強豪チームを相手にする。
個々の選手の力。
グループとしての熟成度。
一つ一つのプレーの精度。
互角に立ち向かうことは、なかなか難しい。
試合が始まると、ボールを前に運ぶこともままならない。
簡単にボールを奪われる。
ボールポゼッションされ、自陣に押し込められてしまう。
モウリーニョ監督がインテル時代に敷いた、有名な戦略。
ペナルティエリアの前までは、相手に来させても構わない。
自陣深くに自ら閉じこもり、最後の崩し、フィニッシュするスペースを絶対に与えない。
強固な強固な守備のブロックを、形成する。
自陣深くでだけ、人数をかけて、スペースを埋めてしまう守備方式です。
「バスを2台停車させた」とまで形容されました。
この言い回しは、モウリーニョ監督本人も口にしています。
彼は、対戦相手を分析し、試合を進めることに長けています。
相手の攻撃力が優れているのならば、超守備的と言われる戦い方を選ぶことに迷いはありません。
耐えて耐えて、必殺のカウンターで相手の息の根を止めるのです。
ワールドカップアジア2次予選、日本対シンガポール。
シンガポール代表は、バスを停める戦い方を選んできました。
GK、DF、アンカー、MF,FWが、1−4−1−4−1で並びます。
ハーフタイムを超えてボールにプレッシャーには行きません。
背後のスペースを消し、ゴール前をガッチリ固めます。
6月の試合でも活躍した、シンガポール代表のGK,イズワン・マフブード。
当たりまくった彼が、今回もゴールにカギを掛けるべく立ちふさがっていました。
彼のシュートストップの能力は高いですね。
良いポジショニングから、抜群の反射神経。
序盤のスーパーセーブを見た時には、今回も?!と悪夢が思い出されました。
今回は、3得点を奪うことが出来ました。
この3得点奪えたのは、日本の攻撃のバリエーションの多さが後押ししたでしょう。
ミドルシュート、サイドアタック。
中央を崩すために、細かいところに固執してパス交換をして引っかかる。
わざわざ、相手が待ち構えているところに攻め込んでいく。
1タッチで狭いところを無理やり崩そうとして失敗する。
ここ数年の日本代表の悪い癖です。
一点目は、今回の狙いがはっきり表れたゴールだったのでしょう。
本田が右サイドからクロス、武藤が折り返して、金崎が胸トラップからシュート。
美しいゴールでしたね。
このゴールをシンガポール代表は、防ぐことは出来なかったのでしょうか?
名GKに頼るだけでは、このシュートを防ぐことは出来ない。
もし失点を防ぐとしたら、DFラインの助けが必要でした。
本田が右サイドからクロスボールを上げた時の、シンガポールDF二人のポジショニング。
ここに修正の余地がありました。
その瞬間、体の向きが悪く、マークを見失っています。
さらに、ここがポイント!なのですが、DFラインの高さです。
ちょうどPKマークの辺りに位置していました。
ゴール前から11M。
言い換えれば、ペナルティエリアの中、5M以上侵入されています。
クロスボールに競り負けた瞬間は、シュートを打たれることに等しい。
その場所が、ゴールから11M以下になってしまうのです。
体の向きが悪く、相手選手を見失い、シュートまで持ち込まれる。
もしそうだとしても、この位置がもう数Mでもゴールから離れていたら!?
GKにシュートを止めるチャンスがあったかもしれません。
シンガポール代表の守備陣は、バスを停めることに必死になりすぎて、大切なことを忘れていました。
それは、ラインコントロールです。
相手のボールの動き、状態を見て、こまめにラインを上げ下げする。
ここで言うラインコントロールは、オフサイドトラップのことではありません。
オフサイドというルールを活用はしていますが、オフサイドを取ることを目的にはしていません。
ラインを上げ下げすることにより、相手攻撃陣の動きを制限させたいのです。
実際にこの時も、ラインコントロール出来ていませんでした。
本田がボールを受けた瞬間は、DFラインは、ほぼペナルティエリアのライン上でした。
そこから、相手のフリーランニングに引っ張られ、ズルズルとラインを下げてしまった。
一方、本田のドリブルはゴールから遠ざかるように3・4Mボールを運んでいました。
ラインを上げるのならまだしも、下げる必要は無かったはずです。
このラインコントロールのミスが、日本の得点を生んだと言えます。
最近、ラインコントロールが巧みなチームの試合を観戦しました。
チャンピオンズリーグのベンフィカリスボン対ガラタサライの試合です。
ベンフィカのDFラインは、90分を通して、こまめにラインをコントロールしていました。
そして、相手の攻撃を制限し、入ってきたボールに対して、しっかりとファイトします。
終盤に一人の退場者を出してしまいましたが、守備組織が破たんすることはありませんでした。
ベンフィカの守備を統率していたのが、私のお気に入りのCBルイゾンです。
10年以上もベンフィカでCBを務め、キャプテンマークも巻いています。
ブラジル代表としても40試合以上もキャップを重ねています。
ワールドカップでの活躍がないためか、地味な選手?かもしれません。
彼は、体型的には190センチを超える大柄で、クラッシャータイプと思われがち。
でも、あの繊細なラインコントロールは、ヨーロッパでの10年以上のキャリアの賜物なのでしょう。
攻撃の選手が、オフ・ザ・ボールの動きで、先手を取る。
ボールを受ける前に、マークを外し、有利な体勢でボールを受けようとする。
それと同じように、守備の選手も、ボールが来る前から勝負は始まっています。
良い準備が勝負を握っているのは、攻撃も守備も共通です。
ボールにファイトし、体を張るだけがDFの仕事ではありません。
ラインコントロールを身につけ、FWとの勝負を有利に運びたい。
2015年11月14日
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