相手がいるスポーツには、駆け引きが存在する。
自分のベストをぶつけるだけで、毎回勝利に近づけるわけでは無いはずです。
相手がいる中で、いかに自分を発揮できるか?
相手の良さを消し、自分の強みを発揮する。
常に、相手がいる中でのプレーが求められるのが、サッカーであり、フットサル。
FCバルセロナ対レアルマドリーCFのリーグ戦での対決、クラシコ。
この試合で、興味深いことがありました。
それは、両チームのセットプレーです。
全得点の約3割は、このセットプレーから生まれる統計は、有名ですよね。
28%、33%、25%。
ワールドカップのここ3大会での、全得点におけるセットプレーの割合です。
勝利に近付くために、セットプレーの準備は欠かすことが出来ない要素です。
レアルマドリーは、CK、コーナーで、いい準備をしていました。
キッカーのディマリアは、常に、ニアサイドにボールを送り込んでいました。
バルサGKに飛び出させないような、ニアに速いボールを入れ続けました。
残念ながら、DF・GKに弾き返され、チャンスらしいチャンスにはなりません。
バルサの選手は、高さで勝負できる選手がご存知のように少ない。
身長のミスマッチがあるので、レアルは、これを活かした方が良いのでは?
高いボールをファー、センターに入れてもチャンスになりそうなのに。
4本連続ニアに蹴られたCKを観て、私は、そう思っていました。
ところが、5本目になる、前半終了間際のCKは違いました。
ディマリアが突然、ファーサイドに、ボールを蹴りました。
しかも、ゴールを横切るほど、ファーでも一番深い場所に蹴りました。
今まで、ニアを狙われ続けたバルサDF陣は、対応が遅れます。
ヘディングでセルヒオラモスが折り返し、フリーのクリスティアーノロナウドへ。
待ち構えて、フリーでヘディングシュートを放ちます。
ゴールのライン上で、アドリアーノが何とかクリアしました。
バルサの守備陣は、完全に裏をかかれました。
スロー再生を観てみると、偶然ではなく、狙ったプレーであることがよく分かります。
ファーサイドに、ペペと、セルヒオラモスの2人が入っているのです。
(実は、4本目のCKの時も、2人はこのポジションを取っていました)
ボールを迎え撃ち、有利な体勢な、ペペとセルヒオラモス。
一方のバルサDFは、後ろに下がりながら、無理な体勢で競らざるを得なくなってしまった。
さらに、ゴールの中央には、5人のバルサの選手がいるのですが、完全にマークを見失っている。
ロナウドは、ジャンプヘッドのお手本のようなフォームを取る余裕さえありました。
実際、折り返されるとフリーにはなりやすいです。
ただし、ここまで、後手を踏んでしまったのは、その前の4本が効いているからです。
ニアに入れたCKは、ニアに蹴ってくる印象を強めるための捨て札だったのです。
本当の狙いは、このファーに入れて折り返すパターンだったのでしょう。
その瞬間だけでなく、1試合を通して、駆け引きをしている。
セットプレー1つに、何という、周到な準備をしているのか!!
この駆け引きは、もう一度ありました。
このチャンスの直後のCKでは、もう一度ニアを狙いました。
やはり、ニアへのボールは、クリアされてしまいます。
後半65分のCKです。
両チームの選手共に、中央からニアにかけて、人口密度が高くなっています。
ところがボールはファーに。
またもやセルヒオラモスがニアに折り返し、あわや!というチャンスを作ったのです。
4本+1本の、ニアへの捨てCKが効いた、瞬間でした。
その一方で、このようなシーンもありました。
直接シュートを狙える、セレモニーとも呼ばれる、おいしいセットプレーの場面です。
レアルは、3回のチャンス全て、クリスティアーノロナウドが、シュートを狙いました。
彼の無回転のブレながら落ちる球は、GK泣かせの、素晴らしいものです。
このクラシコでも、ポストに直撃する、惜しいシュートを放っています。
左利きの選手の方が狙いやすい角度もありました。
左足で狙うなら、ディマリア、マルセロ、後半ならエジルという選択肢もありました。
右足でも、素晴らしいキックの持ち主である、シャビアロンソも控えていました。
それでも3回全て、ロナウドだけが、蹴ることを許されていたのです。
ここで、相手の裏をかくような、駆け引きは用いないのか?
違う選手が蹴るのもいいでしょうし、意表を突いたトリックプレーも考えられます。
そのようなことは一切無く、エースであるロナウドが、いつものブレ球を蹴り続けました。
もしかしたら、違ったことをした方が、ゴールが生まれていたかもしれない。
それでも、エースのロナウドに蹴らせ続けた。
これは、監督のモウリーニョからの強いメッセージではないのか?
「俺は、ロナウドお前をエースとして認め、信頼を寄せている」
彼の真摯に取り組むトレーニングを信じたのかもしれません。
小細工をするよりも、エースのプライドを尊重して、気持ちよくプレーをさせる。
そのようなメッセージを発したのではないか。
信頼を感じ、気持ちよくプレーできたことが、その後のゴールにつながったとも言えます。
自信を持ってPKを蹴りこみ、同点に追いつきました。
さらには、国王杯の決勝でのクラシコでも、見事なシュートを決めています。
一方のバルサ。
彼らのセットプレーは、セットプレーのようで、セットプレーではありませんでした。
CKもFKもショートパスをつなぎ、オープンプレーに変えてしまっていたからです。
高さで勝負しても、不利にしかならない。
それなら、得意な地上戦に持ち込もう。
明確な意図、チームのスタイルが、そこには存在しました。
それも1つの選択肢でしょう。
セットプレー1つをとっても、奥の深さを感じる、両者の戦い。
次なる戦いでは、どのような駆け引きを見せてくれるのでしょうか?
2011年04月22日
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