2008年11月25日

「イボシュー」をはいて

 週末に、あるグラウンドをお借りして、試合を開催しました。
5年ほど前から、お世話になっているグラウンドです。
日本によくある土の固めのピッチ。

 管理の方から、連絡が入りました。
「芝生を育成中のため、スパイクは履かないで下さい」
フットサルシューズや、トレーニングシューズでプレーしてくださいとのこと。
養生中なら、しょうがない。
それほど期待せずに、当日を向かえました。

 ところが、会場に着くと目を奪われました。
きれいな芝生が、広がっているのです。
さすがにこの季節なので、枯れた色をしていましたが・・・。
「このグラウンドに、きれいな芝が!」
正直、いい驚きがありました。

 天気も良く、絶好のフットボール日和。
芝の上をボールが走る感覚も楽しめる。
寝転がっても、痛くないし、汚れない。
テンションも高くなりますよね。


 いざ、トレーニング、試合を始めると問題がありました。
みんな、足を取られてしまうのです。
「ツルッ」
「ずるっ」

 とっさの動きで、方向を変える瞬間。
ダッシュをしようと走り出した瞬間。
キックをしようと、踏み込んだ瞬間。
つまり、力を入れようとしたその時に、足を滑らせているのです。
結局、足を滑らせないように、こわごわとプレーしているように感じました。

 私も、少しプレーしてみました。
走る、方向転換は大丈夫でした。
キックの時は、こわごわと・・・。


 その姿を見て、思い出したことがあります。
2001年3月、日本代表のフランス遠征。
メンバーを揃え、本気のフランス代表と、親善試合がありました。
 
 前年のモロッコで行なわれた試合で、2対2の引き分け。
その善戦があったため、ほのかな期待を抱いていましたよね。
日本代表も強くなっている。
もしかすると、今回もいい試合をしてくれるのではないか!?

 その淡い期待は、もろくも打ち破られました。
0対5の敗戦。
圧倒的な力の差を見せつけられての敗北となってしまいました。

 その当時に、盛んに言われたのが、フィジカルの差。
環境に適応する能力の差です。
試合当日のピッチは、大雨でグチャグチャ。

 そんな厳しい環境の中でも、フランスの選手たちは平然とプレーをしている。
一方の日本代表は、足を滑らせたり、ボールを後ろにそらしたりしている。
唯一、中田英寿選手だけが、普段どおりのプレーが出来ていた。

 日本のトップレベルの選手たちは、きれいな芝生のピッチでしかプレーしていない。
一方のヨーロッパの選手たちはどうなのか?
意外と、ぐちゃぐちゃのピッチでトレーニングや試合をしているのです。
ヨーロッパの冬は天候がよくない。
雨や、雪で、いたんだピッチ。
そこでのプレーが、当たり前になっているからです。

 同じような現象は、今年の夏にも見られました。
北京オリンピックのサッカー日本代表です。
荒れたピッチに、戸惑う選手たち。
早過ぎる敗退は、ピッチの適応できなかったこともいくらかあるのでしょう。 


 先日参加した、指導者講習会。
そこでのお話した、大場コーチに教えていただいたエピソードが参考になります。
大場コーチが、ブラジルのフラメンゴに留学していた当時のことです。

 「フラメンゴのトレーニングするピッチは、ぼこぼこ」
 「多分、お金がなかったんだろうね」
 「ただし、トレーニングする時には、全員イボシューだったよ」
 (トレーニングシューズ・・・いわゆるトレシュー)
 「紅白戦になって、初めてスパイクを履いてたよ」

 「俺ら日本人は、足をよく取られて滑ってた。」
 「ブラジル人は、普通!にプレーしてるんだよ。」
 「あれで、筋力がつくのだろうね」
 
 科学的に、計算されない部分なのかもしれない。
そもそも、そんなデータは誰もとっていないでしょう。
科学的に、理論的に、効率的に。
そんなトレーニングを追及しすぎると、ひ弱な選手が育ってしまう。

 あえて、非効率な、非科学的なトレーニングをさせる。
大場コーチは、実際にJの下部組織で取り組んでいるそうです。
たくましい選手を育てるための工夫ですよね。

 イボシューを履かせているかどうかまでは、聞きそびれてしまいました。
それでも、様々な工夫をトレーニングにちりばめて、メニューを組んでいる。
参考になる、貴重なエピソードを教えてくださった大場コーチに感謝。
posted by プロコーチ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック