2016年12月10日

激しく、フェアに。

  森山佳郎U16日本代表監督。

サンフレッチェのユースを、日本有数の組織にした立役者の一人です。

彼は、技術で勝負する、洗練された戦術で勝利する。

という指導者ではないようです。

部活動(中体連、高体連)の持っていた良さを、ユース組織に持ち込みたい。

熱さ、激しさ、お互いを思いやる心を持つ集団にすべく、奮闘されていました。

「相手の足を削る音がしないと、プレスとは呼べない。」










 サンフレッチェ広島がフェアプレー賞高円宮杯を受賞しました。

最も、警告、退場が少ないチームです。

しかも、5年連続6度目は、まさに快挙。

森保監督の就任から5年間で、毎年毎年、フェアプレー賞を受賞しているのです。

5年で3度のJ1優勝も素晴らしいのですが、その5年全てで、フェアプレー賞!

森保監督は、次のようにコメントを出しています。

「選手が試合の中、勝利を追求する姿勢を持ち、その中で激しく厳しくプレーし、
その中でも相手選手、審判をリスペクトするフェアプレー精神を持ち続けたからだと思います。
選手たちを誇りに思います」

さらに、
「過去2年間は優勝とともに、この賞を頂きました。これからもフェアプレー精神を忘れず、結果を追求して頑張ります」


フェアプレー賞(高円宮杯)
年間の反則ポイントが1試合平均1ポイントを下回った全クラブにフェアプレー賞が授与され、
J1ではその中で最も反則ポイントが少なかったクラブに高円宮杯が授与される。
J1からJ3まで全てのクラブがフェアプレー賞の対象となるが、高円宮杯が与えられるのはJ1のクラブのみ。賞金は2013年までJ1のみだったが、2014年よりJ2・J3も授与対象となった。
フェアプレー賞表彰の対象となる反則ポイントの上限数
J1 34ポイント
J2 42ポイント
J3 33ポイント
(即ち、年間の各ディビジョンの総試合数以下が表彰の対象となる。反則ポイントは警告1回につき1点
(遅延行為・異議を唱えたものなどについてはさらに1回1点を加算)、
退場<同じ試合における警告2回による退場も含む>1回につき3点、出場停止試合数1試合につき3点を加算する。また警告・退場・退席処分がなかった試合は1試合につき3点を減点する

引用…Wikipedia






フェアプレー賞の要件を見ると、警告、退場をすると、マイナスのポイントがたまってしまう。

そして、時間の浪費や、異議申し立てに対しては、さらにマイナスポイントが付く。

つまりサンフレッチェは、熱く、厳しく、そしてフェアに戦っている。

当然、ファールはあるでしょう。

ぶつかり合いはあるものの、余計なファールや、不必要な抗議はしない。

対戦相手、レフェリーをリスペクトしながらも、無謀なプレー、暴力的なプレーはしない。

それが、クラブの隅々まで、浸透しているのではないでしょうか。

森保監督は、今年の優勝を逃したことを残念に思っている。

フェアプレーと成績とを両立させてこそ!との決意を語っています。

私が個人的に感じるのは、成績が悪く、チーム状態が良くない時には、不必要なファールがかさみがちです。

そのような状態でも、フェアプレー賞を逃さずに受賞したことこそ、評価されるに相応しいのではないでしょうか。













 蛇足ですが、浦和レッズのセンターバックであり、日本代表である槙野。

彼は、ここ数年、余計なファール、カードが多いですね。

槙野のプレーを見た、私の教え子が質問してきました。

「ユニフォーム、引っ張っても、転ばなければファールじゃないの?」

小学生が、日本代表のプレーを見て、間違ったことを憶えてしまう。

今回のチャンピオンシップでも、PKを与え、イエローカードを出されてしまいました。

結果として、あのファールが、チームを敗北に向かわせてしまいました。

全く、必要の無い反則でした。

後ろから必死に走り、相手FWの鈴木に、足音を聞かせる。

そうすれば、相手FWも自分のタイミングでは、シュートも打てないですし、余裕を持つことは出来ない。

味方GKの西川と2人でゴールを死守するイメージを持てれば良かったのです。

槙野選手は、もう一度、サンフレッチェの教えを思い出してほしい。

フェアで、激しく、クレバーで熱いDFとして、飛躍して欲しいです。
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2016年12月02日

好かれる必要はないけども。

 私のチームメイトに仕事を聞いたことがありました。

まだ出会って、日が経っていない時でした。

「公務員で、、、。」

なぜか、もごもごと口ごもり、言いにくそうなのです。

このご時世、安定した公務員ならば、胸を張って言えばいいのですがね。

他の誰かが、彼の仕事内容を掘り下げて聞きました。

「実は、警官です。」

「警官というと、いやな顔をされることが多いので、あまり言いたくない。」

そうか〜?!フォローするように、声を出すと。

「取り締まりされた時に、不快な思いをされたのか、嫌われ者です。」

自虐的に話す姿が、印象的でした。

そのチームメイトは、ナイスガイで、嫌われるようなタイプではない。

そのような説明をしなければならないのは、残念な話です。









 なぜ、嫌われてしまうのか?

国民である、我々のために、働いてくれているはずなのに。

悪いことをするのを待っている。

運転をしていて、違反をした瞬間を待ち構えている。

そして、切符を切り、説教をしていく。

顔は笑っていても、目は笑っていない。

未然に防ぐようにしてくれれば良いのに、。

嫌われている要因は、この辺りではないでしょうか。










 思い当たる節がありませんか?

私たちが嫌いなタイプなレフェリーと、全く同じ。

まるで、自分がピッチ内で一番偉い!とでも言いたいのでしょうか。

パトロール中の警官のような、取り締まりを続けるレフェリー。

笛やカードで、我々を威圧する。

選手は、反則をしたいわけではないのに、、。

自分が正義!自分のジャッジが正しい!

ルールの理解すら怪しい選手たちよ、大人しく言うことを聞け!!

笑った顔で近づいて来ますが、目は笑っていない。

レフェリー。

あなたは、選手と一緒に、試合を作っていく仲間ですよね?









 J2のプレーオフ準決勝は、本当に、面白い試合でした。

お互いがすべてをかけて、ぶつかり合う。

熱く、最後まで展開が読めない、見ごたえのある試合でした。

レフェリー、選手、サポーターが共に、熱い試合を作ってくれていました。

一方のチャンピオンズシップの第1戦は、あまり面白くない試合になってしまいました。

決勝戦にありがちな、お互いが腰を引けて、守備的にリスクを負わない戦いをした訳ではありません。

レフェリーが、あまりにも笛を吹きすぎて、試合が続かない。

統計によると、今年のリーグ戦の2倍の反則数だそうです。

しかも、決勝点のPKにつながる、あの笛。

反則の被害者である興梠は、PKを狙ってもらいにいったことを告白しています。

なんとも、レフェリーが悪目立ちした試合でした。

ルールを正式に解釈すると、反則だったのでしょうね。

でも、、、、、。

抗議に行ったアントラーズの選手たちも、呆れて笑ってしまってましたよね。

怒るのではなく、呆れてしまう。

あの表情が、物語っていますよね。







 

 レフェリーも、警官も、好かれる必要はないのでしょう。

でも、共に、社会を試合を形成する仲間であって欲しい。

明日の第2戦。

選手が主役の試合を見たいものです。



追記

ブラジル全国選手権を戦う、シャペコエンセに、悲劇的な事故が起きてしまいました。

何も出来ず、自分の無力さを感じます。

心からのお悔やみを申し上げます。
posted by プロコーチ at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月28日

ようやく。

 サウジアラビア戦。

久しぶりに強豪相手に、勝利を収めることができました。

ハリルホジッチ監督の手腕がいかんなく発揮されたとも言えます。

私自身、ずっと擁護していたので、少しホッとしました。

選手を批判する、監督を批判する。

またその逆に、褒めたたえる。

いずれにしても、本当にピッチの中で起きていることが見えているのか?

イメージに固定されてはいないか?

妙なバイアスは取り払って、試合を見てみる。

そうすれば、ハリルホジッチ監督の仕事が理解できるでしょう。










 今回のサウジアラビア戦。

予想通り、2種類の戦いを使い分けて試合を進めて行きました。

積極的に攻撃する部分。

ゴールを目指し、相手陣地で試合を行う。

守備でも攻撃でも、相手にプレッシャーをかけ続ける。

もう一つは、自陣深くに閉じこもり、リスクを避ける戦い。

ボールポゼッションを放棄したかのような、専守防衛。

つまらない!と言われかねない、守備に重きを置いた時間。

後半の途中からは、この戦いにシフトしましたね。

割り切ってボールを回させている。

最後の部分で、ボールに寄せる。

そこまでは、問題なかったのですが、、、。








 課題は、失点してしまったこと。

この戦い方をしている時は、失点してはならないはずなのに。

今回は、勝ち点3を手にするために、後半途中から守備的布陣に変えました。

おそらくワールドカップの本戦では、この戦い方をする時間が増えるはずです。

(本選出場が決まり、かつ、その時までハリルホジッチ監督が指揮していればですが、)

強豪相手に、先に失点はしたくない。

0対0の時間を少しでも長く続けて、相手の足が止まる時間まで持ちこたえる。

足が止まってきたら、カウンターの機会をうかがう。

失点をしてしまえば、このプランが崩れてしまう。

自分たちよりも力が上のチームを相手にする時には、先取点が大きくものを言います。

だからこそ、失点をしないという戦い方を選んだ時には、失点をしてはならないのです。









 ボランチの選手は、山口選手が中心になっていきそうですね。

あれだけ、体を張って、守備に攻撃に走り回る。

ボールを奪取する能力、危険を回避する能力。

長い距離を走って、攻撃に加わる走力。

なんとも、近代的な選手です。

攻撃の組み立てを考えると、遠藤、柴崎選手が、上なのでしょうか。

でも、ハリルホジッチ監督は、そこをあまり求めていないように感じます。

もっと強い相手、さらにはアウェイとなれば、長谷部選手すら外してしまいそうです。

山口、永木コンビで、とにかく走り、守り、潰し、仲間を助ける。

エレガントな選手が、低い位置で組み立てをするのは、一昔前の話になっていく。

例えば、イタリアのピルロ選手のような存在。

それは、今後のトレンドはないですね。












 では、どのような課題が考えられるのでしょうか?

最も考えられるのは、中東でのアウェイでの戦いですね。

独特な空気、対戦相手。

それを前にして、どのように準備して、戦っていくのか。

ここで重要なキーファクターになると思われるのが、手倉森コーチです。

JFAが今まで蓄積した、アジア向けの戦いを実践するための、現場とのつなぎ役。

手倉森コーチの仕事のパフォーマンスが、予選を突破するキーになるでしょうね。
posted by プロコーチ at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月15日

サウジ戦=オマーン戦+オーストラリア戦

 ハリルホジッチ監督は、能力の高い監督さんですね。

競争の厳しい、欧州で戦い続けた経験。

ワールドカップで、決勝トーナメントに導いた実績。

落ち着いて試合を観ると、彼の仕事ぶりがよく分かります。

なぜ、指導力に問題が、解任だ、などと騒いでいるのか?

理解に苦しみます。










 前回のアジア最終予選。

アウェイのオーストラリア戦では、勝ち点1を取りに行く。

引き分けで、次につなげる。

このような戦いを選びました。

ガチガチに引いて、守備の規律を守らせる。

そして、カウンターでチャンスを窺う。

そして、プラン通りに勝ち点1を得た。

さらには、アウェイで得点も奪った。

予定通りの戦いを見せました。

素晴らしいのは、攻撃が大好きな人間を起用していたこと。

その彼らが、守備をするために奔走し、戦い続けた。

試合を見る限り、チーム内に規律がある証拠だと思います。










 先週の親善試合、オマーン戦。

ここでは、全く違う戦いを見せてくれました。

とにかく攻撃的に、ゴールを目指し、勝ち点3を奪取するための試合運びです。

オマーン守備陣が5枚+4枚の9枚でスペースを埋める。

引いてきた守備陣を崩せないのが、いつもの日本。

ボールが横にだけ回っていた?

ボールは保持するものの、相手ゴールには迫れない。

終わってみれば、消化不良のゲーム。



 今回見せたのは、相手陣地で長く戦う。

両サイドのアタッカーを中央付近に入らせる。

両サイドバックを高い位置に配置する。

そこに、トップ下の清武、ボランチの永木、山口が絡んでくる。

7人もの選手が、ボールよりも前でプレーする。

何とも、攻撃的な戦いでした。

しかも足元だけで回すだけでなかった。

ワンツーやオーバーラップラン、2列目、3列目からの飛び出し。

ボールを追い越す動きが、数多く見られました。

ダイナミックな、勢いのある攻撃でした。









 この戦いを選ぶと、相手チームのカウンターが怖い。

両サイドバックの裏のスペース。

中盤の大きなスペース。

ボールを奪われた瞬間、ここを使われて、一気のカウンターアタック。

実際に、何度か、危ういシーンがありました。

その回数を少しでも減らすために、攻撃から守備の切り替わりを早くしていましたね。

奪われた瞬間、近くにいた選手がつぶしにいっていました。

後ろに下がるのではなく、その場で相手に向かっていく。

本田は、攻撃面での貢献は少なかったですが、この切り替わりの部分は走っていました。

そして、大迫の先取点。

奪われたその時、永木が相手から奪い返し、分厚い攻撃につなげました。

指揮官のイメージ通りのゴールだったはずです。










 サウジアラビア戦。

ここでは、このオマーン戦と、オーストラリア戦を融合させた戦いを目指すのではないか。

積極的にゴールを目指す時間帯。

割り切って、相手にボール保持を許す時間帯。

この二つを有効に使い分けるのが、ハリルホジッチ監督の目標だと思われます。

今は、試合によって使い分けですが、

本来は、一つの試合の中で、使い分けて行きたいはずです。

選手が、どちらかの戦いに偏るのではなく、試合の流れによって使い分ける。

その姿を、サウジ戦では見れるのでしょうか。

それが完成に近付く時が楽しみです。

どちらかに偏ってしまえば、勝ち点3は難しいでしょう。

オマーン戦+オーストラリア戦が出来ているかどうか?!

試合を見る、一つのチェックポイント。
posted by プロコーチ at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月11日

グッ、だらん。

 ボールを自由自在に扱うことは、とても大切です。

でも我々は、フットボールプレーヤーである前に、アスリートであるはずです。

1990年頃から、フィジカルの能力が、強く求められるようになってきています。

志向する試合が、ポゼッションだろうが、カウンターだろうが、同じことです。

長い距離を走る、スプリントを繰り返す。

狭いスペースでプレーするので、フィジカルコンタクトも増えて行きます。

つまり、体を自在に扱うことが求められるのです。








 リオオリンピックで、たくさんのアスリートが活躍していました。

普段、あまり目にすることができない、マイナースポーツと呼ばれる種目。

一つ一つが、本当に面白かった。

繊細な技術、大胆な駆け引き。

それら全ては、体を自在に動かせれることが前提です。

例えば、体操競技。

日本選手が大活躍しましたね。

空中での動作。

あれだけ回って、ひねっても、体が全くぶれない。

まさに体を自在に扱っています。











 彼らは、体を締めている。

しめる。

空中の動作が崩れないように。

倒立を美しくするために。

着地をピタッと止めるために。

体の中心に力を入れ、グッと体を締める。

瞬間的に、素早く、体を締めなくてはならない。

四肢は自由に動かせれるが、体の軸はぶれない。

体が締まっていないと、動作は乱れ、着地は決まらない。

美しい日本の体操は、成り立たないのです。











 この動作を、甲府の谷フィジカルコーチが、違う形で伝えていました。

「パック」

瞬間的に体に力を入れる。

その動作を、パックと呼び、トレーニングさせていました。

ラダーをジャンプで超えながら、パック。

ジャンプの動作に合わせて、力を入れる。

自分が力を入れたい、その瞬間にグッとパック。

先ほどの体操競技と同じく、グッと力を入れる。

キック、ショルダーチャージ、ジャンプ。

多くの動作に、活用できる、体の使い方です。










 先日、お世話になっているトレーナーの元に行きました。

月に一度、体をメンテナンスしてもらいます。

体の使い方をチェックしてもらうこともあります。

今回、面白いアドバイスをもらいました。

鏡の前に立って、グッと太ももに力を入れます。

これは、簡単です。

いつも、意図的に行っている動作ですし、トレーニングにも取り入れています。

ところが、今回は、続きがありました。

「力を抜いて、太ももの筋肉がダランと下に落ちるようにしてください。」

これが、なかなか難しい。

最初は、うまく力を抜くことが出来ない。

何度か繰り返すと出来てくるのですが、今度は時間がかかってしまう。










 力を入れるためには、瞬間的に力を入れるだけ。

ところが、力を抜くのは、その何倍も時間がかかっているのです。

理想は、グッ、だらん、グッ、だらん。

太ももの前が緊張しすぎると、膝の障害につながるそうです。

難しいですね。

キックの動作の時にも、活用できそうです。

力を抜いているほうが、スイングスピードを高めることができます。

でも、インパクトの瞬間には、グッと固めたい。

このグッ、だらんは、まさにそのままです。

自分の体なのですが、なかなか自在には扱えません。

これも繰り返しトレーニングすることで、出来るようになってくるとのこと。

自分を進化させる、良いヒントをもらいました。
posted by プロコーチ at 02:24| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月04日

鹿島アントラーズに続け

 クラブの名前を聞いて、どのようなチームかが思い浮かぶ。

20年前も、今も。

そのようなクラブは、日本にただ一つ。

鹿島アントラーズです。

ジーコスピリットの名のもとに、チームが一つの方向へ向かっている。

「チームに献身であれ」

「自分に誠実であれ」

「仲間をファミリーと思い尊重せよ」

 この言葉は今でも鹿島のクラブハウスに飾られている。

ユニフォームの裏にも印字されている。








 そのスピリットは、20年以上の歳月を積み重ね、伝統となってチームに息づいている。

チームのために戦い、タイトルを目指し、勝負強い。

そのスピリットが、戦いにも表れている。

4バックで、サイドバックがタイミングよく攻撃に絡んでいく。

センターバックは人に強く、ボールを跳ね返す。

ボランチは2枚で、バランスを取りながら、試合を組み立てていく。

相手に嫌がられる球際の強さ、泥臭さ。

セットプレー、相手のミスを得点に結びつけていく。

そこにブラジル人助っ人が、力を倍増させる。

彼らが当たりならば、タイトルを狙えるチームに。











 このような、はっきりした方向性の見えるクラブは、アントラーズだけです。

彼らがすごいのは、選手が入れ替わっても変わらない。

監督が代わっても、変わらない。

ベルディも、マリノスも、ジュビロも、レイソルも良かった時の面影はありません。

監督が退任すると、チームが戦い方そのものを変えてしまう。

選手に頼ったベルディやジュビロは、世代交代に失敗し、別のチームになってしまいました。

ジェフは、10年前の輝きは、オシム監督とともに、消えてしまいました。

サンフレッチェや、レッズも、フロンターレも、この先はどうなるのか?

この3チームは、監督の素晴らしい仕事で、チームの力は高まっています。

では、監督がいなくなり、選手が入れ替わったら、どうなるのでしょうか。

この答えは、10年後にならないと分かりません。









 

 それは、世界的に見ても、同じような傾向にあります。

ある程度は仕方のないことかもしれません。

そのクラブの信念、哲学といったものまで昇華させているのは、ごくわずか。

だからこそ、伝統を持ち、立ち返る場所があるクラブには、価値があるのです。

2016年のJリーグ。

チャンピオンシップに残った3クラブは、いずれもはっきりとしたカラーを持っています。

こだわりを持って、丹念に積み上げたクラブが残っている。

どのクラブも、勝利をするに相応しい。

フロンターレも、レッズも、ここ5シーズンの積み上げは、目を見張るものがあります。

名将に率いられ、力を蓄えた。

クラブも、タイトルをとれていないのに、我慢して信じ続けた。

レッズやフロンターレが伝統を作るためには、この5年間を基にして、積み上げなければならない。










 11月23日から始まるチャンピオンシップ。

この舞台にふさわしい3つのクラブが揃いました。

野球的な香りがしてしまう、このシステムです。

来年以降は、無くなるので、最後のチャンピオンシップ?!

無くなるといっても、やっと、通常の状態に戻るだけです。

世界の常識からみても、ポストシーズンが無いのが、一般的。

とは言え、せっかくのですので、楽しんでみます。
posted by プロコーチ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月27日

ご冥福をお祈り申し上げます。

 スーパースターが、この世を去りました。

平尾誠二さん。

50代での早すぎる死。

サッカーにも詳しく、その著書の中でも、しばしば登場します。

グラウンドの上でも、現役を退いても、スマートな印象がありました。

私は、ラグビーは詳しくありません。

テレビで観戦する程度。

ようやくルールが分かるかな?くらいの関わりしかありません。

それでも、平尾誠二さんの偉大さは、感じていました。








 私の少年時代、世の中は、ラグビーが熱く盛り上がっていました。

寒い時期になると、テレビでは、ラグビーがしばしば放映されていました。

当時は、サッカーよりも、ラグビーの方が、メジャースポーツだったと記憶しています。

ここ数年、ワールドカップでの日本代表の活躍もあり、また注目されています。

今だと、五郎丸選手でしょうか。

私の世代だと、圧倒的に、平尾誠二さんでしたね。

タックルはもちろん、スクラムや、ラックなど、見るからに痛そう。

相撲取りのような人たちが、体をぶつけ合う競技。

勝手に、思い込んでいました。

でも、神戸製鋼の試合は違いました。

パスがつながり、知識が浅い人間が観戦しても楽しい、神戸製鋼の試合。

その中心にいたのが、平尾誠二さん、その人。

華麗なステップを踏み、相手陣内を切り裂いていくプレー。

30人の中で、誰よりも、キラキラしていました。












 高校、大学、社会人と、あらゆるカテゴリーで全国優勝をし続けた。

そして、チームの中心として、グラウンド上の監督のようにプレーし続けていました。

引退後、指導者の道を歩まれたのは、当然の流れでしょう。

そして、現場の指導に留まらず、多くの発信もされていました。

その内容から、素晴らしい人柄が感じ取れます。

そして、ラグビー関係者だけでなく、種目の違う我々も、大いに学ぶことがあります。

私も、何冊かの書籍を読み、勉強させてもらいました。

その中から、いくつかの言葉を紹介させていただきます。






「パスは借金するみたいなものだ。」

借金を返せないやつは、借金してはならない。

ちゃんと返せるというイメージがないとだめ。

パスを受けた選手が、(前に)抜けるという可能性があれば、パスをすればいい。

パスは一種の投資である。

儲かる見込みがあるから、投資する。

単純にAからBにボールを渡すことがパスの目的ではない。

AからBにボールが渡ることによって、現在より有利な状況を作る。

その行為がパスの本質である。







「メンタルタフネス。」

日本人に足らないもの。

世界のトップと、日本人選手の一番の違いであり、日本人に足らないもの。

ここぞ!という時に、頑張れるか否か。

きつくなると、なんだかんだ言い訳をして逃げてしまっている。

自分探しなどと言って逃げ回らず、困難に立ち向かう意思の強さ。









「コーチの立ち位置」

トレーニング中は、選手の視界に入るか入らないか微妙なところに立つのが、

選手にとって、いい緊張感を生むのではないか?

パス練習の時は、意識して選手の前に立つようにしていた。

腕組みでもしながら見ていると、選手はイヤでもコーチの視線を気にする。

でも、選手の視線は、ボールと、パスの受け手に行っていなくてはならない。

この状況は、ゲームの状況そのままじゃないですか。

ラグビーでは、どんな時も、意識を前に置いてプレーするのが基本。

選手はそれを習慣にしなくてはならない。

パス練習の時、監督が前に立つだけで、この習慣が身につくのです。






「情報収集能力」

試合中、目から入ってくる情報が、圧倒的に多い。

試合中の体の向きを見れば、その選手が優れているかが、すぐ分かる。

近いところしか見ていない選手は、容易に判断を間違える。

逆に、常にグラウンド全体に視野を広げていると、たくさんの情報を持っている。

ですから、瞬時に的確な判断をできる可能性が高くなる。









「情報を集め判断する力」

子供のころから、そういう訓練をしていたかどうかで、ずいぶん違う。

例えば、家族みんなで食べるショートケーキを買うときに、

なるべくバラエティに富んだ組み合わせにしておく。

まず子供に、好きなものを選ばせる。

もし、子供の口には合わないものであっても、「お前が選んだのだから食べなさい。」

すると、次からはもう少し注意するようになる。

それから食べ終わった後に、このケーキが幾らしたという値段の情報を与える。

そうすると、子供なりに「小さくて値が張るケーキはおいしいのではないか」

と予測を立てるようになる。

たかがケーキ選びですが、瞬時に判断しているのは、ラグビーのプレーと同じ。






「イメージ」

イメージをマネージメントし、マネージをイメージする。

イメージとマネージとをつなげる。

ラグビーには、静的なものと動的なものがある。

静的なマネージメントをしておき、それとは別にイメージは試合中に動き回る。

各プレーヤーがイマジネーションの中で、イメージを持つこと。

イメージは、マネージされた時に、加速する。







 経験と、深い洞察力とを積み重ねての、様々な知見。

改めて本を読み返すと、学ぶことばかりです。

まだまだ、日本のスポーツ界全体に、その能力を発揮してもらいたかったです。

平尾誠二さんのご冥福をお祈り申し上げます。



参考文献
型破りのコーチング、PHP新書

人は誰もがリーダーである、PHP新書

勝者のシステム、講談社

イメージとマネージ、集英社

いずれも平尾誠二著
posted by プロコーチ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月20日

空中戦の勝者

 オーストラリア戦で、無類の空中戦の強さを誇った選手がいました。

小林悠選手です。

身長177センチと、特別高いわけではありません。

ちなみに、オーストラリアの選手の平均身長が、183センチ。

最も低い選手が、176センチでした。

つまり、身長だけを比べると、最下層に位置する選手。

それなのに、ことごとく、エアバトルを制した。

そして、ビッグセーブされてしまいましたが、惜しいヘディングシュートもありましたね。








 気になったので、彼の記録を調べてみました。

空中戦は、得意ともいえるし、不得意とも言えるデータが残っています。

今年、2016年シーズン、フロンターレでの試合データによると、、、。

自陣での空中戦での競り合いは、競り負けることが多い。

残念ながら、平均以下の強さ。

例えば、鳥栖の豊田選手や、ジュビロのジェイ選手。

彼らは、身長も高いですし、空中戦の強さを売りにしています。

小林は、動き出しの良さや、技術の高さで勝負している選手。

少なくとも私は、そういった印象でした。








 ところが、データによると、相手陣地に入った途端に、エアバトルを制する。

どれくらい強いか、例を挙げてみます。

横浜マリノスの中澤選手。

空中戦の強さで、のし上がって来たともいえる、センターバックですよね。

ちなみに身長は187センチ。

エアバトルを制し、ボールを跳ね返し続けている選手。

その中澤が、自陣で空中戦を制するのと、

ほぼ等しいくらい、小林選手も空中戦を制し、相手に競り勝っているのです。

10センチも低いのにも関わらずです。









 彼の空中戦の特徴は、落下地点に入らないことです。

矛盾するようですが、落下地点をとらえるのは、とても速いようです。

でも、ボールが落ちてくる場所、落下地点が分かっても、あえて、その真下には入らない。

空中の届くであろうポイントが分かったら、数M離れた場所で待機。

この、あえて、少しだけ離れた位置で待機しているのが、一番のポイントですね。

そこから、助走し、空中のポイント目掛けて、飛んでいきます。

競り合う相手は、ほぼその場からのジャンプ。

小林は、その相手がいても、恐れずに、飛び掛かるかのように、挑みかかります。

数M先から助走して、勢いをつけて、高くジャンプ。

腕の振り上げも、上手ですね。

うまく、全身のばねを、ジャンプ力に変換させています。

垂直飛び VS 走り高跳び、どちらが高く飛べますか?

小林は、常に走り高跳びをしていました。










 彼は、空中戦を制するための、大切な3つの要素を持っています。

・落下地点を見極める目。

・走り高跳びの感覚。

そして、何よりも大切なこと。

・競り合いを恐れない勇気。

自分よりも大きく、分厚い相手に挑みかかるのは、簡単なことではありません。

痛そうだ、ケガをしてしまうかもしれない。

恐怖心を持ってしまうと、空中戦を制することは出来ません。












 エアバトルに自信がない選手は、一度、彼の空中戦を観察してはどうでしょうか?

背が低いことを言い訳にする前に、やるべきことがある。

彼のプレーは、それを教えてくれていますよ。
posted by プロコーチ at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月13日

アルジェリア代表チームの戦い。

 ホームでのイラク戦。

アウェイでのオーストラリア戦。

2試合を戦って、勝ち点4。

ハリルホジッチ監督としては、合格点のはずです。

彼のタスクは、ワールドカップに出場すること。

そして、ベスト16以上に進出すること。

この結果に対しては、誰よりも肝に銘じているでしょう。

競争の厳しい、ヨーロッパで戦い続けたハリルホジッチ監督。

だからこそ、いかにして勝ち点を積み重ねていくのか!に重きをおいている。

言葉の端々から、その価値観は感じられますね。





 一方、監督、彼自身が、求められていないと思っているタスクもあります。

もしかすると、明文化され、契約されているかもしれませんが、、。

日本サッカー界の、将来に向けて、選手を育てていく。

JFAの発信している「JAPAN'S WAY」に則った戦いをすること。

これらは、ファンや、マスコミは、求めています。

「どうして、あの選手を使わないんだ。」

「なぜ、勝利を放棄してまで、守備的な戦い方をするんだ。」

人気があるのは、ニュースターであり、彼らが躍動する攻撃重視な試合。

これは、日本だけでなく、世界的な傾向だと思われます。

ベテランが、老獪に戦い、しぶとく勝ち点を重ねる戦い方も、ある一定の評価もありますけどね。









 ハリルホジッチ監督には、信念を感じられます。

頑固者といっても、良いのかもしれません。

自分が信じる戦いを、やり抜く。

自分がこの世界で生き抜くために、結果を残し続ける。

まさに、プロの指導者と言えるのでしょう。

南野、中島翔哉などを用い、どんどん攻めていけば、一気に人気が高まるでしょう。

イメージは、トルシエ監督時代。

ワールドユースで活躍し、オリンピックで戦った選手たちが、フル代表に起用される。

若い選手たちが、ピッチ上で躍動し、格上の相手に立ち向かう。

でも、ハリルホジッチ監督は、そのようなことを、今はしないでしょうね。

選手を育てることや、日本サッカーの未来を描くのは、彼の仕事ではないですから。













 ホームで勝ち点を稼ぐ。

アウェイでは、負けを回避する。

勝ち点を計算できる、格下相手には、積極的な試合し勝利を目指す。

格上相手には、慎重に戦いながら、最低限の勝ち点を手にする。

そして、リーグ戦が終わった時には、チームの目標を達成させる。

ヨーロッパや、南米の試合を見ていれば、当たり前にありますよね。

何一つ、不思議でもない。

すべての試合で、攻撃的に、勝ち点3を目指す。

常に、自分たちの戦いをする。

そんなチームは、世界のトップ中のトップのみ。

レアルマドリーでさえも、ポゼッションを放棄する。

ブラジル代表も、守備を固めてカウンターが大きな武器になっている。












 それなのに、日本代表は、攻め続けなくては、評価されないのか?

そもそも、ハリルホジッチ監督は、何が得意なのか?

2014年のブラジルワールドカップ。

アルジェリア代表を躍進させました。

あの時の、戦い方は、どうだったでしょうか。

粘り強く、勇敢な選手たちが、戦う好チームでした。

パスを回して、相手の穴を探し、作りながら、ゴール前をこじ開けていく。

日本人が好むような、いわゆる攻撃的な戦い方ではなかったはずです。

鮮明に覚えているのが、決勝トーナメント1回戦での、ドイツ代表との対決。

優勝チームを延長まで追い詰めました。

1対2で敗れはしましたが、まさに死闘。

観るものを、感動させる戦いでしたよね。













 彼らの戦いは、データを見ると、はっきりしています。

アルジェリア代表は、1勝1分け1敗で、見事グループリーグを突破しています。

ところが、グループリーグ3試合を終え、ボールポゼッション率は42.6%に過ぎない。

全32チーム中、なんと30位。

グループリーグを勝ち抜けたチームとしては、USAに続いて、下から2番目。

ボールポゼッションは、されて当たり前のチームでした。

ちなみに、ブラジルワールドカップでは、ある傾向がありました。

ポゼッションタイプのチームの優位性が薄まったのです。

前回、南アフリカ大会では、スペインが優勝を飾りました。

ポゼッションこそが、優れている。

実際に、ポゼッション率の高いチーム、ベスト5は、そのままグループリーグを突破しています。

(ちなみに、アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、オランダの順。)

一方の、ブラジルワールドカップでは、変化が見られました。

ポゼッション率の上位5チームのうち、2チームが、グループリーグで敗退しているのです。

(スペイン、イタリアが敗退。アルゼンチン、ドイツ、チリは勝ち抜けました。)

ポゼッション率下位10チームの内、何チームがグループリーグを勝ち抜けたのか?

2010年大会は、たったの2チーム。

ところが、2014年大会は、アルジェリアを含む、6チームが勝ち抜けているのです。














 イラク戦と、オーストラリア戦を思い出してください。

最後の最後まで諦めずに、戦い続ける姿。

ボールポゼッションを明け渡す代わりに、強固な守備陣形を作る。

今回、オーストラリア戦のボールポゼッション率は、40%を下回りました。

それに、何のデメリットがあるのか?くらいに、監督は思っているでしょうね。

全員が体を張って、スペースを埋め、相手の自由を奪う。

いい形でボールを奪ったら、長い距離をいとわずに走り抜ける。

カウンターで、グサッと一刺し。

スピードに乗った、カウンターアタックはダイナミック。

パスを回す華麗な攻撃よりも、勝ち点を計算しながら戦う。

引き分けにすることで、次につなげる。

まさに、アルジェリア代表の戦いそのもの。

日本代表の監督に、彼を選んで任せている時点で、この状況は予想できたはずです。














 私は、現在の日本の立ち位置からして、妥当な選択だと考えています。

今まで、何度も指摘しましたが、日本は2種類の戦い方を、求められてきました。

一つは、強豪としての立ち位置から、主導権を握り、相手を圧倒する戦い方。

これは、アジアでの戦いでのみ、求められる戦い方です。

もう一つは、格上の相手と、いかにして戦うのか?

相手の良さを消しながら、何とか、勝機を探る戦い方。

この戦い方を、行ったり来たりしながら、チーム力を上げていくのが、今の日本代表の立ち位置。

もちろん、さらに強化していき、常に主導権を握りたいのですが、それは、しばらくは難しいでしょう。

自分たちのやりたいことを前面に出して戦うと、ジーコ、ザッケローニ監督時代のように、悲しい結果が待っている、、。

それならば、アジア予選の今から、準備をしていてもいいでしょう。

アルジェリア代表が見せた、ハリルホジッチ監督の得意な戦い方を成熟させるのは、ありではないか。










 優れた指導者は、選手を動かすことが出来ます。

モウリーニョ監督、オシム監督、サンパオリ監督。

彼らは、選手を走らせていました。

走ることを選手たちも、自ら選んでいるかのように見えます。

今回の、本田、香川、清武、原口、小林。

彼らも、チームのために走っていました。

様々な批判の声は聞こえてきますが、選手が走っているのが、何よりの証拠。

チームは、壊れていません。

それどころか、ハリルホジッチ監督の求めるように、チームが変わって来ています。

何とか、成績も出しながら、このまま、本大会を迎えてほしい。

その時の日本代表には、期待してもいいはずですよ。
posted by プロコーチ at 02:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月06日

河川敷のグラウンドはどうですか?

U16日本代表が、アジアの予選を勝ち抜けました。

来年開かれる、U17ワールドカップに出場です。

この年代にとって、国際的な経験を繰り返すことは、何よりも重要。

しかも、ワールドカップという真剣舞台を踏めるかどうか。

このことは、彼らだけでなく、日本フットボール界全体の将来にとっても重要です。








 このチームを率いるのは、森山佳郎監督。

貴重な、育成のスペシャリストです。

特に、Jクラブにおいては、育成のスペシャリストと呼べるコーチは貴重です。

数年のサイクルで、コーチが変わってしまう。

育成のコーチを、通過点、ステップアップのための踏み台程度にとらえている!

そう言われても仕方がないのではないでしょうか。

高体連の名門校には、名将と呼ばれる監督さんがいますよね。

何十年もその世代を見続けている名物先生です。

その経験、生徒の人間を育てる情熱、生徒の心まで目を配る指導力。

その力は、代えがたい宝と言えます。

まさに、育成のスペシャリストです。












 森山監督は、その系譜を受け継ぐ、育成の最前線で戦い続けているコーチなのです。

だからこそ、選手に何を伝え、何を伝えないのか。

どのような振る舞いが、選手に影響を与えるのかを分かっている。

そして、その世代の子供たちにとって、何が必要か?

何が出来ていて、何が足りないのかも、身をもって知り尽くしている。

広島ユースでは、何人もの選手を育てていますよね。

柏木、高萩、槙野、森脇、野津田、等々。

「気持ちには引力がある。」

森山監督の名言です。

言葉の力も持っておられるのですね。









 彼は、子供達が、どこでつまづいてしまいそうなのか?

前もって、計算していたでしょうね。

だから、今大会の前に、開催地であるインドに遠征を行っています。

見たことのない環境に、選手たちが戸惑わないように。

トルシエ監督時代にも、同じことがありました。

アフリカ遠征で、ありえない体験をさせた。

その体験が、ワールドユースの躍進の力の一端になっているでしょう。

世代のエリートですから、対応能力も高いはず。

一度知っていると、さらに、その適応も上手く行きますよ。

今回、宿舎の環境が悪いことも分かっていた。

ピッチが悪いことも分かっていた。

天候が変わりやすいことも分かっていた。

もし、そのことを知らなければ、ベスト8の壁を突破することも出来なかったかも知れません。









 アジアでの戦い。

私がいつも気になっていることがあります。

大会が開催されるたびに、

「ピッチコンディションが悪く、コントロールが難しい」

「パスが走らず、自分たちの力を発揮することが出来なかった。」

定型文でもあるかのように、選手が口にします。

現在のA代表の中心である北京オリンピック世代。

西川、吉田、長友、森重、香川、本田、岡崎が、この世代ですね。

期待された彼らも、ピッチコンディションに苦しめられ、グループリーグ3連敗。

日本のスタイルを考えれば、きれいなピッチで試合をした方が、力を発揮しやすいのでしょう。











 でも、日本のように、短く、カーペットのように、きれいに揃った芝ばかりではありません。

見た目はきれいでも、下の土が粘着質で重たい。

または、ぼこぼこして、フラットではない。

芝が長く、あまり水をまいていないので、パスが走らない。

草なのか、芝なのか?

そんなピッチすらあります。

対戦相手も同じ芝の上で、同じ条件で戦うのですから、本来言い訳にはならないはずなのに。

子供のころから、人工芝のフラットなピッチで育っていると、ひ弱になるのでしょうかね。

対応能力の欠如?








 それならば、いっそのこと、河川敷のグラウンドでトレーニングをすればどうでしょうか。

「広島ユースを指導していた時は、わざと週に2回、土のピッチで練習していた」

と森山監督は話していたことがあります。

河川敷のピッチは土と草と、石とが混ざったような、最悪なコンデション。

雨が降ると、さらに、コンディション不良はひどくなります。

ピッチのサイズも、正規の105×68も無いかもしれない。

もちろん、更衣室などありませんよね。

そのような環境で、トレーニングやトレーニングマッチを重ねれば、いい経験を積めますよ。

たくましく、図太い選手が育ちそうです。

わざわざ整った環境で合宿しなくても、世界に近いのは、河川敷なのかもしれない。
posted by プロコーチ at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする