2010年11月05日

求められている役割を

 自分に求められている役割とは何か?

与えられたポジションのことだけではなく、タスク。

言い換えるなら、ピッチの上で、どのように振舞うのか。





 誰もが一度は、華麗なプレイヤーに憧れるのでしょう。

テクニックを駆使して、ドリブルや、パス、シュートで、全ての人の目を釘付けにする。

そのような華麗なプレーに。






 UEFAチャンピオンズリーグ第4節、ミラン対レアルの試合をテレビで観戦していました。

レアルのリードで、後半15分を迎えています。

試合は、レアルが前半に先制。

内容でも、アウェイながら、ホームのミランを圧倒していました。

ミランも前節よりは意地を見せ、食い下がっているのですが、早くも敗色ムードが漂い始める。

そんな暗い雰囲気のスタジアム、サンシーロでした






 そこで、ミランは選手を交代させます。

37歳、ベテランのフィリッポ・インザーギが投入されました。

彼の特徴は、常にゴールを目指していること。

華麗なパス、ドリブル突破は、ほとんど見せない。

もしかしたら、日本のユース年代の選手よりも、その部分では劣る?!

実際にはそうではないのでしょうが、そう思わせるほど、ぎこちない動き。

DFラインの背後を狙い、ニアに飛び込み、こぼれ球を狙う。

何度も何度も、その動きだけを繰り返します。






 このレアル戦でも、2ゴールを奪いました。

1つはニアに飛び込み、こぼれ球に反応してゴール。

もう1つは、オフサイドラインを突破して、GKとの1対1からです。

美しくはないのですが、いかにも、「らしい」ゴールでした。

こうして積み上げたゴールは、300を越えました。

ヨーロッパのカップ戦では、歴代最高!タイ記録の70。(2010年11月7日現在)







 私はインザーギが、その2つのゴールに並ぶほどの大きな仕事をした。

そう感じた瞬間がありました。

もちろん、ゴールを奪うことは、素晴らしいことなのですが、それに匹敵する価値があるプレー。

それは、投入された直後でした。

レアルが、低い位置で、ゆっくりとパスをつないでいます。

そこに、インザーギが猛然と、フォアチェックに入ります。

パスを出されたのですが、さらに方向を変え、その先にもチェックを続けます。

パスの受け手であるシャビ・アロンソは、その気配を感じたのでしょう。

簡単にボールをさばき、インザーギを「いなした」はずでした。






 次の瞬間、インザーギが、シャビ・アロンソの背後から、体当たりを強烈に食らわせました。

アメフトのタックルのような、強烈なチャージです。

しかも、完全に遅れたタイミングで、ぶつかって行くのです。

全くスピードを緩めずにぶつかったため、シャビ・アロンソは崩れながら、倒れてしまいました。

(イエローカードが出てもおかしくなかったのですが、なぜか出ません。

 解説の名波氏によると、主審を説得した!?とのことでした。)





 主審のハーワード・ウェブがその場から離れると、インザーギがパフォーマンスを始めました。

観客席に向かって、両手を広げ、振り上げます。

静まり返っているスタンドを煽ったのです。

「お前ら、試合はこれからだ!共に戦おう!」

言葉は発しませんでしたが、それで充分でした。

このワンプレーとパフォーマンスで、スタジアムが生き返ったのです。

その雰囲気は、ピッチ上にもいい影響を及ぼしましたに違いありません。

インザーギの2点目は、明らかにオフサイドだったのですが、副審が見逃してしまいました。

もしかすると、スタジアムの雰囲気がもたらしたものかもしれませんね。







 インザーギは、自分がスタジアムに及ぼす影響力を、分かっていたのでしょう。

自分の振る舞いによって、どういう反応を示すのかを。

そして、途中交代で入ってくる選手が求められている役割は何なのか?

それも、充分に分かっていたからこその、この振る舞い。

コーチとして反則を奨励するわけには行きませんが、彼の取った行動は理解できます。

自分がチームに貢献するためには、今、この瞬間、何をすべきなのか?

それを突き詰めることで、自分の求められている役割も見えてくるでしょう。

真に価値ある選手の1人。

だからこそ、世界のトップチームで今もなお、自分の地位を築き続けているのでしょうね。
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2010年10月26日

オフサイドトラップ

 1974年、世界のフットボールシーンを震撼させるチームが出現しました。

ヨハン・クライフ擁する、オランダ代表です。

トータルフットボールと呼ばれ、現代にも影響を及ばしているとも言われています。

それ以来、オランダ代表チームは、攻撃的な試合運びをするイメージを持たれています。

オランダ代表は、他の国の人からも人気を集めるチームの1つとなっています。






 このオランダ代表の特徴はいくつかあります。

その1つに、オフサイドトラップをチームとして取り組んだことが挙げられます。

ボール狩りとも呼ばれた、ボールホルダーへのプレッシング。

この二つをセットにし、ボールを積極的に奪うための守備を行っていたのです。

守っているのに、攻めているかのように。

勢いのある守備です。






 当時のビデオを見直すと、相当大胆にこの2つの戦術的行動を起こしています。

自分の持ち場を離れて、ボールに複数人で奪いに行く。

同時に、DFの最終ラインを一気に上げ、さらにそのボール狩りを加速させます。

相手のボールホルダーがボールをキープしようとすれば、取り囲んで奪ってしまう。

あわてて縦パスを出すと、オフサイドの餌食にしてしまう。

相手選手の顔を見ると、困惑し、やり場の無い怒りを持ち、うんざりした表情を浮かべています。

ただし、ラインの上げ下げは、現代ほど統率がとれていません。

整然とラインが上がらず、勢いに任せてボールに向かっている印象です。

リスクマネジメント(上げた裏を取られたら!?)の概念が薄いようにも感じられます。





 当時のオランダ代表の守備を後押ししていたのは、当時のオフサイドのルールです。

オフサイドポジションに、誰かが居るだけで、オフサイドになってしまう。

立っているだけでも、戻ろうとしていても、オフサイドポジションに居れば、例外なくです。

2010年現在のルールに照らし合わせると、どうでしょうか?

ビデオを一時停止して、確認してみました。

すると、オフサイドにならない場面が、何度もありました。





 ところが、未だに、当時のオランダ代表ばりのオフサイドトラップを目にすることがあります。

草サッカーだけでなく、下部リーグの公式戦でもです。

コーチや、DFリーダーの声や手を合図に、一気にラインアップ。

相手攻撃陣をオフサイドに陥れようとします。

オフサイドトラップを取ることが、目的になってしまっている?

現代のルールがきちんと運用されるならば、あまり賢いやり方とは思えないのですが…。






 さらに、オフサイドを取ることが目的化してしまうと、いくつか問題があります。

ラインを止めるタイミング、下げるタイミングまで至らない。

すると、2列目の飛び出しを観ることが出来なくなる。

オフサイドトラップの掛け損ないです。



 そして、さらに大きな問題があります。

DFとして、身につけるべき行動がぼやけてしまうのです。

ボールにチャレンジし、他の選手がカバーリングする。(チャンレンジ&カバー)

グループとしての守備の基礎中の基礎なのですが、これすらおざなりになってしまってはないか。

マークする対象(人・スペース・ボール)のうち、どれが最も危険なのか?

これを見極める、危険察知能力が身に付けるチャンスがなくなってしまう。



 オフサイドのルールを、正確に把握し、活用しながら守備をする。

これを身につける必要はあります。

全部カバー、カバーを繰り返していては、ラインがどこまでも深くなってしまいますから。

オフサイドを意識して、マークを行う。

コンパクトの守備陣形をキープするためには、この考えが求められます。





 オフサイドトラップは劇薬です。

効果が高い分、副作用も怖いのです。

オフサイドトラップに頼りきりの守備方法は、改めた方がいい。

現代のルールにおいては、プラスよりも、マイナス要因があまりに多すぎる。

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2010年09月21日

分かると出来る。

 私には、弱点が幾つもあります。

その1つに、ウォシュレット無しでは、生活できないことがあります。

(冒頭から、しも、の話で恐縮です。)

当然、家にも備え付けています。

ふき取る力が強すぎるのか、それとも肛門が弱いのか。

ともかく、それ無しだと、すぐに切れてしまいます。





 南アフリカでは、苦労しました。

安全で、清潔なトイレは、宿くらいだったでしょうか。

ただし、南アフリカに限らず、海外でウォシュレットを目にすることは、ほとんどありません。

私の泊まる宿が、高級で無いせいかも知れないのですが。

帰国するたびに「日本は整ったいい国だな。」と思います。





 私の命綱でもある、我が家のウォシュレットが壊れてしまいました。

ボタンは間違って反応するし、水は漏れてしまいます。

7年間愛用したので、寿命なのでしょう。

買い換えることにしました。

某大型電気店に出向き、店員さんを捕まえ、話します。




 すると、意外な言葉を耳にしました。

「3割から5割くらい、お客様がご自分で設置されてますよ。」

「DVDや、テレビの配線がご自分で出来るなら、大丈夫です。」

てっきり、専門の業者さんに取り付けてもらうものと思っていたので、驚きました。

そんな発想そのものが、ありませんでしたから。

取り付け工事費の8000円が、浮くのならありがたい。

店員さんの言葉を信じ、自分で取り付けてみることにしました。






 家で、取り付け説明書を開き、読んでみました。

部品や、手順を確認しながら、ゆっくりと。

ところが、意味が理解できません。

もちろん、書いてあることは分かる。

説明してくれる図も、読み取れる。

それでも、手順そのものが、頭に浮かんでこないのです。



 考えるより、するほうが速い!とばかり、手をつけました。

その数分後、水が噴出し、トイレは水浸し。

しかも、暑い日だったので、カラダは汗でびっちゃり。

全身ぬれねずみのようになりながら、悪戦苦闘しました。






 失敗を繰り返し、何度も手順を間違えました。

本当に合っているのか?半信半疑で、作業は続きます。

3時間経ったところで、ようやく設置が完了しました。

テストのために、便座に腰を下ろします。

温水が無事出てきた瞬間、1人で手を叩いて、喜んでました。





 後片付けを済ませ、古いウォシュレットをしまい、水をふき取り、作業終了です。

それから、もう一度、設置説明書を読んでみました。

すると、書いてある内容や図の意味が、本当の意味で分かってきました。

なぜこの順番で作業するのか、手順の意味合いも理解できました。

なるほど!こういうことなのか!

