2010年10月19日

段取りが八分

 「段取り八分」

人の前に立っているときだけが、仕事ではない。

いかに良い準備をして、本番に臨めているのか!?

様々なことに思いをめぐらせて、不測の事態すらも予測しておく。

良い準備をすることに、労力や時間の大多数を使いなさい。





 私が、学生時代のバイトをしていた時に、社員の先輩に教わった言葉です。

仕事の始まる時間ギリギリに飛び込んでも、良い仕事は出来ないよ。

準備の時から、仕事は始まっているんだよ。

振り返ると、当時は、その意味を理解できていなかった。

せいぜい「段取り二分・三分」といったところだったでしょう。









 こんなことを思い出したのも、あるちょっとした事件があったからです。

私の指導している、スクールでのことです。

そのクラスでは、トレーニング前に、スモールサイドゲームをするのが定番になっています。

来た人数を均等に分け、選手同士で自主的にプレイさせます。

試合勘を身に付ける、対人スキルを身に付けさせる、何よりも選手が楽しみにしている。







 先日、ある選手が、友人を連れてきてくれました。

名前を聞けば、誰もが知っているチームでプレイしていたほどの、熟練者でした。

私も混じってプレイしていましたが、彼のプレービジョンは素晴らしいものでした。

そこしかない!そのタイミングに、当たり前のように走りこんでくれる。

最近は、あまりボールを蹴っていないとのことでミスもありましたが、そこはご愛嬌。

若くて、体も動き技術の高い彼も、皆とゲームを楽しんでいました。





 ところが、次の瞬間、うなり声と共に、その彼がしゃがみ込んでしまったのです。

右足首あたりを押さえ、苦しそうで、起き上がることが出来ません。

その瞬間を見ていたので、捻挫したような様子はありません。

…「後ろから蹴られたり、ボールぶつけられたような感覚あった?」

私の質問に、「ありました、ブチッという音もしました。」

つらそうな表情のまま、振り絞るような声で答えてくれました。

どうやらアキレス腱を切ってしまったようなのです。







 アキレス腱断裂となると、完治までは半年掛かるでしょう。

他の選手も、事の重大さに、暗い顔になってしまっています。

「大丈夫です、ご迷惑掛けてすみません!」

ケガをした彼が、笑顔で、我々に話してくれました。

その笑顔のおかげで、少しは沈んだ気持ちもましになりました。

彼の体を抱えて、コート脇にある、彼の荷物の側まで行きました。






 するとそこに、巻く前のバンデージが2つ並ぶように置いてありました。

聞くと、彼は以前に、左足のアキレス腱も断裂したことがある。

予防も兼ねて、バンデージを巻くようにしていた。

ところが、この日だけは、巻かずにプレーをしてしまった。

私が何気なくバンデージに手をやると、気恥ずかしそうな表情を見せていました。

「巻くの忘れちゃって…。」






 ここに、ケガをしたばかりの彼のことを取り上げるのは、不謹慎なのかもしれない。

それを承知で、あえてこの文章を書かせてもらいます。

多くの選手が、ケガでフットボールを楽しめなくなっています。

せめて、この文章を読んでいる方だけでも、何かを感じて欲しい。







 フットボーラーのケガの大多数は、下肢におけるものです。

受傷後すぐのケアは、もちろん大事です。

それよりも前に、ケガをしない準備こそが、何より大切なはずです。

W−UPやストレッチである程度予防は出来ます。








 ただ、今回のような足首のケガは、予防が難しい。

さらに、一度受傷すると、くせになってしまうケースが多い。

特に捻挫は、その傾向にあります。

それを予防するために、バンデージというものがあります。

関節全体を包み込むように巻く、高機能の包帯です。

これをケガをしていなくても、予め巻いておく。

そうすれば、多少のストレスなら、何事もなかったように。

相当ひねったとしても、そのケガの程度は圧倒的に軽度なもので済むでしょう。






「このようなものを巻くと、動かしにくい、ボールタッチが悪くなる。」

そんな、批判も耳にします。

大怪我をして、何ヶ月もボールを蹴れずにつまらない思いをする。

それと、多少の動きづらさとを比べてみてください。

どちらが大事ですか?

しかも、最近のバンデージは、使いやすくなっています。

適度の伸縮性があり、足にフィットし、動かしやすくなっているのです。

昔のように、ガチガチのギブスのようになるものではありません。







( 余談ですが、私は今まで、「バンテージ」だと勘違いしていました。

この文章を書くために調べてみると、「バンデージ」であることが判明しました。

Vantage…バンテージだと、優位を意味する言葉になってしまう。

包帯を意味する、Bandage。

カタカナで表記するなら、バンデージになりますよね。

何十年も勘違いしていたので、お恥ずかしい限りです。)







 さて、私も、試合や、対人プレーをする際には、巻くようにしています。

そのおかげもあり、大きな足首の怪我はありません。

それでも巻いているのは、予防のためです。

段取り八分の、一部分ですよね。

巻かずに試合をすると、不安な気持ちになるほど、バンデージを信頼しています。

「無事是名馬」

少しでも長く、ボールを蹴るためには、自分の体を大切にしてあげなくては!!







追記

日本対韓国の、フル代表の試合を思い出してください。

駒野が、競り合いで強くぶつかられ、腕の骨を骨折してしまいました。

もちろん、不用意に過剰にチャージした、韓国選手が悪いのは、間違いないです。

ただその時、駒野は準備できてたでしょうか?

韓国の当たりが厳しいのは、知っているはず。

腕を使って、相手が入ってこれないようにしながら、ジャンプヘッドをしていれば。

栗原が、顔面を強打されたシーンも同じです。

目の前に相手選手がいるのに、普通にヘディングしようとした。

鼻を折ったり、目が腫れ上がったりしなくて良かった。

そうならないためには、カラダを横に向け、肘を曲げた腕を出していれば。

自分のカラダを守るのは、自分しかいない。

2人とも、日本国内基準でプレーしてしまったのでしょうか。

これも、準備に不足があったと言わざるを得ません。
posted by プロコーチ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | フィジカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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