これをフィジカルコンタクトと呼んでいます。
東アジア諸国を除けば、小さい部類に入る日本代表。
まともにぶつかっても、弾き飛ばされるだけ。
相手にどうやってぶつかるのか?
どのように身体を使うのか?
我々は、これを技術の1つとして捉えています。
「コンタクトスキル」
相手との競り合いの中での、どのようにコンタクトしていくのか。
何年も継続して、JFAは発信し続けています。
「技術が優れているだけでは世界に通用しない。
タフであることが求められる!!」
競り合いに強い選手を育てよう。
この課題は、女子だけでなく、男子にも言えることです。
高い技術を発揮するためには、肉体的にも精神的にもタフでなくては。
先日、女子の練習試合で、主審を務めました。
両チームとも、中学生と高校生との混成チーム。
レベルは双方共に高いものでした。
特にボールコントロールを徹底的にトレーニングしているのをひしひしと感じました。
DFに間合いを詰められても、あわてることはありません。
ボールを動かして、突破や味方へのパスを平然と続けていました。
そんな彼女達なので、コンタクトスキルも身につけようとしていました。
攻撃でも守備でも、相手にぶつかることを嫌がりません。
むしろ積極的にコンタクトし、有利に展開しようとするのです。
その姿を見て、感心することしきりでした。
主審であることを忘れるほど、彼女達のプレーを観察していたのです。
ここで、一つ問題となるプレーが、開始数分で起こりました。
守備側の選手が、ボールを保持しようとする選手に、素早く近づきました。
これに気づいた攻撃の選手は、ボールを奪われないように、相手に背中を向けます。
いわゆる、ボールをキープする状態に入りました。
問題はこの次です。
守備側の選手が、相手の背中を両手で押したのです。
その瞬間、私は反則の笛を吹きました。
ところが、反則を取られた守備者は不服な表情を浮かべています。
小声で「なにもしてないじゃん」ともつぶやいていました。
なぜなら、後ろから押したと言っても、それほど激しくはないのです。
押された攻撃側も、少ししかバランスを崩していませんでした。
だから、彼女の「なにもしてないじゃん」につながったのでしょう。
審判によっては、この一言を聞いて、強く注意する方もいるかもしれません。
まさか、イエローカードを出す主審はいないとは思いますが・・・。
私は、彼女を優しく呼び寄せました。
そして、周りに聞こえる声で一言伝えたのです。
「後ろから、手を使わないようにね。」
私はこの行動に、2つの目的を持っていました。
1つは、この試合での主審の基準を、皆に伝えること。
そのためには、最初に起きたファールは必ず、反則をとる。
見逃したり、迷ってはダメ。
さらに、アドバンテージも取らない。
選手や、ベンチ、スタッフや観客も含め全員に向けて発信するのです。
「この試合では、このプレーは反則ですよ」
もう1つは、選手の将来に対してのメッセージです。
反則まがいのプレーをして、相手を止める、ボールを奪う。
これは、楽な方法なのです。
楽な方法に流れてしまっては、その選手の成長を止めてしまいます。
激しいプレーと汚いプレーは違う!!
もっといい方法でボールを奪う方法は無いものか?
ポジティブな考え方をもって、今後のフットボールライフを進んでもらいたい。
このメッセージをこめて、彼女に接したのです。
反則まがいのプレーなど、大人になってからでも身につくでしょう。
向上心をもった育成年代の、中学生・高校生。
フェアで、激しく。
心も、技術も、身体も。
私の思いが伝わっていることを、心底願っています。
ちなみに、その試合では、後ろからのファールは一度も無かったのです。
メッセージを伝えた彼女も含めて、疑わしいプレーすらありませんでした。
2つの目的が伝わったのなら、嬉しい限りです。
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