私は、自分の力で、設置するためのノウハウを獲得したのです。








 コーチが、選手に、指導します。

選手同士が、声を掛け合っています。

言われている側は、本当に理解できているのでしょうか。

その言葉を聞いて、実際のプレーとして表現することが出来るのでしょうか。

日本語の意味は分かる。

頭では分かっている、もしくは分かっているつもりになっている。

では、ピッチの上で、どのように表現出来るのか?





 この2つには、大きな乖離があります。

我々コーチは、そこを見極めなくてはならない。

選手の様子を、じっくりと観察する。

選手の考えを聞きだすために、発問し、傾聴する。

うなずく姿や、いい返事に流されてはならない。

もちろん、コーチングする自分に酔っている場合ではない。






 3時間の苦闘の代償として、手にいれたものがあります。

8000円が浮いて、新しいウォシュレットを使えているだけではありません。

日本語の意味が分かるだけでは、実際には力にならない。

そのことに、改めて気づきました。

コーチングのヒントは、どこに転がっているのか分からない。




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2010年08月06日

キャンプ見学2

 5日間連続で、横浜みなとみらいでのバルサキャンプを見学しました。

最終日、午後はゲームメインの内容でした。

各選手が、ポジションごとの役割を果たしながら、試合を進めていく。

短いパスをつなぎ、GKまで使いながら、ゲームを組み立てていきます。

その試合を観ていると、バルサコーチが発した、初日の言葉が思い出されます。

「君たちがしているのはサッカー(フッボウ)ではない。」

「今日からの5日間のトレーニングで、サッカー、バルサのサッカーを身につけよう」






 初日、コーチは何も言わずに、ゲームをやらせました。

驚くほどの、団子サッカー。

しかも、ゴールに向かって一直線にドリブルで突き進んでいく。

相手に奪われる、ボールがこぼれる、その後もまた、ドリブル。

パスは、気まぐれにしか使われない。

この結果は、コーチの思っていた通りなのでしょう。





 ほぼ毎日、トレーニングの最後は、7人制で試合を行いました。

ポジションを決め、ポジションごとの動きを、事細かく指摘。

スローインを誰が投げるのかまで、指定があります。

そして、判断のミスがあるたびに、フリーズコーチング。

トレーニングの成果が、少しずつ現れ、ゲームにも変化が生まれました。

仲間と共同で試合を行うようになります。

パスを有効に用いるようになってきます。

全てのクラスで、同じ現象を見て取ることが出来ました。






 5日間の短い間でも、子供たちは、バルサのスタイルを身に付け始めたようです。

トレーニングやゲームを通して、得るものがあった、良い変化を感じたのでしょう。

彼らは口々に、また来年も参加したい、普段とは違った良さがあったと言い合っています。

つまり、残念なことに1年にたった5日しか、このスタイルではプレーすることが出来ないようです。

日常では、個の育成の名目に、ドリブルとボールフィーリングの上達を繰り返すのでしょうか。

1対1にしか、価値を見出していないかのような選手たち。

日々のトレーニングは分かりかねますが、少なくとも選手は、ピッチ上でそのように表現していました。






 バルサキャンプで行われていた内容は、興味深いものでしたし、納得のいくものでした。

ただ、あることに気が付きました。

毎回、予定時刻から数分遅れでトレーニングが始まるのです。

コーチ陣は10分ほど前に到着し、何とか時間ちょうどにグラウンドにいる状態です。

子供たちは、いまや遅しと、コーチの到着と、トレーニングの開始を待ちわびています。

3分から7分程度の遅れなので、目くじらをたてるような遅れではありません。

ただ、最初のアップの時間では、コーチはマーカーを並べている時間になったいます。

その瞬間、トレーニングを集中して見れているのでしょうか?






 私は、毎年数回、JFA主催のナショナルトレーニングセンターの講習会に参加しています。

そこでは、コーチは2・30分前には現場に立って、準備を始めています。

マーカーやコーンを使って、最初の幾つ分か、場の設定を終わらせてしまいます。

選手も15分前くらいには集まり終え、ゆっくりとカラダを動かしています。

開始の予定時間には、当たり前のように、トレーニングが開始されます。






 スペインと日本、お国柄の違いと言ってしまえばそれまでです。

日本人の勤勉さ、生真面目さ、集団行動の規律といった部分を見ることが出来ました。

6・7歳の子供でも、その部分を表現できているのです。

これは、間違いなく、日本人が世界に誇れるストロングポイントです。

今回のワールドカップを、思い出してみてください。

危機的な準備不足を、このストロングポイントで補って、結果を残したとは言えないか。

その一方、期待されたアフリカの強豪国は、この部分の欠如で自滅していきました。

日本人は、意外にも、我々の気づかない所で、すごい力を持っていたのかもしれませんよ。





 キャンプの最後の閉会式で、コーチがこのように終わりの言葉を語りました。

「日本とは違う、テクニック、戦術を大切にしたトレーニングを行いました。」

「個人プレーに走るのではなく、チームプレーを大切にする哲学です。」

「フェアプレー、友人を大切にする、子供たちの人間性、人格形成を大切にしている。」


そして、このようにも話しました。

「素直でやる気のある、日本の子供たちのトレーニングを出来、うれしく思う。」



 


 スペイン、バルセロナのスタイル、哲学。

そこに、日本人の持つ、勤勉さ、集団の規律、素直さが上手くミックスされた日が来るのか。

そんな選手が数多く出てくるのか?

バルサキャンプに通い、日本の未来を想像してみました。
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2010年08月03日

トレーニングを見学して

 ここ数年、夏のこの季節に、海外有名クラブのトレーニング会が開かれています。

夏休みの少年を対象にしたもので、定番化しているクラブもあるようです。

今年も、FCバルセロナ、ACミランと言った、メガクラブが日本で開催しています。

横浜で開催中のFCバルセロナのトレーニング会(通称バルサキャンプ)を見学して来ました。

スペインの世界制覇でますます注目の高まる、バルサの育成。

その一端を味わうことができればと考え、月曜日から毎日見学に通っています。






 キャンプのグループ分けは、学年ではなく生まれた年で、4つに分けています。

1グループは、およそ14・5人から、20人弱で構成されています。

生まれ年なので、同じグループに、違う学年の子供たちが同居することになります。

そして、そのグループを仕切るコーチは、3人です。

バルサスクールのコーチが一人、通訳が一人、アシスタントコーチが一人の構成。







 通訳と言えども、アシスタントコーチも兼ねているようで、その仕事はかなり大変そう。

特に、スペイン語を日本語に訳すだけでも、説明時間が2倍以上になってしまいます。

説明が長くなると、選手が「ダレテ」来ます。

しかも、直訳では、子供たちの心には、伝わらないことが多い。

例えば、黙々とパスのトレーニングをする少年たち。

「なんでコミュニケーションをとらないんだ!」と強く発問したところで、選手はうつむくばかり。

6歳・7歳の子供に、コミュニケーションと言う語彙は無いでしょう。

「コーチが怒ってる?!」くらいにしか、受け取れていないのではないか。





 おそらく、スペイン人コーチは、こう思うはずです。

「日本人はシャイで、自分の考えや意思を、表現することができない」

これは、私の推測ではありせん。

今までの、海外チームの同様のキャンプで、何人もの外国人コーチが感想として挙げています。

日本の子供は、確かにシャイかもしれない。

本当に理由はそれだけでしょうか。







 今日の朝のことです。

子供たちが、スペイン語のあいさつで、コーチを迎えていました。

キャンプのカリキュラムとして、スペイン語講座も開かれているようです。

その成果もあって、少年たちの口から、スペインのあいさつが出始めましたのでしょう。

「Hola(オラ)!」「「Buenos dias(ブエノス・ディアス)!」






 ただシャイなだけな性格なら、覚えたての言葉で、外国人に話しかけなどできないはずです。

知っている言葉なら、子供たちは使うことが出来るのです。

シャイゆえに、黙りこくっているわけではない。

言ってる言葉が分からない、理解できない。

そして、失敗することが恥ずかしい、失敗すると周りの目が怖い。

こんな負のサイクルが働いてしまっている。






 逆に、新しい言葉を覚えた、使いたい。

積極的に使うことを勧められている。

よし、使ってみよう!「オラ!」

挑戦したことをほめ、それと同時に、失敗を許す寛容さがあれば。

子供たちは、短期間でも成長していく。





 では、言葉そのものが分かっていなければ、どうなるのか。

そもそも、サイクルそのものが、始まっていないのです。

すると、子供たちは、何も出来ない。

うつむいて、その場の空気をやりすごすことしか。

この部分を指して、シャイだ、と言われればシャイなのかもしれない。







 こんなこともありました。

一番下の、6歳・7歳のグループでの出来事です。

スペイン、バルサでは、この年代は、7人制でゲームを行っています。

バルサの基本フォーメーションは、GK1−DF3(CB1・両SB2)−MF2−FW1。

すでに、今回のキャンプ初日でも、そのフォーメーションで試合を行いました。






 次の日、コーチが問いかけました。

「6人(フィールドプレーヤー)が並ぶなら、どのように並ぶの?」

何人かが、手を挙げました。

そして、当てられた一人の少年が、渡されたマーカーコーンを並べます。

       ○

     ○   ○

  ○          ○
       ○

すると、コーチが再び問いかけます。

「これであってると思う人、手を挙げて」

ぱらぱらと手が挙がります。

もう一度「合ってると思うなら、手を挙げて」

再び問いかけられると、ほぼ全員が手を挙げました。




 それを見たコーチが、「じゃあ、間違っていると思う人は手を挙げて」

すると、一人の子供が手を挙げました。

その場の空気は、正解が出てるのに、どうして!?と言わんばかりの疑問の目。

「前に出てきて、自分が思うように並べてごらん」

そう言われた一人の少年が、一歩前に踏み出しました。

そして、ほんの少しだけ並べ直しました。


       ○

     ○   ○

  ○    ●     ○

少し深みを置いておかれていたセンターバックの位置を、フラットな位置に置き直しました。

次の瞬間、コーチがコメントを発しました。

「そうだね、その通りだね、DFの3人は、一緒にラインを作らなければならないよね。」       







 自ら考え、修正しようとした子供の勇気を、即座にほめたのです。

おそらく、ほめられた少年は、これからも自分で考え、意見を出そうとするでしょう。

周りの子供も、次は俺が!となるかもしれない。

子供のやる気の芽を大切にしてあげた、小さいけれど貴重な瞬間でした。

この雰囲気を作ってあげれば、自ら考え、その意見を表現できる子供に育つのでは。




 スペイン流、何とか流という前に、一人一人の人間と接している。

コーチは、決してそのことを忘れてはならない。

選手の今を、そして将来を預かっている。

やる気の芽を見守っていくことと、見守るための環境作りが、コーチには求められている。


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2010年07月23日

審判が試合に及ぼす影響

 最近、こんなことがありました。

実際に体験した、ある公式戦での出来事です。







 対戦相手のDFラインが、とても高い位置にラインを設定していました。

そして、ボールに対するプレッシャーも無いのに、オフサイドトラップをかけるのです。

私の指導するチームの選手たちは、当たり前のように、2列目からの飛び出しを狙います。

簡単に、DFラインの裏でオンサイドポジションから飛び出した選手が、ボールに追いつく!

(オフサイドポジションのFWは走っていましたが、ボールには触れていませんし、止まっています)

「よし、チャンスだ!」

そう思った瞬間、副審の旗が上がります。

それに続いて、まさかの主審の笛も続きます。





 我々のチームは、20年前以上昔の基準で、オフサイドを取られ続けました。

その試合を通じて、その基準が変わることはありませんでした。

その主審曰く、「オフサイドポジションの選手が走り出した時点でオフサイド」なのだそうです。

相手チームの無謀にも見える高いDFラインの設定が、上手くいくのです。

その試合で、我々のチームは無事勝利を収めました

ですが、オフサイドに関しては後手を踏んでしまいました。







 家に帰っても、私の疑念は晴れません。

競技規則の最新版と競技規則の解釈と審判員のためのガイドラインを開いてみました。

すると、こうありました。

「オフサイドポジションにいること自体は、反則ではない。」





 さらに、関係のあるところを抜粋していくと、


 「競技者は、次の場合オフサイドポジションにいることになる。

 ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、

次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる。

●プレーに干渉する。または、

●相手競技者に干渉する。または、

●その位置にいることによって利益を得る。




第11条−オフサイド" の考え方により、次の定義が適用される


●プレーに干渉する"とは、味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、

あるいはこれに触れることを意味する。

●相手競技者に干渉する"とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、相手競技者の動きを妨げる、

しぐさや動きで相手競技者を惑わす、または混乱させると主審が判断し、

それによって相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。

●その位置にいることによって利益を得る" とは、既にオフサイドポジションにいて、

ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーする

または既にオフサイドポジションにいて、

相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることを意味する。






 さらに、以下の解説が、図入りで紹介されていました。

図があればもっと分かりやすいのですが・・・。

この解説が、全てを物語ってくれています。


「オフサイドポジションにいた攻撃側競技者(A)がボールに向かって走った。

 オンサイドポジションにいた味方競技者(B)もボールに向かって走って、ボールをプレーした。

 (A)はボールに触れなかったので、罰せられることはない。」

(走っただけでは、やはりオフサイドではない!!)



 自分の勝手な解釈だけではまずいかもしれない。

そう考え、知り合いの審判員にも聞いてみました。

すると、上の文章どおりの答えが返ってきます。

2級のライセンスだろうが、3級のライセンスだろうが、答えは変わりませんでした。








 話は変わって、こんな記事が紹介されていました。

メキシコの育成年代では、副審を付けずにゲーム(州リーグ)を行っている。

意図があると言うよりも、資金面に問題があり、付けることが出来ない。

その結果、主審1人でゲームの笛を吹くので、細かいオフサイドが取れない。



 すると、どうなるか。

ディフェンスラインを下げる、スイーパーを置く、チームが多くなる。

ラインディフェンスでラインを高くして、オフサイドを活用して守ることは難しい。

副審の不在が、チームの戦い方どころか、その国の戦い方までも左右してしまっている例です。







 この例は少し極端な例かもしれません。

ただ、審判の笛によって、試合の内容が左右されることはあります。

彼らの基準によって、その国の戦い方までもありうる。

倒れればすぐ笛が鳴るのなら、転びたがる選手が続出するでしょう。

激しい体当たりでも笛が吹かれないなら、体当たりに耐えうる選手が活躍するでしょう。

オフサイドポジションにいればオフサイドならば、高いDFラインが標準になるでしょう。

その国の審判が、その国の戦い方のスタイルそのものを決定している可能性もあるのです。







 ワールドカップでは、副審2人と主審1人の3人でのレフェリングに限界が、垣間見られました。

今後、5人制(第4の審判を入れるならば6人制)になっていくのでしょうか。

ボールが進化し、選手のアスリート化が進めば、現状の方式では間に合わなくなるかもしれない。

どんな変革が行われるのか、注目したいです。




 

 最後に1つ。

フットボールに携わる全ての人が、競技規則を開くべきです。

規則や運用は、毎年変わっています。

審判はもちろん、選手も、コーチも、サポーターも保護者も。

間違った知識、古い知識、勝手なローカルルールを振り回すことのないように。

今回の事件で、改めて新しい競技規則とガイドラインを閲覧しました。

知っているつもりでも、分かっていなかったことが、あるものですよ。
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2010年07月20日

見られるということ

 ある雑誌で、連載ページをいただくことになりました。

何か技術を1つだけ取り上げて解説。

そして改善・向上を図るポイント、メニューの紹介。

最初のテーマは、インステップキックでのミドルシュートです。






 私は、何か技術や戦術を考える時に、必ず行う作業があります。

それは、考えうる要素をありったけ書き出すようにするのです。

今回は、インステップキックでのミドルシュートを蹴るために必要な要素。

順番に、思いつくままに、頭を張り巡らせます。

すると、30ほどのポイントが浮かび上がりました。

キックが蹴れない、ミスが出てくる、思った軌道で飛ばない…。

それらの現象が起こるには、何か原因がある。

その原因の1つ、1つをつぶしていくことで、改善を図っていく。

そして、全てを協調させる。




 


 今回、記事を作るにあたって、様々な文献や資料をあさりました。

10や20では足らないくらい、多くの資料をもう一度よみあさったのです。

すると、その表現方法が、面白いほどに異なる。

同じことを伝えようとしているのにもかかわらずです。

例えば、元プロや、現役の選手が、キックについて解説してくれています。

彼ら一人一人が、自分自身で身につけた、キックの感覚。

自分で身につけた感覚は、自分だけのものです。

それならば、表現する言葉が、人によって違うのも当然です。

それら全てが、大事な資料であり、引き出しになっていくのです。







 いかにしてボールにパワーを加えて、枠の中に飛ばすのか?

どのようなボールを飛ばせば、決めることが出来るのか?

狙いは同じなのですが、その感覚や表現はそれぞれでした。

正しいフォームと言うのは、個人1人1人によって違うでしょう。

あるアドバイスが、「はまる」のか、「はまらない」のかは、人それぞれ。

だからこそ、コーチの引き出しが、数多くないと、「はまらない」状況が増えてしまう。

同じポイントを伝えるのでも、様々な角度からアプローチ出来れば、多くのケースに対応出来る。






 

 先日、記事を作るための撮影が行われました。

たくさんの要素から、特に大切だ!と思われる要素を抜き出して、ドリルにしました。

そして、やってはならないミス、ここを改善させれば変わる。

その撮影の現場では、編集スタッフの方とカメラマンと、そして我々とで作り上げていきます。

私たちがモデルになって、撮影が進んでいきます。

モデルケースと、いくつものドリルとを、様々な角度から撮影していきます。

私の得意としている、よくある失敗例などを披露しながら。






 そして、スタッフの方にも幾つかのドリルを試してもらいました。

すると、途端に成果が出て、キックが変わったのです。

(彼は右足のキックはきれいなのですが、

左足に難があるということで、左足でドリルを試してもらいました)

ドリルに改めて自信を感じ、撮影も無事終了しました。







 貴重な体験が出来ました。

やはり、その道のプロの方は、視点が違います。

我々が持つのは、コーチ目線と選手目線。

編集、カメラのスタッフさんが持つのは、本が出来上がったときの完成からの目線。

それは読者の目線でもあるのでしょうね。





 コーチは、見られることを意識するべきです。

現場で、選手に、他のスタッフや、保護者、サポーター、スポンサーに、ボス。

様々なところで、様々な角度から見られている。

見られる!こと、そして見せ方!を改めて意識させられた、今回の撮影でした。





 
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2010年07月16日

夏を楽しむ

 暑い日が始まります。

梅雨も空けて、いよいよ太陽が強くなってきました。

日本の国は、いつから熱帯地方になったのでしょうね。

暑さにやられてしまっては、フットボールを楽しむことが出来ません。

嫌な思いをしてしまうと、フットボールそのものを嫌いになってしまうかもしれない。

せっかく楽しもうと、向上しようとしている人間を失なうことは、悲しいことです。







 私には、コーチとしての責任があります。

少しでも熱中症対策の助けになれるように、次のようなことをしています。

まさか、「水を飲むと体力が無くなるから飲んではならない」と言うことなど無く。


・水分補給の重要性を説く

・強制的に飲水させる

・熱中症対策のHPをリアルタイムでチェック(環境省熱中症予防情報)

・1人1人の顔色を見る、違和感を訴えたら休ませる







 気をつけるべき点があります。

お茶やコーヒー、紅茶で水分補給をしようとする選手もいます。

カフェインが含まれていては、飲んだ分だけ排泄してしまう。

糖分とミネラル(塩分)の含まれたスポーツドリンク、短時間ならミネラルウォーター。

甘すぎてはカラダが動かなくなるでしょうが、適度な糖分は吸収を助けてくれます。








 太陽の下で行うときだけでなく、室内であってもその危険性は変わりません。

空調の利いてない体育館のほうが、世の中には多いのではないでしょうか。

バドミントンと違って、窓を開けても大丈夫なのですが、風通しが悪く、熱がこもるならば要注意。

最近では、夜、寝てる間に熱中症で搬送される人すら出て来ています。

室内だからと言って甘く見ていては、危険です。

屋外での活動と警戒心を下げず、十分のケアをすべきでしょう。




 
 熱中症対策が必要と思われるなら、次のようなものを準備しています。

・氷

・塩飴


氷は、カラダの熱が上昇してしまった時に、用います。

首の後ろや、脇の下、内ももの付け根にあてて、カラダを冷ましていきます。

同じ用途で、インナーシャツを水でビショビショにしたものを着るのも、効果がありました。

とにかく、体温が上がりすぎるのを抑えないと、緊急事態に直面してしまう。

塩飴は、失った塩分・糖分を補給するためです。

ゆっくりと吸収できるのが、おすすめポイントです。








 6月・7月のほうが、熱中症で重症化するケースが多いと言う統計があります。

それは、まだカラダの順化がすんでいない。

心やカラダの準備が出来ていない。

8月になれば危険性が下がるというよりも、準備が済むからなのでしょう。

7月後半は、梅雨も空け、気温が急上昇する時期です。

熱中症対策を万全にして、フットボールを楽しみましょう。






 いい準備(睡眠、給水した状態で)をして、ピッチ・コートに出ること。

少しでも違和感を感じたら、活動を止める勇気を持つこと。

長くフットボールを楽しむために。 
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2010年06月04日

24時間どっぷりと

 日本代表選手は、スイスで合宿をしています。

5月26日から、6月5日までの期間です。

ここでの一日一日は、普段の活動の何倍もの価値を持たせることが出来るはず。

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 選手たちがパフォーマンスを発揮するのは、ピッチの上でしかない。

プロの選手ならば当然ですし、代表選手ならばなおさらです。

どれだけ、トレーニングで成功しても、プロならば試合で示すしかない。

どれだけ、ベンチや宿舎でリーダーシップを発揮してです。

試合の時はピッチ上でしか、リーダーシップを示すことは出来ない。





 ただし、どれだけいい準備をしたのかが、問われます。

これは、ピッチの上だけではありません。(on the pitch)

ピッチの外でも、準備をすることは可能です。(off the pitch)

選手同士で、ミーティングをした。

食堂で食べる時に、席を固定しないように工夫している。

ピッチ以外での活動に、時間を割ける。

これこそが、合宿の最大のメリット。

普段以上に、コミュニケーションが取れているようです。








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 24時間、頭の先から、足の先まで、フットボールにつかる。

1つの集団が、同じ時間を過ごす。

個人やチームを劇的に向上することが出来る、絶好のチャンスです。

ピッチ上で過ごす時間は、せいぜい4時間程度でしょう。

ピッチ以外で過ごす時間は、20時間もあるのです。

それら全てを、フットボールのためだけに、費やすことが出来る。

1年を通じても、めったにない大切な時間のはず。






 ここをどう過ごすのか、チーム力の向上をどこまで図れるのか。

個人やチームの弱点を矯正する。

連携をスムーズにする。

長所をさらに伸ばす。





 命運は、合宿期間の過ごし方。

本当に、同じ釜の飯を食べた仲間になれるのかどうか。

さらに付け加えると、合宿後は疲労もピークになっているでしょう。

落ち込んだところからのリカバリーも、大切です。

さて、良い合宿になったのかどうか。 











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 1つ、告知を。

私が指導する、サッカー教室があります。

そこでも、24時間どっぷりとフットボール漬けになれる合宿があります。

ご興味あれば、いかがですか?

http://otonano.biz/tmp/201007camp.htm


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2010年05月25日

健全な競争

 風薫る5月です。

体育の秋とは言いますが、この季節の方が気持ちいいのでは?

湿度が少なく、爽やかな気候だと、カラダを動かしたくなります。

私の時代、運動会と言えば、秋!だったのですが。

最近では、学校の運動会も春に開催することも多いようです。


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 ある小学校の運動会を見学してきました。

校庭の中央にあるトラックで、陸上競技が行われます。

他にも、創作ダンスや、組体操、応援合戦なども披露されます。

その周りに、待機の児童が声をあげて応援しています。

先生や父兄、近隣住民なども、温かく見守っています。

その光景は、我々のころとなんら変わらないものです。






 心配していたことがあります。

運動会であっても、競争を重視しない。

ゆとり教育は終わりを迎えるものの、子供同士の間に差が生まれないように配慮する。

カラダを動かすことが大好きなはずの子供たちが輝く場所では、無くなっている。

報道などで、耳にしていたからです。

国際競争力が低下した原因を、このようなところに求める声も。








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 私が実際に目にした光景は、そうではありませんでした。

ゴール前でビリの子供を待って、手をつないでゴールする。

そんな予定調和など、一切ありません。

小さなカラダを振り絞って、パワーや情熱を、運動会に注ぐ。

当たり前のようで、少しほっとする、子供たちの姿でした。





 徒競走で1番になれば、1番の待機場所に誘導されます。

2番なら2番、ビリならビリの待機場所です。

1番になった子供たち。

誘導係に、金色の1番シールを貼ってもらう。

誇らしげで、晴れがましい表情。

こんなところからも、生きていく自信が生まれてくるのでしょう。

この自信が、自分を肯定するパワーに変わって行く。





 悔しい思いをしたら、それをバネに強くなる。

リバウンドメンタリティを手に入れるチャンス!

周りのサポートが必要かどうか、見極めたい。

一緒になって、悔しがるだけでいい時もありますから。

励ましたり、なぐさめるだけが、フォローではない。







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 クラス対抗のリレーも行われていました。

クラスで数人の選ばれたメンバーだけが、出場するようです。

午前の部最後、午後の部最後に行われ、盛り上がる種目のようでした。

選手たちは、もちろん一番を目指して、必死にバトンをつないでいきました。





 私は、少し気になることがあったので、学校の方に質問してみました。

「リレーの選手は、どのように決めているのですか?」

我々の頃は、クラスで一番速い人間が、当然のようにリレーの選手になっていました。

決定戦をしてメンバーを決めることもあれば、50M走のタイムで決めることもありました。

さて、現在は?






 「クラスによって違いますが、」の前置きの後、丁寧に答えてくれました。

「全員が一列になって競争して決めたクラスもあれば、50M走のタイムで決めたクラスもある」

「とにかく、速い子を選抜してます」

「そして、昼休みにリレーの練習を何度もさせて、本番に臨んでいます」

そう、本気も本気なのです。

心の底から安心しました。

見せ掛けだけ、競争させているわけではなかったからです。

純粋に、子供たちが能力を発揮しようとしている。

先生方も、そのサポートをしている。

そこには、まっとうな競争がありました。







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 運動が、苦手な子は、つらい一日を過ごしたかもしれません。

その子供には、大人のフォローが必要なこともあります。

出来なくても、真剣に取り組むことの素晴らしさ。

自分たちの代表を応援する意義。

最後まで駆け抜ける重要さ。

1番になることだけが、運動会の全てではないことを伝えてあげたい。






 そして、ビリになった子でも違うステージで輝ける可能性があります。

勉強や文化祭、係活動、委員会など、学校生活は、運動会で無い日の方が多い。

決して、卑屈になることなどない、と気づかせてあげる。






 小さな事件がありました。

リレーの時に、転んで順位を落としてしまった子供がいました。

しかも、1位になりそうなその瞬間に、すっ転んでしまった。

リレーの待機場所で、沈んだような、悔しそうな顔で、リレーの続きをボーと見ていました。

すると、そこに近付く影があるのです。

チームも、学年も、性別も違う、何の接点も無い子供です。

(後で、確認してみました)

その子は、肩をたたきながら、何か言葉を掛けて、励ましているようでした。

次の瞬間、沈んでいた子供は、前を向いて応援を始めたのです。

これ以上、何一つ説明のない、小さくほほえましい事件でした。






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 スポーツでの競走は、健全な競争である。

健全で真剣な競争を通してのみ、得られる体験があるのでしょう。

我々大人は、変にびくびくする必要はないかもしれない。

子供たちは、強い。

子供たちだけの環境なら、自然に役割分担も生まれて行く。

大きく踏み外しそうな時に、助けになれれば。






 フットボールの世界ではどうか。

健全で、真剣な競争が行われているのか。

コーチは、その環境を整備しているのか。

競争の中でも、子供たちを温かく見守り、励まし、働きかけれているのか。

競技を教えるだけではなく、人生に関わっていることを忘れてはならない。

この文章に自戒を込めて。
 
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2010年04月06日

芝生でのプレー

 恵まれたピッチで、試合を行うことが出来ました。

JFLの試合を行うスタジアムを借りることが出来たのです。

スタンドが付いて、照明塔も付いている。

何よりも、整備された芝生のピッチ!!

まだまだ、整備された天然芝でプレーする機会は、少ないものです。





 芝生でプレーすると、気持ちいい。

ボールを蹴るのが楽しくなる。

テンションが上がりますよね。

なぜ日本は、芝生のピッチが少ないんだろう?

もっと、芝生のピッチの上で、のびのびとフットボールを楽しめたら。

それだけで、競技人口の増加につながりそうです。

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 芝生でプレーするたびに、頭や体、目が違いを感じます。

この違いは、テンションが高いだけでは無いのです。




 ボールが思ったよりも、飛んでいきます。

ボールが芝生により、ティーアップされている。

スパン、と脚を振り抜くことが容易になります。

ボールに力が伝わり、何割増しかで、ボールが飛んで行きます。

これは、ロング・ミドルキックが苦手な人ほど顕著です。



 ボールが飛べば、試合内容が変わる。

普段なら、1人経由していたパス。

1人飛ばして、パスを出すことが出来る。

普段なら、DFラインの背後を狙いたくてもあきらめていた。

背後のスペースまで、パスを通すことが出来る。

このことに気づいた選手は、明らかにプレーの選択肢が増えていました。



 その一方で、グラウンダーのパスでは、注意が必要でした。

少し、芝が長い(深い)ため、ボールの力を吸収してしまうからです。

足先だけでのキックでは、失速してしまう。

ボールをなでるような、キックでは、DFの餌食でした。






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 ファーストタッチ(トラップ・ボールコントロール)も違います。

芝生では、ボールのイレギュラーが少ない。

ぼこぼこのピッチ、土のピッチでは、バウンドが変わることがありますよね。

突然はねたり、突然バウンドが伸びたり。

最後の最後まで、ボールを見ていなければなりません。

ボールが足に当たる、その瞬間までボールを注視。

そうでなければ、トラップミスを引き起こすかもしれません。





 芝生だと、その心配が格段に下がります。

ボールは、真っ直ぐ素直に飛んできます。

土のような、突然のイレギュラーは少ないのです。

結果、コントロールする瞬間でも、ボールから目を離すことすら可能なのです。





 さらに、芝生が、ボールの勢いを吸収してくれる。

カラダや、足で面を作る。

適当とまでは言わないものの、細心の注意は求められない。

方向付けさえしてしまえば、後は面に当てるだけです。

ちょっと大きくなったかな、と思っても、ボールはカラダの近くで止まってくれます。




 つまり、ファーストタッチに傾ける労力が減るのです。

そのために、神経を注ぎ、ボールを注視する。

この必要性が低くなるのです。

その分、労力を周りを観ることに注げる。

相手はどこまで来ているのか?

味方のアクションは?ゴールは?





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 観れるということは、クリエイティブなプレーが増えるということ。

ボールが飛んで、選択肢も増える。

行われた試合でも、クリエイティブなプレーが実際に増えていました。

それらに少しは芝生のピッチが貢献しているはずです。




 それなら、毎回整備されたピッチの上で、トレーニングも試合も行えばいいではないか?

いくつか、デメリットが考えられます。

北京オリンピック。

試合会場として、ぼこぼこのピッチしか用意されませんでした。

そこで、ボールコントロールに気をとられ、いつもの力を発揮できなかった。

こんな話を、伝え聞いています。




 少し古いのですが、こんなことも思い出されます。

トルシエ監督時代の対フランス戦。

土砂降りで、ピッチはずぶぬれでした。

その雨のサンドニで、つるつる滑っていたのは、日本人選手が多かった。

そう言えば、中田英寿選手だけが、いつものプレーが出来たとして、賞賛されていましたね。








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 全ての試合が、カーペットのような芝生の上でプレーが出来るわけではない。

人工芝もあれば、芝生がはげてしまっているようなピッチもある。

晴れていれば、雪や雨でどろどろなところもある。

乾いて固いピッチもあれば、粘土質でスパイクの間に、土が入って踏ん張りが利かないことも。

それら、全てがフットボールです。

様々なピッチに対応することが、求められている。




 欧州の名門クラブの話です。

育成のために、土のグラウンドを保有しているそうです。

しかも、整備をほとんどせずに、ぼこぼこのピッチコンディションで。

何を求めているのか、すぐに分かりますよね。

どんなピッチでも対応できる、たくましい選手が欲しいのでしょう。

失われたストリートの環境は、プレーヤーをたくましくしてくれていたのです。

土のピッチも、捨てたものではありませんね。
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2010年03月26日

理想のボス

 ボス。 

何をボスに求めますか?

優しい、厳しい、引っ張ってくれる、見守ってくれる。

鬼軍曹、優しい上官、指揮官、調整役。

自分が理想とするボスは、どんなタイプですか?


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 明治安田生命が毎年発表しているものに、理想の上司があります。

質問をした対象は、その年の新入社員です。

世相や、志向を色濃く反映していると言えます。

今年の回答者数が1030人。

信頼の置ける数字が出ているのではないでしょうか。




 そこで、理想の上司、第1位に選ばれたのが、タレントの関根勉さんです。

そして、2位以下が同じくタレントの山口智充さん、俳優の唐沢寿明さんと続きます。

テレビで、毎日のように目にする彼ら。

そのあたりも、強みではあるでしょう。




 残念ながら、フットボール界からは、誰も選出されていません。

2005年に、第9位で、ジーコ元代表監督の名前がありました。

それ以外は、ここ10年に名前が挙がってきていません。

一般社会における、フットボールコーチの、マイナー度がうかがい知れます。

何とも寂しい結果です。






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 選んだ理由も、発表されています。

3人が、3人とも、「親しみやすさ」がその理由、第1位!

彼らは、親しみやすいと言うことで、理想の上司に選ばれています。

つまり、ボスに求められるのは、「親しみやすさ」ということなのでしょうか。





 スポーツ界から、古田敦也氏、松岡修造も選ばれています。

彼らでも、選ばれた一番の理由は「親しみやすさ」です。

指導力は2番目の理由に留まっています。

指導力を買われて、ランクインしているのは、たった一人。

巨人、WBCを優勝に導いた、原辰徳監督だけなのです。




 面白いことに、女性の上司に求められたのは、「親しみやすさ」ではないのです。

天海祐希さん、真矢みきさん、江角マキコさんが、それぞれ1位から3位です。

彼女たちが選出された理由は、「頼もしさ」なのです。

そして、選出された2番目の理由は、なんと「指導力がある」です。





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 この現象は、なかなか理解することが難しい。

どのように解釈すればよいものか?

男性のボスには、親しみやすさが求められる。

その一方で、女性のボスには、頼もしさや指導力が求められる。




 ただ、男性の回答は、もう少し分かりやすい。

男性のみに、回答者を絞ると、全く違う答えが出てきました。

第1位は、「指導力」を信じて、原辰徳監督。

続いて第2位は、「頼もしさ」から、イチロー選手。

なるほど、納得のいく回答のように思えます。




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 1つ言えることは、時代が変われば、人が変わり、考え方が変わる。

考え方も変われば、ボスに求められるものも変わっていく。

我々コーチも、変化への対応が求められているのでしょう。

ただし、大切にしている「根っこ」の部分は、忘れずにしたい。

プレーヤーの未来を担う、大きな責任を持って。





 自戒を込めて、面白い数字も並べておきます。

知識など、本やネットで手に入る時代。

上司を選ぶにあたって、「理論・頭脳派」を理由に選んだ人間は、ごく少数に過ぎない。

たったの、1%台です。
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2010年03月16日

受信機

 ピッチ内で選手が、お互いに声を出し合う。

情報を伝え合うために、コミュニケーションをとるために。

盛り上げるためかもしれないし、励ますためかもしれない。

実際のピッチの中では、うるさいぐらい、声が飛び交っている。



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 私が指導するチームの1つ。

このチームの練習試合に、私が出場しました。

ピッチの中から、選手の動きや、判断力を観てみたいと思ったからです。

ピッチの外からでは、見えない光景がそこにはありますよね。




 私が持つ、コーチとしての能力の1つ。

試合を観て、分析する能力です。

ここを、さらに向上できれば、ピッチの外からでも全てを感じ取れるのかも知れません。






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 私は、ポジションは、DFです。

後ろから、声をガンガンかけて、試合を進めます。

コーチング、コーリングを用いて、組織を構築していくのです。




 気をつけているのは、ポジショニングや、バランス。

それを、前もって伝えようとすることです。

何かが起こる時(上手く行かない時)が、試合中にはよく起こります。

その前には、ポジショニングや、バランスに問題があることが多いのです。

ポジショニングの過ちを気づかせ、バランスを整える。

これを繰り返すことで、プレーの成功率が高まると、信じているからです。




 特に、守備の局面では、その傾向は顕著です。

ポジショニングのミス(身体の向きも含め)が、そのきっかけになっていることが多い。

穴が開いているのに気づかない。

ボールに寄りすぎている。

カバーリングの意識が弱い。




 これらは、ポジショニングによって、表現されているはず。

頭で分かっていても、ポジショニングで表現できていなければ、やられる確率が上昇してしまう。

ほんの数Mの違い。

ほんの数十度の身体の向きの違い。

その小さなミスが、失点につながったケースは、何度もあるのですから。

だから、声を掛けてプレーする重要性!は痛い程に理解しているのです。







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 私がCBで出場した試合でのことです。

いつものように、声を掛け続けながら、プレーをしていました。

すると、明らかに、反応が遅い選手が何人かいたのです。

ポジショニングを修正してくれない。

繰り返し、同じミスを繰り返してしまう。

聞こえていないのかな?そう思ってしまうほどでした。




 プレーが切れた時に、選手たちに確認すると、聞こえているのです。

ところがです。

その後も、私が期待しているような反応にはなりませんでした。

失点することはなかったのですが、違和感を抱えたままプレーを続けていました。







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 試合後、同僚のコーチと、ディスカッションしました。

そして、1つの結論に至りました。

「受信機が、まだ未発達ではないか。」

「受信機の精度が、上がっていないのではないか。」

聞く気が無いわけでも、やる気が無いわけでもなく。

もちろん、コーチを信頼していない訳でもなくです。





 情報が、情報として伝わっていない。

もしくは、情報処理速度の能力を越えて、情報を伝えてしまった。

だから、コーチングの声に対して、反応することが出来ない。

いくら、いい声が発信しようとしても、そこには限界がある。

特に、試合では、さらに余裕が無い。

トレーニングの時から、選手の受信機を向上させなければ。

予め、選手の受信機の精度を向上させておけば、今回のようなことにはならなかった。








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 コーチである私も、受信機を向上させる。

自分から発信、発信だけではなく。

選手の状態(受信機の精度)を知る必要がある。

そのためには、まず私が聞くことから始めなくては!
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2010年02月19日

世論を味方に

 日本代表の岡田監督が窮地に立たされています。

今年は、ワールドカップイヤー!

代表チームに注目が集まる中で、結果も内容も及第点とは程遠い試合内容をしてしまった。

犬飼会長の「南アフリカでの本大会も岡田監督で行く」の発言を聞いて、手をたたいた人間が何人いるのか?

マスコミや、一般の人々は、岡田監督を擁護する空気を、全く出していません。

そこには、ピッチ以外での要素も含まれているような気がしてならないのです。


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 岡田監督の公式会見や、インタビューに答える姿に問題を感じます。

髪の毛や、服装、めがね、そして言動や立ち居振る舞いは、嫌味の無いものです。

ドレスコードや、コミュニケーションに、問題は感じられません。

清潔感もあり、責任を持って、仕事に対峙している。

まるで、大きな会社の管理職のような雰囲気すらあります。




 スポーツ競技上がりの人間は、ついついルーズになりがちです。

それは、私も同じですので、常に気を配らなくてはならない。

身内の中だけで、生活も仕事も、全ての行動をとる。

ついつい、甘えが出てくるのでしょうか。

そのような姿を、外から目にした時に、サッカー馬鹿、スポーツ馬鹿と言われてしまう。

これは、褒め言葉として使われることもあれば、さげすむ様に使われることもあります。

そんな中でも、岡田監督は1社会人としても、模範になるほどのレベルだと思います。






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 問題というのは、マスコミ対応、会見の内容そのものです。

話している内容が、面白くない。

多くの人が注目していることを、警戒しすぎるあまりでしょうか。

ユーモアや、ウィットも少ない。

話を見聞きしていても、引き込まれていかないのです。





 もちろん、岡田監督は、相当気を遣っている。

それは、身内である選手を守るため。

チームに余計な波風を立たせないために、内向きになっているともいえなくも無い。
 
それは、ある意味、仕方が無い部分もあるのです。






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 コーチは、全て本音をぶちまけることは出来ない。

選手の前で話す内容と、プレスを前に話す内容とは、同じではないことがほとんどです。

ダブラランゲージといわれる、この手法を駆使することが、求められる。

代表監督ほど、注目を集めているのなら、そうとう気を遣わなければならないはずです。




 全てを話すと、チームの微妙なバランスを崩してしまう。

そして、もし、選手がプレスを通して(新聞や雑誌、ネットにテレビ)コーチの真意を聞いてしまったら。

その時、選手とコーチとの信頼関係は、崩壊してしまうでしょう。

だから、コーチは、話をする順番が大事になってくる。

まずは、選手に伝えておかなければならない。







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 このように、選手を守るという観点からは、抜群の対応をしている。

ただ、そのように全てを話さず、気を遣いながら話すだけでは、面白みにかけてしまいやすい。

時には、プレス側が求めているような内容、欲求に応えて上げることも、必要になる。

記事にしやすい、読者や視聴者が求めているような。

良い生地を書くための、ネタを与えてあげる。





 そうすることで、プレスも好意的なニュースや、記事にしてくれるはずです。

それを目にした我々も、チームに愛着や関心を持つようになるはずです。

質問に、いつも同じ答えをするだけでは、記事にもしにくいでしょう。

ここまでなら話せる、ここまでなら記事にされても大丈夫。

全てに敏感にならずとも良いのではないか。






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 あるチームの前監督(プロコーチ)の話を紹介します。

我々コーチの人間と、前監督とが話す機会を持った時のことです。

しかも、現職中のことです。

そのときの対応は、丁寧かつ、ユーモアに溢れていました。

チーム内でしか知りえないようなエピソードも交えながらの話は、参考になりました。

時間を忘れて、フットボール談義をさせてもらいました。





 ところが、サッカーライターをしている知人と話すと、全く違う印象だそうです。

サッカーライターの仲間内での評判は、あまりよろしくない。

その理由は、「いつ話をしても、同じ答えしか返ってこない。」

「記事にしても、面白くないものしか書けない・・・。」




 この印象の違いは、同じ人間に対するものとは思えないものです。

しかも、聞いた話ではなく、自分が実際に接して、感じた印象と全く違う。

そのことに、私は驚きました。

サッカーライターの彼の、言葉をすぐには信じることが出来ませんでした。

もちろん彼も、実際に取材を重ねるなかで、感じている印象を伝えてくれたのですが。







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 おそらく前監督は、ダブルランゲージを多用しすぎてしまった。

サービス精神よりも、チームを守ることを優先したのでしょう。

これは、コーチの判断ですから、とがめることは出来ない。

ただ、プレスと良いパートナーシップを築けなかったのです。





 これは、プラスに働くことはないでしょう。

ちょっとでもチームがマイナスの方向に傾けば、どんな記事が出るのか。

想像するに難くありません。

さて、今の岡田監督はどうなのでしょう。

しかめっ面で、同じような内容の会見では、興味は薄れてしまいます。

もう少し、世論の興味を引き付けるような発言があっても良いと思いませんか。
posted by プロコーチ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月08日

指導方針は?


「未経験者が、コーチになってしまったらどうすればいいの?」

先日、友人と会話をしている際に、何気なく質問されました。

彼の親戚が、女子チーム(小学生年代)の監督をしている。

しかも、野球大好き人間で、フットボールの経験は皆無だそうです。

さて、。




 名選手は、必ずしも名指導者にあらず。

これは、トップレベルでも、育成の現場でも、同じことが言えます。

それでは、その全く逆の立場からコーチを始めるのはどうなのでしょうか。

ど素人は、名指導者になり得るのか。





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 私は、プロプレーヤーではありません。

大学まで体育会サッカー部に所属して、真剣に取り組んでいました。

残念ながら、プロの世界などは、遠い遠い夢物語の世界でした。

大好きなフットボールを続けたい気持ちは、心に抱いていました。

指導者として、その道を極めて行きたい。

いつの日か、方向性が徐々に変わって行ったのです。




 私程度の経歴で、指導の世界に入ることは、大きなハンデを背負っています。

毎年、何人もの選手が、プロの世界を引退して行きます。

J1、J2、そしてJを目指すチームがこれだけ増えた今。

その人数は、ますます増えて行くことが予想されます。

1チームごとに3・4人引退したとしても、100人を超える選手が、夢に幕を引いて行くのです。

彼らのセカンドキャリアとして、指導者、つまりコーチというのは、身近な職業でしょう。

極端に言えば、毎年、100人以上もの強力なライバルが増え続けて行くのです。





 彼ら元プロプレーヤーのメリットは、経験です。

プロの世界にたどり着くためには、さまざまなステージを経験していったはずです。

そこには、試練とも呼べるステージもあったでしょう。

そこを乗り越えて行ったもののみが経験している何かは、得がたいものでしょう。

もちろん、圧倒的な技術や、相手との駆け引き・やり取り術も、指導の大きな武器です。








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 それでは、プレーヤーとして高いステージの経験が無いと、コーチになる資格が無いのか?

未経験者は、コーチにすらなれないのか?

そんなことは、決して無いはずです。

スタート地点では、ハンデを背負っていることさえ認識しておけば。

そして、そのハンデを解消するために、彼らの数倍の努力をする覚悟があれば。





 私は、いくつかの提案を友人にしました。

まず一番目の提案は、たくさんの試合を観ること。

それは、男子、女子、育成年代、成人、ヨーロッパ、南米、中南米、アフリカ・・・。

ありとあらゆる地域、レベルの試合を観る。

たくさんの観戦を通して、フットボールにおける試合の全体像を掴む努力をして欲しい。



 全体像が掴めれば、自分の理想とするチームの形が見えてくるでしょう。

その形を、どのようにデザインすれば良いのか?

チームのコンセプトを作る。

この作業無くして指導をしてしまうと、ランダムコーチングに陥りやすい。

完成像が見えていないために、気がついたところをすぐに指摘してしまう。

あれもだめ、これもだめ。

その反対に、何を指導して良いのか分からなくなって、黙り込んでしまう。





 その理想像は、人それぞれでいいと思います。

フットボールに完全なる正解は、ありません。

今は正解のように思われていることが、時代を経て大間違いのこともあります。

国やチームが違うだけで、常識が非常識になってしまうこともあるでしょう。

同じチームにいても、指導者が変わるだけでも、起こりえることです。




 指導者が、選手を観察すること。

そして、将来、どんな選手になって欲しいのかを想像すること。

じゃあ、今、どんな指導を働きかけをすればいいのかを、真剣に取り組むこと。

自分の理想とするフットボールと、選手を観察して抽出した課題とを並べる。

その二つの間に、どんなギャップがあるのか?

そうすれば、自然に、どんな指導をすればいいのかが、見えてくるはず。







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 日本では、学校教育の果たす役割は、非常に大きなものがあります。

それは、フットボールの世界においても、同じことが言えるでしょう。

指導に関わる先生方は、教育、学校運営の時間をぬって、情熱を注いでいるのです。

旧知の仲間に、学校の教師としてサッカー部を指導している人間が何人もいます。

年に何度か参加する指導者講習会では、全国の先生とお話しする機会もあります。

彼らからは、たくさんの刺激を受けます。

10年20年、30年と育成の世界で奮闘し続けている先生方の言葉には、重みがあります。






 話をしていると、さまざまな指導方針を知ることが出来ます。

例えば、「俺たちは、サッカーを教えているのではなく、しつけをしている」

「私の学校からプロを目指すのは難しいだろう、だったらサッカーをもっと好きにしてやりたい」

「コーチである前に、教師なんだ」

「卒業・引退しても、いろんな形でサッカーに関わり続けてる人間になって欲しい」

「プレーの何かにこだわりを持つ選手を育てたい」

先ほどの話を出すまでも無く、どれをとっても間違いではないのです。

現実問題、全ての生徒がプロを目指しているわけではなく、選手権の優勝を目指しているわけでもないのです。





 先生方は、育成のコーチとして、大切な部分を間違いなく持っています。

教育者として培った経験を、フットボールの指導に落とし込んでいるのでしょう。

そして、フットボールを通して、人間教育にも取り組んでいる。

何十年のベテランも珍しくありません。

最後の最後まで戦い続ける姿勢や、仲間を助け合い、声を掛け合う。

これらは、チームスポーツや戦いに欠くことのできない資質です。




指導者に恵まれた環境で育つから、いまだに強いアスリートが育っている。

世代トップクラスの選手を、下部組織に引っ張られていてもなお。

現在、サッカー日本代表の大多数は、高校サッカー部(高体連)出身者です。

前から、岡崎、玉田、大久保、中村俊、中村憲、本田、遠藤、長谷部、内田、トゥーリオ、中澤、楢崎・・・。

彼らは、全員が全員、高校で部活動をしていたのです。

Jクラブの下部組織が出来上がり、20年にもなろうかと言うのに!!

日本においては、まだまだ学校や、先生の果たす役割は大きいようです。






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 明日は、高校選手権の準決勝2試合が国立で開催されます。

高校での育成の成果を確認するためにも、スタンドに足を運びたいと思います。

単純に、自分自身が観戦したいだけかもしれません。
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2009年12月08日

対極的な考え方に触れて

 選手を、どのようにコーチングすればよいのか?

どうすれば、フットボールをさらに好きになってもらえるのか。

どのようなアプローチで、選手の持つ課題を克服させようか。

悩みは尽きることはありません。



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 今年も終盤になって、劇的な年になりました。

自分自身のコーチングを、改めなくてはならない?

今までの自分の取り組みは間違っていたのか?

強烈な刺激を受けることになりました。

数回にわたってご紹介している、2種類の指導者講習会を受けての、思考です。





 「ドリルトレーニングをどのように扱うのか。」

もっぱら、これが最大のトピックスです。

かたや、ドリルトレーニングを重要視している、JFAアカデミーの指導法。

もう一方は、ドリルトレーニングを目の敵にする、ミゲル・ロドリゴコーチの指導法。

どちらの理論からも、輝いている部分を感じました。

お互いの特徴を書いてみると、整理できるのでしょうか。






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 まず、JFAアカデミーの発信する、考え方から書き記します。

日本サッカー協会の考える、日本人の進むべき道だそうです。




 ドリルトレーニングを通じて、テクニックを習得させる。

テクニックとは、動きながらのテクニックである。

動きを習慣化させ(ボールを受けるアクション、パス&ムーブ)、状況を観て判断させる。

ここでのテクニックとは、以前はスキルと呼ばれていたもの。

「育成年代のフットボールはしつけである」

厳しすぎる印象はあるが、判断材料を与えるため。

判断材料を持っていない選手には、自由を与えられない。

それは交通ルールや、社会でのマナーのようなもの。




 基本とは。

テクニック、判断(ゲームの理解・情報収集)、コミュニケーション(関わり)、フィットネス(フィジカル・メンタル)

これら全ての要素の、基本レベルを上げる。

そのためのトレーニングを行う。




 DFが付かない、壁打ちやパス&コントロールを積極的に行う。

その延長として、DFを付けてポゼッショントレーニングを行う。

ボールを保持しながら、、ボールを大事にしながら、ゲームを行わせたい。

そんなゲームを行うために、トレーニングで「しつけ」をする。



 ドリルトレーニング → 対人トレーニング → ゲーム形式

これが、一日のトレーニングの流れです。

特筆すべきは、その心拍数。

2時間を平均して、160回/分。

トレーニングを実際に体験しましたが、相当な負荷でした。

(20代から5・60代と幅広い年齢層の受講者に合わせて、休憩を多めにしてくれたのに・・・)






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 次は、ミゲル・ロドリゴ、フットサル日本代表監督の推奨する考え方です。




 インテグラル(統合)トレーニングと呼ばれる、この理論。

何度も書きますが、ドリルトレーニングは行わない。

それどころか、判断の無いドリルトレーニングなど、敵である。



 
 どんどん、状況が変わっていくトレーニング。

ゴール方向が変わり、DFにも種類があり、ボール以外の物が飛んで来る。

それらの意図するところは、考える余裕を与えないこと。

それどころか、心理的プレッシャーを与えていくこの理論。

この環境でプレーすることが出来れば、状況を読み、決断することが出来る。




 講義終了後のある指導者(受講者)からの質問です。

 「心理的プレッシャーをかけることが、日本人に受け入れられるのか?」

「日本人はプレッシャーを受けると、ミスにつながるりやすいのでは?」

それに対するミゲルコーチの答えは明快でした。

「ブラジルなどの国では、ヘタなプレーをしたら、シュートを外したら
試合に出れない。」

「試合に出れないことは、背負っている家族が路頭に迷うかもしれないことを意味する」

「そんなプレッシャーが当たり前の中で育っている彼らと、真剣勝負をしなくてはならない」

「日本は、そういう環境には無い」

「さらに、スポーツの中でのプレシャーは、健全です。」




 ミゲルコーチは、選手への気遣いも忘れてはいません。

「世の中には2種類のコーチがいる。」

「失敗を取り上げて修正するコーチと、成功を見つけて褒めるコーチだ。」

「前者のコーチは世の中にたくさんいる。」

「後者の成功を褒めるコーチになって欲しい。」

(心理的プレッシャーを受けた選手をフォローし、支えるためでしょう。)





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 二つを並べて比較しても、答えは出てきませんでした。

結局は、目の前の選手を観なくてはならない。

そのトレーニングで得られるものが、選手に必要なものなのかどうかです。

 


 

 自分たちがどのようなフットボールを志向していくのか。

そのためには、何が足りていないのか?

だから、このトレーニングが必要である。

どちらの指導法も、そのためのフォルダの1つになれば。

コーチである私は、選手が必要としている刺激を、フォルダから選んで与えること。

これが、最大の仕事ではないか。



 

 今回は、勉強するための、いい材料を得ることが出来た。

将来振り返って、そう思えるように。
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2009年12月04日

エリート教育の現場、その2

 前回に引き続き、JFAアカデミー・リフレッシュ講習会から、書き記します。 

子供たちの暮らす寮を見学させてもらいました。

そこでは、大いに感心すると共に、違和感も感じたのです。



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 寮を作る際に、様々な配慮をしている。

これが一番の感想です。

まず、寮内が清潔で、気持ちいい。

玄関を入って目に付くのが、吹き抜けになっているエントランスです。

外の光が入って、明るい。

暗くジメッとしていては、気分まで滅入ってしまいますから。




 女子の寮には入ることが出来ませんでした。

写真と、説明からの紹介になります。

ロッカールームを有効に利用しているそうです。

ここで着替えて、トレーニングに行くのはもちろんです。

さらに、トレーニング後、着替えてから寮内に入る。

こうして、心のスイッチをON/OFFを切り替えさせる工夫だそうです。




 目に付いたのは、様々な掲示物です。

入り口には、アカデミーの考える、理想の選手像が。

偉人の名言や、有名選手の言葉もありました。

階段の段差や、壁、さらには髪を乾かす備え付けのドライヤーの傍らにも。






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 食事にも、かなりの配慮がありました。

私たちも、試食させてもらいました。

多くの品目を使い、彩りもよく、美味しかったです。




 目を引いたのは、たくさんのお茶碗を飾ってあること。

マイお茶碗を使わせるのです。

モノを大切にする心を養うための工夫である、と聞きました。

選手によっては、一年に何回も落として割ってしまう、そんなこぼれ話と共に。



 そして、ご飯は、自分でよそいます。

炊飯器の横には、デジタルの量りが設置されていました。

1回300グラムを目安に食べること、張り紙もありました。

その通りに、よそうと、かなりの量です。

1日の摂取カロリーは、3400キロカロリー。

育ち盛りの年代なので、これくらい必要なのでしょう。

我々が同量食べ続けると、あっという間にメタボでしょうね。

しかも選手は、1日1リットルの牛乳をノルマにしてるそうです。



 食べることに、価値を持たせることには、大いに賛同しました。

子供は、自分の力では、その部分を伸ばすことは難しいでしょう。

親元を離れて生活しても、何の心配の無い食事でした。




 ちなみに我々が食べたランチのメニューは・・・

・焼肉丼(ご飯300グラム)

・ひじき煮

・サツマイモのレモン煮

・ミニトマト・ブロッコリーの明太子マヨフルーツ

・味噌汁

総摂取カロリーは1439キロカロリーでした。






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 寝室にも入らせてもらいました。

充分なスペースのある2人部屋です。

ベッドに棚に、勉強机だけのシンプルな作り。

どの部屋もキレイに整頓されていました。

前もって、「明日見学あるぞ」とアナウンスがあったおかげ?でしょうかね。

実際のところは分かりません。




 部屋には、テレビがありませんでした。

それは閉じこもってしまうのを防ぐため。

共用スペースでしか観られないようになっていました。

彼らは、試合観戦もしますが、バラエティー番組も観ていました。

子供らしい部分をみて、少し安心しました。






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 あまりにキレイで、整った寮内。

くつろぐスペースすらも、管理されている環境。

息苦しくないのかな?そんな心配をしながら、見学していました。

寝室を見たときに、大きな違和感を感じました。

どの部屋にも、サッカー少年ならあるべきものが無かったからです。




 ポスターが、一枚も貼られていないのです。

好きな選手、目標とする選手、チームのポスター。

私は、部屋の壁一面に、天井にも、階段にも、貼っていました。

サッカーダイジェストに付いてきた、選手ポスター。

単純な憧れの対象として、遠い目標として。

そのポスターの姿を見て、心をときめかせていました。




 アカデミーの寮内には、人生訓はあっても、ポスターが無いのです。

どことなく、キレイすぎて無機質な印象をもったのは、このせいでしょうか。

我々などは、部活動の部室までもポスターが当たり前のようにあったのですが。






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 そのことを、何人かの選手に、こっそり聞いてみました。

すると、判を押したように、同じ答えでした。

「部屋は、お借りしたものなので、貼れないのです。」

さらに、貼りたくないの?意地悪にも突っ込んで聞いてみました。

すると、「いえ、そんなことはありません。」

釈然とはしないのですが、エリート候補生らしい答えが返ってきました。



実は、彼らもささやかな意思表示をしていました。

勉強机のイスに、海外クラブチームのユニフォームを着させているのです。

机の上に、小さなサッカーポスターやカレンダーも、発見しました。

ポスターを貼ることは出来ないが、何か!

サッカー少年らしさを見つけ、うれしくなりました。






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 アカデミー生ですが、皆が順調なわけでも無いようです。

数名の脱落者も出ています。

提携している学校から、しばしば呼び出しを受けることもあるそうです。




 それでも、子供たちは、着実に成長している。

ピッチの中でのパフォーマンス、ピッチを離れての振る舞い。

どちらも、入学時に比べると、格段の成長だそうです。

何より、プレーヤーとして成長しているが、冷たいロボットになっていない。

この事が、一番書き残しておきたい事です。




 2006年ワールドカップで改めて感じさせられた、世界との差を埋めるために。

おそらく、来年も感じるであろう、足りない部分。

日本が、世界のトップ10に入り、そのトップトップのレベルであり続けること。

2050年までに、日本開催でのワールドカップを勝ち取るために。

JFAアカデミーは、そのための取り組みであり、発信。
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2009年12月01日

エリート教育の現場

 エリート教育の現場に行ってきました。

福島県のJヴィレッジに併設されている、JFAアカデミーです。

中学1年生から、6年間掛けて一貫教育を施す施設です。

そこで、JFAの主催する指導者講習会が開かれたのです。

JFAの考える、フットボールエリートとは!?



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 立ち上げ当時から、誤解混じりの印象を受けていたのが、このJFAアカデミーです。

私自身、何となくもやもやとした、すっきりしない印象を持っていました。

人数を絞って、エリート教育を施して、将来どうなるのだろう?



 また、世代別代表やナショナルトレセンなどで、アカデミー所属選手を目にしました。

ボール回しはウマイ。

よく頑張って、攻守に渡って動いている。

彼らや・彼女らに対しては、それ以上の印象は、もてませんでした。

ただ、記事や、ニュースで目にするだけで安直な批判は出来ませんよね。

数名の選手を、直接目にしてもです。






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 はっきり言って、素晴らしく恵まれた環境でした。

全寮制の寄宿舎、自転車で通える中学・高校(学校側の協力体制はばつぐん)。

寮の中には、ウェイトトレーニング、図書館までありました。

海外の試合も、視聴可能になっています。



 寮から、トレーニングのピッチまでは、徒歩1分(男子)。

ハイパイルの人工芝ピッチが1面、屋根つきハーフコートが半面。

各学年ごとに、専任コーチも付いています。




 恵まれたハードを活かして、JFAの考える「日本人のためのフットボール」に取り組んでいました。

とにかく、動き続ける。

攻守に渡って、関わり続ける。

ボールも動く、人も動く。

パスが、パン・パンとつながっていく様子は、気持ちよくもあります。



アカデミーの選手はドリブルをしない!そんな批判もあるようです。

実際に見学した、トレーニングでも、試合でも、その印象はありました。

これは、可能性の低いプレーをしない意図から。

決して、ドリブルを否定している訳ではないんだ。

コーチ陣が口を揃えて、こう答えます。

重要なのは、パス、ドリブルと言った観点ではない。

ボールを失わずに攻める。

そのためには!?これが価値基準のようです。






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 充実しているのは、ハードだけではありませんでした。

フットボール馬鹿を育てようとしていない。

全人教育をモットーに、様々な取り組みをしていました。

毎日のトレーニングはもちろんです。

さらに、ボランティアや、スキーに、農作業。

週1度の英会話に、論理的コミュニケーションの授業。

男子は相撲部屋に、女子は柔道のメダリストとの稽古。

ありとあらゆる角度から、教育に取り組んでいます。



 そして、男女共に、コーチのトップが、元教員であることです。

おそらくこれは、偶然ではないはず。

フットボールの向上を目指すだけなら、そうである必要はありません。

人間教育のために、と考えているのではないでしょうか。

お二人とも、人間的魅力のあるコーチであり・教育者でした。






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 「エリート」とは、特権階級を指すものではない。

「先頭に立って社会に貢献するリーダー」を指すのだそうです。

常に、ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち振る舞いのできる人間。

フットボールはもちろん、社会をリードする「真のエリート」の育成を目指している。

これが、JFAアカデミーの目標だそうです。



 今回のアカデミーリフレッシュ講習会を受講して、素直な感想を言います。

「うらやましい」

自分が中学・高校の時に、こんな環境にいることが出来れば!

自分の見えなかった世界を、見ることが出来たかもしれない。

そんな妄想すら広がる。

そうさせてしまうほどの、うらやましく、恵まれた環境でした。



 エリート教育、アカデミーの取り組みについては、どうでしょうか。

それに対して、まだ評価出来ないのが、私の感想です。

多くの人間が、子供たちの現在・未来のために、力を注いでいる。

子供たちも、それに応えようと懸命に取り組んでいる。

これを今の時点で否定することなど、出来ません。

10年・20年経って、アカデミーを巣立った卒業生が、どうなっているのか?

真のエリートとして、フットボール界や、社会を引っ張る存在になれているのか?

評価は、それからで。
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2009年11月27日

最新の指導理論、その2

 引き続き、ミゲル・ロドリゴコーチの講習会からです。
 


 彼の話を聞いていると、あることに気づきました。

FCバルセロナで取り入れられている理論と同じなのでは?

最近、FCバルセロナの元コーチ、お2人が紹介しているものです。

その理論とは、戦術的ピリオダイゼーションです。
 

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 モウリーニョやバルセロナの、戦術的ピリオダイゼーションとは少し異なる

時間を自ら割いて、この説明もありました。

ピリオダイゼーションとは、ゲームで起こったことを、そのまま抽出したものである。

原因と結果との関係を、注意深く見るもの。

チームの抱える問題を、そのまま抜き出して、メニューとして形にする。




 その、グローバルトレーニングには、認知・決断のプロセスがある。

だから、従来型のトレーニングよりは、進んでいる。

ただし、インテグラルトレーニングは、さらに絞り込んだものである。

なぜならそこには、心理的プレッシャーが入っているからだそうです。

勝たなければならない、スピードを上げなければならないという、空気を作る。

自発性を、より求める。

グローバルトレーニングをさらに絞ったものが、インテグラルトレーニングである。

ここでは、自発性も求められる。






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 座学での講義の後は、フットサルコートに場所を移して、実技です。

そこで行われたトレーニングは、とにかくハイテンポです。

セッションの間、心拍数が落ち着く余裕すらありませんでした。

日常的にトレーニングしている、私ですら、あっという間に息が切れます。



 しかも、ルールが複雑。

観るべきものが多く、あらゆる方向に気を配る必要があります。

ボールだけを見ていて何とかなる、ドリブルで相手をかわしてから。

そんな余裕は、一切与えてもらえません。



 DFが、邪魔が、あらゆる角度からやってくる。

攻めるべきゴールがころころ変わる。

初めて目にする概念も入ってきます。

参加するプレーヤーの多くは、かなりの確率で戸惑っていました。




 戸惑っていなくても、与えられた設定を、有利に使っている。

得を探せているプレーヤーは少なかった。




 ころころ変わる、自ら変えることが出来る、場の設定。

おそらくミゲルコーチは、こんな設定にしていたはずです。

認知・決断・実行のサイクルを速くすれば、得をする。

我々は、コーチの目指す現象を起こすことが、出来ずに終わってしまったのではないか。






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 ルールの説明だけで、数分掛かるほど、複雑な設定もありました。

通訳の方をワンクッション挟むので、ますます時間が掛かります。

我々が、インテグラルトレーニングで育っていないからでしょうか。

理解にも、時間が掛かってしまいます。




・説明はシンプルに、プレーする時間を多く確保する。

・設定は出来るだけシンプルにする。

・リアリティを持たせる。

コーチングで外してはならないはずのポイントを多く外している?!

そんなポイントなど、吹っ飛ばしてしまう力が、このセッションにはありました。





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 自分で体感してみて、幾つかの疑問があります。




・ボールを止めて・蹴る力は、本当に身に付くのか?
(バチーンという強いキックが蹴れるようになるのか?)

・体力レベルの低い人間と高い人間は、同時にトレーニング出来るのか?



 何より、日本の環境に合うのか?

・心理的プレッシャーを与える

心理的プレッシャーにさらされて、我々日本人が自分のパフォーマンスを発揮できるのか?




・あまりに工夫されているため、リアリティのないトレーニング

フットボールが日常にあるスペインだからこそ、成り立つのではないか。

日本の野球や、相撲・柔道のように、伝統と歴史、質の高い競技レベルが日常にある。

その環境ならば、息を吸うように、フットボールを体感できるでしょう。

かたや、フットボールがまだ日常に無い、日本。

その日本に住む我々は、フットボール全体をいつ、どのように掴むのか?





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 どんなに優れた理論も、そのまま導入することは出来ない。

環境も違えば、対象も違ってくる。

さて、どのように取り組むべきなのか?

有効な理論であることには、疑いは無いようですが・・・。
posted by プロコーチ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月13日

日本の教材

 日本フットボール界はどこに向かうのか?

何を目指すべきなのか?

南アフリカワールドカップでベスト4を目指す。

2050年には、ワールドカップで優勝する。

目標だけは、高く掲げられています。

フットサルでは、2016年にベスト8だそうです。




 では、どんなチームのスタイルを持って、その目標を達成しようとするのでしょう。

特に強化、育成の部分では、最近さかんに言われていることがあります。

「スペインを目標にするべきだ。」

さて、いかに。

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 ユーロ2008年、スペイン代表が久々に優勝しました。

しかも、観客の目をとりこにする、魅力的な試合運びでした。

FCバルセロナの活躍もあって、スペインに注目が集まっています。




 その後に開催された、JFA主催ナショナルトレセンの指導者講習会でのことです。

講義で、日本の目指すべき方向性の1つとして、スペイン代表が取り上げていました。

映像も流しながら、スペイン代表の長所を説明されました。

パスをつないで、ゴールを目指していく。

カウンター、ポゼッション、どちらからでも崩すことが出来る。

いいシーンばかりを集めているとは言え、その映像は圧巻でした。




 フットサルの世界では、この取り組みが、さらに一歩進めてられています。

スペイン人コーチのミゲル・ロドリゴ氏を代表監督として新たに迎えています。

JFAフットサルコーチライセンスの講習会でも、スペインの話がたくさん出てきました。

担当インストラクターのコーチが、スペインフットサルに精通されているのも関係していたはずです。





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 サッカーもフットサルも、スペインを目標にするのでしょうか。

ここで必ず言われるのフレーズがあります。

「体格・体型が日本人とあまり変わらないスペインが世界のトップレベルにある」

確かに、身長175センチ以下の選手が大半を占める。

170センチにも満たない選手すら、中心選手として活躍している。

体格で劣る選手たちが、工夫をして、大男を相手に回して戦っている。





それでは、彼らはどのように試合を進めているのか?

技術を高めて、そこで勝負するのか?

彼らの技術の高さは、もちろん素晴らしい。

単純なパス、トラップに見えるのですが、その強さや動かし方は特筆もの。




 ただし、彼らはそれだけではないのです。

その根本には、こんな考え方があるようです。

技術をいくら向上させても、王国ブラジルには勝てない。

ブラジル人の技術は、真似が出来るものではない。

技術はベースにあるものの、それに頼るわけではないのです。




 スペインは、技術力と戦術眼とを高いレベルでミックスさせる。

優先するのは、グループの価値観であって、個人の意思ではない。

誰かを中心のチーム作りをするのではなく、誰もがチームのために働く。

チームスタイル・コンセプトを何よりも上回るものである。

個人は、チームの中で居場所を見つけ、そこで自分の個性を発揮させていく。




 俺のために動け!そんなオーラは全く感じない。

一つ一つの個性が、高いレベルで融合している。

そのベースとなっているのは、チームのコンセプトである。

私が説明するまでもなく、スペイン代表やFCバルセロナの試合を見れば、分かりますよね。

彼らの試合を観るたびに、彼らと我々との間にある、遠い距離を感じます。

本当に、彼らに追いつき、追い越せる時が来るのでしょうか。





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 そのスペインの強さを、学べる機会が日曜日にあるのです。

ミゲル・ロドリゴ日本代表監督が、講習会を開いてくれる!

監督就任以来、彼の評判はさらに高まっています。

今回、座学と実技で3時間にわたって行われる。

この貴重な機会は、見逃したくない。



 
 スペインから、何かを学び取りたい!

彼らには、それだけの質の高い試合を実践してくれています。

そこに、秘密のレシピや、特効薬があるといった期待はしていません。

スペインの空気に触れることができれば、それだけでも価値があるのではないか。

何よりも、自分のコーチングの刺激になることを期待して、足を運ぶつもりです。
posted by プロコーチ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする