセナルをセミファイナルに導いた、
プレミアリーグの制覇等、数々の栄誉を手にしてきた、
アーセン=ベンゲル氏の有名な言葉です。

ベンゲル氏は、
「日本人は動きを身につけるのが得意なようだ。
 どんなサッカー選手でも、完璧な動きをこなす事が出来る。」
「ただし、そこには1つの条件がある。
 相手さえいなければ、という条件だ」
ベンゲル氏は、小倉選手を高く評価していました。
一番言いたかったのは、日本人の一般的な技術上の欠点についてです。

もちろん、ベースとなる、クローズドスキルの獲得はとても重要です。
基本となる技術があってこその、応用・実戦になるのは間違いありません。
ただ、サッカーは、テニスと違って、相手と同じピッチに立っています。
相手DFは、自分の邪魔をどんどんして来るのです。
そんな中で、いかに自分の技術を発揮する事が出来るのか?
実際に、相手DFに邪魔をされる前に、
体勢を整えておかなければならないでしょう。
身体が接触してからでは、遅いのです。

 16歳でプロ契約を結んだ、東京ベルディの森本選手。
彼は、常に、意識を高く、トレーニングに取り組んでいたそうです。
10数M離れ、2人組での対面パス。
こんなシンプルなトレーニング。
この中でも、DFや味方の位置をイメージしながら、繰り返しプレーします。
周りを見てボールコントロール。
DFをカワすかのような、ボールコントロール。
等々・・。

日本代表の中核である、中田英寿選手。
彼も、高校時代から既に、
この対面パスにこだわりを持って取り組んでいたそうです。
何気ないパス。
弱いパススピード。
これだと、世界の舞台で通用しない。
U−17アジア予選や世界大会で身をもって、痛感した中田選手。
トラップするのも難しいくらいのボールを、蹴りつづけたそうです。
中田選手の頭には、ワールドクラスレベルが明確に浮かんでいたのでしょうね。

普段の何気ないトレーニングを、いかにハイレベルなものにするのか?
中田選手や森本選手と同じ時間を過ごした選手はたくさんいます。
その中で、なぜ、中田選手は中田選手になり得たのか?
森本選手は、なぜ、森本選手になり得たのか?
もし、こんなにトレーニングしているのに、上達しない。
頑張っているのに、試合で活躍できない。
そう思っているのなら、日々のトレーニングを見つめ直してみてはどうですか?

「プロは練習が嫌いになるまで練習するのが当たり前。
 だから僕は練習が嫌い」 
                 ・・・中田英寿
posted by プロコーチ at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月14日

オープンスキル、クローズドスキル。

 初心者向けのクラスを、昨日指導しました。
その名も、スーパービギナークラス。
ボールを5M先の目標に蹴れない。
ドリブルだと、足のどの部分でボールを触るか分からない。
試合の展開は、縦・縦・縦となりやすい傾向に。
パスが、3本つながることも少なく・・・。

2時間弱のトレーニング。
ボールタッチ・ドリブル・コミュニケーション。
これらの強化を約30分。
その後1時間は、キックのトレーニング。
全体の約半分を、インサイドキックのトレーニングで占めます。
フットボールは、パスゲーム。
ここを外すわけには行かないとの信念からです。

 今年で、丸4年になる、サッカー教室。
受講者の皆さんと共に、私も成長させて頂きました。
「どのような働きかけがこの場面では効果的なのか?」
この部分が一番でしょうか。
トレーニングを終えて、受講者の方には、成長して欲しい。
トレーニング前に比べて少しでも、少しでも。
2時間のカリキュラムの充実。
適切なコーチング(働きかけ)。

最近のスーパービギナークラスでは、
ドリルの合間合間に、パストレーニングを挟む形式になっています。
特に1つのドリルを確認しながらのパス。
これを促す目的を持っています。
以前は、全てのドリルを終わらせてから、パスに入っていました。

さらに、パストレーニングにも工夫をしています。
1辺、10〜12・3Mの三角形を3つ重ねた形でのパス交換。
各プレーヤーの工夫無くしては、スムーズに進行しないのです。
(トライアングルパス交換)
△、△△、▲にマーカーを配置。
▲は▲同士で、パス交換。
慣れてくれば、ボールを各組2けに増やす。

           ▲
      △
                    △△    

   △△


                       △

 ▲                           

                       ▲  

     △ 

      
                 △△
このメニューのいい所は、様々な戦術的要素を含んでいるところです。
周りを見ないと、ボール同士、ボールと人とがぶつかってしまう。
声をかけないと、パスを出せなくなり、つまってしまう。
片足しか使わないと、プレーに余計な時間が掛かりやすい。
その場だけにいれば、他の人が邪魔でパスが出せない。
等など、試合に必要な要素を多く含んでいるのです。

一方、デメリットもあります。
戦術的な側面を強調しすぎると、
キックの技術的面がボケてしまいやすいのです。
つまり、味方にパスをつなぐことだけに、集中してしまう。
結果、ボールの質には、気を配れなくなってしまうのです。
せっかく繰り返したドリルが、抜けてしまっているのです。

昨日のトレーニングでは、やり方を変えてみました。
以前のやり方に戻したのです。
単純に対面に分かれてのパス交換。
10M先の相手に、パスの繰り返し。
その前に行なったドリルの成果を確認しながらのトレーニング。
完全に技術的な側面にフォーカス(焦点を絞って)してです。
その結果、たった1時間のトレーニングで、
見違えるような成果を出した受講生が、5名も!出てきたのです。
丁寧なフォームから繰り出されるボールの質は、素晴らしかったです。
コーチ冥利に尽きる瞬間です。

やはり、このトレーニングにもデメリットもあります。
試合には、こんな状況がほとんどありませんよね。
これでは、せっかく身に付けた技術を活かすことが出来ない。
例えるなら、リフティングは上手く、日が暮れるまで続けれても、
実際の試合ではコントロールミスをする選手は多いですよね。
キックの習得と、パスの成功とは、同じではないのです。

この2種類のトレーニングを上手にミックスさせる。
コーチの腕の見せ所です。
昔は、トレーニングでしか発揮できない技術をテクニック。
一方、試合で発揮できる技術をスキル。とも言いました。
今は、オープンスキル(試合)、クローズドスキル(トレーニング)。
この言い方が一般的でしょう。

この2つを分けるものは、何でしょうか?
一番は、そこに自分の判断があるかどうか。
状況を見て、どのプレーを選択すべきか。
この判断の部分です。
この判断力を養いながら、技術を磨いていく事が、
試合でこそ活きる、オープンスキルの習得につながるのです。

昨日のトレーニングの後半に、少し仕掛けをしました。
対面パスをしている二人の間を、わざと通っていくのです。
見ていないプレーヤー、ボールに集中しすぎているプレーヤー。
彼・彼女らは、私にボールをぶつけてしまいます。
このちょっとした工夫。
これだけで、判断力を求められるトレーニングに変化します。
posted by プロコーチ at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする