2016年08月28日

40年以上前から、地域の人と共に。


 ブラジルでは、総合型スポーツクラブが多数あります。

地域に密着して、人々がスポーツと共に生きている。

私が研修中のクルゼイロも、sede campestreという名の総合型スポーツクラブを保有しています。

多くのフットボールクラブが、総合型のスポーツクラブを持っているようです。

日本では、標榜しながらも、未だ数少ないのが現状です。

あまり、イメージが浮かばないのかもしれません。











 例を挙げます。

家族が揃って、スポーツクラブにお出かけします。

施設のゲートをくぐるのは、家族一緒。

でもそこからは、別々に行動出来るのです。

お父さんと息子はグラウンドに向かいます。

お父さんは、仲間たちと試合をし、息子はサッカースクールに。

お母さんはフィットネスやプールに、お姉ちゃんはバレーボールやペタンクのコートへ。

もし、小さい子供がいれば、施設内にある託児所に預けることも可能です。

もちろん、一緒に過ごすための設備も整っています。

グラウンドのピッチの周辺や、プールの脇には、バールが併設されています。

そこで、軽食を取りながら、応援するのです。

試合を終えたお父さんが、仲間たちと一杯する姿もあるでしょうね。

シャワーを浴びて、更衣室で着替えて、家族で帰っていきます。











 今回は、ここを見学させてもらいました。

施設が完成して、46年経っているので、ピカピカ!というわけではありません。

ですが、多くのスタッフが、清掃、メンテナスを常にし続けています。

私が訪れた今回も、多くの場所で清掃が行われていました。

そして、バレーボールのラインを、ペンキを用いて引き直している最中でした。

丁寧に使っているためなのか、施設全体から、柔らかい愛情のようなものを感じるくらいです。

保有する施設、フットボールグラウンド2面、フットサルコート2面、屋内フットサルコート2面。

体育館、屋外バレーボールコート10面以上。

プール4か所(ウォータースライダー付き)、ペタンクコート8面、

会議室に多目的ホール、託児所にレストランに、バール(軽食、飲み物、お酒)。

入り口には、ガードマンが常駐し、会員カードをスキャンしなければ、通れないゲートが不審者を排除します。

入ってしまえば、スポーツの楽園が、そこにあるのです。










 入会金が3000ヘアイス。

日本円で90000円と高価ですね。

90000円払えば、家族全員が入会したことになります。

入ってしまえば、相当安価です。

月会費130ヘアイス、つまり4000円。

さらに、家族会員10ヘアイス(一人あたり)。

一人追加するごとに、たったの300円です。

平日7時から22時、休日7時から20時。

1回あたりの使用料は、もちろん無料。

現在の会員数は、5000人。

5000の家族が、豊かなスポーツライフを送っているのです。

今回も、子供を連れた家族、現役をリタイアしたであろう老夫婦にカップル。

ありとあらゆる層が、笑顔でスポーツをエンジョイしていました。













 我々日本では、学校体育の恩恵を受けて、成長してきました。

国が、日本国内の隅々にまで、学校を作ってくれました。

おかげで、識字率は高く、教育は行き届いています。

そして、地域の学校には、運動するための施設がたくさんあります。

ただ、学校を卒業すれば、その施設を使う機会が極端に減ってしまいます。

つまり運動イコール体育であり、学校でした。

最近は、施設開放事業が進んできています。

改めて、その恩恵を受けれる機会も増えてきたのではないでしょうか。










 でも、それは、まだまだ、個人のレベル。

ブラジル・クルゼイロでは違いました。

同じことを、ドイツのケルンででも、感じました。

2006年のワールドカップで訪れた時です。

やはり、家族とスポーツと地域とがが、リンクされている。

日本の我々は、家族と共に、スポーツを通じて時間を共有する習慣が広まっていない。

これが現状ではないでしょうか。

特に、都市部においては、地域との関わりが薄くはないでしょうか。

学校での運動会や文化祭の練習、子供たちの歓声に対して、クレームをつける住民。

保育園ができるといっては、反対運動が起きる。

マンションは建っても、公園の一つも作らない。












 この地域に根差した総合型のスポーツクラブでは、日本にあるものがありません。

それは、卒業であり、引退であり、補欠です。

卒業したら、プレーする環境を失ってしまう。

年齢が来れば、引退する。

プレーできる限られた年齢にもかかわらず、補欠のためにプレーができない。

フットボール、スポーツは、本来、人生を豊かにしてくれるものです。

限られた人間のみが、プレーすることを許されている状況。

もっともっと、裾野を広げることはできるはずです。

少しずつ、良い方向に変化しているとは思いますが、まだまだ。

40数年前から、その道を歩み、そして今もなお歩み続けている国があります。

正直、うらやましさを感じました。

ブラジル人は、我々日本人に語りかけます。

「日本という国は素晴らしい国だ、ブラジルは問題が多すぎる。」

社会システムの安定性や、経済の発展と継続、治安の良さ、教育水準の高さ、伝統的な日本。

我々が世界に誇るものは、たくさんあります。

その一つに、スポーツの豊かさを加えたい。

心から感じる、今回の視察でした。


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2016年08月21日

対ブラジル戦!

 試合を分かっている。

フットボールそのものを理解している。

本当に、うらやましい。









 留学中のクラブが、歓迎するために、試合を組んでくれました。

対戦相手は、近隣の社会人チームです。

動きもスピーディーで、パワーもある、なかなか強そうなチーム。

審判も呼んで、本格的な試合です。

我々は、スタッフでチームを組みました。

名門クラブですので、元プロ選手のコーチや、南米を制した元選手などがゴロゴロ。

でも、ガードマンや、清掃スタッフなどの、普通のおじさんも混じっています。

どんな試合になるのか、楽しみでした。









 試合が始まると、南米らしい駆け引きが、随所で繰り広げられます。

ボールのある局面では、足技でのフェイントだけではありません。

目を使ったフェイント、体の向きを使ったフェイント、体を揺らすフェイント。

相手との距離も近いのですが、簡単には奪われません。

間合いを、完全に分かっているのでしょう。

まるで、猫が、ぼーっとしているようでも、簡単に捕まえられないかのように。

本能の中に、自分の間合いをインプットして組み込んでいる。

JFAは、常にボールを動かそう!と言い続けていますね。

もちろん、ボールを動かすプレーは、有効です。

でも、ボールを止めて、相手の足を止めてしまう駆け引きも、面白いですよね。

「ほら、取りに来いよ!」と言わんばかりの堂々とした姿は、貫禄ものです。













 腹が出て、動けないようなおじさん。

でも、ここぞ!、もしくは、やばい!その瞬間には、猛然とダッシュ。

ここぞ、を読み取る力は、どこからくるのでしょうか。

長年プレーし続けているからなのでしょうか。

お互いに、自分のしたいプレー、仲間にして欲しいプレーを求め続けているからでしょうか。

どちらにせよ、必要な瞬間に、必要な場所を嗅ぎ分ける嗅覚のようなもの。

それを、本当に多くの選手が持ち合わせているのを、肌で感じました。

ピッチの中で、迷子になっている選手。

状況を、自分の都合のいい方向に捻じ曲げて理解している選手。

そのような選手は、皆無と言っていいですね。












 私は、センターバックとして出場。

隣の選手は、元プロ選手。

それどころか、1997年にリベルタドーレスを制して南米一になった時のセンターバック。

クルゼイロのレジェンドの一人でした。

今は、46歳?で、U20のコーチとして、選手を育てる立場に回っています。

レジェンドがどのようなプレーをするのか、興味津々。

相手の攻撃を見ながらも、じっかりと観察していました。













 まず、DFラインが深い。

その理由は、スピード。

現役に比べて、衰えてしまったようで、スプリントに自信が無いからだと推察されます。

そして何よりも、動きがゆっくりでした。

ただし、相手の動き、ボールの周囲の状況から、先に、少しだけポジションを修正します。

スッと、先読みして、相手FWが動くであろう場所に入ってしまうのです。

スピードに乗ろうとしても乗れず、マークを外そうとしても外せない、相手FW。

10歳以上若く、走力もあったのですが、自由に仕事をさせてもらえない。

相手が無理やりボールを入れてきても、簡単に弾き返してしまう。

泰然自若と言いますが、落ち着き払ってプレーをしています。

彼のランニングスピードは遅いのですが、遅さを感じさせない。

残念ながら、途中で、腿裏の違和感を感じたらしく、交代してしまいました。

この数十分間は、私にとって、コーチとしても選手としても、貴重な経験の場になりました。

あの落ち着きを出せる日が、来るのでしょうか。














 私は、いつものように、戦い、つぶし続けました。

日本基準ではなく、ブラジル基準の当たり、腕の使い方で、強く激しくプレッシャー。

最初11番の相手FWが、私に対して勝負を仕掛け続けてきました。

私の目の前に入り、「パスをくれ」と味方に要求。

私がいいポジションを取ると、パスが入らない。

11番は、パスが出て来なければ、「なんで出さない!?」大騒ぎです。

はっきり言うと、なめられていたのでしょうね。

体のちっぽけな東洋人ごとき、余裕でやっつけられる。

そう思っていたのでしょう。

ボールが入っても、バチコーン、ガシッ!足や体ごと、ボールにアタック。

ぐいん、と外されもしましたが、何とか対応。

繰り返し繰り返し、戦い続けました。

イライラし始めた11番は、最終的に私の目の前から消えて、低い位置やサイドに流れてプレー。

完全に、今回の対決では、喧嘩に勝利です。











 そして、裏へのカバーリング。

特に、レジェンドが抜けてからは、自分がやりやすいように、DFラインを高くしました。

その時に、周りの選手が、私を助けてくれます。

バイタルへ当たりに行こうとすると、ボランチの選手が、すっと下がり目に入り、カバーの準備をしてくれます。

裏にカバーリングに行きボールを奪うと、素早く、隣のセンターバックがパスを受けれる位置に入ってます。

そして誰もが、マークの責任についての声を出すと、すかさず反応してくれます。

まるで、何年も一緒に試合をしている仲間であるかのように、錯覚します。

フットボールの理解が深いと、こんなにもスムーズにプレーが出来るのか!

地味な部分かもしれませんが、感心してしまいました。














 試合は、0対0の引き分け。

ただの親善試合なのですが、熱い戦いでした。

上手く、攻撃が出来ない相手チーム。

「ここに出せよ!」「スペース空けただろ、入って来いよ!」

「いや、そんなところに出しても、チャンスにならないだろ!」

激しく言い合いをしながら、お互いに改善を図ります。

傍から見ると、ケンカをしているかのようにも見えるほど、感情をぶつけ合っています。

日本で、ここまで自分の意見を出そうとすることは、あまり目にしません。

自分の意見を押し殺してまでも、気を使い合っているからでしょうね。

日本・ブラジル、どちらのコミュニケーションがいいかは、分かりません。

フットボールというスポーツにおいては、ブラジル人のやり方のほうが、適しているように思います。











 試合終了後、お互いに握手で健闘たたえ合います。

この瞬間は、私が好きな時間です。

削り、ぶつかり合った相手、強い口調で言い合った仲間。

それら全てが、ここでリセットされる。

それどころか、さらに親密度が増していきます。

一度仲間としてボールを蹴れば、心を許しあうような感覚さえ、持ってくれる。

ロッカールームで着替えていると、

「いい守備だった」「今日のベストDFだ」と高い評価。

(まあ、お世辞が多分に含まれているので、話半分に受け取ります。)

お世辞だと分かっていても、フットボールを深く理解しているプロのコーチやスタッフから褒められると、嬉しいですね。

さらに、翌日。

食堂に行くと、一緒にボールを蹴った仲間たちが、昨日よりも親し気に話しかけてくれます。

仲間として認めてくれたのでしょうね。

伝説のセンターバックからも、「お前はつぶしも、カバーリングも素早くて良かったぞ。」

ランチを食べながら、高い評価を。

今まで、頑張っていた成果が、現れたのかもしれません。








 ブラジル人から学ぶことは、まだまだ、我々にはたくさんあります。

その一方で、日本で積み重ねていることは、無駄ではないことも、分かりました。

自信を持って、戦い続けること。

これからも、続けていきたい!そう誓った試合でした。
posted by プロコーチ at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月17日

ブラジル全国選手権2016

 「ゴーール!」

わがチームが得点を決めると、立ち上がり、抱き合って、喜び合う。

大きな声で叫び、飛び跳ね、スタジアム中が興奮に包まれます。

選手も、サポーターの声を体中で感じ取り、喜びを共有しています。

逆に、点を奪われると、人っ子一人いないかのように、静まり返る。

スタジアムが静寂に。

感情を素直に表現しています。

喜びを爆発させ、悲しみに打ちひしがれ、ミスジャッジへの怒りをぶつける。

指導者研修、選手の引率でブラジルのクラブに滞在中、試合観戦をさせてもらいました。

ブラジル全国選手権ブラジレイロンの1部リーグの試合です。










 プレーしている選手は、気持ち良いでしょうね。

自分のプレーで、何万人ものサポーターを興奮させる。

幸せな気持ちにさせる。

得点で喜ばせるだけが、プレーヤーではありません。

気の利いたカバーリングに、激しいスライディングタックル。

守備の好プレーでも、スタンドから拍手や口笛が広がります。

これは、守る甲斐がありますね。

攻守すべてにおいて、サポーターを喜ばせることができるのですから。

まるで、ピッチの中と、周りとで、会話をしながら試合を進めているかのようです。












 ブラジルのスタジアムは、危険だと言われます。

私の今回訪れたスタジアムも、あまり治安のよろしくない地域だそうです。

行く前に、クラブのスタッフから注意がありました。

「カバンは置いていけ、必要なものだけをポケットに入れるように。」

「シューズの紐を結ぶように、かかとを踏まれて、走れなくなるぞ。」

(自分達が試合に出るわけではないのですが、とっさに動けないと困る事態を想定してくれたのでしょう。)

かなり入念なボディチェックをされました。

国際試合レベルの、ボディチェックでした。

おかげで、スタジアムに入ると、安全な空間でした。

よちよち歩く小さい子供を、連れて来ているお父さん。

何十年も見守り続けているであろう、おじいさんと、おばあさんが仲良さそうに。

若い女性がサポーター集団に混ざって、盛り上がっていました。












 フットボールを通じて、その国を深く知ることができる。

私は、そう信じています。

ピッチの中で起こることもそうですし、ピッチの周りでもそうです。

その国の人々が何を考え、何に価値を持って暮らしているのか。

ですから、ブラジルと日本とを比べてどうこう、と言いたいわけではありません。

彼らには、彼らの考えや価値観がある。











 ただし、我々は、まだまだ彼らに学ぶことがたくさんあるのも、事実です。

プレーでは、地味ながらも、ハイレベルな駆け引きが多数繰り広げられていました。

例えば、浮き球を、攻撃側の選手が、ワンタッチでプレーしようとしている。

対応する相手DFはむやみに飛び込まない、だけではありません。

頭脳を高速回転させて、数秒後の予測をしていました。

ボールの飛んできた方向、体の向き、DFの位置などから、ボールをさばくであろう方向を予測。

サッと、先に動いて、インターセプトしようとするのです。

さすがの彼らも、浮き球なので、プレーが予測しやすいのでしょうね。

何度も、この方法で、ボールをインターセプトする賢い守りをする選手たち。





 ところが、さらにその上を行く選手もいます。

相手DFが先に動いたのを見る。

もしくは、そっちに出すよ、的な空気を出して、相手DFを動かす。

それを見極めて、さらに違う場所にボールをコントロール。

良く、ギリギリまで見て、判断して、実行と言います。

南米、ブラジルの選手は、局面において、相手の選手を見るのが得意ですね。

大局を見れない選手も、少なからずいます。

でも、局面で、目の前の相手選手を見れない選手はいないと思います。

このような、攻守の局面での駆け引きが、あらゆる場所で繰り返される。

地味ですが、ブラジルらしい、光景でした。












 見せかけの、大げさな技を出す選手は、ピッチ上にいません。

技術を技術をと声高に叫び、サーカスのようなボール扱いを求める。

そのような技術よりも、もっと大切なものがあるのではないでしょうか。

体や、腕を使ってボールを相手から遠ざけるプレー。

相手の状態が悪いと見るや、一気に襲い掛かるようにボールを奪いに行くプレー。

ボールを奪われたら、どこまでも、奪い返しに行くプレー。

味方のシュートコースを作るために、ブロックで相手を抑えるプレー。

地面のボールも、空中のボールも、シュートやパスの選択肢を増やすために、様々な回転をかける。

これらのプレーは、是非、日本の育成年代の選手にも身につけさせたい。

知っているかどうか、アイデアにあるかどうかで、選手のプレーの幅も違うことでしょう。










 今回の観戦では、心が揺さぶられました。

それは、指導者としてだけではなく、一人の人間としてもです。

今後の進む道での、きっかけになるかもしれない時間でした。
 
posted by プロコーチ at 05:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月12日

追いつくためのヒントを求めて

 リオオリンピックに挑戦した、U-23日本代表。

アジア最終予選の、粘り強い戦いで、期待が高まっていました。

ロンドンオリンピックのベスト4を超える結果を!

ブラジルでも、躍進が期待されていました。

ところが、残念な結果になってしまいました。








 育成の最終段階といえる、この年代。

プロのトップレベルで戦って当たり前の年代。

その二つの顔を持っているのが、彼らではないでしょうか。

対戦相手を見ても、両方の顔を持っていましたね。

すごい!プレー!、これは世界のトップでも通用するのでは?!

と思ったその次には、つまらないミスをしてしまう。

まだまだ、甘さが抜けていないとも言えます。









その甘さが、大きく目立ってしまったのが、初戦、2戦目だった。

明らかにコンディション不良の対戦相手。

後半、20分を過ぎてから勝負に出るべきでは?

ボールをちんたら回しながら、守備を固めながら、相手を走らせる。

後半になって、足が止まってきてから、仕留めにかかる。

そんなゲームプランは、誰もが思い浮かんだはず。

他にも、前半、最少失点差で乗り切ろう。

ゲームプランを変更させて、悪い流れを断ち切る。

そのような、大人の試合運びが見たかった。

そして何よりも、ボールを奪いきる。

ファールをしてでも、相手にぶつかりながら、ボールを奪い返す。

足先での技術でなく、体を使いながら、ボールを守る。

腕や体の使い方、ボールの置き所。

ナイジェリアや、コロンビアの選手は、当たり前のようにしてましたね。









 今日から、3週間ブラジルに行ってきます。

コーチの研修です。

そして、中学生を二人、連れていきます。

育成年代のブラジル代表を多数抱える、トップクラスのクラブに滞在します。

世界レベルの育成の現場では、何が行われているのか?

日本の子供は、何が通用して、何が足りていないのか?

この目で、しっかりと確かめてきたいと思います。


posted by プロコーチ at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月01日

スタートの違い

 「日本人は規律正しい」

 「日本の子供は、規律正しい」

外国のコーチと仕事をすると、必ずといっていいほど、このように言われます。

ところが、試合においては、戦術的行動を取れない。

ピッチにおける約束事を守れない。

相手選手に囲まれても、ドリブルをして奪われる。

ゴールから遠い位置でも、近い位置でもプレーが変わらない。

規律正しいはずなのですが、規律を守れていない。








 おそらく我々は、儒教の教えが、生活に根付いている。

昔に比べると、薄れてきているでしょう。

人生の先輩方には、「近頃の若い者は!」とお叱りを受けていても。

まだまだ。

年長者を立てる、親を大切にする、先生の話を聞く。

当たり前のように、子供が小さいころから、教えられていることでしょう。

ですから、サッと集合し、コーチの話を聞いている。

この姿を見れば、規律正しい選手たちだと、思われるでしょうね。










 一方、個人の権利を最大限に主張する人々も、世の中には多数います。

個人が、自分の考えを強く持ち、自分の権利を主張する。

空気を読んでいては、自分の権利をそこねてしまう。

そうならないように、自分の考えを持ち、相手に伝えていく。

これは、フランスに訪れたとき、何度も感じました。

集団の利益よりも、まずは自分の利益。

自分の権利を脅かされないように、自分の権利を主張する。

スタジアムに向かう混雑、長距離移動の電車、満員のレストラン。

特殊な状況になっても、それは変わるようには感じられませんでした。









 先日、私のスクールにヨーロッパ生まれの選手が参加しました。

相手ボールになれば、常に、ボールを奪いにいく。

コースを切って、次に奪わせることはありません。

常に、狩人のように、ボールを狙っていました。

攻撃になれば、とにかく前進。

引っかかろうが、止められようが、とにかく前進。

ゴールに向かって突き進みます。

このような選手に、問いかける必要はなさそうです。

「サッカーの目的はなんですか?攻撃の目的はなんですか?」

常に、常にゴールに向かい、ボールを奪おうとしているからです。










 日本の選手は、こうはいきません。

横パスに逃げる、なんとなくドリブルをする。

守備になると、相手の前に立って、コースを切って、おしまい。

そのような選手には、常に発し続けなくてはならない。

「ゴール見てた!?今、前に行けたよね!?」

「もう少し寄せれなかった?」

空気を読みすぎる我々。

儒教の教えが、マイナスに働いてしまっているのでしょうか?

典型的な日本人に対しては、もっと、自分の権利を強く主張しても、いいのかもしれません。








 ヨーロッパからの受講生。

ボールタッチは固く、動きも滑らかではありません。

日本人が考える「うまい」選手ではないでしょう。

でも、間違いなく「怖い」選手でした。

彼に指導するなら、ポゼッションや、攻撃の優先順位を身につけさせたいですね。

そうなれば、怖さと賢さとを併せ持った、いいアタッカーになってくれるでしょう。










 もちろん、日本人の中にも、ボールを奪える、ゴールに向かえる選手もいます。

そして、その逆も。

スタートの違いを見ることで、指導のアプローチを変えていきたい。
posted by プロコーチ at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月24日

試してみました。

 何度もお伝えしている、ユーロ2016。

今回の大会の特徴として、リアクション型チームの台頭が挙げられます。

優勝したポルトガルを始め、ウェールズ、アイスランドの躍進、イタリアの意地。

これら全て、リアクション型。

堅い守備から、カウンターアタックを武器としたチーム。

元々、このような戦いをしたいわけではないのかもしれない。

自分たちのチーム力と、対戦相手とのチーム力とを比べる。

結論が導き出されたのでしょう。

「自分たちがボールを持ちながら、試合を進めていくことは出来ない。」









 そのように守備を固めるために、どのような方法を選ぶのか?

モウリーニョ監督がインテルでチャンピオンズリーグを掴んだ、あの方法。

ゴール前に2台バスを停めた!と例えられました。

低い位置にフラットなDFラインを、4人で形成。

その前に、同じく4人でMFラインを引く。

8人で、ゴール前のスペースを圧縮させ、相手の侵入を許さない。

その系譜は、アイスランドや、アルバニアに受け継がれています。









 今回特徴的だったのは、ウェールズやイタリアに見られた方法です。

3人のセンターバックで、中央を固める。

さらに、両サイドのウイングバックを最終ラインに落として、5バックに。

その5人の前に、中盤のセンターの選手が門番のように待ち構える。

7人、8人で低い位置にブロックを形成します。

攻撃は、ある程度割り切って、守備を優先しています。

中央も、サイドも、バイタルエリアも、スペースを先に埋めてしまう。

さらには、前線の3人も、最終ライン近くまで守備に戻ることをいとわない。

相手のサイドバックがオーバーラップを仕掛けてきた時などは、躊躇なく後ろまで下がります。

ここまで、スペースを埋められて、人数を掛けられると、簡単には崩せませんよね。

そしてボールを奪ったら、前線の3人を起点に、カウンターアタック!

カウンターアタックがはまらなくても、何とかロースコアの展開に持ち込み、チャンスをうかがうのです。











 先日、帰国後すぐに、社会人リーグの公式戦がありました。

対戦相手は、リーグの強豪として名高い、何度も1部で優勝を重ねているチームです。

私は、仲間たちに、3バックの導入を提案しました。

「ボールを持てるチーム、パスをつないでくるチームには有効だ!」

仲間たちは、突然の提案でしたが、納得し、取り組んでくれました。

15年以上、4バックで戦っている我々です。

さて、どうなるのでしょうか?

学生時代には3バック全盛時代でしたので、自分自身馴染みありました。

長所も、短所も、身に染みてわかっています。

そして、何より、3バックの成功例を見てきたばかりですので、自信はありました。








 3バックの欠点と言われるのは、3センターバックの両脇のスペース。

ここをどのように、管理するのか?

そして、ウイングバックの選手に、どの高さでプレーさせるのか?

この2つが、試合を進めていく上での、大きなポイント。

・ビルドアップの能力が高いかどうか。

・ウイングバックの体力はどこまであるのか。

この条件を当てはめていくと、ウイングバックの高さが調節できます。

我々が選んだのは、こうです。

ボールサイドのウイングバックは、相手のサイドハーフにプレッシャーをかける。

逆サイドのウイングバックは、ストッパーの位置までは下がらない。

出来るだけ5バックにならずに、3バックで対応する。

では、3バックの両脇のスペースは、誰が管理するのか?

ボールサイドは、スイーパーに入る選手(私)が、全部カバーに行く。

ウイングバックの背後も、ストッパーの背後も、全部スイーパーがカバーします。

逆サイドのスペースは、ウイングバックが対応。

でも、そこは、ボールが入って、初めて落ちるように。








 対戦相手は、本当に強かったです。

ボールは動かせる。

一人一人が、判断しながら、ポジションを取りながら、攻撃を進めていく。

中央も、サイドも、広く使いながら、丁寧に組み立ててきます。

こちらの薄い場所を見つけ出し、フリーランニング、そしてパス。

唯一、ドリブルで仕掛けてくる選手が少なかったのが、欠点でしょうか。

チャンピオンチームにふさわしい、堂々たる試合を展開していきました。













 でも、これら全て、織り込み済みです。

粘り強く、対応。

普段よりも、多く声を掛け合いながら、組織を作りました。

マークの受け渡しや、ポジショニングを確認をこまめに。

そして最後は、体を張って、相手の侵入を許さない。

対戦相手も、中に入ってこれなくなりました。

少し力任せに、サイドからクロスを入れて、合わせる回数が増えてきました。

でも、単純にクロスを入れてくるだけではありません。

ファーサイドまでクロスを入れて、折り返して、走り込んできます。

我々のマークをずらしたいのでしょうね。

暑い中で、熱い試合が続きました。

ロースコアの展開。








 結果は、見事2対1で勝利!!

今まで、勝ったことがない相手でしたが、狙いがズバリ。

ロースコアの展開に持ち込み、カウンター2発で逆転勝利。

最後まで、全員が体を張って、ボールを奪い、ゴールを守りました。

時間の経過と共に、イライラする対戦相手。

こんなはずではなかった?!

我々にとっては、当初のプラン通り。

美しい試合ではないかもしれませんが、気持ちの入った試合だったのではないでしょうか。

まるで、私が観戦してきた、ウェールズ対ベルギーのような熱戦。

3バックが機能し、相手の自由を奪い続けたのです。

我々のチームに、1つオプションが増えたかもしれません。
posted by プロコーチ at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月16日

ユーロ視察の雑感

 ユーロ2016、ポルトガルの優勝で幕を閉じました。

私は、決勝の結果予想は、見事に外してしまいました。

ピッチサイドに下がっても、選手と共に戦ったクリスティアーノロナウド。

彼の気持ちを引き継いだペペは、MVPの活躍を見せました。

やはり彼らの活躍が、ポルトガル優勝の鍵でしたね。










 今回のユーロは、集団の力が目立った大会でした。

イングランド、ベルギー、スペイン。

タレントの力なら、決勝に進んでもおかしくなかったかもしれません。

個の力の集積だけでは、勝ち上がれない。

そこに規律を植え付けても、結果は変わらない。

一つのクラブチームレベルの集団行動ができたチームが勝ち上がっていく。

そのことが、はっきりと現れた大会だった言えます。

ポルトガルの優勝、アイスランド、ウェールズの躍進、イタリアの踏ん張り。

しっかりと証明してくれた国々です。







 そうは言うものの、クラブチーム並みの連携、戦術的行動を求めるのは簡単ではありません。

そこで、近年重用されているアイデアが、国内クラブをそのまま移植する方法です。

この流れは、2010南アフリカ、2014ブラジルワールドカップと同じですね。

バイエルンミュンヘンを中心とした、ドイツ。

タレントの力に規律を植え付けて優勝を目指したブラジルを、打ち破りました。

クラブチームのようになるために、国内強豪クラブを移植してくる。

さらには、スペイン。

バルサの攻撃+レアルの守備。

それがスペインが世界を制していた力の源でした。

今回のスペインは、中盤よりも後ろは良かったのですが、前線が、、、。

その理由は、簡単ですね。

レアルの攻撃もバルサの攻撃もスペイン人はごくわずか。

ポルトガル、ウェールズ、フランス、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの彼らが、点を取っています。

スペイン代表が点を取れない理由は、クラブの現況を見れば、明らかです。









 今回、イギリスが、ユーロを離脱しました。

遠く離れたアジアにいると、想像力をもって、ユーロ離脱を考えていなかったかもしれません。

同じヨーロッパなんだから、仲良くすればいいのに。

その程度の認識でした。

実際に、フランスに行くと、そのような考えは吹き飛びました。

私は、フランスに行くのは今回で3回目。

ますます、多様な民族がフランス人?として生活していました。

そこに、ヨーロッパ中の人々、我々アジア人がフランスを訪問。

なんとも、多様性に富んだ景色。

考え方も違えば、見た目も、話す言葉も違う。

一つにまとまることは、奇跡です。










 そのように、多様性に富んだ社会で生きていくためには、何が必要か?

個人として、己を確かに持つこと。

自分の頭で考え、その考えを自らの意見として伝えること。

その意見をぶつけ合いながらも、なんとか良い方向に進めていく調整能力も必要でしょうか。

空気読んでよ〜、言わなくても分かるでしょ。

腹芸は、通用しませんね。

フランスを移動しながら、価値観の違いを味わっていました。

可愛い子には旅をさせよと言いますが、その理由が分かります。










 テロを恐れて?か、今回日本人の姿が、本当に少なかったです。

アジア人は、中国系の方ばかり。

日本人がここまで少ないとは!少し寂しい気持ちになりました。

世界トップクラスの戦いを、自分の目で確認して良かった。

このスピード感、犠牲心、集団行動などは、テレビにどこまで映っているのか?

守備から攻撃に入った時の、なんともダイナミックなスピード。

攻撃から守備に切り替わった瞬間の、プレッシャー+中央への絞りが速い。

両方の切り替わりのスピードは、本当に速い。


そして、ゴチャゴチャとも言える多様性が進んだ社会で生きている人々。

彼らが、目的のために一つにまとまる姿。

まとまらずに、崩壊していく組織。

成功した姿も、失敗した姿も、勉強になりました。

この体験が、私の血となり肉となってくれることでしょう









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2016年07月10日

勝ち方を知っているか

 いよいよ、ユーロも決勝戦。

ポルトガルが、ようやく悲願のビッグタイトルを手にするか?

それとも、フランスが開催国の威信にかけて、アンリドローネ杯を奪還するか・

熱い大会の最後を飾るにふさわしい戦いを見たいです。









 ポルトガルは、とてもまとまった、良いグループです。

守備に対して、全員が価値を持っている。

ボール扱いの天才たちが、必死に走っています。

試合中は、ほとんど見せてくれません。

びっくりするほどの、ボールハンドリングの能力。

ちょっとした遊びを、アップやハーフタイムで見せてくれます。

ボールが好きなんだろうな〜、その思いがスタンドまで伝わってきます。









 でも、彼らは、その思いを封印しています。

相手から奪って、ボールを持ったら、まず、最前線を見る。

主にクリスティアーノロナウドめがけて、ロングボールを入れてきます。

ボールが収まらなければ、そのまま守備の隊形に。

ボールが収まれば、初めてサポートしながら、攻撃にかかわってくる。

弱者の戦いとも言える、面白くないプレーを、求められているようです。

本当は、もっとボールに触りながら、試合を進めたいはずなのに。

その気持ちを封印して、チームの勝利のために!犠牲心をもって走り続けています。

ちなみに、ボール大好きの気持ちを封印できずに敗れ去ったチームもありました。

それは、ベルギーです。

ベスト8に残ったチームの中で、ボールを扱う能力はNO,1だったかもしれない。

でも、勝ち上がれないのは、この部分が、明らかに足りていませんでした。










 フランスは、観客の声を背中に受けて、順当に勝ち上がってきました。

ストロングポイントは、中盤の中央でしょう。

ポグバとマテュイディの、ダブルディフェンシブハーフ。

攻守にわたって、本当に効いています。

特にポグバ。

クラブでプレーしているよりも、低い位置。

DFラインの前で、こぼれ球を拾い、相手の攻撃を抑える。

ボールを持っても、自分の位置を離れて、前にスルスルと上がる回数が本当に少ない。

ボールをさばいて,受けて、さばいて、受けてを繰り返す。

本当に、よく我慢しています。

ポグバが上がっていくのは、後半途中から。

自分の後ろにカンテが入った時に限られています。

まずは、チームのために。

自分の望むプレーを抑える空気が、今のフランス代表のチーム内にあるのでしょうね。










 では、どちらが勝つのでしょうか?

予想は難しい。

勝ち方を知っているのは、どちらなのか?

フランス代表のデシャン監督。

彼は、選手として、自国開催のプレッシャーに打ち克つ方法を知っている。

そして、ユーロの決勝で勝つためには何をすべきかも、知っている。



ポルトガル代表は、グループとしては、勝ち方を知らない。

なにせ、歴史の中で、ビッグタイトルがありません。

2004年の自国開催の際も、圧倒的に有利だったはずの決勝戦でギリシャに敗れています。

頼みの綱は、攻守の要である、クリスティアーノロナウドとペペ。

彼らは、クラブレベルで、大きな大会の決勝戦を何度も体験しています。

その体験を、チームに還元することができるか?

彼らの活躍次第。





 では、結局のところ、、、。

「フランスが勝利して、無難に終わる。」

この予想が外れたら、笑ってください

とにかく、お互いに腰が引けたような戦いは、見たくないです。

好ゲームで終わって欲しいですが、難しいでしょうね。


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2016年07月07日

プラン変更

 今シーズンのチャンピオンズリーグ マンチェスターシティ対ユベントス。

グループリーグでの戦いですが、覚えてますか?

ホームのマンチェスターシティが先取点。

その後も、主導権を握るのは、シティ。

パスをつなぎながら、様々な角度から、ゴールを目指していきます。

シティでパスをたくさん出しているのは中盤の選手。

中盤を起点とし、攻撃を組み立てていることが、分かります。





 一方のユベントスの中盤は、組み立てへの関与が少ない。

ボヌッチ、キエッリーニ、センターバックの二人が一番ボールに触っている。

DFラインではボールは持てるものの、それより先に前進していくのには苦労している。

かなり、不利な状況でした。

イタリアのクラブらしく、ユベントスは動じません。

我慢して我慢して、チャンスをうかがう。

ポゼッションで上回れても、シュートをたくさん打たれても動じない。

終わってみれば、2対1で逆転勝利。

ゴールは、マンジュキッチに、モラタ。

試合終了のホイッスルが鳴った時、イタリアのクラブが勝っている。

これぞイタリア!ともいうべき、試合の一つでしょう。









 ユーロの準決勝。

イタリア対ドイツも、そのような試合でした。

先取点は、ドイツ。

ドイツも相手の良さを消すために、自らの形を捨てた試合。

どちらもが、失点をしたくない!試合での先制点は、大きな意味を持ちます。

その後も試合は、膠着状態が続きます。

何とか、イタリアが相手のミスからPKを決め、同点に追いつきます。

が粘りもここまで。

PK戦をドイツが制し、準決勝に進出を決めました。






 先ほどの試合と、何が違うのでしょうか?

違いは、単純に攻撃陣のタレントの違いでしょう。

イタリアのタレントは、中盤から後ろに偏っていました。

ブッフォン、ボヌッチ、キエッリーニ。

さらにユベントス勢が、バルザーリ(CB)ストゥラーロ(MF)。

コンテ監督の分身たちが、後ろを固めて失点を増やしません。

特にゴール前の中央は、アリの入る隙間もないのではないか?

とにかく、中央をがっしりと固めていました。

中央をがっしりと固め、カウンターとセットプレーでゴールを目指す。

ですが、先ほどの試合でゴールを挙げたユベントスの選手を思い出してください。

モラタ、マンジュキッチ。

スペイン代表に、クロアチア代表。

加えるなら、マンジュキッチにスーパーなのアシストを出したのが、ポクバ(フランス代表)。

イタリア代表には、違いを出せる選手も、一人で決めれる選手もいませんでした。

8人でブロックを組み、前の2人でコースを切りながら前進を阻む。

そして、2トップ+サイドの2枚でゴールを目指す。

当初のプランは予定通り遂行したのですが、勝つことは出来なかった。

つまりイタリア代表は、守り続けることしか、決め手となるプランとしては持っていなかった。

守り続けるだけといっても、かなり難易度の高いミッションです。

上下のラインコントロール、左右のスライド、ゾーンを離れて人をつぶすタイミング。

イタリアの守備は、守備の勉強にはもってこいの教材です。





 対戦相手、世界チャンピオンである、ドイツ代表。

彼らは、戦術的にも柔軟でした。

まずは、相手の良さを消すために、システムを変更。

得意の4バックから、3バックに変更。

これは、相手の2トップに対して、プラス1枚の形を残して守るため。

さらに両サイドのウイングバックにも、守備の役割を持たせます。

イタリアの両ワイドで攻撃に絡んでくるウイングバックを封じ込める。

彼らに攻めあがるスペースを与えません。

さらに3バックにすることで、攻撃から守備の切り替わりも意識していたはず。

中央に常に、一枚選手がいる。

いつもの4バックなら、2枚のCBがサイドに大きく開いて、ビルドアップを行います。

このことで、両サイドバックに高い位置取りをさせています。

ただし、ボールを奪われてすぐの瞬間に、ゴール前が手薄になってしまう。

そのリスクを排除するという意図もあった、と考えられます。








 何か手を打てば、何かが犠牲になります。

この3バックプランによって、攻撃にかける人数が少なくなりました。

特に、サイドでの崩し。

中央には人はいるのですが、サイドまでは手が回らなくなった。

ウイングバックが高い位置でボールを持っても、選択肢が少ない。

クロスを上げるか、後ろ、横に戻すか。

サイドからの崩しに、工夫が足りない。

クロスの質も高く、中で合わせる人もいるのですが。

中央で跳ね返すと決めているイタリアは、動じません。

ドイツの攻撃は、イタリアに対して脅威を感じさせることが、できていなかったのではないか。










 そこで、後半、ドイツは手を打ちました。

システムを変更し、ディフェンシブハーフの枚数を1枚削ります。

トニクロースとシュバインシュタイガー(ケディラ負傷交代により)の2枚で構成していた前半。

安定はしていましたが、横パスをつなぐだけで、怖くない存在に成り下がっていた。

監督は、ここに手を加えます。

シュバインシュタイガーを1列高い位置に上げ、エジルと二人でオフェンシブハーフに。

1トップを2トップに変更です。

オフェンシブハーフを2枚に増やすことで、飛び出していく選手を増やす。

2トップに変更することで、1枚がサイドに流れやすくなる。

ただし、人を並べ替えただけでは、絵に描いた餅です。









 ここで、攻撃の新たなオプションを授けました。

(実際に聞いてはいないので、私がスタンドから観た分析ですが)

サイドの高い位置で味方がボールを持った時に、1枚がボールに関わる。

横につくだけでなく、追い越す動きをいれること。

中から、ボールホルダーの前を走り抜けるインナーラップラン。

外からボールホルダーを追い越していくオーバーラップラン。

この動きを加えることで、サイドを崩す。

後半に入った途端、この追い越す動きが増えました。

これほど繰り返すということは、明確なチームとしての意図を感じます。




プランはさらにその続きがあります。

サイドを崩すのが目的というよりも、目的はさらにその先。

中央を固める、センターバックを引っ張り出したい。

サイドを崩された守備陣は、中央から選手がカバーに出てくるでしょう。

ここでようやく、分厚い守備の固まりに穴を開けることが出来るのです。

ゴールは、まさに、この形から生まれました。

イタリアのミスが絡んでいるので、そこが目についてしまいます。

ポイントは、そのミスでなく、ドイツの後半からの攻撃のオプションに目をつけるべきでしょう。










 ドイツ代表は、いきなりプランBからキックオフを迎えました。

イタリア対策です。

そして、試合の中で、プランCに変更してきました。

それを柔軟に対応できるチームとしての完成度の高さを感じます。

まるで、通年活動している、ひとつのクラブチームであるかのようです。

バイエルンミュンヘン勢(4人プラス前所属3人の7人)が中心になっていること。

育成世代から共に時間を過ごしていること。

分かり合っている者同士だからこそ、このプラン変更にスムーズに対応可能。

何とも完成度の高いチーム。










 少しだけ、アイスランド対フランスの試合にも触れておきます。

大旋風を起こしてくれた、アイスランド。

彼らの戦いを楽しみにしていました。

彼らも、プランAしか持っていなかった。

先制点を早い時間で奪われて、ずるずると失点を重ねる。

フランス戦は、かなり期待して観ていたのですが、少し残念な結果でした。

フランスに対して、尊敬しすぎたのか?

ベスト8に進出したことで、満足してしまったのか?

それとも、5試合目を戦うだけの、体力が無かったのか?

ボールにもっと厳しく行きたいのでしょうが、寄せきれない。

守備の形は綺麗に整っているのですが、そこまで。

グループリーグで見せた、あの鬼気迫るボールへの執着心が感じられませんでした。

綺麗な攻撃、整った守備で相手に立ち向かっては、力の差が出てきてしまう。

開始数分で、フランス代表は分かってしまっていた。

この試合は、余裕で行けると。

余裕を感じさせてしまうのは、今までのアイスランドでは無い。






 フランス代表。

かなり心配になりました。

体力的には、かなり楽になったはずです。

アイスランド戦の後半は、流しながらプレーしていました。

延長、PKまで戦ったドイツに比べると、疲労は蓄積していないはずです。

気持ちが切れていないかが、心配です。

90分を通して、リラックスして試合をこなしていました。

まるで、親善試合かのように、真剣度は感じられませんでした。

一度、緩まったチームの緊張感を、絞め直すことができるのがどうか?

緩んでいる証拠に、後半は2失点、得点は0。

ドイツ戦までの4日間をどのように過ごすのかで、彼らの運命が決まるでしょう。
posted by プロコーチ at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

意思の統一を

1回目のランニングが、終わるとボールを使います。
ウェールズも、ベルギーも、パス&コントロール。
シンプルですが、素晴らしくレベルの高いものでした。
水分補給を挟んで、次のメニュー。
30分で、5つも6つもメニューを実施します。
短時間に、パッ!と集中する。
トレーニングも、アップも、時間の長さでは無いですね。






続いて、対人のメニュー。
ほぼ全てのチームがポゼッションを行います。
15〜20mほどの狭いグリッド。
このトレーニングを見れば、見えて来ます。
個人やチームの、技術レベルに、攻守・守攻の切り換わりの早さ。
そして、当日にどんな試合運びを意図しているのか?
いわばチームの戦略です。






ポルトガルは、4対4+2フリーマン。
15×25ほどの、縦長のグリッド。
フリーマンは、短い辺上を動く、サーバー役。
サーバーには、何度もリターンパスOKです。
(サーバー間のパスは、おそらく禁止)
すると、サーバーを軸に、低い位置でボールを動かします。
プラス1枚を使えますから、楽に回せます。
ここに、相手DFを引き付ける。
高い位置に残していた選手に、長い縦パスを通す。
素早く、他の選手がサポートに寄って、展開を続ける。

この形は、試合の中で、何度も出てきました。
低い位置から、クリスチアーノロナウドに、長いパスをいれる。
そこに、中盤がサポート。
縦パスが入るのが分かっているので、サポートが早いのです。
展開が詰まった時には、回避策としても使われていました。





ベルギーは、5対5の同数でした。
20mの正方形のグリッド。
狭いスペースて、攻守が同数なので、簡単に回りません。
ボールを持った選手が気を効かせる。
ボールをずらしたり、ほんの1・2秒ためたり。
ギリギリまで引き付けて、パッと角度を変えるパス。
見ていて、楽しいものです。
さらに重要なのが、オフザボールの動き。
ボールの移動中に、スッと顔を出します。
体、半分でも顔出し出来れば、ボールを受けれる。
継続的にサポートをする。
言うは易しですか、実際は心身ともに、疲れます。

試合中でも、ベルギーは、この動きが素晴らしかった。
ただし、限られた時間だけです。
前後半の、それぞれ開始5分10分。
そして、失点直後ですね。
すぐに、足が止まります。
ベルギーの指揮官は、自分達の弱点を分かっているのでしょう。
だからこそ、この意識付けを試みたのですが、、。






ウェールズは、4対4+2フリーマン。
フリーマンは、中に入ります。
実質、攻撃6人、守備は4人。
数的有利の状態なので、かなり攻撃有利です。
拡がりを作り、少ないタッチでボールを動かす。
難しいプレーは、ほとんど出てこない。

そして、もう1つの特徴。
グリッドの中央部分。
DFの間になるのですが、ここを使うのはフリーマンの役割。
試合でも、狭いところでボールを受けるラムジーとベイル。
彼らが、フリーマンだったかと。
つまり、他の選手は、楽な状態で落ち着いてプレー。
チャンスがあれば、厳しい場所にいる二人にボールをつける。

試合では、後ろの6人は、拡がりを作り、シンプルにパス。
ボールを横に横に動かします。
ギャップを見つけ、バシッと縦パス。
ここに、いい形でボールを入れれたら、チャンス!
意思の統一が、出来てました。







ウォーミングアップ。
体を温めるだけでは、ありませんね。
心も、頭も、試合に向けて高めていく。
アップを見ると、やはり試合が見えて来ますね。






余談
クリスチアーノロナウドは、キックが不調のようです。
全くシュートが、ミート出来ていません。



ドイツ人が、横の動きが鈍い。
ドリブルで揺さぶるのが効果的だ。
高原選手が、10年以上前に語ってました。
少なくとも、代表レベルでは当てはまりませんね。
今回見た6チームで、一番アジリティに優れていました。
アップで見せてくれたステップワークは、圧巻でした。


ポルトガル代表が、面白い遊びをしてました。
サブの選手が、ボールとたわむれてました。
5mの距離で、二人でリフティング。
必ず、2タッチ。
そして、パスはラボーナ。
(脚を後ろで交差させてキック…一応解説)
これが、続く続く。
胸トラップからラボーナ、股トラからラボーナなどなど。
10数回続いてました。

posted by プロコーチ at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする