私は、サッカー・フットサルを始めたばかりの人間に指導をする機会が、とても多いです。
それは、子供の場合もあれば、大人の場合も。
まず、大人の場合で考えます。
フットボールのコーチ同士なら、分かって当然の用語が多数あります。
その言葉を用いることで、コーチ同士のスムーズなコミュニケーションを助けてくれます。
専門用語。
どんどん、新しい用語、流行言葉のような用語も、出てきますね。
勉強を怠ると、すぐに置いていかれてしまう。
専門用語の方が、端的に、言いたいことを伝えれる場合が多いのでしょうか。
用語を理解していれば、その周りの情景も浮かんできますよね。
その後の会話が、とんとんと運びます。
その用語に対する解釈や、支持不支持を知れば、サッカー感も知り得る助けになります。
選手は、その言葉を知らないこともたくさんあるでしょう。
たとえ、何年もプレーしている選手であっても、知らない用語はたくさんあります。
それが、初心者ならどうでしょうか?
スムーズなコミュニケーションを助けるどころか、足かせになってしまう。
まるで、知らない国の単語を用いて話しかけられた時のように。
その単語を使われた側の脳みそは「???????」
会話の中で、「???」が生まれたら、それ以降の内容は、まるで入ってこないでしょうね。
私も、今年、ロシアに行って、本当に困りました。
英語を使える若者はまだしも、全く英語を使えない現地の方とは、会話が成り立ちません。
それは、しょうがないですよね。
お互い、何を話しているのかを、分からない者同士なのですから。
私の指導での大切なポイントは、選手の言葉のレベルを的確につかむことにあるのです。
大人と大人のコミュニケーションですら、こうなのです。
これが、大人対小学生ならどうでしょうか?
大人なら、今までの経験から、何となく類推することが出来る場合もあるかもしれません。
他の場所で、同じような言葉を聞いていたかもしれません。
語彙レベルが、大人に達していない子どもたち。
フットボールの専門用語はもちろん、日本語そのものの知識も浅いでしょう。
指導者なら当然理解している言葉。
大人なら分かるであろう言葉。
そのいずれも、子供たちにとっては、「???????」ですよね。
もう、7・8年前になりますが、こんなことを目撃しました。
夏休みに、スペイン系のクラブが、サマーキャンプを開催しました。
本国からコーチが来日し、そのクラブのメソッドで、日本の小学生に指導をしてくれます。
もちろん、スペイン人コーチは、日本語を話せません。
日本人の通訳が、コーチの言葉を訳して伝えてくれていました。
私は、低学年のグループを見学していました。
暑さのせいか、子供たちが、コーチの指示通りのプレーに取り組んでいませんでした。
そして、単純なミスを、何度か繰り返してしまいました。
「集中できていないよ!」「集中しよう!」
通訳が大声で、コーチの指示を訳しました。
ところが、子供たちのプレーは、一向に変わりません。
コーチは、さらに大声で情熱的に指示を出します。
通訳も続きます。「集中だ!」
子供たちは、コーチの顔色をうかがって、こじんまりと、そつなくプレーして、そのセッションを終えました。
子供たちは、真面目に取り組んでいました。
憧れのクラブのコーチの指導ですから、必死に取り組もうとしていました。
残念なことに、彼らはスペイン語は分かりません。
ごくごく簡単な言葉を除いて。
そして、日本語であっても、大人の言葉は使えません。
彼らは、「集中」という日本語も知らなったのです。
6歳〜8歳の小学生ですから、知らない子どもがいても、おかしくありません。
でも、コーチも通訳も、そこに気が付いていませんでした。
大人の言葉で、いくら指示を繰り返しても、子供の耳には入ってこない。
いくらコーチや通訳が頑張っても、子供の心を動かすことは出来ません。
では、どのような言葉が必要だったのでしょうか?
「コーチの話、聞こえた?」
「やってみよう!」
「失敗してもいいよ。」
(出来ている選手に)「そう!そのプレーだ!」
「集まろう、もう一度話すよ。」
「一度、水を飲もう。」
他にも、いい案は、もっとあると思います。
条件は、目の前の子供たちが、分かる言葉であること。
コーチの大きな武器である、言葉。
いつ、何を、どのように用いるのか?
簡潔であること。
明確であること。
それだけでなく、対象である選手の言語レベルに合っていること。
ここを外してしまうと、その武器は、武器にもならない。
我々の、永遠の課題の一つですね。
「誰に話していますか?」
2018年11月10日
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