しつこいようですが、あのゴールについてです。
チャリティーマッチの日本代表対Jリーグ選抜での、三浦カズ選手のゴールです。
このゴールからは、実戦経験から勝ち得た、本物の戦術眼を感じました。
数字を並べて完結させる、薄っぺらい戦術論ではなく。
選手一人一人が、ピッチ上で相手と「戦う術」。
相手を打ち負かすために駆使する、術です。
説明のために、再び前回の図を用いさせてもらいます。
この図を注意深く見て行くと、あることに気がつきます。
ハーフナー●
。
●トゥーリオ
○
右CB
***
カズ●
***
○ ○ ○
***
左SB 左CB 右SB
○
GK
【 】
単純に、それぞれの人数を数えてみます。
この図の中のディフェンダー○は、4人。(GKを除く)
アタッカー●は、3人。
攻撃3人、対守備4人、と守備側の人数が1人多い状況です。
仮に、1人が1人ずつマークを担当したとしても、1人余ります。
注意深く観ると、ある現象に気がつくはずです。
ボールを競りに行った、右CB○に対して、2人のアタッカー●が攻め込んでいます。
ボールを競るトゥーリオ選手と、裏に走りこむカズ選手です。
2対1の攻撃側有利の状況が出来ています。
まるで、1人のディフェンダーを2人で襲い掛かるかのようです。
さらに、左CB○を観てみます。
ここに対しても、2人のアタッカー●がいます。
浮き球を落としてもらおうとするハーフナー選手。
目の前から裏に向かって走りこんだ、カズ選手です。
ここでも、2対1の状況がありました。
どんなに足が速く、屈強で、読みに優れ、ターン・ステップが素早いディフェンダーでも。
経験豊富で、冷静なディフェンダーであっても。
2人を同時に対応することは、大変難しいことです。
特に、自陣のゴールが近付けば近付くほど、その難易度は増して行きます。
危険な選手から距離を取れば、体を張ることすらも出来ません。
1人をつぶしに行けば、もう1人がフリーになってしまう。
2人まとめて、砂をまぶすよう、ぼやかす様ににマークしていては、間に合わない。
はっきり言って、お手上げの状態です。
相手ディフェンダー1人に対して、2人で襲い掛かる。
これを意識すると、一瞬、攻撃陣に時間が生まれることがあります。
その一瞬を逃さず、決定的な仕事をする。
口で言うのは簡単ですが、それを達成するのは簡単ではありません。
相手ディフェンダーも馬鹿ではない。
いつまでも、2対1の状況を放置はしてくれないでしょう。
2対1を作り、2対1を活かす。
状況を見極める目。
次の、その次の次を見通す読み、つまり頭脳。
瞬間を逃さない決断力。
その場所に張り込むための運動量。
そして、イメージを具現化する技術。
試合の中で、2対1を意識できるようになれば、プレーの幅が拡がるはずです。
あのゴールは、演出でも、芝居でも、八百長でもありません。
手抜きでもなければ、馴れ合いでもなく、シナリオもありません。
あまりに劇的なシーンだから、そのような意見が出るのでしょうか?
フットボールを上っ面で捉えているのか、頭でっかちな方の発想でしょうか?
私には、そのような意見は理解できませんし、発する方の気持ちは分かりかねます。
もちろん、走りこんだ場所にボールが飛んできたのは、幸運かもしれません。
しかし、幸運は、いい準備をしているからこそ、掴むことができるのです。
走りこんでいることも、決めたシュートも、いい準備の結果です。
カズ選手の、あのゴールに関して、1つ言えることがあります。
あのゴールから学ぶことは、たくさんあります。
まさに、彼の25年のキャリアを代表するゴールなのです。
2011年04月08日
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