2017年01月09日

将来有望な、素晴らしいコーチ

子供たちのスポンジのような吸収力に驚きを感じた。

昨シーズンのMVP獲得した、中村憲剛。

小学生を対象にしたサッカークリニックを開催した感想。

「子供たちの飲み込みの早さと吸収力にはホントに驚きでした。」

「言われたことだけをただやるだけでなく、言われたことを自分で考えて理解したうえで、

 積極的にプレーすること、言われなくてもチームが勝つために自分で判断・選択してプレーする」

「止める、蹴るはないがしろにしてはいけない部分です。」






 彼は、将来、素晴らしい育成の指導者になりそうです。

なぜなら、指導のとても大切な部分に気づいているからです。

「それと同時に、子供たちが素直な分、教えすぎることの危うさも感じました。」

「自分が伝えたい内容をどこまで話すべきか、

 これ以上話したら情報が多すぎるのではないか

 さじ加減を考えることは、普段小学生を教える機会の少ない現役の自分にとって

 とても勉強になりましたし、考えさせられることでした。」








 ティーチングと、コーチングとのバランスは、我々指導者にとっての、永遠の課題。

少なくとも、私にとっては。

伝える部分と、感じつかみ取らせる部分とのバランス。

教え込む内容と、気づかせる内容とのバランス。

「考えろ!」だけでは、考える材料さえ持たない選手にとっては、意味をなさない。

1から10まで伝えてしまうと、受け身な優等生ばかりを増産してしまう。










 世界を知り、トップレベルで戦った素晴らしい経験、技術。

中学、高校の時には、サイズの問題で、苦労したそうです。

この経験も、フットボールプレーヤーとしての彼を形成する上で、大きく影響したでしょう。

そして、コーチングとティーチングとのバランスに気づき、工夫する感性。

何年先になるか分かりませんが、必ず、育成の現場に立ってほしいものです。

現役としての輝きがかすむほどの、偉大な指導者になるはずです。


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風が吹けば桶屋が儲かる

 風が吹けば桶屋が儲かる。

南米で蝶がはばたけば、アメリカで竜巻が起こる。

そんなコーチングが出来るように、日々考える。

どれだけ、数手先を読みながら、コーチング出来るか?!




 風が吹けば、ほこりが舞って、目の病気が増える。

目の病気が増え、失明する人が増えれば、三味線で生計を立てようとする人が増える。

三味線を作るための材料である猫をつかまえると、天敵が減ったねずみが増える。

ネズミが増えると、桶をかじって、台無しにする。

そしてようやく、桶屋が儲かる。




 現象を見て、原因を追究する。

原因を改善するためには、どのようなコーチングが必要なのか?

数歩先を読みたい。

その仕掛けをするのが、大切な仕事です。


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2017年01月06日

出し手と受け手に加えたい

 この年末、正月で、育成年代の試合、トレーニングを観ました。

U14ナショナルトレセン女子、全国少年サッカー大会、高校選手権、高校選手権女子。

昔に比べると、本当にレベルが上がりましたね。

適当にボールを蹴飛ばして、運を天に任せるプレーが減少しています。

観戦していて、純粋に楽しめる試合が増えました。







 その中で、気になる点がいくつかあります。

・ボールを蹴る力が落ちている。

グラウンダーのパススピードも弱い。

ミドルシュートの本数が少なく、精度も低い。

ボールを蹴る音そのものが、悪い。

・ヘディング

ボールの落下点に入れていないわけではない。

トレーニングはしていると思います。

ボールをバシッとたたけない。

競り合いながらヘディングは、もっと落ちてしまう。








 一番気になったのは、オフザボールの関わりです。

ボールホルダーがボールを持って、引き付けてパス。

もしくは、出し手と受け手との関係で、パス。

そして、それを繰り返すのみ。

パスはつながっているように見えます。

ただし、守備組織を固められると、途端にパスがつながらず、崩せない。

無理にボールを運んで、守備ブロックに引っかかる。








 3人目、4人目の関わりが弱い。

傍観者になっているのではないか?

ボールの動きに合わせて動いているように見えているけど、ただ動いているだけ。

ボールを、このようにボールホルダーが持っている。

あそこに(自分ではない違う場所に)ボールが出そうだ。

だから、次の場所に向けて、移動しよう。

この頭を持ちながら、プレーを連続させたい。






 ボールを受ける選手も足りていない。

次に、ここにプレーするために、ボールを受けているかどうか?

A → ? →C

AとCとをつなぐために、自分がボールを受けに行く。

だから、Bに入る。

何のためにボールを受けるのか?

これも、3人目の動きとして大切なポイント。








 ボールを扱う技術は、高い。

だからこそ、この頭の中身を磨いていきたい。




posted by プロコーチ at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月05日

バッタの運動会

「おい、バッタの運動会を知っているか?」

私が20年前以上に、塾の講師をしていた時に、先輩から問いかけられました。

知らなかった私は、教えてもらいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・
バッタに、コップを被せてしまう。

バッタは、ピョンピョン飛ぶが、コップにぶつかってしまう。

被せられたコップにぶつからないように、ジャンプをするようになる。

しばらくして、コップを外して、バッタを自由にしてあげる。

それでもバッタは、コップにぶつからない高さでしかジャンプしないようになってしまう。

コップが無くなったにもかかわらず。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 この訓話から、いくつかのことを学ぶことが出来ます。

・自分で自分の限界を決めてしまうと、それ以上にはなれない。

・諦めてしまうと、それ以上を求めて、行動をしないようになる。

・抑圧してしまうと管理しやすいが、成長を止めてしまう。
(本当は、もっと成長していたのかもしれないのに。)






 聖和学園の試合を見ていて、バッタの運動会が思い出しました。

プラスの面。

ボールを蹴飛ばすことばかりを求められた選手は、ボールを持てなくなるのだろう。

だから、ボールを止める、運ぶ勇気を持たせることは、指導者に求められている。

ボールを扱うことができる選手は、年を重ねて、走れなくなってもフットボールを楽しめるのでしょう。



マイナスの面。

ボールを運ぶ、ドリブルとショートパスばかりを求めていくと失うものがある。

ボールをバシッと蹴れる選手がいない。

ヘディングをたたけない。

もっとも気になったのは、フリーランニングしなくなること。

スルーパスが欲しくて裏に走ってもボールが出てこない。

クロスを信じて飛び込んでもクロスが上がらない。

すると、選手はフリーランニングをしなくなる。

ボールを足元で受けるためのフリーランニングばかりで、ゴールに向かうスプリントが無い。






 我々は、選手に、コップをかぶせてしまってはならない。

もし選手が、見えないコップをかぶってしまっていたら?

そこから解放してあげるのも、指導者の仕事。
posted by プロコーチ at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

高校選手権観戦記(1月3日)

 高校選手権は熱いですね。

根強い人気の、この選手権。

Jリーグレベルの注目度、集客力を持っています。

報道の量は、日常のJリーグを超えているように感じます。

創造学園対正智深谷

聖和学園対青森山田

この2試合を観戦してきました。

まだ3回戦だというのに、1万人近くいたのではないでしょうか。

そして、サッカー少年から、何十年も見続けているであろうご老人まで。

選手権は、日本における文化になっている。











 聖和学園対青森山田。

昨年話題になった、聖和学園。

ドリブルを中心に試合を組み立てる。

チームに、ドリブル好きが集まってきている。

中学年代の出身クラブを見ると、その傾向はハッキリ分かります。

ドリブルにこだわっていることで有名なクラブチームが、ずらりと並んでいます。

一緒に観戦した高体連の先生は、聖和学園の監督さんとは先輩後輩とのことでした。

それによると、呼んでもいないのに、向こうからドリブル好きが集まってきているらしいです。










 その人気は、スタンドでも感じられます。

ドリブル好きなファンが、ピッチを見つめます。

ボールを持って一人、二人かわすと、歓声が上がります。

奪われそうになっても、ボールを奪われないと、「うまいな〜」声が聞こえてきます。

ドリブル好きなファンは、ある一定数いるようですね。









 試合前、意外な光景を目にしました。

青森山田のイレブンが、なんともリラックスしていました。

観客席(私はそのすぐ上に座っていました。)に向かって挨拶。

同級生やチームメイトを見つけて、笑顔でコミュニケーションを取っているのです。

試合前だというのに、リラックス。

1万人近い観客だろうが、立派なスタジアムだろうが。

これくらいの環境は、慣れているのでしょうね。

一方の聖和学園からは、緊張感が伝わってきました。

やるぞ!という、よい緊張感でした。

先ほどの先生が言うには、聖和学園のトップチームは、青森山田の2軍に敗れてしまう。

先制点が何としても欲しい戦いです。












 聖和学園の戦い方は、お互いの距離を狭める。

ドリブルで狭いところに入っていく。

周りの選手は、狭い中でも顔を出し、局面をコンビネーションで抜けていく準備をする。

ボールを取られた瞬間に切り替えて、「ボール狩り」をする。

狭い局面にこだわって、試合を進める。

聖和学園がボールを持つと、どんどん、選手間の距離が狭まっていく。

ほんの20M四方の中に、選手全員が入っていくのです。



 ただ、そのサッカーでは、青森山田には通用しない。

昨年の選手権でも同じ対戦がありましたが、5対0で青森山田が完勝。

聖和学戦も、かなり青森山田対策をしてきたようです。

サイドの低い位置でのスローインは、相手の前からのプレッシャーを受ける。

ライン際の前方にターゲットを置いて、ロングスロー。

距離を稼いで、プレッシャーを回避する。

また、青森山田の両サイドバックが高い位置を取る。

ピッチをワイドに使いながら、崩しにくる。

それには、サイドの中盤の選手を下げさせて、スペースを埋めてしまう。

マイボールの時も、カウンター対策で、後ろに3枚の選手を残そうする。

これらの対策と、自分たちの戦い方が、前半30分までは上手くはまっていました。

対策しながらも、自らのスタイルを出そうとする。

昨年度よりも、明らかに進化している姿を見せてくれました。








 青森山田も、もちろん対策を立てていました。

ボールを持ったら、逆サイドに展開する。

狭い局面に集まっている相手を分散させ、外に走らせる。

狭い局面のままでプレーを続けると、相手のボール狩りに遭ってしまう。

相手の意図を外すために、ボールになったら、サイドを拡げる意識を持っていました。




守備においては、必ずボールホルダーの正面に立つ。

「正面に立て!」

何度も、ピッチの中の選手が、声を掛け合っていました。

突破されないように、まず正面に立つ。

正面に立つと、相手は横方向に進路を変えて、ドリブルを続ける。

そこを、一つ前の選手が戻ってきて、挟み込んでボールを奪う。

何度も、何度も、同じ形でボールを奪い続けていきました。




 そして、守備から攻撃の切り替わり。

あえて、前からプレッシャーをかけない。

DFラインには、プレッシャーをかけないのです。

ミドルサードまで、後退する。

わざと、ボールを持たして、相手をおびき寄せる。

すると、聖和学園の選手はボールにどんどん、集まってくる。

ボールを奪った時には、その周りに広大なスペース。

つまり、ボール好きな聖和学園がボールを持てば持つほど、青森山田のチャンスが大きくなる。

このプランを成功させるためには、狭い局面を突破されないことが絶対条件になります。

個々がグループが、守備において後手を踏まないこと。

その自信があるからこそ、この戦い方を選んだのでしょうね。










 試合は、完全に、青森山田のペースでした。

注目選手の一人である、青森山田のGK、廣末。

全くユニフォームが汚れていない。

聖和学園はボールは持つものの、全くゴールを脅かすことができない。

ただ、ボールを持って、狭い中に突っ込んでいくだけ。

相手のレベルが低ければ、突破できるのでしょうが、この日は通用しない。

サイドチェンジも無ければ、クロスも上げない。

裏への飛び出しも、カウンターもない。

かなり、相手が守りやすい状況を、自ら作ってしまっている。

それも含めて、聖和学園なのでしょうか。

一人ひとりのボールを運ぶ力、奪われない運び方、体の使い方。

素晴らしいものだと感じます。

ここまでボールを扱えるようになるには、かなりの時間、ボールを触っているからでしょう。

幼少期のころから、そして、高校になっても、ボールを触り続けている。

その努力の成果は、感じ取れます。












 試合は、5対0で青森山田が聖和学園を倒しました。

後半途中から、青森山田が安全運転に入りました。

次戦以降を見据えて、ケガや、ファールトラブルを避ける。

明らかに試合のペースを落としました。

聖和学園も、キックオフ当初の勢いが失われていきました。

オウンゴールで失点した後は、完全に心が折れてしまったように、スタンドから見えました。










 お正月から、こうやって試合観戦ができる。

安全なので、子供から大人、老人まで、本当に老若男女が観戦に来ている。

この伝統は、世界に誇れるものだと思います。

これだけの注目度があるから、その年代の選手たちも競争が激しくなる。

その競争が、選手を育ててくれる。

何年たっても、この正月の選手権を見ることが出来ますように。
posted by プロコーチ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月02日

国内レベルを超えるために

 鹿島アントラーズが、今期2冠に輝きました。

正月恒例の天皇杯。

川崎フロンターレを延長で、順当に?倒しました。

試合を観ていて、誰もが鹿島が勝ちそうだな、と思ったのではないでしょうか。

もちろん、フロンターレサポーターを除きますが、、、。








 タイトルが掛かった試合は、鹿島が勝つよね。

競った試合、緊張感のある展開は、鹿島有利である。

先取点を取ったら、鹿島が来る。

この空気を作り出せる。

それこそが、鹿島の伝統。

勝ち続けたクラブだけが、醸し出せるこの空気感。

一方、川崎は、この空気が無い。

伝統とは、クラブの哲学の積み重ねであり、勝利の積み重ね。

ビッグマッチで鹿島は、常に、アドバンテージを持っている。









 ただしそれは、国内に限る。

アジアに出れば、このアドバンテージは存在しない。

なぜならば、アジアでは勝っていないから。

積み重ねた伝統が無い。

対戦相手からすれば、日本のクラブの一つに過ぎない。

今回のクラブワールドカップの善戦は、有名でしょう。

と言っても、恐れを抱かせるほどの存在ではない。










 来シーズン、アジアでの戦い、ACLが始まります。

鹿島アントラーズは、どこまで進めるのか?

大勝負になったとしても、アジアにおいて、アドバンテージは存在しない。

シンプルにクラブとしての総合力が問われる戦いが始まります。

この苦戦が予想される戦いを乗り越えた時、鹿島のアジアでの伝統が積み重ねられていきますね。
posted by プロコーチ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月01日

本年もよろしくお願いします。

 明けましておめでとうございます。

おかげさまで、新年を迎えることができました。

当たり前のことを、当たり前に出来る。

それだけで、ありがたいことですね。

昨年は、それを思い知らされた一年でもありました。

「おかげさま」の気持ちを忘れずに、日々、物事に取り組んでいきたいものです。






 私のスクールに、新年のあいさつをするにあたり、どうしても紹介したい事柄がありました。

それは、黒田先生のことです。

私の尊敬する指導者のお一人に、黒田和生先生がおられます。

元滝川第二高校サッカー部の設立、運営に携わった。

顧問であり、岡崎、金崎、波戸、加地ら多くの名選手を育てあげています。

そしてもちろん、高校サッカー界でも指ありの名称に数えられています。

黒田先生は67歳。

日本にいれば、悠々自適の時間を過ごされるのでしょうが、歩みを止めないのです。

60歳を過ぎて、突然、台湾に渡り、台湾サッカーの育成の中枢に入り、奮闘されています。

さらには、このたび台湾A代表の監督に就任し、さらなる挑戦を続けておられます。

黒田先生は私の高校の先輩でもおられるのですが、

おいくつになっても、その情熱が衰えることがないようです。

私は、まだまだ41歳。

まったく老け込む年齢ではありませんよね。

フットボールに対する熱い情熱を胸に、2017年も指導にあたらせてもらいます。










 そのベースとなるのは、自分自身が、誰よりもフットボールが好き!

この気持ちがすべてのベース。

選手としても、指導者としても、運営者としても。

目の前のことに、全力で、溌剌と、やり抜くこと。

そうすれば、20数年後になった時、黒田先生に一歩でも近づけるはずですよね!

今年も一年、よろしくお願いします。
posted by プロコーチ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月31日

違う環境で生きる人と

 高校サッカー部時代の仲間と話。

今は、某県の高校サッカーの指導者として活躍している。

なにか、行き詰っていることがある、とのこと。

深夜のファミレスで、コーチ同士のトーク。

すると、ストンと胸のつかえが、落ちたようで。









 帰り間際に、

「普段、同じ人、同じ環境でだけ話をしていては、考えが行き詰まるね。」

「話せて良かった。」

と、満足の表情で帰っていきました。

なるほど、その通り。

こちらも、同じです。

様々な角度から、インプットとアウトプットを繰り返す。

大事ですね。
posted by プロコーチ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ちょっと一言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月26日

本物と可能性。

 クラブワールドカップでは、貴重な数十分がありました。

世界王者である、レアルマドリーが、リードされる。

先制点を取ったものの、同点にされ、逆転される。

それまでは、観客も、レアルのスーパープレーを見に来ていた。

早々に鹿島が失点すると、増々、その傾向は強くなったように感じました。

ロナウドが小技を披露し、余裕を見せる。

ボールポゼッションをしながら、時間を進めていく。

まさに横綱相撲を取っていたはずのレアルマドリー。

ゲームプランが狂ったのでしょうね。








 前半を終えた段階で、リードしていない時点で、目算は大崩れだったでしょう。

そして、柴崎のスーパーゴール。

あれで、レアルの選手が目を覚ましました。

それまでは、正確無比なプレー。

少ないタッチで、落ち着いてボールを回しながら、ゲームを支配していた。

ところが、1対2になった瞬間、試合が変わりました。

サイドバックの位置がさらに高くなり、ほぼウイングの位置。

スピードを上げてゴールに迫る。

ボールタッチやパスが、少しだけ粗くなりました。

それ以上に、どう猛な、ゴールに向かう力に驚きです。

ゴールに向かうランニング、ゴールに向かうボールタッチ。










 そして、鹿島ボールになると、ボールへの寄せが、一歩厳しくなった。 

フィジカルコンタクトも増え、真剣にボールを奪いにきました。

イエローカードも辞さない、厳しさを見せつけます。

ボールを持っていても、ボールを持っていなくても、プレッシャーをかけてきます。

同点に追いつき、延長で逆転するまでの数十分間。

レアルがビッグクラブとの試合でしか見せない、本当の姿に近かったのではないでしょうか。









 私は幸運にも、この姿をスタジアムで目にしました。

テレビ画面を通じても、レアルの本気は伝わったのではないでしょうか?

我々は、ここから何を感じるべきなのか?

