世界のフットボールシーンは、ヨーロッパ中心に回っている。
最もお金と、注目を集めるのが、ヨーロッパのクラブシーンである。
そしてそのトップにあるのが、UEFAチャンピオンズリーグなのは、否定できません。
ヨーロッパの価値基準こそが正義である。
実際に、今回のワールドカップでも、証明されたでは無いか。
この考え方に、反論することは、なかなかに難しい。
5日間通しで見学した、FCバルセロナキャンプ。
ヨーロッパの中でも、目標にされる、FCバルセロナ。
ここでは、ドリブルだけではない、個人の力だけに頼らないフッボウを伝えていました。
7人制で行われた、トレーニング最後の試合形式でのことです。
ボールを持った選手が、ドリブルを選択する。
その時、相手DFが立ちふさがっている。
さらに、カバーリングの選手も揃って、スペースが少ない。
すると、試合はフリーズされます。
「君の前に、何人の相手選手がいるんだ?!」
「後ろを見てごらん、君の仲間がいるぞ!」
後ろにパスをして、組み立てなおすことを求めるのです。
何度も何度もこの作業をすることで、選手たちも後ろに有効なパスを出来るようになって行きます。
6歳の子供でも、12歳の子供でも、それは変わりませんでした。
子供たちがたった5日間で、グループで動くことを、決断し始めました。
その変化を観るのは、興味深いものでした。
ヨーロッパでも、高い評価を受けている、オシム前監督。
彼は、ドリブルを多用する選手に、辛い評価を与えていました。
「彼はエゴイストだ。」
南アフリカワールドカップでの、日本代表の選手にも言っていました。
彼が率いてた頃の日本代表選手にも、批判していました。
ゴール前のフリーの選手にパスを出さず、自らドリブルからシュートを選んだ選手に対して、
「得点を挙げれば新聞の1面を飾ったり、テレビで取り上げられるということが頭にあったのかもしれない」
少しだけ、私の感想を。
これらも、フットボールの考え方の一つにすぎない。
バルセやオシムが言うことが、100%、いつでも正しい?!
そこには、私のはるか上を行く能力と実績があるのですが、それが全てではないはず。
南米クラブのチャンピオンを決める、コパ・リベルタドーレスの決勝がありました。
日本での扱いが小さいのは、現代の潮流を象徴しているかのよう。
私は、南米の試合が観たくて、CSのチャンネルを契約しているので、楽しむことが出来ました。
カードは、ブラジルのインテルナショナウ対メキシコのチーバス・グアダラハラです。
結果は、2戦合計5対3で、インテルナショナウが勝利し、南米一の称号を手にしました。
その2ndレグの終了間際で、スーパーゴールが生まれました。
決めたのは、交代で結果を出していた、20歳のジウリアーノ選手です。
ペナルティエリアのやや外、ど真ん中の位置で、右サイドからのグラウンダーのパスを受けます。
目の前には、4人のDFとGK。
味方選手は、やや後方に2人と、両サイドに1人ずつ。
前は向いているものの、スペースは無い。
ミドルシュートを打とうとすると、おそらく相手に引っかかる。
私が予測したのは、左サイドに展開して、相手を振り回す。
もしくは、キックフェイントで相手を外し、ミドルシュートでした。
彼の選んだプレーは全く違いました。
ドリブルでの単独突破です。
わざとスピードを落として、相手DFに近付く。
すると、2人のCBがダブルマークに来ました。
ドリブル以外、他の選択肢は益々無くなってしまいました。
彼はその瞬間を作ろうと、待っていたのでしょう。
待ってましたと、小さいキックフェイント、さらに細かいステップを1つ入れる。
2人共の足が揃ったその瞬間、ボールを足の高さ分(数10センチ)だけ浮かしました。
ボールを浮かしてボールを運び、自分もヒラリと越え、突破してしまいました。
つかみに来たDFの腕を振り解いて、さらに前に向かいます。
ジウリアーノがDFラインを突破してもすぐに、次の選手が来ます。
南米の試合でも、ゴール前では時間の余裕はありません。
カバーリングにサイドから相手DFがスライディングしながらコースをふさぎます。
前からは、GKがカラダを投げ出してコースをふさぎました。
シュートコースなど無い、と思った瞬間、ボールの下に足を差し込みました。
また小さくボールを浮かしてシュート。
ボールは、ふんわりとゴールに吸い込まれていきました。
おそらく、この瞬間も待っていたのでしょう。
GKが寝転がるその瞬間を。
たった一人で、相手のDFとGK5人を打ち破り、ゴールを決めてしまったのです。
相手との駆け引き、タイミングの外し方、わざと2人を相手にする、GKを寝転ばせてのループシュート。
テレビを観ている人間をも、簡単にあざむくプレーでした。
もちろんスタジアムは、熱狂に包まれました。
10回挑戦して、1回成功することがあるのでしょうか?
ゴール前だからといって・・・。
彼自身、他に可能性の高いプレーも分かっていたはずです。
それでも、彼はトライしました。
そしてスーパーなプレーを、南米一を決める試合で出してしまうなんて!
こんなゴールがあるから、南米のクラブシーンは面白い。
2010年08月20日
この記事へのトラックバック


本人にしか考えは分かりませんが、ミドルシュートにしても決めた選手だけが褒められるのではなく、外を追い越した選手も含めた複数でのゴールのように賞賛してほしいと思ってるのではないでしょうか?(例えばの話)
ジェフ時代の選手の談話では、監督が「こうしろ、ああしろ」と言われたままやるだけではなく、もっと良いものなら選手が約束を破ってもいいようです。
以下コピペ
(坂本) 「2対1で、監督はまず一度FWにボールを当ててから始めろ、と指示したことがあったんです。でも、僕(坂本)と組んだ林(丈統)は相手の裏でボールを欲しがったので、僕(坂本)は最初から裏へパスを出した。そしたら、監督は”ブラボー”ですよ。」
(佐藤勇人) 「オシム監督の場合は、ただ真ん中からノーマークで打たせるようなシュート練習はなくて、いろいろなバリエーションをつけます。例えば、ペナルティエリア内の角度のない所から右足のアウトサイドでカーブをかけて狙え、とか。そんなときに、あえて敢えてインサイドで巻いたり、逆の足で狙ったりすると、褒められますね。」
(坂本) 「2対1とか3対2とかで、相手をうまく崩せたときに褒められるじゃないですか。でも、その後に、ただし他にもこんな方法があるぞ、こういうアイディアもあるぞ、と次から次へといろんな方法を教えてくれるんです。」とも語っている。
…ただ、どうも忠実に言われたことを守るにしても、破るにしても、どちらにしても度が過ぎると怒るそうですが。