2011年06月07日

手札を増やしている

 ザッケローニ監督の率いる日本代表が、チェコ代表との試合を迎えます。

メディアの注目は、1−3−4−3のフォーメーションを、いかに導入するのか?

そのシステムは、監督のオリジナリティが強く、選手が消化しきれていないのでは?

試合で、選手が上手く踊るのか?

一番の注目ポイントは、ここのようです。






 ザッケローニ監督は、複数のシステムを使い分けていく希望をもっているようです。

会見でも、

「あくまでAプランは、これまでやってきた4−2−3−1。

このシステムについては、まあまあよくできている。

それに加えて、Bプランの3−4−3を練習した。」

このように、答えています。








 そして、日本代表の現状、つまり複数のシステム理解度には、不満足のようです。

「こうしたフレンドリーマッチでは成長することが大切だと思うので、

トライしないといけないと思う。

ミランで勝利できたのは、いい選手が手元にいたことと、

そのシステムをよく理解して、きちんと活用できたことだと思う。

日本にもいい選手が手元にいるが、まだ理解して活用し切れていないのが現状だ。」

代表チームとクラブチームの活動できる日にちの少なさにも言及しています。







 今までの、試合や、コメント、トレーニングの内容から、あることが推察されます。

それは、試合によって、3つくらいのシステムを使い分けたい。

さらに、1試合の中でも、システムを使い分け、状況に合わせて手を打って行きたい。

システムを使い分けることを、チームの武器として、戦略的に進めていっている。

「カメレオンのように、戦い方を変化させる」

といった表現も聞こえてきました。









 このやり方は、日本人選手との相性は、いいはずです。

1つ、1つの、システムのやり方を習得する。

そして、監督の指示に従い、そのシステムの下で、試合を遂行する。

悪い言い方かもしれませんが、システムの奴隷になり続ければいいのですから。

もちろん最終的に、ピッチの上で決断し、実際に戦うのは、選手です。

その彼らが行動すべき、基本ルールを渡している。

まずは、2種類。








 このように例えることが出来るでしょう。

選手に、2種類の道路交通法を書いた紙を渡して、2種類の交通ルールを守らせようとしている。

青は渡れ、と書いてあった。

もし、青信号で暴走車が突っ込んできていたら、どうしますか?

紙に書かれてあるとおり、渡るのでしょうか。

普通は、渡らずにやり過ごします。

それはもちろん、誰もが普通は、死にたくないですから。

これが、選手個々の、その場の判断・決断です。

ただし、緊急時以外は、皆が同じルールに則って、行動することを求める。

そうでなくては、スムーズにクルマが運行されていかないからです。








 普段、試合の状況を観ていると、気づくことがあります。

相手チームは、ここが強い、ここが弱い。

他にも、相手チームが、我々をスカウンティングしてきている。

人数的に足りないところを、狙っている。

それは、こちら側からも、相手チーム側からも、同じことがあり続けます。

そして、戦略を練って、試合の中で修正をかけていくのです。

この反対のやり方にあるのが、お互いが丸腰で、全力でぶつかり合う。

正々堂々の言葉が似合う戦い方。

日本人は、ここに美徳を感じそうですが、・・・。
 






試合中に、相手の特徴、つまり長所・短所を見極めるのに、どれくらいかかるのか?

味方の、コンデョションも同じように、見極めたいのです。

数分で見極めることが出来るのか?

それとも、30分掛かるのか?

試合終了まで、気づけないのか?

個々の選手にも、スカウティング能力が求められるのです。

多くのことが見えていれば、それを試合に活かしていくことが可能になってきます。






 元日本代表ジーコ監督は、この能力が極端に優れていたそうです。

監督時代に、次に対戦する相手の、試合を観ていても、ほんの少しで観るのをやめてしまう。

僅かの時間で、チームや個人の特徴、そして試合の流れまで、分かってしまう。

最後まで観なくても、試合を予想すると、ほとんどの場合その通りになっていたそうです。

そのレベルまで達するのは、相当難しいことでしょう。

ましてや、実際にプレーしている選手は、目に入ってこないものも多いかもしれません。

それでも、少しでもスカウティングをし、相手を観ることをしていきたい。

そして、相手の長所を消し、相手の弱点を突くことを、その瞬間にしていきたい。

選手個人のレベルでしていく、これも駆け引きの1つ。

自分たちだけを観ていては、駆け引きは出来ない。









 
 監督としては、いくつかのカードを持って試合に臨みたいものです。

では、いつ、戦い方を変えるのか?

対戦相手の力量、その試合で勝ち点が幾つ必要なのか、。

味方チームのコンディション、出場停止の有無。

試合中のアクシデントに対する対応など。

これらに合わせて、戦い方をを変化させる。






 
 その分かりやすい方法が2つ。

1つは、システムの変更。

もう1つは、選手の交代。

監督の分かりやすいアクションに合わせて、選手全体が、戦い方を変化させる。

時間で区切ることもあれば、点数の推移で変化させることもあります。

味方がケガやレッドカードの退場で、変化させるのは、好ましくありませんがありうることですね。







 今の、ザッケローニ監督は、カードを増やそうとしている段階です。

つまり、手札は、まだ1枚とちょっとしかないのです。

相手を惑わす、戦い方の変化。

その姿になるのは、数年先のことか、それとも数試合先なのか。

監督の目指している姿が見れるのは、まだまだ先になりそうです。
posted by プロコーチ at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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