レアルが余裕を持ってプレーをしていた時に、スタジアムでの盛り上がったシーン。

それは、各選手が小技を見せた瞬間です。

分かりやすい、シザースや、ボールタッチ。

数十年前のトヨタカップで最も盛り上がったシーンが、オーバーヘッドキック。

それと、あまり、変わっていないのかもしれません。

日本では、技術を勘違いしてとらえている傾向があります。

サーカスのようなボールタッチは、試合では使えない。

ボールを止める、ボールを蹴る、仲間のために走る。

それをハイプレッシャーの中でも、スピードを上げて、繰り返すことができる。

それこそが、本物の技術のはずです。








 クリスティアーノロナウドが見せてくれましたよね。

彼のドリブル、フェイントのテクニックは、すごさを全く感じませんでした。

日本にいるブラジル人のほうが、完全に上ですね。

日本人選手でも、ロナウドより、足元のボール扱いの巧みな選手はいます。

そこではありません。

4点目。

ロナウドがハットトリックを決めた瞬間です。

トニクロースが、こぼれ球をミドルシュート。

100キロ近くあるスピードのボールが、ロナウドの足元に飛んできました。

それを足元に一発で止め、しかも前を向いてゴールに向かう。

次のタッチでゴールに向かい、左足でシュート。










 何気ない3タッチですが、本当にすごい。

あのボールを止めるだけでも大変なのに、一発で前を向き、ゴールに向かえる1タッチ目。

そして、DFから遠い側の逆足に向けボールを運んだ、2タッチ目。

GKの動きを見極め、ニア上に正確なキックで叩き込んだ、3タッチ目。

ただ止めるだけだと、シュートは打てなかった。

右足でシュートを打つためにボールを運んだら、DFに引っかっていたでしょう。

セオリー通り、ファーに打っていたら、GKにセーブされていたかもしれない。

相手選手、スペースを感じながら、自分のプレーを選択していく。

そして、それを実行していく力。

判断と技術とが、高いレベルで融合しているからこそ、生まれたシュート。

これこそが、本物の技術!

我々日本人に、レッスンしてくれたかのようです。









 JFAは、目標を持って行動しています。

2005年宣言。

それによると、2050年までに、サッカーファミリーが1000万人になる。

もう一つが、日本でワールドカップを開催し、日本代表が優勝する。

決勝戦の横浜では、熱狂的な盛り上がりは、ありませんでした。

安全に、時間通りに、イベントが進行していきました。

そして、開催国・ホームチームである、鹿島アントラーズが大躍進しました。

日本人が思う以上に、南米・ヨーロッパの人間は、アウェイを気にしているのかもしれない。

元々持っている力を、最大限に発揮できた鹿島。

この姿に、将来の日本代表を見た気がしました。
posted by プロコーチ at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月15日

モップ貸しください。

 なでしこVISIONを知ってますか?

日本サッカー協会は、大きく3つの目標を持って活動しています。

・サッカーを女性の身近なスポーツにする。

・世界のトップクラスであり続ける。

・世界基準の「個」を育成する。

この3つを目標に掲げ、日本女子サッカーを盛り上げようとしています。

なでしこVISIONは、まだまだ知られていない。

実際に、女子の指導者講習会であっても、知っているコーチは、少数派。

まだまだ、マイナー感がぬぐえない?!








 現場で指導、運営にあたっている方々は、本当に苦労されながらも、取り組んでおられます。

私も女子サッカーに携わっていますが、たかだか16年。

まだまだ、修業が足りません。

インストラクターの方が、昔話をしてくださいました。

30年前に、千葉の検見川で、日本女子代表の合宿があったそうです。

当時は、女子サッカーは、それどころか、サッカー自体がマイナースポーツ。

この時の、女子代表の選手たち。

受付で、参加費を支払わなければならなかった。

代表合宿で呼ばれたにもかかわらず、参加費、宿泊費、食事代を徴収される。

仕事を休んできたメンバーは、会社を休まなければならない。

代表に呼ばれることは、かなりの負担だったようです。

よほどの覚悟がないと、やっていけません。

それに比べると、相当、女子サッカーの環境は良くなってきていますね。

まだまだ取り組むべき課題は多いのでしょうが、30年の歩みは、すごいですね。










 日本サッカーは、育成にも力を入れています。

若年層の育成、代表の強化、指導者養成。

三位一体となって、前に進んでいっているのは、有名な話です。

それは、男子も、女子も変わりません。

その中で、女子特有の問題にも取り組んでいます。

なかなか、すべきことが多くて、大変ですね。

その一つの成果として、2011年にワールドカップを制した。

そして、五輪でもファイナリストになった。

世界のトップクラスにあり続けるのは大変ですが、大いなる成果ですよね。










 私は、今年も、ナショナルトレセン女子の指導者講習会に参加させてもらいました。

10年以上前から、毎年毎年、参加させてもらっていると、様々な発見があります。

今回も、トレーニング見学、実技講習、指導実践、教室での講義など、盛りだくさん。

インストラクター役のコーチからの指導、そして発見、再確認、仲間との議論。

一つ一つが、自分を高めてくれます。

特に、二日目に開催された指導実践。

普段、自分の指導を、見て、講評をもらうことはあまりありません。

耳に痛い講評もあるかもしれません。

それも含めて、よい学びの場なのです。











 今回の講習会で、とても素晴らしいエピソードを教えてもらいました。

ヨルダンで開催された、ワールドカップ女子U17でのことです。

日本は、前回大会のチャンピオン。

この世代の世界王者として、大会に臨みました。

なでしこは、順調に勝ち進みました。

グループリーグでは、米国も倒し、3連勝。

ノックアウトステージに入っても、イングランド、スペインと難敵を倒していきます。

試合の映像も見せてもらいましたが、気持ちのよい戦いでした。

全員が攻撃し、全員が守備をする。

本当に全員がハードワークを続けています。

その中でも、ただ走るだけでなく、動きながら技術を発揮する。

足元でこねる技術でなく、ボールを動かすコントロール(トラップ)からパス。

ゴール前で複数人が関わり、コンビネーションを用いて、相手を崩していく。

見ていて気持ちの良い試合を展開していきます。

6試合で19得点、2失点。

試合を重ねるごとに、なでしこに対する応援の声が増えていったそうです。

ヨルダンの国旗を振りながら、なでしこを応援してくれたとのこと。

決勝では、北朝鮮に残念ながらPKで敗れてしまいましたが、一番人気のチームだったそうです。

試合で反則が少なかったのは、もちろん。

試合後、対戦相手の一人一人と握手をして、健闘をたたえあう。

こういった姿が、共感を呼んだ。












 ヨルダンは、中東に位置します。

ヨルダンで、女性の世界大会を開催するのは、初めて。

女性が人前でスポーツするのは、一般的ではない地域。

その中で、なぜ、なでしこジャパンが人気になったのでしょうか。

彼女たちの人気が増していったのは、ピッチ内のパフォーマンスだけではなかった。

ヨルダンには、シリアからの難民が、たくさん流入している。

その難民との交流を、大会中でありながら、3回も行った。

彼女たちは、それだけではなかった。

さらには、試合後、運営スタッフに、お願いに行ったそうです。

「モップを貸してください、ほうきを貸してください」

自分たちが使った控室を、自分たちで掃除をした。

自分たちが入った時よりも美しくして、帰ることを繰り返したのです。

ヨルダンでは、自分たちで掃除をしないのが、習慣。

使う人と、掃除するのが分かれているのが、常識だそうです。

その中で、自分たちでモップを借りて掃除をするなでしこジャパン。

当然のようにしているその姿。

小さいながらも、尊敬を集めた。

その結果として、フェアプレー賞を受賞しました。

ピッチの中、周り、外。

その全てにおいて、フェアプレー賞に相応しい、それがなでしこジャパンだったのです。










 この話を聞いて、とても誇らしい気持ちになりました。

自分が何かをしたわけではないですが、同じ日本人として、本当に誇らしい。

U17の彼女たちが、当たり前のように、尊敬を集める行動がとれる。

日々接している、指導者や、親御さんの努力のおかげなのでしょうね。

先ほど紹介したなでしこVISIONは、次の言葉で締めくくられています。

「なでしこ」らしく「ひたむき、芯が強い、明るい、礼儀正しい」

「なでしこ」らしい選手になろう!

「なでしこ」らしい選手を育てよう!
posted by プロコーチ at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする