2011年04月08日

あのゴール・・・3

 しつこいようですが、あのゴールについてです。

チャリティーマッチの日本代表対Jリーグ選抜での、三浦カズ選手のゴールです。

このゴールからは、実戦経験から勝ち得た、本物の戦術眼を感じました。

数字を並べて完結させる、薄っぺらい戦術論ではなく。

選手一人一人が、ピッチ上で相手と「戦う術」。

相手を打ち負かすために駆使する、術です。







 説明のために、再び前回の図を用いさせてもらいます。

この図を注意深く見て行くと、あることに気がつきます。




   ハーフナー● 
                。
                ●トゥーリオ
                ○
               右CB
             
               *** 
             カズ●
               ***
  ○       ○            ○
               *** 
 左SB     左CB          右SB
             
            
            
            


       


            ○
            GK
         【      】




 単純に、それぞれの人数を数えてみます。

この図の中のディフェンダー○は、4人。(GKを除く)

アタッカー●は、3人。

攻撃3人、対守備4人、と守備側の人数が1人多い状況です。

仮に、1人が1人ずつマークを担当したとしても、1人余ります。






 注意深く観ると、ある現象に気がつくはずです。

ボールを競りに行った、右CB○に対して、2人のアタッカー●が攻め込んでいます。

ボールを競るトゥーリオ選手と、裏に走りこむカズ選手です。

2対1の攻撃側有利の状況が出来ています。

まるで、1人のディフェンダーを2人で襲い掛かるかのようです。






 さらに、左CB○を観てみます。

ここに対しても、2人のアタッカー●がいます。

浮き球を落としてもらおうとするハーフナー選手。

目の前から裏に向かって走りこんだ、カズ選手です。

ここでも、2対1の状況がありました。








 どんなに足が速く、屈強で、読みに優れ、ターン・ステップが素早いディフェンダーでも。

経験豊富で、冷静なディフェンダーであっても。

2人を同時に対応することは、大変難しいことです。

特に、自陣のゴールが近付けば近付くほど、その難易度は増して行きます。

危険な選手から距離を取れば、体を張ることすらも出来ません。

1人をつぶしに行けば、もう1人がフリーになってしまう。

2人まとめて、砂をまぶすよう、ぼやかす様ににマークしていては、間に合わない。

はっきり言って、お手上げの状態です。







 相手ディフェンダー1人に対して、2人で襲い掛かる。

これを意識すると、一瞬、攻撃陣に時間が生まれることがあります。

その一瞬を逃さず、決定的な仕事をする。

口で言うのは簡単ですが、それを達成するのは簡単ではありません。

相手ディフェンダーも馬鹿ではない。

いつまでも、2対1の状況を放置はしてくれないでしょう。







 2対1を作り、2対1を活かす。

状況を見極める目。

次の、その次の次を見通す読み、つまり頭脳。

瞬間を逃さない決断力。

その場所に張り込むための運動量。

そして、イメージを具現化する技術。

試合の中で、2対1を意識できるようになれば、プレーの幅が拡がるはずです。









 あのゴールは、演出でも、芝居でも、八百長でもありません。

手抜きでもなければ、馴れ合いでもなく、シナリオもありません。

あまりに劇的なシーンだから、そのような意見が出るのでしょうか?

フットボールを上っ面で捉えているのか、頭でっかちな方の発想でしょうか?

私には、そのような意見は理解できませんし、発する方の気持ちは分かりかねます。

もちろん、走りこんだ場所にボールが飛んできたのは、幸運かもしれません。

しかし、幸運は、いい準備をしているからこそ、掴むことができるのです。

走りこんでいることも、決めたシュートも、いい準備の結果です。









 カズ選手の、あのゴールに関して、1つ言えることがあります。

あのゴールから学ぶことは、たくさんあります。

まさに、彼の25年のキャリアを代表するゴールなのです。
posted by プロコーチ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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