2018年11月10日

誰に話しているのか?

 私は、サッカー・フットサルを始めたばかりの人間に指導をする機会が、とても多いです。

それは、子供の場合もあれば、大人の場合も。










 まず、大人の場合で考えます。

フットボールのコーチ同士なら、分かって当然の用語が多数あります。

その言葉を用いることで、コーチ同士のスムーズなコミュニケーションを助けてくれます。

専門用語。

どんどん、新しい用語、流行言葉のような用語も、出てきますね。

勉強を怠ると、すぐに置いていかれてしまう。

専門用語の方が、端的に、言いたいことを伝えれる場合が多いのでしょうか。

用語を理解していれば、その周りの情景も浮かんできますよね。

その後の会話が、とんとんと運びます。

その用語に対する解釈や、支持不支持を知れば、サッカー感も知り得る助けになります。












 選手は、その言葉を知らないこともたくさんあるでしょう。

たとえ、何年もプレーしている選手であっても、知らない用語はたくさんあります。

それが、初心者ならどうでしょうか?

スムーズなコミュニケーションを助けるどころか、足かせになってしまう。

まるで、知らない国の単語を用いて話しかけられた時のように。

その単語を使われた側の脳みそは「???????」

会話の中で、「???」が生まれたら、それ以降の内容は、まるで入ってこないでしょうね。

私も、今年、ロシアに行って、本当に困りました。

英語を使える若者はまだしも、全く英語を使えない現地の方とは、会話が成り立ちません。

それは、しょうがないですよね。

お互い、何を話しているのかを、分からない者同士なのですから。

私の指導での大切なポイントは、選手の言葉のレベルを的確につかむことにあるのです。
















 大人と大人のコミュニケーションですら、こうなのです。

これが、大人対小学生ならどうでしょうか?

大人なら、今までの経験から、何となく類推することが出来る場合もあるかもしれません。

他の場所で、同じような言葉を聞いていたかもしれません。

語彙レベルが、大人に達していない子どもたち。

フットボールの専門用語はもちろん、日本語そのものの知識も浅いでしょう。

指導者なら当然理解している言葉。

大人なら分かるであろう言葉。

そのいずれも、子供たちにとっては、「???????」ですよね。















 もう、7・8年前になりますが、こんなことを目撃しました。

夏休みに、スペイン系のクラブが、サマーキャンプを開催しました。

本国からコーチが来日し、そのクラブのメソッドで、日本の小学生に指導をしてくれます。

もちろん、スペイン人コーチは、日本語を話せません。

日本人の通訳が、コーチの言葉を訳して伝えてくれていました。

私は、低学年のグループを見学していました。

暑さのせいか、子供たちが、コーチの指示通りのプレーに取り組んでいませんでした。

そして、単純なミスを、何度か繰り返してしまいました。

「集中できていないよ!」「集中しよう!」

通訳が大声で、コーチの指示を訳しました。

ところが、子供たちのプレーは、一向に変わりません。

コーチは、さらに大声で情熱的に指示を出します。

通訳も続きます。「集中だ!」

子供たちは、コーチの顔色をうかがって、こじんまりと、そつなくプレーして、そのセッションを終えました。
















 子供たちは、真面目に取り組んでいました。

憧れのクラブのコーチの指導ですから、必死に取り組もうとしていました。

残念なことに、彼らはスペイン語は分かりません。

ごくごく簡単な言葉を除いて。

そして、日本語であっても、大人の言葉は使えません。

彼らは、「集中」という日本語も知らなったのです。

6歳〜8歳の小学生ですから、知らない子どもがいても、おかしくありません。

でも、コーチも通訳も、そこに気が付いていませんでした。

大人の言葉で、いくら指示を繰り返しても、子供の耳には入ってこない。

いくらコーチや通訳が頑張っても、子供の心を動かすことは出来ません。














 では、どのような言葉が必要だったのでしょうか?

「コーチの話、聞こえた?」

「やってみよう!」

「失敗してもいいよ。」

(出来ている選手に)「そう!そのプレーだ!」

「集まろう、もう一度話すよ。」

「一度、水を飲もう。」

他にも、いい案は、もっとあると思います。

条件は、目の前の子供たちが、分かる言葉であること。















 コーチの大きな武器である、言葉。

いつ、何を、どのように用いるのか?

簡潔であること。

明確であること。

それだけでなく、対象である選手の言語レベルに合っていること。

ここを外してしまうと、その武器は、武器にもならない。

我々の、永遠の課題の一つですね。

「誰に話していますか?」
posted by プロコーチ at 02:33| Comment(0) | コーチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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