2007年07月20日

4次元のパス

 フットボールの発達段階を、次のような表し方も出来るのかな?と考えました。
自分が認識している、味方と共有している世界
この世界は、プレーヤーの発達と共に少しずつ広がって行くのではないか?
レベルが高まるにつれて、徐々に広がる世界。
最初はボールを扱うことが精一杯。
もう少し発達すると、DFとの競り合いに追われて行く。
なかなか、余裕を持って状況を判断して行くことが出来ない。
ところが、フットボールをよく知っている人間ほど、簡単にプレーしているように見える。
戦術理解度が高く、遂行度も高いチーム。
彼らも同じく、当たり前のように簡単にプレーしている。
そんな感想を持ったことは一度や二度ではありませんよね。
それを、次のように表してみました。

・一次元(直線上の世界)
ボールを初めて触った。
フットボールを始めたばかり。
幼児。
もしくは、相手のプレッシャーが厳しく、周りが見えなくなってしまう。
ボールだけを見ている、ヘッドダウンの状態。
彼らは、足元にあるボールを前方に蹴飛ばそうとする。
ドリブルのようなことをしても、前や横だけなどの、一方方向にだけ進んでいく。
まさに、定規の上で、直線上でだけフットボールをしている。

・二次元(平面上の世界)
少しずつボールに馴染んできた。
色々な方向に自ら進んでいく。
さらには、試合の状況に合わせて方向を変えていく。
ただし、目の前にDFがいれば、ドリブルで抜くか、横・斜めへのパスをする。
平面の状態でしかまだ物を見えない、考えれない状態。
見えてる世界が狭く、味方のプレーヤーと、プレーのイメージを共有することがまだ少ない。

・三次元(立体的な空間としての世界)
ボール扱いが巧みになってきた。
平面だけでなく、高さ・奥行きといったものを駆使しながらフットボールをできるようになってきた。
前方を塞がれたとしても、浮球を使い、パスを通す。
もしくは、頭越しにDFを抜いていく。
グラウンダーでボールをつないで行ったとしても、DFの向こう側、ゴール前のスペースを認知している。
かなり見える世界が広がってきた状態。
時には、もう1人の自分が上空からピッチやフロアを見下ろしているかのような感覚が持てるかもしれない。
俯瞰図を持った状態。

・四次元(空間に加えて、時間の観念が加わる)
ボール扱いが巧みになり、キックの種類もかなり増えていている。
時間の先を見通す目も、養われてきている。
つまり、今はまだ無くても、数秒後には一瞬誰もいない空間(スペース)が生まれる。
これを予見することができる。
また逆に、今はフリーなように見えても、数秒後にはパスコースが無くなっている。
時間という新たな座標軸を持つことで、プレーの幅が広がる。
判断の誤りが少なくなる。
一番分かりやすい例が、ゴール前に通すスルーパス。
今はそこに誰もいなくても、数秒後にはフリーランニングで入り込んできてくれる。
それをお互いに信じて、走りこみ、パスを出す。
意識したことは無いのかもしれませんが、この瞬間は四次元でものを考えられているのです。

デットマール・クラマー氏の教え。
・周りを見ること。
・前もって考えること。
・ボールに寄ること。(パスを受ける時に)
・パスをしたら走ること。
この積み重ねをすることで、四次元のプレーがドンドン生まれてくる。
ゴール前へのラストパスに限らず、中盤でのつなぎのパスの時でも。
最終ラインからゲームを組み立てている時でも、四次元のプレーが生まれてくる。
もちろん、三次元のプレーは、当たり前のように繰り返される。
ただし、クラマー氏の教えを怠れば、一次元・二次元のプレーしか生まれない。
ボールを持っていないときに、仕事をしない。
周りを見ない、スペースに飛び込む走り込みをしない、プレーのイメージを持たない・・・。
そこで生まれるゲームは、退屈で平凡なプレーの積み重ね。

パスが面白いように繋がって行く試合。
足元への逃げのパスだけでないプレー。
前方のスペースへ、中盤にポッカリ出来たスペースへのパス。
パスや、ドリブルをするために時間を作る、タメのドリブル。
観るもののイメージすらも超えて生まれる、創造的なプレーの連続。
これらを言い換えれば、三次元・四次元のプレーが構成要素になっているのではないか。
どうでしょうか?
一度、こういう考えを持って、試合の観戦やプレーに臨んでみては!!
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2007年07月06日

時間稼ぎとチームのレベル

開幕2連勝でグループリーグ突破を決めた、U−20日本代表。
U−20ワールドカップでは、日本代表の奮闘が目立っています。
初戦は、世界に日本のスタイルとは!!と強くアピールをした試合内容。
2試合目は、何度も決定機を作られるも、ギリギリの所で踏ん張っての勝利。
チームの雰囲気も盛りあがっているようで、勝ちぬいていく条件を持っているチームかもしれません。

一方、南米ではコパアメリカ07がベネゼイラにて開催されています。
大会の格の割には、あまりに注目度が低過ぎるこの大会。
タレントを生み出しつづける南米、中南米。
フットボール先進国のヨーロッパでも、大事なパーツは南米出身の選手が占めていますよね。
ミラン・リバプール・バルサ・・・。
そんな、キラ星のようなタレントの品評会。
それがコパアメリカ。
私事ですが、この大会を見るために、新たにスカパーのチャンネルを増やして、チェックしています。
中でも注目は、アルゼンチンとされています。
ほぼ、ベストメンバーを揃え、本気でタイトルを奪いに来たようです。
開幕3連勝を飾り、グループリーグ首位通過を決めました。

U−20日本代表とアルゼンチンのフル代表。
この両チームとも、勝ち試合を繰り返しています。
ただし、大きな差があるのは事実です。
比べる方がおかしいと思うかもしれません。
世界のサッカー界は、20歳ならもう大人です。
日本チームでさえ、ほとんどのプレイヤーがプロ選手。
同じプロなら、同じ基準で比べないと。
ピッチに立てば、ハンデなど与えてくれませんから。

その大きな差が、如実に現れていたのが、試合終盤です。
日本代表は、相手のコーナー付近でボールをキープしようとしていました。
時間稼ぎですよね。
ボールを1人、2人で身体を張ってキープ。
自分の身体でボールを隠して、相手DFに触れさせません。
1分、2分と時間を使い、終了のホイッスルを待ちます。
これは、時間稼ぎの鉄則をしっかり守ったものです。
味方の守るゴールから、一番遠い場所でのボールキープ。
ゆえに、もし相手に奪われたとしても、失点に最もつながらないからですよね。

思い出すのが、93年のワールドカップ予選。
俗に言う、「ドーハの悲劇」です。
予選最終戦のイラク戦。
1点勝った状態で、終盤を迎えた日本代表。
ほんのもう数分、数秒守りきれば、初めてのワールドカップ出場が決まります。
当時の日本代表が、イラク陣内深くに攻めこみました。
ところが、交代で入った武田選手が、クロスボールを上げてしまったのです。
簡単にボールはいらくのものになってしまいました。
あの時、時間を稼ぐことは出来なかったのか?!
やはり、そんなことすら出来ない日本代表が世界に出ていくのは早かったのだ。
大きな議論の的になりましたよね。
それから比べると、10数年経ったU−20日本代表の方が、成熟しているとはいえますよね。

ところがです。
アルゼンチン代表は、さらに遥か上を行っています。
ボールを奪われないようにプレーをするのは同じ。
ただし、コーナー付近で身体を張ってキープ、このプレーをほとんど行ないません。
パスをドンドンつないでいって、時間を稼いでいくのです。
相手が頑張って奪いに来たら、パス、パス、ロングパス。
警戒して来なければ、ゆったりとドリブル。
まるで、闘牛士が牛をイナすようなプレー。
スタンドからは、「オーレ、オーレ」の大声援。
そしてさらに、次がありました。
相手の穴を見つけるやいなや、ゴールを目指して行くのです。
2戦目のコロンビア戦は、まさにこの流れから、追加点を奪っています。
高い技術と、穴をすぐさま見つける判断力。
そして、ゴールへの積極的な姿勢。

U−20代表は、大人になりかけている。
アルゼンチンのフル代表は、立派な大人として完成している。
14年前の日本代表は、余りにナイーブな子供だったのでしょうか。
アジアカップには、日本のフル代表が参戦します。
さて、現在地はどこなのでしょうか?
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2007年06月12日

変更を見抜く「目」。

試合の開始前は、監督も、プレーヤーも、しっかり準備をして臨むものです。
試合が始まったら、ここに気をつけよう。
今日の目標は、これだ!
絶対、こういったプレーで、貢献しよう。
必ず勝ち点3を取る。
最低でも引き分けには持ち込みたい。
そのために必要な戦略はこれとこれだ。
などなど、様々な準備をしていますよね。
用心深く、用意周到な者は、試合が始まって終わるまでをシュミレーションするでしょう。
しかも進行具合によって、シュミレーションも幾通りのパターンを行なっていきます。

この準備をチームとして徹底するためには、トレーニングとミーティングが欠かせない。
例えば試合で、ある1つの現象が起こる。
それに対して、選手の誰もが同時に行動を起こせるように。
この場面をトレーニングで反復していく。
ミーティングで、イメージのすり合わせを行なっていく。
このようにして生まれていくのが、本当のチームワーク。
仲良くみんなで試合をして行きましょうではなく。
まるで、チームが1つの生き物のように動き出す。
本当の組織力、これがチームワーク。

 先日、Jリーグの試合である事件が起こりました。
名古屋グランパスエイトの監督、フェルフォーセン氏。
26日に行われた東京戦(味スタ)でメモを試合中の選手に回すという違反行為。
試合後にマッチコミッショナーから口頭注意を受けた。
後半18分、フェルフォーセン監督が布陣イラストを書き込んだメモ用紙を選手に渡し、審判団が確認。
J実行委員会からは禁止行為として全クラブに伝えられていた。
ややこしいのは、競技規則には禁止事項として明文化されていないこと。
フェルフォーセン監督は、「今までもやってきたことだ!」と猛抗議する。
氏はオランダ、ベルギーなどで20年ものキャリアを積んだベテラン監督。
ルールはルールとして守るべきなのでしょうが、そこまで厳しくしなくてもという気がします。
日本特有のお役所気質が、この裁定に感じられます。

 それはさておき、なぜメモが回ったのか?
内容は、フォーメーションの変更。
それは初めて行なわれる変更だったのだろうか。
普通はそんなことはあり得ない。
よっぽどの特殊な事情を除いては。
では、トレーニングで徹底できていなかったのか?
充分に鍛え上げられ、真の組織力を持ったチームならば、必要無かったはず。
監督の指示1つ。
もしくは、ある選手交代をきっかけにピッチの皆が、理解する。
組織力を持って、メモなど無しに変更して欲しかった。

試合中にフォーメーションをドンドン変えていくことで有名なのが、フース・ヒディング監督。
2002年のワールドカップで韓国代表を率いていたヒディング監督。
2006年のドイツ大会では、オーストラリア代表を率いていました。
目の前で、フォーメーションが変わっていく様子を目の当たりにしました。
変えられた側は、対応に追われ、後手に回ってしまう。
どうしても、落ち着かない。
その隙を狙って、相手ゴールを陥れる。
私は、カイザースラウテルンのスタンドで、その様子を体験することが出来ました。
上から見ていても、何が起こったのかに気付くまで時間が掛かりました。
私の不勉強が大きな要因の1つなのですが・・・。
ピッチの選手は、さらに時間が掛かり、後手に回ってしまうでしょう。
オーストラリア代表チームの姿は、相手チームながら天晴れ。
「策士」と呼ばれるヒディング監督の真骨頂でした。

この変更に答えていくオーストラリア代表選手たちのレベルも高いものがあります。
前後半で変わるのなら、まだ頭も心も整理できるでしょう。
次なるレベルは、選手交代と同時にフォーメーションやポジションを変更すること。
これも、交代という分かりやすいキッカケがありますよね。
一番難しいのは、これすら無しに変更を行なうこと。
試合の流れの中でフォーメーション変更を行なうのは、本当に大変なのです。
言われた配置につくだけなら、なんとかなるでしょう。
監督やお互いの指示を聞いてさえいれば、ポジションを移動させるだけですからね。
難しいのは、そこで求められる役割を理解して、実践すること。

失敗を許されない大会。
この大舞台でフォーメーション変更が出来るチームは、本当に訓練されている証なのです。
いいトレーニング、いいミーティングを重ねているな。
目を閉じても、お互いの位置が把握できているかのような。
その意味から言うと、今現在の名古屋グランパスエイトは、発展途上なのでしょうか。
「選手交代無しでフォーメーションを変えられることが、現代サッカーに重要になってくる」
「交代無しでも変化し、一人の交代選手投入で3つ、4つ目のオプションを使えるかどうかだ」
フース・ヒディング監督の言葉です。

 こういった高いレベルのチーム戦術。
スタンドやテレビの前で気付けるかどうか?
もし変更に気付けたら、一歩進んだ「目」を持てた証拠です。
さらに、変更の対処法や、弱点を見抜けたらさらに一歩進んだ「目」ですよね。
策士を相手に回した監督。
彼の見方で、試合を観れたわけですから。

この「目」を持てたら、試合をプレイする時にも役立つはずです。
まずは、前後半の始まり。
そして、選手交代。
ここで、相手の陣形や意図を注意深く観てください。
さらには、点数の変化や、時間の経過にも要注意です。
今まで見えなかったものが見えてくるかもしれませんよ。

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2007年06月08日

新たなチャレンジ

キリンカップが終わりました。
タイトルが取れましたが、それよりも真剣に試合を行なってくれた両国に感謝でしょうか。
キリンカップにどれだけの権威があるかは分かりません。
それでも、ただの親善試合をするよりは意味がある。
意味があるかないを量るのは、選手・監督の本気度ですよね。
どんなに強豪でも、顔見世程度の試合をされては、なんの強化にもなりません。

ただ、本当に強化を考えるのなら、日本に対戦国を呼んで試合をするだけでは話にならない。
外の環境で戦ってこそ、本当の力が見えてくる。
昨日、浦和レッズが中国王者山東魯能に3対4で破れました。
アウェイでの戦いとはいえ、残り数分まで1対4。
最後に2点とって面目は保ったのかもしれませんが、完全な負け試合。
移動がある、メンバーが揃わない、気候が違う、ピッチが良くない。
様々な言い訳があるでしょう。
そういった苦しい中でこそ、真の力が試されているのですが。
コロンビア代表は、移動疲れ、厳しい中1日のスケジュールでも引き分けに持ち込む力を持っていましたよね。

そんな、コロンビア代表との試合で、日本代表が新たなチャレンジに取り組みました。
そのチャレンジは画期的なものだと私は感じました。
にも関わらず、あまりに取り上げられていなくて、びっくりしています。
海外組の融合、攻撃陣の出来については、たくさんの報道がなされていました。
後半の羽生、今野投入が成功。
それにより、チーム全体が活性化された。
まさにまさにその通り。
フリーランニングを
足元足元のパスの繰り返しだけだと形にならないのが立証されたようです。

チャレンジは、守備の陣形についてです。
オシム監督のシステムは共通。
特定の選手を決めて、マンツーマンでマークにあたる。
相手のサイドバックにまで、マークを付かせることがあるくらいです。
そして、1人カバーリング専門のスイーパー(リベロ)役を置く。
分かりやすく、最終ラインだけを図示すると次のようになります。

  
      ×相手FW          ×相手FW
      
      ○             ○ 
      左ストッパー        右ストッパー

             ○
            スイーパー

       
         守るべき自陣ゴール方向

コロンビア戦では、次のようなスタイルを起用しました。
違いは、一目瞭然ですよね。

      ×相手FW          ×相手FW
      
      ○             ○ 
      左ストッパー        右ストッパー
      (阿部選手)       (中澤選手)
             

       
         守るべき自陣ゴール方向


そうです。コロンビア戦では、スイーパーを起用しなかったのです。
観ていて冷や冷やするDFライン。
ストッパーのどちらかの選手が抜かれたら?
もしくは、マークを外してしまったら誰が対応したのでしょうか?
ゾーンDFを用いるのならば、当たり前のようによく見られる光景です。
マンツーマンを志向してたチームが、後ろに1枚余らさないのは、珍しい。
前半は、コロンビアの中盤のマークが曖昧だったために、後手に回っていました。
後半は、サイドバックにはいった、駒野・今野選手が役割を確認し、整理されたようです。

ストッパーに入った、両選手の踏ん張りは素晴らしかったです。
1対1で負けなかった。
その強さがあったからこそ、成り立ったこのシステム。
それが前提に無いと、一気に破綻してしまうやり方でした。
ただ、理論的に崩そうと思えば、簡単に崩せるシステムではあります。
一番大きなメリットは、中盤の選手を1人多く使えたこと。
日本には、中盤に好選手が多く排出される傾向があります。
スイーパーの選手を1人削って、その分多く中盤に割り当てることができた。
本来なら、坪井選手かトゥーリオ選手がスイーパー(いずれもケガで離脱)。
そして、稲本選手か中村憲剛選手、鈴木選手のうち出れていたのは、2人だったはず。

無失点に切り抜けたことで、新しいチャレンジは一応成功したのでしょう。
ただこれは、今後における(アジアカップ、WCUP予選)オプションの1つだと思われます。
同レベルの相手ならまだしも、明らかに各上の相手ならどうでしょうか?
彼らが、アンリ選手や、トーニ選手、ロナウジーニョ選手にエトー選手を1対1で止めれるとは・・。
それでも、メンバー選定以外のテストが出来たのは、大きな収穫。
今までも、このようなテストをして欲しかったのが本音ではあります。

さらに付け加えると、FWは高原選手1人。
ここも本来なら、2人起用していたところでしょう。
これもまた、中盤のタレントを使うために、1人削っています。
つまり本来なら、遠藤選手、中村俊輔選手のうち、先発はどちらか一人だったはずです。
このテストは、失敗に終わりました。
攻め手が無かったのは、この起用(稲本選手も含め)が上手く機能しなかったことが大きいでしょう。
もしかすると、日本の観客や報道陣に向けてのアピール!?
「あなた達の大好きなスターを並べても成功しないよ」
有名な90年ワールドカップのエピソードが思い浮かびませんでしたか。

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2007年05月11日

勝負する守備

 守備、受身に回るだけが守備ではない。
守備、相手FWを抑えることのみが役割ではない。
守備、相手についていくことだけがマークではない。
何よりも、守備は能動的に進めていきたい。
受動的な守備だと、ゴールは守れるかもしれない。
残念ながら、自分達が意図してボールを奪うことが出来ない。
意図した場所で狙ってボールを奪う。

そのためには頭の中身を変えたい。
ボールを持っていない選手に対する準備。
つまり、ボールを持っていない選手に対していなくてもポジショニングを修正し続ける。
残念ながら、一番あいまいになってしまう部分。
分かっていても出来ない。
時間の経過、体力の減少と共に、サボってしまう部分。

攻撃の時に、ボールを持ってから全てをスタートしていては間に合わない。
よっぽど、力の差が無いと、パスもドリブルも、ファーストタッチすらも成功しない。
ボールを持っていない時からの準備。
ポジショニングや体の向き、ルックアラウンドなど、ボールをもらう準備を繰り返す。
それが出来ているのが、いい選手の最低条件。
ここに意識が及ばないのは、球を適当に転がしている人間。
例え、ボールコントロールに長けていても、チームに貢献できないプレイヤー。

守備も同じ。
ボールが来ていない時から、準備がどれだけ出来るのか?
次のこと、次の次のことを予測しながらどれだけ準備が出来るのか?
それを集団で出来るのが、守備力のあるチーム。
勝ち上がっていけるチームとも言えますね。
この準備は、正直とてもしんどいものです。
来るかどうかも分からない相手をマークし続け、カバーし続ける。
体力的にも、精神的にも、かなりの負担になるのは間違いありません。
それでも、スーパースター達が、このしんどい作業を繰り返している。

 UEFAチャンピオンズリーグのベスト4。
圧倒的な攻撃力を誇るマンチェスターユナイテッドを下したACミラン。
ベスト8で1試合に7点をも奪う強力攻撃陣。
彼らの動きを封じたのは、いい準備からなるACミランの組織での守備。
一方、アジアチャンピオンズリーグのグループステージ。
アウェイで勝ちきれない浦和レッズ。
暑さと遠征疲れのためか、準備が出来ていない守備を繰り返す浦和レッズ。
テレビ観戦に過ぎませんが、3点も取られるような相手には、思えませんでした。

この2チームを分けたのは、守備の意識。
いい準備が出来たのか出来ていないのか?
来週には、フットサルのアジア選手権が日本で開催されます。
日本が優勝する条件の1つに、守備のいい準備が出来るか、これが挙げられます。
我々は、華麗な攻撃ばかりに目が奪われがちです。
チャンピオンチームには、組織されたいい守備が備わっている。
逆に勝ちきれないチームは、守備に対する意識の低さ、準備の悪さがついて回っている。
当たり前のことですが、改めて。

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2007年04月13日

ドリブルの名手

 ドリブルの上手い選手といえば、どんな選手を思い浮かべますか?
クリスティアーノ・ロナウド選手、ロナウジーニョ選手、ホアキン選手、・・・。
そんな彼らのどんな場面を思い浮かべますか?
多彩なフェイントを駆使して、DFをあざ笑うかのように抜き去っていく。
スピードに緩急をつけて、相手を置き去りにして行く。
一度その快感を味わったら、もう忘れることは出来ないかもしれません。
こういったプレーにはあこがれますよね。
魔力があるといってもいいかもしれません。

 近年言われ続けている、現在のフットボールのトレンド。
ゆったりとパスをつないで行く時間。
細かいパスを駆使して突破する空間。
そういった時間・空間がどんどん無くなって行く。
体力・体格の向上、守備戦術の進歩。
その結果、レスタイム・レススペースがさらに進んで行くと考えられています。
こういったトレンドの今であるからこそ、ドリブル突破の価値が上がるのではないか。
この中でドリブル突破を成功させるのは、もちろん簡単な技術ではありません。
それでも、相手DFを1人抜き去れば、その瞬間に11人対10人、5人対4人になります。
チーム戦術としても、有効だと考えられます。

 先日の、UEFAチャンピオンズリーグベスト8、2NDレグ。
マンチェスターユナイテッド対ASローマ。
ベスト8屈指の好カードと思われていました。
1STレグは、ローマのホームゲーム。
まずは2対1で、ローマの勝利。
次の対決はどうなるのか?私もとても注目していました。
前回のブログでも取り上げたとおり、ローマは興味深いスタイルで成功していたからです。
ちなみに、元フランス代表監督エメ・ジャッケ。
ワールドカップの優勝監督です。
彼は、ローマの勝ち上がりを予想していました。
ふたを開けると、7点!!も奪っての、歴史的大勝利を収めたマンチェスターユナイテッド。
あそこまでの大差がつくとは!?
フットボールは何が起こるか分からない。

この歴史的大勝利の立役者の1人は、ドリブルの名手、クリスティアーノ・ロナウド。
ローマとしては、彼に自由にドリブルをさせてしまったのが痛恨のミス。
彼は試合を通して、気持ちよくドリブルをしていました。
結果、ローマの守備陣は、後手後手に回る。
慌てて彼のドリブルをつぶしに行くと、ほかの選手がフリーになる。
ゴール前やサイドに決定的なスペースを作ってしまう。
彼のドリブルがマンチェスターユナイテッドの攻撃の形を決定付けました。
そして、ローマの守備陣の組織を崩壊に陥れていました。

 ただ、こういった華麗なドリブルは、誰もが出来るわけではありません。
ドリブルの名手といえども、毎回相手を抜きされるわけではありません。
ドリブル突破は、相手DFに奪われるかもしれない?そんなリスクを常に背負っているのです。
このリスクを本当に理解して、ドリブル突破にトライしているのかどうか?
さらには、ドリブルといえば、突破しかない!
そんな極端な発想に走ってしまってはいないか。
チーム戦術として有効なドリブルとは、ドリブル突破だけなのか?
一度考えてみる必要がありますよ。
誰でもトレーニング次第で身につけることの出来る。
試合で有効なドリブルが、必ずあるはずです。
posted by プロコーチ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

声出しのヒント。

レベルの高い試合になればなるほど、ピッチの中では大声を掛け合っています。
ケンカをしてるのか?!と勘違いしてしまうほどです。
声を掛けあう内容は、様々です。
パスが欲しい、と要求する声。
DFの組織を作ろう、とチームを動かす声。
他にも、チームメイトを鼓舞する声。
途切れることなく、ピッチの中に響き渡っています。

私は、この「声」、つまり「コーチング(コーリング)」も技術の一つだと捉えています。
声を出すことは目的ではなく。
頭ごなしに怒鳴りつけることが目的でもなく。
その瞬間、瞬間にチームをより良い方向に持っていく。
崩れている部分を修正する。
いい部分をもっと高めていく。
そのための技術。

とても興味深い話を、紹介します。
ブラインドサッカーの話です。
視覚障害者のスポーツとして、近年世界に普及しつつあります。
1998年には、ブラジルでワールドカップが開かれるほどに広がりを見せています。
昨年はアルゼンチンで開かれたワールドカップに、日本代表が初出場を果たしました。

ブラインドサッカーは、フットサルと同じサイズ・人数で行われています。
5人制で、20M×40Mのサイズのコート。
ただし、視覚障害者スポーツならではの工夫もあります。
ボールに鈴が入っていて、どこにボールがあるかを音で把握できるようになっています。
また、声を出し自分の位置を教えながら守備をする、そんなルールもあります。
つまり、声や音を最大限に駆使して、試合を進行していくのです。

声や、音を大事にする工夫がもう二つあります。
・GKには弱視者、晴眼者をおきます。
・相手ゴールの後ろに「コーラー」と呼ばれる、声だし専門のスタッフを配置
彼らが、プレーヤーに指示を与えることによって、プレーをよりスムーズに行うのです。
声や音は、彼らにとっては命綱同様に、大きなウェイトを占めています。
ここでの声の出し方は、われわれにとっても非常に参考になるものです。

「45、6」
と、コーラーが声を掛けます。
これは、ゴールから45度の角度にいて、6Mゴールから離れている。
これらを「45,6」の指示で伝えるのです。
この指示を聞いたほうも、声での情報を頭にインプット。
そして速やかに、プレーを決めていきます。
初めて聞いた人には、意味不明の暗号にしか聞こえませんよね。

この指示には、コーチング(コーリング)において、最も大切な部分を押さえているのです。
「今の状況を正確に、はっきりと明確で、必要最低限の短く」
言い換えれば、何か違うことと勘違いされるような声では困ります。
長すぎて、状況を伝えているうちに、変わってしまっても困ります。
その瞬間は、今だけしかないのです。
「明確で、短いこと。正確に伝えること」
これをチームメイトと共通の言語で伝えて合っていく。
そうすれば、チームのレベルがもう一つ高くなるでしょう。

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2007年02月09日

攻撃のパターン

時間と空間に余裕が無い状態。
「レスタイム、レススペース」
現代サッカーは、こういった方向に向かっている。
DF戦術の進歩、体力レベルの向上が主な要因と考えられます。
華麗な技術を発揮することは、どんどん難しくなって行く。
昔を知る指導者は、そんな現状を憂いています。
特に、中央ゴール前。
(センターバックとセントラルミッドフィルダーが固めている場所)
全く、攻撃側に自由を与えない。
そんな中で、どのように相手守備陣を崩していくのか?
現代サッカーのつきつけられている、大きな課題です。

フットサルは、まさにこの状態です。
サッカーのペナルティーエリアを、やや大きくしたサイズのコート。
ここに10名のプレーヤーがひしめいています。
そもそもの設定からして、「レスタイム、レススペース」
さらに、ゴールの大きさは、約3分の1。
普通に攻めていては、個人技の強いチーム。
体力レベルの高いチームしか勝つことが出来ない。
どうやって崩すのか?
体力のごり押しか?それとも個人技頼みか?

これを打破するために、考え出されているのが、さまざまなパターンプレーです。
例えば、パスを最後尾から右に出す。
パス&ムーブで左に走る。
入れ替わるように入ってくる。
そして・・・・。
といった具合に、動きを完全に決め、その約束にしたがってプレーを遂行していきます。
このパターンが決まれば、爽快です。
相手DFは何が起こったのか分からない内に、シュートまで持ち込むことが可能です。

このパターンも、形だけならすぐに出来るでしょう。
問題は、いかに試合で機能させるのか。
試合には、DFがいます。
上手く行けば、1度や2度は引っ掛かってくれるでしょう。
相手DFも、何度も同じパターンには引っ掛かりません。
このパターンを試合で活かす為には!?

力技以外で、ゴールに迫っていきたいですよね。
その1つのヒントになり得るはずです。
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2006年12月22日

守備の文化(ブラジル)とメンタル

 インテルナショナルが見事、クラブワールドカップを制しました。
圧倒的にFCバルセロナ有利の前評判。
勝敗は決まっていて、バルサが何点取るのか?
ロナウジーニョやデコがどんな素晴らしいプレーを見せてくれるのか?
人々の目は、こちらに移っていました。
その前に立ちふさがったのが、インテルナショナル。
ブラジルと言えば、高い技術力をベースにした、攻撃的なサッカー。
ただ勝つだけでは認められない。
攻撃的なサッカーをしての勝利こそが、評価のポイント。
これが、ブラジルにおける基本的な感情です。

ところが、そうとばかりも言いきれないようです。
ブラジルはとても広いのです。
皆さんご存知のサンパウロ州。
このサンパウロ州だけでも、日本の本州よりも大きく、人口は一千万人を超えるのです。
そして、各州によってサッカーのスタイルにも違いがあります。
一概に、テクニック重視だけではないようです。
特に南部に位置する、サンタカタリーナ州、リオグランデ・ド・スル州はブラジルの中でも異質の存在。
激しい当たり合いを好み、フィジカルコンタクトの強さが求められる地域です。

何度となくこのブログに登場する同僚のコーチ。
彼は、このサンタカタリーナ州でも1シーズンプロ契約を結び、プレーしていました。
私は、クラブワールドカップの決勝を見ての感想を、彼と交換しました。
「守備に対する意識が強く、守る技術が高い。
 寄せは速いし、当たりは強いね。」
その彼曰く、
「この南部の地域は、守備は当たりも強いし、意識が強い。」
さらに私は、
「中盤や前線の選手も、きっちり戻って守備をするね。」
彼は、
「ここには、守備の文化があるんだよ。」

私も、サンタカタリーナ州、リオグランデ・ド・スル州の守備の強さを知識としては知っていました。
まさか、世界NO.1と言われるバルセロナの攻撃をシャットアウトするまでのレベルとは!
フッチボウ大国ブラジルの奥深さを、実感しました。


戦術的なことを付け加えるならば、インテルナショナルは良く研究していました。
バルセロナのパターンを知りぬいていましたね。
バルセロナは、サイドの高い位置で基点を作ります。
今回で言うと、ジュリー・ロナウジーニョ選手。
しかも彼らは、サイドに張りっぱなしにならず、中央にも入ってくるのです。
DF側からして見れば、マークに迷うところです。
そして、基点が出来ると、サイドバックがオーバーラップを仕掛けていきます。
ザンブロッタ・ファンブロンクフォルスト選手。
つまり、FWの選手を警戒して、そこにマークすれば、サイドにスペースが出来る。(パターンA)
サイドを崩されるのを警戒し、FWのマークを緩めれば、彼らが伸び伸びと攻めていく。(パターンB)

(パターンA)

        [インテルナショナルゴール]

    

(スペース!)  右CB     左CB      左SB
         

      右SB  
      ロナウジーニョ

ファンブロンクホルスト




(パターンB)
        [インテルナショナルゴール]

    

        右CB     左CB      左SB
右SB         

      (フリー!!)  
      ロナウジーニョ

ファンブロンクホルスト


 このお決まりのパターンをインテルナショナルは警戒しました。
ジュリー・ロナウジーニョ選手には、それぞれ特定のマーク役をつける。
サイドバックのオーバーラップには、中盤の選手(ボランチ)を下げさせて守る。
この役割分担を行ないつづけ、バルセロナのサイドアタックを封じ込めました。
パターンAも、パターンBも両方抑えたのです。
ただこれを90分間続けるためには、高いレベルの体力と精神力が求められます。
正直、この役割を求められ、さらに攻撃にも参加するとなると、しんどいですよ。
それでもインテルナショナルは、90分間完遂しました。
    
こうなると、バルセロナの攻撃は、中央に偏ります。
デコ・イエニスタ選手の組み立てにグジョンセン選手が絡んでいく攻撃。
これに対し、インテルナショナルは、マークを忠実に行ないつづけます。
ボールを持っていても、ボールを持っていなくても、細かいポジション修正。
そして、ボールを持った選手には、距離を開けずに間合いを詰める。
DFのお手本のようなプレー。
もちろん、バルセロナの早いパス回しに崩されることもありました。
それでも、最後まで身体を張って、体を投げ出してボールに食らいついていきました。

もちろん、守備だけでなく、技術も高いものがありました。
決勝点は、味方ゴールラインぎりぎり位置でボールを奪う、そこからの得点でした。
ほとんどのシーンで、クリアせずに前線にボールをつなぐ。
ボールコントロールの上手さ、体の使い方(スクリーニング)の巧みさ、キック・ヘディングの正確さ。
高い技術をフィールドプレーヤー全員が持っていました。
守るだけでは、試合には勝てません。
ボールを奪って、相手のゴールを目指す。
奪ったボールを簡単にクリアしない。
少々無理な体勢でも、味方にボールをつなぐ。
そうすることで、守備の時間を減らす事に成功しました。
ここまでを常に意識できていたからこそ、インテルナショナルに栄冠が輝いたのです。

我々がインテルナショナルから学ぶべきものが2つあります。
1つは、自分たちに与えられたそれぞれの役割を、最後の最後まで全うすること。
2つめは、どんな相手であっても、自分たちのベストプレーを発揮しようとすること。
心・技・体・戦術。
華麗な技は少なかったかもしれませんが、クラブワールドカップ決勝戦に相応しい試合でした。









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2006年12月13日

俯瞰図

俯瞰図。
鳥のように、上空から見渡せることが出来れば、どんなに楽か。
プレーヤーはもちろんそうでしょう。
指導者も実は、同じなのです。
ピッチレベル、つまり選手と同じ目の高さにあるベンチ。
一歩引いたところにあるので、見やすいことは間違いありません。
それでも、ピッチ全体、つまりチーム全体を見るのは難しい。
さらに、逆サイドで行われていることを完全に把握することはもっと難しいのです。
トップリーグになると、スタンドの上段にチームスタッフ(主にコーチ)を配置。
そこから、無線を飛ばして、戦況を報告させるのです。
アメリカンフットボールでは、お馴染みの光景です。

実際にプレーしている選手は、イヤフォンを装着するわけにはいきません。
自分の力で、全体の位置をつかもうと苦心するのです。
この能力に長けている選手は、司令塔や、ディフェンスリーダーに向いています。
「そんなところまで見えていたの?」
「あっ、そこに出すんだ?!」
スタンドで観ている人間すらをいい意味で裏切るのは、この能力があってこそ。

我々は、たくさんの情報を収集して、ピッチ全体の図を描こうとします。
それは、選手の動き、声、ボール、スペース。
目も、耳も、全身をレーダーのようにして、情報を収集していくのです。
その一つに、周りの景色というものがあります。

たとえば、ゴールキーパー。
彼らの生命線はポジショニング、つまり立ち位置です。
守るべきゴールの両端、中心を意識してポジション取りをしています。
とは言っても、後ろにあるゴールを振り返って確認する余裕はなかなかないですよね。
そこで彼らは、対面にある、相手ゴールや、ペナルティエリア内に引いてあるライン。
これらを見て、ゴールの位置を想像するのです。
さらにホームと呼べる、自分たちがよく試合を行うピッチ。
ここなら、スタンドや、木、建造物や、広告。
これらの位置が脳内に焼きついています。
自然に現在地を掴むスピードも上がってきます。

93年、Jリーグの初年度。
チャンピオンシップの会場は、国立競技場での開催でした。
それを聞いたジーコ選手が激怒したのは有名な話です。
「使い慣れた鹿島スタジアムなら、広告看板や、建物で現在地がわかる。
国立を使い慣れているのは、対戦相手であるベルディじゃないか。」
日本に、ホーム、アウェイという概念がまだまだ薄かった時代の話です。

今日、面白い記事があったのでご報告します。
FWがDFラインの裏に飛び出す。
ここで大事なのは、オフサイドにならないようにタイミングを測る。
そして、DFラインよりも、味方側にポジション取りをしなければなりませんよね。
そのため、最終ラインの選手を確認するのが普通です。
三浦知良選手が、ある工夫をしているそうです。
「自分が今オフサイドポジションにいるかどうか
首を振って、相手ディフェンスの一人一人の位置を見ようとする
それだと時間がかかってしまう。」
「アシスタントレフェリー(副審)の位置を一瞬見ればすぐ分かる。
だから、ボールをもらう前には、いつも副審をさがすようにしている」
そう、オフサイドライン=副審の位置ですからね。
簡単ですけど、大発見だと思いませんか?
これも、大切な情報源の一つとなるのですね。
私も新たなイメージを獲得することが出来ました。
posted by プロコーチ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

2つのワールドカップ

 明後日から、FIFAクラブワールドカップが横浜・東京(国立)で開催されます。
世界のトップクラスのチームが、日本に集まっての大会です。
ものすごく貴重な時間を体験するチャンス。
残念ながら、注目が集まっているのはFCバルセロナの試合のみ。
インテルナショナウ、クラブアメリカ、アルアハリ。
この試合は、充分見る価値があるはずですよ。
お時間があれば、ぜひ、スタジアムに足を運んでください。
シーズンオフに小遣い稼ぎにくる親善試合。
それとは違う、本気の彼らの姿を見れます。
タイトルが掛かった時の彼らの目は、熱いものが感じられるでしょう。

2006年ドイツワールドカップ。
トレンドは、華麗な攻撃を強固な守備組織(守備ブロックと切り換えの速さ)が封じ込めた。
破壊力のあるカウンターアタックや、パスをつないでの華麗な攻撃。
これを抑えるための工夫(守備)が、攻撃を上回ってしまったのが、大会の特徴でしょう。
これを裏付けるのが、この記録です。
全64試合で147のゴールがだけでした。
1試合平均2.29ゴール。
最小に終わった1990年イタリア大会の2.21ゴールに次いで、ワールドカップ史上下から2番目の低い記録なのです。

無回転のミドル・ロングシュートが注目されました。
守備ブロックを打ち破って、ゴール前に進出することができない。
それならば、守備ブロックの外から打ってしまおう。
セットプレーを磨き上げて、得点を狙おう。
そういった発想。

もう1つの特徴が、逆転勝利が少なかったのです。
たったの7試合しかありませんでした(全64試合)。
つまり、先制点の重みが、いつにも増して大きなものとなってました。
これも、全体的に守備組織が素晴らしかったことの裏付けといえます。
逆転勝利が少なかったのは、日本人の我々にとっては意外ですよね。
オーストラリア戦も、ブラジル戦も先制点は日本に入りましたから。
振り返って見たとき、日本の守備組織が、充分構築されていなかったことがここでも明らかになってしまいました。
2試合も逆転負けを喫しているチームは、他にはありません。

 今回の大会では、どうでしょうか?
守備優位の大会でしょうか。
それとも、攻撃が復権しているでしょうか。
その得点は、単なる守備の崩壊か、攻撃がさらなる工夫で生まれたのか?
代表レベルよりも、戦術的には、先を行っているといわれるクラブチーム。
クラブワールドカップで、世界のトレンドを確認してみてください。
posted by プロコーチ at 17:54| Comment(1) | TrackBack(1) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月10日

どこに動くのか?

「動け!!!」
試合中によく聞きませんか?
選手の中から、ベンチのコーチから。
何を意味しているのでしょうか。
もし訓練されたチームで、そのキーワードを元に約束事を遂行するなら分かります。
ただ、よくよく聞いているとそうではないようです。
単に止まっていることに対して、「動け!」と言っているようです。
おそらくは、パスコースが無いので苛立って口に出てしまってるケースが多々あるでしょう。

さあ、どうしますか?
チームが停滞しているのは間違いないです。
何らかの刺激を与えなければ改善しないのです。
どういう刺激をあたえれば良いのでしょうね?
posted by プロコーチ at 23:58| Comment(4) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月24日

呼び名は?

 フォワード、トップ、ストライカー、アタッカー、ウイングにセンターフォワード。
様々な呼ばれ方をされる、攻撃の選手達。
雑誌などでは、FW(フォワード)と呼ばれています。
ただ、FORWARDには、前側や前方という意味しかありません。
スタートのポジションのみを言い表しているのです。
全体から見て、前。
つまり、相手陣地にいるだけの話です。
これが、ストライカーとなってくると、話は別です。
打つ、叩くといった攻撃といった意味を含んできます。

チャンピオンリーグのグループリーグ。
チェルシー対バルセロナ。
結果は、ご存知の通り、1対0でチェルシーの勝利。
差を分けたのは、この部分かも知れません。
バルセロナの攻撃陣は、誰もがうらやむタレント揃い。
ロナウジーニョ選手、ジュリー選手にメッシ選手。
今期はグジョンセン選手も補強しました。
ところが、この中には生粋の点取り屋はいないのです。
エトー選手の怪我での戦線離脱が大きく響いていますね。
チェルシーには、シェフチェンコ選手にドログバ選手。
もちろんチャンスメイクもハイレベルですが、彼らはストライカーでした。

 日本には、FWはいても、ストライカーは少ないです。
得点王ランキングには、カタカナばかりが並ぶの当たり前になっています。
日本人得点王?
そんなタイトルありませんよね。
マスコミが勝手につけた、呼び方です。
何度もご紹介している、日本サッカーの父、クラマーさん。
彼は、FWはスナイパーになれと言ったそうです。
もちろん、前(FW)にいるだけではダメ。
ただ打つ(ストライカー)だけでない。
一撃必殺で決める。
それくらい、正確に大胆に行動しなくてはならない。

オシム監督は、ストライカー的な選手を好むようです。
佐藤寿人選手に、播戸選手。
彼らのすることははっきりしていますよね。
一般的に日本では、平均的にいろいろなことが出来る選手を選びがちです。
逆に言えば、大きな欠点がある選手は、使われにくい傾向にあります。
平均値の高い選手を集めれば、常にそれなりの試合展開は出来るでしょう。
ボールタッチや、パスの上手い選手だけ並べて、勝つチームを作れるのでしょうか?

最後の最後で勝負を決めるのは、自分の得意な形を持った選手達です。
これなら絶対に誰にも負けない。
自分だけの武器を常に磨いておくこと。
ただのFWではなく、ストライカーであること。
ただのFWではなく、チャンスメーカーであること。
特色ある選手達の試合は、観る者を魅了してくれるはずです。
posted by プロコーチ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

11人目(5人目)のフィールドプレーヤー

 レベルの高い試合になればなるほど、攻撃に関与する人数が増えてきます。
それはもちろん守備にも言えることです。
例えば、フットボールを始めたばかりの子供(大人も同じです)は、自分とボールとの関係しかありません。
ボールにたくさんの人が群がる、団子サッカーは、これが原因です。
我も我もと、ボールに触りたがる。
味方のポジショニング、相手のポジショニング、スペースの意識。
これらの観念が無いのです。

これが徐々に成長していくにつれて、関与する人間が増えていきます。
ボールと自分とに加えて、出し手と受け手との関係。
DFなら、チャレンジとカバーの関係。
1人称から、2人称への進化。
そして、3人称からチーム戦術を駆使していく。
このような段階を経て、子供から大人のサッカーへと発展を遂げていきます。

レベルの高い同士の戦いになれば、攻撃も守備も余裕がなくなっていきます。
多くの人数がプレーに関与するということは、頭も身体も技術もフル動員しなくては、間に合いません。
ここで大切になってくるのが、「数的有利」
この「数的有利」をいかにして作るのか?
現代サッカーで主導権を握ることが出来るかどうかのバロメーターです。
なぜオシム監督が「走れ、走れ」というのか?
走ることが目的ではありません。
「数的有利を作るために走れ、走れ!」と考えれば、1つの回答になるでしょう。

 プレーに参加する人数を増やすためには、ポジションを越えてのプレーの参加が必要です。
FWの守備への貢献。
DFの攻撃参加。
この2つは、必須要件です。
逆にこの2つが無いとどうなるでしょうか?
攻撃に、FWと攻撃的MFしか参加しない。
攻めに加わる人間は、たったの3〜5名です。
守備に、DFラインと守備的MFしか参加しない。
守備に加わる人間は4〜6名です。
つまりベースとなっている考え方は、DFなら私守る人、FWは私攻める人。

こんな試合展開あり得ないとお思いですか?
世界のトップレベルでも、3,40年前は当たり前の試合展開です。
70年代に活躍したベッケンバウアー。
彼が、DFにも関わらず、相手ゴール前まで進出していく姿。
DFの攻撃参加は、30年前の当時は革新的な戦術だったようです。
アマチュアサッカーならば、未だによく見る光景ではないですか?

DFは攻撃に関わっていかなくてはなりませんし、
OFも守備に関わらなくては、現代サッカーは成り立ちません。
これは、フットサルでも同じことが言えます。
ブラジルのフットサルでは、一番後ろに位置するフィクソが、最後尾に鎮座している事はありません。
積極的に組み立てにも関わっていきますし、ゴールにも絡もうとしていきます。
ブラジルで習ってきた、多くのパドロン(攻撃パターン)。
そのほぼ全ては、フィクソが前に進出していくものでした。

さらに、攻撃時に数的有利を作るための最終手段があります。
それは、GKが攻撃に参加することです。
GKはルールの制限があり、足でしかプレーに関われません。
手を使う専門職であるGK。
そんな彼らも、足での仕事が多く求められます。
GKへのバックパスしか選択肢が無い!?
こんな時の消極的な意味での参加ではなく、いかにして、GKが組み立てに参加していくか?
現代サッカー、現代フットサルはここまで来ているのです。

 ただし、GKへのバックパスには鉄則があります。
イングランド対クロアチアの欧州選手権予選。
イングランドは後半23分に自殺点をしてしまいました。
G・ネビルのバックパスがペナルティーエリア付近でイレギュラーバウンド。
GKロビンソンが“空振り”。
ボールは、そのままゴールイン。
不運な面はもちろんありますが、鉄則を守っていれば、防げていた失点です。

では、GKへのバックパス。
この時に、掲出されている交通標識とは。
@ボール保持者はゴールの枠を外して、バックパスをする。
(この時出来るだけ、扱いやすいグラウンダーのボールを出してあげること)
AGKはバックパスが出たのを確認してから、ゴールから出て、ボールに近づいていく。
(@、Aの順番が逆になれば、無人のゴールにボールが入ってしまうことも!!)
BGKは、リスクを出きるだけ減らし、正確でシンプルなプレーを。
(たとえ、クリアをする事になってもGOODとしよう。)
(ドリブルでFWをかわすなど、もってのほか)

ワールドカップドイツ大会のクロアチア戦、前半33分。
加地選手からGKの川口選手へのバックパス。
アウトサイドを出してトラップしようとする、川口選手。
なんでもない、バックパスでしたが、川口選手の目の前でイレギュラー。
ボールは、川口選手を通りぬけて、転がっていきます。
あわや、自殺点の危機でした。
私の居たスタンドの目の前で起こった光景です。
心臓が締めつけられるほどの、驚きがあったのを思い出します。
この時は、加地選手のパスがゴールの枠から外れていたため、自殺点にはなりませんでした。
上記の鉄則で言うと、@とAは守られていたのです。
ただ、Bが守られていなかったため、失点の危機になったのです。

この鉄則を守り、GKを有効に利用していきたいですよね。
必ずや、チームのレベルアップを助けるはずです。
posted by プロコーチ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

今更ながら、フットボールの鉄則

 フットボールには数々の鉄則があります。
例えば、自陣深く(味方ゴール付近)では、リスキーなプレーをしない。
この鉄則は、ミスが即失点のピンチになってしまうからですよね。
もし、自陣深くでドリブルをして、3人を抜いた!
そこで得られる利益と、ミスをしたことによって起こりうる不利益。
この利益と不利益とを秤にかけたらどうなるか?

このような鉄則を理解した上で、選手がピッチの上でどれだけ表現できるか?
私は良く、交通標識の話をします。
・青なら進め、赤なら止まれ。
・50K以内で走行しましょう。
・右折禁止。
道路には、数々の交通標識があります。
これらを守る事で、交通は成り立っています。
フットボールの試合中、ピッチ内にも、実は交通標識が出ているのです。
ファールの事ではありません。
今、どんなプレーを選択するのか?ということ。
それが、数々の鉄則です。
この交通標識をどれだけ見つける事が出来るのか?

レベルの低いプレーヤーは交通ルール違反を繰り返します。
これには、2つの原因があるでしょう。
1つは、交通標識をみつけることが出来なかった。
そもそも、その交通標識そのものを知らなかった。
もう1つは、交通標識は分かっていながら、技術が足りず、実行できなかった。
試合の状況で考えてみましょう。
 
たとえば、厳しくマークされている味方へ、弱々しいパスを出す。
これでは、マークしているDFにみすみすチャンスを与えるようなものですよね。
当然、パスは成功せず、インターセプトをされ、ボールを奪われる。
味方はトラップはできたものの、さらにDFに寄せれられて奪われる。
DFのマークが厳しい。
それでも、足元に出して基点になってもらいたいのなら、ピシッとグラウンダーのパスをだしてあげること。
この鉄則を知らないのか?出来ないのか?
付け加えるなら、この鉄則通り動くための体力ももちろん必要です。
いずれにしても、先ほど挙げた例は、パスの出し手に問題があります。
交通標識(鉄則)を守らないために起こってしまったミスです。
(付け加えるなら、パスの受け手にも鉄則がありますよね。
 それでは、DFのマークが厳しい時の受け手の鉄則とは・・・?)

 先日、インドでアジアカップの1次予選、日本対インドの試合が行なわれました。
FIFAランキング137位のインドは、日本を恐れることなく、立ち向かってきました。
日本陣地から、プレッシャーをかけ、相手ゴールに近い位置でボールを奪おうとしていました。
それでも、日本とインドとの間には、実力の差がありました。
日本がパスをつないでいくうちに、インドDFは後ろに下がっていくことを繰り返していました。

守備の意識が高く、後方に引いた相手から、どうやってゴールを奪うのか?
ここでの鉄則は2つです。
・サイドを深い位置まで侵入して崩す。
・ミドル、ロングシュートを打つ。
つまり、相手が守備を固めている(守備のブロック)ところには、入っていかない。
守備のブロックの外から攻めていく。

まずは、サイドの深い位置まで侵入してからのクロスボール。
これは、DFのマークが外れやすいので効果的です。
人間の視野の限界を超えることから、守備の鉄則が守れなくなるのです。
(ボールと、マークとを同時に視界に収める、同一視)

守備ブロックの外からフリーで打つミドルシュート。
GKの能力を超えるところにボールが飛べば1点です。
これを怖がって、ミドルシュートを打とうとする選手にプレッシャーをかけるようになってきます。
そうすれば、守備のブロックが崩れてきますよね。
この2つの鉄則をサイドチェンジを交えながら狙っていくのが、1つの理想の形です。

この2つの鉄則は、とても広く知られているものです。
もちろん、日本代表の選手は、当たり前のように理解しているでしょう。
実際に、日本が取った3点全てが、この鉄則通りのゴールでした。
一つ一つのゴールは、素晴らしいものでした。
もっと、対戦相手のレベルが上がっても、決まっていたでしょう。
ただ、ゴールが決まったその何倍も、ゴールのチャンスを失っています。
・クロスボールの精度の低さ。
・シュートミス。
・タイミングの食い違い。
・ミドルシュートを打てない。
・ミドルシュートが枠に飛ばない。
交通標識は見えてはいたものの、遵守する技術が足りなかったのです。
特に、クロスボールの精度の低さ。
ミドルシュートの少なさ、精度の低さ。

いくら、走って走っていい動きをしても、技術が低ければプレーは成功しません。
・交通標識を見つける目
・それを達成するための動き、走り
・実際に行なう技術
グッドプレーヤーの条件です。
ちなみにグッドプレーヤーの部分を、レギュラーや代表に置き換えれば、選手選考の基準になりますよね。
posted by プロコーチ at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月15日

中村俊輔選手に見る、ボールの受け方

 UEFAチャンピオンズリーグが開幕しました。
ワールドカップと匹敵する、魅力あるタレントの集まる場所。
ワールドカップよりも完成された、チーム戦術のせめぎ合い。
これを見ずして、フットボールの現在を感じる事は出来ないのではないでしょうか。
しかも、今シーズンは中村俊輔・稲本潤一両選手が出場。
さらに期待は高まりますよね。

 中村選手出場の、マンチェスターUTD対セルティック。
ユナイテッドのホームで行なわれるこの試合。
セルティックにとっては、開幕早々もっとも厳しい試合に臨みました。
そんな中、一時は同点に追いつく、直接FKを叩きこんだ中村選手。
プレースキックのクオリティの高さは、世界のトップクラス。
これを、証明しましたよね。
後は、本人も語る通り、流れの中でのプレー。
流れの中で、得点に絡む決定的なプレーをいかに発揮していくのかが課題でしょう。

中村選手のストロングポイントといえば、プレースキックに代表される、技術力の高さ。
逆に、ウィークポイントと言われてしまうのは、フィジカルの部分でしょうか?
当たりが弱い、運動量が少ない、競り合いに弱い。
中村選手を悪く言うときには、このように語られるものです。
ただし、この中で、運動量が少ないと言うのは、当てはまりません。
本当は、運動量の多い選手なのです。
おそらく、多くのパスを足元で受けているから、運動量が少ないように思われるのです。
スペースを疾走して飛び出すプレー。
こういったボールの受け方をする選手は、運動量が多いように見られやすいです。

中村選手のボールの受け方は、お手本になるような素晴らしいものです。
足元で、ボールを受けて、近くの選手にパス。
スペースを見つければ、前線に決定的なパスや、大きなサイドチェンジ。
比較的フリーなら、ドリブルでボールを前に運びながらの、組み立て。
ボールを持って前を向いた時の素晴らしさには、目を奪われます。

 何年もヨーロッパでプレーしている中村選手。
彼のプレーの特性は、対戦相手も知るところでしょう。
中村選手を抑えたいのなら、何が何でも、前を向いてボールを持たせたくないところです。
それでも、前を向いてボールを触わる中村選手。
長短のパスや、ドリブルを織り交ぜて、攻撃を組み立てていくのです。
その工夫は、ボールを受ける前の中村選手の動きに隠されています。
ボールが来る前の効果的な走りで、マークを外していくのです。

        ・
DFa     ・    DFb
 @           C中村
        ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        ・
        ・
MFc         MFd   
 A           B
        ・
        ・

上の図をみてください。
守備側は、ゾーンDFをしていると考えて下さい。
特定のマンマーカーはいないという前提です。
中村選手は、DFbに厳しいマークを受けています。
彼の工夫は、ここからです。
今、Cのゾーンにいます
ここから、@のゾーンに、軽いジョギング程度のスピードで移動していきます。
わざと、DFaに近づいて行くように、移動していきます。
@のゾーンは、DFaが守備を担当していますよね。
DFbは、中村選手のマークをDFaに受け渡そうとします。

そこからです。
中村選手は、もう一度、Cの位置に戻ってくるのです。
Cを担当する、DFbは、マークをしている意識がありません。
その瞬間、足元でボールを受けて、次のプレーに入っているのです。
このように、C→@→Cと、移動してからボールを受けているのです。
もちろん、C→B→Cといった、上下に動く事もあります。
さらには、C→@→Aのように、新しいゾーンで受けることも多々あります。


ボールを受ける前に、頑張って走って走ってボールを受ける。
おそらく、パスを受けることは出来るのでしょう。
ただし、ボールを受けた時には、疲れてしまっているかもしれません。
スピードを上げたままボールを受けたら、ボールコントロールは難しくなってしまいます。
彼の素晴らしいところは、単純に走り回っていないところです。
相手DFの心理状況を巧みに利用して、マークを外すのです。
ボールが無いところのでの走りを効果的にするために、考えぬいているのです。

中村選手は、自分のストロングポイント・ウィークポイントを把握しきっているでしょう。
小さい頃から、サッカーノートをつけ続けている事で有名です。
自分のストロングポイントである技術を活かす。
そのためには、マークを外してボールを受けたい。
ボールを受ける前にどうにか工夫しないと!!
この努力が実っての、絶妙なタイミング。
相手DFの心理を逆に取る、タイミングを身につけたのです。
ドイツワールドカップでは、目立った活躍ができませんでした。
暑さと体調不良にやられ、この動きが少なかったのではないでしょうか?

足元でボールを受けるために、走っている中村選手。
ここに、スペースに飛び出してボールを受けれる回数がもっと増えれば。
相手にとっては、さらに嫌な選手となるでしょう。
研究熱心な彼のことですから、既にトライしているプレーかもしれませんね。

 余談です。
中村選手とルマンで活躍する松井選手のインタビューを、それぞれスポーツニュースで見ました。
インタビューアーのレベル(特に女子アナ・・・)は、残念ながらお粗末でした。
失礼な質問や、的の外れた質問が多く含まれていました。
それでも、誠意に応える両選手。
分かりやすく、はっきりとした口調で、丁寧に語っていました。
プレーヤーとして成功できるかどうか?!
プレーやネームバリューだけでは無いことを、改めて感じました。
いくら、いいプレーが出来ても、モゴモゴ何を話しているのかよく分からない選手。
インタビューアーを見下した態度を取る選手。
2人の態度は、その対極にあるものでした。
人間性の成長、豊かさ。
人としての魅力がどれだけ溢れているかも、大きな要素。
2人の活躍の要因は、心技体で表される、心、メンタルかもしれませんね。
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2006年09月08日

ピッチに合わせた戦い方?

 フットサルのピッチのサイズは、様々です。
国際規格は20M×40Mと決まっていますよね。
ところが、民間の大会だと、横14・5〜20M×縦25〜40M。
中には、国際規格の半分以下のサイズで行われる事すらあります。
東京都リーグのような公式戦でも、しばしば見れらます。
ここまでピッチのサイズが変われば、ピッチの中での風景すら変わってきます。
サッカーの試合で、横35M×縦50Mでしてみる事を考えて見てください。
ペナルティエリアを2つ並べたのを少し大きくしたサイズに、22人全員が入っているのです。

このような狭いピッチの中でのプレー。
結果を最優先するのならば、チームのスタイルすら変える必要性すら出てきます。
狭いピッチで得をするのは、守備を優先するチーム。
逆に厳しくなるのは、パスをつないで崩していくチーム。
ボールに対するプレッシャーがかかりやすいですからね。

もし、狭いピッチで勝ちたいのなら、分かりやすい作戦は2つ。
@高い位置から、ガンガンプレッシャーをかけていく。
Aハーフウェー近辺からでも、積極的にシュートを狙っていく。
この2つを徹底すれば、かなり有利に試合を展開していく事が出来るでしょう。

ただし、普段、パスをつないで、パターンを駆使して試合を展開するチーム。
自分達のスタイルを捨ててしまうことになります。
その試合に勝つことは出来ても、勝ち点以外に得たものはありません。
勝つことはもちろん大事です。
これが、発展途上のチーム。
チーム作りをしている段階のチームならどうでしょうか?

 イエメンでの、サッカー日本代表戦。
2300Mの高地。
ボールがまともに転がらない、ボコボコのピッチ。
人はなんとか動けても、ボールが動かないのです。
パスはグラウンダーのボールにならない。
トラップで、時間がかかる。
ワンタッチでプレーしようとすると、はねてミスにつながる。
日本が標榜する、ボールと人とを動かしていくフットボール。

こういったピッチで有利となる戦い方はなんでしょうか?
ピッチがボコボコなら、それに合わせた、戦略もあります。
・サイドからクロスボールを早いタイミングでいれる。
・パスでなく、ドリブルでボールを運ぶ。
この2つを組み合わせた試合をすれば、もっとチャンスは増えたに違いありません。
グラウンダーよりは、浮球で。
パスよりは、ドリブルで。
要は、グラウンダーのパス回しを捨ててしまうのです。

さらには、ボコボコのピッチを逆手に取る方法もあります。
・グラウンダーのシュート、GKの前でバウンドするシュートを打つ
 そして、こぼれ球を狙いにいく。

この3つの作戦はどう思いますか?
おそらく、ロスタイムになんとか1点を入れて勝ったイエメン戦。
もっと点差の離した勝利試合になったでしょう。
オシム監督、日本サッカーが標榜する「ムービングフットボール」。
これとは、遠く遠く違ったスタイルの戦い方です。
どういった戦い方を選ぶのか?
なりふり構わず勝利を目指すのか?
それとも、スタイルの完成を目指すのか?
それを選ぶのも、監督をはじめとするコーチ陣の仕事です。
そしてこの選択を、ファンやメディアは厳しい目で精査していかなくてはなりませんよ。
4年後に泣きをみてしまいまうのは、我々ですよ。
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2006年09月06日

今日の見所

 今日も、サッカー日本代表の公式戦が予定されています。
サウジアラビア戦の日本代表は、様々な問題を抱えていました。

今日のイエメン戦。
相手のレベルは、落ちますが、環境はさらに悪くなります。
まず、中東について5日目。
時差ボケが一番厳しくなってきているでしょう。
着いて、3日目辺りまでは、あまり感じないのですが。
私も、先日の12時間時差の研修の際は、つらさを感じました。

さらに、標高2300mという高地。
通常暮らしている人間が圧倒的な有利でしょう。
空気が薄く、少し歩いただけでも苦しくなるそうです。
私の父母が、昨年ペルーのマチュピチュに旅行しました。
その時は、頭が割れるように痛み、何も考えることが出来ない。
思考能力を奪われるほどの辛さを経験してきました。
空中都市と呼ばれるマチュピチュは、世界遺産に登録されています。
ちなみにここの標高も、イエメン・サヌアとほぼ同じ、2280M(ペルー大使館)

戦術的な問題は、次の3つ。
@後方に位置する選手のパス能力。
これは、ワールドカップで確認した国際基準と比べると、低すぎるものでした。
パスを出すまでに、時間がかかる。
特に縦パスをいれるまでに時間が掛かり過ぎています。
結果、相手にカットされる、寄せられて潰されるシーンが数多く見られました。
後方から組みたてていく能力を持ったDFの欠如。
そのため、阿部選手を最終ラインに下げて使っているように見えます。
本当は、トゥーリオ選手にその役割をしてもらいたいはずなのですが・・・。
前から記述している通り、オシム監督はジェフ時代、ここに外国人選手を起用していました。
ストヤノフ選手のように、守備も、全体の統率も、組みたても出来る選手。
そんな選手は、日本にはまだいないのです。

Aボランチタイプの選手を併用し過ぎています。
そのため、攻撃の迫力・スピード感が出にくい。
彼らは、後ろに空けてしまう穴(スペース)を気にするはずです。
いくら、「リスクを背負って前に飛び出せ」と言われても、なかなか。
彼らの一番の思いとして、全体のバランスをとることを使命としてしまい易い。
攻撃的な選手なら、そんなことは無いのですが。
単純に考えて、攻撃の専門職は、2トップとアレックス選手だけ。
こんなことは、オシム監督は100も承知のはずです。
負けたくない意思が働いているのでしょうか?

B守備に関して言えば、ボールを奪える位置が低い。
攻撃側が主導権を握ったまま、守備を行なっている。
「サウジ側のシュートは1回しかゴールに向かってこなかった」
このオシム監督のコメントにだまされてはダメです。
人につく意識が強すぎます(マンマーク)。
ボールを奪う意識が弱いのです(ボールを中心とした守備)。
中盤まで、誰が誰のマークにつくという役割をある程度決められているのでしょうか?
みんなが与えられて役割をこなそうとし過ぎています。
マークは外れていないのですが、ボールに対するプレッシャーが甘い。
後ろに人ばかりが余り、フリーでミドルシュートを打たれたシーンもありました。

・後方からの効果的なパス
・中盤の積極性
・ボールに対するプレッシャー
この3つが、近々の改善点として、挙げられるのではないでしょうか。
今日のイエメン戦はどうでしょうか?
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2006年08月29日

明確なスタイル

 「体格差で踏みつぶすサッカーはこれからも続く。体格差を克服することが必要だ」
ジーコ前監督、退任会見でのコメントです。
技術で勝負する、創造的なフットボールを志向していたジーコ前監督。
「90分を通して体格の良い選手の攻撃に耐えうるベース。
 腰を中心とした下半身、上半身、この辺を鍛えないといけない。
 各クラブや代表で補強することを心掛けたが、思うようにいかなかった」
結局は、体格の差が、グループリーグ敗退の主たる原因。
これが、彼の4年間の総括のようです。

ちなみに私の意見はこれと違います。
確かに、フィジカルには問題がありました。
しかし、列強他チームとの一番の差は、体格ではありません。
フィジカルコンディション。
90分×3試合を通して、戦い抜くベースとなるコンディション。
これが満足でなかったように、スタジアム観戦を通じての感想です。
中盤より前の構成が、目まぐるしく変わっていきましたよね。
大会前は、あれだけ固定メンバーで戦っていたというのに。

「日本人の個性を生かし、日本らしいサッカーを。」
オシム新監督。
7月21日の就任記者会見で信念を繰り返しました。
彼の言う日本人選手の特長とは「敏捷性、積極性、技術。」
もう少し具体的に「あくせく素早く動き回れる。体が小さい分、ぴったり厳しいマークにも付ける」
ともコメントを残しています。
彼のジェフ市原で作り上げたスタイルは、「ボールも人も動くフットボール」。
もちろん、日本代表でも、次のようなフットボールを目指していくようです。
「ボールも人も動くフットボール」
「ムービングフットボール」

実は、すでに育成年代では、数年前からこのスタイルを志向しているのです。
まだ日本代表をトルシエ監督が率いていた、2001年です。
アルゼンチンで開かれたワールドユース。
優勝したのは地元アルゼンチン。
得点王とMVPには、サビオラ(FCバルセロナ)選手。
日本の主軸選手は、阿部・大久保・茂庭・石川選手など。
これを率いていたのは、西村監督。

この時には既に、「ムービングフットボール」を掲げていました。
この前のナイジェリア大会での準優勝の実績が輝かしすぎたのでしょう。
グループリーグで敗れた、西村監督のチームは、あまり取り上げられませんでした。
この後も、育成年代では、同じ取り組みのもとにチームを作っています。
JFAの講習会に行けば、「ボールも人も動く」
必ず1度は聞く言葉です。
オシム監督就任以前に立ち上げた、U−17日本代表。
監督は城福氏。
やはり、目標とするスタイルは、「ボールも人も動くムービングフットボール」

なぜ、JFAはこの数年間ずっとこのスタイルを標榜していたのか?
それは、各年代の世界大会を分析して、たどり着いた結論なのです。
空中戦の繰り返しのような試合展開は厳しい。
走りあいになってもスピードでは黒人選手に勝てない。
中盤でじっくり組み立てようにも、現代サッカーはプレッシャーが厳しすぎて不可能。
日本人の特徴を生かすためにはどうすべきか?
その答えが「ボールも人も動くムービングフットボール」
やっと、JFAの目指していたスタイルと、トップチーム(フル代表)とが、かみ合いました。





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2006年08月25日

人気のチーム

 日本代表は、大人気。
ブラジル国内で、日本代表はとても人気があります。
フットサル日本代表の話です。
パス回しが華麗。
動きが速い。
だからではありません。
もちろん、ビジュアルがイケテイルせいでもありません。
「マークが甘い。」
その理由につきます。

マークが甘い、プレッシャーが弱い
対戦相手にとってこれほど楽な事はありません。
ドリブルは簡単、パスは回し放題
人形相手に試合をやっているようなものです。
ブラジル人でもトップチームのコーチはこう言いました。
「日本のチームや日本代表と試合をするのは楽しい」
「彼らのマークは甘い、まったくプレッシャーに感じない」
「うちの選手達はのびのびプレーしている」

DFの講習会がスタートしました。
マルカソン。
DFのマークに関する内容でした。
そこで求められたマークは、とても激しいものでした。
日本でこの通りにマークしたら、すべてファールを取られてしまうでしょう。
それほど激しいものでした。
日本人の感覚では、充分寄せている、プレッシャーを掛けている。
ところが、ブラジル人にしてみれば、まだまだというところでしょうか。

 そのサンパウロで、フットサルの公式戦を見る機会に恵まれました。
サンパウロ州とその近郊の州が集まっての大会だそうです。
なんと!幸運にも決勝戦。
カードはABB対コリンチャンス。
約2000人ほど収容の体育館。
熱狂的なサポータを含め、席は満員に埋まっていました。
サポーターの太鼓や声が、体育館中を包んで、今まで感じたことのない雰囲気。
声が反響するためか、何万にものサポーターに囲まれているかのような錯覚です。
その中で、決勝戦にふさわしい試合が繰り広げられます。
一つのトラップミス、パスミスも許さないような、激しく忠実なDF。
講習会で習ったとおりの激しいマルカソン!!
我々日本人の常識をはるかに超えた激しさです。

GKの超人的なファインセーブも多数飛び出します。
後半の半ばまでは0対0の緊迫した試合内容でした。
そうかといって、お互い守るだけ守って、攻め込まないわけではありません。
パスの緩急。
パスとドリブル。
様々なパターンプレー。
GKも含めた、大きなパス回し。
どこからでも狙ってくる、シュート力。
ありとあらゆる武器を駆使しての、息もつかせぬ展開。
それでも、ゴールを割ることは出来ません。
厳しいマークが、最後の最後までつきまとってくるのです。

このマークのレベルが標準。
日本代表のマークが甘いと言われるのも、しょうがない。
一つの物差しが、変わった瞬間でした。

posted by プロコーチ at 23:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする