人の前に立っているときだけが、仕事ではない。
いかに良い準備をして、本番に臨めているのか!?
様々なことに思いをめぐらせて、不測の事態すらも予測しておく。
良い準備をすることに、労力や時間の大多数を使いなさい。
私が、学生時代のバイトをしていた時に、社員の先輩に教わった言葉です。
仕事の始まる時間ギリギリに飛び込んでも、良い仕事は出来ないよ。
準備の時から、仕事は始まっているんだよ。
振り返ると、当時は、その意味を理解できていなかった。
せいぜい「段取り二分・三分」といったところだったでしょう。
こんなことを思い出したのも、あるちょっとした事件があったからです。
私の指導している、スクールでのことです。
そのクラスでは、トレーニング前に、スモールサイドゲームをするのが定番になっています。
来た人数を均等に分け、選手同士で自主的にプレイさせます。
試合勘を身に付ける、対人スキルを身に付けさせる、何よりも選手が楽しみにしている。
先日、ある選手が、友人を連れてきてくれました。
名前を聞けば、誰もが知っているチームでプレイしていたほどの、熟練者でした。
私も混じってプレイしていましたが、彼のプレービジョンは素晴らしいものでした。
そこしかない!そのタイミングに、当たり前のように走りこんでくれる。
最近は、あまりボールを蹴っていないとのことでミスもありましたが、そこはご愛嬌。
若くて、体も動き技術の高い彼も、皆とゲームを楽しんでいました。
ところが、次の瞬間、うなり声と共に、その彼がしゃがみ込んでしまったのです。
右足首あたりを押さえ、苦しそうで、起き上がることが出来ません。
その瞬間を見ていたので、捻挫したような様子はありません。
…「後ろから蹴られたり、ボールぶつけられたような感覚あった?」
私の質問に、「ありました、ブチッという音もしました。」
つらそうな表情のまま、振り絞るような声で答えてくれました。
どうやらアキレス腱を切ってしまったようなのです。
アキレス腱断裂となると、完治までは半年掛かるでしょう。
他の選手も、事の重大さに、暗い顔になってしまっています。
「大丈夫です、ご迷惑掛けてすみません!」
ケガをした彼が、笑顔で、我々に話してくれました。
その笑顔のおかげで、少しは沈んだ気持ちもましになりました。
彼の体を抱えて、コート脇にある、彼の荷物の側まで行きました。
するとそこに、巻く前のバンデージが2つ並ぶように置いてありました。
聞くと、彼は以前に、左足のアキレス腱も断裂したことがある。
予防も兼ねて、バンデージを巻くようにしていた。
ところが、この日だけは、巻かずにプレーをしてしまった。
私が何気なくバンデージに手をやると、気恥ずかしそうな表情を見せていました。
「巻くの忘れちゃって…。」
ここに、ケガをしたばかりの彼のことを取り上げるのは、不謹慎なのかもしれない。
それを承知で、あえてこの文章を書かせてもらいます。
多くの選手が、ケガでフットボールを楽しめなくなっています。
せめて、この文章を読んでいる方だけでも、何かを感じて欲しい。
フットボーラーのケガの大多数は、下肢におけるものです。
受傷後すぐのケアは、もちろん大事です。
それよりも前に、ケガをしない準備こそが、何より大切なはずです。
W−UPやストレッチである程度予防は出来ます。
ただ、今回のような足首のケガは、予防が難しい。
さらに、一度受傷すると、くせになってしまうケースが多い。
特に捻挫は、その傾向にあります。
それを予防するために、バンデージというものがあります。
関節全体を包み込むように巻く、高機能の包帯です。
これをケガをしていなくても、予め巻いておく。
そうすれば、多少のストレスなら、何事もなかったように。
相当ひねったとしても、そのケガの程度は圧倒的に軽度なもので済むでしょう。
「このようなものを巻くと、動かしにくい、ボールタッチが悪くなる。」
そんな、批判も耳にします。
大怪我をして、何ヶ月もボールを蹴れずにつまらない思いをする。
それと、多少の動きづらさとを比べてみてください。
どちらが大事ですか?
しかも、最近のバンデージは、使いやすくなっています。
適度の伸縮性があり、足にフィットし、動かしやすくなっているのです。
昔のように、ガチガチのギブスのようになるものではありません。
( 余談ですが、私は今まで、「バンテージ」だと勘違いしていました。
この文章を書くために調べてみると、「バンデージ」であることが判明しました。
Vantage…バンテージだと、優位を意味する言葉になってしまう。
包帯を意味する、Bandage。
カタカナで表記するなら、バンデージになりますよね。
何十年も勘違いしていたので、お恥ずかしい限りです。)
さて、私も、試合や、対人プレーをする際には、巻くようにしています。
そのおかげもあり、大きな足首の怪我はありません。
それでも巻いているのは、予防のためです。
段取り八分の、一部分ですよね。
巻かずに試合をすると、不安な気持ちになるほど、バンデージを信頼しています。
「無事是名馬」
少しでも長く、ボールを蹴るためには、自分の体を大切にしてあげなくては!!
追記
日本対韓国の、フル代表の試合を思い出してください。
駒野が、競り合いで強くぶつかられ、腕の骨を骨折してしまいました。
もちろん、不用意に過剰にチャージした、韓国選手が悪いのは、間違いないです。
ただその時、駒野は準備できてたでしょうか?
韓国の当たりが厳しいのは、知っているはず。
腕を使って、相手が入ってこれないようにしながら、ジャンプヘッドをしていれば。
栗原が、顔面を強打されたシーンも同じです。
目の前に相手選手がいるのに、普通にヘディングしようとした。
鼻を折ったり、目が腫れ上がったりしなくて良かった。
そうならないためには、カラダを横に向け、肘を曲げた腕を出していれば。
自分のカラダを守るのは、自分しかいない。
2人とも、日本国内基準でプレーしてしまったのでしょうか。
これも、準備に不足があったと言わざるを得ません。
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