2011年07月05日

大人の柔らかい頭

 ベスト8、ブラジルに惜敗。

U−17ワールドカップで、日本代表が活躍を見せました。

結果だけでなく、試合内容も評価できるものではなかったでしょうか。

トレセンで、JFAが訴え続けているスタイルを、見せてもらった。

それが今回の感想です。







・試合の主導権を握る戦いをしよう。

・動きながら、技術を身につけよう。

ナショナルトレセンで、繰り返し、繰り返し、本当に何度も聞いた内容です。

それを徹底して身につけたら、このようになる。

そんな姿を見せてもらったように、感じます。

ゴール前の崩しなどは、まさに、その通り。

パワーを持って、ゴール前に入っていく。

タイミングを合わせ、ボールを受け、動きながらコントロールする。

そこに、数人の選手が、かかわる。

個の輝きだけに頼らない崩しは、何度も相手を置き去りにしていました。

トレセンメニューで、トレーニングしている再現を、世界の強豪相手に見せていた。

これを継続していけば、日本スタイルとして、世界に通用するのでは?

まだまだ、ミスも多く、シュートを強引に打って欲しい時もありましたが、期待も膨らみます。








 そもそもこの年代は、日本特有の問題もあり、結果が出ていなかった年代でもあります。

U−20、U−23年代は、それなりに世界大会で結果を出していました。

(最近の敗退は気になりますが)

ところが、U−17年代は、アジアの予選すら突破できない時期が続いていました。

本大会に出場しても、グループリーグで敗退。

グループリーグを突破したのは、日本開催の1993年だけでした。

しかもこの時は、キックインが試験的に導入されており、少し特殊な大会でした。








 その日本特有の問題とは、学校制度、チーム編成にあります。

15歳から16歳で、中学から高校に切り替わる年代です。

以前は、高校受験のために、半年以上、ボールを蹴れない時期があるのが普通でした。

私も、中学の部活を夏に引退して、高校に入学する春までの間のブランクを味わいました。

1人でボールは蹴っていたものの、感覚や体力を維持するのは、相当難しいものです。

ぐんぐん成長していくこの時期に、半年も成長が止まってしまうのです。

もったいないですよね。

この年代の選手の多数がそうであるならば、世界で戦うのは難しい。









 また、3年刻みでチームを編成することが多い、日本。

主体がクラブチームに移り、中体連、高体連のチームでは無くなっても、それは同じです。

+*`@ユース、$%#高校、というチームが、1つ参加するだけです。

例え、そのチームに50人いても、200人いても、同じです。

10代で、1歳の歳の違いは大きいものです。

増してや、2歳違いともなると、その差は歴然としています。

すると、試合に出場するのは、体の大きな3年生が主体になるでしょう。

2年生は数人、1年生にいたっては、皆無です。

1年生で試合に出ていたら、ニュースでよく取り上げられている、ということは物珍しいのです。

せめて、2年刻みでチームを編成し、各チームごとにリーグ戦、大会を戦う。

出来れば、1年刻みでチームを編成することが出来れば、もっといいですよね。







 この、日本特有の問題を解決するきっかけ、となるべく大改革が行われました。
 
2006年に国体の少年男子の部が、U−16化されたのです。

潜在能力は高くても、体格や上下関係に阻まれ、試合に出れない高校1年生。

私のように、高校受験でサッカー部を引退しなくてはならない中学3年。

彼らに対して試合出場の機会を与えただけではありません。

彼らに自信を持ってプレーできる場の提供であり、光を当てるきっかけを作ることが出来たのです。

当初の目論見どおり、この年代の強化につながりました。








 
 国体のU−16化だけが、今回のU−17ワールドカップの躍進だとは思いません。

その他にも、地道な、根気強い取り組みが、1つの結果を見せたのだと思います。

昔からそうだった、という訳の分からない理由で、子供たちの成長を考えない大人は困ります。

それでは、せっかくの才能がつぶれてしまっていたかもしれない。

柔らかい大人の頭の発想が、子供の成長を助けることが出来た。

この歩みを止めないためにも、柔らかい発想を出し続ける責任が、私たちにはあるはずです。

今までそうだったから、は禁句で。

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2011年05月10日

100人のコーチと、1000人の選手。

 連休を利用して、毎年恒例の遠征に出掛けました。

長野県菅平で開催される、日本最大級の女子サッカーフェスティバル。

震災の影響もあって、今回は70数チームと、参加チームがやや少なめでした。

それでも、開会式に、選手が一同に会する姿は、なかなかのものです。

約1000人の選手が、そこには並んでいました。

おそらくコーチも、軽く100人は、参加しているはずです。







 オープンな参加を認めている大会であることが、このフェスティバルの特長でもあります。

そのため、年齢層や、属性も様々です。

中学生を主体としたチームから、高校、大学の部活動のチーム。

当然、クラブチームも多数参加しており、10代から40代まで年齢層も様々。

Lリーグに参戦しているチームも参加するなど、なんとも間口の広い大会です。

25分ハーフで行われる、この大会。

試合によっては、26対0の大差の試合もあったとか・・・。

将来のなでしこと、一般の愛好者とが、戦うチャンスがあるのも、楽しみの一つですね。








 100人もの指導者がいれば、さまざまなタイプの指導者が参加されていました。

選手に、ポジティブないい声かけをして、プレーを促そうとするコーチ。

言葉は少ないのですが、普段の取り組みの成果か、心地よい緊張感をもたらすコーチ。

笑顔で、選手を優しく見守るコーチ。

様々なタイプのコーチを見させていただくことも、この大会に参加する楽しみであります。






 ところが、残念な姿を見せるコーチも、目に入ってきました。

威圧的な態度やネガティブな言葉で、選手を指導しようとするコーチです。

選手の反骨心を引き出そうとしている?

負けず嫌いな選手に対して、はっぱを掛けている?

普段の活動を知らない私は、その瞬間だけを切り取って、マイナスに受け取りたくはありません。









 そこで私は、声を掛けられている選手に、少し観察しました。

選手は、全く、そのコーチに反応を示していません。

具体的な指示も中には含まれているのですが、変化が観られないのです。

あまりに、ネガティブな働きかけが多いために、弊害が出ているのでしょうか。

選手は、心に蓋をしてしまった。

コーチの存在を、やり過ごせば通り過ぎる、うるさい雨・風くらいに思っているのでしょうか。

私の頭には、他山の石ということわざが、頭に浮かびました。








 また、今回のフェスティバルでは、このようなこともありました。

うれしい再会です。

最終日は、順位決定トーナメントの、それぞれの勝ち残りチームが公式戦を行います。

残念ながら敗れたチームは、フレンドリーマッチを行うのです。

敗れたチームのコーチ、50チームくらいでしょうか、編成会議を開きます。

我々は、懇意にさせていただいているチームのコーチと、マッチメイクさせてもらえました。

このチームは、技術的にしっかりしていて、ボールを丁寧に扱う好チーム。

ここ数年、ありがたくも毎回対戦させていただき、勉強させてもらています。







 せっかくなので、もう1、2チームに声を掛け、ミニリーグをしよう!という話になりました。

すると、その編成会議に、以前に知り合ったコーチの姿を見かけました。

福島のJヴィレッジで開催された、指導者講習会でご一緒した方です。

彼は、全国選手権に出場する、強豪高校の監督を務めておられるコーチです。

そして、その高校は、東北の被災地ど真ん中にあるのです。

今、どのような状態なのか、気がかりでした。






 数年ぶりにご挨拶すると、変わらず、その高校の指導をされていました。

私のことも覚えてくださっており、フレンドリーマッチをすることになりました。

話を伺うと、大変な事態にもかかわらず、この大会に参加されたそうです。

その高校の厳しい現状を、教えてくださいました。

・チームの選手同士は、2ヶ月ぶりに、長野で再会を果たしたこと。

・用具やユニフォームが流されてしまったので、ビブスで代用すること。

・選手が9人しかいないので、出来れば、選手を貸して欲しいとのこと。

・残念なことに、転校を余儀なくされた生徒が多数いるのだそうです。






 翌日、3チームでの、フレンドリーマッチを行うことになりました。

私は、前日、チームの選手たちと確認しあいました。

それは、「ピッチに立って、全力を尽くすこと。」

余計なことを考える暇は無いし、ピッチに持ち込むものではない、と。

選手たちも、当然のように、それは分かっていました。

私が、余計な気遣いをする必要は、無かったようです。








 対戦相手の選手たちは、両チーム共に、元気に、ハツラツとプレーをしていました。

それを助けているのは、両チームのコーチでしょう。

優しさと、厳しさとを併せ持ち、ポジティブな態度で、選手に接していました。

ベンチと、ピッチとの間は、いい関係でつながっているようです。

選手は、連戦で疲れていても、最後まで走り、ボールにかじりつきます。

このような空間は、とても心地のいいものです。

指導者をしていて良かった、と思える瞬間でもあるのです。








 結局最後は、ピッチがあって、ボールがあって、そこに選手がいる。

私たちに出来ることは、目の前のボールと、真剣に向かい合うことだけ。

それは、どこにいっても変わらないのですね。
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2011年04月19日

20年VS1年

「この勝利は、この20年間の試みに参加した全ての人たちのものだ。」

昨年の11月に行われたクラシコ後、FCバルセロナのグアルディオラ監督のコメントです。

この時の、バルサはすさまじかった。

ホーム、カンプノウでのクラシコとは言え、ここまで、レアルマドリーを叩きのめすとは!

直前までの、レアルの調子が良かっただけに、大きな衝撃を受けました。

強気で知られる、モウリーニョ監督も、素直に敗戦を認めているほどでした。






 それを受けての、今回のクラシコ。

こういう伏線、因縁があるから、リーグ戦は面白い。

レアルが、バルサをどのように迎え撃つのか。

真っ向からぶつかり合うのか?

それとも昨年までのインテルでのような戦い、低い位置にバスを停める守備的な戦いををするのか?









 私は、試合前までは、戦術、戦略的なこと、そして技術的なことに想いを馳せていました。

そして、試合をテレビで観戦。

自分の浅はかさを気づかされました。

フットボールは、そのような上っ面をなぞるものではない。

技術、戦術、体力、戦略、はもちろん大切な要素。

そして、チーム、クラブの哲学は、前提となるべき、より大切な要素。






 
 もっと、もっと、大切なことがありました。

それは、フットボールは、戦いだと言うこと。

目の前の相手をつぶして、やっつけて、乗り越えていかなければ、勝利は勝ち取れないのだと。

ピッチと言うのは、戦いの場である。

テレビの画面を通しても、その戦いの迫力が伝わってきていました。

肉と肉とが、「バチーン!」とぶつかる音。

骨と骨とが、「ガツッ!」と削れ合うにぶい音。

激しい戦いの衝撃音が聞こえてきそうな試合でした。








 今回のレアルマドリーの戦いを観て、その根底の部分を改めて認識しました。

人は、パンやご飯で動くのではない。

人は、メンタルによって動くのである。

世界でもトップ中のトップの選手たちを、あそこまで真剣にさせる、モウリーニョ監督。

自分の国に帰れば、スターです。

自分のために、何人もの選手が、汗をかき、水を運んでくれる。

でも、レアルにおいては、そのスターが、ぶつかり合い、走り、真剣に戦いぬいている。

どのような取り組みを日常的に行えば、人をあそこまで動かせるのでしょうか?








 バルサの選手たちは、攻守に渡って、走り続け、攻から守への切り替えのために走る。

1人1人の選手が、そのタスクを達成し続ける。

世界一の選手とされる、メッシであろうが例外はありません。

これは、20年の積み重ねによるものが大きい。

その時々のトップチームの選手が模範を見せる。

そして、同じ哲学の元に、育成された選手たちが、後を継いで行く。

理想的な系譜が、そこにはあります。

これが、冒頭のグアルディオラ監督の言葉につながっているのでしょう。









 一方のレアルマドリーは、そうではありません。

銀河系軍団と言われたチームの頃を思い出します。

走る選手と、走ってもらう選手に、役割分担がなされたいました。

監督によって、取り組むスタイル、哲学が異なっていました。

つながっているのは、クラブに対する敬意や、クラブメンバーである誇りといった部分でしょうか。

決して、全員が戦い、走り、チームのために汗をかく哲学は感じられません。








 それは、モウリーニョ監督が1年でもたらしたものが、大きいのでしょう。

たった一年で、そのレベルを引き上げる手腕は、何なのでしょうね。

彼に関する、たくさんの文献をあさり、ビデオを観ても、全てを明らかには出来ません。

言えるのは、彼の率いた全てのチームは、信頼でつながっているということです。

クラブを去ってもまだ、その関係が続くほど、厚い信頼関係です。

個人事業主であるプロ選手の世界では、数少ない光景ですね。

バラバラになりかねない選手たちが、家族のような団結力を見せている。








 今年は、後、3回もクラシコが続きます。

20年VS1年の戦いとも、言えるかも知れません。

あの激しく、熱いぶつかり合いが、まだ3回も観れるとは、幸せなことです。

 
posted by プロコーチ at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月15日

声を出す

 私の信念の1つに「声」があります。

試合中でも、ピッチの外でも、とても重要である。

この信念から、私は、声を出すことを自分にも課していますし、選手にも求めています。









 ところが、ある本に、このような内容が紹介されていました。

「ユーゴでは、声を出してはいけない」

「ボールを要求する声を出した選手は、交代させられる」

要約すると、次のようになります。

受け手が声を出してボールを要求すると、パスをそちらに出してしまう。

ボールを持った選手の判断・アイデアを尊重すべきである。

だから、それを阻害する声は、出すべきではないとのことです。

旧ユーゴスラビア出身のゼムノビッチコーチの意見です。










 先日、小学3年以下のフットサル大会に、チームを作って出場しました。

トレーニング1回、当日の大会と、2回しか活動できませんでした。

私は、子供たちに、声を出すことを求めました。

「ヘイ、ハイでいいから、ボールをもらうために声を出してごらん」

そのことを、繰り返し伝えました。

すると、子供たちは、皆、大きな声を出してパスを要求し始めました。

「ヘイ、ヘイ」

「ハイ!」

何度も、何度も、声が聞こえてきます。

私は、子供の判断・アイデアを奪ってしまったのでしょうか?











 私は、ある狙いを持って、声を出すことを求めていました。

それは、プレーに関わってもらうためです。

この年代の子供たちは、集中力にムラがあります。

特に、自分の周囲にボールが無い時は、その傾向は強まるようです。

コートの中に立っているだけ、何となく走っているだけ。

では、少しでもプレーに関わりを持たすためには?

その解決策の1つが、「ボールをもらう声を出そう!」でした。










 今日、試合の様子を収めたDVDをもらい、観てみました。

すると、ボールをもらう声が、テレビから聞こえてきました。

1人でなく、ボールを持っていない選手のほとんどが、繰り返し声を出していました。

うるさいくらいに、ボールをもらうために、声を出してくれていました。

私のコーチングが伝わっているようでした。










 正直、子供たちの中では、声を出すことそのものが、目的化していたのかもしれない。

ただ、今回はそうだったとしても、フットボールは続きます。

声を出すと、ボールが来るかもしれない。

ボールから逃げることが出来ない。

何よりも、子供たちは願っているはずです。

ボールを持って、気持ちいプレーをしたい!と。

そう願うなら、準備が必要になる。

声を出すということは、責任も付いてくるのです。









 プレーに常に関わり、いい準備が出来るプレーヤーになって欲しい。

今回の大会が、そのきっかけになったのなら、最高です。

そうはならなくても、今回の大会を楽しかったな!また出たいな!と思ってくれれば。

それもまた、最高ですね。

 
posted by プロコーチ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月25日

成長する競技

 「フットボール、それは素晴らしい競技だ。

  なぜなら、子供を大人に、大人を紳士に育てる競技だからだ。」

これは、デットマール・クラマーさんの残してくれた、有名な言葉です。



  



 我々が大好きなフットボールは、本当に、なかなか上手くいかない。

目や頭から遠く、一番不自由な足で、ボールを操るこの競技。

しかも、自分ひとりが上手くいっても、試合に勝てるわけではない。

味方がいて、相手もいて、審判もいて、自然の中で行われる。

あまりにも、不確定な要素が多いのです。

だからこそ、学ぶことが多く、自らを成長させてくれるのでしょう。








 私たちのスクールは、大人をメインの対象にしています。

今回、新しい取り組みとして、4種、小学生の年代に向けたスクールを、期間限定で開きました。

と言っても、2回トレーニングした後に、1DAYの大会に参加する、ごく短期のものです。

小1〜小3の子供10人が、1回目のトレーニングに参加しました。

夕方開催にもかかわらず、親御さんが引率してくれました。

その熱意には、こちらも頭が下がります。







 今回の子供向けのスクールの陣頭指揮を執るのは、私の同僚のコーチです。

彼は、10何年、子供を指導していたキャリアがあります。

その彼の子供たちに対する働きかけは、とても勉強になりました。

特に、距離感と目線の高さ・配り方。

この2つが絶妙でした。

子供たちは初対面であることを、忘れてしまったかのよう。

不安そうな表情は消し飛んだように見えました。

トレーニングは、順調に進みました。

普段の所属しているチームとは違う雰囲気、内容にもかかわらずです。








 時間が進み、その日の締めに、ミニゲームを行いました。

ゲームでも、子供たちは、疲れも見せず、元気にプレーしています。

ところが、気になることがありました。

元気は元気なのですが、どこか遠慮しているのです。

何かを言いたそうにも見えるのですが、声や行動になって、出ては来ないのです。







 子供たちは、みなすごく元気で、いい子たちでした。

フットボールに、まじめに取り組んでいるし、普段トレーニングしている姿も目に浮かびます。

我々が子供の時に比べると、技術レベルは圧倒的に高い。

だからこそ、もっと伸ばして欲しい部分があるのです。

どうすれば、自分を出せるのか!?

どうすれば、相手の気持ちを引き出せるのか!?

どのような振る舞いをすれば、目の前の集団が良い方向に向かうのか?!

そして、どうすればその中で、自分を発揮できるのか!?

こういったことが、自然に出来るようになってほしい。








 クラマーさんの言葉を信じるならば、フットボールを真剣に取り組み続ければいいのでしょう。

子供のままでは、このスポーツは上手くいかないことを、自身で気づく時が来る。

注意深く観察しながら、その時を待つのが、私たちコーチの仕事でしょう。

不自由で、思うようにならず、自分の前にそびえ立つ困難が常に訪れる、我々の愛するこの競技。

クラマーさんは、こうも言っています。

「フットボールには人生の全てがある、特に”男”にとって必要な全てが」

当日の大会では、どのような姿が見られるのか?

今から楽しみです。
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2011年02月18日

将来の進路・針路

「こんにちは。」

今日、講演会に呼ばれ、230名ほどの方の前で、1時間強の講演をしてきました。

毎日のコーチングで、人前で話すことには抵抗はありません。

それでも、230名もの多くの聴衆が、私の話を聞くためだけに、集まってくれている。

顔には出さないようにしたつもりですが、開演までは、相当緊張していました。







 講演する相手は、ある中学校の1年生の生徒の皆さん。

演題は、「進路について」です。

この話を頂いた時、迷う間もなく、快諾しました。

どんなことも、経験ですからね。

迷うくらいなら、やってみよう!の精神です。






 ただ、その話を頂いてからが、大変でした。

リクエストに、「私自身の今までを振り返り、経験談を交えて、話を進めて欲しい」とありました。

進路、そして、自分の経験。

さて、どんな話をすれば、中学1年生の心に、少しでも引っ掛かるのか?

自分が中学生の頃、果たして30分でも話を集中して聞けていたのだろうか・・・?

ええかっこをしても、生徒の心に響かないだろうし。

などなど。







 たくさん、準備をして、当日を迎えました。

そして、何とか無事に?、講演会を終えることも出来ました。

今、振り返ると、この依頼を受けて良かった。

心から、思えました。

1時間を越える長話になったのに、真剣な視線を送り続けてくれた何人もの生徒。

私からの問いかけに、うなずき、ほほえみ、素直に反応してくれた生徒。

1人でも、2人でもそんな生徒がいてくれただけで、時間は無駄では無かった。

ワンフレーズでも、彼らの心に書き記されたなら、もっと嬉しい。







 そして今回、自分を見つめなおすことも出来たのです。

自分の歩んできた道を、改めて振り返りました。

このことで、自分の信念や目指すべきものを再確認できたからです。

中学生の進路の助けになれば、と言う話のはずが、自分の針路の助けにもなってくれたのです。

2百数十名の13歳に負けないように!
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2010年12月24日

答えを探す

 ナショナルトレセンU−15女子と同時に開催された、指導者講習会。

この講習では、様々な角度から刺激が入ってきます。

目で観て、カラダで感じて、耳から入れて。

主催者側の色々な工夫が、凝らされています。

普段、自分から指導するだけでは気づけないようなポイントも、改めて感じることがあります。

やはり、我々コーチも、常に勉強を続けないとなりませんからね。

このような機会は、本当にありがたいことです。





 

 1つ、気になることがありました。

それは、実技講習でのことです。

前回くらいから、この実技講習の内容が変更されました。

以前は、ナショナルトレセンコーチ(代表監督だったことも!)が、担当されます。

選手に指導する内容と同じものを、我々も指導を受けるのです。

実際に体験することで、難しさや、本来の意味をつかんでいくのです。

実は私は、この実技講習を受けるのを、講習会の楽しみの一つに思っていました。








 最近は、一方的に指導される内容ではなくなりました。

「我々受講生も、コーチ陣と共に実技講習会を作り上げる」、方向になりました。

具体的には、グループに分け試合をします。

次に、試合を問題点を挙げ分析。

さらに、その課題を解決するためのトレーニングを、我々で考える。

そして、どこかのグループが指名され、トレーニングを実際に指導していく。

最後には、トレーニングを発展するためには?とアイデアをさらに出し合うのです。






 進行も、主催のコーチ陣が一方的には、進めて行きません。

常に「今、どうでしたか?」と問いかけ、意見を引き出し、ディスカッションを促してくれます。

まさに、皆で作り上げる、実技講習と言った具合なのです。








 気になったのは、このディスカッションです。

意見は出るのですが、違和感を感じました。

何となく誰もが、答えを探しながら、ディスカッションを行っているように感じたからです。





 これは、最初の分析のところから感じたことでした。

話すテーマは、もちろん与えられます。

それに沿って、ディスカッションを行うのは、もちろん大前提です。

そうではなく、コーチが求めているような答えを探している。

考えすぎかもしれませんが、私はそのように感じてしまいました。






 本来、一人一人、感じることは違うはずです。

そして、感じたものを発する内容も、皆それぞれ違うはずです。

お互いに意見を出し合い、議論を深めていく。

仮に、間違ったとしても、悪いことは無いはず。

間違ったとしても、自分の意見を持ち、人の意見に耳を傾けれれば。




「沈黙は金」

「空気を察する」

「腹芸」

日本には、相手を思いやり、顔をつぶさないために、と言う文化があります。

相手を尊重することは、素晴らしい文化だと思います。

常に、俺が俺がと、ぶつかり合う社会は、しんどいかもしれません。






 この背景があるから、答えを探すような、ディスカッションになるのでは?

フットボールのピッチではどうでしょうか?

初対面の相手には、それは通用しません。

時間が無いときも、同じでしょう。

その瞬間に、判断、行動、連携が求められるなら、どうでしょう。









 実技講習でのディスカッションそのものは、実は成り立っていました。

この辺りは、さすが指導者の集団で、意見を出し、聞く耳を持っておられました。

だからこそ、ディスカッションがさらに建設的に深まればいいのになあ。

帰りのクルマの中で、考えをめぐらせていました。
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2010年12月21日

憧れの先輩と

 ナショナルトレセン女子U−15が、Jヴィレッジで開催されました。

ここに併設される形で、指導者講習会も行われるのです。

毎年この時期に行われ、私も欠かさず参加させてもらっています。

数ある講習会の中でも、得るものが多い!と感じています。

それは、講習会の本気度が高さが伝わってくるからです。

今回も、たくさんの刺激を得て、まさにリフレッシュすることが出来ました。







 この講習会で、選手に向けて行われたレクチャーを聴講させてもらえました。

元々は、プログラムに入っていなかったのですが、急きょ許可が出たのです。

未来の「なでしこ」に向けて、どのような話をするのか、興味を持って、椅子に座っていました。

全国から集まった、13〜15歳160人のなでしこ候補生。

2部練をし、夕食をとってから、あたたかい大ホールでのレクチャー。

眠くなる要素がたっぷりあるのですが、彼女たちの目は輝いていました。

そこには、ナショトレ側の工夫があったからです。







 話をするのは、U−17女子代表の吉田弘監督です。

つい3ヶ月前に開かれた年代別のワールドカップで、見事世界2位!!に導いています。

その監督が自ら、話をしてくれます。

それだけでも、選手にとっては、魅力的です。

さらに、その傍らには、2人の女子選手が座っていました。

JFAアカデミーに所属し、先のワールドカップで中盤のレギュラーだった、2人です。

憧れの先輩が、目の前に座っている。






 吉田監督が、大会中の環境や、準備について話を始めます。

現地のホテルで出された料理が口に合わず、体重を落とした選手が多くいたこと。

ピッチの芝が雑草交じりだったこと。

(ここで、全員に質問しました。「取替えのスパイクを履いたことがある選手は?」

 160人いる中で、手が挙がったのは、ほんの数人でした)


そして、事あるごとに、2人に質問を投げ掛けます。

「トリニダード・トバゴの環境はどうだった?」

「初戦負けて、何を感じた?」

2人は、自分の言葉で、堂々と答えていきます。

17歳にして、200人もの前で、はっきりと自分の言葉で話す姿は、印象的でした。

アカデミーで取り組みが、形になって表れているのでしょう。

その声を、選手たちは、さらに食い入るように聞いていました。







 最後に、2人の先輩からのメッセージとして、次のような言葉が送られました。

「私は、前回に出場した時には、思うようなプレーが出来ず、悔しい思いをした。

 だから、その後、毎日シュート練習を個別にしました。(30本以上)

 そうしたら、今回の大会では、4点を決めることが出来ました。」



「156センチと小さいのですが、体力、プレッシャーの中でもコントロールは通用した。

 毎日、取り組んでいる成果が出たと思います。」




 

 2人の言葉は、変わった事の無い、当たり前の内容かもしれません。

同じようなことは、コーチからも、周りからも、選手の耳に入っているでしょう。

ポイントは、憧れの先輩が、目の前で語ってくれたことが重要なのだと思います。

他の誰が言うよりも、効果があったはずです。

160人の選手たちの目がさらに輝いたように、感じました。




 
 レクチャー終了後、2人の先輩の周りに、選手たちが集まっていました。 

その姿を見ると、このレクチャーは大成功だったのでしょう。

選手の心に、何か残る、響くものがあったようです。
 
ピッチの中だけで選手は育つわけではない。

ピッチの外での取り組みも、やはり必要なんですね。
posted by プロコーチ at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月26日

技術のある働き蜂を

 「サッカーというのは、別々の個性をが集まったチームワーク、

  いわゆるチームのタスクを行うゲームです。

  あまりいい言葉ではないけど、走り屋も、頑張れるヤツも、

  つらい時にメンタル面で鼓舞できるヤツも、どれも必要だし、

  そういう選手を均等に評価したいと思った。」




 働き蜂も、立派な才能である。

ところが日本では、1つのモノの見方で評価をする。

ポゼッショントレーニングで下手なヤツを、馬鹿にするところがある。

だけど、テクニカル面で劣っていても、運動量や、頑張りを、評価して欲しい。

しかも、選手同士で認め合わなければ、ダメだと思う。

日本のコーチ全体が、「頑張ることは、カッコイイこと」と呼び戻さなければ。






 この文章は、U−17世界大会を目指すも、出場できなかった、布コーチのものです。

選手のさまざまな個性を認める。

そして、ベースをアップさせていく。

そんなコンセプトで、当時、選手を集め、チームを作っていったようです。






 そして、今回のU−20世界大会を目指したチームにも、働き蜂を起用していました。

新潟アルビレックスの酒井高徳。

その枠だと、明らかにされてはいないのですが、試合を観ると、すぐに分かります。

チームの誰よりも、「働いて」いましたから。

所属チームだと、サイドバックでの起用が多いようです。

U−19日本代表では、中盤で起用されていました。





 試合で観る彼は、とにかく走り回っていました。

誰よりも早く、攻守・守攻と切り替える。

1STディフェンスに入れば、息が掛かるところまで、ボールに寄せる。

スペースを見つけては飛び出して、ボールを受ける。

画面から、彼の姿が消えることは無かったのではないか?

誤解してしまうほど、ボールに関わり続けていました。

残念なことは、ボールコントロール時のミスの頻度が、高かったことです。

せっかくいい動きでボールを引き出しても、ボールを失ってしまう。

もちろん、得点につながる、いいプレーもしていたのですが、プレーに差が激しいのです。






 私は、トレーニングキャンプでの彼の姿を見たことがありました。

まだ酒井選手が、16歳の時です。

見た目は、王子様のようで、女性受けしそうなルックス。

ところが、一たび、対人プレーが始まると、ボールに喰らいつく!

マークを外したり、スペースに飛び出してはボールを要求する。

周りの選手も、彼のもらうアクションが強いため、パスが集まります。

ただし、この時から、ボールをロストしてしまうシーンがありました。

全力でプレーをし過ぎているためか、余裕が無いようにも見えました。

それでも、彼ひとりいるだけで、そのグループの機動力は格段にUPしていました。

「走りでチームを引っ張っていた」

そんな印象を、当時持ったことを憶えています。





 我々指導者に配られる資料の中に、今回のU−19日本代表の戦いが、総括されていました。

チームを率いた、布コーチの報告によるものです。

内容は、率直な今回の反省や、今後の提言が含まれ、興味深いものでした。

その中に、このような一説があったのです。

「技術力と運動量を兼ね備えること」





 「現代サッカーでは、プレッシャーの中での技術力、

  攻守に関わり続ける運動量の両方が求められる。

  日本も向上してきているが、

  まだ技術力のある選手は運動量に、

  走るパワーのある選手は技術力に課題があると言える。」



 
 このチームの核となっていたのは、宇佐美選手でしょう。

圧倒的な技術力と、得点力で、存在感を発揮していました。

ところが、ボールが足元に無いときに、彼はどこまでプレーに関われていたのか?

改善されてはいるものの、誇れるものではないはずです。

彼が、酒井選手ほどの運動量を持っていたら!?







 報告には、こうもあります。

「ボールを収める力のある選手は、背後へのランニングを選択しない傾向にある。

 状況を観てスペースに走ることも出来、ボールを受けて起点になることも出来る選手

 このパイを増やしていくことが必要になってくる」

働き蜂の能力を持った酒井選手、技術力の高い宇佐美選手。

足して2で割るのでは無く、2人を足した選手が、やはり1つの理想なのではないでしょうか。






 ボールに愛される選手ばかりではありません。

チームの中で、「頑張ること」を認め合う空気を作る。

働き蜂に、光を!

働き蜂は、胸を張ろう!

そして、働きながら、技術も磨いていこう!
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2010年11月16日

責任はいずこに。

 「布監督と、牧内コーチの責任について、どう思いますか?」

車中で、こんな質問をぶつけられました。

スタジアムで試合観戦をした後、友人と、その友人とを送ることになりました。

観戦していた試合の話、最近のフットボールの話をして、盛り上がっていました。

そして、その流れから、このような会話になったのです。

彼の質問の意図としては、「私は責任があると思っていますが、あなたはどうですか?」でしょう。




 そして私は、以下のように返答しました。

ただしこの内容は、全くの私見です。

もしかすると、考えが偏っているかもしれませんが、ご容赦ください。








 布監督と牧内コーチの責任は、限定的なものではないか?

結論を言うと、それが私の考えです。






 彼らは確かに、2回続けて、世界大会出場のキップを逃してしまった。

現在の世論は、このようなものではないか?

布監督は、日本で開催された、2004年U−17アジア予選。

牧内コーチは、監督として臨んだ、2008年U−19予選。

セカンドチャンスをもらい、今回のU−20アジア予選に臨んだのですが、結果はご存知の通り。

U−20ワールドカップに導くことが出来なかった。

連続でアジア予選で敗退するとは、布・牧内両コーチには、能力がない!

手近なところで監督を選ぶのではなく、なぜもっと広く選択肢を持たないのか?!







 
 私は、この意見に賛同できません。

それは、チームが良い結果を残すために必要な、次の二つの事柄が達成されていないからです。

・チームの目標設定

・選手のリクルート





「チームの目標設定」

これは、本当にアジア予選を突破して、世界大会に出場するだったのでしょうか?

もしかすると、アジアでの戦いを経験させる、運がよければ世界大会だったのではないか?


「選手のリクルート」

目標を達成させるために必要な選手で、本当に構成されたチームだったのか?

呼びたい選手ではなく、呼ぶことが可能な選手だったのが現状でしょう。




この2つが、いずれも達成されなかった。

所属リーグ・連盟(特にJリーグ)側に、気をつかいすぎた、としか見えない。

そうでないと言うのなら、もっと合宿や、強化試合の回数を増やせたはず。

そして、J1・J2で試合に出ている選手を呼べたはずです。

マリノス・小野、ヴェルディ・キローラン木鈴・菜入、高木、レイソル茨田、レッズ原口、・・・。

高体連でも、中京大・宮市、青森山田・柴崎、米子北・昌子・・・。

彼らはいずれも、Jリーグに入団が決まっています。

そして、本大会でメンバー入りしなかったのです。

本当に彼らは、チームに不要だった?!のでしょうか。








 こんなたとえが考えられます。

自動車工場の工場長がいます。

本社から、お達しがありました。

「いいクルマを作って欲しい」

そして資材が運ばれてきました。

工場長は、持っているラインをフル稼働させ、いい乗用車を作り上げました。

本社は、組み上げられたクルマで、レースを戦うつもりでした。

いい乗用車ではあるものの、所詮は乗用車。

レースでは、当然結果が出ませんでした。




 その工場には、レース用のマシンを組み上げる設備も無く、資材も運ばれませんでした。

もし本社が本当にレースで勝つつもりなら、このようなことはしなかったでしょう。

工具も違えば、スタッフも違う。

そもそも、使われる資材も違うでしょう。

本来なら「いいクルマを作れ」ではなく、「このレースで勝てるクルマを作れ」と。

それに必要なものとは?






 もちろん、この工場長にも責任はあります。

それは、本社と戦わなかったことです。

「こんな設備では、レース用のマシンは組み上げられない」

「この資材では、速いマシンは作れない」

現場の意見を、本社にぶつけ、改善させるように戦うことは出来たのではないか。

それが、経験も実績も名前も、そして本社での地位もある工場長ならなおさらです。

その工場長が戦わないなら、この間違いは、何度も繰り返されてしまう。





 これが、私の意見です。

もちろん違う意見をお持ちの方もいるでしょうが、この視点は持つべきでしょう。

 




 
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2010年11月05日

求められている役割を

 自分に求められている役割とは何か?

与えられたポジションのことだけではなく、タスク。

言い換えるなら、ピッチの上で、どのように振舞うのか。





 誰もが一度は、華麗なプレイヤーに憧れるのでしょう。

テクニックを駆使して、ドリブルや、パス、シュートで、全ての人の目を釘付けにする。

そのような華麗なプレーに。






 UEFAチャンピオンズリーグ第4節、ミラン対レアルの試合をテレビで観戦していました。

レアルのリードで、後半15分を迎えています。

試合は、レアルが前半に先制。

内容でも、アウェイながら、ホームのミランを圧倒していました。

ミランも前節よりは意地を見せ、食い下がっているのですが、早くも敗色ムードが漂い始める。

そんな暗い雰囲気のスタジアム、サンシーロでした






 そこで、ミランは選手を交代させます。

37歳、ベテランのフィリッポ・インザーギが投入されました。

彼の特徴は、常にゴールを目指していること。

華麗なパス、ドリブル突破は、ほとんど見せない。

もしかしたら、日本のユース年代の選手よりも、その部分では劣る?!

実際にはそうではないのでしょうが、そう思わせるほど、ぎこちない動き。

DFラインの背後を狙い、ニアに飛び込み、こぼれ球を狙う。

何度も何度も、その動きだけを繰り返します。






 このレアル戦でも、2ゴールを奪いました。

1つはニアに飛び込み、こぼれ球に反応してゴール。

もう1つは、オフサイドラインを突破して、GKとの1対1からです。

美しくはないのですが、いかにも、「らしい」ゴールでした。

こうして積み上げたゴールは、300を越えました。

ヨーロッパのカップ戦では、歴代最高!タイ記録の70。(2010年11月7日現在)







 私はインザーギが、その2つのゴールに並ぶほどの大きな仕事をした。

そう感じた瞬間がありました。

もちろん、ゴールを奪うことは、素晴らしいことなのですが、それに匹敵する価値があるプレー。

それは、投入された直後でした。

レアルが、低い位置で、ゆっくりとパスをつないでいます。

そこに、インザーギが猛然と、フォアチェックに入ります。

パスを出されたのですが、さらに方向を変え、その先にもチェックを続けます。

パスの受け手であるシャビ・アロンソは、その気配を感じたのでしょう。

簡単にボールをさばき、インザーギを「いなした」はずでした。






 次の瞬間、インザーギが、シャビ・アロンソの背後から、体当たりを強烈に食らわせました。

アメフトのタックルのような、強烈なチャージです。

しかも、完全に遅れたタイミングで、ぶつかって行くのです。

全くスピードを緩めずにぶつかったため、シャビ・アロンソは崩れながら、倒れてしまいました。

(イエローカードが出てもおかしくなかったのですが、なぜか出ません。

 解説の名波氏によると、主審を説得した!?とのことでした。)





 主審のハーワード・ウェブがその場から離れると、インザーギがパフォーマンスを始めました。

観客席に向かって、両手を広げ、振り上げます。

静まり返っているスタンドを煽ったのです。

「お前ら、試合はこれからだ!共に戦おう!」

言葉は発しませんでしたが、それで充分でした。

このワンプレーとパフォーマンスで、スタジアムが生き返ったのです。

その雰囲気は、ピッチ上にもいい影響を及ぼしましたに違いありません。

インザーギの2点目は、明らかにオフサイドだったのですが、副審が見逃してしまいました。

もしかすると、スタジアムの雰囲気がもたらしたものかもしれませんね。







 インザーギは、自分がスタジアムに及ぼす影響力を、分かっていたのでしょう。

自分の振る舞いによって、どういう反応を示すのかを。

そして、途中交代で入ってくる選手が求められている役割は何なのか?

それも、充分に分かっていたからこその、この振る舞い。

コーチとして反則を奨励するわけには行きませんが、彼の取った行動は理解できます。

自分がチームに貢献するためには、今、この瞬間、何をすべきなのか?

それを突き詰めることで、自分の求められている役割も見えてくるでしょう。

真に価値ある選手の1人。

だからこそ、世界のトップチームで今もなお、自分の地位を築き続けているのでしょうね。
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2010年10月26日

オフサイドトラップ

 1974年、世界のフットボールシーンを震撼させるチームが出現しました。

ヨハン・クライフ擁する、オランダ代表です。

トータルフットボールと呼ばれ、現代にも影響を及ばしているとも言われています。

それ以来、オランダ代表チームは、攻撃的な試合運びをするイメージを持たれています。

オランダ代表は、他の国の人からも人気を集めるチームの1つとなっています。






 このオランダ代表の特徴はいくつかあります。

その1つに、オフサイドトラップをチームとして取り組んだことが挙げられます。

ボール狩りとも呼ばれた、ボールホルダーへのプレッシング。

この二つをセットにし、ボールを積極的に奪うための守備を行っていたのです。

守っているのに、攻めているかのように。

勢いのある守備です。






 当時のビデオを見直すと、相当大胆にこの2つの戦術的行動を起こしています。

自分の持ち場を離れて、ボールに複数人で奪いに行く。

同時に、DFの最終ラインを一気に上げ、さらにそのボール狩りを加速させます。

相手のボールホルダーがボールをキープしようとすれば、取り囲んで奪ってしまう。

あわてて縦パスを出すと、オフサイドの餌食にしてしまう。

相手選手の顔を見ると、困惑し、やり場の無い怒りを持ち、うんざりした表情を浮かべています。

ただし、ラインの上げ下げは、現代ほど統率がとれていません。

整然とラインが上がらず、勢いに任せてボールに向かっている印象です。

リスクマネジメント(上げた裏を取られたら!?)の概念が薄いようにも感じられます。





 当時のオランダ代表の守備を後押ししていたのは、当時のオフサイドのルールです。

オフサイドポジションに、誰かが居るだけで、オフサイドになってしまう。

立っているだけでも、戻ろうとしていても、オフサイドポジションに居れば、例外なくです。

2010年現在のルールに照らし合わせると、どうでしょうか?

ビデオを一時停止して、確認してみました。

すると、オフサイドにならない場面が、何度もありました。





 ところが、未だに、当時のオランダ代表ばりのオフサイドトラップを目にすることがあります。

草サッカーだけでなく、下部リーグの公式戦でもです。

コーチや、DFリーダーの声や手を合図に、一気にラインアップ。

相手攻撃陣をオフサイドに陥れようとします。

オフサイドトラップを取ることが、目的になってしまっている?

現代のルールがきちんと運用されるならば、あまり賢いやり方とは思えないのですが…。






 さらに、オフサイドを取ることが目的化してしまうと、いくつか問題があります。

ラインを止めるタイミング、下げるタイミングまで至らない。

すると、2列目の飛び出しを観ることが出来なくなる。

オフサイドトラップの掛け損ないです。



 そして、さらに大きな問題があります。

DFとして、身につけるべき行動がぼやけてしまうのです。

ボールにチャレンジし、他の選手がカバーリングする。(チャンレンジ&カバー)

グループとしての守備の基礎中の基礎なのですが、これすらおざなりになってしまってはないか。

マークする対象(人・スペース・ボール)のうち、どれが最も危険なのか?

これを見極める、危険察知能力が身に付けるチャンスがなくなってしまう。



 オフサイドのルールを、正確に把握し、活用しながら守備をする。

これを身につける必要はあります。

全部カバー、カバーを繰り返していては、ラインがどこまでも深くなってしまいますから。

オフサイドを意識して、マークを行う。

コンパクトの守備陣形をキープするためには、この考えが求められます。





 オフサイドトラップは劇薬です。

効果が高い分、副作用も怖いのです。

オフサイドトラップに頼りきりの守備方法は、改めた方がいい。

現代のルールにおいては、プラスよりも、マイナス要因があまりに多すぎる。

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2010年09月21日

分かると出来る。

 私には、弱点が幾つもあります。

その1つに、ウォシュレット無しでは、生活できないことがあります。

(冒頭から、しも、の話で恐縮です。)

当然、家にも備え付けています。

ふき取る力が強すぎるのか、それとも肛門が弱いのか。

ともかく、それ無しだと、すぐに切れてしまいます。





 南アフリカでは、苦労しました。

安全で、清潔なトイレは、宿くらいだったでしょうか。

ただし、南アフリカに限らず、海外でウォシュレットを目にすることは、ほとんどありません。

私の泊まる宿が、高級で無いせいかも知れないのですが。

帰国するたびに「日本は整ったいい国だな。」と思います。





 私の命綱でもある、我が家のウォシュレットが壊れてしまいました。

ボタンは間違って反応するし、水は漏れてしまいます。

7年間愛用したので、寿命なのでしょう。

買い換えることにしました。

某大型電気店に出向き、店員さんを捕まえ、話します。




 すると、意外な言葉を耳にしました。

「3割から5割くらい、お客様がご自分で設置されてますよ。」

「DVDや、テレビの配線がご自分で出来るなら、大丈夫です。」

てっきり、専門の業者さんに取り付けてもらうものと思っていたので、驚きました。

そんな発想そのものが、ありませんでしたから。

取り付け工事費の8000円が、浮くのならありがたい。

店員さんの言葉を信じ、自分で取り付けてみることにしました。






 家で、取り付け説明書を開き、読んでみました。

部品や、手順を確認しながら、ゆっくりと。

ところが、意味が理解できません。

もちろん、書いてあることは分かる。

説明してくれる図も、読み取れる。

それでも、手順そのものが、頭に浮かんでこないのです。



 考えるより、するほうが速い!とばかり、手をつけました。

その数分後、水が噴出し、トイレは水浸し。

しかも、暑い日だったので、カラダは汗でびっちゃり。

全身ぬれねずみのようになりながら、悪戦苦闘しました。






 失敗を繰り返し、何度も手順を間違えました。

本当に合っているのか?半信半疑で、作業は続きます。

3時間経ったところで、ようやく設置が完了しました。

テストのために、便座に腰を下ろします。

温水が無事出てきた瞬間、1人で手を叩いて、喜んでました。





 後片付けを済ませ、古いウォシュレットをしまい、水をふき取り、作業終了です。

それから、もう一度、設置説明書を読んでみました。

すると、書いてある内容や図の意味が、本当の意味で分かってきました。

なぜこの順番で作業するのか、手順の意味合いも理解できました。

なるほど!こういうことなのか!

私は、自分の力で、設置するためのノウハウを獲得したのです。








 コーチが、選手に、指導します。

選手同士が、声を掛け合っています。

言われている側は、本当に理解できているのでしょうか。

その言葉を聞いて、実際のプレーとして表現することが出来るのでしょうか。

日本語の意味は分かる。

頭では分かっている、もしくは分かっているつもりになっている。

では、ピッチの上で、どのように表現出来るのか?





 この2つには、大きな乖離があります。

我々コーチは、そこを見極めなくてはならない。

選手の様子を、じっくりと観察する。

選手の考えを聞きだすために、発問し、傾聴する。

うなずく姿や、いい返事に流されてはならない。

もちろん、コーチングする自分に酔っている場合ではない。






 3時間の苦闘の代償として、手にいれたものがあります。

8000円が浮いて、新しいウォシュレットを使えているだけではありません。

日本語の意味が分かるだけでは、実際には力にならない。

そのことに、改めて気づきました。

コーチングのヒントは、どこに転がっているのか分からない。




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2010年08月06日

キャンプ見学2

 5日間連続で、横浜みなとみらいでのバルサキャンプを見学しました。

最終日、午後はゲームメインの内容でした。

各選手が、ポジションごとの役割を果たしながら、試合を進めていく。

短いパスをつなぎ、GKまで使いながら、ゲームを組み立てていきます。

その試合を観ていると、バルサコーチが発した、初日の言葉が思い出されます。

「君たちがしているのはサッカー(フッボウ)ではない。」

「今日からの5日間のトレーニングで、サッカー、バルサのサッカーを身につけよう」






 初日、コーチは何も言わずに、ゲームをやらせました。

驚くほどの、団子サッカー。

しかも、ゴールに向かって一直線にドリブルで突き進んでいく。

相手に奪われる、ボールがこぼれる、その後もまた、ドリブル。

パスは、気まぐれにしか使われない。

この結果は、コーチの思っていた通りなのでしょう。





 ほぼ毎日、トレーニングの最後は、7人制で試合を行いました。

ポジションを決め、ポジションごとの動きを、事細かく指摘。

スローインを誰が投げるのかまで、指定があります。

そして、判断のミスがあるたびに、フリーズコーチング。

トレーニングの成果が、少しずつ現れ、ゲームにも変化が生まれました。

仲間と共同で試合を行うようになります。

パスを有効に用いるようになってきます。

全てのクラスで、同じ現象を見て取ることが出来ました。






 5日間の短い間でも、子供たちは、バルサのスタイルを身に付け始めたようです。

トレーニングやゲームを通して、得るものがあった、良い変化を感じたのでしょう。

彼らは口々に、また来年も参加したい、普段とは違った良さがあったと言い合っています。

つまり、残念なことに1年にたった5日しか、このスタイルではプレーすることが出来ないようです。

日常では、個の育成の名目に、ドリブルとボールフィーリングの上達を繰り返すのでしょうか。

1対1にしか、価値を見出していないかのような選手たち。

日々のトレーニングは分かりかねますが、少なくとも選手は、ピッチ上でそのように表現していました。






 バルサキャンプで行われていた内容は、興味深いものでしたし、納得のいくものでした。

ただ、あることに気が付きました。

毎回、予定時刻から数分遅れでトレーニングが始まるのです。

コーチ陣は10分ほど前に到着し、何とか時間ちょうどにグラウンドにいる状態です。

子供たちは、いまや遅しと、コーチの到着と、トレーニングの開始を待ちわびています。

3分から7分程度の遅れなので、目くじらをたてるような遅れではありません。

ただ、最初のアップの時間では、コーチはマーカーを並べている時間になったいます。

その瞬間、トレーニングを集中して見れているのでしょうか?






 私は、毎年数回、JFA主催のナショナルトレーニングセンターの講習会に参加しています。

そこでは、コーチは2・30分前には現場に立って、準備を始めています。

マーカーやコーンを使って、最初の幾つ分か、場の設定を終わらせてしまいます。

選手も15分前くらいには集まり終え、ゆっくりとカラダを動かしています。

開始の予定時間には、当たり前のように、トレーニングが開始されます。






 スペインと日本、お国柄の違いと言ってしまえばそれまでです。

日本人の勤勉さ、生真面目さ、集団行動の規律といった部分を見ることが出来ました。

6・7歳の子供でも、その部分を表現できているのです。

これは、間違いなく、日本人が世界に誇れるストロングポイントです。

今回のワールドカップを、思い出してみてください。

危機的な準備不足を、このストロングポイントで補って、結果を残したとは言えないか。

その一方、期待されたアフリカの強豪国は、この部分の欠如で自滅していきました。

日本人は、意外にも、我々の気づかない所で、すごい力を持っていたのかもしれませんよ。





 キャンプの最後の閉会式で、コーチがこのように終わりの言葉を語りました。

「日本とは違う、テクニック、戦術を大切にしたトレーニングを行いました。」

「個人プレーに走るのではなく、チームプレーを大切にする哲学です。」

「フェアプレー、友人を大切にする、子供たちの人間性、人格形成を大切にしている。」


そして、このようにも話しました。

「素直でやる気のある、日本の子供たちのトレーニングを出来、うれしく思う。」



 


 スペイン、バルセロナのスタイル、哲学。

そこに、日本人の持つ、勤勉さ、集団の規律、素直さが上手くミックスされた日が来るのか。

そんな選手が数多く出てくるのか?

バルサキャンプに通い、日本の未来を想像してみました。
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2010年08月03日

トレーニングを見学して

 ここ数年、夏のこの季節に、海外有名クラブのトレーニング会が開かれています。

夏休みの少年を対象にしたもので、定番化しているクラブもあるようです。

今年も、FCバルセロナ、ACミランと言った、メガクラブが日本で開催しています。

横浜で開催中のFCバルセロナのトレーニング会(通称バルサキャンプ)を見学して来ました。

スペインの世界制覇でますます注目の高まる、バルサの育成。

その一端を味わうことができればと考え、月曜日から毎日見学に通っています。






 キャンプのグループ分けは、学年ではなく生まれた年で、4つに分けています。

1グループは、およそ14・5人から、20人弱で構成されています。

生まれ年なので、同じグループに、違う学年の子供たちが同居することになります。

そして、そのグループを仕切るコーチは、3人です。

バルサスクールのコーチが一人、通訳が一人、アシスタントコーチが一人の構成。







 通訳と言えども、アシスタントコーチも兼ねているようで、その仕事はかなり大変そう。

特に、スペイン語を日本語に訳すだけでも、説明時間が2倍以上になってしまいます。

説明が長くなると、選手が「ダレテ」来ます。

しかも、直訳では、子供たちの心には、伝わらないことが多い。

例えば、黙々とパスのトレーニングをする少年たち。

「なんでコミュニケーションをとらないんだ!」と強く発問したところで、選手はうつむくばかり。

6歳・7歳の子供に、コミュニケーションと言う語彙は無いでしょう。

「コーチが怒ってる?!」くらいにしか、受け取れていないのではないか。





 おそらく、スペイン人コーチは、こう思うはずです。

「日本人はシャイで、自分の考えや意思を、表現することができない」

これは、私の推測ではありせん。

今までの、海外チームの同様のキャンプで、何人もの外国人コーチが感想として挙げています。

日本の子供は、確かにシャイかもしれない。

本当に理由はそれだけでしょうか。







 今日の朝のことです。

子供たちが、スペイン語のあいさつで、コーチを迎えていました。

キャンプのカリキュラムとして、スペイン語講座も開かれているようです。

その成果もあって、少年たちの口から、スペインのあいさつが出始めましたのでしょう。

「Hola(オラ)!」「「Buenos dias(ブエノス・ディアス)!」






 ただシャイなだけな性格なら、覚えたての言葉で、外国人に話しかけなどできないはずです。

知っている言葉なら、子供たちは使うことが出来るのです。

シャイゆえに、黙りこくっているわけではない。

言ってる言葉が分からない、理解できない。

そして、失敗することが恥ずかしい、失敗すると周りの目が怖い。

こんな負のサイクルが働いてしまっている。






 逆に、新しい言葉を覚えた、使いたい。

積極的に使うことを勧められている。

よし、使ってみよう!「オラ!」

挑戦したことをほめ、それと同時に、失敗を許す寛容さがあれば。

子供たちは、短期間でも成長していく。





 では、言葉そのものが分かっていなければ、どうなるのか。

そもそも、サイクルそのものが、始まっていないのです。

すると、子供たちは、何も出来ない。

うつむいて、その場の空気をやりすごすことしか。

この部分を指して、シャイだ、と言われればシャイなのかもしれない。







 こんなこともありました。

一番下の、6歳・7歳のグループでの出来事です。

スペイン、バルサでは、この年代は、7人制でゲームを行っています。

バルサの基本フォーメーションは、GK1−DF3(CB1・両SB2)−MF2−FW1。

すでに、今回のキャンプ初日でも、そのフォーメーションで試合を行いました。






 次の日、コーチが問いかけました。

「6人(フィールドプレーヤー)が並ぶなら、どのように並ぶの?」

何人かが、手を挙げました。

そして、当てられた一人の少年が、渡されたマーカーコーンを並べます。

       ○

     ○   ○

  ○          ○
       ○

すると、コーチが再び問いかけます。

「これであってると思う人、手を挙げて」

ぱらぱらと手が挙がります。

もう一度「合ってると思うなら、手を挙げて」

再び問いかけられると、ほぼ全員が手を挙げました。




 それを見たコーチが、「じゃあ、間違っていると思う人は手を挙げて」

すると、一人の子供が手を挙げました。

その場の空気は、正解が出てるのに、どうして!?と言わんばかりの疑問の目。

「前に出てきて、自分が思うように並べてごらん」

そう言われた一人の少年が、一歩前に踏み出しました。

そして、ほんの少しだけ並べ直しました。


       ○

     ○   ○

  ○    ●     ○

少し深みを置いておかれていたセンターバックの位置を、フラットな位置に置き直しました。

次の瞬間、コーチがコメントを発しました。

「そうだね、その通りだね、DFの3人は、一緒にラインを作らなければならないよね。」       







 自ら考え、修正しようとした子供の勇気を、即座にほめたのです。

おそらく、ほめられた少年は、これからも自分で考え、意見を出そうとするでしょう。

周りの子供も、次は俺が!となるかもしれない。

子供のやる気の芽を大切にしてあげた、小さいけれど貴重な瞬間でした。

この雰囲気を作ってあげれば、自ら考え、その意見を表現できる子供に育つのでは。




 スペイン流、何とか流という前に、一人一人の人間と接している。

コーチは、決してそのことを忘れてはならない。

選手の今を、そして将来を預かっている。

やる気の芽を見守っていくことと、見守るための環境作りが、コーチには求められている。


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2010年07月23日

審判が試合に及ぼす影響

 最近、こんなことがありました。

実際に体験した、ある公式戦での出来事です。







 対戦相手のDFラインが、とても高い位置にラインを設定していました。

そして、ボールに対するプレッシャーも無いのに、オフサイドトラップをかけるのです。

私の指導するチームの選手たちは、当たり前のように、2列目からの飛び出しを狙います。

簡単に、DFラインの裏でオンサイドポジションから飛び出した選手が、ボールに追いつく!

(オフサイドポジションのFWは走っていましたが、ボールには触れていませんし、止まっています)

「よし、チャンスだ!」

そう思った瞬間、副審の旗が上がります。

それに続いて、まさかの主審の笛も続きます。





 我々のチームは、20年前以上昔の基準で、オフサイドを取られ続けました。

その試合を通じて、その基準が変わることはありませんでした。

その主審曰く、「オフサイドポジションの選手が走り出した時点でオフサイド」なのだそうです。

相手チームの無謀にも見える高いDFラインの設定が、上手くいくのです。

その試合で、我々のチームは無事勝利を収めました

ですが、オフサイドに関しては後手を踏んでしまいました。







 家に帰っても、私の疑念は晴れません。

競技規則の最新版と競技規則の解釈と審判員のためのガイドラインを開いてみました。

すると、こうありました。

「オフサイドポジションにいること自体は、反則ではない。」





 さらに、関係のあるところを抜粋していくと、


 「競技者は、次の場合オフサイドポジションにいることになる。

 ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、

次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる。

●プレーに干渉する。または、

●相手競技者に干渉する。または、

●その位置にいることによって利益を得る。




第11条−オフサイド" の考え方により、次の定義が適用される


●プレーに干渉する"とは、味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、

あるいはこれに触れることを意味する。

●相手競技者に干渉する"とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、相手競技者の動きを妨げる、

しぐさや動きで相手競技者を惑わす、または混乱させると主審が判断し、

それによって相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。

●その位置にいることによって利益を得る" とは、既にオフサイドポジションにいて、

ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーする

または既にオフサイドポジションにいて、

相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることを意味する。






 さらに、以下の解説が、図入りで紹介されていました。

図があればもっと分かりやすいのですが・・・。

この解説が、全てを物語ってくれています。


「オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)がボールに向かって走った。

 オンサイドポジションにいた味方競技者(B)もボールに向かって走って、ボールをプレーした。

 (A)はボールに触れなかったので、罰せられることはない。」

(走っただけでは、やはりオフサイドではない!!)



 自分の勝手な解釈だけではまずいかもしれない。

そう考え、知り合いの審判員にも聞いてみました。

すると、上の文章どおりの答えが返ってきます。

2級のライセンスだろうが、3級のライセンスだろうが、答えは変わりませんでした。








 話は変わって、こんな記事が紹介されていました。

メキシコの育成年代では、副審を付けずにゲーム(州リーグ)を行っている。

意図があると言うよりも、資金面に問題があり、付けることが出来ない。

その結果、主審1人でゲームの笛を吹くので、細かいオフサイドが取れない。



 すると、どうなるか。

ディフェンスラインを下げる、スイーパーを置く、チームが多くなる。

ラインディフェンスでラインを高くして、オフサイドを活用して守ることは難しい。

副審の不在が、チームの戦い方どころか、その国の戦い方までも左右してしまっている例です。







 この例は少し極端な例かもしれません。

ただ、審判の笛によって、試合の内容が左右されることはあります。

彼らの基準によって、その国の戦い方までもありうる。

倒れればすぐ笛が鳴るのなら、転びたがる選手が続出するでしょう。

激しい体当たりでも笛が吹かれないなら、体当たりに耐えうる選手が活躍するでしょう。

オフサイドポジションにいればオフサイドならば、高いDFラインが標準になるでしょう。

その国の審判が、その国の戦い方のスタイルそのものを決定している可能性もあるのです。







 ワールドカップでは、副審2人と主審1人の3人でのレフェリングに限界が、垣間見られました。

今後、5人制(第4の審判を入れるならば6人制)になっていくのでしょうか。

ボールが進化し、選手のアスリート化が進めば、現状の方式では間に合わなくなるかもしれない。

どんな変革が行われるのか、注目したいです。




 

 最後に1つ。

フットボールに携わる全ての人が、競技規則を開くべきです。

規則や運用は、毎年変わっています。

審判はもちろん、選手も、コーチも、サポーターも保護者も。

間違った知識、古い知識、勝手なローカルルールを振り回すことのないように。

今回の事件で、改めて新しい競技規則とガイドラインを閲覧しました。

知っているつもりでも、分かっていなかったことが、あるものですよ。
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2010年07月20日

見られるということ

 ある雑誌で、連載ページをいただくことになりました。

何か技術を1つだけ取り上げて解説。

そして改善・向上を図るポイント、メニューの紹介。

最初のテーマは、インステップキックでのミドルシュートです。






 私は、何か技術や戦術を考える時に、必ず行う作業があります。

それは、考えうる要素をありったけ書き出すようにするのです。

今回は、インステップキックでのミドルシュートを蹴るために必要な要素。

順番に、思いつくままに、頭を張り巡らせます。

すると、30ほどのポイントが浮かび上がりました。

キックが蹴れない、ミスが出てくる、思った軌道で飛ばない…。

それらの現象が起こるには、何か原因がある。

その原因の1つ、1つをつぶしていくことで、改善を図っていく。

そして、全てを協調させる。




 


 今回、記事を作るにあたって、様々な文献や資料をあさりました。

10や20では足らないくらい、多くの資料をもう一度よみあさったのです。

すると、その表現方法が、面白いほどに異なる。

同じことを伝えようとしているのにもかかわらずです。

例えば、元プロや、現役の選手が、キックについて解説してくれています。

彼ら一人一人が、自分自身で身につけた、キックの感覚。

自分で身につけた感覚は、自分だけのものです。

それならば、表現する言葉が、人によって違うのも当然です。

それら全てが、大事な資料であり、引き出しになっていくのです。







 いかにしてボールにパワーを加えて、枠の中に飛ばすのか?

どのようなボールを飛ばせば、決めることが出来るのか?

狙いは同じなのですが、その感覚や表現はそれぞれでした。

正しいフォームと言うのは、個人1人1人によって違うでしょう。

あるアドバイスが、「はまる」のか、「はまらない」のかは、人それぞれ。

だからこそ、コーチの引き出しが、数多くないと、「はまらない」状況が増えてしまう。

同じポイントを伝えるのでも、様々な角度からアプローチ出来れば、多くのケースに対応出来る。






 

 先日、記事を作るための撮影が行われました。

たくさんの要素から、特に大切だ!と思われる要素を抜き出して、ドリルにしました。

そして、やってはならないミス、ここを改善させれば変わる。

その撮影の現場では、編集スタッフの方とカメラマンと、そして我々とで作り上げていきます。

私たちがモデルになって、撮影が進んでいきます。

モデルケースと、いくつものドリルとを、様々な角度から撮影していきます。

私の得意としている、よくある失敗例などを披露しながら。






 そして、スタッフの方にも幾つかのドリルを試してもらいました。

すると、途端に成果が出て、キックが変わったのです。

(彼は右足のキックはきれいなのですが、

左足に難があるということで、左足でドリルを試してもらいました)

ドリルに改めて自信を感じ、撮影も無事終了しました。







 貴重な体験が出来ました。

やはり、その道のプロの方は、視点が違います。

我々が持つのは、コーチ目線と選手目線。

編集、カメラのスタッフさんが持つのは、本が出来上がったときの完成からの目線。

それは読者の目線でもあるのでしょうね。





 コーチは、見られることを意識するべきです。

現場で、選手に、他のスタッフや、保護者、サポーター、スポンサーに、ボス。

様々なところで、様々な角度から見られている。

見られる!こと、そして見せ方!を改めて意識させられた、今回の撮影でした。





 
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2010年07月16日

夏を楽しむ

 暑い日が始まります。

梅雨も空けて、いよいよ太陽が強くなってきました。

日本の国は、いつから熱帯地方になったのでしょうね。

暑さにやられてしまっては、フットボールを楽しむことが出来ません。

嫌な思いをしてしまうと、フットボールそのものを嫌いになってしまうかもしれない。

せっかく楽しもうと、向上しようとしている人間を失なうことは、悲しいことです。







 私には、コーチとしての責任があります。

少しでも熱中症対策の助けになれるように、次のようなことをしています。

まさか、「水を飲むと体力が無くなるから飲んではならない」と言うことなど無く。


・水分補給の重要性を説く

・強制的に飲水させる

・熱中症対策のHPをリアルタイムでチェック(環境省熱中症予防情報)

・1人1人の顔色を見る、違和感を訴えたら休ませる







 気をつけるべき点があります。

お茶やコーヒー、紅茶で水分補給をしようとする選手もいます。

カフェインが含まれていては、飲んだ分だけ排泄してしまう。

糖分とミネラル(塩分)の含まれたスポーツドリンク、短時間ならミネラルウォーター。

甘すぎてはカラダが動かなくなるでしょうが、適度な糖分は吸収を助けてくれます。








 太陽の下で行うときだけでなく、室内であってもその危険性は変わりません。

空調の利いてない体育館のほうが、世の中には多いのではないでしょうか。

バドミントンと違って、窓を開けても大丈夫なのですが、風通しが悪く、熱がこもるならば要注意。

最近では、夜、寝てる間に熱中症で搬送される人すら出て来ています。

室内だからと言って甘く見ていては、危険です。

屋外での活動と警戒心を下げず、十分のケアをすべきでしょう。




 
 熱中症対策が必要と思われるなら、次のようなものを準備しています。

・氷

・塩飴


氷は、カラダの熱が上昇してしまった時に、用います。

首の後ろや、脇の下、内ももの付け根にあてて、カラダを冷ましていきます。

同じ用途で、インナーシャツを水でビショビショにしたものを着るのも、効果がありました。

とにかく、体温が上がりすぎるのを抑えないと、緊急事態に直面してしまう。

塩飴は、失った塩分・糖分を補給するためです。

ゆっくりと吸収できるのが、おすすめポイントです。








 6月・7月のほうが、熱中症で重症化するケースが多いと言う統計があります。

それは、まだカラダの順化がすんでいない。

心やカラダの準備が出来ていない。

8月になれば危険性が下がるというよりも、準備が済むからなのでしょう。

7月後半は、梅雨も空け、気温が急上昇する時期です。

熱中症対策を万全にして、フットボールを楽しみましょう。






 いい準備(睡眠、給水した状態で)をして、ピッチ・コートに出ること。

少しでも違和感を感じたら、活動を止める勇気を持つこと。

長くフットボールを楽しむために。 
posted by プロコーチ at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月04日

24時間どっぷりと

 日本代表選手は、スイスで合宿をしています。

5月26日から、6月5日までの期間です。

ここでの一日一日は、普段の活動の何倍もの価値を持たせることが出来るはず。

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 選手たちがパフォーマンスを発揮するのは、ピッチの上でしかない。

プロの選手ならば当然ですし、代表選手ならばなおさらです。

どれだけ、トレーニングで成功しても、プロならば試合で示すしかない。

どれだけ、ベンチや宿舎でリーダーシップを発揮してです。

試合の時はピッチ上でしか、リーダーシップを示すことは出来ない。





 ただし、どれだけいい準備をしたのかが、問われます。

これは、ピッチの上だけではありません。(on the pitch)

ピッチの外でも、準備をすることは可能です。(off the pitch)

選手同士で、ミーティングをした。

食堂で食べる時に、席を固定しないように工夫している。

ピッチ以外での活動に、時間を割ける。

これこそが、合宿の最大のメリット。

普段以上に、コミュニケーションが取れているようです。








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 24時間、頭の先から、足の先まで、フットボールにつかる。

1つの集団が、同じ時間を過ごす。

個人やチームを劇的に向上することが出来る、絶好のチャンスです。

ピッチ上で過ごす時間は、せいぜい4時間程度でしょう。

ピッチ以外で過ごす時間は、20時間もあるのです。

それら全てを、フットボールのためだけに、費やすことが出来る。

1年を通じても、めったにない大切な時間のはず。






 ここをどう過ごすのか、チーム力の向上をどこまで図れるのか。

個人やチームの弱点を矯正する。

連携をスムーズにする。

長所をさらに伸ばす。





 命運は、合宿期間の過ごし方。

本当に、同じ釜の飯を食べた仲間になれるのかどうか。

さらに付け加えると、合宿後は疲労もピークになっているでしょう。

落ち込んだところからのリカバリーも、大切です。

さて、良い合宿になったのかどうか。 











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 1つ、告知を。

私が指導する、サッカー教室があります。

そこでも、24時間どっぷりとフットボール漬けになれる合宿があります。

ご興味あれば、いかがですか?

http://otonano.biz/tmp/201007camp.htm


posted by プロコーチ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月25日

健全な競争

 風薫る5月です。

体育の秋とは言いますが、この季節の方が気持ちいいのでは?

湿度が少なく、爽やかな気候だと、カラダを動かしたくなります。

私の時代、運動会と言えば、秋!だったのですが。

最近では、学校の運動会も春に開催することも多いようです。


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 ある小学校の運動会を見学してきました。

校庭の中央にあるトラックで、陸上競技が行われます。

他にも、創作ダンスや、組体操、応援合戦なども披露されます。

その周りに、待機の児童が声をあげて応援しています。

先生や父兄、近隣住民なども、温かく見守っています。

その光景は、我々のころとなんら変わらないものです。






 心配していたことがあります。

運動会であっても、競争を重視しない。

ゆとり教育は終わりを迎えるものの、子供同士の間に差が生まれないように配慮する。

カラダを動かすことが大好きなはずの子供たちが輝く場所では、無くなっている。

報道などで、耳にしていたからです。

国際競争力が低下した原因を、このようなところに求める声も。








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 私が実際に目にした光景は、そうではありませんでした。

ゴール前でビリの子供を待って、手をつないでゴールする。

そんな予定調和など、一切ありません。

小さなカラダを振り絞って、パワーや情熱を、運動会に注ぐ。

当たり前のようで、少しほっとする、子供たちの姿でした。





 徒競走で1番になれば、1番の待機場所に誘導されます。

2番なら2番、ビリならビリの待機場所です。

1番になった子供たち。

誘導係に、金色の1番シールを貼ってもらう。

誇らしげで、晴れがましい表情。

こんなところからも、生きていく自信が生まれてくるのでしょう。

この自信が、自分を肯定するパワーに変わって行く。





 悔しい思いをしたら、それをバネに強くなる。

リバウンドメンタリティを手に入れるチャンス!

周りのサポートが必要かどうか、見極めたい。

一緒になって、悔しがるだけでいい時もありますから。

励ましたり、なぐさめるだけが、フォローではない。







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 クラス対抗のリレーも行われていました。

クラスで数人の選ばれたメンバーだけが、出場するようです。

午前の部最後、午後の部最後に行われ、盛り上がる種目のようでした。

選手たちは、もちろん一番を目指して、必死にバトンをつないでいきました。





 私は、少し気になることがあったので、学校の方に質問してみました。

「リレーの選手は、どのように決めているのですか?」

我々の頃は、クラスで一番速い人間が、当然のようにリレーの選手になっていました。

決定戦をしてメンバーを決めることもあれば、50M走のタイムで決めることもありました。

さて、現在は?






 「クラスによって違いますが、」の前置きの後、丁寧に答えてくれました。

「全員が一列になって競争して決めたクラスもあれば、50M走のタイムで決めたクラスもある」

「とにかく、速い子を選抜してます」

「そして、昼休みにリレーの練習を何度もさせて、本番に臨んでいます」

そう、本気も本気なのです。

心の底から安心しました。

見せ掛けだけ、競争させているわけではなかったからです。

純粋に、子供たちが能力を発揮しようとしている。

先生方も、そのサポートをしている。

そこには、まっとうな競争がありました。







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 運動が、苦手な子は、つらい一日を過ごしたかもしれません。

その子供には、大人のフォローが必要なこともあります。

出来なくても、真剣に取り組むことの素晴らしさ。

自分たちの代表を応援する意義。

最後まで駆け抜ける重要さ。

1番になることだけが、運動会の全てではないことを伝えてあげたい。






 そして、ビリになった子でも違うステージで輝ける可能性があります。

勉強や文化祭、係活動、委員会など、学校生活は、運動会で無い日の方が多い。

決して、卑屈になることなどない、と気づかせてあげる。






 小さな事件がありました。

リレーの時に、転んで順位を落としてしまった子供がいました。

しかも、1位になりそうなその瞬間に、すっ転んでしまった。

リレーの待機場所で、沈んだような、悔しそうな顔で、リレーの続きをボーと見ていました。

すると、そこに近付く影があるのです。

チームも、学年も、性別も違う、何の接点も無い子供です。

(後で、確認してみました)

その子は、肩をたたきながら、何か言葉を掛けて、励ましているようでした。

次の瞬間、沈んでいた子供は、前を向いて応援を始めたのです。

これ以上、何一つ説明のない、小さくほほえましい事件でした。






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 スポーツでの競走は、健全な競争である。

健全で真剣な競争を通してのみ、得られる体験があるのでしょう。

我々大人は、変にびくびくする必要はないかもしれない。

子供たちは、強い。

子供たちだけの環境なら、自然に役割分担も生まれて行く。

大きく踏み外しそうな時に、助けになれれば。






 フットボールの世界ではどうか。

健全で、真剣な競争が行われているのか。

コーチは、その環境を整備しているのか。

競争の中でも、子供たちを温かく見守り、励まし、働きかけれているのか。

競技を教えるだけではなく、人生に関わっていることを忘れてはならない。

この文章に自戒を込めて。
 
posted by プロコーチ at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする