2013年12月22日

ゴールを駆け抜ける

「世界で戦うためには、強靭なメンタルが必要だ」

ウサインボルトが語りました。

日本の高校生アスリート、桐生祥秀との対談でのことです。

この席でボルトは、未来のライバルに向け、終始優しく語りかけていました。

派手なパフォーマンスが嘘のように、落ち着いて、優しい表情。

その一方、その口から語られる言葉は、とても重みのある内容です。

「失敗から学べ」

「目標を世界一に設定し、自分のモチベーションにする」

おそらく桐生祥秀にとっては、生涯忘れることの出来ない時間になったのではないでしょうか。








 

 その中で、全てのアスリートに通じる言葉もいくつもありました。

「成長するためには、レースのビデオを見る、そしてコーチの話を聞く。」

やはり、種目が違っても同じなのですね。

試合を分析して、トレーニング内容に反映させていく。

長期の目標は立てているが、少しずつ修正させながら、歩んでいく。

フットボールの世界の、M-T-Mメソッドと同じでした。









 そして、桐生祥秀のレースのビデオを見て、技術的な側面にもアドバイスを始めます。

「ゴール前でスピードを上げようとして力が入り、フォームが崩れている。

 ゴール前では、今以上にスピードは上がらない。

 そのままゴールを駆け抜けるように」

ゴールのテープを意識し過ぎて、フォームが崩れていく悪い癖をボルトは見抜いたようです。

最後の最後で、もうひと踏ん張り!と力が入ってしまうのでしょうか。









 これは、我々の世界でも通用する考え方に思えます。

ボールをコントロールして、シュート!

ドリブルして行き、パス、もしくはシュート!

力が入ってしまい、狙ったようなボールを蹴ることが出来ない。

力を抜いて、いつも通りのフォームでボールに向かえばいいのですが。

ボルトを見習い、それ以上の力が入らない、自然に駆け抜けるようにキック。

スピードを上げようとするのではなく、いつものリズムのままで、キックすれば。

それが、いいキック、いいシュートにつながるのかもしれない。










 ボルトは、こうも語っていました。

国のために走るのではなく、自分のために走り、楽しむこと。

それが、日本のためになればいい。

くれぐれも変なプレッシャーをかけないようにと。

将来二人の対決が見られると面白いのですね。
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2013年11月17日

半端ないが、忠実なゴール

 オランダとの親善試合で、見事な日本代表のゴールが2つも決まりました。

一つは、本田選手のゴール。

素晴らしいコンビネーションでした。

パス&ムーブの繰り返しに、少ないタッチでのパス交換。

日本人なら、誰もが大好きな形ではないでしょうか。

初めて、オランダに負けなかった試合として記憶されるでしょう。









 それよりも価値があったと私が考えるのが、大迫選手のゴールでした。

前半残り数分。

0対2でリードされる展開。

ロッベンにスーパーなシュートを決められ、暗い雰囲気になりかねない。

オランダは、少しペースを落として、2点のアドバンテージをそのまま後半に持ち込みたい。

後ろでゆったりと組み立てようとする意図が見られます。

縦パスを狙わず、ボールを進ませずにポゼッションをしていました。

このまま、2点のビハインドを持ったまま後半に入ると、敗色濃厚です。

そこで追い上げを図るゴールを決めたのですから、1点以上の価値がありました。

半端ないと言われる彼ですが、抜群の仕事をしてくれました。










・オフ、ザ、ボールの動き

大迫選手は、縦パスを受けるためのポジションを常に探しています。

DFを背負ったところから、クッと方向を変え、下がってきて足元に。

DFとDFとの間で半身になり、マークの責任を曖昧にさせておいて、背後を狙う。

自分勝手に動くのではなく、ボールの動きを予測しながら、タイミングを作っている。

周りの選手は、彼の動きが、おそらく目に入りやすいのではないでしょうか。

得点シーンもそうでした。

長谷部選手がが前を向くまでは、半身でサイドステップを踏んでいました。

ゴール方向を意識した体の向きを作っているのが、まず一つ素晴らしい点です。

ボールがどっちに流れても、(ターンして前を向く、後ろに落とす)対応可能にするためでしょう。




 長谷部選手が前を向いた瞬間、ステップを変化させます。

サイドステップから、クロスステップへの変化です。

これはボールから離れるように、プルアウェイの動きを入れるためです。

スピードを上げながらも、オフサイドにならないように。

マークされていた相手DFの視界からも逃げるために。

そして、ゴールも見ながら、ボールを持った長谷部選手とが同時に見えるように。





 さらに、彼は、そのランニングの途中で、コースを微妙に変化させています。

一度膨らみながら、プルアウェイ。

ところが、そのまま走っていくと、詰まってしまう。

当初思ったパスのタイミング、パスを受ける場所では、受けれないと判断した。

その次の瞬間、もう一度、キュッと膨らみ直しました。

瞬時に計算したのです。

相手との距離、長谷部選手のドリブルの持ち方、背後のスペースを計算材料に入れました。

そして自分がボールを受け、シュートに打つための最高の間合いを作りたかったのです。











・シュートの技術

いいオフの動きのおかげで、最高のタイミング、最高の場所でボールを受けようとする大迫選手。

と言っても、自分の右手側と背後からはDFが迫って来る。

目の前にはGKが待ち構えている。

ボールを止める余裕はありません。

彼は、迷わずワンタッチシュートを選択しました。

この時の技術が、まさに教科書に載せたいようなシュートなのです。




 まずは、体の向き。

体をゴールに向けていません。(正対していないという意味です)

ボールとニアポストとの間に体が向いています。

これ以上、ゴール側に向け、開いてしまうと、シュートは左(ファー側)に切れていきます。

某テレビ番組ボレーシュート勝負のコーナーがありました。

そこで、木村和司さんが自チームの選手に指摘していました。

「そのボレーのフォームじゃ入らんよ、体が開いてしまっとる」

案の定、シュートは枠にすら飛びませんでした。




 そして、足の振りです。

体を閉じたまま、キックする面も同じ方向に向けておく。

そのままゴールに向かって足を振っていくのです。

インパクトの瞬間、蹴り足の膝がボールの後ろにあると、ボールをふかしてしまう。

彼は、軽く飛んでまで、膝をボールの上にかぶせようとしています。











・絶対に抑えたシュートを打ちたい

彼は、ジャンプしてまで、膝をかぶせています。

さらに、左腕の使い方もポイントでした。

たった10Mのシュートですが、左腕を大きく使っています。

これは、ボールに勢いを与えるためではなく、ボールをふかさないためでしょう。

まずは、左腕を振り上げボールを迎え入れます。

そしてインパクトに向かって、腕を下に振り下ろして行っています。

この動きを入れると、足の振りに上体が負けないのです。

いくら膝をかぶせようとしても、胸が空を向いてしまっては、ボールは上に飛びやすくなります。

広げた左腕を下に振り下ろすことで、上体をコントロールしているのです。

彼が、絶対にボールをふかしたくない!その気持ちが現れています。










 今回の大迫のゴールは、彼の偶然のヒラメキに任せたゴールではありません。

彼の努力の結晶で生まれたゴールです。

磨き上げられた、個人戦術の能力。

ゴール方向に、抑えの利いたボールを飛ばすための技術。

このゴールを見れば、彼が基本に忠実にプレーしている選手であることがよく分かります。

その基本を簡単に身につくものではありません。

身につけるために、単純でつまらないトレーニングを積み重ねたことでしょう。

私は、彼の高校選手権で、圧倒的な存在感を目にしました。

パワー、スピード、ボールコントロール、そして強引にでも決めきる力。

全てにおいて、高校生のレベルではありませんでした。

あれから、5年が経ったのでしょうか。

所属クラブで、いい時間を過ごしていることが、よく分かります。

彼のような選手を見ると、日本の環境も捨てたものではないですよね。
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2013年11月09日

神の一歩

 2013U-17ワールドカップ。

日本は残念ながら敗れてしまいましたが、レベルの高い試合が続いているようです。

決勝は、ナイジェリア対メキシコでした。

どちらも、育成年代では結果を出しており、この年代では強豪と言えます。

決勝戦を観るにあたって、当然思い起こさせること。

それは、もし96ジャパンがこの舞台に立っていたら、どうなっていたのか?

対メキシコ、対ナイジェリア、相手を打ち負かすことが出来たのかどうか?








 私は特に、ナイジェリアの選手たちの身のこなし、ボールタッチに目を奪われました。

股関節の可動域が広いのか、体の平衡感覚に優れているのか?

元に入ろうが、体から離れてしまおうが、関係なくボールを支配下に置いてしまいます。

恐ろしく、反応が素早い。

どんな体勢からでも、次の一歩が出てくるのです。

ボールをコントロール出来る範囲が広い。

体が自在に動いて、ボールを広くコントロール出来るので、ボールと体とが一体化している。

メキシコからすれば、奪えているつもりでも、奪えていない。

抜いたつもり、外したつもりでも、ついてくる。

一人一人が、恐ろしい程にボールを持てるのです。

確かに、このような強烈な個と相対したら、1対1で勝負して勝てとは簡単に言えない。









 丸いボールは、どちらに転がるのか分からない。

だから、フットボールというスポーツは面白いとも言われます。
 
ナイジェリアの選手たちのボールタッチ。

彼らはボールが次にどこに転がるのか、予測出来ているのではないか。

そして、ある程度分かっているから、多少目測がズレたしても、対応が出来ている。

一言で言うと反応が速い。

ここからは、想像にしか過ぎないのですが、、。

その反応の速さを支える一つがピッチコンディションにあるのではないでしょうか。

彼らが育ったピッチは、決してカーペットのような芝や人工芝のピッチではないはずです。

アスファルトや、土のピッチすらあったでしょう。

芝といっても、穴ぼこだらけの、土のような、芝のようなピッチだったのではないか。

私が2010年に訪れた南アフリカでは、少なくともそのようなピッチを目にしました。










 バウンドが予測できないようなボコボコのピッチ。

そこでプレーし続けていると、何となく、次のバウンドが分かるようになる。

そしてとっさに、なぜか分からないけど、自分の足が一歩が伸びる。

神の一歩とも言える、まぐれにも等しい一歩。

ところが、それを続けていると、神でもまぐれでもなく、自然に一歩が出てくるのです。

それが、ボールタッチの懐の深さや、足がグッと伸びる感覚につながっている。

付け加えて言うと、コントロールミスをしてボールが浮いてしまった時の対応も慣れている。

相手を感じて体を入れる、腕を伸ばしハンドオフ。

これも、幼い頃からの積み重ねです。









 天才と言われ、今はアカデミーでコーチをされている、菊原志郎さん。

こんな伝説があります。

子供の頃、父親の発想で、階段を上り下りさせられていた。

もちろんボールと一緒に、団地の階段を上から下まで。

上に上がる時は、ヒョイヒョイとボールを持ち上げる感覚を養う。

下に降りる時は、足を差し出す感覚が養われる。

ボールが階段のどこに当たるかを見れば、ボールがどこにどれくらい弾むか。

最初は分からないけど、繰り返す内に、分かってくる。

ボールが行く先に、サッと足を差し出し、次につなげていく。

天才と呼ばれた志郎さんのボールタッチは、このようなところでも磨かれた。











 この伝説は、20年以上前のサッカーダイ*ェストに掲載されていました。

ナイジェリアの選手たちを観ていて、この伝説を思い出しました。

思い出して、家の階段で試してみました。

神の一歩は、そう簡単には出てきません。

物が壊れ、自分が怪我をするのが先か、神の一歩が出てくるのが先か。
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2013年09月27日

サッカー指導教本から

 我々、JFAに登録する指導者は、一度は目にしたことがある。

それが、「サッカー指導教本」です。

C級、D級ライセンスを取得する時に、教材として用いられます。

指導教本2012年度版が発行されています。

JFAによると、「2012年4月よりJFA公認指導者C級・D級のカリキュラムが改訂されました。」

今後数年は、この教材を基に、C・D級の講習会が行われる。

この教本と共に、多くの方が、コーチとしての第一歩を歩みだすのでしょう。

専門的ではあるが、分かりやすく書かれています。












 私は20年前に、初めてこの世界に足を踏み入れました。

20年経った今でも、入門書である指導教本は、手放せません。

改定されるたびに、何度も読み返すようにしています。

20年内容が変わっていなければ、読み返すこともないかもしれません。

そして、数年おきに、内容が改訂されていきます。

改めて、昔のものをめくると、だいぶ様変わりしています。

この変化が、日本サッカー界の進歩の証なのかもしれません。









 2012年度版を読んでいると、ある箇所に目が止まりました。

技術の部分でした。

そこでは、キックのコツを分かりやすい言葉で紹介されていました。

その表現が、妙に心に残ったのです。

「ボールと地面との間に楔を打つ」

この表現は、今回の改訂で初めて書かれたはずです。

なるほど、いいかもしれない。





 例えば2007年度版には、箇条書きでこのように書かれています。

・アプローチ

・立ち足の位置

・立ち足の柔軟性

・当てる面の固定

・ボールをよく見る

・ボールをとらえるポイント

キック寸前を収めた一枚の写真と共に、記載されています。

引用・・・サッカー指導教本2007 財団法人日本サッカー協会

こちらの方が論理的ではあります。

イメージを伝えるという部分では、今回の表現は使える?!





 今日、試してもらいました。

「ボールと地面との間に楔を打つ」イメージを伝えます。

そうしてから、インステップキックに取り組んでもらったのです。

すると、数人の選手にいい変化が生まれました。

ボールの質が変わったのです。

最後に質問すると、興味深い反応。

「足の振りが速くなった」

「イメージをつかみやすかった」

一方で、「よく分からんないから、やめた」否定的な意見もありました。









 私自身も、試してみました。

すると、ボールに高さが生まれやすい。

これは、「ボールと地面との間」を意識するからでしょう。

飛距離や威力が増したかどうかは、分かりませんでした。

でも、キックの瞬間に向かって、スイングスピードを高めやすい感覚はありました。

これは、「楔を打つ、打ち込む」が作用したのでしょう。

インステップを、ぶつけていく感覚?









 どこまで効果があるかは、まだ確信がつかめません。

1つのヒントになるかもしれない。

実際に、その一言でいい方向に変わった選手もいましたからね。

ボールに高さが出ない、スイングスピードが上がらない。

そのような選手がいれば、一つのヒントになり得る?かもしれません。
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2013年05月31日

間でしか受けれない

 日本対ブルガリアの親善試合で、参考になるシーンが何度もありました。

ブルガリアの選手といえば、ストイチコフ、コスタディノフ、バラコフ。

彼らが活躍した、94年のワールドカップが懐かしい思い出です。

その後は、プレミアリーグで活躍する、ベルバトフ。

何人か選手は思い浮かびますが、代表チームの成績は、最近低迷気味。

94年のベスト4を頂点に下降しています。

98年のワールドカップや、1996・2000のユーロではグループリーグで敗退。

その後は、本大会にも参加できず、ヨーロッパ予選で敗退を繰り返しています。









 華々しい活躍が近年聞こえて来ないため、簡単に考えていた部分もあるのではないでしょうか。

ブルガリア代表チームは、好チームでした。

真面目に、試合に取り組んでいました。

海外からくるチームは、代表とは名前ばかりの、代表歴の浅い選手の集まり。

はたまた、観光気分で試合に来て、コンディションが低い。

後半に入ったら、バッタリと足が止まって、ゆるい試合をして帰国していく。

そんな、志の低いチームとは対極にある。

高いモチベーションを持って、試合に臨んでくれたことが感じられます。

親善試合の相手としては、数年前のチリ代表に匹敵する、好チームでした。








 しかも、一人一人の基礎技術、個人戦術の能力が高さがあります。

攻撃の選手のボールの受け方が素晴らしい。

縦パスを受けるときの体の使い方が、抜群でした。

縦パスの受け方として、人と人との間で受ける方法が、多く見られています。

バルサの選手が、その典型です。

ゾーンの切れ目を探しながら、間に入り込んでボールを受ける。

狭くても、足元に強いパスを要求し、ボールを受けるのです。

これは一つ、素晴らしい受け方です。









 ブルガリアの選手が見せたのは、これではありません。

ボールを受ける寸前に、日本のDFを背負って、ボールを要求する。

それまでは、少しだけずれた位置にいて、受けるその寸前に、体を入れます。

この時、自分からガシッと背中をぶつけて、相手の出足を防ぎます。

両手を拡げ、腰を落として、背中やお尻で相手を受け止めます。

自分から!というのが、ミソですね。

体をぶつける方法、コンタクトスキルが、非常に高いのです。









 2M近い大柄な選手がしているのではありません。

170センチ台の選手が、このコンタクトプレーをいとわないのです。

背中でガッシリ受け止めて、味方にボールを落とす。

高い位置に基点を作って、チャンスにつなげている。

古典的とも言える、ターゲットマンのプレーです。

古典的ではあるが有効なプレー。

実際に、このプレーから何度か、シュートシーンを演出しています。








 日本の選手は、ポジショニングや、フリーランニングを駆使して、ボールを受けています。

考えながら、ポジションが取れる。

中強度のランニングを、長い時間続けられる。

日本人の武器と言えるでしょう。

でも、本当に狭い局面では、人との間も、走り回るスペースも減少していきます。

そうなったら、ボールを受けることすら厳しくなってしまう。

タイミングを合わせ、瞬間的に走り込んでボールを受け、それを繰り返す。

日本人のよさかも知れませんが、これだけではない、ボールの受ける方法。

間で受けようとしても、間が小さく小さくなってしまう。

すると、ボールの動きはノッキングを起こし、相手の守備陣形は崩れない。











 背中で相手を受け止めて、ボールを受ける。

腰を落とし、腕を広げる。

背中やお尻を、相手にグイグイ押し付け、コンタクトしていく。

このように体を張って、縦パスを受ける。

古典的かもしれませんが、かなり有効だということを再認識しました。
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2013年04月09日

解放される。

今日、15年ぶりにトラックを運転しました。

スクールで使う備品を、移動させるためです。

レンタカー屋に連絡をし、借りる手続きをしました。

トラックといっても、2トントラック。

幾つか、心配事がありました。
・マニュアル操作をしなければならないこと。
・車幅が長く、後ろや巻き込みの感覚がずれること。
・高い位置から見下ろすので、見え方が違うこと。

普段からトラックを運転している方からしてみれば、ちっぽけなことかも知れませんが、。









レンタカー屋を出て、数10M出たところでしょうか、ギアチェンジが上手く行かない。

そして、エンスト。

狭い道路で、立ち往生してしまいました。

後ろから、レンタカーの店員さんがダッシュで駆け寄ってくれました。

心配だったのでしょうね。

「大丈夫ですか?!」

私は、大丈夫ではないので、運転を教えてくれと、お願いしました。

口頭で、発進とギアチェンジのレクチャーを受け、再始動。

何とか、かんとか、走り出すことができました。

再度、安全運転を心に固く誓い、慎重に走ります。









 発進・ギアチェンジ、その度にクラッチを踏み、ギアを操作しなければならない。

マニュアルカーなので、当然です。

すると、自分の意識が、そちらにギューと向かってしまうのです。

左手を操作するところに、視線も向いてしまう。

クラッチを踏む足に、意識が集中してしまう。

少しずつ、なめらかに、発進・ギアチェンジをすることができてきました。

慣れてくると、少しずつ楽しむ余裕も出てきます。

「あっ、今、上手に出来たかな。」

そう思った矢先に、坂道発進を失敗して、数分間でしょうか、立ち往生です。

手に汗をびっちり。

ようやく進めましたが、簡単ではありません。









 しばらく走っていると、あることに気がつきました。

自分の後ろの車が、妙に距離を長めに取ってくれていたのです。

私のトラックが、危なっかしい運転をしていたのでしょうね。

前方向は、信号や、前方のクルマに注意しながら、視線を向けてました。

ところが、バックミラー・サイドミラーは?

ほとんど、見ていなかったのです。

歩道や、曲がらない交差点の周辺、そして後方のクルマの位置。

何一つ確認せずに運転していたのではないか。

その理由は、車の操作に意識の多く、視線までも向いていたからです。

スピードを出していないとは言え、恐ろしい運転をしてしまっていた。

それ以降は、前方以外にも意識を払いながら、目的地に向かいました。










 クラッチやギアの操作は、手段です。

車を動かすために必要なのですが、手段に過ぎません。

目的は、車を安全に速やかに、目的地まで運転すること。

運転技術が稚拙なせいで、手段が目的にすり替わってしまった。

ギアを変えることに、集中しすぎていた。

だから、周りが見えなくなってしまった。

この状況では、冷静な判断など出来るわけがありません。

トラブルが起こらずに、本当によかった。










 ボールを止める、蹴る、運ぶ、外す、ヘディング、ボールを受ける。

ポジショニング、構え、アプローチ、体の向き。

攻守に渡り、たくさんの技術が、瞬時に求められています。

ただ、その全ては手段にしかすぎない。

目的は?

攻撃の目的は、突破のドリブルでも、正確なキックでもない。

守備の目的も、体の向きを作ることでもなければ、いい構えをとることでもない。

技術に自信がないと、見えなくなってしまう。

技術を遂行することが、目的になってしまいかねない。

ボールから自由になること。

ボールから自由になることで、見ることができ、アイデアが生まれる。

アイデアが生まれても、技術が無ければ、実行できない。

だからこそ、技術を高める取り組みを続けなければなりません。










 トラックの運転は、無事終わりました。

トラブルなく、備品を運搬することができました。

ふと気づくと、肩や腰がバキバキに張っていました。

余計なところに、力が入っていたのでしょうね。

次、トラックを運転するのはいつでしょうか?

少しは自信を持って、臨めるかもしれません
posted by プロコーチ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月19日

私の失敗を活かす

 ピッチの上に立っても、指導をしていることがほとんど。

自分自身、ボールを蹴るのが大好きなはずなのに。

プロのコーチとして、生計を立てれていることに、何一つ不満はない。

でも、やっぱりボールを蹴りたい!試合をしたい!

自分がボールを蹴る機会を、多少無理してでも、作ろうとしています。

私がプレーするのは、センターバックか、中盤の底がほとんどです。








 そんな私が、最近、気づいたことがあります。

自分のプレーのせいで、自分自身のプレーの選択肢を狭めてしまっている。

そんな瞬間を、感じるのです。

後方から、攻撃の組み立て、ビルドアップに積極的に関わりたい。

そのためには、ボールを受けなくてはならない。

サポートについて、顔を出す。

声を出し、体の向きを作り、ステップを踏みながら、準備をする。

ボールを受け、縦パスを狙い、サイドに散らす。

中盤に組み立てる、キーとなる選手がいれば、いち早くボールを預ける。 








 ここまでは、いいのです。

問題は、この後。

センターバックとして、ボールを持ち出す。

中盤の底でも、同じです。

目の前の相手選手を置き去りにできる。

一つ、深い位置まで侵入すると、パスのアングルが広がる。

横にパスを回すだけでなく、前に進むためにボールを前方のスペースに持ち出す。

もし、相手選手が当たりに来ると、相手の組織(ライン)はブレイクさせられている。








 
 さて、その時。

いざ、パスを出そうとすると、選択肢が狭まってしまっているのです。

スピードを上げすぎているため、ボールを蹴れるアングルが狭まってしまう。

そのままの体勢では、前方の左右90度くらいに狭まっている。

さらに、その角度に出せるとしても、グラウンダーは蹴れるが、浮き玉でパスを出すのが難しい。

スピードを上げることで、相手を置き去りに出来た。

パスのアングルが広がったはずだったのに、、。

スピードを上げすぎて、窮屈になってしまった。








 もう一つは、体の近くにボールを置きすぎている。

ボールを持ち出す時、相手に奪われたくない。

少しでも、自分の体の近く、膝の下あたりにボールを置いておきたい。

自分は、ほぼ、利き足でドリブルしている。

利き足の真ん前、膝の下あたりにボールを置いて、ドリブルをしている。

一つ前のライン間までボールを運べた。

さて、そこで、パスを出そうとする。

フリーになった、私を見て、味方選手が動き出してくれる。

近くなら、パスを出せる。

ただし、一つ飛ばした先には、パスが出せない。

無理やり出したとしても、狙ったところには、ボールが飛ばない。

そして、まっすぐの助走で、ボールを広いアングルに蹴ることは相当難しい。

真っ直ぐ助走して、真っ直ぐロングボールを蹴るだけでも簡単ではない。

前・斜め前は出せても、斜め前・横方向にはパスが出せない。









 なぜか?!

それを考えてみました。

撮りためている映像や、写真を繰り返し観てみました。

世界の一流選手は、どのようにしているのか?

そして、今回の2つの理由に行き着きました。

・スピードを上げすぎている。

・ボールの置き位置と自分との関係が悪い。

この2つを修正すること。

そうすれば、パスの狙える距離が伸び、角度が広がるはずです。

止まったボールを、ゆったりと蹴ると、狙ったところにある程度は飛んでいきます。

この時、ボールはどこにあるのか。









 この視点は、今後の指導にも役立つはず。

困っている、選択肢を狭めてしまっている選手がいれば、このポイントを伝えてあげる。

「スピードを上げすぎているぞ」

「そこにボールを持って、ロングフィード出来るか?」
posted by プロコーチ at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月01日

本物をたくさん見る

 私が母に教わったことがあります。

「いいものをたくさん見ること、そうすれば自分の中に基準が出来る」

何度かご紹介した私の母は、40年以上、和食器を中心とした民芸品のお店を開いています。

全国から自分の目利きで仕入れをする。

若手の職人さんに、アドバイスをしながら、育成をする。

先日は長年の貢献が認められ、民芸館の大きな賞を頂いたようです。

その母の教えです。

「何がいいかを難しく考えなくてもいい、(基準があれば)自分の好きだと思うものを選ぶこと」
 
いいものをたくさん見続けることで、目が養われていくとのことです。










 さて話は変わりますが、昨日、テレビでバイオリンの特集をしていました。

千住真理子さんという、著名な演奏家の方が出ていました。

彼女の愛器は1716年製ストラディヴァリウスで、「デュランティ」という名前。

しかも、幻の名器らしく、その価値は数億円だそうです。

番組の中で、彼女が2台のヴァイオリンで演奏してくれました。

一方は10万円のヴァイオリン。

もう一つは、数億円の愛器。

同じ曲を演奏するのですが、私にはどちらがよくて、どちらが悪いのかが分かりません。

違うことは分かるのですが、どちらがいいのか?!

10万円の方が、実は数億円のものだった!と言われても、正直区別がつかない。

恥ずかしながら、私の耳は貧しいものですね、、。










 和食器においては、私の中に、ある程度の基準があります。

安物だな、工業製品だな、職人さんが丁寧に作っているな。

その違いは、ひと目で分かります。

生まれた時から、私は母の選んだ多くの食器に囲まれていました。

民芸館や博物館に他店など、様々な見る機会を与えてもらっていました。

プロの目利きとは言えませんが、自分の好みは言えるレベルになることが出来ました。

でも、ヴァイオリンの好き・嫌い、良い・悪いは分からない。

自分の中に基準が無いのです。

それはもちろん、いいものを繰り返し聴いていないからです。









 フットボールの世界においても、同じことが言えるはずです。

例えば、テクニックを習得させるために。

世界のトップ選手が、どのように行っているのか?

トップオブトップの選手を何人も見る。

一人一人が持つ技術は、もちろんそれぞれ異なっています。

でも、彼らの中に、共通する特長があるのです。

良いものをたくさん見て、テクニックにおいての基準が出来る。










 指導の際には、それを抜き出して、言語化する。

何度も何度も見て、彼らに共通する何かを見つける。

では、目の前の指導対象はどのように、プレーを実行しているか?

自分の中にある基準と比較してみる。

すると、何を伝えればいいのかが、浮かび上がってくる。

そのポイントを伝えれば、選手が変わるきっかけを手に入れることも!










 この基準が、自分の経験則でのみ、築き上げたものなのか。

自分の経験は、もちろん大事。

その基準は、汎用性のあるもの?

まずは、お手本となるべく、いいものをたくさん見て研究すること。

それが、自分の中の基準になっていく。
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2013年01月29日

四隅に。

 私のスクールでシュート、つまりフィニッシュをテーマにした授業をすることになりました。

今までも、何回か取り組んできたこのテーマ。

何を、どのように伝えていけばいいのか?

どの部分を改善すべく、取り組んで行けばいいのか?








 以前に取り組んだ際には、ボールの状態における留意点を伝えました。

3回に分けて、トレーニング。

・ボールが後ろから前に転がっている
(パスを追いかけている、ドリブルで前に持ち出して)

・ボールが前方から自分に向かって転がってきている
(FWの落とし、相手のクリアボール)

・ボールが横から入ってきた
(クロスに対して、グラウンダーの横パス)

それぞれ、技術的・戦術的な側面をピックアップして、伝えていきました。









 今回は、これらと違った切り口で伝えることになりました。

1回目は、2タッチでシュートを打つ状況でのトレーニングにしました。

その中で、大きくこだわった点。

「四隅に打てる状態を作る」

これは、B級講習会の中で、印象に残っていることでもあります。

インストラクターのコーチが、我々に、伝えてくれたことでした。

(ゴール右下隅、右上隅、左下隅、左上隅の四隅)










 ボールをどこに持つのか?

ポイントは、体の中に、ボールを入れない。

体の構造上、股関節の可動域には限界がある。

つまり、右利きの選手が右にシュートを打ちたい時に、体の向きが変わりやすい。

ボールが体の中にあると、それがハッキリと起こってしまう。

左右のどこに打っても、体の向きが変わらないのが理想。

このようなボールと自分との関係はどこか?









 ボールをコントロールした時。

また、ドリブルしている時。

ついつい、ボールの位置が体の中に入ってしまう。

ボールは奪われにくく、運べるかもしれないが、

それでは、シュートを打つまでに時間が掛かってしまう。

左足も、右足も同様に使える選手は、少ない。









 利き足を意識して、ボールを置く。

そして、単純に利き足の前では無い。

四隅に、スムーズに打てる、ボールの位置を探すこと。

ボールと自分との距離は?

自分とボールとの角度は?

これが見つかれば、いかに速く、この場所にボールをコントロールするのか?

簡単ではないが、四隅に打てる位置にボールがあれば、GKは困ってしまう。










 GKがボールを簡単に見送ってしまう。

それほど強くないシュートなのに、GKの反応が遅れてしまう。

なぜこのようなことが起こるのか?

四隅すべての場所にシュートが打てる位置にボールがある。

そして、相手GKにシュートのタイミングを教えない工夫。

トレーニングの最後には、そのようなシーンが見えてきました。

簡単なことではないけども、価値のある取り組みであることを実感した瞬間でした。





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2012年10月16日

ルーズボールをマイボールに

 日本が、歴史的な勝利を収めたフランス戦。

守って、守って、一発のカウンターアタックでゴールを奪う。

強豪国との対戦時は、この戦い方を狙うべきなのではないか?!

日本人の良さが生きていた。

困難に耐える精神力、チームの約束事を守る力。

あれだけ攻められても、幅も厚みもコンパクトな状態を保ち続けた。

南アフリカでも見せてくれた、世界に通用する戦い方です。







 このフランス戦で、興味深いプレーがありました。

フランス代表、カリム・ベンゼマ選手が、そのプレーを見せてくれました。

あっという間の、何気ないプレーなのですが、彼の能力の高さが分かります。

ボールコントロールが巧みで、力強いシュートも決める。

かと言って、独善的にプレーをするのではなく、周りを使うプレーも。

ドリブルの突破も出来、ボックス内でも落ち着いたプレーを見せる。

対峙する相手DFは、本当にしんどい思いをさせられるでしょう。







 アタッカーとして、素晴らしいプレーを見せるベンゼマ選手。

見せてくれた、何気ないプレーとは、ルーズボールを奪い合う局面で見せてくれました。

ドリブルのタッチが乱れ、相手DFとの間にボールがこぼれます。

向かい合った二人の間で、どちらのものでもない、ルーズボールになりました。

ほんの一瞬なのですが、集中している両選手、すかさず、反応を示します。

日本のDFは、チャンス!とばかりに足を伸ばしてきます。

スタンディングタックルです。

ところが、ベンゼマ選手は、ピタッと止まります。

すると、もちろんボールに先に触れたのは、日本人DF。

ボールは、止めて待っていたベンゼマ選手の足に当たります。

そして、日本DFの足を越え、ベンゼマ選手側に、ボールがポロリとこぼれました。










 この、一連のプレーは、ほんの一瞬のうちに行われました。

ボールが、ベンゼマ選手の下にこぼれたのは、偶然ではありません。

ベンゼマ選手は、狙いを持って、足の動きを止めたのです。

ルーズボールの競り合いでは、ボールの正面に入り、一瞬止まって、壁になる。

すると、止まっている選手が勝つのです。

無理やり足でボールを取りに行っても、ボールは自分の側にはこぼれてこない。

選手によっては、当たる瞬間に、あえて力を抜く方法を採ることもあります。









 この競り合いの一瞬の動き。

タイミングを間違うと、タックルに来た相手に、ボールをかっさらわれてしまいます。

逃げずに、ボールの正面に入りながらも、一瞬止まる。

もしくは、力を緩める。

すると、相手の足の上をボールは越えて行き、自分のボールになる。

力強くボールにタックルに行った選手の力を、うまく利用するイメージでしょうか。

小さい頃から、たくさんの競り合いを繰り返す中で身につけた技術に違いありません。

カリム・ベンゼマ選手の、技術の幅を、改めて見つけました。


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2012年09月11日

キックの習得のために

 私たちのスクールでは、インサイドキックに1つのこだわりを持って指導しています。

ボールを大事する試合を行うために。

多くの人間が、できればすべての選手が、試合を組み立てていく。

キック&ラッシュ、特定の人間のパワーやスピードに頼らないために。

試合の中で、多少プレッシャーがあったとしても、パスをつないでいきたい。

そのための、大切な武器となるのが、インサイドキックです。








 10年間、このことに取り組んできました。

それは、選手だけでなく、コーチも同じです。

我々の指導のレベルも、徐々に高まってきています。

どこを見て、何が足りないのか?

そして、どのように伝えて行けばいいのかも、見えてきています。

10年の蓄積でしょう。

まるっきりの初心者であっても、必ず、インサイドキックを習得できる。

そんなメソッドを持てるようになりました。

どのようなトレーニングをすれば、目の前の選手が蹴れるようになるのか。

どのようなアドバイスをすれば、キックが改善するのかを。









 そして、今回、新たなチャレンジに取り組んでいます。

インステップキックです。

このキックを、0から習得していくこと。

経験者であれば、当たり前のように蹴っているかもしれない。

ところが、回転や弾道、伸びを意識して蹴れているかどうか?

意外と、蹴れていない経験者も少なくないはずです。

これが、ボールを蹴り始めて数年なら、ほとんどの選手が蹴れていないのです。

どのようにして、インステップキックを習得するメソッドを構築するのか。

取り組んでみて、その深さに、難しさに気づかされました。

基本のキックの一つとされていますが、やはり簡単ではありませんでした。









 メソッドを作っていく過程で、様々な角度から研究することにしました。

熟練者と、初心者の違いは何か?

インステップキックのマスターを阻害する要素はどこにあるのか?

自分で様々な蹴り方をして試す。

たくさんのプロ選手のキックを見て研究する。

指導書、専門書をひっくり返して、ポイントを復習する。

そして、独りよがりにならないように、科学的な裏付けを持つ。

そのために、バイオメカニクス・物理の視点を持ち込みました。

ボールを遠くに飛ばす、強く飛ばすということは、感覚だけではないからです。








 多くのドリルが出来上がりました。

今後は、そのドリルの有用性を、試していく。

そして、コーチングのポイントを整理する。

この作業が進んでいけば、インステップキックの習得を助けてくれるはずです。

最終的には、選手個人が蹴って、蹴って、蹴り込まなくてはならない。

その「コツ」を伝えながら、導いていこう。

ボールが気持ちよく、スパーーンと飛んでいく感覚を持たせてあげたい。
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2012年08月31日

積み重ね。

 見事!!準決勝に進出した、U-20女子代表。

全ての試合において、主導権を握って、試合を進める。

その技術の高さ、戦術遂行能力の高さ、フィジカルの充実が見て取れます。

いい準備をして、この大会に臨んでいるのでしょう。

ゴールパフォーマンス1つを見ていても、チームの一体感が分かります。








 彼女たちの試合を見ていると、実に、積み重ねを感じます。

特に、ボールコントロール。

立ち止まって、足元に丁寧に止めて。

足元に止めて、相手と駆け引きをして。

彼女たちが取り組み続けたのは、このようなコントロールではありません。

2005年から始まった、ナショナルトレセン女子U-15。

そこから発信されていたコントロールが、ベースになっています。

2006〜8年のナショトレキャンプの名簿を引っ張り出します。

今回のU-20の選手たちの名前が、実に多く見つけることが出来ます。










 ポイントは、動きながらテクニックを発揮すること。

自分がボールを受けたい場所を空けておく。

ボールと、その場所とで出会う。

動きながらボールをコントロールして、動きながらそのままパス。

選択肢がある位置に、動きながらボールを置く。

全てのプレーは、動きながら行う。

見事ハマれば、本当にスピーディで、見ていて気持ちのいいものです。









 2005年の頃は、コントロールや、パスミスが数多く見られました。

全国から、選抜されたウマい少女たちが集まっているはずなのですが。

向かい合って行われる、単純なパス&コントロールにもミスが多く見られました。

立ち止まって、ボールをコントロールするのならば、ミスも少ないはずです。

でも、彼女たちに求められたのは、動きながら、観て、判断して、コントロールすること。

パスなので、出し手と受け手とがタイミングを合わせなくてはならない。

動きながら行うことの難しさを、見学しながら痛感していました。









 それが、2010年になると、かなりスムーズに行われていました。

ほとんどスピードを緩めることなく、ボールに近づいていく。

そしてそのまま、動きながらボールコントロール。

パチンとボールにインサイドの面をぶつける。

利き足の前にボールをコントロール。

ノッキングすることなく、プレーは流れていきます。

たった、5〜6年なのですが、明らかに上達していました。

日々、自分の所属チームで取り組んでいたのでしょうね。








 その効果は、試合で見られます。

相手を置き去りにするコントロール。

次の展開をスムーズにするコントロール。

バルサのやり方とは、また違います。

もはや、日本の女子のスタイルといってもいいでしょう。

なでしこスタイルとでも呼ぶのでしょうか。

このコントロールに、技術の高さと、蓄積の確かさを見ました。

これを武器に、残り2戦も勝ち抜いて欲しいものです。
posted by プロコーチ at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月28日

ボールを受ける前に

 アーセナルのサマーキャンプを見学に行きました。

小学生の子供たちが、暑さに負けず、トレーニングに取り組んでいました。

普段、所属しているチームとは、違うことが求められる。

そもそも、フットボールにおける、価値基準すら違うでしょう。

簡単ではない状況でも、子供たちは、一つ一つのメニューに奮闘していたのです。








 テーマの一つに、スピード!があったように感じました。

様々なスピードがありますが、単純なスピード。

ランニングのスピード。

スピードに乗った、プレー。

W-UPにも、方向を変えながら、スプリントを繰り返すものがありました。

まっすぐダッシュして、マーカーで一気に90度方向を変える。

ここには、トップチームのアーセン・ベンゲル監督の考えが反映されているのでしょう。

彼は選手を獲得・起用する際に、ランニングスピードを重要視している。

スピードを活かせる選手、彼の求める選手の条件でもあるのです。








 トレーニングを見ていると、常にステップを踏ませていました。

パスを受ける前の選手たちにです。

その場で、つっ立っていることを許さない。

てこてこ、とんとん、どのような擬音が合うでしょうか。

軽く足踏みをするように、その場で、左右の足を動かしている。

小1の子供にも、小6の子供にも、その要求は変わりません。

リラックスさせ、てこてこ、とんとん。






 
 このステップの効用は、何でしょうか。

小さくても動いていることによって、次の動きがスムーズになること。

パスがずれた、動いているから、さらに大きく動くことは難しくはない。

これが立ち止まっていると、足を伸ばしてしまいやすい。

動いているから、マークを外すために、一気にスピードを上げることもできる。

フェイクを入れて、マークを外す。

全てに通じる、予備動作になっているのです。









 これは、バルサキャンプの時にも、コーチが求めていたステップです。

この時には、両足で同時にトントンとステップをする動きもありました。

立ち止まっているように見えても、突っ立っているわけではない。

ボールの動きに合わせて、少しずつポジションを移動していく。

相手の反応に合わせて、ポジションを変えていく。

人も、ボールも止まっていては、フットボールは出来ない。

どのように動くのか?

止まっているように見えても、完全に止まってしまっているわけではない。

身につけておきたい、重要な技術の一つ。



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2012年07月31日

 生きるための知恵を用いる。

 守備における、ポジショニングの原則がある。

正しいポジショニングを取り、いい準備をすること。

ボールが入る前、オフの状態から、守備は始まっている。

いかにいい準備をするのか?

自分がマークしている選手に、いい形でボールを持たせないために。









 ボールがいつ自分がマークをしている選手に来てもいいように、準備を整えておく。

マンツーマンDFのチームは、あまりないでしょう。

マークの受け渡しや、カバーリングも意識しなくてはならない。

それでも、少しでもいいポジションを取り続けること。

いい守備をする鉄則です。








 自分のマークしている選手に、ボールが出そうだ!

いい準備をしていたら、インターセプトを狙えるかもしれない。

守備の優先順位の、最上位にあるプレー。

インターセプトが出来れば、そのままカウンターのチャンスになるかもしれない。

相手チームは、インターセプトを恐れて、パスを入れれなくなるかもしれない。

インターセプトは、味方にとっては最高の貢献です。

相手にとっては、許してはならない、最悪のプレーの一つでしょう。









 生真面目なDFは、その勢いというかオーラが他人に現れてしまっている。

インターセプトに行くぞ!プレッシャーをかけるぞ!

行くぞ、行くぞ。

体重が前に掛かって、前のめりになってしまっていることもある。

そのオーラは、もちろん相手チームにも伝わってしまう。

賢い攻撃の選手なら、そこにはパスを出さないでしょう。

もっと賢い選手なら、足元に出すふりをして、裏にポンっとパスを出してしまう。










 守備の選手も、相手選手に対する、駆け引きが必要です。

自分の意図を隠しておく。

自分の意図とは違うことを、相手に伝える、演技をする。

攻撃の選手が、フェイントやフェイクをいれて、相手を騙そうとする。

全く同じ考え方ですよね。

バカ正直に、振舞っていては、自分より能力が高い選手・チームには勝てない。

ルールに則って相手を騙すことは、悪いことではありません。

選手が、生き抜くために行う、素晴らしい工夫の一つです。

この考え方が、まさにマリーシアと呼ばれる、ブラジルの考え方です。

生きるための知恵とでもいうものでしょうか。

ずる賢さとは、異なるものです。









 この典型的なプレーが、ロンドンオリンピックのスペイン戦で見られました。

スペイン相手に先取点を奪い、ノリノリになっていた時間帯。

永井選手が、相手チームのバックパスにプレッシャー。

トラップしたところにショルダーを当て、ボールをを奪い取った。

そのままゴールに向かい、抜け出そうとした。

すると、たまらずCBのマルティネスが後ろからシャツを引っ張りながらファール。

レフェリーは、得点機会の損失と取ったのでしょう。

レッドカードを出された、あのシーンです。








 改めてそのシーンを見てみると、永井選手の賢さ、抜け目の無さが分かります。

スペインの3番アルバロドミンゲスが、中盤からバックパスを受けました。

右サイドよりの後方でボールを受け、逆サイドに展開しようとしています。

前方が詰まっているとの判断なのでしょう。

この時、中央にいた永井は、のんびりとボールの行方を見守っている。

かのように見えました。

そして、3番が、中央の後方に位置する、マルティネスにパスを戻そうとしました。

まだ、永井はふらふらしています。

バックパスの動作に入り、後方を向き、ボールに目を落としました。

その瞬間、永井が猛然とダッシュしました。

パスが出されるであろう、CBに向かって。

まるで、野生動物が、狩りをするかのように。

本能を丸出しにして、相手選手に襲いかかって行きました。

慌てたマルティネスは、単純なコントロールミスをしてしまう有様です。

永井の猛然と襲いかかる迫力に、プレッシャーを感じてしまったのか!?

そして、永井はボールを奪い、相手のファールを誘ったのです。








 あのバックパスを奪うプレーは、完全に誘っていました。

そうでなければ、バックパスと同時に、トップスピードには乗れないはずです。

バックパスを出させて、ボールを奪うアイデアが、その瞬間あったのでしょう。

でも、その素振りは見せない。

狙う気マンマンに、オーラを出してしまうと、自分の届かないところにパスを出されてしまう。

永井が、自分が輝くために、生きるための知恵を使ったのです。










 シュートを外す場面や、決める場面、どちらも派手なものです。

あの、圧倒的なスピードにばかり目が行きがちです。

彼の本当に優れている部分は、そこだけでは無いようです。

私は、彼がどこまで、論理的に物事を考えているかは、分かりません。

でも、ピッチで生き抜くために賢く振舞う術は、持っているようです。
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2012年07月24日

遠くに飛ばす

 4年に1度のオリンピックが、いよいよロンドンで開幕します。

盛り上げるように、新聞、雑誌、テレビ、ネットでもたくさん取り上げられています。

スポーツの記事が盛りだくさんなので、なぜかテンションが高まります。

違う種目であっても、真剣に取り組んでいる姿を観るのは、いいですよね。

その姿は、心を動かされるものがあります。







 話題の選手の1人である、陸上・やり投げの選手である、ディーン元気選手。

彼のルーツもあり、非常に多く取り上げられています。

やりを投げる姿、投てきは、興味深いものです。

力をこめて遠くに飛ばす、というよりも、全身の力を巧く使って遠くに飛ばす。

全くの専門外ですが、そのように感じます。

そして、手からやりが放たれた後、地面に両手をつけて、うつぶせのような体勢になります。

これも、彼の特徴のひとつといえます。









 テレビのインタビューで、ディーン選手本人が、自らの投てきについて語っています。

すると、面白い表現を使っていました。



「走っていって、ぶつかる

クルマが自分で、ぶつかって飛び出してしまったた人間がやり」

走ってきた車がぶつかって止まった。

その車がディーン選手。

そして、止まった衝撃で、前に放り出される人間。

飛んでいくやりが中に乗っている人間だと。

助走をしていき、軸足となる、左足一本で急ブレーキをかけます。

反動で生じたエネルギーを利用し、投てきにいたるのだそうです。

その瞬間、エネルギーの爆発により、体はポンッと宙を舞い倒れこんでいく。

一気に左足で止まる動作が、結果として前にダイブというか、倒れこむ動作になっている。







 このディーン選手の投てきは、我々の世界にも、大いに通じるものがあります。

それは、キックを強く、遠くに飛ばすためのメカニズムにです。

足のスイングスピードを速くすることが、キックのパワーに大きな影響を及ぼす。

足の筋力に頼っていては、そのスピードは生まれ得ない。

全身のエネルギーを、インパクトの瞬間に無駄なく伝える。

「でこピン」

でこピンで相手に衝撃を与える。

親指で、中指が伸びようとする力を、止めておく。

一気に、この溜めた力を解放させ、パシッ!!

このでこピンのような状態を体で表現すこと。








 キックをした後に、軸足を飛ばす、抜く。

そんな指導法もあります。

それを目的にすると、体の使い方がおかしくなってしまわないか。

助走の力を、急激にストップさせ、軸足で支える。

溜めていた力を解放させ、キック。

自然に、前や、上に、軸足が進んでいく。

これが、本当のところではないか。








 また、ディーン選手は、肩甲骨周りが柔らかく、自由に扱える。

つまり、腕を長く使って、投てきの動作を行っている。

むちのようにしならせる動作が、指の先端に伝わって行く。

常人だと、ケガをしてしまうくらい、腕をしならせて、腕を振っている。

全身をバネのようにして、投てきをしている。

そのような解説がなされていました。









 これも、キックの動作と同じ考え方です。

脚は、みぞおちから始まっているくらいの感覚。

股関節を柔らかくして、脚を長く使えれば、同じことが起こります。

脚を長く使い、むちのようにしならせることが出来れば。

股関節、ひざ、足と、スピードは高まる。

そして、強いキックを生むための、足(スパイク周辺)のスイングスピードUPに。








 遠くに飛ばす。

そのために、特定の動きや、筋力に頼らない。

1つ1つは確かに重要だが、それだけではボールは遠くに飛ばない。

ボールの中心に対して、どのように力を与えるのか?

ディーン選手の投てきが、改めて我々に教えてくれています。




posted by プロコーチ at 10:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月26日

ボールと一体化する。

 1対1

ドリブルで相手に向かって仕掛けていく。

相手のへそに向かうように、真っ直ぐ仕掛けていく。

真ん中のドアをノックすることで、右にも、左にも行くことが出来る。

このように、相手に正対した1対1なら、このような運び方も、一つの有効な方法です。

真っ直ぐ向かって来られると、DFとしても、嫌なものです。







 試合の中でのボールの運び方は、もちろん、これだけではない。

1対1は、フットボールの試合の中では、純粋な1対1ではないということです。

トレーニングで、1対1をする。

この切り取られた局面の中なら、ゴールを目指さなければならない。

他に、目的がないですから。

単純にゴールを目指すだけではない、工夫がなされた設定も、もちろんあります。

ただ、どんな設定であろうとも、自分ひとりでプレーを完結させなければならない。

そしてその多くは、相手DFの背中にある、ゴールを奪うというものです。








 現実の試合の中では、そうではない。

1対1になったとしても、さまざまな選択肢が、実際にはある。

ゴールへの最短距離に進んでもいいですし、横に進んで行っても構わない。

パスに、縦パス、横パス、バックパスがあるように。

ドリブルにも、真っ直ぐ仕掛ける、半身で持って片方のサイドを意識させる。

斜めに進んでいく、横に横にドリブルで進んでいく。

そのプレーに意図があるか、味方にプラスになるか、相手が嫌がるかどうか。

これらが、判断基準になるでしょう。

そして、どのような運び方をするにしても、ボールコントロールが重要です。

自分の行きたい時に、行きたい場所にボールを運ぶ技術がなくては、イメージを現実化できない。










 先日、私のスクールに、B級を受講した際の同期のコーチが遊びに来てくれました。

予定に無かったのですが、急きょ、試合に混じってくれることに。

プロの世界で、何年も活躍した、彼。

すごく気を遣いながらプレーをしていたのですが、当然のように違いを見せてくれます。

難しいプレーはしないのですが、プレーの一つ一つの精度が高い。








 そして、対戦した多くの人の感想が「速い」というものでした。

ドリブルをしている時のスピードです。

実は、彼のスピードは、そこまで速いものではありません。

当人も、その感想をぶつけてられて、意外そうでした。

自分自身が、スピードがあるタイプだと、思っていないからでしょう。

実際に、単純なカケッコだけなら、試合のメンバーの中でも、1番ではなかったはずです。









 そのポイントは、ドリブルをする技術の高さです。

彼は、ドリブルをする時に、完全にボールと一体化していたことです。

アメフトのQBが、ボールを運んでいるかのようでした。

パスの出しどころを探しながら、ボールを運びます。

手に持っているのですから、もちろん手元のボールなど、見る訳もありません。

相手の動きを観ながら、パスのラインが生まれるのを探しています。









 彼は、それを、ドリブルしながらすることが出来ていた。

体とボールが一体化しているから、相手の逆を簡単に取れる。

一体化しているから、空いているスペースに容易にボールを運んでいける。

そして、緩急を自在に扱う。

自分のタイミングで、スペースにボールを持ち出すことが出来る。

それが、「速い」という感想につながっていたのでしょう。

決して、ダッシュしながらドリブルをしていたわけではありません。









 聞けば、高校時代に、毎朝小一時間、朝練をしていた。

マーカーを並べ、ジグザグドリブルを中心としたトレーニングを、黙々と。

右足だけで。

左足だけ。

左右交互に。

インサイドだけ。

アウトだけ。

それを、1タッチで。

2タッチで。

様々なバリエーションで、繰り返していたそうです。

そのトレーニングの成果が、ボールとの一体化なのですね。

まるで手で扱うようにボールを足で扱う。

是非とも身につけたいが、容易ではないスキルです。
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2012年06月19日

型(かた)

 ユーロ、ヨーロッパ選手権が開催されています。

ワールドカップよりも、レベルが高いのでは、と言われるこの大会。

グループリーグから、熱い試合の連続です。

手を抜いている、調子が出ないと、優勝候補ですら、苦戦してしまう。

もし、日本代表がこの大会に出場できたら、どこに位置するのでしょうね。

グループリーグでは、波乱がありました。

先のワールドカップのファイナリストであるオランダが、グループリーグ敗退・・・。

しかも、1勝もすることなく、大会を後にしました。

死のグループと呼ばれるB組とは言え、厳しい結果です。









 
 個々の選手のレベルは、間違いなくトップ中のトップでした。

それでも、少しのボタンの掛け違いが、3連敗につながる。

この大会の厳しさを、改めて思い知りました。

そのオランダ代表ですが、レベルの高さは見せてくれました。

グループリーグ最終戦の、オランダ対ポルトガル。

先取点を挙げたのは、オランダ代表ファン・デル・ファールト。

技術の高さが詰まった、素晴らしいゴールでした。








 右サイドで前を向いてドリブルで仕掛ける、ロッベン。

左利きの彼が、得意の、中へ中へ切れ込むカットイン。

助けるように、外をオーバーラップする選手もいます。

それでも、ポルトガルのDFは応対し、ロッベンを自由にはさせません。

というよりも、中にカットインするのがバレバレ・・・。

分かっているのは、相手DFだけでなく、味方にも同じです。

だから、外を回って、助けようともするし、彼のドリブルのコースは空けています。










 もう1人分かっている選手がいました。

それが、ゴールを決めた、ファン・デル・ファールトです。

最初はロッベンと並走するように、ゴール前に走りこんでいた。

ところが、ロッベンが、カットインの素振りを見せるや、バックステップを始めます。

ロッベンのドリブル突破のコースを空けます。

なおかつ自分もボールを受けれるポジショニングです。

そして、ドリブルが詰まった瞬間に、両手を拡げてパスを要求しました。

ここまで、イメージに在ったのでしょうね。

それが、このステップであり、サポートの位置に表れていました。










 ロッベンが、ファンデルファールトの要求に応え、やや戻すような横パス。

横、斜め後ろ、ゴール方向、きょろきょろと、首を振って、周りを確認します。

画面から、首を振るのがハッキリと見えるほど、状況確認を怠りません。

そこからは速かった。

左足のインサイドでボールを、自分の左前にコントロール。

左足をそのまま着地、右足を強く踏み込んで、シュートの体勢に入ります。

すぐに左足を振りぬいて、シュート。

インサイドに引っ掛けるように打たれたシュートが、サイドネットに吸い込まれていきました。








 ボールコントロールから、シュートまで、無駄な動作が一切ありません。

止めて、踏み込んで、シュート。

余計なボールタッチはもちろん、余計なステップすらもありません。

無駄を省くことで、動作が一層速くなり、相手DFのプレッシャーが間に合わない。

おそらく、ファンデルファールトは、トレーニングを繰り返していたでしょう。

このリズムでのキック、シュートをです。

止めて、踏み込んで、キック。

1、2、3のリズムです。

コースも、繰り返しトレーニングしていたコースかもしれません。










 フットボールは、野球と違って、型に決まった動きが少ない。

型にはまったトレーニングをしていても、効果が薄い。

だから、同じ動きを繰り返す、ドリルトレーニングは・・・。

そのような意見が、最近は主流です。

でも、このシュートは、明らかに自分の型があったから、ゴールにつながった。

何度も、何度も繰り返しているから、ゴール前の状況でも落ち着いてプレーが出来た。

機械的な動作、おそらく、頭で考えるよりも体が動く。

繰り返しのトレーニングで、そのレベルまで、引き上げたのでしょう。









 このような、自分の型を作ることは、自分の武器になってくれる。

周りを観る、判断をする、ということは、とても、とても大切です。

でも、最後の部分は、やはり繰り返し繰り返しで、身に付けておかなければならない。

そのことを、教えてくれたゴールでした。
 
posted by プロコーチ at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月12日

絶対数の不足。

 アウェイでのオーストラリア戦。

アウェイ、ピッチ、審判、そしてオーストラリアという対戦相手。

ここまで悪条件が揃った試合で、勝ち点1をもぎ取る。

しかも、亀のように守りきるのではなく、1点奪っての引き分け。

日本代表、というよりも代表選手の成長に、大いなる拍手を送りたい気持ちです。

といっても、改善すべきポイントがありました。








・ヘディング

オーストラリア人は大きい。

そして、分厚い。

だから、ロングボールを蹴られると、押し込まれてしまう。

ヘディングの競り合いに弱い、ボールを跳ね返せないと思われている。

オーストラリアは、長く、高いボールを何度も送り込んできた。

日本は、ある程度分かっていたはずなのに、跳ね返すことが出来なかった。

もちろん、ヘディングでパスをすることも出来なかった。








 大きい選手は、190センチ台の選手もいる、オーストラリア代表チーム。

ところが、フィールドプレーヤーの平均身長だと、3センチほどしか違いません。

少し背伸びをすれば、3センチの差など埋まってしまいますよね。

それなのに、ヘディングで競り勝つことが出来ない。

例えば、FWのケーヒル選手。

彼は、178センチしかありません。

今野選手と同じ身長、184センチの栗原選手よりも6センチも低いのです。

ケーヒル選手と、日本の選手、どちらが空中の競り合いに強かったのでしょうか。









 パスをつないで、組み立てていくスタイル。

日本は、多くの地域、チームで、このスタイルでプレーします。

特に、代表に入るような選手が育ったチームのほとんどは、そうでしょう。

その弊害か、ヘディングのトレーニングを十分に積めていない?!

空中の競り合いをした絶対数が足りていないのではないか。

自分たちは、パスとドリブルで崩せばいい。

でも、対戦相手も、同じスタイルで来るとは限らない。

特に、国外のチームは、様々なスタイルの試合運びをしてくるでしょう。

そうであるならば、高いボールへの対策は必要なはずです。








 世界一になった、なでしこジャパン。

彼女たちは、自分たちの足りない部分の一つとして、ヘディングの改善に取り組んだ。

トップチームだけでなく、育成の世代から一貫して取り組みました。

元々女性は、ヘディングを得意にしない選手が多い。

体の大きな、アメリカ、ドイツ、中国と戦う。

ロングボールを積極的に使ってくるチームも多い。

自分たちと対戦相手を分析した結果、ヘディングの改善を避けては通れない!

ヘディングの改善に取り組み、成果を上げたこと。

なでしこが、世界一になった要因の一つと言えるはずです。

同じことは、男子の日本代表にも、日本の若い選手たちにも言えるのではないか?

積極的に、ヘディングに取り組んでもいいのではないか?









 長いボールを、大きく跳ね返す。

大きな選手との競り合いの中でも、相手に競り勝つ。

ヘディングで跳ね返すだけでなく、ボールをパスにする。

前からのボール、横からのボール、下がりながらのボール。

マーカーでジグザグドリブルをする、壁に向かってボールを蹴る。

このようなドリルは目にしますが、ヘディングとなったらどうでしょうか?

パスや、ドリブルに対するこだわりは、耳にします。

ヘディングに対するこだわりを耳にすることは、少ない。

取り組まない限り、いつまで経っても、日本の欠点として付いてきてしまう。

絶対数の不足が続いている現状、これでは将来も変わらない。
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2012年05月29日

方向を変えるヘディング

 チャンピオンズリーグの決勝戦で、もう一つ触れておきたいプレーがあります。

それは、チェルシーが同点に追いついたCKからのゴール。

ドログバが、ニアに走りこんで、ヘディングで合わせました。

1点負けていて、試合の終盤。

そこで決める、ドログバの集中力は素晴らしい。

そしてこのゴールは、技術の高さに裏打ちされたものでした。








 クロスに対して、ニアで合わせる。

一気にスピードに乗って、飛び込んでいかないと、相手のマークを外すことが出来ない。

立ち止まって、その場でジャンプしている余裕などありません。

特にセットプレーですから、さらにマークは厳しい。

このシーンでも、マタのキックにタイミングを合わせ、スピードを上げました。

相手のマークを外したのですが、スピードを上げるあまり、走りすぎた!?







 と言うのも、ドログバがヘディングで合わせた場所です。

下記の図だと、バツ印の辺りで、ヘディングをしました。

仮に、ゴールポストから、ピッチに向かって線を引いたとします。



    【     】               ●CK
          ・
             ×
          ・
          ・
          ・







 このゴールからの線を超えて、ボール側に近付いてしまう。

言い換えると、ゴールの正面よりも外側に走ってしまう。

すると、格段に難しくなり、ゴールの確率が下がってしまう。

ニアで合わせたいなら、自分の飛び込む場所を残しておく。

そして、その線よりも手前の位置で、ボールを合わせようとするのです。                      
ドログバの合わせた位置は、そこよりも、大分ボール側です。

マークは外せても、シュートを決めると言う点では、かなり難しかったはずです。

ここまで走ると、頭でそらすだけのシュートになりがちです。







 ヘディングシュートの威力!

飛んでくるボールに、頭を合わせただけのシュートではありません。

ボールをしっかりと強く叩いて、方向を変えています。

このヘディングのフォームが、とてもきれいで教科書どおりのものです。

方向を変えるヘディングと、正面で迎えるヘディングとでは、全くフォームが異なります。

正面で迎えるヘディングは、後ろに体を引いて、前というように縦の動き。








 方向を変えるヘディング、水平方向の動きになります。

テニスや野球のスイングのように、横軸に体を動かしていきます。

この時に大切なのが、ボールを飛ばす側の肩の位置です。

バックスイングで、体をねじり、力を溜める。

その時に、肩を入れる意識を持つ。

肩を入れて、体を横軸に、スパーンと回していく。

肩も、腰も、水平方向に、力強く回します。

この時、ボールをとらえるのは、額の中央ではなく、横。

こめかみ近辺でボールをとらえる。

この一連の動作をすることで、ボールに力を与えることが出来るのです。








 ドログバの頭を離れたボールは、ゴールに突き刺さりました。

この一年、素晴らしいセーブを繰り返していた、ノイアー。

彼のほぼ正面、やや上だったのですが、反応が間に合いませんでした。

少し手を上げれば、弾けるくらい、コースは甘かったかもしれません。

でも、あの角度から、あのスピードでボールが飛んでくる。

その予想は出来なかったのかもしれません。

足で蹴られたシュートと大差ないくらいのボールスピードが出ていたかもしれません。








 あのヘディングは、ドログバの筋力や、パワーがクローズアップされるのでしょうか。

ボールのパワーは、基本に忠実なドログバのフォームから生まれています。

方向を変えるヘディングは、攻守共に、必須の技術です。

正面のヘディングだけでなく、必ず身に付けておきたい。
       
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2012年04月27日

基礎の確かさ。・・・その2

 チームや、プレーヤーのレベルを高めるためには、基礎の確かさが求められます。

全てのプレーにおいて、ベースとなる部分があるから、応用が輝く。

それは、もちろん攻撃の局面に留まりません。

守備においても、ベースを高めなくてはならない。







 基礎技術の確かさは、守備の時にも多く見て取れます。

これが現れている一つの例が、シュートブロックです。

相手のシュートを、DFが体に当てて、ボールを止めるプレー。

「シュートを無理やり打つから・・・。」

「足を出しただけ、そこにいただけでしょ。」

このプレーには、その程度の認識しかないかもしれません。

シュートブロックの多さも、トップレベルの試合を観て気付くポイントの一つです。

何が彼らと違うのでしょうか?







 このプレーは、基礎の確かさが生み出している素晴らしいプレー。

DFの鉄則。

どうすれば、ゴールを守り、ボールを奪うことができるのか?!

ボールを持っている選手をマークしている。

では、どこに立つのか?

・ボールとゴールを結んだ線上に立つ

相手選手がボールを持っているならば、背中でゴールの中心を感じること。

・そして、ボールをしっかりと注視し続ける








 本当は、ボールにプレッシャーをかけたい。

でも、相手がいい形でボールを持っていたら、近寄れない。

ヘタに飛び込むと、外されてしまうかもしれない。

ボールを奪うのは、厳しい局面。

でも、ゴールは守りたい。

ここで助けてくれるのが、ボールとゴールとを結んだ線上に立っていること。

ボールを動かされても、細かくポジショニングを修正。

グッとボールを注視していることで、シュートブロックが可能になります。







 
 特に、自陣深くまで攻め込まれた時。

その局面では、このポジショニングがとても必要になってくる。

正しいポジショニングを取ることで、相手の選択肢を奪うことも可能になる。

相手がシュートを打つ、ドリブル突破を図るタイミングが遅れてくるでしょう。

そして、正しいポジションからプレッシャーをかけるチャンスを見逃さない。

最後は勇気を持って、体を張ってゴールを死守する。








 シュートブロックを、より可能にする応用技術もあります。

体の向きを変える(半身⇒真横)。

相手のシュートのタイミングを制限する駆け引き。

スライディングで間合いを拡げること。

ただ、そんな応用ばかりを追いかける前に、身につけなければならない基礎がある。

DFの基礎中の基礎であるが、どこまで徹底できているのか?

ボールを奪えたからOKでなく、ゴールを守れたからOKなのか。

基礎を確かに実行し続けるから、いい守備が繰り返し生まれる。
posted by プロコーチ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする